悪夢EX 第二話 -狭山亜衣・橋本かすみ-





「んぐっ! んっ! ぐっ!」

 そこは大広間とでも云うべき、だだっ広い部屋。全てが最高級の装飾で設えてあるような、豪奢な場所。

 赤いカーペットの上には、それらと同じように高級そうな椅子と机が一つ。机にほお杖をつきながら腰掛ける男と、その目前には紺色のブレザーの制服を着た少女が一人。少女は男の前にひざまずかされ、口での愛撫を強要されていた。

 大きなものを口いっぱいにくわえこまされる度に、少女の目からは嫌悪感を訴える涙がとめどなく流れ落ちて行くが、男は見向きもせずにいた。

「直人」

「はっ」

 そこは勝沼財閥の本拠とも云うべき勝沼邸の一室。椅子に腰掛ける男こそが勝沼財閥の総帥、勝沼紳一。その斜め後ろにたたずむ青年は側近の椎名直人だった。美青年ではあるが優男と云った感じではない。かつて紳一より与えられた刀を肌身離さず持ちつつ、眼光は鋭い。主君と自分に害する者であれば表情一つ変えることなく容赦なく薙ぎ払うだろう。そんな非常な性格をしていた。

「俺の命は長くはない。わかっているな」

「……」

 何を今更、とは誰も云わない。それは直人も以前から知っていることではあるが、どう返事をすればいいのかわからずに、端正な顔に戸惑いを浮かべる。慰めの言葉をかけるべきなのか、あるいは淡泊に返事をするだけでいいのか。

 直人の戸惑いを見透かしたように、紳一は続ける。

「死ぬのは苦痛ではない。だが……」

 何も成し遂げられぬままに朽ちていくのは屈辱の他何者でもない。と。その気持ちは直人にもよくわかるのだ。紳一とは幼少の折よりずっと側にいるのだから。勝沼家の御曹司という誇りと共に、自分一体何をするために生まれてきたのだろうと、そう云う焦燥感に苛まれているのだ。

「んんんぅっ!」

 男達に無視されつつ何度も深くくわえこまされて、少女が苦しみに悶えるが、紳一は頭をがっちりと押さえて離さない。……その少女は、紳一が街を車で移動している時にたまたま見かけた美少女。無垢で、天使のような笑顔が印象的だったので、直人に命じて捕獲させた。

 ……丁度その頃。とある学校の女子生徒が謎の失踪を遂げ、既に二日が経つと云う。世間一般ではテレビでも新聞でも取り上げられているが、数多くある犯罪行為の一つに過ぎず、時間が経てば忘れられていくことだろう。少女は今ではすっかり紳一の慰み者と化していたが。紳一の要求水準を満たすほどではなかった。要は期待ハズレだったと云うことだ。

「んーーーっ! うーーーっ!」

 苦しさに涙を流しながらも必死に愛撫を続ける少女に、紳一は冷たい視線を投げかけてから目を細め、かすかに舌打ちをした。もういい、と云わんばかりに。

 そして、少女の頭を掴んでいた手を離し、払いのけるようにして立ち上がる。その衝撃で、少女はカーペットの上にごろんと転がる。

「今一つだったな」

 少女の口内に射精しつつ、顎をしゃくって直人に云う。興ざめしたとばかりに嫌悪感を隠さない。紳一は少女を完全に物扱いしていて、人とは思っていないのだ。

「用済みだ。処分は任せる。後はお前達の好きにしろ」

「はっ。では……」

 直人は少女をどこか別の場所へと連れて行こうとして腕を取りかけ、紳一に止められる。

「遠慮するな。ここで存分にしてやれ」

「はい」

 にやりと直人が微笑む。一連のやりとりを見て、少女はわなわなと口元を震わせながら叫んだ。

「う……あ、あなたたちはっ! 狂ってるわ……! ……あっああっ!?」

 顔中を精液まみれにさせられながらやっと解放されて抗議をするが、それも束の間。直人によって、あっと云う間にカーペットの上に組み伏せられていた。

「お前達も混ざっていいぞ」

 更に、背後にいた二人の男達に声をかける。木戸と古手川の二人だ。

「ありがとうございます」

「ふぉっふぉ。それでは」

「やっ、あっ! やめ……あっ!」

 男達三人はすぐさま少女の体に手をかける。一瞬にして、少女が着ているブレザーの上着は、白い清潔なブラウスとブラジャーもろとも剥ぎ取られていた。一気に引きちぎられたボタンが飛び、カーペットの上に落ちる。僅かにばりっ、と、乾いた音がしたかと思った時には既に上半身に羽織るものをすべて剥ぎ取られた後だった。

