【innocence】
どもども〜♪(^▽^)
Minardi改vbxっす。
久々のSSはこれまた久々に舞がメインです〜♪(^▽^)
香里「相変わらず書くペース遅いわねぇ…(T_T#)」
うぐぅ…ここしばらく色々あって忙しかったんだよ〜。それに最近の作品は何故かやたらと文字数も増えてきているし…(;_;)
香里「言い訳する暇があったらとっとと書く!(T−T#)」
ううっ…その通りでございます(x_x)
香里「反省だけなら猿でもできるわよ〜(^^;)」
はうう………ぼ、僕はお猿さん並ですか?(;_;)
舞「お猿さんはもっと可愛い…(T_T)」
ぐさぐさぐさっ!(←心に突き刺さる鋭利な刃物)
あうう〜(x_x)
香里「いじけモードの馬鹿作者は放っておいて、早速いきましょっ(^▽^)」
舞「はちみつくまさん…(T_T)」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は……川澄舞…。
ずっと…魔物と…戦ってきた…。
剣を振うことしか知らず。
人の温もりを感じることもできず。
微笑みすら忘れて。
ひたすら…戦ってきた…。
だけどそれも…全て終わりを告げた。
立ち竦む…独りぼっちの私…。
幼い頃、麦畑で出会った少年。
「祐一…」
夕焼けの色に染まった…笑顔の人…。
ずっと…忘れしまっていた人。
私の過去。
辛いだけの思い出。
振り返るより……もう……歩き出したいから。
だから…私は…。
……カツ……………ンッ!
…剣を、捨てた。
―ある日のお昼―
いつものように、屋上へと続く階段の踊り場で佐祐理の作ったお弁当を食べる。
佐祐理のお弁当はすごく美味しいから、いつも食べるのに夢中になってしまう。
周りがどんなに騒がしくても…気付かないくらいに。
「…」
ぱくぱく
「……それでね舞。今度の日曜日にね、祐一さんと……」
「…」
ぱくぱく
卵焼き。甘くて美味しい…。
「…舞。…舞?…聞いてる?」
「…」
佐祐理が話掛けているのに、うっかりしていた。
「…聞いてなかった」
「ははは。相変わらずだな、舞は」
横から呆れたような可笑しいような祐一の声。
「…卵焼き食べていたから」
卵焼き食べるのに夢中だったから。
「あはは。そうだったんだ。卵焼き、美味しかった?」
「…」
コクン
私は無言で頷いた。
卵焼き、本当に美味しかったから。
「…何のお話してたの?」
慌てて聞き返す。
「あははー。今度の日曜日にね、祐一さんと舞と佐祐理の三人で『一緒に動物園に行こう』ってお話していたんだよー」
「前に舞とは約束したからな。一緒に行こうってさ」
…約束。
あのとき祐一と交わした…。
「舞。動物園、行く?」
動物園……ものすごく行きたい。
コクン
「…はちみつくまさん」
「ふぇ?」
「佐祐理さん。舞は行きたいんだってさ」
「はぇー。そうなの?」
「…」
コクン
『いい』時ははちみつくまさん。『わるい』時はぽんぽこたぬきさん。
祐一に言われた通り、答えた。
「ふぅん。そうなんだー。……舞、卵焼きもう一個食べる?」
コクン
「…食べる」
いつものお昼ご飯。
階段の上の、踊り場での一時…。
―そして、次の日曜日―
待ち合わせ場所。
「…」
祐一も佐祐理もまだ来ていない。
私はぽつんと一人、待ち続ける。
チュンチュンチュンチュンッ…♪
人も疎らで鳥さんの泣き声と、風が静かに木々を揺らす音だけが聞こえる。
青いお空が綺麗だから、しばらく眺めていた…。
