やさしいひと
『ごめんね』という一言を残して
大切な人は、彼の前から姿を消した。
とても……残酷なくらい優しい声で。
それが彼にとって、最初で最後の別離だった。
頭を撫でてくれた手は、あまりにも優しくて…。
哀しいことだとも知らなくて
涙は一滴もでなかった。
花鈴「……と、いうわけなんです(・・)」 ……ふむ。なるほど(--) 花鈴「ご主人様、行ってもいいですか?(・・)」 その前にだな。もう一度一から説明してくれ(--) 花鈴「え?(・・;;;)」 ↑の出だし部分だけでは、読んでる人を『何のこっちゃ???』という状態に陥れてしまうのだよ。なので、俺は内容を理解したけどもーいっかい要点をかいつまんでキチッと簡潔かつ明確に要件を説明したまえ(--) 花鈴「なんですかそれ〜(xx)」 ディレクターズカットだ(--) 花鈴「もぉ…。えっと、私の友達のお母さんに保育園の園長さんがいるんですけど。保母さんが一人病気で倒れちゃったとかで、休日だけしばらくお手伝いしてほしいって、お願いされたんですよぉ。休日保育の(;;)」 なるほどなるほど(--) 花鈴「それで、行ってもいいですか? って…(・・)」 おう。行ってこい行ってこい。世のため人のため、税金払って政治家の皆さんの懐を暖かくするため、社会奉仕するのはとっても良いことさね( ̄ー ̄) 花鈴「ご主人様……。何か嫌なことでもあったんですか?(^^;;;;;)」 細かいことはキニスルナ。ま、無理せず程々にな(--) 花鈴「はぁい。あ、じゃあ、これから園長先生のところに挨拶してきますね。すぐ近くですから(^^)」 あいよー(--) ばたん…
しかしまぁ、保育園ねぇ。元気なガキ共がたんまりと…………はっ! って、そうだっ! やばいっ!Σ(--;;;;;;;) にゅ「むっふっふっふっふ♪ これわ良いことを聞いたぞな♪ 保育園保育園〜♪( ̄ー ̄)」 そこじゃっ!!!! スピアブーメランッ!!!!(--#) ずびしっ!
にゅ「ぐふぉぉぉっ!?( ̄□ ̄;;;;;)」 やっぱり沸いて出やがったな。どこからかぎつけたんだか(--#) にゅ「い、痛いやないかあああっ!!!! イキナリ じゃかましいだまらんかいっ! ぜってーあの場所にはたどりつかせんからな!(--#) にゅ「ふふん。果たしてそれができるかなぁ?( ̄ー ̄)」 おうともよ。できるに決まっておろう! 俺の全身全霊を込めて貴様を阻止する! こういう時のために じりっじりっ……
にゅ「いまじゃっ! 爆萌やあああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!!! 保育園やあああああああーーーーーーーーーーー!!!!( ̄▽ ̄#)」 させるかと云っとるんじゃッ!!!! スピアブーメラン十連射じゃああああああっ!!!!(--##########) びしっびしっびしっびしっ!!!!
にゅ「にょおおおおおおおおおおーーーーーーっ!!!! なにするんじゃああああああっ!!!! 邪魔するんじゃないわああああああ! 幼女爆萌やああああああああっ!!!!!( ̄□ ̄;;;;;;)」 聞く耳もたんいうとろーがあああああああああああっ! うるぁあああああああああっ!(--#######) げしげしげしげしげしッ!!!!
