悪夢EX 第三話 -月ヶ瀬はるか・綾崎絵理香-
犯され、汚され、長い陵辱の果てに少女たちの誰もが例外なく絶望の涙を流す頃。男達は決まって云い放つのだった。
「いいんだぜ、ここから逃げ出しても」
と、直人。その気になれば手引きしてやる、とでも云いそうだ。
「自殺しようが勝手だ」
木戸も冷淡に云う。ただし。その代償は高く付くことになる。
「その度に一人、お前達の友人を殺すからな」
「ひっ!」
そんな……と、少女たちの誰もが息を飲む。
低い声の、無機質な一言。殺意の見える脅迫。彼らがはったりで云っているのではないのが明らかだった。レプリカなどではないショットガンと刀。実際に人を殺めているそれが手に握られているのだから。バスジャックの時、それを用いてバスの運転手と引率の教師を惨殺したのだから。
その一言で、少女たちは逃げ場を完全に失った。せめて、せめてそれだけは……と。たとえ自分がどうなっても、どんなに汚されて傷つけられても友人を死なせたくはない。どんなことがあろうとただそれだけは……それだけは越えてはいけない一線だと、誰もが思ってしまうのだった。
こうして少女達は自殺すら許されなくなっていた。壊れてしまえばいいのにと、誰もがそう思う。だが……。
例えばそれは、とある少女。……河原彩乃の視点。
(なんで……こんなこと……するの……)
その疑問に答えてくれる者はいない。一度、意味を問うたら彼らは云った。犯したいから犯す。ただそれだけだ。と。それはあたかも、そこに山があるから登る、とでも云わんばかりに。
ぱん、ぱん、と規則的に肉体がぶつかり合う音が響く。その音はだんだんと速く、彩乃の小柄で華奢な体が折れそうなくらい激しいものへと変わっていく。
「あ……。ふ……」
それは紳一が病で死亡してすぐのこと。誰もが犯されて疲れ果て、床の上に転がっている牢の中にて。古手川が彩乃を立たせて壁に手をつかせ、背後からアヌスに挿入していた。
「よく締まるのう」
執拗な攻めにもしかし、彩乃は無反応だった。虚ろな目を彷徨わせながら、時折ぴくっと震える。彩乃は何故か紳一によって何度と無くアヌスを犯されていたので、今ではもうなじんでしまっていたかのようだった。何の抵抗も無く、奥まで入り込む。
紳一の死後。男達……木戸と古手川が真っ先にしたこと。それは一にも二にもまず、紳一お気に入りの娘達を犯すことだった。自分たちに宛がわれた娘は既に全員犯し尽くしていたのだから。簡単に云えば、飽きていたのである。
執拗な凌辱により、壊れてしまった少女達。それは、紳一が犯した娘達も同じ。あまりにも苛酷な現実に目を背け、全てを諦めてしまった。しかし。
(あ……)
時折、悪夢から目覚めるかのように我に返ることもあった。つまり彼女たちは、完全に壊れることもできなかったのだ。絶望しても、心のどこかにほんのわずかでも希望をもってしまっているのだろう。解放される希望を。いつかこの悪夢から目覚めることを。
(おしり……いや……だ)
彩乃は違和感を感じ、次いでその正体に気づいて嫌悪感をもよおし、言葉に出そうとした。だが、口が機能を失ったかのように声が出なかった。……仮に出たとしても、うわ言のようなものに変わっているだろうが。
「おっおっおっおっ! いくぞ! 中に出すぞ……」
古手川はそんな彩乃の状態などおかまいなしだった。気持ちがいいのか、狂ったように出し入れを続ける古手川。目茶苦茶な動きに、彩乃の体は散々揺さぶられる。
(ボク……おか……されて、る……。あ、あ……はぁ……)
やがて射精され。お尻の中に熱いものを感じてしまう。堪えることもできずに、とろとろとたれてはとめどなく落ちる。ごぽ、とお尻の中で泡立っているような。そんな感じだった。
(や……だ)
力つき、崩れ落ちる彩乃。ボーイッシュで、活発な少女の面影はどこにもなかった。今はただ、弱々しくひくつくだけ。
頬を伝う一筋の涙。それは、完全には壊れられない悲しみ。どんなに諦めたように見えても、心の奥底ではいまだに救いを求めてしまう。誰かが助けに来てくれる。いつかこの凌辱される日々が終わる。そう信じては、裏切られ続けた。もういい、と思う。いっそ殺してくれたら楽になれるのにとすら。
声も出せずに。涙も流せなくなっても。
「あ……」
彩乃の口にぴたぴたと、古手川のモノが当てられる。
(や……パ、パぁ)
