-悪夢EX Another episode-
その少女が絶命する間際の記憶。それは、とても楽しくて幸せに満ちあふれたものだった。
ずっと続く。そう思っていた。そのはずだった。疑うことなどまるでなかった。
全てを壊され、奪われ、踏みにじられた少女は最後の最後まで救いを求めていた。梅宮柚流。聖エクセレント女学院の修学旅行中に起きたバスジャック事件において、男達により最初に犯された娘。クラスのまとめ役であり、真面目な性格の委員長。クラスメイトを守るために直談判に行き、最初の餌食にされてしまった。
「う、ううう」
あれからどれだけの時が過ぎたのだろう。
柚流は心の底から泣いていた。両手を背中で縛られて、抵抗することすらできずに犯されているから。処女を破られたあの日から全裸のままだった。剥き出しの肌に触れる空気は冷たく、惨めさに心細くなる。だが、柚流が泣いている理由はそれだけではなかった。
「ゆ、柚流なのか?」
柚流のすぐ側に、椅子に腰掛ける若い男がいたのだった。目隠しをされ、柚流と同じように両手を後ろで縛られ、拘束されている。それどころか、身体を椅子にくくりつけられるように縛られていて、身動き一つとれない。
男は視覚を遮られているために内情を伺い知ることはできないが、すぐ側で行われてる行為には否応無しに気付いている。その声……少女の聞き慣れた声はしかし、何かに脅えるかのような喘ぎ声だった。柚流の恋人……春彦と云う名の青年がそこにいた。
「あ、ああああっ!」
柚流を犯しているのは紳一。柚流の端正な顔を床に擦り付け、四つん這いにさせて腰を掴み、激しく突く。その度に、ぱんぱんと音を立て、柚流の柔らかなお尻がたゆむ。動物的な行為に柚流は顔を真っ赤にさせながら耐える。
尻の穴が丸見えだぞ。そう云われて柚流はいやいやとかぶりを振った。
「や、あああ……っ! みないでぇぇぇ」
大切な人の目の前で辱めをうけている。その事実は柚流を絶望へと叩き落としていった。これまでも充分地獄のような思いをしてきたはずなのに、どうしてここまで酷いことができるのだろう。何故、人の痛みがわからないのだろう。人はどこまで残酷になれるのだろう。……柚流の思いなど完全に無視して、紳一は腰の動きを早める。
「あ、ぅっ。ご……めん……なさい。ああっ。ごめんなさい……あぅっ。ゆる……して……ゆるして……ゆるし……てぇぇ。あぅぅっ! やっ! ああああっ! お、お願いゆるしてえええっ! やめてええええっ! もうやめてえええええっ! あっ! あっあっあっ! はっ……あっ……あぅっ!」
柚流は大粒の涙をこぼしながらかぶりを振り、ひたすら謝り続けた。汚れてしまったことに対する懺悔。彼女は何も悪いことなどしていないのに、暴行され続けている被害者なのに、それでも罪悪感を感じてしまうのだった。膣内を紳一のものが出入りし、男の精液をなすりつけられて汚されるたびに、大切な人を裏切ったかのように、ふさわしくない女になっていく気がして仕方がなかった。
「柚流! こ、ここはどこなんだ!? 一体誰がこんなことを!」
「う、う……。云え、ない。云えない……の……。ゆる、してぇぇぇ……うあぁぁぁぁっ!」
柚流は答えない。それもそのはず。事前に脅されていたのだから。手掛かりになるようなことを云えば、即座にこの男を殺す。と。だから、何も云えずに犯されるだけなのだった。
紳一の腰の動きが更に早くなる。そうして、程なくして達す。
「あっあっあっあっあっ! いっ……やあああああっ! 出さないでええええっ! 中はいやだああああああっ! あぐううううっ!」
拒否の声など通じるわけがなかった。体の中から熱いものが込み上げてくる。紳一が中に射精したのだ。子宮にまで届く程大量に、勢いよく。