にゅ「どひーーーーーーーーっ!!!!! 槍で殴るんじゃないぴょおおおおっ!!!!( ̄□ ̄;;;;;;;)」 往生せんかいこらああああああああああああああああっ!!!!(--######) こうして、ご主人様による必死の防衛が功を奏したのか
幼女爆萌男の来襲は無かったらしい。
……それはさておき。
花鈴は保育園の雰囲気にすぐに慣れて、子供達の人気者になっていた。 女の子「おねえちゃん、おっぱいおっきー(^^)」 ふにふに
花鈴「あは(^^;;)」 女の子「どうしたらこんなにおっきくなるのー?(^^)」 花鈴「ど、どうしてなのかなぁ。私にもよくわかんないな(^^;;;)」 女の子「ねえねえ。いっしょにあそぼー(^^)」 花鈴「うん。何して遊ぶ?(^^)」 女の子「おままごと〜(^^)」 花鈴「はぁい(^^)」 男の子「ぼくもやるー(^^)」 花鈴「いっしょにあそぼ♪(^^)」 男の子「ぼくもー(^^)」 子供達に懐かれていた。……と、そんなとき。 ぽこんっ
花鈴「きゃっ(・・;;;;)」 花鈴のお尻に、小さなサッカーボールが当たった。 男の子「…(T_T)」 振り返ってみると、年長クラスくらいの男の子が。 花鈴「このボール、ボクの?(^^)」 男の子「…(T_T)」 たたたたっ
花鈴「あ、あれ? ……いっちゃった(・・;;;;;)」 女の子「せんせーはやく〜(^^)」 花鈴「あ、うん(^^;;;)」 * * * *
花鈴「ふぅ…。みんな、元気だなぁ(^^;;;;)」 子供達は昼寝の時間。やっとみんな眠りについて、少し暇になったところ。 花鈴「……あれ?(・・)」 ふと、窓の外に動く物影が見えた気がして。 花鈴(誰か、いるのかな?(・・)) 子供達を起こさないよう、静かにドアを閉め、外へ出た。 花鈴「…(・・;;;;)」 何となく林に面した裏手に回ってみると。 花鈴(あれ? さっきの子だ(・・;;;)) 男の子「…(-_-)」 花鈴「どうしたの?(^^)」 昼寝を抜け出したと見られる男の子が一人いた。 花鈴「ねむたくないのかな?(^^)」 しゃがんで目線を男の子に合わせて、優しく接する花鈴。けれど、そんな花鈴に対して男の子は。 ふにゅっ
花鈴「わっ(^^;;;)」 男の子「…(T_T)」 花鈴「ど、どうしたの?(^^;;;;)」 突然胸を触られて、びっくりする花鈴。 男の子「…(T_T)」 ぎゅっ
花鈴「きゃっ! だ、だめだよ〜。いたいよ〜。引っ張っちゃだめ〜(^^;;;;;)」 それだけじゃなくて、花鈴の三つ編みにした髪を引っ張ってきて。 男の子「…(T_T)」 ばっ
花鈴「だ、だめだよ〜。そんなことしちゃだめ(^^;;;;;)」 スカートを引っ張ったりまくり上げたりして…。 花鈴「やめよ、ね? いいこだから(^^;;;;)」 男の子「……るさい(T_T)」 花鈴「え?(^^;;;;)」 男の子「うるさいんだよっ!(>_<#)」 ぎゅうううっ!
花鈴「い、痛っ(;;;;;;;)」 子供とは家、つねるように乱暴に胸を触れられて、痛みに顔をしかめる。 花鈴「だ、め。痛いよ。お願い……離して(;;;;;)」 男の子「っ(;;#)」 たたたたっ
花鈴「あ……(;;)」 涙ぐむ花鈴をみて、さすがに罪悪感を覚えたのか、男の子は走ってどこかへ逃げてしまった。 花鈴(……あの子。どうしたのかな?(;;;;;)) * * * *
女の子「せんせーせんせー。おやつー(^^)」 花鈴「あは。今出すからねー(^^)」 女の子「きょうはなぁに〜?(^^)」 花鈴「今日は、チョコレートだよ(^^)」 子猫のように懐いてくる子供達に優しく接しながら、先ほどの男の子のことを考える。 花鈴(あの子。おやつの時間もいない……(・・;;;)) 自分に懐かない男の子。 花鈴(お話したいのに……(・・)) お話ししたいのにできないもどかしさ。 花鈴(後でまた会えるかな?(・・)) それから時間がたち……日が落ちていき。
女の子「せんせーさよなら〜(^^)」 花鈴「はい。さようなら〜。車に気をつけてね〜(^^)」 夜が近づいて、子供達は殆ど帰っていき……。 花鈴「さて、と。…そろそろ片付けしようかな(^^)」 かちゃかちゃ…
微妙に散らかった絵本や積み木を手際よく片づけていると。 男の子「…(T_T)」 花鈴「…あ(・・)」 男の子「……ごめん(T_T)」 花鈴「え?(^^;;;)」 男の子「ごめんっていってんだよっ!(>_<#)」 花鈴「え、あ……。いいよ。気にしてないよ(^^;;;;)」 突然、物影から現れた男の子。 男の子「…っ!(T_T)」 がしゃっ!
花鈴「きゃっ!(;;;;;;;)」 そんな優しい花鈴をみて男の子は怒ったように……。 花鈴「だ、だめだよ〜。蹴っちゃだめ〜!(;;;;;;)」 片づけるために積み上げていた絵本や積み木を、男の子は蹴飛ばしてしまった。 花鈴「だめ〜! やめて、おねがい……。いいこだから、ね?(;;)」 男の子「うるせぇっ!!!!(>_<#)」 ばさっ!
