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書感・その3:redEyes




人外度(5):★★★★★
女性度(1):★☆☆☆☆
兵器度(5):★★★★★



 一言で言うならば、熱き漢達の戦いの記録。つまりは、装甲騎兵ボトムズのATのような光学レンズの輝きや形状に熱いものを感じる人にとっては最高と思える作品ではなかろうか。

 物語的には主人公のグラハルト・ミルズ大尉やジャッカル隊員をはじめとした人外連中(=作中における、何かに覚醒した化物クラスのとんでもなく強い人達)が大筋を締めており主軸であるのは言うまでもないのだが、そこはそれ、名も無き兵士達が所々で意外と言っては失礼だが結構頑張っていたり熱かったりするところもあるのが見所。それはレジスタンスだったり正規軍だったり、所属も状況も色々と様々だがまあ、多くの名もない連中は脳天に銃弾食らって北斗の拳ばりに『ガアッ!』だの『ダカッ!』だの『ガッ!』だの言って死ぬのだが、それもまたよい。が、くれぐれも膠着状態の戦場で敵軍の死神兵士の噂話なんかしたらいけない。そいつは確実に死ぬ。大体噂していたやばい兵士がすぐ側に現れる。すっ飛んで逃げても間に合わないと思えるくらいに恐い。現実だったら嫌だ。絶対に戦争は嫌だと実感するのだ。あほたれが『また戦争でも起きないかな。ドカーンと』とか不謹慎な事をぬかしたりしようもんなら、例外なく遠くから狙撃されて顔がドカーンと吹っ飛ばされるというものだ。戦場はかくも無情なものなり。

 魅力の一つ、主人公達が着込むスペシャルアサルトアーマー(SAA)と呼ばれるパワードスーツは一見ハイテクそうに見えて、ミノフスキー粒子によるレーダー不使用ではないが、色んな大人の事情によって有視界白兵戦闘をせざるを得ない状況に陥り、今よりも結構な未来の割に色々と大幅に退化しているという設定もなかなかに興味深い。そもそも本作最大の魅力は本編も去ることながら、巻末にある設定資料なのであるが、巻を追うごとに作者自身の余裕が無くなっていくのか、設定資料ページ数が総じて少なくなっていくのが非常に寂しく残念。あの設定資料集だけでご飯三杯は食えるくらいだっつーのに、おれが本当に読みたいのはあの巻末の余りにも濃いい解説だったり設定資料だったり歴史書だったりするのである。そう……例を挙げて言うのならば、レギウム国防軍正式採用の量産型SAA『バルディッシュ改』のバリエーションとか何故か詳細が出ていないドラグノフ連邦軍SAA特殊部隊COBRAのカーレル・シュワンツ隊長専用機ではなく一般隊員が使用しているSAAの詳細とか、とにかくそういったものを! 是非とも新刊では再掲載されたいところだ。

 ちなみに物語的には今から数百年後と言ったところで、某大国が正義の名の下に色々好き放題やったり世界制覇みたいな事をかなり強引でうへぇと言いたくなるようなえげつない手を使ったりなんだりして達成して、でもそれもいつまでも続くもんじゃなくてやっぱり崩壊してその後数世紀にわたる戦乱があったりなんだりしてやっと平和が訪れてそれからまた何十年とたった頃のお話なわけで、地図とかみると東欧の現在で言うところのルーマニアだったりモルドバだったり沿ドニエストルだったりハンガリーだったりウクライナだったり、まああそこら編なわけでアルバ・ユリアとかティミショアラとか地図で探して見て行ってみたくなってきたが、Googleアースやらマップやらと一緒に見つめてみるのもそれはまた新たな楽しみが開けるというものであろう。

 本作の欠点として、隔月連載作品なので単行本の出るのが一年に一度くらいという緩やかさ故に、作品を楽しみにすればするほど寿命が縮まっていくような気がしてしまうのだが、そこはそれ。続刊を気長に待つとしようじゃないか。時折作画が崩壊していたりするのはご愛敬と、少なくともおれは思うのだった。






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