そうして紳一は荒い息をつき、ぐったりとしている柚流の中から引き抜き、今度は体位を変える。どんなに柚流が泣きじゃくろうと、許しを乞おうと休む暇など与えない。仰向けに寝そべり、その上に柚流を跨がせて再度挿入させる。そのまま紳一はにやりと笑いながら、壁際に立っている男を指さして、こっちに来いと促した。
その男。若く、凛々しい顔つきの青年。直人は紳一の命に応じてやってきて、そして……。
「あっ!? あうっ! あううううっ! あぐうっ! い……あっ!」
そのまま柚流の剥き出しになったアヌスへ、大きくそそり立ったものを挿入させた。
「いやあああああっ! そんなところ! お、お尻はいやぁっ! やあああっ! やだああああっやめてえええええっ! 入れないでええええっ! た、助けてええええっ! 春彦くんっ! 春彦くんんっ! 助けて……あがあああああっ! うぎゃあああああっ! あーーーーっ!」
柚流の二つの穴に、男達のものが同時にずぶずぶと入り込んで行く。あまりの圧迫感に、柚流は目を見開き口を大きく開けて涎と涙をこぼしながら絶叫し続ける。痛みと羞恥と悔しさ、そして好きな人の目の前で陵辱されているという惨めさに耐えきれずに。その悲鳴が男達を更に興奮させていくのだ。
「柚流……っ! や、やめろおおおおっ! やめろおおおっ!」
春彦も絶叫。男達は愉快そうに笑いながら、行為を続ける。紳一は柚流の口をむさぼるようにキスを繰り返す。舌を絡め合わせるくらいに。唾液がふれ合い、糸を引く。春彦とはキスすらしたことがないと云うのに目の前で何度も……。
直人は執拗に、柚流の大きな胸を何度も揉みしだく。柚流はひたすら揺さぶられ続けた。
わずか数分後。
「柚流……」
「あ……あふ。あ、あ、あぁぁ……」
二穴責めの後、呆然と横たわる柚流。秘所とアヌスから、白い精液がとろりとたれていく。そんな柚流の髪を紳一は乱暴に掴んで起こす。立って歩くことすらできなくなるくらい、激しい凌辱は繰り返される。
「う、あぁぁぁ! や、め、てぇぇぇ! もうや……あぁぁ! やめてぇぇやめて……えぇ! もうしないでぇぇ! いやいやいやああぁぁぁっ!」
相変わらず泣きじゃくり、嗚咽を漏らす柚流。紳一は構わず無理やり引きずり、そして春彦のズボンのチャックを降ろし、そこに柚流の顔をうずめた。そこには柔らかな感触があった。
「やああああっ! んぐうううううっ!」
「柚流っ! や、やめろおおおっ!」
春彦のものは、気持ちとは裏腹に大きくそそり立っていた。一気に柚流の口の中に挿入されていた。逃れられないように、紳一はあごをしゃくり、直人に柚流の頭を押え付けているように命令した。
「んーーーーーっ! んうーーーーーっ! んぐうううううっ!」
柚流は呼吸が上手くできず、くぐもった悲鳴を上げる。直人は突然、柚流の頭を揺さぶり始めた。春彦のものをしゃぶらせるために。守るべき人のはずなのに……。好きな人によって陵辱される。柚流は思う。どうして……と。疑問に答えてくれる者はいない。
「んんんんんんっ! うううううううっ!」
それでも柚流は必死に舌を動かす。こんな状況においても、相手のことを考えてしまう生真面目さだった。心の準備などできるわけがない。無理矢理のことに、嫌悪感に満ちあふれる。いくら好きな人とだからと云って……。
「う……ああっ。柚流……だ、め……だ」
せめて……。大切な人に、苦痛を与えたくない。ただその一心だった。だが……。男達は柚流の想いを踏みにじる。
「んひっ! ん……んんんんんっ!!」
