書感・その12:ニンジャスレイヤー
忍殺度(5):★★★★★ 末法度(5):★★★★★ 殺伐度(5):★★★★★ 読むという行為を考える。 そう。それもよかろうさ。だがしかし、本書はそれだけではなく、五感を通じて感じるものなのであると理解する次第。戦時中の如く命の扱いが極めて軽い、マッポーめいた禁未来都市……重金属酸性雨が絶え間なく降り注ぐネオサイタマにおける、この壮大な世界の実際奥ゆかしくも哀しいニンジャアトモスフィアを五臓六腑でだ。ガイジンによる勘違い感炸裂な日本における、サイバーパンクな物語を味わいたくば、これしかないであろう。さすればニンジャに遭遇したサラリマンのごとく、アイエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデー!? コワイー! ゴボボー! と、NRS(ニンジャリアリティショック)にかかり、場合によってはそのままオタッシャ重点と、医師から匙を投げられるであろう。イヤーッ! といったように、ニンジャの来襲を受け失禁及び失神し、グワーッ! とか言いながらのけぞり、死を向かえるも生き延びてニンジャソウルをその体内に向かえるも、全ては賽の目次第なのである。 悪の巨大組織。ソウカイヤシンジケートに立ち向かう孤独なニンジャスレイヤー=サン。物語の始まり。全ての因縁が始まった地である、マルノウチ・スゴイタカイビルで起きた惨劇。平安時代の剣豪、ミヤモトマサシが語る名言の数々。そして、ラオモト=サンの豪快な笑い。オリガミ部に所属していた平坦な胸の女子高生、ヤモト・コキ=サンの身に起きた悲劇とは。 二人の作者と翻訳者達によって織り成される絶妙極まる日本語。それは別名、忍殺語と呼ばれるものであり、日本人では書けない日本語が、そこにはある。日本語の乱れが叫ばれている昨今、本当に乱れているのか? あるいは新たな秩序が生まれているのではないか? そう考えるよい機会になるのではなかろうかと、本書を読み終えた後にて思いにふけることしかり。 そして、本書を読む度に毎回思うのだった。ああ、スシソバを食いたいなー、と。無論スシは、オーガニックスシに限るのであった。 了
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