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お茶タイム










「リキ。楽にしてくださいね」

 家庭科部室にて二人きり。畳に加えてちゃぶ台。そしてその上には急須と共に湯飲みに入った熱い緑茶が湯気を立てている。とっても日本的な風景の中でただ一つミスマッチだったのは、理樹の側にいる制服姿の少女の存在そのもの。

「ありがとう」

 理樹がお礼を云うと、にっこりと可愛らしい笑顔で答えてくれる。

「どーいたしまして、なのです」

 透き通るような白い肌。艶やかな亜麻色の長い髪。澄み切った空色のような青い瞳。愛らしい少女の名は能美クドリャフカ。みんなからはクドと呼ばれている小さな少女だった。姿ばかりではなくて制服も少し変わっていて、マントに加えちょっと大きめの白いベレー帽を被っていた。

 理樹はクドにすすめられるがままに、ずず、と音を立ててお茶を飲む。ちょっと濃い目の味が素直においしいと思った。クドの入れ方も上手いのだろうけれど、愛情もたっぷりといったところ。

「おいしいよ」

「それはなによりです」

 笑顔になってはにかむクド。僅かに見える八重歯がとても可愛らしい。

「は〜。お茶はいいですね〜。日本の心です〜。あ、茶柱立ってます〜。何かいいことがありそうです〜」

 目を細めてお茶をすすり、嬉しいため息をつく。理樹と同様に安心しきった様子のクド。

「お煎餅が欲しいところだね」

「同感なのですー」

 こうしてほのぼのとした時間が過ぎて行く。静かな空間に二人きり。刺激は全くないけれど、お茶をすすってぼーっと過ごす幸せな一時。

「そういえば、お茶菓子があるんでした。残念ながらおせんべいではありませんけれど」

 パッと思いだしたように立ち上がり、近くの戸棚に向かう。ぱたぱたと速足で歩むたびに短かいスカートがふわりと跳ね上がり、白いパンツがちらっと見える。クド自身は全く気付いていないようだけれど、無防備で幼い様子が理樹にはとても可愛らしく見えた。そしてそれだけではなくて、クドの小さな体がとても柔らかそうに魅力的にも見えたのだった。しかしながら幼い外見とは違い白くてレースの、ちょっと透けて見えるような大人っぽいおしゃれ下着が見えてしまい、理樹の煩悩をくすぐってしまうのだった。

「理樹ー。一緒に食べましょう。って、わああああっ!」

「クド」

 振り向いたらほぼ真後ろに理樹の姿。クドはびっくりしてしまう。

「瞬間移動なのですか!? ひょっとしてリキは忍者なのですか!? いつの間に私の背後に移動したのですか!? 全然気がつきませんでしたっ!」

「忍者というより、特殊部隊員かも」

「わふっ!」

 と、よくわからないことを理樹は云いながら、何となくそうしたかったからクドを引き寄せる。そしておもむろに抱きしめる。更に衝動の赴くままにキスをする。無心になったように、何も考えずに。

 クドは驚きのあまり目を見開いて、木製のお椀を畳の上に落としてしまう。袋に包まれた小さな一口サイズのチョコレートや、色々な種類のミニクッキーがばらばらと音を立てて足元に散乱するけれど、気に留める余裕はなかった。

「わ、ふ、ぅ……。リ、キぃ……」

 クドは耳から頬から全て、顔中を赤く染めて恥じらうことになる。

「クド。嫌?」

「い、嫌なわけ、ないです。けど……そそそ、そんないきなりだなんてあんびり〜ばぶるなさぷらいずなのです……」

「よかった」

 理樹はほっとしたように微笑む。

「でもでもでも。私も……したいですから。だからその、とぅーびーこんてぃにゅー、なのです」

「次回に続いちゃうんだ?」

「わふ〜! それはだめです! 次回じゃないです! 今回なのです〜!」

 明らかに混乱と云うべきか錯乱に近い状態になりながらも、今度はクドからキス。恥じらいのあまり目を閉じるクド。

「僕も。クドと、いちゃいちゃしたいな〜って思って」

「はい〜。いっぱいいっぱいいちゃいちゃするのです〜。って、リキ〜!?」

 ぽさっと音がする。クドの白いベレー帽が床に落ちた音だった。何故そうなったかと云うと……唇同士が離れた後、理樹はクドの体の上に覆い被さり、結果的にクドを畳の上に押し倒していた。クドの困り果てたような表情が目に入り、か細い声が響いているのがわかる。理樹は思う。――僕は決してろりこん趣味ではないと。そしてじっとクドを見つめる。この様なことをしているのは決してクドが幼いからとか子供っぽいからとかではなくて、ただそう、純粋にこの娘の事が好きだからなのだろう。きっとそうだ。クドの頬に触れてみる。瑞々しくて健康的で、可愛いと強く思った。

