――単純な死よりも更なる苦痛を。

 男達のサディスティックな欲望は、少女達の人生をこれでもかと狂わせていく。

「おい」

「ぐ、ぷ……」

 木戸が片手で掴んでいるもの。――それはかつては人気アイドルだった少女、礼菜の頭。修学旅行時に一クラス丸ごと誘拐され、男達数人に好き放題犯し尽くされ、今ではただ性的な奉仕をするために機械的に体を動かし続けている人形になり果てていた。木戸の大きな一物を口を目一杯開けてくわえ込み、柔らかな唇で包み込みながら頭を前後に動かし、舌でも縦横無尽に裏筋をなぞっている。言うまでもなく礼菜は全裸で、胸の大きな膨らみがぷるぷると揺れているのも、白く丸みを帯びた尻が完全に晒されているのも、もはや気にはしない。礼菜はもう、壊れてしまっているのだから。それでも、虚ろな目元からは僅かに涙がこぼれて落ちている。どんなに壊れようと、諦めようと、やはり嫌な目にあわされているという感覚は消えないようだ。

「こいつら、どうする?」

 礼菜と交わり続けながら木戸が問う。問われた方……古手川も木戸と同様に少女を犯しながら答える。

「そうじゃのう」

「は、ふ……あ、ふ……」

 ――西九条紫音。西九条財閥の令嬢である少女を四つん這いにさせ、尻の穴奥深くまで肉棒をねじ込んでいる老人、古手川。暗く、床の感覚はおろか空気すら冷たい地下牢。地の底、地獄とも形容できるような処に、箱入り娘達は揃って堕とされていた。ずむ、ずむ、と強烈な抵抗をものともせずに古手川の腰遣いは続き、何度も射精を繰り返した。それどころか、アヌスの中に思いきり放尿した。気紛れで、アヌスと秘所を交互に犯した。どの少女もただ、哀しそうな目で壁を見つめながら粗い息を吐いている。抵抗など無駄なのだから。単に今は紫音の番。

「このまま放っておいていいんじゃないか?」

 紫音の尻穴を責めながら古手川が問う。

「それもそうだな。なにせ、逃げることも不可能だろうしな」

 その根拠の一つに、少女達の首には大型犬用の首輪が固く巻かれている。更にそれだけではなく、引きちぎることのできないような、頑丈な鎖が壁に固定されている。例え少女達が心身共に健常であったとしても、逃れる事は不可能だった。実際に、今の結果が証明している。更にそれだけではなく、この地下牢は固い鉄格子で区切られていた。それも一つだけではなく、階段を上がった処に別の鉄格子が設けられているという用意周到さだった。

「お……。おっおっおっ。でる……っ! 飲み干せよっ! 一滴残さず全部だっ!」

 木戸が礼菜の口内に射精する。……そしてそのまま口内から引き抜きすらしないまま放尿を開始する。礼菜は驚きすらせず、ごぷり、ごきゅり、と喉を鳴らしながら飲み干していった。苦しさすら感じられなくなってしまったのかもしれない。

「ふぉっふぉ。……どぉれ」

 いつの間にか射精を終えた古手川が紫音のアヌスから肉棒を引き抜き、すぐ側に座り込んでいた流花の口内へと突然ねじ込んだ。寸暇を惜しんで少女達の肉体を犯し続けている。これまでも、これからも。

「んうぅっ」

「お友達の尻の味はどうじゃな? 入れ立てじゃぞぉ?」

「ん、う。ちゅば、ちゅば……んんぅ」

 流花は嫌がるそぶりすら見せず、口内での愛撫を始める。

「ふぉっふぉっふぉ。いい子じゃのう〜」

「しかし。ただ放置するだけじゃ、つまらないと思わんか?」

 礼菜の口内を犯し終えた木戸は、今度は横たわっていた文を立たせ、二つの大きな膨らみに逸物を挟んでしごかせ始めていた。文はただぼうっとしたまま、両手で胸を掴んで上下に動かし続けている。貞操観念の強かった古風な少女の面影はどこにも残ってはいない。