突然。アヌスに堅いものが押し当てられ……ずぶずぶと入れられる。勢いを取り戻した紳一のものだった。すぐさま前後に動かし始める。柚流は口を必死に開け続ける。正気を保たなければ……彼の命が危ない。
「んひいいいいっ! んううううううっ!」
直人は薄く笑って云った。紳一様に犯されながら、愛しの彼氏のものをしゃぶるのはどんな気分だ? と。そして更に続ける。ケツの穴をほじられて感じてる変態クラス委員長さんよ、と。
言葉になどできるわけがなかった。絶対に感じてなどいない。お尻の穴に入れるなんて、人間のすることじゃないわ。……そう云いたくても、できなかった。その間も、直人は柚流のことを悪し様に云う。乳首が起ってこりこりしているぞとか。犯されて嫌々云っているくせして、あそこがびしょびしょなのは何でだとか。実はお前は、見境なく男のものをくわえ込み、精を吸い尽くすのが好きなんだろう? 真面目くさった顔した淫乱女が。お前が感じるには媚薬など要らないんだろう。とか。そのたびに柚流はさめざめと泣く。
(違う違う違ううううううっ! 私はそんなんじゃないいいいいいっ! そんなこと云わないでっ! 聞かせないでえええええええっ! いやだああああああっ! 違ううううううっ!)
半狂乱になりたくてもなれない哀れな柚流。紳一と春彦は同時に達した。柚流の口とアヌスに、熱いものが射精されていく。大切な人のものも……犯している相手のものと同じ味だった。飲み干そうと試みるも、無理だった。喉に力が入らず、涎のように垂れて柚流の顔は更に汚される。
「い、やぁ」
ちなみにな、と直人は云った。この様子はすべて、大広間でリアルタイム映像として流れているからな。と。みんなに見てもらっていい気分だろう、と。柚流は心の底から死にたい、と思った。
(私……。壊れ……る……)
…………
「やめろ! やめろおおっ! やめろおおおおおっ!」
「ああああああっ! いーーーやあああああっ!」
ぎし、ぎし、と椅子がきしみ、床とこすれ合う。春彦の上にまたがされている少女がいた。だが、それは柚流ではなかった。
(……こんな、の)
大切な人が汚されている。そんなことを云ってはいけないと、わかっているのに。自分ではない別の娘……クラスメイトと交わっていた。
「いやあああああっ! いやいやいやあああああっ! 痛いよおおおおおっ! やあああああっ! やめてえええええっ!」
またがされているのは狭山亜衣。二人……柚流と春彦と同じように背中で両手を縛られた状態で挿入させられ、強引に体を上下に揺さぶられている。苦痛と恥辱に大粒の涙をこぼしながらかぶりを振る。柚流と同じように、処女を破られたばかりの亜衣は、ただ柚流を虐めるためだけに春彦との性行を強要されていた。男達のサディスティックな要求を満たすためだけの道具にすぎなかった。
目の前で彼氏が別の娘とヤっているところを見るのはどんな気分だ? 柚流は耳元でそうささやかれる。答えられるわけなどない。そう思う。彼らは自分の悔しさをわかっているからこそ、直人はそんな意地悪なことを聞くのだ。目を背けたい。耳を閉じたい。ここからいなくなりたい。ただそれだけなのに、今も男の指がアヌスとあそこに何本も入ってきて、ぐちゅぐちゅとかき混ぜる。私はおもちゃだ……。柚流はしみじみと、そう思う。だからどんなことでもされる。嫌がる事は許されない。飽きられたらゴミのように捨てられることだろう。
「う、うぅ……あふぅっ。やだぁぁぁ」
声が出てしまう。けれど力が入らない。下半身が火照る。熱い。腰が……揺れる。違う。柚流は腰を小刻みに振るわせていた。どうして、どうしてこんな。柚流は困惑した。無意識のうちに体が快感を求めていた。ひどい。やめて……。柚流は止まらない自分の体を自覚し嘆き、泣いた。
