-悪夢EX Another episode 7th-
絶えることなく、くぐもった声が反射するようにして聞こえてくる。猫のように切なげでか細い、消え入りそうな声。流花はひたすら見続けていた。友人達が目の前で犯され、壊れゆく姿を。自身も既に壊れかけ、半ば呆然としている。
「う、ううっ! ううううっ!」
牢の中の事。流花は裸のまま呆然と座り込んでいた。今現在、すぐ側でひなが犯されている。仁王立ちの紳一のものを口に突っ込まれて、舌と唇での愛撫を強要され続けている。かれこれ数分は経過しているが、流花は目を離すことが何故かできなかった。凄惨な行為だと云うのに、声すら出せない。
「歯を立てるんじゃないぞ」
「ううーーーーっ!」
流花にとって仲の良い友達は今、徹底的に痛めつけられていた。可愛らしい頬をには止めどなく流れ落ちる涙が幾筋も出来ていた。足元にはごみのような固まりが散乱している。それはかつてぬいぐるみを形作っていたもの。紳一の手によりナイフでずたずたに引き裂かれ、綿と繊維の固まりと化していた。ひなの宝物だったもの。
『かわいい〜』
『うんっ』
素直な流花の反応に、ぬいぐるみ好きのひなは笑顔でうなずく。ミントとミンツ。ひなが一番気に入っているかわいらしいうさぎのぬいぐるみ。親友の流花だから、抱き締めさせてもいいよといった。ふかふかした柔らかな感触が忘れられない。友人と同じく大切な存在。
流花はそんなことを思いだしていた。ふと気が付くと……。
ひなは床の上に転がされていた。秘所からは白い液体。射精し終わった紳一の姿が側にあったが、別の少女の悲鳴。紳一は、ひなを犯すだけでは飽きたらず、部下に他の娘にも手を出すよう指図していた。
「いやあああああっ! 足がっ! 足がああっ! 避け……あ、ああああ! いたあああああっ!」
足を高く上げさせられ、木戸の太いものを無理やり押し込まれているのは早由美だった。
「おらおらおらぁっ! もっと動け!」
「ひいーーーーーーっ!」
早由美は髪を振り乱し、ひたすらがくがくと揺さぶられ続けた。紳一は木戸の蛮行にただ苦笑するだけだった。
早由美……。悲鳴を上げ続ける友達を見て、流花はまた思い出す。
『流〜花ちゃん』
『な〜に? おりょ?』
教室内。休み時間。ふと後ろから早由美の声と、頭に何か柔らかなものがくくりつけられる感触。
『私のリボンだよ』
『わあ』
突然のプレゼントだった。似合うよ〜と、早由美は云ってくれた。また別の友達……鈴ちゃんともよくとっかえっこしてる、可愛くて大きなリボンだ。とても嬉しかった。お礼に自分の小さなリボンをあげた。そうしたら早由美ちゃんは喜んでくれた。
自分と同じように小さな友達の、大きなリボン。今、その友達は目の前で大きな男の人のおち○ちんを突っ込まれて、とっても痛そうに泣いている。
ぼーっとしている間に、男たちは早由美も犯し終えていた。そしてそれだけでは終わらずに、古手川が奇声を発しながら少女の身体に覆い被さっていた。
「ふほほ! ふほほほ! ふへ、ふへへへへ!」
どれほどの時が過ぎていたのだろう。今度はまた別の娘……みおが犯されていた。今の流花には時の経過すらおぼろげに感じる。みおの悲鳴すらも遠くで行われている出来事のように感じるのだった。
「いやだあああああっ!」
ちゅるちゅる、ちゅばちゅば、と音が響き渡る。古手川はキャンディをなめるように、甘い蜜を吸うように、みおの全身を舐め尽くしていく。
「ほれほれ、ほれほれほれぇぇ! 気持ちいいじゃろお?」
「ひいっ! ひいいっ! やっあっ! いやあっ!」
みおはただ嫌々と頭を振りながら泣き叫んだ。胸をちゅーちゅーと吸われ、ひくひく震えてる。古手川は何度も体を引っ繰り返しては涎の垂れた口をみおの身体になすりつける。流花の視界の中でみおがのたうち回る。
「かわええお尻じゃのう! ひへへへっ!」
「いやあああああーーーーっ!」
今度はお尻の穴をなめられていた。そんなとこ気持ち悪そうだし可哀想だよと流花は思った。
背丈の小さな娘は何人かいた。その中でもみおは、流花と同じくらいの娘だった。
『伸びてないよぉ』
『う〜。流花も〜』
