-悪夢EX Another episode 2nd-
ボクはずっと、犯されていた。
……あの時。バスごと誘拐され、広間に集められたボク達は何も出来ないまま一人ずつ連れ去られていった。
「彩乃。来い」
「っ!」
その先で何が起こっているか、ボクはわかっているつもりだった。それでもボクの番が来てしまった時。男の人に声をかけられた時。すごく怖かった。きっとみんな同じ気持ちでいたんだと思う。それでも、抗議をしてみた。悪いことをしているんだよ、って、ボクを呼び出したおにいさんに云った。云わないままではいられなかったから。
でも、抗議は受け入れられなかった。それどころか、ボクは突然抱き締められてファーストキスを奪われた。……ボクにだって好きな人がいるのに、ひどいよと云った。でも、そんなことも全部無視された。
それからボクは服を全部剥ぎ取られた。もちろん抵抗した。でも、暴れてももがいても無駄だった。何度も嫌だって云ってるのに、必死にやめてって云ってるのに、何一つとして聞いてはくれなかった。上着もスカートも、下着もソックスも。全部、強い力で無理矢理脱がしては、放り投げられてしまった。みり、と裂けるような音がしてブラジャーが引きちぎられて、ショーツも思いきり引っ張られて切れてしまった。そうしてボクは完全に裸にされてしまった。ものすごく恥ずかしくて、心細くて、悔しかった。その時の気持ちは、あのおにいさんにわかるわけがない。ボクだって女の子だから恥ずかしいところを見られたくなくて、両手で覆いながらしゃくりあげた。
でも、それだけじゃ済まなかった。気付いたらおにいさんも服を脱いでいて……股間のものが大きくそそり立っていた。それに気づいてボクはビクッと震えてしまう。みんな、あれに貫かれたんだと思って。
(怖い)
そんなボクにおにいさんは云った。これを舐めれば家に帰してやるぞ、と。……そ、そんなの嫌だよとボクは動揺しながら云った。だけど、だけどみんながされていることを想像すると……。ボクは真剣に悩み、迷い、そしてすることにした。するしか、なかったんだ。
仁王立ちするおにいさんの股間にボクは顔を押しつけられて、しゃぶらされた。ボクの短い髪を痛いくらい強く捕み、ぐいぐいと奥まで強引に押し込み、逃げられるわけがなかった。酸っぱくて臭くて、ものすごく気持ち悪くて悔しくて、惨めで涙が止まらない。そして、もじゃもじゃした毛が唾液と絡み合ってボクの頬や唇を汚す。こんな……男の人のものを口でくわえさせられているなんて、ひどい。ひどすぎる。……でも、歯を当てたり傷付けたりしようものなら何をされるか。そう思って、顎が外れるくらい思い切り口を開け続けないといけなかった。こぼれ落ちる涎を拭うこともできず、ボクの口はおもちゃにされた。じゅぷじゅぷとひたすら音を立てながら汚された。
そうしておにいさんは達し、ボクの中に大量の熱いものを吐き出した。薄く、低い声でおにいさんは云った。全部飲め、と。そんなの無理だよと思ったけれど、従わなきゃ絶対に怖い目に遭わされる。叩かれるかもしれないし、すぐさま犯されるかもしれない。ボクは必死に飲み込んだ。強烈な匂いと味にこみ上げてくる吐き気を堪えながら。でも、約束したんだ。これできっと帰れる。家に帰れるんだ。けれど……。
最初からそのつもりだったのかもしれない。くくくと笑いながら何のことだ、と、おにいさんは残酷な事を云った。約束が違うよ! と、思わずボクは叫んだ。そうして強引に部屋から出て行こうとしたら……腕を捕まれて、圧倒的な力で引きずられ、ベッドの上に放り投げられた。そうしてもがくボクはごろごろと転がされ、何度も体をひっくり返されて、おにいさんの上に跨がされて……。
「い、い、いやあああああああああっ!」
ボクは大きく目を見開いて、やめてと叫んだけれど、遅かった。ずぶりと貫くように、一気にそれはボクの中に入ってきた。
(汚……された……)
こうしてボクは犯された。初体験……バージンを奪われた。こんなところで、こんな形で、こんなひどい人に。ボクは悔しさと悲しさの余り絶叫し、泣いた。助けて……パパ、と。こんなの、もう嫌だよと叫んだ。
それでもおにいさんは容赦しなかった。痛みにのたうち回るボクのことなんてまるで無視して、あそこをがんがん突き上げながら、胸を何度も揉んできた。ボクの小さな胸をわざと優しく揉み回したんだ。そしたら変な気持ちになってきた。どうして……と、ボクは戸惑った。
(な、に……?)