「やめろおおおおおおおっ! やめろやめろやめろおおおおおっ! うああああっ!」
「助けてええええええっ! いやだあああああああっ! うああああああんっ!」
激しく貫かれ、亜衣の絶叫は続く。春彦も。それなのに自分は……。
(死にたい……)
柚流は猛烈な自己嫌悪に苛まれた。体さえ自由なら……自殺していたかもしれない。しかし、無理だと云う事にも気付いていた。自分が死ねば……春彦も亜衣も巻き添えにされる。
春彦は達し、亜衣の中に大量の精液を放出していた。
(誰か……。私を……殺し……て……)
同時に柚流は、アヌスに激しく出入りするものを感じている。背後から胸を揉みしだく手の感触も。
初めて犯されたあの日。バストの大きさを聞かれた時。媚薬を飲まされて、意図せず答えてしまった。ウエストも、ヒップも。誰にも云えない秘密だったのに。触らないで……。揉まないで……。そんな恥ずかしいところ……。声が出ない。せめて男の手を剥がそうとするも、力は完全に抜けていた。
どこまで犯せば気が済むのだろう? もうおしまいだ。柚流はそう思った。恋人にも両親にも、そしてクラスメイト達にも合わせる顔などない。汚され尽くし、媚薬で乱れ醜態を晒し、何もできない。自分が無能だからいけないのだ。だから誰も助けられず、不幸にしてしまうのだ。もう、どうでもいい。犯されてしまったのだから。汚されてしまったのだから。
画面が乱れるかのようにノイズが入り、意識が薄れ行く。……どれ程の時が過ぎ去ったのだろう? 自分の身体にごつごつと何かをたたきつけられ、ひたすら激しく揺さぶられているのを自覚する。あそこにもお尻にも、そして口にも射精される。きっと時間が立てば自分は妊娠してしまうことだろう。でも、もうどうでもいい。どうでもいいと思わなければ……いけない。
おい。と、男の声。もはや誰の声かわからない。彼は云う。股を開け、と。
「……。は……い……」
柚流は恥じらうこともなく、消え入りそうな声でつぶやき、柔順に足を開く。度重なる凌辱で痛々しく腫れ上がった秘所が露になる。男は続けて云う。オナニーしろ、この淫乱委員長、と。
「ん……ん、ん」
手慣れたものだった。しなやかで細い指が、敏感なところをつねったり、こすったり。柚流は喘ぐ。目の前は大広間だった。まだ凌辱の宴は幕を開けたばかり。二十人くらいはクラスメイトが残っていた。そんな中で全裸の柚流は自慰行為をさせられた。
(みんな……見てる……。ああ……)
男が耳元でささやいた。クラスメイト達に見てもらうよう、笑顔でお願いしてみろ、と。
「あ、あ、あ……。お願いみんな。……見て。私のおま○こ……見て……。ほ……ら……」
涙を幾筋も流し、しゃくり上げながら、無理矢理笑顔。狂気のような表情。……いつしか首輪をつけられて、鎖でつながれている。そうして男は更に云う。犬なら犬らしくここでしてみろ、と。
「う……あ……」
木造の床に片膝をつき、片足を高く上げた状態で小便をさせられた。
雨音だけがかすかに響く広間の中に、ぴしゃぴしゃと滴が垂れ流される音が加わった。
誰もが息を殺しながら見ている。自分のあまりにも恥ずかしいところを。平気だ、と思った。もうどうでもいいから。だけど。
「あぁん。きもち……いい、の」
目尻からはとめどなく流れ落ちる涙。柚流の気持ちなど無視してそう云えとささやかれたから云った。どうして私は泣いているのと、柚流は困惑した。
「あ……ぅ……。き、もちいい……の。もっと、もっとして……ほしい、の。もっと私のおま○ことおしりにぃぃ……入れて、ずこずこして、ぱんぱん突いて……いっぱい出して、ほしいの」