身体測定の結果を見せあって、ため息を着く二人。何だか悲しい。
そういえばあのとき。まだ流花が服を奪われる前。ある時、トイレに行っておしっこをしていたとき。今のみおと同じように古手川に襲われたことがあった。
「い、や、あ……」
あの時と同じだ。あの時は……紳一と云う名のおにいちゃんが助けてくれた。嬉しかった。彼にはその後一度部屋に呼び出され、そして優しくされて、ベッドで一緒に朝まで寝させてくれた。怖かった時間が嘘のように、リラックスできた。
流花は安心しきっていた。それは突然のことだった。
「あぅ! はぅ! あふっ!」
自分の時と同じ。まさにあの時と同じだ。今の状況。子役アイドルとして有名な少女……鈴が四つん這いにさせられて、犯されていた。顔を床に押し付けられて……。
あの時。目が覚めると、紳一が恐ろしい目で流花を見下ろしていた。優しいと思っていた人が突然豹変した。信じていたのに。しないっていったのに。流花は泣き叫ぶが、無視された。
『や、あ、ああああああっ!』
体中をまさぐられ、股間から突き出した大きなものを口に突っ込まれた。歯を当てるなよと怒鳴りつけられ、流花は思いっきり口を開けて絶え続けた。
『おぐううううううっ!』
無力だった。苦しさと恐怖のあまり、失禁してしまう。シーツの上にびしゃびしゃと滴が落ちる。紳一は呆れながらもぐいぐいと流花の髪を掴み、前後に動かした。
そして、程なくして口の中に射精。
『あ、あ……』
休む間もなく体を持ち上げられて秘所にものがあてがわれ、ゆっくりと沈めさせられる。
『いた……痛……い……あ、あ、あがああああああっ!』
猛烈な痛みに流花は絶叫した。
『ぎゃああああああっ! 痛いいいいっ! 痛いよおおおお! おにいちゃんやめてええええっ!』
紳一は流花の耳元で一言つぶやく。うるさい、と。ものすごい勢いで身体が上下に揺さぶられ、流花は涙をこぼし続けた。
「あ……」
夢を見ていたかのような感覚から、ふと我に返る。鈴が惚けた顔をしながら横たわっていた。既に射精され、用済みにされたから。紳一は鈴を犯すだけでは飽き足らなかった。
「あ、ああ……」
側にいた流花を引っ張り出し、四つん這いにさせ、お尻を犯し始めた。
「い、や、あ、ああ……」
ずぶずぶとめり込まれて行く。皮肉なことにそれが流花の壊れた意識を刺激した。
「いやあああああっ! やだ! やだあっ! うあああああっ! 柚流ちゃんんんっ! 礼菜ちゃんんんっ! 紫音ちゃ……た、助け……あ、あ、あーーーーっ!」
失われた声が思わずこみ上げたが、何の意味もなかった。流花は半狂乱になって、側にいた友達の名を叫ぶ。しかし三人共既に犯し尽くされ、全裸のまま何も聞こえていないようにぼーっとしながらうずくまっていた。今の流花と同じようにお尻すら貫かれていたのだ……。
「ぎゃああああああああっ! うぎゃあああああああっ! 助けてよおおおおっ! うああああああんっ!」
流花は完全に壊された。
元気な瞳は光を失い、虚ろなものと化した。
壊れた少女の視点……。
「うう! うあぁ! うあ、あぁぁぁ」
ひかりは立ったまま揺さぶられていた。前後の穴を直人と古手川によって同時に貫かれ、つま先立ち状態。足から力が抜けてガクガクと震えるものの、倒れる事など許されなかった。
「しぶといな」
「まだ壊れんのか」
「あぁぁぁ! 嫌あぁぁぁ!」
ひかりの頬をとめどなく流れ落ちる涙。今も続く激痛は。そして、犯されているという事実に傷つき、恥ずかしさに苦しむ。
処女を奪われた時からずっと、二つの穴を同時に貫かれてばかり。クラスの中でも最も酷い仕打ちを受け続けていたが、それでもひかりはぎりぎりのところで自我を保って来た。
「流花。来い」
直人が呼ぶ。すぐ側にいた流花は突然呼び出され、ぼーっとしたまま、のそのそと近づいてきた。
「あっ!」
そして流花はひかりの乳首を吸った。ひかりはのけぞった。クラスメイトにそんなことをされる等と、想像もしていなかったから。
そして同時に、流花も背後から貫かれた。
「あ、ぅ……っ!」
ひかりも流花も散々揺さぶられた後、牢の中に転がっていた。
どうしてみんなそんなに嫌がっているの?