花鈴「きゃっ!(;;;;;;;)」 薄いけれど、ハードカバーの絵本を投げつけられ……。 花鈴「こんなことやめて……。お願い……。いたいよ……(;;)」 手がつけられないくらい乱暴な男の子に、花鈴は涙を流しながらも優しく接して。 男の子「……(T_T;;;)」 花鈴「どうして、こんなことするの?(;;)」 男の子「……(T_T;;;)」 花鈴「絵本…破れちゃったよ。……可哀相でしょ?(;;)」 カバーがちぎれかけてしまった絵本……。 男の子「…(>_<;;;;)」 花鈴「もう、やめよ。ね?(;;)」 男の子「うる…さい(;;#)」 がしゃっ!
花鈴「……どうして、やめてくれないの?(;;)」 男の子「やさしくなんてするなぁっ!(;;#)」 花鈴「……え?(;;;;;;)」 男の子「どうせ…どうせっ。うそついてんだろっ! やさしいのもみんな、フリをしてるだけなんだろっ!(;;#)」 花鈴「え……(;;)」 男の子「うち。とうちゃんとかあちゃんのなかがわるくて、いつもケンカばかりしてた(;;)」 花鈴「……(;;)」 男の子「かあちゃんは、おれにはやさしかったのに……。りこんして、いなくなっちゃった……。ずっとあってない。あいたいのに……あえない(;;)」 花鈴「……そう……なんだ(;;)」 男の子「だから。やさしいおんななんて……みんなやさしいフリをしてるだけなんだろ。おまえだっておんなじなんだろっ!(;;)」 花鈴「……(;;)」 男の子「どうせ…どうせ……やさしくてもどうせすぐいなくなっちゃうんだろっ!(;;#)」 花鈴「……いなくなって、ほしいの?(;;)」 男の子「っ!(;;)」 花鈴「『いなくなっちゃうんだろ』なんて云ってるけど。私にも、いなくなって欲しいの?(;;)」 男の子「そんなの……っ! そんな……そんなの……(;;#)」 花鈴「私がここからいなくなったら、……そうしたら、嬉しいの?(;;)」 それは、花鈴の必死の叫び……。男の子の傷を、少しでも埋めてあげたいと思ったから。 花鈴「私がいなくなった方が嬉しいなら……それなら私……いなくなるよ?(;;)」 男の子「う……ぅ……。そんなの……そんなの……(;;)」 花鈴「私のこと嫌いなら、嫌いって云って……いいんだよ?(;;)」 男の子「きら……。嫌い……じゃない……(;;)」 花鈴「泣いても……いいんだよ? 我慢しなくても……(;;)」 ぎゅっ
男の子「う……ぅ……う……うああああああああっ! いなくなっちゃやだっ!(;;)」 花鈴「…(;;)」 男の子「かあちゃんに……かあちゃんにあいたいよ……! あわせてよっ! おねがいだよぉっ!(;;)」 花鈴「…ごめんね。……私。お母さんを見つけることは、できないの。……でも(;;)」 ぎゅ……
花鈴は男の子をやさしく抱きしめて……。 男の子「……(;;)」 花鈴「お母さんみたいに、甘えて……いいんだよ(;;)」 男の子「うっうっ……(;;)」 花鈴「我慢しないで、ね(;;)」 男の子「かあちゃん……。かあちゃん……う…う……(;;)」 母親と同じ、柔らかくてやさしい感触……。男の子は、涙で顔をべとべとにして……。でも、段々と落ちついていき。 花鈴「私。すぐ近くに住んでいるの。……だから(;;)」 男の子「…(;;)」 花鈴「いなくなったりなんて、しないよ……。いつでも会えるから。だから、泣かないで……(;;)」 男の子「う……ん(;;)」 しゃくり上げながらも、柔らかい身体に包まれて……。少しずつ、落ちついていく男の子。 男の子「かあちゃんの……においがする……(;;)」 花鈴「辛かったんだね…(;;)」 ぎゅ……
男の子「かあちゃん……(;;)」 ほんとうの優しさ
男の子はそれに触れて
少しだけ、楽になれた……。