それもこれも全て嘘。男のささやきによる命令。意図して出した言葉ではなかった。そうしてまた四つん這いにされて突かれながら、柚流は続ける。
「私……はぁぁ。うめみ……や……あっ! ゆ、ずる……は……あっあっ」
痛みも残っているし、嫌悪感は相変わらずだ。それなのに、云わなければならない。そうしないと、誰かが痛い目に遭う。もう自分はどうでもいい。助からなくてもいい。変態扱いされて、恋人やクラスメイト、果ては両親から幻滅されても。でも……悔しい。悔しいのだ。ひたすら理不尽な扱いを受けて、弄ばれて。
「お、か、さ……あう! れて、感じて……る……ぅっ。……淫乱、なの……あうっ!」
突如、紳一の腰の動きが止まる。そうしてまた、ささやき。
「う、あ、あ……あああああーーーーっ! あーーーーあーーーーあーーーーっ! い、いいっ! いくっいくっいっちゃうううっ! せっくすきもちいいいいいっ! あううううううっ!」
柚流は半狂乱になって、腰を振り始めた。淫らに、クラスメイト達に見せつけるように、甘い声を上げながら。紳一が達するまで。淫乱なところを見せてみろと云われたから。
……………
「うあああああああっ! 許してえええええっ! 帰してええええええええっ! おうちに帰してえええええええっ! おうちにいいいいいっ! おとうさまあああああっ! おかあさまああああああっ! 助けてええええええええっ! うわあああああんっ!」
知的でしっかり者のクラス委員長はもはやどこにも存在していなかった。目を見開き、舌を出して口を大きく開き、白痴化したような……幼児帰りしたかのような言動を繰り返す。
強力な媚薬を盛られ、アヌスを突かれながら感じていたのだ。クラスメイト達に囲まれながら。
この悪夢はいつ終わるのだろう? 気が付いたら、頬に冷たい滴が流れ落ちていた。柚流は泣いていた。どうして、と思った。あれだけ酷いことをされて、もう諦めたはずなのに。悔しい、と思った。今まで見ていたものは全て現実。目茶苦茶に乱されてしまった。だから……どうでもいいと、そう思ったはずなのに。どうして諦められないの。もう、悲しい未来しかないのに。柚流はもがいた。
「たす……け、て……」
そんな声が漏れた。自分の口から発せられた言葉。本当の気持ち。
「あ……ぅ……」
「ぐ……う、う」
ぎし、と音を立てて何かが部屋に運ばれた。椅子にくくりつけられたままの春彦と。彼に挿入されたまま、離れられないようにロープで縛られた亜衣だった。散々揺さぶられて犯され、亜衣は泣きつかれ、ぐったりして一言もしゃべらない。二人ともまだ、一つになったままだった。
男の誰かが云う。柚流。この男と別れろ、と。皆の前で宣言しろと。そうすれば男の命は助けてやる、と。否と返事を返したときは……。
平気なはずだ。全てを諦めたはずだ。涙はきっと気のせいだ。だから、云う。
「はる……ひこ……く、ん……」
嗚咽が込み上げる。頭の中に今までの思い出が蘇る。好きな人との楽しかった時間。この前の、デートの時。喫茶店での会話。修学旅行のお土産を楽しみにしててね、と。クラスメイトには内緒にしていた、柔らかい笑顔。クラス委員長ではない、ごく普通の……恋する女の子の笑顔。
でも……云わなければ彼は殺される。もう二度と会えない。同じ未来しかないのならば……。銃弾を頭にたたき込むような一言。云いたくない。でも……でも……。柚流は思う。今ここで、誰かに殺されても恨んだりなどしない。むしろ感謝する。あまりにも残酷すぎる運命を絶ちきってくれるのだから。誰か殺して。むなしい願いだとわかっていつつ、どうすることもできない。柚流の生き地獄は続く。
「柚……流」
