死に至る直前のこと。
(……ぁ……ぁぁ)
全ては終わった。けれどそれは解放を意味するものではなかった。少女達はただ単に飽きられ、いつの間にか犯す価値さえなくなっていただけだった。既に男
達の姿は消え、凌辱の時は終焉を迎えた。それでも救いは訪れない。
(たす……け、て)
少女達は見捨てられたのだ。僅かな食事をも与えられなくなり、一滴の水を舐めることすらできなくなっていた。後はもう、逃れようのない死を迎えるだけ。
少女達の命運は決まっていた。
(み……ず……)
誰もが心身共に傷つき、疲れ果てていて体は動かない。側に誰かがいるはず。いた……。
長い髪が床の上に散らばるかのように広がっている。目と口を開いたままうつ伏せに倒れている少女。紫音。……既に絶命しているのか瞳孔が開いていた。顔
のあちこちに涙が流れた跡が見える。恥辱と激痛にまみれ恐怖に苛まれた数ヶ月で、華やかで高貴な財閥令嬢は見るも無惨な姿に変えられていた。
その隣。紫音と同じように倒れているのは帆之香。おもちゃのように扱われ、散々揉まれた上にしゃぶり尽くされたのか、大きな胸が赤く腫れ上がっている。
顔が見えず、生きているのかすら、今の少女達にはわからない。かつてかけていたはずの眼鏡も失われていた。陵辱の最中に落としてしまい、男の革靴によって
踏みつぶされたのだった。
壁際に転がってのは文。顔中に射精され、べとべとのどろどろに汚されたまま放置されていた。まだかろうじて生きてはいるのか、喘息のようにひゅぅひゅぅ
と苦しそうな吐息が微かに聞こえる。助けが来なければ消え去るのも時間の問題だろう。少女達の命は文字通り風前の灯火だった。
礼菜は……どうなっているのかわからなかった。全身を縛られたまま徹底的にいたぶられ続けていたのだけは誰もが覚えている。大きな胸に何重にも縄を食い
込ませ、絞り上げるかのようにいじめた。そして釣り上げ、思い切りお尻を叩き続けた。プライドの高い少女が全てを捨てて必死に泣き叫び許しを請うのも完全
に無視して前後から犯し尽くした。
流花は、ひなは、鈴は……。今ではうめき声すら聞こえない。多分死んだのだろう。無邪気で小柄な少女の体にも木戸は容赦なく極太のものを突っ込み、五回
は軽く連続で射精をした。古手川は全身をしゃぶり尽くすように少女の体をなめ回した。……お嬢様学校の箱入り娘達には到底耐えられないような仕打ちに、牢
の中は喘ぎと悲鳴に満たされた。今ではそれも聞こえなくなり、逃れようのない死を待つだけ。
(いや、だ。しに……たく……な、ぃ……ぃ)
彩乃は夢を見ているかのように呟いた。床の冷たさが伝わってくると同時に顔には温もり。せりかの股間に顔を埋めさせられていたのだった。せりかも既に絶
命しているのか、何の反応も返さない。そのうち温もりも消え、冷たくなっていくのだろう。
(ぱ、ぱぁ……っぅ)
あそことお尻にずきずきと痛みを感じる。大量に出されたものが逆流していく。体から力が抜けていく。考えることすら億劫になってしまう。
(み、んな……。ぶじ、ね……。よか……った)
壁にもたれ掛かった柚流がうっすらと笑みを浮かべて呟く。みんなが無事だった未来を夢見ているのだろう。ぽたりと涙が一粒こぼれ落ちた。視線の先には守
りたかった人達が横たわっている。
(はるひこ……く、ん)
愛しい人との再会を夢の中で果たしていた。
現実には……全裸にさせられ大股開きをしたまま失禁し、口元からは涎と精液をだらし無く垂らしていた。何度となく男の肉棒をくわえさせられ、しゃぶらさ
れた。大きな胸で男の肉棒をしごかされ、射精させられた。二つの穴を何度も汚された。それどころか、友達の恥ずかしいところをなめさせられ、指でいじらさ
れた。
ふと、現実に気づく。誰もが皆、無事に帰ることができたと云うのは夢だった。愛しい人との再会も夢だった。現実はあまりにも苛酷だった。クラス委員とし
て何ができたのだろう。目の前で何度も友達が犯された。全裸のまま四つん這いにされて首輪をつけられ、激しく攻め立てられた。誰もが皆例外なく助けを求め
て叫び、激痛のあまり泣きじゃくっていた。柚流は何もできなかったのだ。ただ、悔しさのあまりきつく目を閉じて時が過ぎるのを待つだけだった。
(あぁ……)
柚流は落胆し、絶望した。皆……死んでいくのだ。
自然と指が胸に伸びていた。逃れられない死の恐怖を忘れるために。苛酷すぎる現実から目を背けるために、自慰行為にふける。
「はぁ、ん……。いい……」
静まりかえった牢の中で、ぴちゃ、ぴちゃ、と音がする。柚流が自分の大きな胸を揉みしだき、乳首をぴちゃぴちゃと舐める音。
(い、や……だ)
彩乃はブルッと震えた。壊れたクラスメイトの姿を見て、ああはなりたくないと強く思った。そして、無駄だと分かっていつつ腕に力を込めてみる。思うよう
に動かない。けれど、力はまだ入った。
(ぱ、ぱぁ……)
うつぶせ状態から立ち上がろうと試みる。床の冷たさに手が痛い。何度か試みて失敗し、腕を滑らせてしまう。それでも繰り返すと、何かを掴んだ。
(あ、ぅ……)
彩乃はもう、それが何かを意識する余裕はなかった。柔らかなもの。それは文の頭部だった。彩乃はしっかりと掴んで支えにし、立ち上がった。
(かえ……り、た……ぃ)
ふらふらと亡霊のような足取り。友達の体を乗り越えていく。細い手を、白い足を、華奢な背中を、頭すら踏み付け、そしてつまづく。悪い事だなどとはおも
わなかった。それでも彩乃はあきらめずに歩みを続ける。ただひたすらに、この地獄から逃れたいが故に。
(かえ……)
もう少しで鉄格子が見える。外に出られそうな気がして手を伸ばす。だが、結局は手を付くことすらできなかった。
「ぐっ。……げ……ぇっ」
鎖の付いた首輪で拘束されていることすら彩乃は忘れてしまっていた。ピンと張り詰めた鎖によって彩乃の小さな体はもうそれ以上進むことすらできなくなっ
ていた。
「が、あぁっ。あ……あぁ。げほっげほっ」
彩乃は力尽き、前のめりに倒れる。ばん、と床にたたきつけられる鈍い音がした。細い首が締め上げられる。枯れ果てたと思っていた涙が流れ、苦しさのあま
り涎を垂らし泡を吹いてしまう。
彩乃はもうどこにもいけなくなっていた。動くことも、喋ることも、考える事も。
(たすけ……て……)
彩乃の短い生涯が終わりを告げるのは間もないことだった。