「それじゃ、お嬢ちゃん達元気でな」

 男達はそう云って、地下室を出て行った。

 つい先程まで激しい陵辱が行われていた。後に残されたのは汚し尽くされた少女達。涙はとっくのとうに涸れ果て、瞳にはぼんやりと影がかかったように虚ろ。少女達は皆自分が何をされてきたのか、どこにいるのかすらわからなくなっていた。

(イタイ……)

(おかあさん……)

 植物人間のように何の反応も返せなくなっていたけれど、心の奥底まで壊されてはいなかった。怖いという感覚が全てを支配し、誰か頼れる人に助けを求め続けていた。もう、喋ることすらままならないけれど。救いどころか、それが更なる悲劇。

 最後に服を着ていたのはいつのことだろう。胸もお尻もあそこも、女の子にとって恥ずかしい所を全てむき出しにさせられた上に処女を奪われた。無論、誰もが必死に抵抗したけれど、男達の圧倒的な力によって制服は破られ、引き裂かれた。力を込められる時のミリミリと布地が裂ける音が今も聞こえるかのようだった。

(もう……いや……)

 恐怖と苦痛、恥辱に泣き叫ぶ地獄の日々は終わった。これから、逃れようの無い緩やかな死が訪れるのだろう。それはきっと幸せなことなのだろう。





何が起こったか……誰も思い出せなくなっていくのだから。





 男達は思い思いに少女達を犯した。朝も昼も夜も。気が向いたときに少女の口で咥えさせ、快感を貪った。

 硬く、冷たい鉄格子。……牢の中ではいつも誰かしらが犯されていた。

『あ……ふっ!』

 誰かが切なげな声を上げる。立ったまま、背後からお尻の穴を犯されていた。

 最初にアヌスを犯された当初は猛烈な嫌悪感に歯を食いしばりながら耐えていたけれど。今ではもう、されるがままだった。全身から力が抜けてしまった少女は、男のものをすんなりとアヌスで受け入れてしまった。

『あ、あ、あ』

 少女は両腕を捕まれ、背後からがくがくと揺さぶられる。だらしなくあいた口からは涎が垂れていき、突き上げられる度に柔らかいお尻の肉がぷるぷると揺れる。

 裸にされたとき。あんなに恥ずかしがっていたのに、今では誰も隠すことなく胸をむき出しにしていた。もうどうでもいい。どうにもならないのだからと、諦めが全てを支配していた。

『助けて! 助けてぇっ! あーーーーっ!』

 処女を奪われたあの時。最初に犯された瞬間。助けを求める少女に対しクラスメイト達は皆目を伏せ、聞こえないふりをしていた。

 最初の頃。友達を助けようとした少女がいた。けれど、一緒に犯された。それも助けようとした相手以上にひどい目にあわされて。それ以来、誰もが恐怖に震え上がり、何もできなくなってしまった。

『フフ。ハハハッ。どうしたお前達。助けてやれよ? 友達が嫌がってるだろう? どうしたぁっ?』

 いつだったか。直人は少女達を挑発するようにそんなことを云った。犯されている少女はただ涙をこぼし、頭を振るだけ。

『誰も助けてくれないんだな。みんな冷たいな』

『うぅ……』

 当たり前だ。こんな目に遭うとわかっていて助けてくれる人などいない。犯されている少女自身が誰よりも強くその事実を認めていた。みんな悪くない。誰も……悪いのはこの男達だけだ。それなのに、どうして冷たいだのひどいだの云われなければいけないのだ。あまりの理不尽さを知りつつもどうにもできない現実に、誰もが嗚咽をかみ殺そうとする。

『……そうだな。じゃあ、誰かに代わってもらえよ。誰がいい? 選べよ』

『や、あぁぁ……』

 絶対にできるわけがないのにわざとそんなことを聞いているのだ。

『ほら選べよ。私の代わりに犯されてくださいって云ってみろよ』

『あひぃっ! うぅぅぅっ! いやだぁっ!』

 少女は背後から胸を思い切り揉まれ、苦痛に顔をしかめる。ぐにぐにと形を変える胸の乳首は起っていく。

『ほら委員長さん。助けてやんないのか?』

 すぐ側に、全裸の柚流が呆然と座り込んでいた。直人のものが激しく出入りする結合部を見せつけるように目前に突き出す。めくれ上がった薄い花弁のような肉を指で開いてやると、痛々しく腫れ上がっていることがわかる。