力強くも優しい父親の顔を思い出す。もう、どれくらい会えていないのだろうか。そんな父も、助けに来てはくれなかった。兄弟も、好きな人も誰もかも自分のことを忘れてしまっているのだろうか。
彩乃は無意識のうちにくわえ込む。つい先程まで、自分のアヌスを犯していたそれを。ここではそうするのが普通だから。そうしないと自分、もしくは誰かがとてもひどいめにあわされるのだから。自分も、クラスメイトも人質扱いだった。
(しに……たい)
今ではそれすらもままならない。体から力が完全に抜け切っているし、それに何より自分が死んだら誰かが道連れにされる……。故障し、ばちばちとスパークする機械のように、心はどこまでも中途半端に壊れていた。身も心も鎖で繋がれて、ただ悪夢が覚めるのを待つだけだった。
少女達の生き地獄は続く。
もう一つの例。
犯され続ける彩乃を見つめる少女。
……桜乃森文の視点。
「ん、んん」
予定にない行動を取るのは勇気がいることだった。特に、文のような古風な娘にとっては尚更のこと。
文は長い黒髪を片手で押さえ、小さくため息を付く。控えめで穏やかな性格で、口調も丁寧で礼儀正しくて真面目。もちろん成績も優秀。家も茶道の名家桜乃森流であり、彼女自身が未来の家元なのだ。自覚しなければいけない。
まさに大和撫子と云った娘だが、本人はそう呼ばれることをあまり喜んではいなかった。けれども、家が茶道の家元だから、と云うわけではないのかもしれないが、古風な娘という所は自他共に認めている。
そんな彼女は今、夕暮れ時の満員電車に乗っていた。普段は運転手付きの自家用車で送り迎えしてもらっているのだが、今日だけは特別だった。試験期間終了日ということもあり、半日で学校は終了。そのままの足で遊びに行くことになった。……と、云うわけではなく実際に文は断ったのだった。運転手にわざわざ迎えに来てもらっているのだし、家の言い付けをきちんと守る主義だから。どうしてこうなってしまったかと云うと、今回は遊び好きな友達数人によって半ば無理やり連れ出されてしまったのだった。『たまにはいいじゃん』と、そんなノリで。
(もう)
正直なところ、遊びは楽しかった。が……後でちゃんと運転手の方に謝っておこう、と心に決めていた。初老の穏やかな性格をした男性運転手が『お嬢様!』と情け無さそうに叫ぶ中、友達数人は『文ちゃんお借りしま〜す』とか『ちょっとみんなで遊んできま〜す』とか、元気にちゃっかり文の腕を握って有無を云わせずに走っていってしまったのだった。文はただおろおろと困り果てるだけだった。
そんなこんなで夕暮れ時になっていた。箱入り中の箱入り娘故に、満員電車に乗ることなど滅多にない文にとって、ぎゅうぎゅうの寿司詰め状態にされるのは不快なものだったがやむを得なかった。
(んっ!)
電車がカーブに差しかかるたびに前へ後ろへと揺れる。……と、そんな時。お尻に手が当たる感触を感じた。
(え……? ち、痴漢……という方ですか?)
たまたまだろう、と一瞬思った。が……それは何度も文のお尻をまさぐってきた。スカートの上から指で触れ、割れ目を見つけて侵入し、なぞる。
(嫌っ!)
声を出すべきだったし抵抗もするべきだった。が……突然のことに驚き、ショックを受けて氷のように固まってしまった。
(やめて……ください……)
もぞもぞと男の手がうごめく。後ろを振り向くことすらできず、また文は小柄な為、人込みに埋まってしまい誰も気づいてはくれなかった。
(あ……やっ! そこは嫌ですっ!)
男は今度は文の胸をまさぐってきた。ふっくらとしていて大きな胸は、服の上からでも膨らみがわかるから。痴漢の標的となってしまったのだった。ふさ、ふさ、とゆっくりまんべんなく揉み回され、文は目を伏せ、口をきつく締めて耐える。
(やっ……あ、あ、あ……。やめて……ください……)
文が抵抗しないのをいいことに、痴漢は調子に乗って来た。何度も何度も胸を揉み回し、お尻をなで回し……今度は上着の中に手を入れ、ブラジャーもかき分けて、直に胸を触った。乳首の膨らみも男に分かってしまったことだろう。
(あっ……っ!)
違和感とも云うべき体にびりっと電流が走ったような感覚。その時、電車は駅に着き、大勢の人が降りにかかる。文もそれを見て決断し、強引に痴漢の手を振り切って流れに身を任せた。
(ん、んんっ!)
