-悪夢EX Another episode 9th-
断続的。三度、四度、五度、と。終わりの見えない悪夢は延々と繰り返された。挙句の果てに、少女にとって自身の半身とも云える大切なぬいぐるみを奪われ、ナイフで見せつけるようにずたずたに引き裂かれた。心を引き裂かれる痛みにひなは悲鳴を上げて紳一に飛びかかったが、軽くはね除けられた。抵抗することすらできずにうずくまり、泣きじゃくり続けた。あまりにも無力だった。
ひなにとっては親友や家族と同等の存在。それがミントとミンツという名のうさぎのぬいぐるみ。とても可愛らしいけれど、修学旅行に連れてくるのには少しばかり苦労した。けれどクラス委員の柚流が協力してくれて、先生の許可を得てくれた。優しいクラスメイトにひなは心の底から感謝した。
『良かったわね。ひなちゃん』
『うんっ。柚流ちゃん、ありがとう』
互いに微笑み合った日から指折り数えた頃。修学旅行数日目のこと。後に世間を騒がせる事になる事件。移動中に起きたバスジャック。怖いことが起きている最中にも、男達に奪われないようにとミントとミンツを必死に抱え込んでいた。そして、どこだかわからないけれど大広間に全員集められてから、友達は一人また一人とつれ去られていき、二度と戻ってくることはなかった。どうなったかはひなにはわからなかった。考える余裕すらありはしなかった。
「ん、んぐ、う、う」
ひなは今、ひざまずいて男のモノをしゃぶらされていた。こぼれ出た精液と唾液が糸を引き、ひなのほとんど膨らんでいない胸へと落ちていく。
「いいぞ。その調子だ」
いつしかひなの番が訪れていたのだった。制服を全て剥ぎ取られ、とても痛くて恥ずかしいことを何度もされた。まだ成熟していない幼い秘所を無理やり貫かれ、処女を奪われた。そして男たちはひなの体を散々汚したあとで、口でしゃぶって股間のモノをきれいにしろと命令した。全てにおいてひなは力無く従うだけだった。
ひなの境遇も、皆と同じだった。
ぬいぐるみを奪われ、逆上したひなが偶然手にしたナイフで紳一を惨殺するまでは。
…………
「貴様ぁっ!」
「う、あ」
激情のあまり、バスジャック事件の首謀者である紳一を惨殺した直後のことだった。
駆けつけた直人は主君の変わり果てた姿を見て絶叫した。そして、怒りに燃えた直人の刀により、ひなの手からナイフが叩き落とされた。返り血にまみれたひなは組み伏せられ、自由を完全に奪われた。
「や、め……」
……目の前には冷たい目でひなを見下ろす直人。そしてひなは今、縛り上げられ天井から吊るされていた。
「あぅっ!」
ざくりと柔らかな布地を裂く音が響く。小さな音のはずなのに、ひなには静かな空間全体に響き渡るように聞こえた。
直人が持つナイフ。ぎらりと鈍い光を反射するそれは、ひなが紳一を惨殺したものだった。
「ひぃっ!」
ぬいぐるみの中を何度も刃物がえぐる。ひなはその度に目を見開き、涙をこぼし続ける。まるで自らの体が傷つけられていくかのように。
ミントとミンツ。引き裂かれたぬいぐるみと同じかそれ以上。ひなが大切にしていたぬいぐるみを一つ一つ引き裂いているのだ。
紳一の死に直面した直人。主君を守れなかった感情はすぐさま激怒に変わり、ひなに対して復讐を始めたのだ。木戸と古手川の手引きより、ひなが大切にしていたぬいぐるみを自宅から盗み出して来させ、目の前で無残に引き裂いてやるのだ。わざわざそこまですることも無いだろうと、木戸も古手川も異口同音に云ったのだが、直人の眼光は有無を云わせなかった。
「やっやっやめてええええっ! うああああんっ! ああああんっ!」
きつく目を閉じていやいやと頭を振るひな。しかし、その度に木戸の大きな手でお尻を思い切り平手打ちされる。ばちんと乾いた音が響く度にひなは高圧電流を流されたかのように目を見開いてしまう。
「ひいっ!」
「目をそらすな!」