「それもそうじゃのう」

 粗大ゴミを廃棄処分でもするかのように二人の男は少女達の処遇を相談している。少女達は、今ではすっかり男達の性奴隷になり果てていたが、男達は飽きかけていたようだ。

「お嬢ちゃん達、解放してやろうかの」

「嬉しいだろう? 喜んだらどうだ?」

 少女達は何の反応も示さない。もう、考える力すら奪われてしまっているのだから。

「ふぉっふぉ。お別れするのが寂しいんじゃな。何せ、ち○こを差し出せば自分から進んでくわえこんでくるくらい、わしらのモノが好きみたいじゃからのぅ」

「うぐぐ……ぐ、ぐ」

 一物を喉の方までねじ込まれる流花。皮肉な事に、それが流花の自我を一時的に呼び覚ましたようで、虚ろな瞳に光が戻っていく。大きく見開かれた目元から滝のような涙が流れ落ちる。無論、古手川はそんなもので心を動かされるような男ではない。

「ほれ、ごっくんと飲み干すんじゃよ」

「ぐ! う!」

 ごぽ、ごぽ、と詰まった排水溝が強引に押し流されていくような音。古手川の射精は凄まじく、流花の口内が全て精液で満たされていくかのようだった。

「げふっ! げええっ!」

 流花は大きく咳き込み、その拍子に射精された全てを飲み込んでしまった。一瞬にして気が遠くなり、どさりとと音を立て床に倒れて落ちる。体を打ち付けて痛いはずだが、ぴくりともしない。流花は死んでしまったかのように横たわっているが、男達は構うそぶりすら見せない。流花はとりあえず用済みにされただけなのだ。

「ふぉっふぉ。……さて」

 古手川が辺りを見回す。さあ次はどの娘と楽しもうか、と考えている。その横で木戸が文のパイズリで絶頂を迎えていた。

「くうっ! 出るっ!」

 びゅ、びゅ、と射精。文の端正な顔のあらゆる処を汚していく。

「あ……ひ……」

「ふん。おい、これからは茶たてる時も、客をパイズリでもてなしてやるんだな。そのでかい乳で」

 文はただ呆然としながらそれを受け止める。艶やかな長い髪にも精液は飛び散り、滴り落ちていく。格式高き、茶道家元の娘はもうどこにもいない。

「むほほ! むほほほ! ほほ!」

 木戸が文を汚し終えた横で、古手川による新たな陵辱が始まっていた。今度の獲物は帆之香。疲れ果てて横たわっていたところを無理やり立たせ、壁に押しつけられながら左右の胸を弄ばれている。巨乳、と呼ばれるのに相応しい二つの膨らみは乱暴に掴まれ、絞るように握り潰されていた。

「ふぉっふぉ! 本当にいい乳じゃのう。大きくて絞り甲斐があるわい。ほれ、ミルクをいっぱい出してみぃ!」

 ぎゅうう、と乳首も思いきりつねられる。帆之香は無言のまま涙をぽろぽろとこぼしている。ずれた眼鏡の向こう側には虚ろな瞳。痛い。やめて欲しい。けれど、もうどうすることもできはしない。

「ほれ、ミルク出してみいといっておるじゃろう? 出ないのなら、爺ちゃんが吸ってやろうかの。ほっほ」

「あ……」

 ちゅば、ちゅば……。古手川は帆之香の体をひっくり返して壁に背中を押しつけ、乳首を交互に吸う。乳首だけでなく、帆之香の豊満なバストを丸ごと口でかぶりつくように弄んでいく。舌を執拗にうごめかし、吸盤のように大きく吸い付いては引っ張る。

「あ、あ、あぁ……あぁ、あ……」

 帆之香の胸が古手川の唾液でべとべとになっていく。帆之香自身はカタカタと震え、やがて決壊したように失禁した。ぷしゃあああ、と音を立てて。絶頂を迎えさせられた挙げ句の屈辱の失禁。