痴漢は諦めたようだ。電車が轟音を立てて走り去って行く。
(わ……たくしは……何て)
ふしだらな娘なのだろう、と思った。
その日。文は誰とも話をしたくなくなっていた。自己嫌悪にさいなまれていたから。幸いなことに、今回の件は運転手が両親に上手く説明してくれたようなので、お咎めは一切なしだった。文はただ深々と頭をさげ、申し訳ないと謝り、逆に運転手に恐縮されてしまったのだった。
自分の過失ではないけれど、思い込んでしまった。結婚まで操を守るという誓いを、危うく破ってしまいそうだったから。それはきっと自分に隙があったからだ。と。
そして、最後に胸を直に触られた時の違和感。あの直後のことだろう。文はほんの少しだけ……下着に染みを作ってしまった。そのことが許せなかった。意中ではない暴漢のような輩に襲われても、そうなのか……と。
そんな文も今は変わり果てていた。凌辱の宴に巻き込まれていたのだから。その凄惨さは痴漢などとは比較にならない。
「おお。締まる。締まるぞっ!」
「あ、あ……」
古手川が綾乃を犯している横にて。木戸によって、大股を開いて何度も何度も男のものを挿入させられていた。
(中に……あ、あ……出て、る……)
泣きたくても喚きたくても、もうそんな力は残っていなかった。
(も……う……おしまい、です……)
またも下腹部に熱いものを放出され、文は呆然としながら床に転がされた。妊娠してしまうと思ったが、その心配は無さそうだ。その前に自分は絶命してしまうだろうから。男達の少女達に対する扱いを見ているとそう思えるのだ。このまま気の済むまで犯し尽くしたら、少女達を置いて去っていくのだろう。文は思う。私達は使い捨てなのだ、と。
(おとう、様……おかあ……さ……ま)
思い浮かぶのは両親の顔。しかし、起こり得ないことだが、仮に家に無事帰れたとしても……。
(許して……ください……)
汚されきった自分は、申し訳なくてもはや誰にも顔向けできないだろう。そう思うのだった。合わす顔などない。
「今度はこっちでいくぞ」
「ん……っ」
そうこうしている間に今度は木戸のものがお尻の方へと入ってくるのがわかったが、もはやされるがまま。犯される意識は消えない。どんなに壊れても、心の底には意識が残っている。
誰も彼も
簡単には壊れられなかった。
時はまた巻き戻る。まるで、延々と同じ事を繰り返しているかのように。広間に集められた少女達は、一人また一人と男達に連れ去られていき、二度と戻ってくる事はなかった。
いつものように男達が広間に現れて怒鳴るように声をかけると、かけられた少女は例外なく驚き、ビクッと震えて後ずさる。底知れぬ恐怖を感じ、スカートがめくれて下着が見えようが、惨めに足がすくんでしまおうが、恥も外聞もなかった。
(私の……番……)
いつかこんな時が来るのだろうとわかっていても、どうしようもなかった。遂に、その時が来てしまった。不治の病にかかり、余命数ヶ月と死の宣告でもされたかのように青ざめ、硬直して。そして……。
「い……いやぁっ!」
拒絶の声を上げ、無駄だとわかっていつつも抵抗する。誰もが同じ。けれど、男達は構うことなく少女の細い腕を取り、圧倒的な力で引きずるかのように連れ去っていく。
残された者は自分の番ではないと安堵し、同時に友人の不幸を思い浮かべては自己嫌悪に苛まれる。ほんの僅か。ただ一時であっても、犯される事の無い平穏な時が続く。そんなささやかな願いですらも、思うことは罪とされた。
……男達のアジト。監禁され続けている少女達にとっては牢獄そのものと云った館。そこは廃校になった小さな小学校を外見を損なわずに密かに改築・改造し、紳一が望む全てを満たすために作られた所。
完全防音だから連れ去られた少女が何をされているか、広間には絶対に聞こえてこない。だがそれでも、残された少女達には何かが聞こえてくるのだった。今、自分の側にいた少女が連れ去られた先で何をされているか。僅か数分後のことを思い浮かべる。答えは一つしかない。それは……考えるだけでも恐ろしいし、考えたくないのに頭の中に浮かんでくる。絶望に満ちた叫びが。
「ああああああっ!! いやいやいやあっ! やめてぇーーーーっ!」