愛らしいぬいぐるみはずたずたに引き裂かれ、内部の綿が出てくる。ひなは目をそらすことすら許されなかった。直人は残忍な目でひなをにらみ付けたまま云った。もっとだ。まだまだ足りない、と。
「やああああっ! やだやだやだあーーーーっ! やめてええええっ!」
一つ、また一つ。クマのぬいぐるみも、嫌いだったゴリラのぬいぐるみも。時には首を裂かれ、時には真っ二つにされ、臓物のような綿が散乱していく。
「ひ、ひいいいいいいーーーーーっ!」
かすれ、裏返ったような声でひなは叫ぶ。延々と続く拷問はまさに、生き地獄だった。だが……。
「あ……」
ひなは言葉を失う。そこには失われたはずのものがあったから。直人はひなの心を更に痛め付けるために、同じ型のぬいぐるみを入手してきたのだった。
「ミン……ト……。ミン……ツ……」
ひなが大切にしていた二体のぬいぐるみ。見間違うはずもない愛らしいうさぎ。どうして、とひなは思った。思いもかけない再会はしかし、すぐさま悲しい別れへと転じる。直人はライターを片手にぬいぐるみに火をつけたのだ。ぼう、とにぶい音を立てて揺らめく炎はやがて燃え広がっていく。油をしみこませていたのか、燃え尽きるのはあっという間だった。
「あっ……あっ……あっあっあうあうっ……! い、やあああああああっ! ミンツううううううっ! やめてええええっ! やめてよおおおおおおっ!」
「よく燃えるだろ」
「あぅっ……あぅぅっ……はぅ……あぅ……みん、つ……みん……つ……ひっく」
ひなは嗚咽でまともに喋ることすらできない。
「こっちもだ。見ろ!」
直人は続いてもう一体のぬいぐるみに火をつける。同じようにあっと言う間に火が回り、燃やし尽くし、消し炭と化していく。
「あ、ぅ……」
その顛末を見届け、力無くうなだれるひな。しかし、男達はそれすらも許しはしない。
「ふんっ!」
木戸がひなのアヌスに挿入したのだ。いきなり奥まで。裂けるような感触の後、ひなは首を仰け反らせる。
「はうっ!」
あまりの圧迫感に、ひなは大きく目を見開く。そしてそのままずっと、何時間もの間凌辱は続いた。口も、秘所も、アヌスも汚された。小さな胸は赤く腫れ上がるくらいに揉まれ、吸われた。
…………
ひなが顔中を精液まみれにさせられ、呆然として喋ることもできなくなった頃。
「こいつはもう使い物にならんかのう」
「あ、ぁ……」
ひなに射精し終えた古手川はズボンのチャックを戻しながらつぶやく。足元にはずたずたに引き裂かれたり、燃やされて黒い焦げカスと化したぬいぐるみの残骸が散乱していた。
「そうだな。しかし、これからどうする?」
木戸も同意し、直人に問う。彼らの主君はもういないのだ。直人は少し考え込み、目を閉じる。こうなってしまったのは、目の前でゴミのように転がっている小娘のせいだ。ならば……。
「あ……ひ……」
直人は目を開け、うつ伏せに横たわっているひなのお尻の割れ目を革靴で踏み付ける。鈍い痛みにひなはかすかにうめき声を上げた。
まず、復讐を完結させる必要があるようだ。直人はそう思った。今以上の生き地獄を味わせてやるべきだ。
「まだ、足りない」
決して許しはしない。
真夜中。大きく、清潔で裕福な邸宅。そのリビングルームにて、惨劇は起こった。
ずば、と鋭い音。今し方引き抜かれた刃はすぐに空気を裂いた。そして鈍い音とほぼ同時にどさりと落ちる音。数秒前まで人だったものが床に崩れ落ちた。
二人の男女が横たわっている。それを見て直人は興味無さそうに踵を返し、立ち去る。すべては少女に見せしめるために。
「あ……あ……あひぃ」
それと入れ替わりに連れてこられたのはひなだった。既に木戸の極太なモノがひなの中に押し込まれては戻されていた。
もうろうとする意識と視界には、見慣れた人の姿。なぜだか横になっていて動かない。久しぶりに会えて、お話したいのに。もどかしくてたまらない。だが……すぐに分かることになる。
