-悪夢EX Another episode 10th-











 そこは薄暗い廊下。ギシギシと音を立てる古い木造の床はとても冷たくて、剥き出しの肌を刺すかのように感じられる。幽霊でも出てきそうな雰囲気の所に数人の少女達が連れ込まれ、一列に座らされていた。誰もが全裸にさせられて疲れ果て、光を失った瞳は虚ろで絶望感に満ちていた。

 そうしてそのまま一列に並んでM字開脚……大股開きというはしたない格好をさせられた上に、遮るものが一つもない秘所を見せつけるかのようにして指で開かされていた。これ以上ない羞恥責めに少女達はうつむき、すすり泣く。幸か不幸かまだ心は完全には壊れていないのだ。

 少女達は左から順に礼菜、せりか、美紗紀、鈴、みお。いずれも芸能界で活躍している美少女達だった。誰もが例外なく人気で、クラスメイトからも注目されている。性格も明るくて活発で元気で、一緒にいるだけで楽しくなれるような少女達。誰もが暗いこの場に似つかわしくない。

「も……もう……いや。こんなの……いや……」

 破瓜の痛みに礼菜は絞り出したかのように拒否の声を上げる。紳一により貫かれ赤く腫れあがった秘所を指で広げさせられていたのだから。

 男達はカメラを構え、少女達のそんな姿を何十枚も撮影し、同時にビデオカメラでも記録していくのだ。少女達の経歴を知った上であえて選んで呼び寄せた。

「ふぉっふぉ。たまらんのうお嬢ちゃん達よ」

 撮影中。フラッシュの光が何度もたかれる。醜悪な老人古手川はよだれをたらし、血走った目で股間のものを膨らませながらシャッターを押しまくる。このイベントの発案者だった。

「まったくだ。おい、ケツの穴も見せろ」

 サングラスをかけたヤクザとしか形容できない大男、木戸。彼も古手川と同じく撮影を続ける。時折ドスの聞いた声を出しながら少女達を威圧していく。

「アイドル達のこんな姿を拝めるんだからなぁ」

 冷たい瞳にかすかな笑みを見せる美青年、直人。少女達に向けてビデオカメラを使用している。嘗め回すように恥ずかしい所を撮る二人とは対照的に、悲壮感に溢れた表情を録画していく。

「う、ううぅ……ふぅぅ……」

 延々と続く耐え切れない仕打ちにせりかは思わず股を閉じてしまう。だが……。

「閉じるんじゃない!」

「ひっ。う、う……いや……いやぁ……」

 男の鋭い言葉に、せりかは泣きじゃくりながら股を開いて行く。地獄のような時間だと思った。だけど……見られるだけならまだよかった。写真や映像を撮られるくらいならまだよかった。男達は更に非道な要求を突き付けてきたのだ。

「お前ら。小便しろ」

 木戸は顎をしゃくって云った。一斉にさせ、一番出る勢いの弱かった少女を犯すと、そう云った。

「や、あぁぁ」

「やだ……やだ……」

「ママぁ……」

「助けて……助けて……」

 少女達は当然の如く嫌がり、泣きじゃくる。誰だってそんな恥ずかしいことしたくないのだから。

「ぐずぐずするなぁっ!」

「ひっ!」

 少女達の誰もが恐怖に息を飲む。苛ついた表情の木戸が壁を蹴りつけた。そんな風に蹴られたら死んでしまうことだろう。拒否の言葉など無理と分かっていたから、少女達は目をきつくとじたまま柔順に実行した。

 やがて廊下内にしゃああ、と雫が飛び散る音が響く。礼菜の、せりかの、美紗紀の……M字開脚をさせられたままの少女達の股間から放物線を描いて放出されて行く滴。全て記憶され、デジタル信号に記録されていく。