「い、嫌ぁっ! 嫌あああああっ! やだあああああっ!」

 呆然としつつ、よろめきながら男達の手を払い逃げようとするが、あまりのショックに動転してしまい、転げてしまう。そしてその隙を突かれてスカートも脱がされ、ショーツも一気に引きちぎられて、ソックスすら脱がされていた……。





僅か数秒間の間に、少女は全裸にさせられ……そして。





「あ。あ、ぁぁぁ……ぁ、ぁ」

 数十分後。散々陵辱しつくされて、少女は白目を剥いていた。だが、それだけで終わるわけがない。これから一晩中、木戸と古手川によって更に陵辱される未来が待っている。少女の自我が崩壊するまでそれは続けられる。少女には拷問のような一時だ。

「直人」

 既に何度か少女の中に射精して満足したのか、直人は紳一の後ろに控えていた。

「は」

「もっと上質な少女達を集めろ」

 目の前で陵辱されている少女を低俗扱いしながら、紳一は云う。

「と、云いますと?」

 その問いに紳一はにやりと笑いながら云う。やっと気づいた、と云わんばかりに。上質な娘達を集める方法を考えついたのだ。

「面白い計画を考えたんだ」

 ほう、と内心思いつつ直人は興味深げに聞き入った。

「い……いやああああっ! もうやだああああっ! あああああっ!」

 少女が継続される凌辱の痛みに絶叫を上げるのも、彼らの耳には入らない。全てはこれからのことに目を向けていた。

 数日後。この少女は闇のルートを介し、どこか遠くの地……海外へと売り飛ばされることになる。木戸と古手川による徹底的な凌辱によって自我を壊されて、更に薬物投与により記憶も奪われるという周到な準備の後。ただ男達の欲望を満たすだけの人形にされてしまったのだった。無惨で残酷だが、彼らにとって気にかける程の事でもなかった。





彼らにとって、これから作り出す悪夢に比べれば小さな事……。





「直人」

「はい」

 一通り計画を話しつつ、紳一は問う。恐らく木戸も古手川も、どうにでもするだろう。だが……この男は。

「俺が死んだら、お前はどうするんだ?」

 どう身を処するか? 直人は考える間もない。ずっとそれはわかっていたことだが、一つしか答えはない。だからごく自然に答えた。

「私もお供致します」

「何故だ」

 木戸や古手川ならば、自分がいなくてもどうにでもしていくだろう。良くも悪くも、それだけのたくましさをもっているのだから。

 知れたこと。とばかりに直人は云い切った。

「紳一様は私の……主君なのですから」

 忠臣が主君に殉ずるのは当然のことだ。直人は紳一に絶対の忠誠を誓っているのだった。だから、紳一が逝ったら自分もそれに続くと暗に云っているのだ。

「そうか」

「はい」

「……」

「……」

 しばし無言。

「俺は思うのだ。俺が死んだら悪霊になってでも、少女たちを犯しているのではないか。などとな」

 他愛のない冗談話。だが、直人はどこまでも真剣だった。

「ならば私も、悪霊になってでも紳一様にお供させていただきます」

「そうか」

「はい」

「……」

「……」

 またしばし無言。笑い話のように思えるが、どことなく本当にそうなりそうな気がしていた。沈黙の後、実務的な話へと戻って行く。今後の計画のために、候補を立てることにしたのだ。汚れ無き美少女達が通う学校。

 いくつもの案が出される。聖セリーヌ学院……凰華女学院……そして。聖エクセレント。紳一は最終的に決まった候補の調査を命じ、直人は退出していく。さて、どんな美しき獲物達がいるのだろうか? 優秀な部下達のことだ。調査結果はすぐに出されるだろうが、催促したくなるほど待ち遠しく感じた。





時に聖エクセレント女学院。





修学旅行出発数カ月前のことだった。





「うぅぅっ! 嫌あぁぁ!」

 薄暗い部屋の中には裸の少女が二人と、男が二人。

 その一人、ボーイッシュなショートヘアの少女、狭山亜衣。……数日前に、男たちによって無理やり処女を奪われた彼女は今、四つん這いにされてクラスメイトの秘部に顔を埋めさせられていた。