声すら出せなくなった流花は、ぼーっとしたまま、心の中でそう呟いていた。もはや何が起こっているのかすらわかってないのだ。
「いやああああああああっ!」
目の前では莉菜が犯されていた。散々直人に犯された後で、紳一が云った。俺にもやらせろ、と。主君が喜ぶならば、と直人は二つ返事で頷いた。
紳一は直人が莉菜を犯しているのを見て、いい体だな、と思ったのだ。最初は部下が可哀想だと思ったが、結局我慢ができなかった。その代わりと云うわけではないけれど、紳一が手を付けた娘を何人か自由にしていいぞと云った。
「ひぃぃ……。ひいいいいっ! いやだあああああっ!」
莉菜は庶民の娘。だけど、犯されて嫌がる反応は例えば紫音らお嬢様中のお嬢様となんら変わりなかった。散々ねじ込まれ、しゃくり上げる。
ぼんやりとした視界の中、流花は思う。みんな、大きな胸をむんずとつかまれてはこね回されている。ぐにぐにと揉まれる度に形を変えていく胸。起っていく乳首を引っ張り回され、吸われる所を見て、どんな気持ちなのだろうか、と思う。
「紳一様。どうぞ」
「ああ」
直人が莉菜を立たせたまま押さえ込む。暴れないように、抵抗できないように。そして紳一は莉菜の中に入れていく。
「あ、あ、あっ!」
「きついな」
莉菜のアヌスがこじ開けられていく。きつさに顔をしかめる紳一と、圧迫感と痛みに絶叫する莉菜。
「あああああっ!」
「動くな」
莉菜は必死に抵抗しようとするが、圧倒的な力で押さえ込まれる。直人の目は鋭く、声は威圧的だった。恐怖を感じ、震える。
「あ、あ、あ、あ、あ……あ……あーーーーーーっ!」
やがて全部が入り込む。
「直人。お前も口に突っ込んでやれ」
「よろしいのですか?」
「遠慮するな」
これは満足気な紳一による褒美だと直人は思った。
「では、入れさせていただきます」
「あ……ひいっ!」
じー……と、チャックを降ろす音に莉菜の目は恐怖に彩られる。
「くわえろ」
「い……やっ!」
口元に直人の大きなものを押し当てられ、莉菜は必死に顔をそらす。が、紳一のものがアヌスをえぐり始めた反動で、口を開いてしまう。直人はその隙を見逃さなかった。
「あ……っぐうううううっ!」
「しっかりしゃぶれ。歯を立てるんじゃないぞ!」
直人は莉菜のリボンをほどき、首に巻き付ける。不穏な行動を取ったら締め殺すぞと脅しているのだ。
「ぐ、ぐ、うぐううううっ! う、うううううっ! うーーーーっ!」
前、後ろともに激しく突き上げられる莉菜。とめどなく流れ落ちる涙に加え、股間からしゃあああ、と飛沫。痛みと苦しみと悲しさと、屈辱。莉菜は耐えきれなかったのだ。
「く、くはははっ! こいつ、漏らしましたね」
「よほど感じているんだな」
(違うううううううっ! やめてえええええええっ!)
莉菜は心の中で絶叫する。興奮したのか、直人の腰が前後に激しく動かされる。同時に結構なボリュームの胸も揉みしだく。
莉菜は暗い牢の片隅でひたすら犯されていた。
流花はぼんやりと思う。
(何をしてるの?)
楽しいこと?
(教えて、ほしいの)
学校じゃ教えてくれない不思議な行為。
(お○んちん、おいしいの?)
お尻と口にねじ込まれたものは大きくて、浅黒かった。動きはさらに激しくなり、二人とも射精した。べっとりとしたものが莉菜の中に出される。
「た、すけ……てぇ」
ようやく解放された莉菜が床に崩れ落ちる。だが、休むことさえ許されなかった。すぐさま古手川が引き起こしにかかる。側でずっと見ていたのだ。紳一が苦笑しながら犯していいぞと云ったのだ。待ち遠しくて仕方がなかったのだ。
「ふぉっふぉ。ほぉら。逃げんと入れてしまうぞ?」
「あ、あ……」
逃げられるわけがなかった。すぐさま捕まってしまう。精液まみれの莉菜は追い打ちをかけられるように、挿入されていく。
「あぐううう……」
莉菜はうわ言のようにつぶやいた。
「おうち……に……かえりた……い……よ、ぉ」
「諦めろ」
紳一はあっさりと云った。
(お……うち?)