乳首をつまみ上げられ、クリトリスを撫でられると、痛みとは違う熱い感覚。何で。どうして。ボクは……ボクは今、レイプされているのに。とても酷いことをされているのに。こんなの嘘だよ……おかしいよ。そう思っても、こみ上げてくる感覚は確かなものだった。おにいさんはそんなことに気づいてしまった。
「ち、が……う」
犯されているくせに感じてるな。胸をもむたびに締まりがよくなるぞ、この変態が。と、耳元でささやいてボクを追い込む。ボクは否定した。違う……違うのに。どうして……。悔しい……。
あまりの酷いことに呆然とするボク。でも、それだけじゃ終わらなかった。おにさんはボクの中に熱いものを出してから引き抜いて、そして……。
「やっ! そ、そこはっ! そこは嫌だよぉぉっ!」
ボクの体の信じられないところにそれは押し当てられた。お尻の穴に……。
そんな所に入れられると知って、必死に逃げなきゃと思ったけれど、体を完全に掴まれていて、しかももうボクは体から力が抜けてしまっていた。抵抗する事なんて、もうできなくなっていた。
「あ、あっ……! いっ……!」
叫ぼうとした。けれど、おにいさんの大きな手がボクの口を塞いだ。ボクはくぐもった声しか上げられなかった。そうして延々と、ボクのお尻は掘られるように犯された。ずぶずぶと入り込んでくる度に、すごい痛みと、熱さ。みんなもこんな思いをしているんだ。こんな、死にたくなる程悔しい思いを。そう思う間に、奥まで入り込んでしまい、出入りを開始する。ずぐ、ずぐ、と頭の中に音が響く気がした。
「んんーーーーっ! んうううううっ! んーーーんーーーっ!」
もう、おしまいだと思った。おにいさんはボクのお尻を徹底的に犯して汚し続けた。ようやくおにいさんの手が口から離れ、喋れるようになった。ボクはもう、ボクじゃなくなっていた……。
「あ、あ……お尻がああああっ! お尻がああああっ! し、死んじゃうよおおおっ! 助けてえええええええっ!」
散々揺さぶられた挙げ句、熱いものをお尻の中にまで吐き出され、ボクは気を失ってしまった。
これが、ボクの初体験だった。
ボクが気がついたとき。
周りには、みんながいた。
礼菜ちゃん。柚流さん。文さんに帆乃香さん。……連れ去られた誰もがいた。そこは地下牢だった。
「み、んな? ……痛っ!」
大丈夫、と問う余裕はなかった。お尻とあそこに激痛を感じたので触ってみる。とろりとしたものがこぼれ落ちた。あのおにいさんがボクの中に出したもの。忌まわしき記憶。犯されたのが現実だと云う証拠。そしてもう一つ。ボクの首には皮のバンド……首輪が付けられ、鎖で繋がれていた。動く度にジャラ、と鎖が絡む音がする。周りの皆も同じ。服を全て脱がされて全裸にさせられ、恥ずかしい所は腫れ上がっていたりボクと同じように出されたものがこびり付いていたりしている。
「こ、んな……の」
虚ろな瞳。礼菜ちゃんも柚流さんも、ボクの姿が見えてるかどうかわからないような感じにぼんやりしていた。アイドルの礼菜ちゃんは静かに、小さく呟くように歌を歌っていた。楽しかった頃を思い出しているのだろう。みんなが知っている新曲を。みんな……壊されてしまったんだ、とボクは思ったけれど。
「文さん」
「……」
文さんは目を伏せて涙をこぼし、震えていた。まだ心は壊れてはいなかったようだけれど同じこと。……きっと、ボクと同じような目に遭ったのだろう。ボクに同情しつつ、自分の境遇も同じだと知りしゃくり上げた。誰もがすぐに、壊されてしまうことだろう。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
何日過ぎたことだろう。
ボクはまた、あのおにいさんに呼び出された。
「いやあああああああっ! やめてええええええっ!」
また、同じ事をされた。一度だって死にたくなる程嫌なのに……。ボクの体は揺さぶられ続け、口も、あそこも、お尻も汚された。牢の中のみんなもあのおにいさんに汚されたんだ。同じ人に……。