翌日…。 ……さてさて。ひぅーのヤツは上手くやっておるかな?(--) 悠希「絶対大丈夫ですよ。花鈴さん、こういうの得意そうですから(^^)」 うむ。俺もそー思う(--) 花鈴の様子を見に来た二人。 悠希「花鈴さんはどこかな?(・・)」 ………… 花鈴「ふ〜……。これでお終い、かな(^^;;;;;)」 その頃花鈴は、一人部屋の中にいて片づけをしていた。 男の子「…おい(--;;;;;)」 花鈴「あれ? どうしたの?(^^)」 男の子「……これ(--;;;;;)」 男の子が差し出したのは。 花鈴「わ。たんぽぽ、綺麗だね〜(^^)」 男の子「…………やる。きのうの、おれい(--;;;;;)」 花鈴「あは。摘んできてくれたんだ。ありがと……(^^)」 男の子「…(--;;;;;;)」 花鈴「花瓶の代わりに空き瓶はないかな。ちょっと、探してみるね(^^)」 どこかで摘んできたのであろう、たんぽぽの黄色い花束。 男の子「…おい(--;;;;)」 花鈴「なぁに?(^^)」 男の子「おまえ……。すきなやつとか、いるのか?(--;;;;;;)」 花鈴「……え?(^^;;;;)」 男の子「どうなんだよっ!(--;;;;;;)」 顔を真っ赤にして花鈴に問う男の子。 花鈴「う、うん。……いるよ(^^;;;;;;;)」 男の子「そう……なのか(--;;;;;;)」 花鈴「……どう、したの?(^^;;;;;;)」 男の子「な、なんでもねえっ! ……そいつと、なかよくしろよっ! お、おれの……とうちゃんとかあちゃんみたいに、けんかしちゃ……だめだぞ!(--;;;;;;)」 花鈴「うん。……ありがと(^^)」 花鈴のまぶしすぎる笑顔に、男の子はちょっとだけ寂しそうな顔をして。でも、すぐにいつもの表情に戻って…。 ちゅ……
男の子「っ!(--;;;;;;;)」 花鈴「っ! Σ(^^;;;;;;;)」 勢い余った子供らしい、素早いキス。 花鈴「あ……。えっと……ひぅぅ(^^;;;;;;)」 小さな男の子にキスされて、どうして良いか分からず戸惑う花鈴。けれど、そこには……。 悠希「はぅっ!(;;;;;;;)」 なんとまー大胆な(--) 花鈴「あ、ゆー君。ご主人様。見に来たんですね(^^;;;;;)」 花鈴の『すきなやつ』が、しっかりキスを目撃していて。 男の子「…………(--;;;;;;)」 じーーーーーーー
悠希「……?(・・;;;;;;;)」 …?(--) 男の子は悠希を値踏みするように、じーっと眺めて。 男の子「おまえ……。こいつのこと、たいせつにしろよ……!(--;;;;;;)」 悠希「う、うん……(//-//)」 花鈴「…(^▽^;;;;;;)」 男の子「じゃあなっ!(--;;;;;;;)」 たたたたっ……
男の子は照れくささに耐えられず、そのまま素早く逃げ去っていった。 花鈴「あ……。いっちゃった(^^;;;;;;)」 何があったんじゃ?(--) 花鈴「え、えっと。……実はその……かくかくしかじか、ということなんです……(^^;;;;;;)」 ……なるほどなー。あのガキ、おめーに優しくされて好きになっちまったんだろなー。優しさと残酷さは紙一重だからな(--) 花鈴「そ、そうなのかなぁ……(^^;;;;;)」 本当の優しさと、偽りの優しさってのを両方知ってしまったのだろな、あの歳で。ガキんちょの心にゃさぞかし辛かったことだろーよ(--) 花鈴「…はい(;;)」 でも……。おめーのおかげで救われたよーやな。さっきの様子を見る限り、人に優しくするってことも覚えたみたいやし(--) 悠希「……(;;)」 って、なんでおめーが心配そーなツラしとるんじゃ!(--#) げしっ!
悠希「あぅっ! だ、だって……(xx)」 花鈴「ふふ(^^)」 悠希「か、花鈴さん。笑わないでください(;;)」 花鈴「心配しなくても、大丈夫だよ(^^)」 そだそだ。アレはどちらかっつーと、『恋』より『憧れ』だからな(--) 花鈴「それに……。あの子に応援されちゃったし。ね♪(^^)」 悠希「は、はい……(//-//)」 ほんとうの優しさ
それは、春の風に揺れるたんぽぽのように
絶望する心を、包み込んでくれた。
春の日差しが眩しい
ぽかぽかした季節のお話でした。
次回に続く
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