 これ以上ないほど屈辱的な行為だが、そのクラスメイトの名は橋本かすみ。セミロングの髪をした少女。四つん這いにされて、大きな胸を床に押し付け、ゴムボールのようにぐにゃりとつぶされている。彼女も亜衣と同様、数日前に男たちによってよって無理やり処女を奪われていた。そのショックが癒える間もないのに、更なる陵辱に晒される。

「うぅ……うぅ……。嫌……。こんなの、やだ……」

 亜衣は泣きじゃくるが、男たちは容赦しなかった。それはかすみに対しても同じこと。

「やだじゃないわい。ほれ、もっともっといっぱいなめてやれ」

 古手川という老人に促され、ぴちゃぴちゃと舌を這わせる。抵抗などしようものなら、痛い目にあわされることが目に見えているから。仮に自分がそのような目に遭わなくとも、かすみが代わりに酷い目に遭わされるかもしれない。そう思うと抵抗する意志は完全に萎えてしまうのだった。





もう、わかってしまったこと。





自分たちが、男達に性的に奉仕する奴隷と成り下がってしまったことが。





 髪を短く切ったボーイッシュな少女。それがクラスメイト達に共通した、狭山亜衣という少女のイメージだった。クラスメイトだけでなく、初対面の人だって彼女を一目見たら真っ先にそう思うだろう。

 それも当然の事だった。何しろ彼女の両親は、共にプロスポーツの選手なのだから。日焼けして、少し褐色な肌が彼女が活発な性格で、スポーティな趣味だということを証明している。体を動かしていると気持ちがよくて楽しいのだと、彼女はクラスメイトによく云っていた。

「やめなさいよっ」

 だからか、体力にも力にも他の娘に比べたら自信があったから、最初は強気だった。男達に対し抗いながら睨み付けていた。だがそれも、最初の頃だけだった。やがて圧倒的な力で組み伏せられて、衣服を全て剥ぎ取られると……。

「いやあぁーーー! やめてえぇーーーっ!」

 猛烈な羞恥心と犯されることに対する恐怖心。どんなに手足をじたばたさせても、逃れようと駆け出そうとも無駄だった。すぐ様男達に捕まり、圧倒的な力で拘束されて、がちゃりという音を立てて首輪をつけられて、鎖で繋がれ……弱々しく拒否の叫びを上げ続けることになって、それ以後も変わることはなかった。

 彼女は柚流に続き、男達……紳一の部下達によって最初に犯された娘だった。





『さあ、来るんだ』

『い、いやぁっ!』





 広間に集められた生徒達の前で、亜衣は最初に連れ出された。直人という若い男に無理矢理。でも、誰も止めてはくれなかった。……彼らの側には、木戸という名の猟銃を持った男が控えていたのだから。誰も逆らえなかった。でも、仮に逆らえていたとしても……結果は同じだったことだろう。あるいは逆らった娘も同じ目に遭わされていたかもしれない。

 早いか遅いかの違いだけで、いずれ全員……同じ目に遭うことになってしまうのだから。見せしめで柚流が犯されたあの日から、わかってしまっていた。

「こ、こんなことして、ただで済むと思ってるの!?」

 必死に虚勢を張るけれど、あっという間に彼らの部屋に連れ込まれる。亜衣は尚も震えながらも抵抗するけれど、無意味な行為にすぎなかった。

「思ってるからやってるんだ。さて、脱いでもらおうか」

「あっ!」

 瞬きする間も無い。一瞬の出来事だった。直人の両手が亜衣の制服の襟元を捕む。そして。

「き、きゃあああっ!」

 バリッという派手な音と共に、上着ごとブラウスが引き裂かれた。ブラジャーとリボンだけが辛うじて残り、ボタンが数個まとめて飛び散り……そして更に強引に引っ張られ最後の抵抗でもある、ブラウスの袖を止めるボタンすら引きちぎる。

「い、いやあああっ! や、やめてええええっ!」

 亜衣は更に暴れる。が、直人は全く動じずに今度はスカートに手をかける。そしてショーツとソックスと剥ぎ取りながら、ベッドへと追い込んでいく。

「お前は、お前らの中で最初に犯される娘だ。光栄に思って欲しいな」

「やっ!」

 亜衣はそれを聞いて、改めて自分がどのようなことをされるかを改めて実感して、瞳に恐怖の色を浮かべる。亜衣がそうしているうちに直人は、最後に残ったブラジャーのワイヤーに手をかける。

