悪夢EX 第五話 -志紀 さくら・小倉舞-





 全裸の男女が体を重ね、交じり合う。動物的な風景。

「あっ。うっ。ふっ」

 今日も牢の中には少女達の喘ぎ声が響き続ける。そこにはとても狭く、暗く、肌寒く、苦痛に満ちた世界が存在していた。

 犯され、汚され、その度に疲弊し自分自身を見失っていく少女達と、何もかもを奪い去り、蹂躙することに快感を見出す男達。今ではすっかり支配構造ができあがっていた。少女達は男達に絶対に逆らえない。男達は気紛れで少女達を選り好みし、犯す。少女達はその都度私達は奴隷なのだ、と、意識してしまう。

「ほら。舐めろ」

「お前達の大好きなおしゃぶりじゃぞ」

「う、う」

 力尽き、寝そべる少女を半ば無理矢理起こし、口内にものを突っ込む。

「きちんとくわえるんだ」

「歯を立てたらお仕置きだからの」

「う、ぐっ」

 見ず知らずの、好きでもない……最低最悪の男のものをくわえさせられる。気持ちの悪い陰毛と玉が頬や顎に当たり、汚す。それらはだんだんと涎と精液を絡ませ合い、ぐしょぐしょになっていく。あまりの屈辱に、少女たちは目を閉じる。

(悔……しい)

 男達は少女達の性格、容姿、趣味まで全てを調査済みだった。だからか、強気な少女はあえて奴隷のように乱暴に扱われた。礼菜も、紫音も、せりかも、美紗紀も。

「う、う」

「そうだ。いいぞ」

 今まさに少女を犯している木戸は、これ見よがしに自分の足の指を舐めさせる。服従の証。拒否したい。でも、しなければ更に痛い目に遭わされる。自分自身も、友人達も。だから誰もが柔順になっていた。

 大人しい少女も同じ。床の上に、友人達が犯された挙げ句に失禁し作り出してしまった雫を犬のように舐めさせられた。

(もういや……ぁぁ……やだぁぁ)

 涙は枯れることなく流れ落ちる。誰の目にも同じ。そんな硬直化した地獄に、一人の少女が連れて来られた。誰もが見知った少女が。

「嘘」

「そんな」

 牢の前に連れ込まれた少女を見て、誰もが息を飲む。それはここにいてはいけない人。修学旅行に参加せず、ただ一人だけ難を逃れたクラスメイト。盲目の少女、愛――。

「み、んな? あ、あ……」

 愛は自分の居場所も意味もわからぬまま、床の上に組み伏せられ犯された。……そしてそれは時間がたってからも同じだった。全裸にさせられ、首輪をつけられ、そして四つん這いにさせられていた。

 愛は連れて来られた直後に広間で犯されたのだ。

 まだ犯されていない娘達が残っている広間。その目の前で、紳一は愛を古手川に与えたのだ。そして、古手川が愛の処女を奪い去ろうとするまさに寸前のところで、横取りをして犯した。その後尚も愛に執着する古手川に懇願され、紳一は興味が無さそうに云った。後は好きにしろと。処女を奪い尽くした後はどうでもよさ気だった。

 誘拐され、犯され、呆然として横たわる愛を見下ろし、涎を垂らして興奮する古手川。

「ふひひひ。これからたっぷり可愛がってやるからのう」

「あ、あぁ、あぁ。んんんぅっ!」

 古手川の顔が目前に迫り、唇を奪われた。愛のファーストキスだった。醜悪な老人に、あっさりと。

 絶望感にうちひしがれる愛を、古手川は構わず牢に入れる間も惜しいくらいの勢いで引きずっていく。そして牢の前にて、古手川は飢えた狼のように飛びかかり、早速犯した。ゆっくりと、一晩中。達するわけでもなく、止まるわけでもない。ただ少女の体を吟味するように、味わうかのようにゆっくりと中をかき混ぜる。愛は抵抗すらできず、ただ空洞と化した目から涙をこぼすだけ。