男達は狩りを楽しんでいた。ベッドだけが置いてある、少し広めの部屋に連れ込んでドアの内側から鍵をかけて密室にし。そしておもむろに服を脱ぎ、全裸になった。呆然とした少女が見つめる先は一点。既に限界にまでそそり立った、男のモノ。
『自分は、これから、あれによって、貫かれる』
本能が危機を悟っていた。言葉遊びのように曖昧だったキーワードは固まっていき。そして……。
(犯……される……)
男の一人。直人はあざけるかのようににやりとして云った。
「どうした絵理香。逃げんのか?」
今回の獲物の名は綾崎絵理香。極度の緊張によって足はガクガクと震え、寒くも無いのに歯をカチカチと鳴らせている。
「それじゃ、始めるぞ」
直人の一言が引き金になった。何を、とは聞くまでもない。
「や、や……っ。いっ……! いやああああああっ!」
絵里香は逃げた。だめでも何でもとにかく逃げなければ犯される。汚されて、そして壊される。そうに決まっている。そうに違いない。連れて行かれたクラスメイト達はみんなそうなってしまったのだろう。けれど……それでも自分だけは犯されたくない。怖い。その一心でドアに駆け寄り、ドアノブをがちゃがちゃと左右にひねる。直人は追いかけるでもなく、ゆっくりと歩みを始める。スローモーション映像のように、可笑しそうに、追い込むように。
「やあっ! やあああっ! 開いてっ! 開いてよぉっ! いやっいやっいやっ! やだぁっ!」
ドアノブは非力な少女の力ではびくともしなかった。最も、力のある男であっても同じ事だろう。ドア自体に蹴りを入れようと体当たりしようと、特注の扉が開くことはない。
「やだっ! やだやだやだっ! ひいいいっ! ひぃっ! あ、開いてええええっ! あぅぅぅっ!」
直人は尚もゆっくりと近付いて来る。絵理香は恐怖と焦りで半ば半狂乱になりながらもドアのノブを開こうと必死だった。けれど、絶対に不可能だという事を嫌と云う程思い知らされ。今度はドアをドンドンと叩き始める。華奢な手が痛むのも気にせずに。
「ああああああっ! 助けてぇっ! 開けてぇぇっ! 出してえええええっ! あああっ! ああっ! ああああっ! 来ないでえええっ!」
そして遂に直人は絵理香の背中まで近付いて、肩に手をかけた。
「っ! 嫌あっ! さ、さわ……らないで……っ! あっ!?」
反射的に手を払って逃げようとするが、気が動転して転げてしまう。そんな彼女に直人は優しい笑顔を見せて手をさしのべる。
「大丈夫かい。お嬢さん」
それがもしこの様な場ではなかったら。例えば登校中の一コマだったりしたら、古典的な恋愛ドラマの一シーンに見間違えていただろう。絵理香は戸惑った。自分の貞操を奪おうとしている男であるのに関わらず、つい手を取ってもらって起こし上げてもらいたくなってしまうような、そんな錯覚さえ覚えた。彼の笑顔はそれだけ優しく見えた。
違う。彼は嘘をついている。甘い笑顔は全てまやかしだ。仮面を取った素顔は悪魔そのものだ。だから絵理香はゆっくりと後ずさるのみだった。
その動きを見た次の瞬間。男は豹変し、牙をむいた。
「あぁっ!?」
突如手を握られて引っ張られて起こされて抱きしめられて。そしてそのままキスをされた。唇を奪うかのように……。
「んんっ! んんんんっ! んーーーーっ!」
大きく見開かれる絵理香の目。すぐに悟る。誰にも触れさせたことの無い所を奪われた。
「んぅっ! けほっ! うっ……」
突如こみ上げてくる涙と、抗議の感情。
「ひ、どい……」
好きな人がいる。絵理香くらいの年頃ならごく当たり前の事。クラスメイトの仲良し友達の間で、恋愛話で盛り上がったりするけれど。誰もが皆素敵な恋をして、好きな人とのキスを思い浮かべるだけで頬が熱くなる。
「ファーストキス……なのに」
「そりゃ悪かったな」
直人は云いながら、絵理香の制服に手をかけてきた。そして上着の前をバリッと引き裂いた。あまりにも何気無く、素早い動作だった。
「あ……。ひっ!!」
キスを奪われたショックが治まる間もなく、次のショックが訪れた。ボタンが飛び散り、可愛らしいリボンの付いたブラジャーに包まれた膨らみが露わになる。絵理香はとっさに両腕を組むようにして胸を隠す。直人は構わずに、今度はブラジャーを剥ぎ取ろうとしてワイヤーに手をかける。
「やあああああああっ! いやあああああっ! やあああああっ!」