それから…。
たったった…
「よう。舞が一番乗りか」
後ろから祐一の声。
「…祐一、遅い」
「おいおい、まだ待ち合わせの十五分も前だぜ。何分前に来たんだよ?」
「…一時間前」
「そりゃ早すぎだ」
そうだった。
祐一の言う通り、時計の針はまだ十五分前。
私が早く来すぎただけだった。
「…楽しみにしていたから」
「そっか」
そう。
「今日は晴れてよかったな」
「…」
コクン
雨が降らなくてよかった。
雨が降ったら動物さん達に会えないから。
「てるてるぼうずさんに、お願いしたから…」
後でお礼する…。
「ははは。そうか…」
それからまたしばらく、佐祐理が来るのを待つ。
…。
「そういえば…さ」
「……?」
「舞って服のセンスいいよなぁ」
私を見ながら、祐一が言う。
けれど、私にはそんなこと…わからない。
「……似合わない?」
「そんなこと全然ないぞ。赤とオレンジのチェック入りエプロンドレス…すっごく似合っていると思うぞ」
「そう…」
祐一がほめてくれた。
「…見ていて…かわいいから。…買った」
嬉しいけれど、恥ずかしくて顔が熱くなっていく。
「舞は赤が好きなのか?」
「……」
コクン
赤は、一番好きな色だから。
「その服、舞が自分で選んで買ったのか?」
コクン
「この間…」
商店街を歩いてて見つけた。
「佐祐理と一緒に行った…古着屋さんで見つけた…」
「ふーん」
「じっと見ていたら…佐祐理が『試着して』っていうから…」
「へぇー」
「着たら…佐祐理が『可愛い』って言ってくれたから…」
「それで、買ってみた…と?」
「…」
コクン
「そうなのか〜。でも、ホントに可愛いぞ」
「……」
恥ずかしくて顔が熱くなる…。
「すっごく美少女だぞ。舞っ♪」
「……」
祐一はにやにやしながら、私が恥ずかしがるのを楽しんでる。
私はいつものように。
ぽかっ!
「祐一…恥かしい…」
恥ずかしいから祐一をつっつく。
「はははは。照れるな照れるな。ホントにすっごく美少女してるんだからさ」
「…………」
恥ずかしいのに…。
ぽかぽかぽかぽかっ!
「祐一…からかってる…」
祐一は…意地悪…。
「あははは。ごめんごめん悪かった悪かった…」
そんなことをやっていて、しばらくして…。
たたたたっ!
「はぁっ…はぁっ…。ご、ごめんなさ〜い。遅れちゃって…」
佐祐理が走ってやってきた。
「『遅れちゃった』って…大丈夫だよ佐祐理さん。まだ十分も前だよ」
祐一は私をちらりと見やって。
「でも…舞は随分と前から来てたみたいだけどね。ふっふっふ♪」
「…」
笑いながら言う祐一。
恥ずかしい…。
「ごめんね舞。待たせちゃって…」
ふるふる
「気にしてない」
待つことが楽しかったから。
「しっかし、佐祐理さんも律儀だよな。十分前ぴったりだし」
祐一の言う通り。
佐祐理はいつも、約束の時間に遅れてくることは無い。
今まで一度も。
むしろ、いつも私より早く来ていることが多い。
「ふぇー。そんなことないですよ。…舞の性格はよくわかっているからもっと早めに来るつもりだったんですけど…」
「へぇ〜。やっぱり舞はいつも待ち合わせ時間のずーっと前から来てるのか」
「……」
そう。
コクン
遅れたら悪いから…。
待つことは…慣れてるから…。
「あははー。ずっと前から楽しみにしてたんだよねー。舞っ」
「…」
コクン
佐祐理の言う通り。
ずっと前から楽しみだった。
「…ひょっとして舞。…祐一さんと二人っきりでお話しできて嬉しかった?」
ぽかっ!