 だが……一人だけ例外がいた。みおの股間からは一向に放物線を描いて放出されていかなかった。ちょろちょろと弱々しく滴が落ちるのみ。そんなこと、どうしようもないのに。

「よし。そこまでだ」

「え……あっ!」

 木戸は云い、みおの体を突然引っ繰り返し、持ち上げた。すぐさま罰が下されるのだ。みお以外の娘はその対象が自分でないことにほっとし、そう思ってしまっている事に気づいて嫌悪感と罪悪感に苛まれる。ただ、目をきつく閉じ唇を噛み締めるしかできない。

「あっ! あううううううっ!」

 みおは逆立ちするような状態のまま持ち上げられる。木戸の巨体と小柄なみお。身長差は数十センチに及ぶ。

「が、ぐ、ぐぼっ! ぐえぇぇっ!」

 みおの顔は丁度木戸の股間に押し付けられていく。そうして自然に巨大なものをくわえこまされる。みおは生きているおもちゃだった。木戸にとってみおは人間扱いされない道具となっていた。

「噛むなよ。噛んだら死ぬほど痛い目に遭わせてやるからな」

「ぐ、ぃぃ……ぐぅぅぅぅっ!」

 みおは口を限界にまで開き、必死にくわえ込んだ。時折喉を引き裂くような悲鳴を上げながら、やがて窒息しそうになり、顔は真っ赤。そんな様子を木戸はとても嬉しそうに見ていた。

「やめて……やめて……」

「みおちゃん……」

 じゅぷじゅぷとみおの体をを蹂躙する音が響く。他の少女達は皆、目を背けて拒否の言葉をつぶやくだけだった。

 木戸はみおの体を抱えながら、逆さまにさせられ剥き出しになった秘所に指を突っ込む。小さな割れ目は押し開かれ、裂けそうだ。

「ぐうううううううっ!」

 狭い割れ目に指を何本も突っ込まれ、みおは白目を剥いて悶絶した。





……





「おらおら! いくぞっ! そらぁっ!」

 程なくして木戸は好き放題みおの体を揺さぶり続けた。そして数分が経過して、達した。みおの口内に大量の精液が注がれる。だが……。

「あ、ぅ……あ、あぁぁ。あふぅ!」

 休む間もなく、今度は床に投げ出されたみおは捕まえられる。そして秘所に木戸のモノがねじ込まれる。勢いなど全く衰えていないものが。

 それからまた数分後。散々犯されたみおは牢に戻され、うつ伏せのまま横たわっていた。用済みにされたゴミのように無残な姿。牢の中の友人達は誰も何も云わないし云えなかった。みんな同じだから……遅かれ早かれ同じ目に遭わされるし、既に遭わされたのだから。小さくて子供っぽくて無邪気で可愛らしいみおはもう、二度と笑顔を見せることはなく、股間からただ白い精液をこぼし続けるだけだった。

 みお以外の少女も順次酷い目に遭わされ続けていた。

「ふぉふぉ。いいぞ、いいぞ」

「あ、ぐ」

「う、ふぅ」

 仁王立ちする古手川のモノに、礼菜と美紗紀の顔が押し付けられていた。アイドル二人掛かりによるフェラチオ。互いの舌を使い唇を使い、古手川を満足させるのだ。いつもテレビの向こうで明るく歌う少女達は人間扱いされず、奴隷にさせられていた。

「そうだ。いいぞぉ」

 古手川同様、直人も少女を犯していた。鈴とせりかの頭を右手と左手で掴んで、交互に口へと突っ込んでいた。

 それは競争。先に出させた方が……男を満足させた方が、ほんのわずかな猶予を与えられる。恨めしそうな、嫌悪感に満ちた少女立ちは一心不乱に男達のものを愛撫し続けた。





……





「ふぉっふぉ」

「あ……ぅ」

「や、あぁ……」

 顔中精液まみれにさせられながら、礼菜と美紗紀は恐怖に震える。先に男に出させたのは鈴とせりか……。

 古手川が選んだ罰。それは……。

「アイドルの尻の味はどうかのう」

「ひ……っ! ひぎゃああああああああ! やめてやめてやめてやめてええええっ!」

 礼菜のアヌスには古手川の舌。這うようにねっとりとした感触。あまりのおぞましさに礼菜は白目を剥きながら叫んだ。

 美紗紀もすぐに同じ目に遭うことになる。目の前で行われている行為に奥歯をかちかちと鳴らし、震えるだけ。

 せりかと鈴も例外ではなかった。










全員救出。



少女達は惨劇に耐え、心に傷を負いながらも一命を取り留め、大団円。



これから迎えるハッピーエンド。



……果たしてそうだろうか?










