-悪夢EX Another episode 6th-
常人にとって、思い通りにならない事などいくらでもあることだろう。けれど彼女にとってのそれは、この世でただ一つ、というようなものだと思っていた。泣く子も黙る天下の西九条財閥。その財閥令嬢にも些細な事でも悩みはあったのだった。
「はぁ」
消え入りそうな、誰にも聞こえないくらい小さなため息。学生生活をしていればどうあがこうと日々、教室にて何人ものクラスメイトとすれ違う。今もそう。桜乃森文、二階堂帆之香、共におとなしくておしとやかな少女達。大和撫子と呼ばれている二人。今ではそれに加えて梅宮柚流が教壇に立ち、ホームルームの司会進行を率先して始めようとしている。今日の議題は数週間後に迫った修学旅行の事らしい。若く頼りなげな男の先生は柚流の脇にいて、眠たそうに聞いているだけ。主役は完全に柚流。
色々なテーマが飛び出す。班はどうするか、イベントをしましょう、行動の詳細はどうこう。と、そんなとき。ドアががらっと音を立てて開いた。
「お、おはようございます」
息を切らして入ってきたのは、新進気鋭のトップアイドル礼菜。今日は珍しく朝から出席するはずが追加のスケジュールが入ってしまったとかで、思うようにはいかなかったようだ。
(まあ)
それが特別扱いされているのが紫音にとっては気にくわない。無論、礼菜だけでなく、そういった境遇の少女は何人もいるけれど。
紫音の気分はどこか面白くなかった。今見てきた少女達は皆、歳に比べてバストサイズが豊かだった。無論、バスト以外のサイズもバランスが取れている。紫音は思うのだった。自分は……身長は高く、全く問題なし。ウエストも日々努力を続けて細く保っている。
だけど、バストサイズだけはなかなか思うようにはいかなかった。日々、人の目を盗んでは揉んでマッサージしてみたり、牛乳を飲んだりしているのに、一向に膨らんで行く気配がなかった。最も、下には下もいるもので、例えば流花やひなと比較してみたら紫音はまだ良い方なのだけど。紫音は上昇志向が強い娘なのだった。
それが非常に不満だった。ちょっとしたことで礼菜と張り合うといつも胸のサイズがネックになり、形勢不利になる。もう、どうしてなのよと自分自身が気にくわない。遺伝子とはどうにもならないものなのだろうか。
……
「あ、あ……ぁぁぁ……」
薄暗い牢の中、全裸の紫音は喘いでいた。意図したわけでもないのに長身をくねらせてしまい、耐えるように目を伏せる。そうしなければ今の状況に耐えられないから。今まで必死に耐えてきたのに、堤防が決壊してしまいそうな状態だったから。
「れ、礼……菜……ぁ。やめ、やめ……てぇぇ。あぁぁぁぁ」
紫音は牢の天井から吊り下げられたロープにより、両手を縛られ自由を完全に奪われていた。そして、剥き出しにされて晒されたままの股間には礼菜が顔を埋めていて、舌で愛撫を続けさせられていた。紫音の秘所を覆う薄く淡い毛をかきわけ、小さな割れ目をなぞるようにして舌を這わせた。その度に紫音は体をびくびくと震わせる。
「ひ、いいぃ。いや、いやぁ!」
「……」
礼菜も服を全て剥ぎ取られ全裸。散々凌辱され、目は虚ろだった。ただひたすらに、ちろちろと小刻みに舌を動かす。そうしろと命令されたから。
「はうっ! あ、あぁっ!?」
突如、紫音の目が見開かれた。礼菜のものだけではなく、誰か別の人の感触。お尻の方にも違和感を感じたのだ。
「あ、あ、あああああ! ふ、文さんっ! そ、そんなとこやめてぇぇぇっ! なめないでええええっ! あ、あ、や、やめてくださ……いやああああっ!」
お尻の穴に舌の、ざらっとした感触が走る。文が紫音の柔らかいお尻に顔を埋めて割れ目に舌を這わせ、愛撫を始めていたのだった。
そして更に……。
「あふううううっ! や、やあああああっ! や、め……ああああっ!」
今度は誰だろう。背後から紫音の小ぶりな胸を揉み、乳首を転がす手。電流が流れるような感覚。その正体は柚流だった。真面目な彼女は絶対に自分の意志でそんなことをするわけがない。全ては紳一の命令なのだろう。
それだけではない。次の瞬間、おへそにも舌が這う。紫音と触れ合う小さな体、鈴だった。云うまでもなく全裸で瞳は虚ろ。