直人が絵理香のブラジャーを強引に剥ぎ取ろうとすればするほど、絵理香は身を固めるようにうずくまり、縮こまる。直人が手を離してもそれは同じ。だが。突如直人は体をひねり、絵理香のスカートの中に手を入れてきた。
「えっ!? ……あっ!?」
両腕でショーツの細いサイド部分を掴み、ぶつっと云う音を一瞬立てて引きちぎった。
「き……きゃああああーーーーーーーっ!」
「フフ。フハハ。隙ありだぞ」
機能を成さない布切れと化したショーツを放り投げ、直人は高笑いした。
胸に気をとられているのが仇になった。絵理香の注意が今度はむき出しになった下半身に変わるのを見て、直人は絵理香の上にのしかかった。そして再度絵理香のブラジャーに手をかけて、一気にたくし上げて露わになった両胸を揉みし抱いた。
「ああっ!? ああああっ! いやぁっ! 痛いいいいいっ! さっ……触らないでええええっ!」
揉むと云うよりつねる感じに強く、形が変わるほどこねられて、絵理香は涙をこぼしながら喚いた。
「ほらほらどうした? もっと抵抗しろよ。そうしないと全部脱がされちまうぞぉ?」
「やぁぁぁ……やぁぁぁ……。や、ぁぁぁ……。やめてぇぇぇ……あぅぅ……」
うわごとのように呟きながら、胸を隠そうと手を動かす。硬い皮のように被さった直人の手をほどけるはずもなく、重ねるだけの手だったが。意外なことに直人は絵理香の胸をいじめる手を離した。
「そっちが嫌ならこっちだ」
「あぅっ! い、やぁあああああ……。そこ、だめ……ぇ。はぐっ!」
ずぷりとお尻の穴に人差し指の第一関節を埋め込まれた。考えられないようなところを触られて、絵理香は呆然としてしまった。直人は絵理香のスカートを邪魔とばかりに捲り上げ、むき出しになった下半身に手を出してきたのだ。
胸を守ろうとすれば下半身を攻められ、下半身を守ろうとすれば胸を揉みし抱かれた。絵理香にとって八方塞がりの状況が続く。
「まずは上着。そらっ!」
「ああぁっ!」
混乱と焦燥、羞恥と屈辱。さまざまな負の感情が支配し、体から力が抜けてしまった絵理香。制服の上着がいとも易々と脱がされて、放り投げられる。
「どうした。少しは抵抗しろよ。素っ裸にされちまうぞ?」
直人は云いつつ、今度はチェック柄のスカートをするすると脱がす。ホックの位置も把握済みなのか、恐ろしいほど手際が良い。もはや絵理香はぐったりとして、一切抵抗できなくなってしまった。
脱がされ、放り投げられるスカート。その下にはむき出しになったお尻と秘所……下半身があった。直人はわざとと服を一枚一枚剥ぎ取っているのだ。絵理香の嗜虐心を煽るために。
「今度は靴と、ソックスもついでだ」
「やめてぇぇ……。う、うぅ……見ない……で」
右、左と脱がされる。後に残されたのは……制服のリボンと、くしゃくしゃに乱れたブラジャーのみだった。そんなもの、城壁代わりになるわけがなかった。ぶちぶちと繊維がきしむ音を立てて、あっという間にワイヤーを引きちぎられて、くっついていた左右のカップ部も完全に分離してしまい、布のゴミと化した。そして最後にリボンを引きちぎられる。
しかし。殆ど全裸にされた絵理香に対し、直人は意外な言葉を吐いた。
『解放してやるぞ』と。
「え……」
もし今から五分以内に、室内に放り投げられた服を拾い集め、全部着直せたら。という条件付きだった。
「本……当に?」
「ああ。信じろよ」
解放。あまりにも甘美な言葉。家に、帰してくれる。部屋の四方に散乱した制服。……絵理香はたとえ可能性が小数点以下の極めて小さなものであっても、行動にでようとした。だが、体は麻痺したように動かなかった。完全に足がすくんでしまっているのだった。
「う……」
それでも尺取り虫のようにのたうち回りながら回収しようと試み……やっと、ショーツを掴む。だが。破られたそれは下着の意味を成してはいなかった。
「う、うぅ……」
その意味を知り、悲しみにしゃくり上げながらショーツを諦め、何とか上着の落ちている場所まで這いずっていき……手に取る。だが、今の絵理香には制服の上着を羽織るですら難事業だった。
上着に右腕を入れようとして、肘辺りまで達した所で腕がもつれてしまい、不可能なことを悟る。結局上着を引きずったままスカートの落ちている方向へと向かった。ちょうど部屋の正反対。わずか数メートルの距離がとても遠く感じた。
「あぅ……あぅぅ……や、ぁ。こんな……」