「やっやめっ! やめてっ! いやっいやっいやっ! ひいいっ!」

 亜衣は慌てて手で体を包み込むも、無意味な行動だった。圧倒的な力により繊維が悲鳴を上げ、一瞬にして引きちぎられた。

 そしてむき出しの胸が露わになり、全裸にされた亜衣はパニック状態に陥って手足をばたつかせた。

「や、やだっ! やだやだやだやだやだぁっ! だめだめだめぇっ! 見ないでえええっ! 来ないでええええっ! 触らないでえええええっ!」

 半狂乱になって抵抗するも、直人にとってはそそる行為にしか見えなかった。

「フフ。フフフフ。綺麗な体だ。これから思う存分かわいがってやるよ。ちゃんとビデオにも撮ってな」

 直人の後方に、ベッドに視点を遭わせたビデオカメラが見えた。後で紳一に見せるために、あらかじめビデオを設置していたのだった。三脚も用意し、既に撮影は始まっている。

「ひっ! ひいいいいいっ! あ、あうっ!? あ、ああ……あっ!」

 そのまま流れるように体を持ち上げられ、体を仰向けにひっくり返されてしまう。

「いっ! いやあああああっ! やめてええええっ!」





そしてそのまま、亜衣は処女を奪われた。





 ビデオテープに撮りきった後も、男達の行為は続いていた。あまりにも無残で、痛々しい行為が。

「があっ! あがっ! ぐぁっ! い、やぁぁぁ! も、う……もうやめてええええっ! 助けてええええっ! 痛いよぉぉぉっ!」

「フフ。後ろの方もなかなか、締まるじゃないか」

 亜衣はずぷずぷとアヌスを無理やり貫かれ、痛みと苦しみにのたうちまわっていた。直人は亜衣の処女を奪った直後に口に突っこみ、アヌスの方も犯したのだった。いずれも愛撫などすることなく、一気に。だからか、亜衣の口からは涎と精液が垂れ、痛みにのたうち回り結合部辺りは赤く濡れている。

「い、や、だ、ぁぁぁ!」

 そんなことまでされるとは夢にも思っていなかった亜衣は、ただひたすら涙を流し、絶望の悲鳴を上げる。大事な何かを奪われてしまった悲しみに。

「ぐっ! うがっ! 痛いいいいいっ!」

「出すぞ。お前のケツの中にな」

「やだあああああっ! ああうっ! 助けてえええっ! もうやだあああっ!」

 ビクッと一瞬の震えの後、直人は射精していた。じわ、と熱い感触がお尻の中に広がり、亜衣は絶望感に包まれる。自分の中で大切な何かが奪われた。自分は……自分の人生は終わってしまった、と亜衣は無意識のうちに実感し、ただひたすら涙をこぼす。





亜衣は思い出していた。あの時、はじめて犯された時の記憶。そして、今も……。





それは、かすみも同じだった。





 あの時。亜衣が犯された数日後。かすみも亜衣と同じように処女を奪われ、その一部始終をビデオに撮られた。古手川という老人に、あの後更にアヌスを犯されて、かすみは呆然として床に横たわっていた。だが、古手川はそれだけでは満足しなかった。

「いやあああっ! ひっ! ひっ! ひいいいっ!」

 古手川の自室にて四つん這いにされたかすみ。お尻の穴とあそこからは既に、古手川が放った白濁液がとろりとこぼれ落ちている。その背中の上に、古手川が馬に乗るかのように、寄生でもするかのように跨っていた。そして、かすみの首には首輪と鎖。古手川はそれを手綱のように引っ張っていた。かすみは苦しそうに頭を振る。

「ほれほれ、お馬さんのように動くのじゃよ」

 云うや否や、古手川はかすみの尻をお仕置きでもするかのように平手で叩き始めた。パシィィン、と鋭い音が立て続けに響く。まるで、動物扱いするかのように。競走馬にムチを入れるかのように。何度も何度も続く。

「やああっ! はうっ! ひぎぃっ! やめ……あうっ!」

 その度にかすみは涙をぽろぽろとこぼし、嫌々と頭を振る。あまりの羞恥と屈辱、そして恐怖に耐え切れないから。

「ほれ。言うことを聞け」

 パン、パン、と更に何度も叩いてから古手川はかすみの尻の穴をずぷずぷと指でほじり始めた。指を一本、ニ本といきなり奥まで。既にもう、かすみの尻は赤く腫れ上がって、汗を吹いていた。