 三年後、五年後。あるいは十年くらい後のこと。クドはきっとものすごい美人に……いや、なっていないかもしれない。多分ならない。何故かそう思える。というよりもそうなって欲しくない。ずっと今のままでいて欲しい。理樹は強くそう思った。美人というよりも、愛らしくて可愛いというイメージでいて欲しい。みんなの……いやいや、僕だけのマスコットでいて欲しいと思う。我が侭だと自覚はしていたけれど、どうしても独占したくなっていた。だから押し倒してしまったのだった。

「わふ〜。リキがそうするなら、私も負けちゃいられません〜。キスうぉーず勃発なのです〜」

 何故か対抗意識を燃やすクドだったけれど、理樹の体から逃れる事はできないと最初からわかっていたのか、逆に抱きついてきた。そしてキス。開き直ったような、やけっぱちになったような。

「わっ」

「リキ。ぎぶあっぷするのです〜!」

 不意打ちのようなキスによって目を閉じることができず、理樹は赤面する。……だけどそれはクドも同じ。

「わふぅ〜! 何だかものすごく恥ずかしい事しちゃってます〜!」

 理樹はクドの体を起こしてギュッと抱きしめる。そして少し頭を冷やしてから云った。

「クド、ごめんね。僕、ちょっとどうかしてた。でも……」

「あ……」

 頭が瞬間湯沸かし器のようになっている。全然冷めていなかったようで、またまたキスをしてしまう。だけど今度のはすぐに離れる短いもの。

「好きだよ」

「リキー。さてはこれは、キスの練習なのですね。恋のえくささいずなのですね」

 恥じらいながらもニコニコ嬉しそうなクド。今度はクドからキス。やっぱり短いキス。長くし続けたいのに、していられない。理由はやっぱり恥ずかしいから。

「り、リキ。……キスをしても恥ずかしくならないようにするにはどうすればいいんでしょうか?」

 クドも熱でも出したかのようにぽ〜っと頬を赤らめる。大きな目は半分だけ開かれていて、とろんとしている。

「そりゃやっぱり」

「やっぱり? わふぅ!」

 またまた不意打ちのようなキス。

「練習あるのみ、じゃないかな?」

 クドはそれを、新たなミッション。任務だと判断したようで。恥じらいをぶっとばすために突撃を決意するのだった。

「いぇす・さー! あいこぴーなのです! ちゃーーーじ、なのです〜〜〜!」

 そして勢いよくキス。しようとして理樹によってあっさり回避され、受け止められて、逆にカウンターをくらってしまう。ぎゅむ〜っと強く抱きしめられて、追い打ちをかけられるかのようにディープキス。

「わっ! ふっふ〜〜〜〜っ!」

 まだまだ理樹の方が上手なようだった。

「クド。可愛い……」

「ん、んんんっ。り、きぃ……あふっ。んんっ。ん……。えっちなきす……なのですぅ……」

 舌と舌を絡ませる程濃厚なキスは続く。クドはもう抵抗することも何かを云うこともできず、ただひたすら理樹にされるがまま。

「もっと……もっと、なのです。かもおん……なのです。リキ……。好きなのです……」

 クド自身としては、男を魅了する悪女の気分。だけど全然様になっておらずそのまままたまた押し倒されてしまう。理樹の手がクドの体に触れてくる。制服の上から、ほとんど膨らんでいないぺったんこな胸に触れる。スカートの中にも指が侵入してくる。おしゃれなショーツも満遍なく触られ、小さなお尻も撫でられる。

「あふ……っ。くすぐったいの……です〜。はずか……しいの……です。リキ……。さわっちゃだめ、なのです」

 きっとこのまま、最後までされてしまうのだろう。クドは熱い吐息とともに鼓動を感じながら、好きな人の愛撫に身を任せた。

 きつく目を閉じていると何やらもそもそとうごめく感覚。直後に制服の短かいスカートのホックが外され、ゆっくりずりずりと降ろされて行く。スカートを脱がされた後でもじもじしながら、恥じらいのあまりつい足を閉じようとしたら、軽く開かされてしまった。

「リキ……。いじわるなのです……」

「そう? これからもっと意地悪なことするつもりなんだけど」

 もっと意地悪なこと……。クドの身体がいっそう熱くなって行く。理樹を求めているのは自分。もっと触ってほしい。もっとキスしてほしい。そして、もっと好きにしてほしい。クドはこらえ切れない思いを口にする。

「リキ……。リキが好きなのです……大好きなのです。愛してるのです。で、でもでも……でも。やさしく……ら、らぶみーてんだ〜……なのです……。わふぅぅ」

 理樹はくすっと笑ってわかってるよ、と目で合図。クドはきつく目を閉じて感じている。上着の中に暖かな手がゆっくりと入り込んでくる。と、同時にふにゅ、と柔らかい感触。

「んっ」

 もう何度目のキスかすらわからないけれど、とにかくクドは理樹に抱き着くことにしたのだった。

 肌を重ね合わせる一時はこれから始まる……。










----------後書き----------

 クド×理樹のいちゃいちゃあまあま。ちょっぴりえちぃVerでありました。



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