「ぱ、ぱぁ……ま、まぁ……」
大好きなぬいぐるみを買ってくれた人。ミントとミンツと同じように、だれよりも大切な人。
延々と続く凌辱の間でも目を離すことができなかった。動かなく、冷たくなった体。ひなは両親の遺体の前で散々犯され続けたのだ。
「おらっ! おらっ! おらぁっ!」
「あっあっ! はひぃっ! はうぅぅっ!」
ひなはものすごい勢いで揺さぶられ、突かれた後でアヌスから引き抜かれる。
「出すぞ! 全部飲めよっ!」
乱暴に放り出され、木戸のものを口に突っ込まれる。一瞬の間の後で、熱いものが大量に放出された。それが収まった後……熱いものはさらに放出される。木戸はひなの口を小便器変わりにして放尿したのだ。
「んぐうううううううっ!」
当然の如く、あまりの量と熱さと不快感にひなはむせ返る。飲み干せない尿がこぼれ、ひなの小さな胸を伝ってびしゃびしゃと落ちていく。
「このアマぁっ!」
それを見て怒り狂った木戸はひなの体を引っ繰り返し、両手で割れ目を大きくこじ開ける。そして、怒鳴る。
「今度はお前の番だ。出せ!」
「あ、ああぁぁぁ……あぅ……」
ひなの秘所からしぶきが上がり、放物線を描いて落ちて行く。びしゃびしゃと飛ぶそれはテーブルを濡らし、カーペットを湿らせながら今は亡きひなの両親の体を汚していく。
「おらぁっ! くわえろ!」
「ひぐううううっ!」
……死んだ父のものをくわえこまされ、ひなは顔を歪ませる。そうしてやがて、性行を強要される。
「ふぉっふぉ。ええのう、ええのう」
古手川はひなの股間に顔をうずめ、吸い付いていた。
「ひぅううううううっ!」
あまりにも酷い行為に、ひなはただひたすら泣いた。
用済みにされたひなは両手を縛られながら天井から吊るされた。
「あ……ぅ」
「ふん」
汚れたものを見るような目。直人は持っていたうさぎのぬいぐるみに火をつける。めらめらと燃え上がる炎を一瞥し、柔らかなソファーの上に放り投げた。
「死ね。紳一様の痛みを思い知りながら」
「あ、ぅ」
そしてひなの顔に唾を吐きつけ、直人は出て行く。びしゃ、と小さな音が響く。だが、もはや精液と判別つかないくらいにひなの顔は汚されていた。
火の手はすぐに広まった。
「うあああああんっ! こ、こわいっ! こわいよっ! こわいよぉっ! こわいよおおおっ! やだあああああっ! しんじゃうううううっ! あついよおおおおおっ!」
炎と煙と熱に包まれた地獄。皮肉なことにひなは我を取り戻し、絶叫し続けた。恐怖のあまり失禁しながら、精液まみれの口で叫ぶ。
眼下では、両親の遺体が火に包まれていく。
「た、たすけてえっ! たすけてええええっ! ぱぱああああっ! ままぁっ! ままああああっ! みんとぉ! みんつぅっ! いやあああああっ! あついよおおおおおおおっ! だれかあああああっ! うああーーーーんっ!」
ひなは散々犯し尽くされ、親友を壊され、大切な存在を踏みにじられ、両親を惨殺された。その上、自分の命すら奪われようとしている。一体何をしたと云うのだろう。何の罪があると云うのだろう。
「あ、あ、あ……だれ、か……あぁ……だれ……あ、あぁぁ……」
死を待つばかりのひなはうわ言を繰り返した。
「おう……ち……かえり……た……い」
もはや帰る所すらないと云うのに、ひなは呟く。
ひなを徹底的に痛め付け、直人の復讐の時は終わりを告げた……。
あのとき。
バスジャックに遭ったあのときと同じ。
助けなど誰も来はしなかった。
奇跡が起きるまでは。
ひなは重症を負いながらも生きのびたのだった。
通報を受け、駆けつけた消防隊員の手により、崩れ落ちる自宅の中から間一髪救助された。
病院のベッドから二度と喋ることも動くこともできない。ただ生きているだけの状態にされながら……。
命を落とした友人よりも幸せ、なのだろうか?