「あぁ……あぁぁ……あ、あ」

 愛は喘いだ。そして方々から声が上がる。

「やめてぇぇ!」

「ひどいいぃぃっ!」

 牢の中のクラスメイト達も愛に気付いていたのだから。

 そこにいてはいけない人がいる。そして、すぐ側にいるのに何もできない。それでもたまらずに牢の中の少女達は口々に叫ぶ。誰もが全裸にさせられ、秘所は痛々しいくらいに晴れ上がっていた。未だに消えぬ破瓜の痛みと、ぬぐい取れぬ精液の跡を残している。そして……愛も同じになってしまった。どうして、と誰もがこらえきれない思いを巡らせる。

「何で! 何で愛ちゃんがここにいるのよぉぉっ! 何でよぉっ! どうしてぇっ!? どうしてなのよぉっ!」

「ひ、ひどいっ! ひどいよぉっ! ひどすぎるよぉぉっ! 離してぇっ! やめてええっ!」

「も、もうやめてえええええっ! こんなの嫌あああああっ!」

「う、うあああああっ! もうやだあああっ! 助けてぇぇっ! ここから出してえぇぇっ!」

 誰もが泣きじゃくり、鉄格子を掴み、うなだれる。少女達の悲鳴が響けば響く程、古手川は嬉しそうだ。愛の体をひっくり返しては折り曲げ、羞恥極まる格好にしてから犯す。

「ふぉっふぉっふぉ。お友達に会わせてやろうと思ってのう。くぅ、締まる」

「あぅ……」

 興奮したのか、愛のポニーテールを引っ張る。リボンが緩んで解け、長い髪がはらりと舞う。愛は頭を仰け反らせて喘ぐ。古手川はそれを見て嬉しそうに笑い、愛のうなじをじゅるりとなめ回した。愛の体がびくんと震える。

「そりゃ! そりゃ! そりゃっ! ええのう、ええのう!」

「あぐぅっ!」

 それを皮切りに古手川の攻めは激しさを増した。ぱんぱんと音を立ててはお尻に打ち付け、やがて射精する。

「ほりゃっ!」

「ひぃっ!」

 そのまま間髪入れず、あらゆる体位で犯し尽くす。

「くぅ。締まる」

「あひぃぃぃっ!」

 前も、後ろも、口も。愛は一晩中相手をさせられた。





側にいるのに何もできない。





そんな思いを誰もが抱く。





例えばそれは、少し前のこと。





 小倉舞と志紀さくらは互いの手を取り合い、懸命に歩みを進めようとしていた。

 まるで整備されていない険しい林道は、彼女たちの足を阻むかのように立ち塞がる。危険な、木々の鋭い枝。所々崩れ落ち、剥き出しになった岩。そして、方角すら分からない暗闇。車両一台が通れる道は、すぐ側に断崖。落ちたらどうなることか、想像すらしたくない。加えて激しい凌辱と長期間に渡る監禁。それによる衰弱は彼女達を確実に心身共に追い込んでいた。もはや歩ける状態ではないのだ。

 それでも。股に込み上げて来る痛みにくじけそうになりながらも、ゆっくりと歩みを進める。そうするしかないのだから。

 解放、とは程遠いが、とにかくあの恐ろしい場所から離れる事ができた。それだけは確かだ。あの場所に未だ残されたみんなの事は気になるけれど、今はとにかく一歩でも遠ざかりたい。逃げたい。そして、帰りたい。エゴイズムに満ちていると、自分のことだけ考えているとわかっていつつ、どうしようもなかった。

 帰れさえすれば。そうすればみんなを助けることだってできる。きっと、そうだ。それしかない。そうするしか……。

「はぁ、はぁ」

「ま、待って。少し……休もうよ」

 そんなことをしている場合じゃない。分かっているけれど、どうしようもなかった。月明かりも無い夜。数歩歩くだけでも恐ろしく感じる。よろめき、倒れ、うめきながらも頑張り続ける。

 二人もクラスメイトの皆と同じように凌辱され、監禁された。制服を奪われて、全裸にされて放置されていた。だが、ある日のこと。

 一人の男。直人によって牢より出され、また犯されるのかと絶望感に打ちひしがれながらついて行く。二人、顔を合わせる気も起きなくなるくらいに諦めてしまっていた。すると……。