疲れ切った彼は、恋人の名前を呼ぶことすら難しくなっていた。
「さよ……な、ら……」
柚流はついに、禁断の言葉を云い終えてしまった。その瞬間。柚流の中で、決定的な何かが壊れた。
柚流の宣言に満足したのか、男達は更に非常な行為に出た。柚流は皆の前で、奴隷の宣言をさせられた。大きな乳房はぎゅううと絞り上げるかのように縄を食いこまされ、縛られる。とがってしまった乳首は何度もも吸われて赤くなっている。そして鼻にはフックのようなものを入れられ、引っ張られていた。豚の鼻のように延びきり、柚流の端正な顔は火照り、涙と鼻汁と涎まみれになっていた。あまりにも惨めな姿だった。
「あ……ひぃぃぃ。ひぃ、ひぃぃ〜。ひぃひぃぃ……あひぃ」
仁王立ちする男達の、足の指をなめさせられた。ぴちゃぴちゃと、唾液がこぼれて行く。そうして続いて、男達の尻の穴を嘗めさせられた。
「あ……あぁぁ……ぁは、ぁ、あぁ……」
丁度その頃、春彦は目隠しを解かれていた。久しぶりに見た柚流の姿に絶句する。そうして柚流は改めて宣言をさせられた。
「わ……た、し、は……。しん……い……ぅぅ……ち、さま……の。ど……」
ちゅうう、と音がする。柚流の尻の穴に、何かが突き立てられ、入っていく音。冷たいそれは……浣腸液だった。強力な媚薬入りの……。
(違う違うちがうちがうちがううううううっ! やだやだやだやだやだあああああっ! 助けてええええっ! ここから出してええええっ! お願いいいいいいっ!)
柚流は心の中で叫んだ。これまでの凌辱で、既に奴隷としての宣言などするまでもないのに。してしまったら……本当にもう、全てが終わってしまう。
(いやああああっ! 云っちゃだめえええっ! 云わないでええええっ! おうちにぃっ! おうちにかえしてええええっ! もうひどいことしないでええええええっ! 誰か助けてえええええっ!)
ぐるるる、とお腹が鳴る。浣腸器は引き抜かれ、そこに男のものが押し当てられ、激しく出入りを開始した。ぶす、と刺されたかのような感触。ぐちゅぐちゅと犯される。既に決壊をはじめていた……。
「ど、れい……で……す……」
ずこずこずこ。そんな表現がぴったりなくらいに、柚流は大きく震わされた。
(きゃああああああーーーーーっ!)
……二度と服を着させられず。二度と地上に戻されず。二度と首輪を外されず。二度と人間扱いなどされず。柚流は従順な性奴隷に成り下がった。どうせ皆同じだ。寂しくないだろう? 男達は少女を痛め付けながら云い放つ。牢の中には少女達の悲鳴が毎日のように響き渡る。
「あっ……あ、あ……あぅ……」
日々、犯される毎日。秘所もアヌスも激しく貫かれた。気が付けば、ぱんぱんと激しく交わる音。四つん這いにされた自分が犯されている音。聞き慣れてしまった音。
「……ひこくん」
柚流は今。大好きな彼と一緒にいた。初めての時を迎えている。結婚式を終えた日の夜。
「やさ……しく……して……」
破瓜の恐怖。きっと痛いのだろうという不安に苛まれる柚流を包み込むように、彼は優しく抱き締め、キスをしてくれた。暖かくて力強い体で。
「あ、あ……」
現実。男達のものを何本もくわえ込み、じゅるじゅるといやらしく音を立ててしゃぶる。柚流は性的に奉仕するだけの人形だった。
「いやあああっ!」
時にクラスメイトのお尻の穴を嘗めさせられたり、痛々しい秘所に指をつっこまされたり。嫌がるクラスメイトの腕を握り、拘束して凌辱させたり。逆もまたしかり。
……やがてその日の凌辱は終わり、静まり返った牢の中。誰かがすすり泣きを始めた。
「う、う……」
