【繭ちゃんの嫉妬(一)】

初!
ONEのSSです〜(^^)
意外も意外、不思議も不思議。
結構書いているようでいてはじめてでした。
では、どうぞ〜♪

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バタバタバタバタ……

「みゅー!みゅー!みゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

タタタタタタッ!

「椎名ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!まてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!」
「まゆ〜〜〜っ!まちなさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!」
「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!私のマフラー返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ここは、廊下。
いつもの風景。
椎名と出会ってから幾度となく繰り返されてきたおいかけっこ。
今日も俺達三人(俺、椎名、長森の三人だ)……に加えてもう一人。
七瀬も入れてに四人でおいかけっこをしていた。
「まてといってるだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!この小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
おおうっ!?
七瀬のやつ気合入ってるなぁ。
さすがは真の漢(おとこ)をめざしているだけあるぜ!
「乙女よっ!」

ガンッ!

「ぐほっ!」
…こ、事の発端は『乙女もどき』こと七瀬がいきなり、廊下を歩いていた俺と長森に『繭を追いかけて!』とか言い出したことにある。
「だれが『乙女もどき』よっ!」

ゲシッ!

「ぐはぅっ!……な、なんで考えていることがわかるんだ!?」
「なめないでよっ!私は真の『乙女』七瀬留美なのよっ!」
「お……乙女は普通そんなことしないし、それに…考えていることもわからないと思う…」
いや、本気で…。
「おだまりっ!」

ガンッ!

「ぐふぅっ!」
七瀬の連打で…く、唇の中がしょっぱいぞ(汗)
「二人とも、喧嘩してないで繭を追いかけて〜〜〜!」
情けない声の長森。
あまり足が速くない長森は、いつの間にか俺たちの遥か後ろを走っていた。
ん、そういえば。
長森は最初、俺達の前を走っていたと思ったんだが…。
「…お前はいつもいつも朝鍛えているだろうが!何で遅いんだっ!」
1500メートルを毎日毎日全力疾走しているだろうが!
「はぅ〜〜〜ん!………そんなこといったって私、これ以上速く走れないよ〜〜〜!」
「ちっ。俺をいつも遅刻寸前まで追い込んでおいてそれかいっ!」
「ちがうもんっ!朝遅刻しそうなのは全部浩平のせいだもんっ!」
「ばかっ。お前がちゃんといつも起こせば問題ないんだっ!」
「私のせいじゃないもんっ!私はちゃんと起こしに行ってるもんっ!浩平がいつも起きないからいけないんだよっ!」
「うるさい!ばかっ!このだよもん星人!」
「私だよもん星人じゃないもんっ!浩平こそばかばか星人だもんっ!」
「ばかっ!俺がいつ『ばか』なんて言った!年がら年中ばかみたいに『だよ』や『もん』ばっかしいってるばかなだよもん星人なんかに言われる筋合いはないっ!ばかっ!」
「今いっぱいいってるもんっ!それに私だよもん星人じゃないもんっ!たまたま聞いているだけだよっ!」
「お前だって今いっぱい言ってるじゃないかっ!」
くっ!
この野郎〜〜ッ!
だよもん星人の分際でぇ!
「ふかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「うっさいわよあんたたちっ!ンなことやってないで早くあの娘を追いかけなさいよっ!」
「そ、そうだった。…って、俺達なんで椎名のやつを追いかけているんだっけ?」

ピタッ!

「そういえば…どうしてなのかな?」

ピタッ!

「ち、ちょっ!あんたたちっ!立ち止まって落ちつかないでよッ!」
「でも理由がわからないとなぁ…」
「そうだよねぇ…」
急にほのぼのし始める俺と長森。
「あんた達ねぇ!…あの娘が私の『動物タイプマフラー』をみゅーみゅー言いながら走ってもっていっちゃったんだから、わざわざ追いかけているんでしょうがぁっ!!」
「そうだっけ?」
「そうだったんだぁ…」
「そうよっ!」
「あは。繭、気に入っちゃったんだねきっと…」
「うむ。まぁ普通の反応だな。…なんだ。じゃあ無理して追いかけることないじゃないか」
「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜り〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!(怒)」
「大体だな。椎名の前でフェレットみたいなマフラーなんかしているのが悪いんだ!」
「そ、そんなぁ。…だって、可愛いから乙女みたいだと思ったのよ〜」
「それに、そんなに心配しなくてもちゃんと戻ってくるよ」
七瀬は心配性だな。
「そうかなぁ…」
「ああ。綺麗に真っ二つにちぎられてな。全然大丈夫だから心配するなっ!」
「なーんだそうかぁ。………って、全然大丈夫じゃないでしょうがぁっ!」

バキッ!