「佐祐理。からかってる…」
佐祐理に心の中を覗かれたみたいで恥ずかしい。
「あははー。ごめんね舞。お弁当いっぱい作ってきたから許してね」
ぺろっと舌を出して悪戯っぽく微笑む佐祐理。
コクン
「許す…」
佐祐理のお弁当は、大好きだから。
「さて、どこから行こうか?」
「キリンさん…」
入り口の近くに長い首のキリンさんがいる。
「ん。じゃあ、まずはそこからだな…」
「そうですね。行きましょー」
「…」
コクン
小走りで入り口へと向かう。
「…キリンさん」
「はぇー。近くでみるとホントに首が長いねー」
遠くまで見えそうで…羨ましい。
「…ゾウさん」
「あははー。お鼻がホントに長いね〜」
とっても大きくて…大きな声で鳴いている…。
「…コアラさん」
「木の上で眠ってるね。気持ちよさそう…」
「俺は動物園で起きてるコアラを見たことが無いぞ」
「眠ってるコアラさん。可愛い…」
「……ま、いいか」
「あははー。そうですね。舞、喜んでいるみたいだし…」
「…二人とも、うるさい」
うるさいとコアラさん…起きちゃう…。
「…シロクマさん」
「うわぁ。おっきいね〜」
暖かいから、ぼ〜っとしていた。
私も暑いときはぼーっとしているから…なんだか嬉しかった。
「…シマウマさん」
「舞。シマが何重になってるか、数えてみろよ」
「多くて数え切れませんよー」
「一…二………十、二十…」
「ぐあっ。冗談で言ったのに本気で数えてる…」
「あははー。舞はそういう娘なんですよ」
「三十……四十…………五十………………」
しましま…いっぱい。
「…パンダさん」
「あははー。そういえば舞。パンダって尻尾は白いの知ってた?」
「…知らなかった」
「ってことは。黒い奴はモグリだな」
美味しそうに笹の葉を食べている…。
−夕暮れ時−
もう夕方。
一日中歩き回って遊んだ後の、帰り道。
商店街を三人揃って歩く…。
「楽しかったね、舞」
「…」
コクン
本当に楽しかったから、頷いた。
「そうだお二人さん。よかったらもうちょっとだけ寄り道していかないか?」
「ふぇ?どこか行くんですか?」
「折角だから近くの喫茶店…百花屋にでも寄っていこうかと思ったんだけど、だめかな?」
「佐祐理は構いませんよ。舞は?」
「…構わない」
百花屋さんのメニューはものすごく嫌いじゃないから…。
「そっか。じゃあ行こう。すぐそこだよ…」
「……」
ほんの少し歩いて…。
カラン♪
中に入るとウェイトレスさんに席へと案内される。
「でも祐一さん、よくこのお店のこと知ってましたねー。ここ、女の子にすごく人気があるんですよ〜」
祐一、物知り…。
「ああ。ここのイチゴサンデーが何よりも好きなやつに教えてもらったんだ」
「そうなんですか。あははー。…もしかしてその人って女の子ですかー?」
「…同い年のいとこだよ。実は俺、叔母さんの家に居候させてもらってるんだ」
「…………」
祐一は、女の子と一緒に暮らしてる…。
「しかもよりにもよって同じクラスだぜ。たまんないよ…。いつも冷やかされてさ」
「あははー。祐一さん、もてもてですね〜」
「よしてくれよ佐佑理さん〜」
「…………」
…同じクラスの女の子と一緒に。
「あれ。どうしたの舞?」
「………何でもない」
私より…ずっとずっと…長い時間…。
「もしかして……その娘に嫉妬した?」
「…」
ぽかっ!
「佐佑理、からかってる…」
嫉妬…。
「あははー。ゴメンね舞」
私…嫉妬したの?
この気持ちが…嫉妬なの……?
「はは。俺の奢りだから何頼んでもいいぜ」
「はぇー。いいんですかー?」
「ああ」
祐一が、ご馳走してくれる。
丁度その時ウェイトレスさんが注文を取りにやってきた。
「俺はコーヒー。と、佐祐理さんは…チーズケーキがいいの?」
「はい。御馳走になりますー」
「…で、舞は何にするんだ?」
「…これ」
メニューの一端を指す。
「えーと……うおっ!そ、それ頼むのかっ!?」
「はぇー。おっきいですねー」
「別名『巨大バケツパフェ』と呼ばれる伝説の代物を!?」
「…」
ぽかっ!
「…そんな名前じゃない」
巨大バケツパフェなんて名前…嫌。
「冗談だ。…で、ホントに食べきれるのか?」
「…多分」
美味しいものなら…大丈夫だと思う。
「ま…いいか。ジャンボパフェ・デラックスを一つ…」
…注文を終えて、それからしばらくして。
ドンッ!