「お前達。これを着ろ」

 意外なことに、服と下着を返してくれた。宿泊時の室内着用として持ってきていた私服だ。とても懐かしい気がした。

「解放してやる。俺の独断だがな」

「……え?」

 舞もさくらも、思わず同じように聞き返した。信じられない。信じられるわけがない。

「どうした。着替えんのか?」

「……」

 いぶかしがりながらも二人は服を着る。久しぶりだ。何日ぶりかに、肌を覆うものを身につけることができた。女の子の恥ずかしい場所……胸も、お尻も、秘所も、これで隠すことができた。裸でいることが、あんなにも心細くて寒くて恥ずかしくて、死にたくなるくらいに悲しいものだったとは。思い出すだけで涙が浮かんでくる。それにしてもどうして突然……?

「俺は。最近の紳一様にはついていけなくなってきたのだ」

 絶対的と思われたこの支配体制に、離反者が出たのだ。直人は続けて云う。

「お前達にむごいことをしていると、今更ながらにわかってしまったのさ」

 良心の呵責と云うものが、この男にもあったのか。舞もさくらも何も云わずに見つめる。

「せめてもの罪滅ぼしだ。今なら、一人か二人いなくなっていても気付いたりしないだろう。送って行くというわけにはいかないが。早く行け。行って、全てを……」

 今更何もかも元通りには戻らない。だが、現状を正しい方向に持って行って欲しい。直人はそう云った。主君である紳一を救って欲しいと云った。

 そうして直人は隠してあった小さな窓を開く。ひんやりとした外の空気を感じる。本当に解放してくれるのか、と疑問に思いつつ、二人は外に出た。罠かもしれない。全ては嘘なのかもしれない。疑ってみたところで、この地獄のままよりはましと、そう思うのだった。行動できるだけでもマシだ。せめてまだ、自我が残っているうちに……。





…………





「はぁ、はぁ」

「も、もう。歩けないよ」

「頑張って。諦めちゃだめ」

 ひたすら歩みを進めて数時間。追っ手は来ない。どうやら本当に解放してくれたのだろう。豹変した直人の態度に対する疑いは晴れていく。

 二人の足は棒のようになっていた。バスジャックの時から度重なる凌辱の日々。身も心もぼろぼろにされながらも、何とか歩みを進める。加えて空腹。どこまで行けば、人里にたどり着けるのか。どれだけ頑張れば、これまでに起きた恐ろしい事件の詳細を人に語ることができるのか。希望の見えない逃亡は続く。

 と、そんなことを思っていたときのこと。不意に遠方より、車の音がした。追っ手だ。遠くからライトがはっきりと近づいてくる。悪路をものともせず走る四輪駆動車。疲れ果てた少女たちの歩みなど比較にならない程速く、力強い。

「あ、あぁ」

「に、逃げよ……あっ」

 慌てて立ち上がるも、足がすくんでよろめいてしまう。とは云え隠れようにも、そんな場所はない。そうこうしているうちに、男たちにあっと言う間に発見されて、追いつかれてしまう。もう……おしまいだ。

「このアマぁっ!」

「きゃあーーーーっ!」

 飛び出してきた木戸によって、さくらは長い髪を掴まれて組み伏せられ、捕らえられた。

「逃がしはせんぞ!」

「ひぃっ!」

 舞はゆったりと近付いてくる古手川に恐怖し、足がすくんでしまった。また……また犯されるのか、と。逃げようとするも足がガクガクと震えてどうしようもない。思わず失禁してしまい、スカートとソックスを濡らす。

 懸命の逃亡空しく二人は捕えられ、またも犯された。

「おらぁっ!」

「ひいいっ!」

「罰が必要じゃのう」

「きゃああああっ! やめて! 離してえっ!」

「いやあっ!」

 暗闇の中に、少女の叫びが響く。そして、服を引き裂く音。またしても彼女達は衣服を奪われ、全裸にさせられた。そして、もう逃げる気も起きなくなるくらい徹底的に犯された。