「ふぉほほほほっ。いきおったわい。おっぱいいじくられて漏らしながらいきおったわい! 何という淫乱なお嬢ちゃんじゃ!」

 帆之香は否定することができなかった。絶頂を迎えさせられたのは本当の事だし、それよりもなによりも、声がまともに出ていかない。脱力し、横たわると顔の上に古手川が尻をのせてきた。

「ほれ、舐めるんじゃよ」

「ぐ、うぅ……!」

 眼鏡のフレームがみしりと音を立てて歪んだ。帆之香の端正な顔は椅子代わりにされ、舌での愛撫を強要される。もう、どうしようもない。ちろちろと舌が古手川の尻穴へと触れていく。屈服。助けは絶対に来ない。帆之香は絶望していた。

「なあ爺さん。こいつらもだが、俺達の部屋にいる娘達はどうする?」

「放っとけばいいじゃろ。もう飽きるほど可愛がってやったからのう」

「まあな。全員媚薬漬けにされて、死ぬまでよがりまくるだろうな」

 ――男達の私室。かつて紳一から男達に宛がわれていた娘達の存在は今、同じように崩壊していた。

「ふふ。ふふふ」

「あん。はぁん。あ、あ」

「あはは。あは、あは」

 ただ無意味に笑いこける奈緒。自分の尻を指でほじり、自慰にふけるかすみ。互いの体中をなめ回し続けている亜衣と莉菜。自分の胸を揉みしだきながら舌と口で愛撫し続けるはるか。

「あはははは。かわいい〜。ふふ」

「あ、あ、あ……。だ、めぇぇ……」

 大股開きをさせられている美紗紀と、剥き出しになった割れ目にしゃぶりついている絵理香。割れ目だけでなく、尻の穴も同時に。

 力なく横たわっている少女もいれば、うわごとを呟き続けている少女もいる。男の肉棒を求めて犬のように鉄格子をしゃぶり続けている少女も……。だが、もう陵辱の刻は過ぎていた。陵辱をされ続けている間は生き長らえることができた。というよりも、無理やり生かされていた。それがもう終わるのだ。男達の関心はかつて紳一が目を付けていた少女達へと向けられていた。文字通り、残された少女達を犯して殺すことになるのだ。

「あぁぁ……ぁぁ、ぁ……。い、やぁ……」

 全身精液まみれのひかりが必死に這いつくばっている。どういうわけか、度重なる陵辱にも、媚薬の投与にも耐えきってしまった悲劇。

「か、かえして……。だしてえぇ……」

 今なお自我を壊せぬまま生き地獄に晒されている。そんな時、男の声。最後の別れに一目見にきてやろうと、木戸と古手川が自室に戻ってきたのだ。

「なんじゃ。騒々しいのう」

「あ、あ……。たすけ、て……ぇぇ……」

「こいつ、まだそんな事言っているぜ」

「ふぉっふぉ。頑張るのう。処女を破ったときにわしと直人で二穴同時に突っ込んでやったのが懐かしいわい」

「お前ら。あの時、俺を呼ばずにやっちまうとはな。最後の処女だったのによぉ」

 恨み言を呟く木戸。

「う、う……」

「ひかりちゃん。助かりたいのかの?」

「た、すけ……て……」

「どうする?」

「そうじゃのう。じゃあ、助けてやろうかの」

 男達は意外な行動に出た。ひかりの首輪を外し、部屋の外へと出してやったのだ。無論ひかりは立って歩くことすらできない。それでも必至に這いずり、進んでいこうとする。

「あ、ぅ……あ……ぅ」

 地獄から逃げ出したい。ただその一心だった。

「はう……はぅ……」

 処女喪失の記憶が蘇る。体中をまさぐられ、肉棒を口内奥深くまでねじ込まれ、精液を飲まされ……そして処女膜を破られた。と、同時にアヌスの方にもねじ込まれた。苦痛に満ちた哀しみの時間。男達が腰を動かす度にひかりの体はおもちゃのように揺さぶられた。

「かえ……る。かえり、たい……」

 射精は勿論膣内だった。避妊などしているわけもなく、完全に体内で受精してしまっていることだろう。もう数ヶ月も経てば……命があれば、新たな生命を孕んでしまうかもしれない。