「ぐはぁッ!」
「ゼェゼェハァハァ…………………お、折原のばかぁ……………のろってやるゥ…………」
な、なんか、七瀬がコワイぞ。
まぁ、いつもコワイけど…。
「浩平〜!追いかけてあげようよ〜!」
「俺は利益にならないことはしないんだ」
ウィザード○ィで言う『悪』の性格だな。
「そ、そんなこといわないで協力してあげようよ〜」
ち、これだから『善』の長森は!
「ん〜………ラーメン食べたいなァ。最近食べてないから」
「なっ!?」
「いや〜。いきなり小吉ラーメンに行きたくなっちゃったよ〜♪」
あそこのラーメン、量多いし美味いからな〜。
「あ、あんたって人は!!」
「ラーメン大盛りとあと……餃子にチャーハンもいっぱい食べたいなァ〜♪」
あそこは餃子もチャーハンも美味いんだよなぁ。
「あーもうっ!わかったわよっ!わかったから早くっ!」
「おおしっ!やったるぜっ!」
資本主義経済社会の競争原理に基づいた公正な取引によって商談成立だぜっ!
「こうへい……悪魔……」
長森が何か言っているがおそらく誉め言葉だろう。
それよりも椎名だ!
「しいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!まてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどっ!

「みゅ〜〜!みゅ〜〜!みゅーーーーーーーー♪」
あいつ……完全に楽しんでいやがるな。
笑いながらおいかけっこを楽しんでいやがる。
俺が再び椎名を追い始めた時、あいつは廊下の角を曲がろうとしていた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!アウトインアウトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」
『アウトインアウト』
それは、コーナーやシケインなど、急カーブでの減速を最小限に押さえ、なおかつ脱出速度を押し上げるという…。
特にドリフトの効かせられないフォーミュラ系レーシングのセオリーとも言えるコーナーリングテクニックなのである!
アウト(外側)から慎重に入り(イン)、また、アウト(外側)に高速で脱出していく!
ドライバーの高度な技術を要するが、このスキル次第でラップタイムはいくらでも変動するのであるっ!
「つぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ギャギャギャギギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!

よぉしっ!
コース、タイミング、スピード…どれも満点だ!
上履きのグリップ全体を限界ギリギリまで完全に使って、確実にコーナーを曲がる!
あと少しだ…!

サッ!

テイルトゥーノーズからオーヴァーテイクゥッ!!!!!
…もとい、俺は椎名を掴もうと手を伸ばした…!
が…。

ギュッ!

「!?」
いきなり何者かに腕を掴まれ前かがみにつんのめる!
「う…うわぁっ!!」
必至に受身を取る!
ゴロゴロゴロゴロゴロゴローーーーーーーーーーっ!
幸い、転がっただけで済んだ。
だがそのとき後ろから…後続車ならぬ七瀬が…。
「まゆーーーーーーーーーーーーーまてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!………って!?」

ガッ!

転げて床に横たわっていた俺の身体に、後ろから全速力で走ってきた七瀬が足を引っ掛けて…。
そしてそのまま一年生の教室へと…………ダイヴ!
「き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ガシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!

「な、七瀬さ〜ん…大丈夫〜!?」
慌てて駆け寄る長森。
宙をダイヴする七瀬の姿がスローモーションVTRの如く、可憐に見えたぞ!
哀れそのまま一年生の教室のドアをふっとばしていった。
七瀬よ。お前のことは一生…忘れるぞ!
しかし…七瀬はともかく俺は完全に受身がとれててよかった…(汗)
コケたけれどけがはなかった。
ホントによかった〜♪
「…澪?」
俺と一緒にころころと転がっていた人影を見て気づいた。

はう〜〜

『ごめんなさいなの』

ぺこぺこ…

申し訳なさそうに俯く澪。
「……いや、それより怪我はないか?」
『大丈夫なの…』
それでも痛そうにしている。
「そっか。ほら手を貸してやる。掴まれ」
女の子は優しく扱ってやらないとな。

スッ

『ありがとうなの』

がっしっ!

「うわっ!み、澪っ!背中に引っ付くな!」
『あったかいの〜』
澪はニコニコと相変わらずの笑顔で、俺の背中に張りついてきた。
…ここまではいつもの事だったんだけど。
俺達に気付いた椎名が…。
「………みゅ?…………………うぐっ、ひぐっ…………みゅー!みゅーー!みゅーーー!みゅーーーーっ!!」

ガシッ!