「あ、相変わらずでっかいなぁ…」
「はぇー。おいしそうですね〜」
とても大きなパフェが運ばれてきた。
「…」
専用のスプーンで、クリームをすくって口に運ぶ…。
ぱくっ!
「甘くて美味しい…」
「いいなぁ。舞、ちょっとだけちょうだい」
「…はちみつくまさん」
『いい』と頷く。
いっぱいあるから…。
「あははー。ありがと、舞♪」
ぱくっ!
「わぁっ!甘くてすっごく美味しいね〜。…そうだ。チーズケーキ食べる?」
「…」
『食べたい』と頷く。
チーズケーキも…好きだから。
ぱくっ!
「チーズケーキも…おいしい」
佐祐理は…優しい。
「はは。見ていて思うけど…佐祐理さんと舞ってホント、仲いいよな〜」
頬杖を付きながら微笑む祐一。
「あははー。そうなんですよー」
「…」
コクン
佐祐理と私は仲がいいと思う。
出会った時からずっと…。
「あっ、舞。ほっぺにクリームついてるよ。拭いたげるね」
すっ
「……ありがとう」
夢中で食べていたから気付かなかった。
「……見てるとなんだか。佐祐理さんて…舞のお姉さんみたいだな。しっかり者だし」
「あははは。ずっと仲良しなんですよー。ねっ。舞」
そう。佐祐理と私はずっと仲良し。
…だけど。
「…」
仲良し……だけど……。
カラン♪
お店を出ると外はもう真っ暗になっていた。
「あ、佐祐理のお家はすぐ近くですからここでいいですよ。祐一さんは舞を送ってあげてください」
「そっか。じゃあまたな。佐祐理さん」
「あ、祐一さんちょっと…」
「なんだ?」
スッ…
「…………?」
佐祐理は祐一の耳に手を当てて、内緒話をしている。
「…………今日はすごく楽しかったです。また誘ってくださいね、祐一さん」
「ああ。俺からもお願いするよ」
「あははー。それじゃ、またね〜」
「佐祐理……バイバイ……」
「うんっ。また明日、学校で会おうね〜。舞っ」
タタタタッ
佐祐理は手を振って帰っていった。
そうして私は、祐一と二人っきりになった。
「さて…。痴漢に襲われたら逆にその凄腕で俺の方が助けられてしまいそうだが、とりあえず家まで送っていくぞ。舞!」
ぽかっ!
「む、ナイス突込みだ」
「私は。暗闇は嫌い」
前は……剣があったから…。
だけど……今は……違う。
「…」
トコトコ
祐一と二人、街灯が輝く静かな道を歩く。
「舞。今日は楽しかったか?」
「…」
コクン
楽しかったから頷く。
「そっか。よかったよ…」
「…」
ホッとした表情の祐一。
「…考えてみりゃ俺、舞のこと何も知らないからなぁ。いろいろ調べるのに苦労したんだぜ」
「…」
祐一は……私のことを知らない……。
「舞の好みとか、趣味とかさ」
「…」
知って欲しい……。
「舞は無口だからな。だから佐祐理さんに色々教えてもらったんだ。感謝感激だよ」
「…」
佐祐理の事を嬉しそうに話す祐一。
気が付くと商店街を抜けて…住宅地に出ていた。
さっきより…暗くなってきて……心細くて……。
ぴたっ
「祐一は…佐祐理のこと、好き?」
電灯の下で立ち止まって、祐一に聞いてみる。
「んあ?…当たり前だろ。いきなりなんだよ?」
「私は…」
佐祐理を見ていて…ずっと思っていることがある。
「……佐祐理は。………すごくかわいいと思う」
佐祐理のこと…。
「舞?」
「…明るくて、優しくて」
私とは違う…『普通』の……女の子……。
「お、おい」
友達もいっぱいいて…勉強も……よく教えてくれて……。
「私は…」
私には…何もない…。
「よせよ」
「…こんな時…祐一と歩いているとき…何を喋ればいいのかわからない。どんな顔をしたらいいのかわからない」
「よせって!」
「祐一と…一緒にいる時なのに。……好きな人と……一緒にいるのに…」
祐一は…好き。
「舞っ!」
だけど。
「佐祐理みたいに…笑えない…」
「舞…」
それでも…祐一も…佐祐理も…。
私と一緒にいてくれる…。
「……祐一は。私でいいの?」
「当たり前だろっ!」
「…」
祐一の…鋭い声…。
「…舞はさ。知らないだけなんだよ」
「…」
私が…知らないこと?