「はあはあ」

 どれ程進んできた事だろう? 無限の回廊のように思える長い廊下。木製の冷たい床と殆ど膨らみの無い胸の先端が触れ合う。起ってしまった乳首が折れ曲がっている。股間がずきずきと痛い。秘所も、貫かれたアヌスも未だに痛みが残っている。

「……」

 死にたくない。強くそう思った。どんなに酷い目にあわされても……生きて帰りたい、と。

 廊下の末端に辿り着く。必至の思いで立ち上がり、ドアのノブをねじる。……鍵はかかっていないようで、開いた。僅かに開いた隙間から踊り込む。今が夜なのか昼なのかすらわからなくなっているけれど、構うことは無かった。

「あ……ぅ……」

 ドアの外は黒一色だった。少しでもこの場所から離れたい。ただその一心で、ひかりはよろめきながら歩み続ける。

 外に出られたのはいつ以来のことだろう。

「お、うち……。うちに……かえりたい……」

 足が痛い。当然の事。靴はおろか靴下も奪われてしまって、素足なのだから。

 自分がどこに向かおうとしているのか、どこが道なのか、男達は気づいていないのか、なにもかもわからない。……そうして気がついたら男達にまた犯されていた。

「あ、れ……」

「残念じゃったのう!」

「あぐぅっ!」

 突然、ずぶりとアヌスに一物を突き立てられる。涙が止まらない。





…………





 日常はどこにでもあった。何の変哲もないつまらないものであれ、監禁と陵辱の日々が続く地獄のようなものであれ。

 ――学園に通う少女達にとって、楽しかった週末が終わり、憂鬱な気分の月曜日の事。聖エクセレント女学院はその日、異常事態が発生し学校全体が閉鎖され、女生徒達は全員校舎への立ち入りを禁じられていた。その証拠に警察の車両が何台も乗り付け、黄色と黒の縞模様のロープが巻かれ、立ち入り禁止の札がそこかしこに踊っていた。

 物々しい雰囲気の発端は衝撃的な出来事だった。修学旅行中に行方不明となっていた少女達が突如として現れたのだから。それもまともな現れ方ではなかった。誰もが全裸で、一見して犯されたとわかるくらい大量の白濁液にまみれていたのだから。

 ――失踪した少女達がかつて毎日のように授業を受けていた教室。誰の仕業か、廊下側の壁にラッカースプレーで落書きがしてある。曰く、『全員が犯されたクラス』だの『公衆便所』だの『肉便器』だの『使用済み』だの『恥さらしな淫乱娘達の教室』だの、少女達を侮辱する言葉がこれでもかと書き散らかされていた。そんな、今では空き教室になってしまった所に全身を縛り上げられ、天井から吊るされている少女がいた。文と帆之香の二人。互いに豊かな乳房が重力の影響で垂れているが、隠すことすらできはしない。それとは別に、はしたなく、大股開きをした状態で教卓の上にくくりつけられている少女がいた。かつてクラス委員だった柚流。何度か失禁したのか、辺りには湿ったものが撒き散らされている。真面目な少女は男達によって媚薬浸けにされ、欲情するだけの獣にされてしまった。その証拠に、狂気を帯びた笑い声が微かに聞こえる。

「うふ。……ふふふ」

 ――彼女達だけではない。男嫌いな少女せりかはあろうことか、教職員専用のトイレの、それも男性用の小便器にロープで体をくくりつけられていた。だらしなく開いた口からは白濁液がこぼれ落ちている。せりかは呆然としたまま動かない。時折トイレの自動排水機能が働き、せりかの背中やお尻を濡らしていく。その感触が冷たいのか、せりかは何度となく失禁し、小便器の付近は細かい水たまりがいくつもできていた。

「くふ……」

 階下に目を向けると、流花とひながはいた。よく手入れをされていた花壇の上に全裸で横たわっている流花とひな。二人の幼さを残した秘所には、乱暴に引きちぎられた花々が何本もねじ込まれていた。女生徒達が丹精込めて育てていたであろう花々が。