「あひいっ!」

「ひひひ。いい尻じゃのう」

 云いつつ指を引き抜き、かすみの尻を更に強く叩き続ける。柔らかな肉が揺れる。

「あひいいいっ! きゃあああっ! や、やめてぇぇぇっ! 痛いいいいいいっ! あああああーーーっ!」

 尻を掘られ叩かれかすみは恥じらいと痛みに絶叫し、たまらずに四つん這いで動き始める。古手川はそれに満足したのか……。

「ふぉふぉ。そうじゃそうじゃ。いい娘じゃ。ほれ!」

 云いながら、かすみの豊かな胸を背後からむんずと掴み、揉みしだく。豊かな乳房が切れそうなくらい捻り上げ、乳首をぎゅううと引っ張る。

 古手川はかすみに足を絡ませながら張り付き、触手がはいずり回るようにかすみを愛撫しつくしていった。舌で首筋を愛撫し、強引に後ろを向かせて唇同士を這わせる。

(ファースト……キス……)

 彼女にとってのそれは不潔で醜悪な老人の、唾液にまみれたキス。だが、悲しみに浸る暇も呆然とする間もなく、かすみは尻を叩かれる。

「きゃあっ! あ、あぁぁぁ……。いやぁぁぁっ! 痛いいいいっ!」

「それにしても、尻もいいがお乳もいいのう。……おお、乳首が立っておるぞ。叩かれて感じておったのか?」

 強く揉みながら、乳首を執拗にいじり回す。ねちっこい責めにかすみはただひたすら涙をこぼし、嫌がる。

「ひいいっ! やっ、やめ……触ら……ないで」

「こりゃ。動きを止めるなと云っておるのに」

「やぁぁ……。やぁぁ……。やめて……。やめて……もうやめてぇぇ……もうやだああ……」

 かすみは体から力が抜けてしまったのか、がくりとうつぶせに倒れ込み、うわごとのように拒否の言葉を繰り返すだけだった。相変わらずかすみの体にまたがっている古手川はそれを見て不満そうになり……。

「仕方ないのう。お仕置きじゃ」

 古手川はスーツの懐から紐のついたフックのようなものを取り出し、かすみの鼻に固定してから引っ張る。

「え……あ……? う、うぐっ! ふぐぅっ! ぐううっ! ふごおおおっ!」

 するとかすみの端正な顔は歪み、涙と鼻汁とよだれでくしゃくしゃになっていく。引っ張られた鼻はまるで豚のようだった。

「ほれほれ。嫌ならちゃんとお馬さんを続けるんじゃよ」

「ふぐうううううっ! あぐっ!いやあああっ! やだあああっ! もうしないでえええっ! あひぃぃぃっ!」

 古手川がフックを容赦なくぐいぐい引っ張ると、かすみは顔を仰け反らせて喘ぐ。羞恥と恐怖、苦痛と悔しさ……かすみの中では様々な負の感情が渦巻いて、やがて諦めと化していき、段々と反応が淡泊になっていく。どんなに尻の穴を指でほじくろうとも、お尻を叩こうとも、大きな胸を揉みしだこうとも立ち上がれなかった。

「仕方のない娘じゃのう」

 さすがの古手川も諦めたのだろうか。かすみの体から離れる。一瞬、かすみの瞳が期待の色に変わる。やっと、僅かな間でも開放される……? 奴隷状態から、少しだけでも。と、そう思ったのだろう。だが……。

「お友達も呼んで、みんなで一緒に楽しもうかの?」

 解放どころか、更に悪い状況になってしまった。古手川はにやりと笑いながら部屋を出て行く。陵辱の宴がまだまだ終わらないということを悟り、かすみは絶望的な気分に叩き落とされていった。

「や、ぁぁぁ……。そん、な……」




かすみは大人しい娘、とよく云われた。





 実際、自他共に認めるくらいそうなのだけども、確かに趣味は読書だった。しょっちゅう学校の図書室に行っては、時間までゆっくりと好きな読書に打ち込んだ。親が大学教授、ということもあるのだろうけれど、何故だか読書が好きだった。それは本人も自覚していたが、楽しいのだから仕方がない。けれど時々時間を忘れてしまい……。

「もう、閉館の時間ですよ?」

「二階堂さん?」

 クラスメイトの帆之香が眼鏡の奥に控えめな笑みを見せながらそう云った。くす、と好意のこもった優しい笑顔だった。彼女もかすみと同じく読書好きで、よく本の話をしたりするような仲だった。かすみも少し恥ずかしそうに会釈して、本を閉じる。いつからだろうか。彼女の学園生活において、こんな光景が何度となく繰り返された。





