出発の日からずっと清々しい晴れ間が広まり、少女達の気分は一層高ぶる。誰もが皆はしゃぎ回るように楽しんでいた。

 しかし、修学旅行も終盤に近付くころの事。天気は一変した。天気予報の通り、これから長い雨が続くのだろう。

「降ってきちゃったね」

「う〜。傘忘れたあ〜」

 移動中のバスの中では少女達の間でそんな会話がなされていた。

 昼間だと云うのに、バスの外は夜のような闇に包まれようとしていた。それと同時に大粒の雨がアスファルトに叩きつけ、濡らす。

 つい先程まで辺りは新緑に包まれる木々が風に揺れ、暖かな日差しが照らしていた。だが、雨が降り出すと同時にそんな爽やかで楽しい雰囲気は完全に吹き飛び、陰鬱で凄惨な光景が目の前に存在していた。

 暗い森に雨が降り、嵐のように風が吹きすさぶ。迷宮に迷い込んでしまうかのような寂しさを感じる。

「早く宿に着かないかな〜」

「もうすぐよ」

 無論、何事もなくバスは宿へと到着した。外とは違い、エアコンの効いた建物の中は暖かかった。早くお風呂に入ってご飯を食べて、みんなと一緒にお話したい。誰もがそう思った。





――とあるクラスのバスだけ除いて。





 宿に着いてしばらく。引率の先生達が何やら慌ただしく動き回っている。それが幸いとばかりに少女達は楽しいお話タイム。気の合う少女が数人集まれば、いつ果てる事なく雑談に興じていくものだ。

 どうやら、あるクラスのバスが一台到着していないらしい。途中でバスが故障して大きく遅れているらしいとか、それにしては連絡が取れないとか、噂は瞬時に駆け巡る。

 深夜になる頃も、先生達は戻ってこなかった。結論は行方不明……。事故なのか、あるいは何かが起こったのか。警察に連絡し、捜索届けを出したらしい。

 少女達は寝間着姿で口々に噂し合う。当然の事ながら、クラスの違う友達も大勢いるわけで。

「嘘! 礼菜ちゃんのクラスじゃない」

「大丈夫なのかな」

「事故じゃないみたいだって、先生が云ってたけど」

「迷子にでもなっちゃったの?」

「でも、連絡がつかないって」

 一体何が起こっているのか。誰もが疑問に思うが、先生達に問いただせる雰囲気ではなかった。楽しかったはずの一夜はあっと言う間に不安で眠れないものへ と変わってしまった。

 無事でいて。――誰もがそう願っていた。





それはあまりにも儚い願いだった。





「あぅぅぅっ! いやあぁぁーーーーっ!」

 暗い建物の中に少女の悲痛な叫びが響き渡る。

 それは制服を引き剥がされ、全裸にされた柚流。誘拐され、監禁されたクラスの委員長。勇気を振り絞って事件の首謀者である紳一の元に行き、皆の解放を訴えたところ、最初の餌食にされてしまった。

 その上媚薬を無理矢理飲まされ、散々淫らによがらせられた挙げ句あっさりと処女を奪われた。ファーストキスなど、柚流が気付かぬうちに……

「やめて……やめてぇぇぇーーーーっ!」

「他の皆がどうなってもいいのか?」

 柚流はビクッと全身を震わせる。真面目なクラス委員長に対して残酷すぎる脅迫。せめて、せめて皆は……。そう思い、柚流は歯を食いしばって耐える。だが、更に残酷な言葉が紳一の口から放たれる。

「安心しろ。後でたっぷりと可愛がってやる。全員な」

 勇気ある少女の自己犠牲など、何の意味も持たないのだ。

「ひ、ひどいいぃぃっ! そんな……あぅぅぅぅーーーーっ!」

「人の心配している場合じゃないだろう?」

 確かにそうだった。処女を奪われた激痛と、犯されているという事実。柚流は半狂乱になってかぶりを振り、大粒の涙をこぼし続けた。

 ――陵辱は、紳一が柚流の中に射精するまで続いた。そして……ガチャリという金属音と共に鎖のついた首輪で繋がれ、地下牢へと監禁された。暗い、今にも消えそうな豆電球が一つ照らすだけの地下牢だった。