「やだあああああっ! こんなとこ撮らないで! やめてええええっ!」
今回はそれだけじゃなかった。ボクが犯されているところをビデオカメラで撮っていたのだ。もはや忘れようのない記憶にされてしまった。
それからまた数日後。ボクはもう、意識が朦朧としていて、横たわっていた。ガチャリと牢が開かれ、どさっと何かが投げ出される音が聞こえた。柔らかくて、小さな体。横たわるボクと目が遭った。
「あ……ぅ……」
それは確か、せりかちゃんだった。もうクラスメイトの顔すらよく思い出せない。度重なる陵辱に、虚ろな目からは涙がこぼれている。せりかちゃんの首には赤い跡が付いていた。首輪を付けられて思い切り引っ張られたのだろう。せりかちゃんも呼び出されて犯されて、ボク達の仲間入りになってしまったのだ。男嫌いを公言していたせりかちゃん……。さぞかし辛い時間だっただろうと思うけれど。ボクも同じ……。
更に時は過ぎた。
ぱんぱん、と何かがぶつかる音が響く。牢の中で、誰かが犯されている音。何故か男達が数人入り込んでいた。
「あ、ふ」
誰のだろう。甘い声が聞こえる。……しばらくたって気付く。それは他でもない、ボク自身の声だった。ボクはお尻の中に入れられて、そんな声を上げている。ボクは今も犯されているんだ。でももう、どうでも良くなってきた。
「あ、あっ」
ボクが犯されてるその横で……せりかちゃんも同じように犯されていた。犬のように首輪を引っ張られ、のしかかられて。男達は順繰りにボク達を犯していく。それから数分後。今度は別の子が標的にされていた。ボク以上に小さな体の流花ちゃんとひなちゃんは体を持ち上げられて、下から突き上げられていた。二人仲良く犯してやるよと男たちは云った。
……裸の女の子達が四つん這いにさせられ、電車のように繋がされていた。 先頭の柚流さんの股間に文さんの顔が押しつけられて、舌と指での愛撫を強要されていた。
「ひ、は、ぁ」
「あふ。はふ……」
文さんの後ろには帆乃香さん、礼奈ちゃん、せりかちゃん……紫音ちゃんにひなちゃんに流花ちゃんに鈴ちゃんに……そして最後尾はボクだった。男達はみんなに命令する。舌であそこを愛撫しつつ、尻の穴を指でほじって感じさせてやれと。
昔の……あのおにいさんに汚される前のボクなら、嫌だと云ったはず。だけど今はもういいなりにされていた。ボク達は男達の奴隷でおもちゃで、人形なんだから。何をされても仕方がないんだ。もう、家に帰る事なんてできないんだ。それはみんな同じで、誰もが従順に云う事を聞いていた。
「あ、あぁぁぁ」
「あぅぅぅ、はうっ」
突然、ボクのお尻に男のものがねじ込まれ、激しく突き始めた。こいつの尻は締め付けが最高だ、とか云いながら。力強い衝撃に、ボクは顔を目の前の鈴ちゃんのお尻にめり込ませてしまう。鈴ちゃんはボクによってあそこを舐められ、お尻の穴をほじられて喘いでいた。その前の流花ちゃんも同じ。そうしてそれはドミノ倒しのように続いてく。最前列……柚流さんの口には別の男のものがねじ込まれ、ボクとは逆にぐいぐいと押され始めた。みんなの喘ぎが響き渡り、男達の高笑いが響いていった。こいつらみんな壊れて淫乱になっているぜ、とか。あへ顔しやがって、とか。ボクもそうだけど、全員媚薬を飲まされていたのだろう。もっと時間がたってから……牢の中では誰彼構わず体を舐め合っては喘いでいた。みんな完全に心を壊されたんだ……。
「あひ、あひぃ」
「あ、あ、あ」
「ん、んふ……う」
ボクのクラスは修学旅行中に誘拐されて……
そして、全員犯されて汚されました。
そんなこと、考えたくもないのに……。思い浮かんでしまう台詞。
ここはどこだろう。
病室。カーテンもベッドも床も壁も全て白一色。綺麗だけれども、寂しいという印象の方が強かった。
暗い闇から出たような、ずっと夢を見てきたようなそんな気持ちだった。
(ここ、は?)