そんな彼女とは対照的な娘。それが亜衣だった。





ある時の体育祭。





「かすみちゃん頑張って! もう少し!」

「はぁっ! はぁっ……あ!」

 盛り上がるクラス対抗リレーにて、苦しそうに走るかすみと、やる気満々で待ち続ける亜衣。みんなの声援が一点に集中していた。

「お……願いします」

 かすみは運動が苦手だった。インドア派、ということもあるけれど、本来がのんびり屋なのだろう。それに対して亜衣は運動が大の得意だった。褐色に焼けた肌は、しょっちゅう外で体を動かしているからに他ならないわけで。いつもスポーツバッグを持ちながら、どこか部活動の応援に駆けつけるところを目撃されていたりするのだから。

「よぉし。任せてっ!」

 バトンを受け取り、猛ダッシュしていく亜衣と、自分の役目を終え荒く息をつくかすみ。亜衣の次はどことなく似たもの同士の綾乃。互いに少しばかり意識しているのだった。

「さっ。次はボクだよ」





幸せだった日々が頭の中にフラッシュバックする……。





 その帆乃香も綾乃も、既に紳一の慰み者にされていたが。二人にはそんなことを考える暇すら与えられていなかった。

 二人は今。薄暗い部屋の中でレズを強要されていた。長時間に及ぶ陵辱に、二人とも力尽きていたが、男達はそんなことお構いなしだ。

「あうぅ……や、やぁぁ〜。亜衣ちゃんやめてえええ! いやぁぁぁ!」

 友人の舌が恥ずかしい部分を這い、刺激する。かすみは耐えきれずに頭を振る。

「ぐす……。かすみちゃん。ごめんね……ごめんね……」

 亜衣の言葉はかすみには届かない。そして更に、直人は非情な宣言をする。

「亜衣。また、お前の中に入れるぞ」

「い、嫌ぁっ! もう入れないで……あ……うっ!」

 拒否の言葉など、まるで意味がないとわかっていながら、云うしかなかった。

「ふん……っ!」

 直人は亜衣の奥まで一気に挿入して、すぐさま動きを速める。……ぱんぱんという、激しい音が響く。破瓜の痛みは未だに癒えることがなく、亜衣は絶叫する。

「ひあああっ! いやぁぁぁっ! 痛いいいいっ! やだあああ!」

「これこれ。嘗めるのをやめてはいかんぞ」

「あぅぅ!」

「きゃああっ!」

「ま○こだけじゃなく、今度は尻の穴もなめてやれ」

 古手川は離れかけた亜衣の頭をぐいと掴んで、かすみのお尻に顔を埋めさせる。亜衣は必死に抗いながら無力を悟り、渋々かすみの尻の穴に舌を這わせる。そうするしかないのだから。

「や……や、だぁぁぁ。亜衣ちゃんやめてえええっ! きゃあああああっ! そんなのいやだよぉぉぉっ! そんなとこやめてえええええええっ!」

 尻の穴のしわを、ざらついた舌が這う。その度に亜衣もかすみも傷ついて壊れていく。

「う……うう。う、う……いた、いぃ」

「ふぉふぉふぉ。どうじゃ? お友達に尻の穴をなめられるのはどんな気分じゃ?」

 わかっていながらあえて聴き、いじめる。

「やぁぁ〜。いやだぁぁぁ〜。ひいいいいっ! 助けてぇ! 許してぇぇ! もう嫌だぁぁ! こんなのもうやだあああっ!」

 ただひたすらに、この状況から助けを求めるかすみと。

「うぅ……ぅぅ……ぐす……。いた……い」

 自身も激しく犯されながら、同時に友達の恥ずかしいところを刺激させられ、犯させられている亜衣。その事実に亜衣の精神は崩壊寸前まで追い込まれる。だが、更に現実は酷だった……。