 少女達に度重なる凌辱を加えた後に、紳一は突然逝った。

 そして紳一の部下達は失踪したかのようにいなくなり、少女達は全員置き去りにされた。

 救出されたのは、それからまた数日たってからの事。たまたま見つけられただけにすぎない。

 救助に当たった者が見た光景。それは牢の中、鎖でつながれた全裸の少女達。誰もが体中を汚されて絶望し、涙も枯れ果てた頃。床に転がって微動だにしないでいる少女。壁に寄りかかって何かをつぶやきながら薄くほほ笑み続けている少女。わけもわからずに友人の体を愛撫し続ける少女。

 ふと、誰もが気づくことになる。牢の床には写真がばらまかれていた。修学旅行の写真。少女達が愛用のデジタルカメラで撮ったもの。少女達の誰もが笑顔で、青春の儚くも楽しかった記憶を焼き付けている。一体誰が何のために少女達をこんな目に遭わせたのか?










空白の時。










「あ、ぅ……」

 鈴は喘いだ。椅子に腰掛ける紳一の上に股がされ、挿入させられていたのだから。

「ふん」

 紳一は鈴の反応などどうでもいいとばかりに、手にもったものを眺め見る。それは束になった写真だった。

「あ、ぐ……ぅ……」

 一枚一枚めくりながら鈴に見せつける。修学旅行中にみんなが撮ってきた写真。楽しい記憶。それが今では……。鈴はすすり泣く。

「楽しかっただろう?」

 あえてそんなことを聞く。小刻みに突き上げると鈴の小さな体は揺さぶられる。

「あっあっあっ」

 あまりにの理不尽さに鈴は泣いていた。こんな未来が訪れる事を誰が予測しただろうと思う。全員誘拐され、衣服を剥ぎ取られて全裸にさせられ、散々犯され汚され男たちに性的に奉仕する人形にさせられた揚げ句、牢の中に監禁され鎖の付いた首輪で繋がれる。まだ全員ではないけれど、時間の問題だろう。残された少女達も皆、恐怖に震えている。

 鈴が犯されているその頃。牢の中では……。

 紳一の部下たちは少女たちをいたぶるように、なぶるように修学旅行中の写真を何枚も焼き増しして、牢の中にばらまいていた。例外なくうつむく少女達からすすり泣きがそこかしらから聞こえてくる。やめて、もういや、そんな声と共に。だけど、男達が待っているのはそんなものではなかった。

「いやあああああああっ!」

 突如、少女の絶叫。褐色肌の元気な少女……亜衣。

「もう……もうやめてよっ! こんな……こんなひどいことっ! どうしてするのよっ! こんなことしないでよぉっ!」

 堪えきれない悲しみは怒りに変わる。目を赤くしながら食ってかかる少女はしかし、男達が望んでいた反応そのものなのだった。

「あ、ああっ! ひぎゃああああっ!」

 亜衣はのしかかられ、牢の中を這いずり回されながら散々犯された。もう、食ってかかることなど二度とできないように。秘所とアヌスを同時に貫かれ、口にもものを突っ込まれる。

