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書感・その8:宇宙家族カールビンソン




辺境度(5):★★★★★
幼女度(5):★★★★★
親父度(5):★★★★★



 宇宙家族カールビンソンの見所といえば、とってもメカメカしいおとうさんの存在である。普段は仕事もせずに天然なのか壊れているのか、何を考えてるのかわからない宿六ではあるが、それらは過去の壮絶かつ哀しすぎるエピソードに起因する。

 お父さん、と呼ばれるようなキャラクターは決して珍しいものではなく、数多くいるものである。一例を推挙するならば、ゼータガンダム以降におけるブライト艦長(もっとも、ファーストの時から既におっさんくさいキャラではあったが)であるとか、美味しんぼにおける典型的な理不尽頑固親父海原雄山や、刃牙における勇次郎や、あずまんが大王におけるちよの父なども候補の一つに上げられるであろう。だが、おれにとってのおとうさんキャラとはやはり宇宙家族カールビンソンのおとうさんなのである。一人挙げよと言われたならば真っ先に浮かぶイメージなのである。誰が何と言おうとだ。

 カールビンソンにおける、コロナちゃんのおとうさんの素晴らしいところは、それはもう、愛の力だ。娘のコロナちゃんがピンチに陥れば即座にどっから引っ張り出したかわからない強化パーツを身につけて、ものすごいパワーで敵を吹っ飛ばしたり容赦なく銃弾の嵐を見舞ったり時には空間破砕砲なんぞまでもぶっぱなしたりするのである。中でもおすすめなのは、超巨大台風イセワン(注:ここで言うところの台風とは辺境惑星アニカにおいては丸い形をした巨大生物なのであり非自然現象なのである)を撃破した連装重突撃砲イプシロン。おかあさん曰く、宿六のおもちゃとのことだが、あの四連装の砲口形状がとても良い形をしていてたまらない魅力に溢れているとおれは思う。余談であるが、あさりよしとお氏は、かの新世紀エヴァンゲリオンにて一部使徒のデザインをしている。メカのセンスはおれは嫌いじゃないぜああいうの。

 宇宙家族カールビンソンは、現住生物を始め異形の連中が織り成す、一見ほのぼののんびりとしていてどこかシュールなやりとりがごく自然に思える作品である。三月に一度は交番爆破が行われないと季節の変化が感じられないとか、登場人物の一人怪人虹男が言うには、一見牧歌的だが邪悪な空気が渦巻いているのである。連載誌が廃刊になったりいろいろあって未完のままだが、それでよかったのかなとも思える作品である。きっと、ずっと同じような日々が続いていくのであろうから。いつまでもいつまでも……。

 リスのター君(どこがリスだと誰もが思うことだろう)が見た目は気持ち悪いけれどとてもいい人だよなと思ったり、映画屋ジョンがカーペンター監督だったり、原住民のジュンくんとパーカーの仲は色々と突っこみどころ満載ではあるけれど仲睦まじいのかなとか思ったり、コロナちゃんのお母さんはとてもお母さんしていてああいうおばちゃんって身の回りに結構いたりするよなぁとか思ったり、とにかく色んな意味でマニアックなネタが満載で濃い作品。子供の頃に読んだので何故かとても印象に残っているけれど、今読んでもやっぱり面白いなと思うのだった。






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