「では、わしは口でしてもらうとするかのう。……そりゃ!」

「ぬぁあっ!」

「ちゃんとくわえるのじゃぞ」

「おぶぅっ!」

 古手川は上から跨がるようにしてかすみの口をこじ開け、限界にまでそそり立ったものをずにゅっと一気に奥まで突っ込む。

「おお、おお。やっぱり若い娘はいいのう」

「うぐっ! うっうっうっ! うぅっ! おぐっ! んぶっ!」

 乱暴に頭を掴み、腰を前後して、じゅぷじゅぷとかすみの口内を奥まで犯す。

「おい、嘗めるだけじゃだめだ。指でほじってやれ」

 直人はワンパターンさに飽きたのか、亜衣にかすみのアヌスに指を入れろと命令した。

「うぅぅぅ……。ひどい……ひ、ど……い。こんなの……ひどすぎるよぉぉ……。な、んで。……なんで、こんな……こと……うぅぅぅ」

 涙で顔をくしゃくしゃにしながら頭を振っても、行為を強要される。

「黙れ」

 直人は平然と見下して云った。

「やらないのなら、俺がこの娘に入れるまでだ」

 それを聞いて、せめてまだ……苦痛の無いように、と思ってしまう。

「う、う。ご……めん……ね……ぇ。うっうっ……。かすみ……ちゃん……ごめん、ごめ……んね……ゆる……してぇぇ」

 ずぷずぷと亜衣の指がかすみの中に入っていく。アヌスを指でほじられて、なめられて。入れて行く指の本数も二本、三本と増えて行く。

「はうっ! あ、あがぁぁぁっ! ひがっ! むがっ! おごおっ!」

 絶叫を上げたくても、古手川のものが突っ込まれているのでくぐもってしまった。

 親友の行為によって、かすみは悶絶した。





男に犯されながら、友人を犯すことを強要される亜衣。





同じく男に犯されながら、親友にも犯されるかすみ。





地獄のような時間は続く……。





 数分もしないうちに、ものすごい勢いで亜衣を貫く直人がいた。

「おおおおっ! で、出るぞっ!」

「ひああああっ! もういやあっ! 痛いいいいいっ! だめええええっ!」

 ぱんぱん、くちゅくちゅという音が室内に響き渡り、やがて達した。

「うっ!」

「あっ……うぅぅぅ! あ、あぁぁぁ……。中に……中に……ぃ」

 またも中に出され、熱い感覚に絶望する亜衣。どくどくと、奥の方に入ってくる……。

 そして、少し遅れて……。

「どれ。わしもそろそろいかせてもらおうかのう」

「おぐっ! おうぅ……!」

 かすみの口を犯していた古手川は、頭をがしっと掴み……。

「歯を立てるでないぞ!」

「おぶうううっ! うぐっ! うぐっ! んぐぅぅぅっ!」

 思い切り腰を前後に動かし始めた。ラストスパートと云ったところか。

 かすみの頬を幾筋もの涙がとめどなく溢れ、口からは唾液がたらたらとこぼれ落ちる。

「おっ! おっ! いくぞ! 出すぞ! こぼさず全部飲み干すのじゃぞ!」

「おぐううううっ!」

「うっ!」

 古手川はかすみの口内に思い切り深く突っ込み、射精した。老人のものとは思えない程の勢いで、大量に。

「ふう。夢見心地じゃ……」

「う……う……」

 猛烈な吐き気に襲われながら、全てを飲み干すかすみ。しかし、休む暇などどこにもなかった。

「ふふっ。次はこっちが嘗めてもらおうな」

「え……あ……」

 ぐったりと横たわっていた亜衣を起こし、そして、胡座をかいて、上に腰掛けさせた。

「あ、ああっ! あああああっ! 痛いいいいいっ!」

 自分の体を支える力も、堪える力も残っていない亜衣は、アヌスをいとも簡単に奥まで犯されてしまった。大きく見開かれ、白目を剥き、同じく大きく開かれた口からは涎と泡を少し垂らしていた。

「あ……ぁぁ……あ……」

 そして、背後からぎゅううと乳房を揉みしだかれながら小刻みに揺さぶられる。

「ではわしも。そうじゃのう、また尻を掘ってやろうかの」

「は……はうっ!」

 これが何度目かなどということは、もはやわからない。古手川は、バックの体位でかすみのアヌスを貫いた。そして……。

「今度はお前が嘗め嘗めしてやるんじゃぞ〜」

「うぐううううっ!」

 かすみは射精されたばかりの、亜衣の秘部に顔を埋めさせられていた。

「ひあああああっ! か、すみちゃ……ん。あっ! あっ! やああああっ! むぐううううっ!」

「亜……衣ちゃ……ひぎゃあああああっ!」

 そして、亜衣の秘部に出された精液を舌で嘗めさせられていた。
 




徹底的に犯された彼女達。





笑顔が戻ることは、二度となかった。





 そうしてやっと解放されて、牢に戻されて。亜衣もかすみも体中精液まみれにされて、しゃくり上げていた。二人以外の娘も同じような状態……まだ犯されていない娘もやがては広間から連れ去られて同じ事をされるのだろう。既に時間の問題だ。