「いやあああっ! 痛いいいいいっ!」

「やめてえええっ! ぎゃあああっ!」

 せっかく外に出られたのに、そしてこのまま連れ戻されるのか。……しかし、その予想は外れた。

「ケツにぶちこんでやる!」

「あーーーーーっ!」





どれほど犯されたのだろう。





これは死後の世界か。と、そう思う位に苦痛を感じ





気を失い、そして目覚めた。





悪夢は覚めていて欲しいと思ったのに。





「目覚めたかの」

「お、お。締まる」

 気が付くと二人は、車の中にいた。

「う、ふ……んぐ?」

 そこは車内。どうやら、居住性を重視したワンボックスカーの中のようだった。同時に下腹部に大きな違和感を感じる。身じろぎするとすぐわかった。男のものが今も奥深くお尻の穴に突き刺さり、出入りを続けて圧迫しているのだ。隣を見ると友人。舞もさくらも同じようにされていた。

 二人は共に今も犯されていた。椅子に腰掛けるのは木戸と古手川。その上にさくらと舞は座らされながら、アヌスを貫かれていたのだった。

「ふぐ、ぅ」

 強烈な圧迫感に、まともにしゃべることすらできない。それでも、だんだんと我に返る。確か自分たちは、心変わりした直人という男によって解放され、必死に林道を歩いて逃げようとして、結局追いかけて来た男たちによって発見されてしまい、捕えられて乱暴に犯されて。そのまま気を失った。はずだ。

 口に、固いプラスティック製のボールのようなものをくわえこまされているのに気づく。ボールギャグだ。そして、両手も背中で縛られている。逃げることなど到底不可能だ。

 車は止まっていた。ふと、外を見て見る。どこかで見たような、なつかしい風景。そう、そこは。彼女達の学校。

(そ、ん、な)

(嘘……)

「ふぉふぉ。お前達の学校じゃよ」

「よく見ておくんだな。見納めなんだから」

 逃げ出した罰。この車は今、聖エクセレント女学院の校門近くに停車しているのだった。今は朝なのか、制服姿の少女たちが大勢歩いている。本来なら……あの中に自分たちもいるはずなのに誰も気付きはしない。

 あ……と、二人とも思う。歩いている中に、違うクラスの友人を見つけた。

「それにしても。可愛い娘がいっぱいおるのう」

「こいつらに飽きたらまた、この学校の誰かを狩るか」

 また、ひどいことを云っている。もしかすると、自分の友達も同じ目に遭わされるのかもしれない。止めたい。友達を守りたい。でももう、どうしようもない。あの中にはもう、自分達の居場所など存在していないのだろうか。そんなことすら思えてきてしまう。

(こ、こんな……こと)

(ない、よぉ……)

 さくらと舞の表情を見て突如、木戸と古手川が下から強く突き上げ始めた。絶望に彩られた目は男たちの興奮を高める材料となった。

 声さえ、声さえ届けば。と、思うけれど、出てくるのは苦痛に満ちた喘ぎだけ。まるで、体の機能を奪われたような……そんな気がしていた。

「うっうっ! ううっ! うぐーーーっ!」

「ふぅっ! ふぐぅっ! うぐふぅっ!」

 彼女達の声は絶対に聞こえない。そして……外からも見えはしない。あまりのむごたらしい拷問に、涙が次から次へとあふれてくる。鼻汁が落ち、涎が垂れる。あまりにも無残な姿。

 すぐ側に、帰るべき場所があると云うのに二人は鎖に繋がれて、汚され続ける。絶望感に打ちひしがれながら、揺さぶられる。

「おお、おお。締まるのう」

「ううっ。ふぅっ」

「まったくだ。こいつらのケツはなかなかだな。やればやるほど馴染んでくる」

「ぐひぃっ。うぐぅっ」

 男たちによって揺さぶられる舞とさくら。男達はやがて達し、どっぷりと中に射精。お尻の中に熱いものを感じ、押さえ込むこともできずに垂れ流されて。

(ひど……すぎ……る……よ)