『そろそろ中に出すぞ? 大事なお友達の中に。いいのか委員長さん。孕んじまうぞ?』

 あまりにも恐ろしい現実。そうだ。誰もが皆……体の中に新しい生命を宿されてしまうかもしれないのだ。望んでもいない男との……。

『……』

 柚流は何も云わない。ただ虚ろな瞳のまま呆然と座り尽くすだけだった。

『い、いやぁぁぁっ! 助けてええええっ!』

 少女は嫌々とかぶりを振る。必死にもがいても、圧倒的な力によって完全に固定され、微動だにしないだろう。

『お前と一番仲の良い友達は誰だ?』

 びく、と周りの少女達が息を飲み、震える。答えられるわけがない。次々と悪意のこもった意地悪な質問が飛ぶ。

『答えろ』

『ひぎぃっ!』

 少女は再び思い切り胸を揉みしだかれる。直人の指が食い込み、引きちぎれそうなくらいに。

『うううぅぅっ! 痛いいいいいっ!』

 云えない。云えるわけがない。けれど……痛い。

『答えろと云ってるんだ』

『いやあああああっ!』

 直人は少女の髪を乱暴に鷲づかみし、引っ張る。少女の顔が仰け反る。同時にアヌスを更に強く突き上げる。熱くて、痛い……。

『答えろ! 答えろ!』

『ひっ! ひいいいいいっ! そ、んな……こと! で、できないぃぃっ! やめてえーーーーっ!』

 滝のように涙が頬を伝い、こぼれ落ちていく。少女はただ悲鳴を上げながら耐え続けた。決して親友の名前は口に出さずに。

『ふん。折角誰かと代わってやろうと思ったが、馬鹿な娘だ。だが、まあいい。こうなったら一晩中相手をしてやるよ』

『ひぃぃぃぃぃっ!』

 直人が腰をすすめる度に、ぐちゃぐちゃと粘りけのある水音が響く。既に中に出され体中にぶちまけられていたのだから。

『両方入れてやるよ』

『ふぉっふぉ。では遠慮無く、前に入れさせてもらおうかの』

 古手川が近付いてくる。少女は身動きできない。入り口に大きくそそり立ったものを押し当てられるのがスローモーションのようにゆっくり感じられる。時間が止まってしまえばいいのに……。

『ひっ! あ、あっ!』

 前と後ろから、男と男に挟まれてサンドイッチ状態。二つの穴を犯された少女はびくびくと震えながら失神しかけていた。

 ただ、耐えるために男に抱きついている。古手川はねっとりとした感触と共に少女の唇を奪い、直人は背後から乳首を弄んでいる。大事なところを……恥ずかしい所を……。

 誰もが今更ながら悟っていた。男達にとって自分達は玩具でしかないのだと。人ではないのだ、と。心があるのに……。普通の、ただの女の子なのに。

 学校に行って、お友達とおしゃべりして、勉強して、部活に打ち込んで……。そして、誰もがみんな楽しみにしていた修学旅行。学園生活でただ一度の思い出の時間。

 男達の悪意により、全てが踏みにじられていく。

『い、やぁ……』

 前も後ろも、熱いものが大量に注がれていく。男達が射精した証拠。

 ようやく解放された少女は、立っている事すらできず、冷たい床に倒れるように崩れ落ちた。





…………





『い、やぁ……』

『フフ。こいつだろ? こいつなんだろう?』

『すぐ話せば楽になれたのに。馬鹿じゃのう。ふぉっふぉっふぉ』

 ぱんぱんと、牢の中に音が響く。四つん這いにされながら犯され、顔を床に押しつけられている少女。

『う……』

 すぐ側には呆然と横たわる少女の姿。一晩中犯され、疲れ果てた瞳は虚ろ。そしていま、親友が目の前で犯されていた。決して口には出さなかったのに、直人は知っていた。遅かれ早かれ、こうなっていた。

『フハハハハ!』

 直人の高笑いと共に、親友の涙が少女の身体にこぼれ落ちた。

 親友の瞳。涙に濡れ、何も写していない哀しさに包まれていた。ただ……助けてと、来ない助けを呼び続けているように見えた。

『どうし……て……』

 誰にも聞こえないささやき。何に対して云っているのかはわからない。

 どさ、と音がした。中に射精された親友が用済みにされて放り出され、自分の体に重なった音。

『い、やぁ!』

 また別の誰かが犯されようとしていたけれど、少女の意識は失われていった。永遠に……。