「ふぐうううううううっ! うぐううううううっ!」

「後で集合写真を撮ってやろうかの。ふぉっふぉっふぉ」

 古手川の悪巧み。牢の中に全員を集めると、さすがに手狭に感じる。そうして写真を何枚も撮られる。










それでも、そんな状況でも誰もが助かった。










 病院の個室で鈴は服を脱ぐ。それはまるで、着ていてはいけないと云われたかのように。そしてベッドを降り、膝と手を床に付け四つん這いになる。ふと、片足を高く上げ……。

「ん」

 うっとりとした表情で声を漏らす。そしてしゃああ、と滴が放物線を描いて流れ落ち、白い床を汚す。あの凌辱地獄で散々強要された行為。犬のように扱われた記憶。そうしなければいけないと心に焼き付けられた。

 すぐに異常に気づいた者により、鈴の行為は止めさせられ、ベッドに戻される。鈴はぼーっとして、何も分かっていないようだった。

 救出されて数週間。クラスメイトの情報は何一つ入ってこない。今の鈴は聞いてもわからないだろうし、それに、とてもではないけれど伝えられるような内容ではないから。

 変わり果てた娘の姿に家族や兄弟は例外なく悲しみ、嘆く。ある娘は自我を取り戻したが故に凌辱された事実に耐え切れず、程なくして自殺した。また、媚薬づけにされたある娘は人目をはばかる事なく自慰にふけり、やむなく拘束具を着させられた挙げ句に発狂死した。ある娘は意識を取り戻す事なく植物状態に陥り、一生そのままだった。ある娘は絶望した両親共自殺し、天涯孤独になってしまった。壊れ、そのことに気づかないのはかえって幸せなのだろう。またある娘は妊娠し、望まれぬ子を産むこととなり、その事実に絶望して壊れてしまった。ある少女は面会に訪れた両親に対しすがるような目で性行為を求めた。ある娘は食事すらとれず、流動食で一生を過ごすことになった。ある少女は家族の意向で自宅で療養中だったが突然行方をくらまし、真夜中に全裸で町中を徘徊しているところを保護された。……まともに社会復帰できた少女は皆無だった。誰もが言葉を忘れてしまったかのように、生存者の口からは何も語られることはなかった。

 結局、謎だらけの事件はさまざまな憶測を呼んだが、全て有耶無耶になり、忘れ去られていった。

「あ、あ、あん」

 寝言のように鈴は呟く。今も夢の中で何度も犯されているのだから。

『寒いだろう? 着ろよ』

 何故だか男達は制服を返してくれた。着てみるとそれは、胸に当たる部分の布地が切り取られていた。そして、スカートもお尻と前の布地を切り取られ、意味を成していない。ただ、辱めるだけに切り裂かれた制服。

『う、うぅぅぅ! こんな……の!』

 目の前にはクラスメイトの礼菜。同じように着せ替え人形にさせられている。礼菜の大きな胸はぽこりと飛び出していて、背後から何度も何度も揉まれ続けていた。いいな、と鈴は思った。あんなに大きな胸があれば、きっと……。

『ん、ん、ん』

 男達のものを挟み込み、気持ちよくさせられるだろうから。小さな胸を強引に寄せ上げて奉仕させられた記憶が蘇る。痛くて、苦しい記憶のはずなのに……何故だかそうしなければいけないと思う。









「しあわ……せ」

 鈴はうっすらとそう思った。きっと今の自分は幸せなのだろう。

 地獄にいることに気づくこともなく、そう思い続けた。








 修学旅行の移動中。バスの中は大騒ぎ。お嬢様学校だからと云って年頃の女の子達に変わりはないわけで。みんなおしゃべりしたりカラオケで歌を歌ったり大はしゃぎ。

 そんな中、鈴はあることに気付く。

「あ。やっと起きた」

 鈴の視線の先にはバスの中では数少ない男性。座席で眠っていた担任の若い教師が目を覚ましたのだった。寝ぼけ眼をこする様が可愛らしかったのか、少女達に笑われる。いまだ寝ぼけているのか、辺りをきょろきょろと見回す。