誰も咎める者はいない。止める者も、慰める者も。犯され、全裸にされたクラスメイトの数は増えて行く。まだ自我のある少女は柚流に声をかけるけれど、何も答えられない。やがて少女は声をかけるのをやめた。無駄だと悟ってしまったから。そしてすぐに自分もこのようになってしまうのだろうとわかり、ため息と共に涙をこぼす。
そんな柚流の口に、男……直人のものが突っ込まれた。が……いつものように腰を前後したりしない。どうしたのだろう、とまだ自我のある少女がいぶかしむ。答えはすぐにわかった。
「う、んぐ……う、う……」
直人は柚流の口内に放尿をはじめた。柚流は従順に飲み干した。十数秒間の無言。こく、こく、と喉が揺れるのを見て直人は満足し、後ろの男を促す。ヒヒヒッと笑いながら、古手川も同じ事をする。柚流は苦しそうにしながらも、何とかそれを飲み干す。最後には木戸。彼も同じ事をするが、さすがにもう飲めないようだ。柚流はむせ返り胃液を吐くが、木戸は許さない。最後まで口の中から引き抜かなかった。そのままフェラチオを強要する。口の中から溢れたものがびしゃ、と落ちる。
「ぐげ……! あが……! うぐ……ぅ」
更に、柚流は遂に戻してしまう。今までに飲んだ分が全て床にびしゃびしゃと落ちる。木戸は怒って柚流の胸をぎゅううと握りつぶすように揉み、乳首が引きちぎれそうなくらい引っ張った。そしてそのままの流れで柚流のアヌスを貫き、クリトリスを引きちぎりそうなくらい強くつねった。
「あああっ!」
柚流は失禁し、そのまま気を失った。
木戸は柚流の股間から流れ落ちる滴を、横たわる文の口に押し付けて……飲ませた。文も柚流と同じように、うわ言を繰り返し、男達を満足させるだけの奴隷と化していた。散々柚流のアヌスを犯した後、すぐに文のアヌスへと挿入し、犯した。それでも満足出来ず、帆乃香、礼菜、せりかと順次犯していった。
時は更に過ぎ去る。
牢の中の少女達は全員床に横たわっていた。
男達は少女達に飽き、置き去りにして出て行ったのだ。
「それでは、班を決めましょう」
修学旅行前のホームルーム。黒板の前に立つのはクラス委員の柚流。元より元気な娘の多いクラスだけに、時に暴走しがちだが、司会進行はばっちりだった。統率力があるのだろう。
クラスメイト達の視線も柚流に集中する。それに対し、柚流は……。
「公平に、くじで決めますね。よろしいですか?」
優しくも柔らかな微笑を見せる。クラスメイトは皆満場一致で頷く。
誰もが可愛らしい制服に身を包み、修学旅行を楽しみにしていた。きっと、思い出に残るに違いない。班決めも楽しい一時だった。楽しい企画も考えている。きっと盛り上がるだろう。そう思うと、表面上は落ち着いていてもわくわくしてきてしまう。
(私も早く行きたいです。春彦くん)
誰にも聞こえない、心の中の独り言。
食い散らかされたかのように、全裸の少女たちが横たわる牢。
柚流は一瞬ビクッと震える。そして、ぶぴゅ、ぶぴゅ、と立て続けに音を立ててアヌスから精液がこぼれて落ちた。未だに残る程、男達の凌辱は執拗を極めたのだ。柚流はひくひくと震えるが、段々と弱まっていく。そうして凍り付いたようになり、二度と動くことはなかった。
空洞と化した虚ろな瞳から、涙が一粒こぼれ落ちた。
柚流は犯し尽くされて、死んだ。
最後に思った事。それは……。
(ただ……いま……)
二度と会えない、大切な人達の笑顔だった。
そこは自宅前。柚流は制服姿。いつもの凛々しい姿。
『ただいま』と云おうとしたら突如、制服が粉々に吹き飛んだ。
気がついたらあそこも、お尻も、口も
白く染め上げたように、汚されていた。
そして、男達が現れ、自分を犯し始めた。
皆の目の前で。起こり得ない事。
これはきっと、悪い夢なのだろう。
柚流はそう思うことにしたのだった。
-了-