誰もがそう。優しく、いたわるような舌の動きをしていた。紫音のどこが気持ちいいか、同年代の少女の身体を知り尽くしたような、指での愛撫。犯され、壊されかけ、ただ性的に奉仕するだけの人形になってしまったクラスメイト達により、紫音は達しかけていた。紫音はただ瞳をさまよわせ、口を大きく開けてわなわなと震わせるだけ。涎も涙もとめどなく流れ落ちるけれど、クラスメイト達は行為を止めてくれようとはしなかった。
「あ、あっあっ! あああああっ! やめ……あっ! あああああっ!」
ぴちゃぴちゃ、ずぷずぷ、と、絡み付くような感触が紫音を追い込む。
「ひぅっ! あ、あ……んんんんっ!」
今度は帆之香が近づいてきて、紫音の唇を塞いだ。舌を絡ませるくらい濃厚なディープキス。紫音はぽろぽろと涙をこぼすだけだった。それは帆之香も同じ。でも、やらなければ痛い目に遭わされる……。
そんな時。牢の外の方に物音がした。ぱぁん、ぱぁん、と乾いた音が何度も聞こえる。それと同時にか細い悲鳴が聞こえてくる。
「ひ、ひいっ! ひぃぃぃっ! 痛いいいいいっ!」
「ほれほれ。ちゃんとハイハイするのじゃよ」
鎖をつながれ、四つん這いにされたまま歩かされているかすみがいた。華奢な背中には、寄生するかのように古手川が跨がり、馬に鞭をいれるかのようにかすみのお尻を平手打ちしていた。かすみの白いお尻は赤く腫れ上がり、汗が噴き出していく。そして古手川は空いている方の手で、かすみの豊かな胸を揉みしだいていた。
「上手くいってるかの?」
云いながら古手川は尚もぱぁん、ぱぁん、と何度もかすみのお尻を叩いてから、人差し指と中指を無造作にアヌスに突っ込み、ぐりぐりと動かした。ずぷ、と入ってくる感触にかすみは目を見開いた。何度となく古手川のもので貫かれているそこは、柔らかくほぐれていた。
「ひいいいいいっ! きゃああああああっ!」
顔をくしゃくしゃに濡らし、絶叫するかすみ。だが、古手川はかすみの姿など見てはいなかった。
「お前達は犬なんじゃよ」
「そうだ。いい加減自覚するんだな」
そう答えつつ、木戸が現れた。
「あ、ぅ……。ごほ、ごほっ……うぐううううっ!」
木戸の巨大なものをくわえこまされている少女、さくらを引き連れて。
「全ては紳一様のお望みなのだからな」
次いで直人が現れる。犬のように鎖でつながれた少女、莉菜も一緒に連れてこられた。
「帰り……たい」
あまりにも惨めな境遇に、莉菜の口からそんな言葉が漏れる。
「まだそんなことを云ってるのか?」
直人は舌打ちし、鎖を引っ張る。
「あうっ! ああああああっ! はうっ!」
莉菜は苦しそうにのけぞり、同時にアヌスにへと挿入された。
「諦めろ。お前達に未来はない。もう二度と家には帰れないんだよ」
「いやあああーーーーーっ! やめてええええーーーーーっ!」
がしゃがしゃと鎖が音をたてる。誰もがそう。夢も、希望も奪われた。莉菜の悲鳴を聞き、木戸と古手川も、かすみとさくらを犯し始めた。
「ほうれ! どうじゃ?」
「い、やぁ……あ、あぁぁ……」
四つん這いのかすみの秘所に挿入しつつ、アヌスを指でほじくり回す。
「ふんっ!」
「あ、うっ! 痛いいぃぃぃっ!」
さくらの体を折り曲げて持ち上げ、宙に浮いたまま下から挿入し、揺さぶる。
「そうじゃ。おまえさん達みんな、わしらの奴隷なのじゃからな。ふぉふぉふぉ」
奴隷だなんて認めたくない。何もかもを奪われただなんて。でも、どうしようもない事実。
「お前達は紳一様と俺達を満足させ続ければそれでいいんだ。死ぬまでここで、な」
壊れるまで犯して、壊れた後はきっと……放置される。自分達は使い捨ての人形だと、誰もが悟っていた。死にたくない。壊れたくもない。けれど、男達の責めはあまりにもむごくてひどくて、耐えられない。
「い、や、いやあ! もう、もうだめ……あ、あ、あああああっ! あーーーーっ!」
向こうでクラスメイトに囲まれて愛撫を続けられていた紫音が絶頂を向かえ、白目をむきながら絶叫していた。同時に失禁し、びしゃ、と礼菜の顔に何度も潮をぶちまけた。
紫音と礼菜。喧嘩ばかりしているけれど、親友だと互いに思っていた。
もう、あの頃には戻れない。
何人もの裸の体が交じり合い、生々しい音と悲鳴が響き渡る。そんな牢の隅の方で、彩乃が惚けたような顔をして何かを呟いていた。
「たす……けて……」
力の入らない体。彩乃の股間からちょろちょろとこぼれる滴が、小さな水たまりを作っていった。
…………