ずりずりと這いずる度に、冷たい木の床と肌が擦れて体温を奪っていく。
「ほら、頑張れ。もう少しだぞ」
残り時間はまだある。そう思いつつ這っていくも。突然何らかの力が加わり下半身がふわっと浮かび上がる。絵理香は無意識のうちに両腕を床に付く。補助役付きの逆立ちをしたような状態になった。直人は絵理香を逆立ち状態にさせて、露わになった秘所にしゃぶりつくように愛撫を始めたのだ。
「ひぃっ!? いぃぃっ! いやーーーーーーーーっ!」
じゅるじゅる、じゅぷじゅぷ、とわざと音を立てて直人はしゃぶりつく。絵理香はただひたすら絶叫した。僅かな希望に向けて必死に頑張っていたのに、突然何の前触れもなく契約を打ち切られた。と、云うよりも最初からそういうつもりだったのだろう。そうに決まっているのに自分は信じてしまい、無様な姿を晒した。何て愚かだと思うけれど、他に何もできなかった。この状況で他に何ができたと云うのだろうか。
「フフ。フハハハ。帰すわけないだろう? これからお前はたっぷりと犯されるんだよ」
直人は高笑いしながら絵理香をいじめる。じゅぷじゅぷと舌を入れ、指でアヌスの中を突く。
「ひいぃぃぃっ! ひどいぃぃぃぃっ! うああああああんっ!」
それからのことは簡単だった。
全裸にさせられ、恐怖と緊張に尿意をもよおし
そんな状態で処女を奪われた。
痛みと恥辱に耐え切れず、犯されながら失禁してしまった。
絵理香の家は超が付くほど有名な美容室。公式に銘打ってはいないが、芸能人ご用達なのだった。けれど、決して堅苦しいところではなく、絵理香の両親による軽快なおしゃべりで、とても楽しいと評判のところだった。
「せりかちゃん。こんにちは」
「あら絵理香。お邪魔してるわよ」
男の人が苦手と云うせりかにはいつも絵理香の母が付いていた。聖エクセレント女学院の娘達も時折やってくる。そして、髪形についてのお話で盛り上がるのだった。絵理香自身も長く美しい髪をしているからなおさら。
「それにしても。相変わらずすごいロールだよねぇ。せりかちゃん」
せりかの巻かれた髪を見て感心する。せりかは軽く微笑む。
「ふふ。絵理香のお父様とお母様くらいよ。こんな無茶な注文に応じてくれるのは」
楽しげな夢想はあっという間に打ち破られる。
「ふご……。ん、んぐ……」
直人は絵理香の前に仁王立ちになり、口の中にモノを突っ込んでいた。じゅぷ、じゅぷ、と音を立てながら。既に何度か射精したのか、絵理香の口元は白く汚されていた。
「そういえば。お前の家は美容室だったな」
直人は思い出したように云い、そして……。
「漏らした罰だ」
「んん……。え?」
絵理香の口から引き抜き、長い髪目がけて射精した。大量の精液がびしゃ、びしゃ、とかかり。そして。
「やぁぁぁ! やめ……やめてぇぇぇ! 汚さないでええええっ!」
絵理香の長い髪を掴んで、いまだ勢いを失っていないモノに巻き付けてしごきはじめたのだった。美しい者が更に美しくなる様を見て育った娘だから、醜いものには人一倍嫌悪感を感じるだろう。と、紳一に考えを聞いたことがあるが、やはりそのようだった。
大切な物を汚されていき、絵理香はいやいやとかぶりを振るのだった。あまりの恥辱に、絵理香はまたちょろろ、と音を立ててわずかに失禁し、自分で作った小さな水たまりの上に崩れ落ちていた。それを見て直人はあることを思い出す。
「そういえば。浣腸やられてた娘がいたな」
直人の足下には、直人の刀でずたずたに切り裂かれた制服が転がっていた。元は上着とスカートだったものが。
そして、新たな凌辱がはじまる。
部屋の中では二人の娘が泣きじゃくっていた。二人とも全裸にさせられて処女を奪われている。同じ男、直人によって。
「嫌っ! いやああっ! いやああああああっ!」
膝をついた状態で、少し腰を浮かしながら座らされている娘は絵里香。
「フフ。何が嫌だ。初めての時、盛大に漏らした娘が」
サディスティックな表情で行為を強要する男は直人。思い出したくない過去だけど、紛れも無い事実。
「ううううっ! やだあああああっ! 云わないでえええっ!」
そしてもう一人。絵里香の下に跨がるようにして、仰向けに寝かされている少女ははるかだった。直人は絵理香一人犯すのに物足りなさを感じ、牢の中から連れ出してきたのだ。
「ぐ、う、うううぅ」