 グラウンドの真ん中にもいた。彩乃がぽつんと一人、横たわっている。もはやぴくりともせず、かつて元気よく駆け回っていたボーイッシュな少女の面影はどこにもない。彩乃は首輪とリードで繋がれていた。リードの先端は杭のようにグラウンドに奥深く打ち付けられていて、簡単に抜けるようなものではなさそうだった。

 体育館からも少女の一人が発見された。天井から吊り下げられているのは紫音。体育館の周りを囲っているキャットウォークと同じくらいの高さで、誰の手も届かない。ゆらゆらと揺れている紫音を見て、誰もが呆然としていた。

 鈴が中庭の芝生に転がっているのが発見された。ベンチがあって、普段、女生徒達が昼食を食べたり休憩時間を過ごしている憩いの場。明るく、緑溢れる場所で、鈴は死んだように動かない。

 極めつけは礼菜だった。見世物のように屋上からロープで吊され、多くの視線に晒された。遠くの方からも見えるくらいに目立つのに、堪えきれず失禁してしまう。大股開きさせられ、秘所から止めどなく舞い落ちている滴は一粒一粒がきらきらと、たまらなくうきれいに輝いて見える。かつてアイドルだった少女がこのような無残な姿にさせられるなど、誰が考えた事だろうか。

 一体誰が何の為にしたことなのか。最低最悪な形ではあったが、少女達は凌辱される日々から解放された。……一生消えない傷を負って。





…………





 それでも、発見されたのは全員ではなかった。他の少女達は依然として行方が知れず、謎だけが残った。

 しかしそんな少女達も、突如として現れることになる。

 ――聖エクセレント女学院の卒業式。厳かな雰囲気に包まれた式典の最中に、前代未聞の自体が生じた。それは突如として乱気流に巻き込まれた飛行機の客席のようだった。上から酸素マスクが落ちてくるかのように、一つ、二つ……四つ、六つと、突然何かが落とされた。バンジージャンプでもするかのようにロープで剥き出しの下半身を固定され、逆さ吊りされていたそれは、行方不明となっていた少女達だった。

 何者かがわざわざこの時を狙って、天井に仕掛けを施していたのだ。それは巧妙にカモフラージュされた悪意だった。

「な、によ……これ!」

「ひ……ひどい!」

「き、きゃあああああっ! いやあああああああっ!」

 一瞬の沈黙の後に、女生徒のつんざくような悲鳴が上がる。生きているのか死んでいるのか、それすら判然としない行方不明だった少女達が数メートル上のところに現れたのだ。莉菜がいる。他にも奈緒、美紗紀、みお……。皆一様に全裸で精液まみれにされ、瞳は虚ろで光を宿していない。ぽたり、ぽたりと落ちてくるのは涙だろうか、汗だろうか、それとも精液だろうか。ともかく、サーカスのブランコみたいに揺れている。

 それだけではない。壇上の方でも同様の異変が生じていた。大股開きをさせられながら吊り下げられた少女はひかり。他にもかすみ、はるかがいる。見せつけるためか、かすみに至ってはふくよかなバストをこれでもかと絞り上げるように縄で縛られていた。柔らかな乳房に縄が食い込み、ぐにゃりと潰れている。

