【人生そんなに甘くない!】

皆さんこんばんは。
…自分で書いていてなんですけど、つくづく嫌な言葉ですね『人生そんなに甘くない!』って。
考えようによっては負け犬の遠吠えにしか聞こえないときもあるんですけど〜(^^;)
社会的に成功している人が言うのならともかく、それ以外の人からは言われたくない言葉だなァ。
そんな人に言われたら、滅茶苦茶偉そうに聞こえるよ。
香里「…驚いたわ(・_・;)」
え?なにが?
香里「あなたがまともなこと言っているから…(^^;)」
ぐはっ!やっぱり人生甘くないよ〜(x_x)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
















「…ど、どうだ?」
「…う〜〜〜〜〜!」
そのまま彼女は、凍り付いたように動かなくなった。
まるで、某ゲイツOS搭載のパソコンがフリーズしたときのように。
当たり前の事が起きていた。
「ううむ、これでも駄目か…」
「くすん。ごめんなさい、祐一お兄ちゃん…」
スプーンを口にくわえたまま、お冷やを口の中にかっこむ栞。
ちょっと涙目だ。
「しかしなぁ、バー○ントカレーの甘口といったら、その道の通の人に言わせれば『あんなもん、カレーじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』と言うほどのものなんだぜ?それでも駄目なのか…」
俺、個人的にはジャ○カレーの方が好きなんだけど、あれって結構辛くないかな?
「私、甘い物は平気なんですけど、辛い物は全然ダメなんです……」
「それはある意味物凄く不幸なことなんだぜ。世の中には辛いからこそ美味い物もいっぱいあるんだからさ…」
「わかっていますけど。くすん…」
…ここは俺の家。
正確に言えば秋子さんの家なんだが、まぁそれはともかく。
俺は今日、栞の『辛い物恐怖症』を治そうと思って、必死に『辛くないカレー』を作ってやったんだが、無駄な努力に終わりそうだ。
「ふ〜ん、栞ちゃんって本当に辛い物が苦手なんだね〜」
隣に座っている名雪が、栞を慰める。
「ごめんなさい〜、くすん」
「ま、謝ることはないんだけどさ。でも…折角俺達は………その…………恋人同士になったんだしさ。甘い物もいいけれど、たまには辛い物も一緒に食べたいな〜………なんてさ…………」
うはっ!
らしくない台詞が口の中から出てきやがる。
「くすん、くすんっ…………ごめんなさいです〜」
その言葉を聞いて、栞はますます表情を暗くしてしまった。
「あ!………ああ…………いや………せ、責めてるわけじゃないんだよ。だから泣かないでくれ…………(汗)」
「うふふ、やっぱり優しいね。祐一って」
栞を悲しませてしまって、オロオロしている俺を見て、くすくす笑う名雪。
そう!
俺と栞は恋人同士。
いろいろ……………紆余曲折あったが、俺達は今『乙女チックせんちめんたるときめき純愛ラブラブ街道』まっしぐらなのである。
そんなわけで、よくデートしたりするんだが。
未だに辛い物を一緒に食べに行ったことはない。
いや、俺が強制的に連れていこうとしたことはあるんだが、そのたびに
『ふえ〜ん、そんなことする祐一お兄ちゃん、大っ嫌いです〜!!(涙)』
………というような、周りの男達の嫉妬により袋叩きにされそうな悲鳴を店の前であげられ、頓挫してしまっているのだ。
日本社会における『お兄ちゃん効果』が絶大だということの証明だな。全く。
この前も、近くに新しくできた回転寿司屋のタダ券を手に入れたから、栞達を誘って行ったのだが………。










ガラガラ…

「へい!らっしゃい!」
店員の威勢のいい挨拶とともに、色とりどりの寿司が目に入る。
俺は、栞と名雪と香里の四人で回転寿司を食べに来ていた。
「いや〜、ラッキーだなぁ。秋子さんの知り合いが、ただ券を譲ってくれるなんて。みんな、遠慮なく食べてくれ」
「私、いっぱい食べるよ〜。えへへ」
「遠慮なく、食べさせてもらうわね。相沢君」
「ゆ、祐一…………お兄ちゃん。………わ、私……………その………ええっと、今日は食欲が無くて……………その…………」
…ま、またかい。
困ったものだなぁ。
「さび抜きにすれば大丈夫よ。栞」
「そ、そうだね、お姉ちゃん。ほっ」
まぁいいか。
無理に食べることは無いよな。
………さてと、何から食べようかな?
「ふむ。今日は鰯(イワシ)が美味いみたいだな」
「鰯ですか。それってどれですか?」
「あれだよ。ネタの上にネギが乗っかったやつ」

パッ

俺は、鰯をまとめて二皿取ってやった。
一つは俺の分で、もうひとつは栞の分だ。
「ほらこれだよ。一つ食べてみな」
「わあっ!嬉しいです〜」

パクッ

「美味いなぁ〜。やっぱりネギとネタのコンビネーションが最高なんだよ。鰯は♪」
まさに庶民の味だな。
安くて実に美味い!

ピクッ

「………」
「あら?どうしたの栞」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「ど、どうした栞!涙目になってるぞ!?」
「この反応は………辛いのね栞!」
「………(涙)」

コクコクッ

「え、えっと………。そ、そうだ!辛いときはお茶だ、栞っ!」
辛いときは水分だ!

トン!

ゴクゴクゴクッ!