「楽しいときは楽しい顔をすればいいし、嬉しいときは嬉しい顔をすればいいんだよ」
楽しいとき……嬉しいとき……。
「…私に、できるの?」
わからない。
「できるさ」
私には、どうすればいいのか。
「…わからない」
目を伏せて首を振る…。
「じゃあさ。一つ聞くけど、舞は俺のこと好きか?」
「…ものすごく嫌いじゃない」
…違う。好き…。
だけど…素直に言えない…。
「そっか。それじゃ、こんなことしてもいいよなっ!」
ぎゅっ!
「祐一…苦しい…」
いきなり…。祐一が私を抱きしめてきた。
「舞が嫌なら放すよ」
フルフル
「…ものすごく嫌じゃないから…いい」
好きとは…言えないけれど。
「眼を閉じてみ。舞…」
「…」
コクン
小さく頷き言われるままに、眼を閉じる。
スッ
「ぁ…」
唇が重なる。
祐一の温もりが伝わってきて…暖かくて気持ちいい。
「…」
「舞。…嬉しいか?」
…嬉しいけど。
「祐一…恥かしい…」
顔が熱くなる。
はじめての……キス……。
「俺は嬉しかったぞ。舞みたいな美少女とキスできてね」
大袈裟に言う祐一。
その様子がおかしくて…思わず表情がゆるむ。
「…」
「おっ!少しだけ、笑えたじゃないか!」
「…私、笑えているの?」
自分には…わからないけど。
「ああ。すっごく可愛いぞ」
ぽかっ!
「やっぱり…恥かしい」
恥ずかしいけれど…それでも。
ほんの少しだけ、笑えたような気がした…。
笑うというのは…こういう感じなの……?
「一緒に思い出していこうぜ。な……」
コクン…
祐一も……優しい……。
さっきの内緒話は……佐祐理と二人で…企んでいたのだと思う。
私のために。
「……」
ぽろぽろ…
嬉しいのに…涙が流れはじめて…止まらない…。
「不器用だよな。俺も、舞も……」
コクン
心の底から…不器用だと……思う。
「……」
すっ
今度は私から……祐一に、キスをする……。
涙の止まらない…微笑み……。
おかしな私。
おかしな祐一。
側にいて欲しい……人……。
笑顔を思い出させてくれた……人……。
―次の休日―
次の日曜日。
私は祐一と佐祐理と一緒にお出かけした。
今度は、私から誘って…。
ざぁぁぁぁぁ………
柔らかな風が吹いている。
「はぇー。すっごく広いところだね〜」
ここは……。
「舞。ここは…」
「…」
私と祐一が、初めて出会った場所。
季節が違うから麦穂は無いけれど。
代わりに…。
「あははー。お花がいっぱいだね〜」
その代り、辺り一面にお花が咲いていた。
「ここは…祐一と初めて会った場所なの」
「ああ」
「はぇー。そうなんですかー…」
ざぁぁぁぁぁ………
風の音だけが…聞こえる。
「……」
祐一は、私を見つめて…。
「……」
私は、祐一を見つめて…。
目をそらせなかった。
「ふぇー。きっとロマンチックな出会いだったんでしょうね〜」
ニコニコしながらそんなことを言う佐祐理。
ぽかっ
ぽかっ
「佐祐理…。恥ずかしい」
「佐祐理さん。俺も恥ずかしいぞ!」
祐一もすごく恥ずかしそう。
二人同時に、佐祐理のおでこをつっついた。
「あ、あはははー。冗談ですよ〜。お昼ご飯にしましょう」
そう言って敷物を敷く佐祐理。
「はは。今日はピクニックだな」
ピクニックは、楽しい…。
「…」
楽しい時は、楽しい顔をすればいい…。祐一が教えてくれた…。
今は、楽しいときだから…そうする。
「あははー。今日は舞と一緒にお弁当を作ったんですよ〜」
そう。
佐祐理に少し、料理を教えてもらった。
自分で作るのは…はじめてだったけど。
「へぇ。…舞って料理作るの上手いの?」