「あ、あ、あ……。こ、こんな……。こんな……こんなの。うあああああっ!」

 あまりの惨めさに柚流はしゃくり上げ、叫んだ。誰にも聞こえない無力な叫びだった。

 翌朝になって、事件は発覚した。

 警察の調査によると事故である可能性は低く、何者かによって誘拐されたのだろうということだ。

 修学旅行は即効中止にされた。既に不明者の捜索は本格的に始まっている。ニュースの第一報と共に事件が明るみになっていった。

「嘘……」

「そんな……」

 予期せぬ出来事により、宿に足止めされてしまった少女達。友達の安否が気掛かりだが何もできない。一体どこに連れ去られてしまったのか。ただ、部屋でテレビを見たり新聞で情報収集するだけだ。何もできない、もどかしい時間が過ぎて行く。

 誰が一体何のためにこんなことを。少女達は思う。帰ってきて。何かの間違いであって、と。





間違いであって欲しかった。





 もしくは単なる悪夢であって欲しかった。その少女は何度もそう思った。

「う、う……」

 昨晩犯され処女を破られたばかりの少女、柚流。今ではただ一人、暗い地下牢に放り込まれた。

 全裸……大きな胸とお尻。とてもスタイルの良い、けれど華奢な体が痛々しく感じる。男の圧倒的な力によりねじ伏せられ、服も下着も奪われた。柚流は気丈でまじめな性格だが年頃の少女に変わりはない。余りのショックに耐えられるわけがなかった。

 身をよじると、じゃらっと鎖がこすれて鳴る。これではまるで家畜だ。人間扱いされていないと実感する。寒さと込み上げてくる惨めさに柚流は震え、涙をこぼした。一人だけの孤独感と、これからどうなるのかわからない恐怖感が込み上げ、体が震える。

「う……あ?」

 じわ、と秘所から何かがあふれ出る感触があった。破瓜の傷口に染み込み、痛みを感じる。……それは男の精液。悪夢が現実であることの証。ぬぐい取ることのでこない汚れ。征服されてしまった悲しみに柚流はこらえ切れず、叫んだ。

「い、やあああ……っ! もういやあっ!」

 この叫びは何度目だろうか。もはや知る術もない。





『あの娘はどこにいるのっ!? 一体誰なのよ! 誰がこんなことをしたのよ……!』

『返して! うちの娘を返して! お願い!』

『帰ってきてよ……! 無事でいて……!』

 テレビからは悲痛な叫びが聞こえてくる。少女達の家族が画面にうつり、涙ながらに娘の無事と解放を訴えている。父親、母親、兄弟。そして友達。誰もが皆。

 一方その頃、牢の中では……。

「見ろよ。お前のご両親が写ってるぞ?」

「う、う、うううっ……! だめぇぇぇ!」

 木戸は奈緒を四つん這いにさせ、激しく貫いていた。映像を見せつけるように、奈緒の顔をテレビへと向ける。

「電話させてやろうか? 私は無事です。みんな優しく可愛がってもらってます、ってな。こんな風に」

「あ、あがっ……あ、あ、あ……あぁぁぁぁ」

 直人は莉菜を立たせ、両腕を掴んで引っ張りながらアヌスを貫いていた。ゆさゆさと揺れる胸と胸の間には白い精液。口での愛撫を散々要求させられた揚げ句、パイズリを仕込まれた証し。

「ふぉっふぉ。ええのうええのう。お嬢ちゃんの口は最高じゃのう」

「うご……うぐううううううっ!」

 シックスナインの形で、古手川はかすみの上に覆いかぶさり、限界にまでそそり立ったものを口の奥まで突っ込んでいた。下は床。絶対に逃げようのないかすみは必死に口を開け続ける。そうしなければ友達が……。しかし、古手川の長い舌が秘所へと侵入していく。かすみは窒息しそうになりながら体を震わせた。





それはもはや、一度や二度の事ではなかった。





 男たちは食い散らかすように少女を犯していった。

「ま、まぁ……」

 くしゃくしゃに乱れた髪。涙に濡れた赤い目。口から精液と涎がこぼれ落ちて行く顎。かつて天真爛漫だった少女はもう、どこにもいない。

 テレビ画面に母親の姿を見つけて、早由美は呟いた。すぐ側にいるように見えるのに……向こうからはこちらが見えない。漫画とかアニメのように、テレビから出てきてくれればいいのに。夢を見ているかのような感覚だった。