椎名も澪に負けじと俺に抱き着いてきた。
結果、澪と繭によって俺はサンドウィッチ状態に…。
「お……お前達……!」
「みゅー!みゅーっ!」
『?』

ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!

「い……いででででっ!!…ふ…二人とも、何張合ってるんだ!痛いから離れろっ!い……いででででででっ!」
「みゅー!……いやー!」
『いやなの〜』
「いででででっ!いやじゃないっ!さっさと離れろ〜〜!」
本気(と書いてマジと読む)で痛い…。
二人とも力は大したことないけど、前後から首を締め付けられると話は別だ!
い……いてててて…こ、このままじゃ…落ちる…!
だがそのとき。

ガラガラ…

「いたたたた…あ、あんたたちねぇっ!」
瓦礫(笑)をかき分けながら立ち上がった影が。
「な、七瀬…」
…そうだっ!
閃いたぞ!
七瀬を使えばいいんだ!
瓦礫(笑)の中から蘇った七瀬が破壊の女神に見えたぜ。
「いでででっ!…ほ、ほ〜ら椎名、七瀬のおさげだぞ〜!」
「…みゅっ!?」
椎名は七瀬のおさげにじゃれつくという小動物的な習性があるからな。

ぱっ

…ギュゥゥゥゥッ!!

繭は俺の思ったとおり、七瀬のおさげに引っ付いていた。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!イタイイタイイタイイタイ〜〜〜ッ!」
更に!
「ほら、澪も!」
『きれいなおさげなの〜』
澪は長い髪に多少憧れがあるようだ。
それは茜のおさげにじゃれつく事が証明している!
つまり!

ギュッ!!

七瀬もその例にもれなかったようだ。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!イタイイタイイタイイタイ〜〜〜〜ッ!」
「おう七瀬。無事だったか」
「イタイイタイ〜〜〜!全然無事じゃないわよ〜〜〜!」
これだけ元気ならとりあえず大丈夫だろう。
あれだけ派手にドアをぶち破っておきながら、ぴんぴんしているとは。
さすがは真の漢(おとこ)だぜ、七瀬よ!
「私は女の子よっ!」
全然心配しなくてよかった。
「少しは心配してよ〜っ!」
それはさておき。
「さておかないでよっ!」
いちいち俺の心理描写にツッコミしてくるとは。
以外と律儀なのかもな。
「さて、そういうわけで…」
「どういう訳なのよっ!」
「七瀬よ。それ以上は『しっとり黙って』突っ込まないのが真の乙女だぞ!」
そうしないと話しが先に進まん!
「う………。わ、わかったわよ!…で、何なの?」
「うむっ!そういうわけで改めて事故紹介だっ!」
「字が違うでしょっ!字がっ!………あ」
「ふっ。まだまだ修行が足らんのう。ななぴーちゃん」
これしきのトラップ(罠)に引っかかるとは。
まだまだだのぅ♪
「うっ!ぐぐっ…」
「そんなことではダンジョンの奧には進めんぞ!」
「なによダンジョンって!」
「真の漢(おとこ)になるための試練の場だ」
「私は女の子だって言ってるでしょうがぁ!」

ガンッ!

「ぐっ!お、乙女はそんなこと、しないぞ…」
「だまらっしゃい!」
再び七瀬が拳を振り上げる。
や、ヤバイ。
が、その時。
「浩平〜。ちゃんとお話を先に進めてよ〜」
見かねたように溜息をつきながら情けない声で催促してくる長森。
た、助かったぞ長森。
お礼に朝毎日起こされてやるよ。
「ふぅ。まあいい。…紹介しよう。こいつは一年生の『じょーづき みお』だっ!」

ポカポカッ!(素手)

『ちがうのっ! こうづきみお なのっ!』
俺のボケにポカポカと抗議してくる澪。
「さて、お前らも『演劇部のジョー!』こと『じょーづき みお』に自己紹介を…」

バンバンッ!(スケッチブック)

『こ・う・づ・き・み・お なのッ!!』
「本人はそう言ってるが…」
『うそじゃないの〜!』

えぐえぐっ!

おわっ。
ちょっといじめすぎたか。
涙目でしゃくりあげている澪。
「もう…浩平、メチャクチャだよ〜。私は長森瑞佳だよ。よろしくね〜。澪ちゃん」
「はあっ。七瀬留美…」
厄介者が増えたとばかりに溜息をつく七瀬。
お下げに二人もぶら下げながら俯いていた。
『よろしくなの』
「はじめまして。俺は折原浩平だ!よろしく!」

バコッ!