 突如、吊り下げられた少女の誰かが失禁した。びちゃりと噴水のように勢いよく飛び出した滴は拡散し、ぽたぽたと雨のように卒業生や在校生目掛けて降り注いでいった。

 壇上の背後の壁を目掛け、スライド式の映像が流れ始め、どこからか音声も同時に聞こえてくる。耳を塞いでも聞こえてくるようなボリュームの叫び声が。

『いやあーーーーーーーっ! だめえーーーーーーーっ!』

『助けてっ! ママッ! ママァーーーーっ!』

『痛い! 痛いよおおっ! 離してええええっ!』

『ひぎいいいいっ! し、んじゃ……う……っ!』

『ごぼっ! げほっ! あがあっ! ぐ! げええええっ!』

『もういやああああっ! 許してええええええっ!』

『あ、あ、あーーーっ! あーーーっ! あーーーっ! いやあああーーーーーっ!』

 痛々しい叫び声を上げながら何度も犯されている少女達。それは今まさに吊り下げられている少女達が味わった地獄だった。

「きゃああああああああああっ!」

「いやっいやっいやあああああっ!」

「もうやだっ! いやーーーーーーっ!」

 当然の事ながら、体育館の中は大パニックになっていた。パイプ椅子がひったおされ、転倒する少女が続出した。理不尽すぎる行為に泣き叫ぶ声。もしかしたら自分も同じ目にあわされてしまうのかもしれないという、具現化された恐怖に顔を引きつらせた女生徒がどうにかして外へ逃れようと扉に手をかける。――が、何故だかはわからないがどうやっても開かない。どうやら外から完全にロックをかけられているようだ。外から溶接でもされたかのように固い。後から人が押し寄せてくる。圧死しそうなくらいに苦しい。

「何でっ!? どうして開かないのよっ! どうしてっ!?」

「開けて! 開けてええええっ!」

「いやあああああっ! やだっ! やだああああっ!」

 かつて二十数名の少女達が味わったものと同じ恐怖を、他の少女達も感じていた。

 どこからかぶしゃああああ、と音がする。壇上にいたはるかの尻が決壊してしまったようだ。卒業式が始まる前に浣腸をされて、固く閉められていた栓が吹き飛んでしまったようだ。それは他の少女からも同様に見られた。大勢の視線に痴態を晒されてしまった。

 続けざまに、逃げ場を失っていた人々の中に柔らかい何かが放り込まれた。それは早由美、亜衣、さくら、舞、絵理香、詩織……。全員大量の媚薬を投与されているのか、全身をひくつかせながら欲求を満たそうと人々の中へ飛びかかっていった。

「あ、あは……あ、は、あははははは……! きゃはははははっ!」

「きゃああーーーーーっ!」

 女生徒のスカートの中に顔を埋め、舌で尻を舐め始める早由美。

「あぅ、あぅ……」

「やめっ! やめてええええっ!」

 精液まみれの顔の亜衣は誰彼構わずキスをしていった。

「きもちいぃぃ……いく、いっちゃうぅぅ……いっちゃうのぉぉっ! おしりあついいぃぃぃっ!」

「ほしいの……おちんぽ、ほしいの……おまんこにいれてえぇぇ!」

「やめっ! やめてえええええええええっ!」

 舞とさくらが辺り構わず自慰行為にふける。それだけでなく、女生徒達のスカートを引っ張ったりし始めた。

「おとうさまあぁぁ……」

 詩織が失禁しながら父の姿を求めて彷徨っている。

「あ……」

 愛がふらふらと歩いている。尋常な様子ではなく、ただ男を求めて彷徨い続ける。誰でもいい。来賓の方でも、教師でも……。手探りながら男を見つけ、ズボンのチャックを下ろして一物をくわえこむ。

「き、君っ! 何をっ!」

「おちんちん、いれて……。いれて……して……はあはあ。ん、んぐ、ん……ん、ん」

 ――完全にぶち壊されてしまった卒業式を経て、少女達は全員解放された。二度と忘れることのできない記憶と共に。

「きゃああーーーーっ! だ、出して! ここから出してええええっ! いやあーーーーっ!」

「いやあっ! もういやああああっ! 何なのよおぉっ!」

「どうしてこんなっ! ひどいっ!」

 途切れる事なく女生徒たちの金切り声が方々から響いてくる。教師たちも来賓の人々も右往左往するだけで、もはや手がつけられないくらいの大混乱。阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまった体育館。

 解放という名の自由と引き換えに、見せしめにされてしまった少女達は今も尚手をつけられる事もなく、天井から吊り下げられていたり床の上に放置されている。

 突如天井の方からパン、と破裂するような音が響き、くす玉が割れるかのようにして何かが舞い散り始めた。それは決して卒業の時を迎えた生徒達の巣立ちを歓迎する紙吹雪などではなく、凌辱された少女達をどこまでもあざ笑い、侮辱し続ける悪意の塊だった。