「う、う……」

 ずきずきと込み上げる痛みに、うめき声を上げても誰もとがめない。皆が皆、同じようにこらえようと努力して……押さえ切れずに出てきてしまうのだから。

 突如、静かな空間に少女の金切り声が響く。

「う……うあああああっ! きゃあああああっ! もういやっ! 出してぇっ! ここから出してよおおおおっ! もうやだ! もういやだあぁぁっ! 出して出して出してえええっ! 誰か助けてええええっ! 助けて助けて助けてええええっ! 家に帰してえええええっ!」

 突如亜衣は立ち上がり、絶叫しつつ鉄格子を掴んでがしゃがしゃと揺さぶる。鉄格子は微動だにしないが、固くロックされた首輪が引っかかってのけぞり、苦しさに一瞬むせかえる。

 そして今度は首輪を解こうと必死に手を回すが、全ては意味などなかった。

「う、うう! こんな! こんなの! こんなもの……うぅぅっ! 外して! 外してよ……! 外れてよおおおっ! うああああんっ!」

 どんなことをしても、がちゃりと鎖の金属がこすれ合うだけ。あまりにも空しく、悲しい音が響く。

 亜衣の叫びに対して、誰もがあきらめたように目を伏せていた。

「あ、あぁぁぁ〜。う、うちに……帰り……たい。う、うぅぅ。なんで……どうし、て。なん、で……う、ぅ……どうし……て。あ、あたし……なにも、してない、のに……ひどい、ひど……すぎ、る……。うぅ」

 やがて力つき、無力なことを思い知らされ、鉄格子や首輪を外そうとしていた手も離し。

「う、う、うぅ……」

 うずくまってすすり泣くだけだった。





それはいつだったか。暖かい春の日のこと。





中庭のベンチにて、かすみは読書をしていた。





 遠くの方からは、亜衣や彩乃と云った、クラスの中での所謂元気グループがボールを追いかけて遊ぶ声が聞こえる。が、集中しているかすみにはその声は聞こえなかった。

 色とりどりの花が咲き、紋白蝶が楽しそうに飛んでいる。芝生の緑も鮮やかで、まさに新緑の季節。ささやかだけど、至福の一時だった。 うとうとと眠気をもよおしてきそうな、温もりのような心地よい暖かさ。かすみは時折読書を中断しては、それに身を任せてみる。

(暖かい、な……)

 頬を撫でる風も暖かくて優しい。けれど……一気に現実へと引き戻される。

「ふぉふぉ。いっぱい出たのう」

 ぼんやりとした、浅い夢から覚める。そこは牢の中。古手川は暇つぶしとばかりに、意識を失っていたかすみを起こして犯していたのだった。

「あ……」

 かすみは気が付いたら犯されていて、お尻の中に大量に射精させられていたのだった。ごぽ、という音とともにあふれ出てくるくらいに。心なしかお腹もぐるぐると鳴り、奥まで浸透してしまったことを改めて証明して、かすみは涙をこぼした。

 かすみが一瞬感じた、心地よい春の陽気のような温もり。その正体はあまりにも残酷だった。

「出るぞ! くっ!」

「あぐぅっ!」

 隣では直人が亜衣を犯していた。丁度射精して、終わったところ。亜衣は掴んでいた鉄格子を離してしまい、よろめいていく。鉄格子の前でうずくまり泣きじゃくっていたところを、直人に目をつけられて犯されたのだ。

(たす……けて)

 犯し尽くされ、もうろうとする意識の中でかすみは思った。

(もう……やだ)

 同じく亜衣も。





もう、戻れはしない。





彼女たちが春の日差しを浴び





心地よい温もりに身を任せることは





二度と無い。





彼女たちの頬を伝う滴……。





ぽとりとこぼれ落ちた涙が、それを物語っていた。





「あはぁ……。つぎ、は……アンカー……やらせて……よぉ」

 もはや走ることはおろか、歩むことすらできなくなってしまった亜衣は、うわごとのように云った。

(あ……あ……。きょうは……あ、あた……たか、い……です、ね)

 彼女の意識は現実を見据えてはいなかった。春の陽気の中、ベンチで読書をしていたかすみは帆乃香に声をかけられて、笑顔で答えていた。

 男達は未だに二人を犯し続けていた。ず……ず……と、粘膜が擦れ合う音だけが、牢の中に響き続けていく。それは永遠に続くかのように思えた……。

 これはきっと夢だ。全て悪い夢だ。何も起きてはいない。だからいつか目覚めても大丈夫。二人はそう思った。



















-了-