「こんな賑やかなバスの中で、よく寝られますね」

 帆之香が穏やかな笑みを見せる。みんな、代わる代わる歌を歌っていたようだけど。彼の番が来たようだ。アイドルの礼菜がデュエットを申し込んできた。鈴は負けじと先生に抱き着く。

「鈴と一緒に歌うのーーー!」

 楽しい一時が続いていく。何も悩むことも憂うこともない時間がずっと。

「あ、れ……」

 おかしいな、と思いつつ鈴は気付く。夢から覚めた。もしくは未だに夢と現を行ったり来たりしているのかもしれない。自分は今、楽しげな歌声に満ちた車内にいたはず。それなのに、どうしていたのだっけと思う。記憶喪失に陥ったかのように、そう思う。着ていたはずの服は全て脱がされて、冷たい床に座って身動き一つとれない。

 あのときの楽しい歌声は今や凄惨なすすり泣きに変わってた。苦痛に満ち、堪え切れない思いが嗚咽と化して出て来て止まらない。

「どうし、て……こんな……」

 ひどい未来が訪れてしまったのだろう。

「……」

 バスの中で先生にデュエットを申し込んだ礼菜が側にいる。散々犯し尽くされ、開いた股を閉じることすらしない。虚ろで沈んだ目には光などない。涙も枯れ果てた顔には精液をかけられた跡が残っている。身動きしない死体のようだった。

 もう嫌だ。そう思い、何も考えないようにした。

 バスは何事もなく目的地の宿に着いた。これから部屋に入って、ご飯を食べてお風呂に入って、仲良しな友達と一晩中お話をするんだ。そういう未来が待っている。楽しくてたまらない。予約された未来はしかし、失われた。

「あーーーーっ! いやあーーーーっ! いたああああいっ!」

「お……おご、う、ぐ……」

 後ろでお友達がアヌスに突っ込まれ、痛みと羞恥と屈辱に絶叫を上げている。そんな中、鈴は口に大きなものを突っ込まれ、しゃぶらされていた。生臭くて気持ち悪い。猛烈な吐き気と嘔吐感。だけど、傷つけたりしたらきっと……とてつもなく怖い目に遭う。一心不乱にしゃぶりつづけるしかないと思い、涙を幾筋もこぼしながら奉仕を続ける。

 もう、おしまいだ。たとえ助かったとしても、無事だったとしても……みんな云うことだろう。思うことだろう。お前もお前のクラスメイトたちも全員男に犯されて、輪姦されて、慰み者にされたのだろう? と。おま○こに男のち○こを突っ込まれて蠢かれ、精液をどっぷりと注がれたのだろう、と。







 実際。何人かは、何もされずに助かったのだ。だが……。

 復学した数少ない少女はわかってしまった。

「……ねえ、あの子」

「……うん」

「……あのクラスの子よね」

 物陰から密かに見て、うわさをしている別のクラスの少女達。ひそひそと小さな声はしかし、全て聞こえている。

「……絶対、やられちゃってるわよね」

「……うっわー。かわいそー」

「……やっぱり妊娠させられちゃったりしてんのかしら」

 少女はいたたまれず、その場を離れる。自分たちは何も悪い事などしていないのに、どうして後ろ指指されるようなことを云われなければいけないのか。人間不信になりそうなくらいに悪意を感じる。俗物達の興味の目線が注がれる。クラスメイトの大半は死に追いやられ、心を壊されて一生病院暮らし。

 助かった少女の一人……文はその日、クラスメイトのお見舞いに行った。文自身は奇跡的に軽度だけども、未だにトラウマが失われる事はない。他にも何人か、片手の指で数えられる程度の数だけど、助かった少女はいた。だけど皆、聖エクセレント女学院を去っていった。今ではもう、連絡すら取れない。誰も責められないし、どうしようもない。