「勿論ですよー。包丁捌きがすごく早くて上手なんですよー。佐祐理は絶対に真似できないですよー」
お弁当作るの…楽しかった…。
「ふーん」
楽しい時間は…ずっと続いて欲しい。
手作りの……お弁当を食べて…。
野原で花輪を作って…。
仰向けになって、流れる雲と…青いお空を見ながら…。
一緒にお昼寝をして…。
夕焼けが沈む頃にお家に帰って…。
ただそれだけ。
それだけでいい。
「…祐一」
「お、どうした舞?」
「…佐祐理」
「はぇー。ほっぺたに御飯粒付いてるよー。舞…」
この二人と一緒にいれば、私も…。
もっと自然に笑える日も…来るかもしれないから。
「祐一…」
「何だ?」
「『あーん』して…」
「え?………あ、あ〜ん…」
祐一の口へおかずを持っていく。
ぱくっ♪
「美味いぞ舞。料理の才能もなかなかだと思うぞ」
「…佐祐理のおかげ」
「あははー。そんなことないよ」
楽しい時は続いて欲しい。
いつまでもいつまでも…
「お弁当こんなに美味しく作れるんだから。舞、きっといいお嫁さんになるよー。あははー」
「…………」
ぽかぽかぽかっ!
佐祐理の恥ずかしい冗談…。
「そうだな。俺も舞みたいに、こんな美味しいお弁当を作ってくれるような優しい美少女が好きだぞ〜♪お嫁さんに欲しいな〜♪なんてな。ははははっ」
ぽかぽかぽかっ!
祐一の恥ずかしい冗談…。
「二人とも、意地悪……」
「あはは、ごめんごめん舞〜♪」
「ははっ。冗談だ。嫌いになるなよ〜♪」
勿論そんなこと冗談だって、わかっている。
わざとらしく、必死に謝る二人。
そんな二人がおかしくて…。
「くす…」
私はかすかに微笑みながら……答える……。
「二人とも……。大好き……」
いつまでも。いつまでも………。
(おしまい)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(後書き)
ふぃ〜。久しぶりに短編できたぜぃっ♪(^^;)
香里「これでどこが短編なのよ!HTMLで20KB超えてるじゃないの!(TT#)」
ぐはっ…そうでした(x_x)
香里「まったくもう…(TT;)」
うーむ。どうにも『短くまとめる』ことができなくなってきているようです。最近の私は(;_;)
長くダラダラと書くより短く簡潔にまとめる方が遙かに難しいのだけど。
香里「それって、SSの基本じゃない!(T−T)」
う、ううむ…どうにかせねばダメだなぁ……あ、あははは……(^^;)
香里「笑い事じゃないでしょうがっ!(TT#)」
ま、まぁ…それはともかく、今回は舞さんのSSでしたよ〜。作者の感想っス。てひひひ……(^^;)
香里「上手く誤魔化したわね(TT;)」
戦いを終え、新たなる日常を手に入れた舞。
だけど、微笑みは失われたままだった…。
ゲーム中も舞が微笑む姿はほとんどなかったでしょ?
だから、そんな幸せなお話を書いてみたかったんです。途中ちょっとしんみりくるようなシーンも腰囲したけど(^▽^)
だけど自分としては、このお話はちょっと半端な終わり方をしたとも思ってるのです(;_;)
香里「どんなところが?(・−・)」
それはズバリ、舞と祐一の…恋路です。(^^)
香里「ふぅん。でも、それって結構重要よ。物語としては(T−T)」
ゲーム本編も、舞と祐一の関係って『恋愛』とはまた違ったものだと思うのです。なんというか、くっつきすぎず、離れすぎずの。
香里「微妙な関係よね。ホントに」
まぁでもそれは、別の機会に回しましょう。今回はこれでおしまい♪(^▽^)
香里「いつになるかわからないけどね(^^;)」
ぐはっ!(x_x)