はるかは友人の恥ずかしいところに口を押し付けられて、もがいている。これから始まること。それは……。
「さあ! 飲ましてやれ。お前の小便を」
「ひいいいいいっ! そんなのやだあああああっ! やめてええええっ!」
あまりにもひどい行為を強要されて、絵理香は絶叫する。
「やれと云ってるんだっ! ほら、出せ!」
「ひぎゃあっ!」
直人は絵里香の乳首をぎりっとひねった。あまりの痛みに顔をしかめる。きっと云う通りにしないと、そのまま同じことを続けられるのだろう。終わることなどない。それに拒否などしたら……今度ははるかがどんな目に遭わされるのか。
「だ……め……ぇぇ……。うぅぅ、ぅ、ぅ」
その瞬間、完全に堪え切れなくなった絵里香の股間から、ちょろちょろと出てきてしまう。やがて……。
「う……う……。はるかちゃん……ごめ、ん……。もお……だ、め……。許して……」
「いやあああああっ! や、いやだあああああっ! 絵里香ちゃんやめてええええっ! う、あ……ごほっごほっ! げほっ!」
絵里香はゆっくりと放尿を続ける。せめてもの救いを求めて。しかし……。
「もっと一気に出せ!」
「……ぎゃあっ!」
髪を引っ張られ、乳首を握り潰される。手加減など許されなかった。放尿の勢いは強まっていく。
「フフ。ハハ。ハハハハッ! こぼさず飲めよ!」
「う、うぐうううううっ! うがっ! うげええええっ!」
むせ返りながらも、絵里香の小便を従順に飲み干すはるか。そうしないと、他の誰かが同じ目にあわされるから。
「うっうっ……。ごめんね……ごめんね……ひっく……」
あまりにもひどい現実に、目を逸らして泣きじゃくるだけの絵里香。
「う、う、うううううっ!」
こく、こくと喉が鳴り、はるかが飲んでいるのがわかる。そして、飲み切れずに、はるかの顔をびしょびしょに汚していく。
「ハハッ! いい姿だ!後でみんなに見せてやろうなあっ!」
「きゃあああああっ!」
「いやあああああっ!」
それを聞いて絵理香もはるかも絶叫する。その光景を、ビデオカメラが記録していく。あまりにも無残な光景を。
それだけでは終わらない。
「う、うぅぅぅ……い、いやぁぁ」
「や、だぁぁ。こんな……恥ずかしい……」
校舎の外。薄暗く、奥深い森の中。
絵理香とはるかは全裸のまま連れ出され、木に手を着かされていた。二人とも、ここに連れてこられる直前に、あることをされていた。
「うぅぅぅ!」
「気持ち悪いよぉぉ!」
それぞれ共に数分前にアヌスを犯され、中に大量に出されていたのだった。白い液体が少女達のアヌスからこぼれ、たれている。そして今。逃げられないように、はるかも絵理香も鎖の付いた首輪で繋がれていた。一人が逃げ出そうとすれば、互いに巻き添えを食うと云う趣向だ。
そうして、お尻を突き出す格好にさせられて。
「ふぉふぉ。ではいくぞい」
「ひっ!」
「そ、それは……! ま……さか、また……!」
古手川が持ち出したものを見て、はるかがビクッと体を震わせる。以前同じことをやられて、死にたくなるほど恥ずかくて悔しい思いをして。それをまた今日やらされるのか。と、云う恐怖。
それでも、男たちに逆らうことは既にできなくなっていた。古手川は、大きな注射器のようなものをはるかに宛てがう。それに習い直人も、絵理香に同じことをし始める。
「あああああああっ!」
「いやーーーーーっ!」
二人とも大きく目を見開いて絶叫。ぶすりとお尻の穴に先端が突き刺され、そのままちゅううと音を立て、一気に冷たい水が入ってきた。あっと言う間にそれらは全て入り込む。
「はうっ……ううううう!」
「やっやあああああっ!」
目をきつく閉じ、出ないように必死に下腹部に力を入れて耐える。先に出したら何かひどいことをされる、と云うようなことを男たちは云っていたから。お腹をぐるるる、と鳴らしながらも唇を噛み締める。
「ほう」
「頑張るのう」
感心する直人と古手川。二人はこの状態を予測していたのか。
「追加じゃ」
「一気にいくぞ」
「やっ! やああああっ!」
「ま、またっ……!?」
はるかが絶叫を上げる。絵理香もそれに続く。
二度目のものをそれぞれにぶすりと突き立てられ、一気に入れられる。お腹が膨れ上がっていくのがわかる。猛烈な圧迫感に、呼吸さえ難しくなる。
「あ……きゃあああああっ! 痛いいいいっ!」