(ど、う……し……て……ぇ)

 どうしたら、ここまでひどいことをすることができるのだろうか? 人の所業とは思えない。彼らは悪魔ではないか、と思う。





そして車は動き出す。





「はふ……へ、へぇ……ぇ」

 助けて。その言葉がなかなか出てこない。ひねり出すようにして、やっと出てきた声はあまりにも弱々しく、かすれていた。

 さくらの自宅近く。父が車の側を通り過ぎる。その間もさくらのアヌスには木戸のものが埋没している。

 男たちが腰を前後するたびに、ぱちん、ぱちん、と音がする。突かれる度に涙が流れて止まらない。すぐ側に……帰る場所があるのに。楽しかった日々を思い出しては、死にたくなってくる。

「ほう。あれがお前の親父か」

(離してぇぇっ! ここから出してえええっ! お父さんっ! 助けてえええええっ!)

「ごあいさつせんとのう。ふぉっふぉ」

「う、うっ」

「娘さんのケツの穴はとても気持ちがいいです、ってな。そらっ」

「ぐふっ!」

 熱いものを叩き付けられ、息が切れる。小さな胸を揉みしだかれ、乳首を引っ張られる。

「ふひ、ぃぃぃ!」

「そうじゃのう」

「ううぅ、うぅぅ」

 男たちの嘲笑が少女たちの心を貫き、えぐる。さくらの父の背中が見える。さくらは思う。父は、どうしているのだろう。もう、全てを諦めてしまったのだろうか。娘は帰らないものだと思ってしまっているのだろうか。死んだものと思っているのだろうか。すぐ側に……ここにいるのに。助けて欲しいのに。気付いて……お願い、と何度も心の中で叫んだ。無駄だと分かっていつつも。

「ううぅぅぅっ!」

 父の目の前で犯されたショックにうちひしがれる中、射精された。










「ふ、ぅぅ……」

そして、舞の自宅近く。さくらの時と同じように、目の前を家族が通る。車の中の光景など想像もつかずに通り過ぎる。

(行かないで……。行っちゃやだぁぁ……。待ってよぉぉっ! 気付いてよぉぉっ! ここに……ここにいるよぉぉっ!)

 いやいやと頭を振ると涙がぽろりとこぼれ落ちる。そんな舞の様子を見透かしたのか、男達は更に興奮して激しく突き立てる。

(あ……あ……。こ、こに……いる……のに……ぃぃ)

 やがて誰もが姿を消した。見捨てられた。そう思った。

(もうやだ。死に……たい……)

 手が届きそうなのに。夜空に輝く星のように、あまりにも遠かった。

(気づい……てよぉ……)

 車は静かに動き出す。何の足跡すら残さずに、その場を立ち去った。

 それでも。ただ一目でも両親の姿を見ることができたのは、幸福だったのだろうか?

 きっとそうだ。そうでなければ……あまりにも辛すぎる。遠ざかって行く家。戻るべきところ。もう、二度と戻れない。





…………





「う、う」

 やがて連れ戻される。広間にて。さくらは仁王立ちの男たちに囲まれていた。そして、木戸のものをくわえさせられている。

「俺がイクまで続けろ」

 木戸のものはとても大きく、口を限界にまで開いて尚も余りある。けれど。歯でも立てようものなら……。

「う、うぅ」

 既に何度か射精されたのか、口元から涎と共にたれ、したたり落ちて行く。

「そんなんじゃ一日たってもイケないぞ」

「もっと激しくしゃぶれ」

「うぅぅ」

 男たちの容赦ない罵声。さくらは必死に奉仕を続ける。既に顎ががくがくして仕方がない。

「やれやれ。待ちくたびれたのう」

 つい先程までさくらの口内を犯していたのに、古手川はまだまだ物足りなさそうだ。しびれを切らしたのか、さくらの手に大きくそそり立ったものを握らせ、しごかせはじめた。

「俺もしてもらおうか」

「うぅぅぅっ」

 直人もそれに加わる。

 あのときの悪夢が蘇る。舞と共に逃げ出した夜のこと。直人はわざと二人を逃がして安心させてから捕まえて、犯すよう仕向けたのだ。全ては仕組まれた事だった。……二人の絶望感に満ちた顔を見下ろしては高笑いした。