「きゃああっ! 何っ!? 今度は何なのよおっ!」

「え……。な……っ! こ、これって!」

「こんなのってないよ! どうして!? 何でこんなっ! どうしてこんな事ができるのっ!」

 ぱらぱらと落ちていくものが何か、何気なく手に取ってみるとわかる。例えばチェック柄や水玉模様をした布地の破片など、かつて古手川達が少女達から無理やり剥ぎ取ってきた制服や下着の成れの果て。ミキサーにでもかけられたかのようにボロボロにされてしまったそれは、制服のリボンであったりあるいはちょっと大胆なショーツであったり、飾り気のないブラジャーであったりと様々だった。

 体育館の中にいる全ての人々の脳裏にも、痛々しい事が行われていたのであろう想像が膨らむけれども、何も知らずに布切れがひらひらと舞い散る様は、救いようがないほど綺麗に見えてしまう。

「ふう……あぅ……。ふ、く……。ふく……。あ、うぅぅ……」

 ロープで縛られ、天井から吊り下げられたままの莉菜が意味の取れないうわごとを呟きながら手を伸ばしている。猫が蝶蝶にじゃれるように、本能的に手を伸ばしては引っ込めるだけで、何一つ掴む事などできはしない。

「か、え……し、て……」

 結局何もできずに、憂いと無念に満ちた莉菜の声は消え入りそうなくらいに弱々しく、かすれている。莉菜が望んでいるのは服のことだけだろうか。

 ――また新たなものが、ばさりと舞い落ちていく。今度は一見してわかるもの。少女達の写真だった。それも一枚や二枚ではない。

 可愛らしい顔に何本もの怒張しきった肉棒を押し当てられてしまい、眉間にしわを寄せながらきつそうに目を閉じている舞。立たされたまま背後から秘所を乱暴に攻め立てられているのか、白目を剥きながら絶叫を上げている奈緒の姿。互いに精液まみれにされた顔のままレズ行為――キスを強要されている亜衣と詩織。胡座をかいた男の上に腰掛けさせられ、アヌスを貫かれながら同時に二つの大きな胸を揉みしだかれ、更に捻りあげられた乳首を自らしゃぶらされているかすみ。持ち上げられ、所謂駅弁スタイルのまま揺さぶられているみお。皆もいる牢の中で大股開きをさせられ、放尿を強要されている詩織。首輪を引っ張られて四つん這いにされ、犬のように片足を上げさせられながら放尿させられている美紗紀。組み伏せられ、制服のリボンを引きちぎられている莉菜。男の尻へ舌を這わすことを強要され、心底嫌そうに目を引きつらせているひかり。背後から二つの膨らみを思い切り揉みしだかれて泣きじゃくっているはるか。自慢の長い髪を乱暴に引っ張られ、一物に巻き付けられて汚されている絵理香。大きな一物を口内に突っ込まれ、口から溢れ出るくらい大量の精液を飲まされている早由美。

 慰み者にされてしまった少女達は何一つ知らない。全員の名前も住所も、電話番号や家族の名前から趣味……。それだけでなく親しい友達の個人情報や、顔写真から、全裸にされてしまった写真や大股開きさせられて剥き出しになった秘所……乳首、アヌス……肉声……ありとあらゆる個人情報が、凌辱され続けている画像や動画と共に、インターネット上に大量流出している事に。その証拠に、会場内の人々が持っている携帯が一斉に受信したのか、着信メッセージが突如として鳴り響いている。それらは全て、一連の事件を企てた者達によるスパムメールが大量配信されている証拠。そして更に今まさに繰り広げられている地獄のような光景もデジタルデータ化され、どこかに送られているのだ。

 更に悪い事にそれらの写真や個人データは、少女達の想い人……例えば帆之香にとっての先輩や、礼菜にとっての剛、柚流にとっての春彦といった人々にまで直接送り付けられていた。それだけでなく、ゴシップネタが大好きなマスコミ各社にも。