夕暮れ時の廊下。
かすかな記憶。
もしかすると夢だったかもしれない一場面。
クラス委員の柚流が担任の先生にお願いしてくれた時のことを思い出した。
早く教室に戻ってみんなに報告しなければ。そして、旅行中の色んな事を決めないと。きっと賑やかで楽しいクラス会になるだろう。
ひなの好きだったぬいぐるみが二つ。胸に抱かれていた。
交渉の結果、修学旅行に持っていけるようになったのだ。
嬉しかった。
良かったわね、と柚流は云った。それに対し……。
「柚流ちゃん。ありが――」
担任の先生と交渉してくれた柚流にお礼を云おうとして、背後を振り返った。そこには大人びて優しいクラスメイトの笑顔――。見慣れた姿。日常があるはずだった。
「う、ふ」
「え――?」
いつの間にか全裸になった柚流がぼうっとしながら立ちすくんでいた。だらしなく開いた口からはよだれを垂らし、舌を出しながらはぁはぁと荒い息。ひくひく震えながら、時折喘ぎ声を上げる。
柚流は今、犯されていた。
豊かな胸は背後から思い切り揉みしだかれてぐにゃりと形を変え、起った乳首がちぎれそうなくらいに引っ張られていた。
更に、男の大きくそそり立ったものが全てアヌスの中に埋没し、ずこずこと激しく出入りを繰り返していた。いつしか柚流の股間から雫がたれて落ちていく。
ひなはふと、自分の体を見る。柚流と同じように、着ていたはずの制服はいつの間にか消え去り、全裸になっていた。体のあちこちに熱くて強烈な臭いを感じた。精液だった。
「え、あ……」
更にミントとミンツ。柚流のおかげで修学旅行に連れて行けることになったぬいぐるみを見る。可愛らしい姿だったそれはずたずたに切り裂かれた上、首の上半分だけという無残な姿になっていた。
「あ、あ……」
全てが変わってしまった。現実のあまりの豹変ぶりに呆然として声も出ない。ふと回りを見ると、そこは教室。……椅子も机もない室内には、全裸のクラスメイトたちが監禁されていた。全員徹底的に凌辱され、泣きじゃくっている。男たちは今も尚、思い思いに少女を犯している。
「う、あ、あ……。かえ……して」
「痛い……痛いよ……ゆるし、て」
「もう、やだ……やだぁ……」
「たす、け、てぇ……」
「ひぃ、ひぃ……ひぃぃ」
「ひ、ど、いぃ……」
「しに……たい……よぉ」
誰もが例外なくくしゃくしゃに乱れた髪。べとべとに汚された体。みんな仲良しだったクラスはもはや誰が誰か区別もつかない。嗚咽が方々から聞こえる。苦痛と悲しみに満ちた空間がそこにはあった。
ふと、前を見てみると。
「あっ。ふっ。みん、な……あっ。あんっ」
班決めだろうか。黒板の前に教卓が現れ、クラス委員の柚流が何かを決めている……はずだった。相変わらず背後からアヌスを突かれて犯されながら。教卓に両手を付き、背後から突かれる度にギシギシと音を立てる。あの時の日常すらも壊されていく。
「あひっ! たのし……ぃ……あんっ! りょこ……ぅに……う、ひっ!」
柚流の体が反った。どうやらアヌスの中に射精されたようだ。柚流は発狂したようにあえいだ。
「なりそ……んあっ! ね……。う、あ……あひっあひっ……あ、あひいいいいいっ!」
ぐい、と両足を抱え込むように持ち上げられ、宙に浮かされた柚流はアヌスにモノを突っ込まれたまま、放尿した。勢いよくほとばしる飛沫がクラスメイトたちを濡らしていく。こんな未来を誰が想像したことだろう。
みんな死んだ。
散々犯された揚げ句、無残に殺された。
ただ一人生き延びたひなは幸福だったのだろう。
たとえ悪夢の中でも、永遠に生き続けられるのだから。
-了-