そうだ。思い出した。そうだったと繰り返し自分に言い聞かせる。あまりにも過酷な事実で、ボクはすぐに忘れてしまう。忘れないと辛すぎて無意識のうちに死のうとしてしまうから。かなりの時間がたってからようやく、それも治まった頃だったんだ。
ここはボクが入院している病室。個室だから、他には誰もいない。
あの時……ボク達の修学旅行からかなりの時が過ぎた。結局あの場所は警察に発見されて、ボク達は解放された。男達はどうなったかはよく知らないし、覚えていない。捕まったのか、逃げたのか。でも、ボク達は助かったけれど、とてもじゃないけれど幸せとは云えなかった。
既に遅すぎたのだ。その結果、クラスメイトの半数以上は亡くなった。衰弱死らしいけれど、詳しいことは教えてもらえなかった。恐らく……生きているのは数人程度だろう。あまりにも過酷な時間だったから、身も心も持たない子がいても不思議じゃない。ボクは……運良くたまたま生きていられたのに過ぎない。助けられて病院に入れられて、それからまたずいぶんと時間がたってから事実を聞かされて、ボクは文字通り卒倒した。大好きなパパやママ、兄弟と再会できたけれど……ボクはもう、昔のボクではいられなくなっていた。大切な人達と再会できただけでも、ボクは幸せだったのだろう。
それでも、全ての終わりはまだこれからだった。
曇り空の見えるある日のこと。
「う、ふ……ぐっ!」
あの時の悪夢とまるで同じだ。突然、会ったこともない男達が数人、病室に入り込んできて、ボクをベッドから引き倒し、犯した。不労者のような、大きな体をした男がボクのお尻を犯した。そして、耳元でささやく。久しぶりだな、と。それから続けてお前以外の娘も同じ目に遭わせたと云った。間違いない。この男達は、あの時と同じ人物だ。姿が違うのがどうしてだろう、などと思う余裕などなかった。
ボクはあの時と同じように全裸にさせられ、白い床の上でお尻とあそこを同時に犯された。そうして前からも口に……。
「ぐ、うぅぅぅ! げふっ!」
その最中、何枚か写真がばらまかれた。それは……ボクと同じ目に遭っているクラスメイトの姿。ひなちゃんは看護婦さんと一緒に犯されたんだ。文さんは着物を剥ぎ取られながら、茂みの中で汚されたようだ。紫音ちゃんと礼菜ちゃんは全裸にさせられ、鎖の付いた首輪で繋がれて……暗いグラウンドのようなところ、ううん、見覚えがあるよ。そこは夜の学校。二人に見せつけるためだろう、ボク達の学校に連れ込んで犯したようだ。酷い。その一言しか出てこない。誰もがみんな例外なく目を見開いて幾筋も涙をこぼし、白目を剥いていた。そうしてみんな、殺されたのだろう。悲しそうな瞳は空洞と化していた。
「あ、あ、あ、あ、ぁぁ」
ずこずこと突かれながら、ボクは歩かされた。そうして辿り着いたのは窓際。地下室に監禁されたあの時と違い、空が見える。夜のように暗く、雨の降る空。ボクはガラス戸に体を押しつけられて犯され続けた。
(あ、あ、もう、いや……)
飛びたい。心底そう思った。そうすれば、こんな思いから逃げ出せるから。無理だとわかっていつつ、思わざるを得なかった。
「助け……て……」
もう、やめてよ。
ボク達、何か悪いことした?
どうしてこんなことをするの。
何もかも奪って、汚して、犯し尽くして。
やっと助かって、犯される恐怖に日々うなされて。
それでもボク達を汚すの……。
何度、そう思ったことだろう。
みんな、死んだ。
ボクのクラスは修学旅行中、誘拐されて、全員犯された
数日後。どこだかわからない公園の茂みの中。ボクは遺体で発見された。
ボクは散々犯し尽くされ、全裸のままゴミのように横たわっていた。
やっと、陵辱の日々から解放されたからか、ボクの顔は穏やかだったそうだ。
-了-