 全てを知られてしまった少女達に、もはや安息の時はなかった。解放という名の自由は既に、牢獄と変わりはないのだ。どうやって生きていけと言うのだろうか。

「あ、あはは……っ。してっ……。いれてぇっ。おちんぽちょうだいいぃぃ! おまんこにいれてえええっ! いきたいのおおおおっ! おとうさまああぁぁっ!」

 決してそんなことを口にする娘ではなかったはずの詩織は今や、発狂してしまったのか白目を剥き、全身をひくつかせながら淫らな言葉を連呼している。その目前を、恐怖に目を見開き、背後からアヌスを犯されながら鉄格子を掴んで絶叫している柚流の写真がひらひらと落ちていく。

 他にも沢山……滝のような涙を幾筋も流しながらパイズリを強要されている文。縄で全身をきつく縛られながらアヌスを責められている礼菜。鎖のついた首輪で犬のように扱われ、完全に服従させられているせりか。小さな胸を思い切り揉みつぶされながら、アヌスを一気に貫かれて目を見開いている彩乃。男二人に乳首に吸い付かれ、絶叫している帆之香。ずたずたにされた縫いぐるみの破片を拾い集めながら、精液を全身にぶちまけられているひな。男のものをくわえ込みながら、恐怖の余りお漏らしをしてしまっている流花。秘所を舌で愛撫されて泣きじゃくる鈴。大勢のクラスメイトの前で公開凌辱されている愛……。ありとあらゆる凌辱の風景が何百枚もの写真となってばらまかれていく。

 同時に、悪夢のスライドショーは今も続いている。陵辱されている少女の映像と共に、痛々しい叫び声が尚も体育館内に響き渡る。

『い、い、いやあああああっ! 助けて! 助けてえええええっ! ママああぁぁーーーーーっ!』

 母の助けを求める早由美の声。

『痛い! 痛いいいいいいっ! いやあっ! いやあああっ! 抜いて! 抜いてええええっ! ひぎゃああああっ!』

 美紗紀が声を枯らしながら拒否を訴える。

『ぐ、む……! も、ご! もが! ん、ん、む……! げほっ! けほっ! い、やぁ! も、もうやめて……! や、やめっ! や……むぐうぅぅぅっ!』

 巨大な一物を口内奥深くまで突っ込まれ、さくらの可愛らしい顔が歪んでいく。

『あっ! あっ! ああぁっ! や、め……あぐっ! 痛っ! はぐっ! 痛あーーーーーいっ!』

 両手で鉄格子を掴みながら、背後からアヌスを貫かれ、痛みに泣きじゃくる亜衣。

 あまりの悲惨さに、会場にいる全ての人々が後悔の感情に打ちひしがれていた。どうしてこの娘達を助けてあげられなかったのだろう、との思いに。……それが不可能だとは分かってはいるけれど、思わずにはいられなかった。そして、これからもきっと少女達を真の意味で救うことなど、できはしないだろうということもわかってしまう。

 神経を逆撫でするかのように、『蛍の光』がどこからか流れてくる。徹底的に汚され、最悪の思い出となってしまった卒業式はこうして終わっていった――。

 ばん、ばん、ばん、と交わる音。かつてトップアイドルだった礼菜がアヌスを乱暴に責め立てられ、白目を剥きながら悲鳴を上げている。

『あぅっ! はぐうっ! あうぅぅうっ! たす……。たす……けてぇ……。あぐぅっ!』

 物のように扱われてゆさゆさと揺れている礼菜の下で、ぽたぽたと流れ落ちる涙を受け止めている少女がいた。縫いぐるみを奪われたひなだった。

『うっうっ。こんなのやあぁ。か、帰りたいよぉぉ。お家……帰してえぇぇ……』

 ひなの望通り、帰ってくることはできた。病院に入れられ、今はもう、まともに話す事も歩くことすらできない身になってしまっているけれども。

 自由を得た代償。それは余りにも大きく、哀しいものだった。