「……」

 ベッドに眠る鈴は目覚めない。かける言葉すら見当たらない。ただ、花瓶に花を入れてあげる。

 楽しかった修学旅行の夢を延々と見続けては、全てを壊される。





 ……移動するバスの中には犯され尽くされた少女達。誰もが全裸で惚けたような虚ろな瞳。涙も枯れ果て、精液とよだれの跡が生々しい。

「やあーーーーーーっ! 先生助けてええええええっ! 痛いいいいいっ!」

 鈴は乗り込んで来た男達によって四つん這いにさせられ、処女を貫かれていた。目の前で一緒に歌を歌っていた男性……かつて少女達の担任だったもの。今では無残にも切りつけられ、遺体と化していた。

 悪夢が、幸せな日常の記憶を覆い尽くしていく。

 鈴の意識が完全に消えるその日まで、終わりなき悪夢は続くのだ。

「誰かああああっ! 誰か助けてえええええっ! もうしないでえええっ!」

 夢の中でどぷりと熱いものを注がれる。見舞いに来た文には聞こえていた。拘束された鈴はこうして眠る度にうなされるのだ。

「鈴……さん」

「や、め、てえぇぇぇ……あぅぅぅ……おしり……いたいぃ」

 文はいたたまれず、病室を辞した。

「ああああぁ……あは、あはぁ……あははははぁ……ふふ、ふふ、ふふふふふふ」

 鈴は一転して笑い始めていた。何がおかしいのかもわかっていないことだろう。





これが未来。





少女達に残された最高のハッピーエンド。





果たしてそうなのだろうか?





「う、く」

 文はそのままトイレに入った。そうして服を全て脱ぎ、全裸になる。

「ん、ん……」

 これが未来なら。夢ではないのなら……そう思いながら指を動かし続けた。

「う、う、う」

 涙をぽろぽろとこぼしながら続ける。どうして自分は助かってしまったのだろう。他の娘はあんなにも酷い目に遭わされているのに。はしたない行為も、自己嫌悪の方が勝り自棄になっていた。助かったはずなのに、何もされなかったはずなのに、自分はこんなにも淫乱で救いようの無いほど愚か。

「ん、ん、ぐ……うぅ、う……っ!」

 ふっくらとした大きな胸を自ら揉みし抱き、ぴんと起ってしまった乳首を舌で転がす。全てのクラスメイト達にごめんなさいと心の中で謝りながら、文は達した。長きにわたる監禁生活で、身も心もこんな体にさせられてしまったのだ。もう、どうあがいても止められようがなかった。悪いことをしているとわかっているのに。





…………





「許さない。あなただけ助かるなんて。偽善者のふりして……あたしのこと可哀想だなんて思っていたんでしょう!」

「え……」

 帰り道。辺りももう暗くなる頃。病院を出て公園の脇を通った所で文は突然男達に襲われた。そうして茂みに連れ込まれる。そこにいたのは見知った顔だった。

「鈴……さん」

 つい先程まで病室にいた少女。全裸の鈴だった。首輪を付けられ、犬のようにのしかかれながら挿入させられる。

「あ……ぐぅっ! あんたも……あんたもあたしみたいになっちゃえばいいのよ! おちん○んつっこまれて、ずこずこされて……おかされちゃえっ! あっあっあっあっ!」

 男達の手から写真がばらまかれる。それは片手の指で数えられる程度の数だけど、助かったクラスメイト達。誰もが皆犯されている写真。

「そん……なっ」

 文の目が驚愕の色に染まっていく。だが……もう、手遅れだった。

 男が一人文の体にのしかかり、下着をずらして挿入した。

「や……ああああああっ!」

 激痛。同時に処女を奪われた。あの時の悪夢が蘇る。文が最後だったのだ。鈴は犯されながら散々腰をふり続けた。





これが未来。





悪魔に魂を売ったかのように……親友を壊し続けた。





「あはははははぁっ!」

 狂気を帯びた笑み。散々犯されて力なく倒れ込んだ文の顔目掛け、鈴は犬のように片足をあげ、盛大に飛沫をぶちまけた。





しあわせ、と鈴はうっとりした表情で思った。
 




鈴にとって、最高のハッピーエンドだった。















-了-