「う、っぐううううっ! やめてぇぇぇっ! 出ちゃううぅぅっ!」
もはや一瞬でも気を抜けば決壊する。しかし……。
「や、やだぁっ!?」
「ひっ!」
男たちはこともあろうに、二人の胸や秘所を愛撫し始めた。堅くしぼんだお尻にも手を回してさする。それでも我慢を続ける二人を見て、男たちはお尻を平手で叩き始めた。ぱしぃぃん、と乾いた音が森の中に響いていく。
「あ、ああああっ! きゃあああっ!」
「も、もお……だめぇぇ」
お尻が赤くなるほど叩かれて、我慢も限界に達していた。そして更に。
「そーら。出すのじゃよ」
「楽になっちまえよ」
直人と古手川はあろうことか絵理香とはるかの秘所に指を突っ込んだ。こんな時にそんなことされたからたまらない。
「あひぃっ!!」
「いやだぁっ!!」
ぶしゅ、と音をたて……二人は同時に決壊した。
「あーーーーーーーっ!」
「やああああああああっ!」
お尻からものすごい勢いで吹き出ていくのがわかる。男達が高笑いをしているのが段々小さく聞こえて、やがて意識が飛ぶ。
十数分後。男たちはぐったりと倒れた二人を放置し、今度は他の娘を連れ出し、同じことをしていた。絶叫が絶え間無く響く。
……
気が付いたら二人とも室内に戻され、未だにアヌスを犯されていた。しかし、苦痛は感じない。
「あ、あぅ……」
「あ、あ」
それどころか、奥まで入れられる度に快感を感じていた。違和感は恐怖に変わる。何が起こったのだろう、と。
「気持ちいいだろう? 媚薬打ったからな」
「ふぉふぉ。お前さんたちはもう、お尻の穴で感じている変態じゃよ」
「そんなっ! い、いやぁぁぁ。もう、やめてぇぇ。これ以上……しないでぇぇっ」
はるかは未だ自我が残っているのか絶叫。けれど、体は動いてしまう。
「ヘン……タイ……」
対して絵理香はもう、絶叫すら上げられなくなっていた。意識に反して腰を振り続ける自分の姿に愕然としていた。
「く。出る!」
「あ……」
直人が絵理香のアヌスに射精した。すぐさま抜き去り……。
「んぶぅっ!」
そのまま四つん這いにされているはるかの口に突っ込んだ。
「ふぉふぉ。きれいにするんじゃぞ」
「おごぉっ! んんんぅっ!」
それからしばらくして
「あぁぁ。お尻が……お尻があぁぁ……熱いいぃぃ」
長時間にわたる陵辱が終わり、やっと牢の中に戻され、一時の事とはいえ平穏が訪れた。
にもかかわらずはるかは自分でお尻の穴に指を入れ、大きな胸を揉みし抱いて喘ぎ声をあげていた。媚薬の効果は相当強力で、未だに続いている。そして更に追加で打たれたのだ。廃人になってしまいそうなくらい、体の火照りが取れずにいた。
「あ、あ、あん……。気持ちいいよぉ……」
クラスメイト達がいるのに、我慢できなかった。びしょびしょに濡れた秘所は誤魔化しようがなかった。けれど、誰も咎めたり止めたりはしない。皆、同じような状態にさせられていたのだから。他の娘達も時折この様な状態になってしまうのだから。
「あ、あぁぁぁ……あ、あ、あ……んっ」
はるかは達し、ぷしゅ、と音を立てて僅かに失禁。その足下に横たわる絵理香にかかる。絵理香はゆったりと舌を出し、床にできた水たまりを猫が水を飲むようにぴちゃぴちゃと舌で舐め始めた。
「う、う……」
と、そんな時。牢の外に男の人影が見えた。直人と古手川、木戸である。
「し……してぇぇぇ。犯してえぇぇぇ……」
狂気のような笑みを浮かべて鉄格子を掴み、長い髪を振り乱しながら懇願した。
「ふぉふぉ。とうとう壊れおったか」
「どこに入れて欲しいんだい?」
「う、うぅ……。ここぉ」
はるかは四つん這いになってお尻を差し出す。白い液体がとろりとたれて落ちた。
「じゃあ、今度は俺がやってやる」
これまで彼女とする出番がなかったということで。木戸がズボンのチャックを下ろし、鉄格子ごしにはるかのアヌスに挿入した。
「あうっ! あっあっあっあっ!」
鉄格子がガシャガシャと、首輪についた鎖がジャラジャラと音を立てる。淫らな姿にさせられたはるかはやがて……媚薬の効果が切れる頃。
「いやああああああっ!」
はるかは自分の痴態と状況に気付いて絶叫する。散々淫らに自慰をした挙げ句、男達を求めてしまうなんて、と。滝のように流れ落ちる涙が、足下の絵理香の頬を濡らした。
絵理香は何も云えなかった。
-了-