凌辱の時は尚も続く。礼菜、帆之香、文。そして柚流。男たちは胸の大きな娘達を選んで犯し始めた。
「ふぉっふぉ。いい光景ですのう、おぼっちゃま」
「ああ」
紳一には礼菜。直人には帆之香。木戸には文。そして古手川には柚流と、一列に並んで仁王立ちする男達の前にひざまずき、豊かな胸でものを挟み込み、こすらされていた。紳一が考えたパイズリ競争だった。
「う。いいぞ」
云いつつ、直人がにやりと笑う。四人とも何かに脅えたかのように、必死に胸を上下に動かしていた。始める前に紳一は云った。四人の中で、一番遅くイかせた奴には罰を与えよう、と。
「う、う……」
「い、やぁ」
そうだな、と紳一は少し考えるように云った。少女たちにとって最も嫌な事は何だろう。そして出た結論。醜悪な老人、古手川を見て一言。古手川のケツの穴をなめさせよう、と。その瞬間、四人の表情が青ざめる。
誰かが犠牲になれば……そう思う。けれど、四人とも顔を合わせ、しゃくり上げながら声を漏らす。ごめんなさい、と。どうあがいても嫌な事はあるのだ。誰も、自己中心的だとは思わなかった。互いの気持ちが嫌と云うほどわかるのだから。
柔らかな胸と舌と口での愛撫は続く。少女たちの決死の行動だった。四人とも歳以上に胸のボリュームがあり、友達から羨ましがられたりすることが多い。本人の気持ちは全く別だけれども。大きく、丸くて形の良い胸の先端には淡い色の乳首がぷっくらと膨らんでいた。
「出る!」
「い、やぁっ」
「お、お。いいぞぉ」
「う、う……もういや……いや」
「俺もだ。出すぞ」
「ううううっ!」
先に達したのは直人だった。帆之香は眼鏡ごと、白く汚されていく。続いて木戸。文の胸元目がけて射精。紳一は、礼菜の口内に出した……。それぞれ、思い思いに少女達を汚していく。最後に残ってしまったのは……。
「あ、あ……ああっ!」
恐怖の眼差しを受けるのは柚流だった。古手川は涎をたらしそうなくらい嬉しそうに笑いながら、硬直したままの柚流を仰向けに押し倒した。そうして、柚流の顔を椅子のように腰掛ける。
「う、ううっ! うーーーーっ! ふぐううううっ!」
「ふぉっふぉ。ええのう! ほら、なめるんじゃよ!」
じたばたと暴れる柚流に、古手川は冷たく言い放つ。
「なめないのなら、ずっとこのままじゃぞ?」
「う、う、ううぅ……うう、う……」
柚流は観念した。ちら、と舌を出して古手川の尻をなめた。込み上げてくる嘔吐感に、柚流は泣きじゃくり、すぐさま舌を引っ込めてしまう。
「こりゃ! きちんとなめろというのに」
「うううううっ! うげええっ! げほっげほっ! うあああああああっ!」
直人と木戸はにやにやと笑う。そして紳一は言い放つ。
「爺。折角だ。後でこいつらにもなめてもらえ」
こいつら、とは文と帆之香と礼菜のことだった。息を飲む音。そんな、と誰かがつぶやいた。必死にパイズリを強要されて、耐えてきたのに。何のためにしてきたのか……。
「何を驚いている。お前たちは奴隷なんだよ。何をされても文句云えないし、俺はお前達をどうにでもできるのだ」
少女たちはうなだれる。
「お、お、いいぞ、いいぞぉ。そうじゃ、そうじゃ!」
「う、ぁ、あがぁぁぁ……あ、あぁぁ……」
恍惚とした木戸と、苦しそうに喘ぎながら舌を出す柚流。行為は延々と続いた。
…………
「顔と身長の割に、小さい胸だな」
椅子に腰掛ける紳一は、不満だった。
「う、うぅ」
ひざまずき、胸で紳一のものを包み込んでこするのは紫音。先程の、胸の大きな娘たちとの行為の後。胸の小さな紫音をあえて呼び、奉仕させている。
「西九条財閥の図体はでかいのに、お前の乳は貧しいんだな」
「……」
気にしていることを何度も云われ、紫音は傷ついていく。
「もっとしっかり寄せ上げて挟み込め。俺が出すまで続けろ」
何度も云われたことだった。もう、何分たつことだろう。賢明に胸を掴み、寄せ上げるけれど一向に紳一が達する気配は見えない。
「い……たいぃ」
「さっきまで見ていただろう? 礼菜のパイズリは最高だったぞ。お前も同じようにしてみろ。それとも、できないのか?」
比較される。悔しいと感じる。
「う、ぅ。こ、んな……こと……」
「何が云いたい」
「人の……することじゃ、ありません……」
泣きじゃくりながら正論を吐く紫音。ふうん、と紳一は冷たく呟いた。問題ない、と言い放つ。