「逃がすわけないだろう? フフ。フハハ。ハハハハ」

 簡単に騙されたと嘲笑。全て嘘だった。さくらと舞はまんまと騙された。だが、他に何ができたと云うのだろう。どうすれば良かったと云うのだろう。

 もう何も信じられない。ただひたすら涙を流し……男のものをしゃぶり続ける。

「出るっ!」

「俺もだ」

「わしも出すぞ」

 男は三人同時に達した。口内と、顔に射精。さくらのかわいらしい顔はあっというまにベトベトにされていく。

「うぶぅっ!」

「飲め。吐くんじゃない」

「うぅ……げふっ」

 熱い。喉を焼くような感触と共に飲み込む。体中に毒がまわっていくようだ。悔しい、と思った。

「ふぉふぉ。次はわしじゃ」

 休む間もなく、古手川がさくらの口を汚す。ずっとそうだった。誰かが達したら別の誰かが犯す。ちょっとした時間ですぐに性欲が回復する。何度すれば終われるのだろう。

「じゃ。待ち時間代わりに、こっちをやらせてもらおうか」

「んひっ!」

 さくらは尻の穴を掘られて悶絶した。同時に前の方にも指を一本、ニ本と入れられる。木戸の大きなものが奥まで入ってくる。ものすごい圧迫感だった。

「お、お。気持ちええのう」

 古手川は、さくらの顔をがっちりと掴んで揺さぶり、オナニーマシンのように扱う。

「次は俺だからな」

 射精したばかりの直人がさくらの胸を揉みながら低く脅すように云う。

「う、ううう」

 ま、また。一体何度……と心の中で呟いた。既に口の中は精液まみれにされて、何度も飲まされて体中が火照り……顔もベトベトに汚された。

「入れるぞ」

「ぐひぃっ!」

 数分の後。今度は直人がさくらのアヌスを犯した。潰れたような悲鳴。

「腰の動きがおろそかになってるぞ。もっと振れ!」

「離すなっ! きちんとしゃぶれ!」

「ふぉふぉ。乳首が起っておるぞ」

「う、う……うぅぅぅぅっ!」

 さくらは泣いていた。心の底まで汚されてしまったことに。複数の男に代わる代わる犯される。輪姦行為は続く。

「う、ぐ……」

 そしていつしか舞が、さくらと同じことをさせられていた。彼女の意識が焼き切れるのは時間の問題だった。





…………





 この男たちは狂ってる。愛はそう思った。そして……自分達も同じだろう。

 永遠の闇の中、聞こえて来るのは少女たちのくぐもった声ばかり。

 木戸、古手川、直人。クラスメイトの誰もが一度は必ず、彼らに犯された。それぞれ割り当てられた娘たちを交換しては、満遍なく犯す。

「や、あぁぁ」

 大切なお友達。誰もがそうだ。愛はいつもそう思っている。けれど、目の前で壊されていく。

 愛は思い出す。ここに連れて来られた時のことを。確か自分は一人で道を歩いていたはずだった。ところが、突如記憶が途切れた。意識を失ったのかもしれない。気が付いたら、失踪したクラスメイトたちの目の前にいた。夢でも見ているのか。そう思った。

 それが夢ではない証拠に、自分もすぐさま犯された。苦痛と云う名の凌辱。クラスメイトたちの目の前で。この間みんな……こんな思いをしてきたのか。

 痛くて、悔しくて、悲しくて、泣いても叫んでもどうにもならない絶望。何てひどいことを、とは思ったが自分はそれをずっと他人事だと思っていなかったか。一人だけ難を逃れて良かった等と思っていなかったか。事件の事を思う度に嫌悪感に苛まれた。