「はう!」

 だが突如、激痛が走る。早由美の秘所に木戸のものが挿入されたのだ。背後からいきなり。

「た、たすけ……てぇ」

 木戸は猛烈に早由美を揺さぶっている。同時に早由美の両胸を乱暴に揉みしだいている。アザができそうなくらいに強く。

『無事でいて……。信じてるから……』

「あ、があああ……あっ。ま、まぁ……ぱぱ……ぁ……」

 早由美は手を伸ばした。そうしたら握ってくれそうな気がしたから。無事でいたい……いたかった。けれど、もう遅すぎた。全ては手遅れだ。

 その時、無情にも画面は切り替わった。恐らくそれが永遠の別れだろう。早由美はがっくりとうなだれる。股間に熱いものが注がれて行くのを感じながら、意識を失う。

 やることをやったのだからもう用済みだ。木戸は早由美を握っていた手を緩める。ぐしゃ、と早由美は床に転がった。木戸は生ゴミを扱うかのように足で蹴飛ばすのだった。





……ワイドショーの芸能ニュース番組が流れる。





 修学旅行中に失踪した芸能人。礼菜、鈴、せりか、美紗紀、みお。いずれもトップクラスの美少女達。画面には詳しいプロフィールや経歴が紹介され、悲しむ友達の姿が映し出される。

 五人ともロープで縛られ、天井から吊るされていた。壮快だとばかりに古手川は邪悪な笑みを浮かべる。

「あ、あ、あっ」

「ひ……あっあっ」

 切なげな声。大量に媚薬を盛られて白目を剥き、快感に愛液がしたたり落ちる。けれど、両腕は縛られている。古手川は少女達のお尻を平手打ちして回っていた。

 やがて……ずぶりと何かが突き立てられる。巨大な注射器のようなもの。浣腸……。五人とも大量に注入され、アヌスをひくひくさせている。決壊するのは時間の問題だろう。

 みんなの人気者。誰からも愛された少女達はもう、ただのモノに成り下がっていた……。





男達により、少女達が全員犯された後の事。





当局は遂に少女達の居場所を突き止めた。





 警官隊が校舎の周りを包囲した。だが……紳一達は狡猾だった。

 校舎の屋根に、一人の少女が連れ出された。縛られ、全裸を晒している文。陵辱のあまり、自分が今どのような格好をしているのかすらわかっていないことだろう。

 そして紳一は警官隊に要求した。今より二時間以内にテレビカメラを持ったマスコミ関係者を一人連れて来い、と。さもなくば……。文の首にはロープが巻かれている。そのまま屋根の上から落とす、と云っているのだ。

 当局は時間稼ぎをしようと試みた。だが……。

「う、ぐ……うぅぅ……う……」

 文の首に巻かれたロープがきつく締められる。決して脅しではないという証拠。さすがに苦しいのか、文の呼吸が乱れる。

 下手な小細工は効かない。警官隊はやむなく紳一の要求を飲んだ。一人のカメラマンが緊張しながら校舎の中へと入っていく。

 紳一は更に要求を続けた。今より映す映像を全て放送すること。勿論、モザイクも何もなしで。さもなくば……。文だけでなく、他の少女達の命も危ない。もはやどうしようもなかった。

「う、う、う……」

 アヌスを犯されているのに喘いでいる西九条紫音の姿がテレビに映し出される。……西九条財閥の令嬢。同時に名前、性格等プロフィールが克明に映し出される。それは他の少女も同じだった。

 どうせ終わりなのだ。ならば、少女達にも更なる絶望を。紳一はどこまでも残酷だった。

「あっあっあぁっ」

「んぐ、んう、んんんんっ」

「あっ……ふっ、ふっ」

 少女達のあられもない姿が全国に放送されていく。散々犯され、媚薬漬けにされた少女達。名前も、過去も……全てをさらけ出された上で、今も激しく犯されている。アヌスを出入りする所、大股開きをさせられて露わになった秘所。男のものをくわえ込まされ、愛撫をさせられている姿。精神を崩壊させ、狂気に満ちた笑い声を上げる少女。失禁しながら絶頂を迎える少女。精液を飲み干しながら自慰にふける少女。友達の股間に顔を埋め、舌で愛撫する少女。うわごとのように、助けを求める少女。……そして、死んでいるのか身動き一つ取れない少女。

 少女達が数ヶ月に渡って経験してきた地獄が全て公開された。

 仮にこの状況を生き抜き、助かったとしても……。この光景を誰もが覚えていることだろう。

「ふぉっふぉ。犯し納めじゃ」

「あ、あ、あ……」

 長い髪を引っ張りながら古手川が犯しているのは愛。修学旅行とは別に、謎の失踪を遂げた少女。

 許されざる事が行われていた。





追い込まれた当局は、遂に突入を敢行した。





だが、紳一はそれを悟り、校舎内各所に仕掛けられた爆薬の起爆スイッチを押した。





それにより紳一達は死んだ。少女達の殆ども。





突入してきた警官隊も、多くの人が死んだ。





少女達は死ぬ事によって、ようやく悪夢から解放されたのだった。