家のことを流花は思い出す。みんながいた。友達もよく来てくれて、一緒に遊んだ。暖かくて優しい所。どうして帰れなくなってしまったのだろう。
(かえり……たい)
強くそう思った。いつ以来だろう。完全に、諦めきっていた。どうして帰れなくなってしまったのだろう。
「あっ!」
古手川が達していく。目の前でまた、莉菜が射精されていた。秘所とアヌスと口から、白濁した精液がこぼれ落ちる。それは流花も同じ。流花以外の誰もが同じ。
ふと、莉菜と目が合う。涙に濡れた悲しい瞳。何も写していない、空洞と化した目。いつしか男たちは牢から出て行き、莉菜は一人横たわりながら呟いていた。
「かえ……り、たい……。かえ……。う、う……。おう、ち……う、う」
どうしてそんなに泣いてるの、と流花は思った。
日々、誰かしら犯されていた。
行為が終わった後。誰もが例外なく泣きじゃくり、嗚咽を漏らしていた。
『あっあっあああああっ!』
昨日は美紗紀。
『いやあああああああっ!』
今日は亜衣。
『ひいいいいいいいっ!』
明日は舞。
『もうやめてえええええっ!』
明後日はさくら。
さらに日がたつと。凌辱による叫び声は、聞こえなくなっていた。
…………
目の前に、友達が横たわっている。誰もが陵辱される日々から解放されたのだ。男達は何らかの理由により立ち去り、二度と帰らないのだろう。少女達は皆、捨てられた。
流花はのそのそと近寄り、その体を舌でなめた。反応はなかった。
(とも……だち……)
名前は、なんと云っただろうか。とても見覚えのある少女のはずなのに、思い出せなかった。
(どうして、うごか、ないの?)
横たわる少女のきれいな長い髪はくしゃくしゃに乱れ、大きめの胸は強く揉まれて赤く腫れ上がっている。口元からは涎と精液がこぼれている。それは秘所とお尻も同じ。
(しんじゃった……の?)
……少女は既に絶命していた。死ぬ間際まで涙をこぼし、帰りたいと呟いていたのに。遂にその思いは叶わなかった。
流花は諦めて、他の娘に向かう。ゆっくりと、這いずり回りながら。
(さみしい……)
辺りは暗く冷たく静かだった。周りにみんないるのに寂しかった。
(おはなし……したい)
どさ、と何かが背後から落ちて来た。壁に寄りかかっていた少女が流花に向かって倒れたのだ。
(……あ)
華奢な体は決して重いわけじゃないけれど、流花は下敷きになり、身動きを取れなくなってしまった。もはや体に力が入らないのだから。
「わたし……の。ゆ……め」
(……?)
流花の上に重なっていた少女。若手のトップアイドル礼菜。バスの中でみんなに披露した歌を呟くように歌っていた。目は虚ろで、うわごとにしか聞こえない。
「はば、たいて……」
明るくて楽しい歌だった。恋に悩み、夢と希望に溢れる少女達の思いを綴った歌。
「あ、お……ぞら……に」
その声は段々と弱まっていく。礼菜の身体は冷え切っていた。
「すき……な、ひと……」
(うた……うたい、たい……)
やがて礼菜の声が消える。それから数時間が経過し、流花の上で礼菜は絶命した。
「う、ぅ……」
かすかなうめきと共にどさりと倒れ込む音。礼菜とは別に、壁にもたれ掛かっていた少女。
「しに……たく、な……い……よぉ」
せりかだった。もうろうとする意識を失った瞬間。二度と目覚めないような、そんな気がしていた。そしてそれは、現実となりかけていた。
「かえ……り、たい……」
弱まっていく鼓動。猛烈に重い瞼はやがて閉じていく。
「たす……け……。あ……」
せりかは二度と目覚めなかった。死んだのだ。
(みんな……しぬ……の?)
流花は他人事のようにそう思いながら、覆い被さっている礼菜の亡骸を重たそうにもぞもぞ動いて抜け出した。
這いつくばりながらも進む。突如がつ、と額に当たる感触。硬い鉄格子が、無情にも立ちはだかる。そして首に苦しい感触。強固な皮バンドと、そこから延びる鎖。
突如鎖が引っ張られた。
「あぅ……」
川で流される人のように、崖から落ちかけた人のように。強い力でロープをたぐり寄せる人がいた。横たわるひなだった。
「みん、と……みん、つ……」
誰かを捜しているのだろうが、もはや何をしているのかすらわからないようだ。
「う、ぐ……ふ」
更に鎖は引っ張られる。呼吸が苦しい。流花は涎を垂らし、白目を剥く。引っ張らないでと云う事すらできない。
「ど、こぉ……」
「う、うぅ……ぅ」
流花は動かなくなった。壊された友達によって殺された。ひなは何をしたのかすらわからないまま、親友の首を絞め上げて殺していた。罪悪感などなかった。これも罪になるのだろうか。
誰も苦痛には感じない。恨みにも思わない。……すぐにひなも流花と再会できることだろう。
願わくば、それが天国であるように。
-了-