「何度も言わせるな。お前達は人じゃない。奴隷だ。俺の犬に過ぎない。だからどんなことをされても仕方がないんだ」
「うぅ!」
つながれた鎖を引っ張られる。何度云えばわかると、紳一は云った。
「パイズリも満足にできないのに、偉そうに云うな!」
紳一は怒り、紫音の長い髪を掴み、引っ張った。
「いいいやあああああっ! 痛いいいいいっ! するから許してえええっ!」
紫音は泣きじゃくりながら、必死に胸を動かし続けた。胸なんかいらない。こんなことになるのなら……。紫音はそう思った。
そうしてやっと、紳一は射精した。
「奴隷らしく扱ってやるよ」
紫音の目は絶望に縁取られた。
…………
高価なドレスを身にまとい、パーティーに出席している時を思い出す。大きなホールは西九条財閥のもの。そこにはクラスメイトである礼菜もいたけれど。この時ばかりは喧嘩はしなかった。来場者に笑顔を見せ、丁寧に接する。我が侭放題の箱入り娘といわれても、外面は良かった。
最後に衣服を着ていたのはいつのことだろう。裸にされて久しいなと紫音は思った。誇り高き彼女は今、別棟に移されていた。
そこには……。
「ぁ……」
小さな犬小屋があり、紫音は繋がれていた。食べ物も水も、犬用の容器に入れられていた。
あの後紳一は云った。用済みだ、と。古手川に向かい、後はお前の好きにしろ、と。
(おとう……さま……おかあ……さま)
「ふぉっふぉ。ええのう、ええのう」
醜悪な老人の所有物にされ、全身をなめられ、犯された。日々、ずっと。ものすごい屈辱だったけれど、今ではもう何も感じられなくなりつつあった。
(どうし……て。たすけにきて……くれないの、ですか……)
「胸をおっきくしてやるからのう。ん、ん」
ちゅば、ちゅば、と紫音の乳首に吸い付く。交互に、何度も。
財閥令嬢のプライドは完全に踏みにじられた。紫音はもう、言葉すらまともに話せなくなっていた。
「ほれほれ。ここにおしっこするんじゃよ」
「あ、ぅ……」
両手を床につき、片足を高く上げさせられて……紫音は犬のように放尿した。
(くや……し、い……。こん、な……)
ある時。
「もうやだああああっ! やだっやだぁっ! やだよおおおおおっ! そんなのやだあああああっ! やめてっ! やめてえええっ!うあああああっ!あ、あ、あ……あがああああああああああっ! ぎゃああああああああっ!」
「ふぉっふぉっふぉ。お友達はどうじゃえ?」
古手川の邪悪な笑みがこぼれる。紳一は古手川の悪巧みを了承したのだ。
犬には犬を、と。鼻息の荒い大きな犬が連れてこられ、紫音と交わっていた。かつて財閥令嬢だった少女は完全に奴隷にされるくらい落ちぶれ、動物と交じわされていた。体の中に感じる熱いもの。それは、人のものではなかった。獣姦された事実に、紫音はひたすら喚き散らした……。
「うぎゃああああああああああっ! ああああああああああっ! いやだあああああああっ! い、ぬ……と。あ、あぁぁぁ……」
白目を剥いて失神。紫音は完全に崩壊した。
時は過ぎ去った。
紳一は死んだ。更なる陵辱を受け、クラスメイトも死んだ。自分一人を除き。
「あ、ひ……」
唯一、牢から出されていた紫音。散々犯されて、何故だか鎖は外されていた。男達はどこにいったのだろう? 少女達を犯すのに飽きて出て行ってしまったのだろうか。
「……」
ふらふらと夢遊病者のように歩みを進める。ぼやけた視界。もうろうとする意識。行く先などわからない。
身体をぶつけつつ、建物の中を歩く。ドアのノブらしきものがあったので、残された力で回してみる。意外な事に、簡単に開いた。
そこは外だった。二度と出られないと思っていたところ。天国への扉のように思えた。だが……。
「いそが……ないと……」
ぶつぶつと呟きながら、外へ出る。天国への扉とは正反対なくらい辺りは真っ暗で、横殴りの雨が降り強風が吹きすさんでいた。激しい嵐だった。
「パーティー……に、おくれ……ちゃう……」
そこがパーティー会場とでも勘違いしているのだろう。そのまま出て行き……二度と戻る事はなかった。誰かに発見されることも。どこかに辿り着くことも。紫音はどこかに消えたかのようにいなくなった。
「ドレス……きないと」
深淵へと踏み出して行くと云うのに、紫音の顔にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
-了-