「うーーーーーーぐすっぐす。………舌が辛くて熱くて……………ひりひりするです〜(涙)」
「栞、ひょっとしてこの『ネタの上にある生姜』が原因か?」
「そうみたいです。ものすごく辛かったです〜。…ぐすっ」
「…………辛いというか、この生姜はピリッとしてて美味いと思うけどなぁ…?」
「ごめんなさい。私にはダメみたいです。………ぐすっ」
栞はこれくらいの辛さでもダメなのか。
困ったものだね、こりゃ………。
「あ、栞ちゃん。アイスクリームが回ってきたよ〜。取ってあげるね」
「え?あっ、名雪さんありがとう。嬉しいです〜。えへへ♪」
「ふふ。子供ね、栞は」
「そんなこと言うお姉ちゃん、嫌い!」










などというようなことがあった。
あの後栞は殆ど寿司を食べず、回転寿司にありがちなアイスクリームとかコーヒーゼリーとかメロンとかばかりを食べていた。
あ、卵だけは食べてたっけな。
「鰯の生姜って、そんなに辛くないと思うけどなぁ………」
「ごめんなさいです〜、祐一お兄ちゃん………」
「昔から前々変わってないのよ、この娘は。私が昔『栞。このお菓子、甘くておいしいわよ』といってドン○ッチをあげたときなんて大騒ぎよ」
(作者注:ドン○ッチとは、口の中に入れるとパチパチする、飴のようなお菓子です)
「………随分と、懐かしいお菓子知ってるなぁ、香里よ」
「あの後、栞は大泣きして、私はお母さんにこっぴどく叱られたのよ……。いじめたのと勘違いされてね」
………なんとなく情景が浮かんできそうなエピソードだな。
「くすん………」
………別に無理することはないけど、このままではいけないと思う。
俺としてはなんとしてでも栞の『辛いもの恐怖症』を治してやりたい。
だけど、どうすれば?
どうすればいいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
その時。

パタン………

「あら、みんなお揃いかしら」
ドアを開けて秋子さんが入ってきた。
そうだ!
この人なら何とかしてくれるかもしれない…!
「秋子さん。実は今、俺達は栞の『辛いもの恐怖症』を治してやろうとしているんです。なにかいい方法ありませんでしょうか?」
「栞ちゃん辛いものだめなの?」
「はい……。くすん」
「ふふ。それじゃあこのジャムを食べてみてはいかがですか?甘くない味ですよ。そういえば、栞ちゃんはまだ食べたことが無かったですね。是非一度食べてほしいわ。きっと気に入ると思うわ。くすっ(^^)」

ビクッ!

「あ…………………う……………………(汗)」
「お……………………お母さん…………………それ……は…………(汗)」
「あ……………秋子……………さん……………………(汗)」
「オレンジ色のジャム………ですか?」
「ええ。くすっ。今度のバージョンは、マイルドで独特な辛さと苦みを表現してみました。私のお気に入りですよ(^^)」
……(汗)
マイルドで独自な辛さと苦み………。
想像するだけで恐ろしい!
い、いかん!
このままでは、俺も巻き添えになってしまう!
「し、栞。お、お兄ちゃんは急用ができた。よって、しばらくの間旅に出てくる…………(汗)」
「し、栞ちゃん、ご………ごめんね、え…………えっと、今日は部活の練習がいきなり入っちゃったんだよ!きっと………(汗)」
「わ………私!栞なんて妹、し、知らないわ。……………………い、今だけね(汗)」
「えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?み、みんないきなりどうしたの?」
「ごめん栞っ!こんなお兄ちゃんをゆるしてくれええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!」

ダダダダッ!

「栞ちゃん、ごめんね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

ダダダダッ!

「栞!ごめんなさいっ!今だけはあなたのこと忘れさせてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

ダダダダッ!

「み、みんな一体どうしちゃったの〜〜〜〜〜?」
「あらあら、みんな忙しいみたいですね。お茶入れますから、二人でゆっくりこのジャムを食べましょ(^^)」
「は………はい。そうですね。それじゃ、遠慮なくいただきますね♪」

パクッ♪















人生は甘くない!















この厳しい競争社会において…。















それは、誰しも一度は感ずること。















「ふえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!私、もう…辛いものなんて見るのでさえ嫌です〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!(涙)」
「あう〜。ま、また一人『あの』ジャムの犠牲者が出てしまった……。逆効果だったようだなぁ(汗)」
「し、栞ちゃん、ごめんね〜。ああするしかなかったんだよ〜(涙)」
「ま、まぁ栞。『起こらないから奇跡』ということで。あははは………(汗)」
「そんなことするみんな、だいっきらいです〜〜〜〜〜!うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!(涙)」















辛いものよ…















永遠(とわ)に。















やっぱり















人生甘くないですね(笑)















(おしまい♪)















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

(後書き)

こないだ地元の川○市で激辛の地獄ラーメンを食べたんだよ。
香里「ふうん。それで?(・_・)」
いろいろランクがあるようで、僕は最低ラインから始めたんだが…。
香里「まあ、無難なところね(^^)」
ランキング登録は五段階以上らしくて、全部食べきってもお店にコメント張り出せなかったんだよ〜(x_x)
ひじょーに残念だよ〜、ぐっすん(;_;)
香里「………あなたって本当に『しょーもないことに全力を尽くす』タイプの人間みたいね。はぁ〜(溜息)」
うん。
だって、その方が人生楽しいもんね♪(^▽^)
香里「はいはい、そーですか(;_;)」
じゃ、またね〜(^▽^)
香里「早く私のシリアスSS書いてよぉ〜っ!」