 事件の後。マスコミの興味は愛に向けられた。

 何の手がかりもない状態で、警察の発表する内容など面白みの欠けらもなかったから、当然のことだろう。

 アイドル礼菜を始めとする美少女達の失踪。その一文だけで人はあらゆる想像をする。

 純粋に心配する者もいれば、下世話な想像をする者もいる。ワイドショーや週刊誌等が連日取り上げ、人々の想像をかき立てあおり立てる。

 その中で、ただ一人無事だった少女。皆の迷惑になると、修学旅行に行くのを見合わせた愛。どこか物憂げで、ミステリアスな美少女に興味が殺到した。

 善悪はない。ただ、話題になるからと云う理由だけで、大々的に取り上げられることになった。愛の気持ち等まるで無視して。

「今、どのようなお気持ちですか?」

 テレビ局の若いレポーターは問う。そんなことわざわざ聞かなければわからないのか! とでも怒鳴りつけたくなるような無礼で無神経な質問に、愛は答える。良家のお嬢様だからというわけではなく、元から穏やかな性格だからだろう。あくまで丁寧に、礼儀正しく接した。その姿勢に誰もが増長して、どうでもいいことを聞いてはゴシップのネタにする。

「心配です」

 と、答えた。

 意識したわけでもないのに、涙がこみ上げてくる。その瞬間を待ちかまえていたかのように、テレビカメラは愛の顔をアップにして撮る。

 失踪した少女達は皆、愛にとっても良き友人だった。陰湿ないじめや嫉みとは全く無縁のクラスだった。本音を包み隠さず主張すればするほど、誰もが同情し、更なる興味を持つ。

「早く……。無事に、帰ってきて欲しいです」

 そう願うことしかできなかった。

 だが……。愛が連れ去られた後、世間に衝撃が走る。そして誰もがまた騒ぎ立てる。何者なのか。警察は何をしているのか。テレビ画面に何度も登場した少女が標的にされた。一体何が起こっているのか、と。

「ふぉっふぉ。そりゃ、そりゃ、そりゃ! 感じておるのう」

「あっあっあっ」

 愛は今、首輪をつけられ、鎖で繋がれ、四つん這いにされて犯される。

 もし。……もしもだ。この瞬間。犯され続ける少女たち。その映像、音声、写真。それらが少しでも公開されていたら……世間は堂々と取り上げるんじゃないか。人々は何を想像するのだろう? 同情か、哀れみか……それとも、男達と同じことをしてみたい。そう思う者もいるんじゃないか?

 仮に解放されたとしても、無事に帰れたとしても、もはや元には戻れないだろう。そう思えてしまう。少女達は肉体的にも精神的にも、そして社会的にも抹殺されたようなものだから。

「飽きもせずによくやるな」

「まったくだ」

 ずっと愛を犯し続ける古手川を見て、直人と木戸は苦笑する。

「お前達にはやらんぞ。この娘はわしのじゃ!」

 古手川は愛の何が気に入ったのだろう? 頑なに独占を主張し続けた。

「ふっ」

「どうでもいい」

 それに対し直人も木戸もどうでもいいと一笑する。娘は他にもいるのだから。選り取り見取りなのだから、一人くらい欠けても困りはしない。

「さて」

 直人は牢の中に入り、少女を物色する。尊厳を奪われ、奴隷と化した少女達は皆、夢の中にいるようだった。

「今日もたっぷりと、楽しませてもらおうか」

 木戸もそれに続く。

「そうだな。今日はお前にしてやろう」

 散々犯され、惚けたように呆然とする少女、莉菜。

「どこに入れて欲しい? ん?」

「ぅ……」

 言葉など、とうの昔に忘れてしまった。そんな気がした。

「そうか。全部か。それじゃ、遠慮なく受け取れ」

「あぅ……」

 莉菜の中に、直人のものが突っ込まれた。

 木戸は美紗紀、かすみ、はるかの目前に大きくそそり立ったものを突き出し、舌で愛撫をさせ始めた。虚ろな瞳の少女たちは、抵抗することなく舌を出し、舐めはじめた。

 欲望の果てにあるもの。

 それは死なのだろう。

 けれど、今よりも楽だろうと誰もが思えていた。

 崩壊しつつある少女達は、もはやそれすらも選べないのだった。



















-了-