『はじめましてじゃないの〜!』
「くっ…やるな澪!そのツッコミ具合、七瀬以上だ。さすがプロフェッショナルだぜ!」
「誰がプロよっ!」
「お前だ」
「あんたねぇ。誰のせいでいつもいつも私がこんなに怒ってなくちゃいけないと思ってるのよっ!!」
「…誰のせいだ?」
「あんたよっ!あんたっ!!」
「七瀬、怒ってばかりいるとしわが増えるぞ…」
「だぁーーーかぁーーーらぁっ!!誰のせいだと思ってるのよっ!!」
「七瀬よ。いちいちそんな大したことを気にしていたら立派な漢(おとこ)にはなれない…ん?」
「みゅ?」
「そういえば…お前はまだ澪に自己紹介してなかったろ。ほら、自己紹介しろ」
ほえーといった感じで、何も考えてなさそうな繭。
「みゅー、しいな…」
「名前も」
「まゆ…」
『よろしくなの』

ぺこり

にこにこしながらお辞儀する澪。
それによって大きなリボンがヒラヒラと揺れる。
…って!
「みゅー!」

ギュッ!

『!?』
案の定、繭が澪のリボンを引っ張っていた。
「おい繭!」
どうにもこいつはひらひらした物にじゃれる習性があるみたいだ。
「みゅ〜!」

グイグイ!

『やめてなの!』
「みゅー!みゅー!」
「こらっ!澪が嫌がってるだろ!離れろッ!」
「繭〜!引っ張っちゃダメだよ〜。澪ちゃんのリボンは七瀬さんのおさげじゃないんだから…」
「私の髪も引っ張っちゃダメっ!」
俺達は繭を引き離そうとした。
だが。
「みゅー!みゅー!みゅー!」
澪のリボンがよほど気に入ったのか何なのか、俺達の声など耳に入ってない…!
『りぼんとっちゃいやなの』

えぐえぐっ

しゃくりあげながら拒否する澪。
「こら繭っ!澪に謝れ!」
「みゅっ!いや…」
「嫌じゃないだろッ!」

ぽかっ!

「みゅ!?うぐっ……ひぐっ…う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!こーへーのばかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!…だいっきらいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

タタタタッ!

戒めるために軽く叩いただけだったんだが。
繭は泣きながら走って行ってしまった。
「ああっ!こらぁっ!私のマフラー返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

ダダダダッ!

「ったく!…澪、ごめんな」
『…ヒドイの。でも…いいの』
まだちょっとだけえぐえぐとしゃくりあげながら、緩んだリボンを閉めなおす澪。

キュッ!

が、大きなリボンはなかなか手に余るようだ。
「あは。キレイなリボンだね〜。澪ちゃん」

キュッキュッ

長森がほどけかけた澪のリボンを結びなおしてあげていた。
相変わらず、世話焼根性炸裂だなぁ。
『ありがとうなの』
「澪ちゃんは青が好きなの?」

うんうん

『そうなの〜』
やはりというべきか、澪と長森は気が合うみたいだ。
まぁ二人ともほのぼのした性格は同じだからな。
…にしても、椎名のやつは一体どうしたんだろう?
「なぁ長森。繭、一体どうしたんだろう?」
「…あの娘。きっと澪ちゃんに嫉妬したんだよ」
「椎名が?」
「うん」
正直信じられなかった。
「何で椎名が澪に嫉妬するんだ?」
俺の問いに長森は少し考えて…。
「浩平と澪ちゃんがすごく仲良しだから…。仲良く見えたから…嫉妬したんだよ」
「そうなのかなぁ。俺にはさっぱりわからん」
何というか、椎名が人に嫉妬する事自体が信じられない。
澪が俺に引っ付いてくるのはいつものことだし、俺だって格別意識しているわけじゃないからな。
「あは。わかんなくても仕方ないよ。だって浩平…鈍感だもん」
「悪かったな」
「ううん。別に馬鹿にして言ったんじゃないよ。…女の子の気持ちは…女の子にしかわからないということだよ」

うんうん

『澪もそう思うの』
むうう。
何だか俺には立ち入る事のできない領域みたいだなぁ。
女心は混乱する現代の経済学より難しい。
本当にそう思った。
『いっしょにさがすの』
「そうだね。浩平。繭をさがそ」
「ったく、世話焼かせやがって」

タッタッタッタッ

今までは全然気付かなかったけど、椎名のやつもやっぱり年頃の女の子だったんだな。
悩める少女を探しに俺達は駆け出していた。

(続く)















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(後書き)

澪『ONE初SS完成おめでとうなの』
長森「おめでと〜(^^)」
おう、さんきゅッ!
色々作品の幅を広めたいからな。
まだまだ馴れていないがこれからもどんどん書くぞぅ!
というわけで、もしよろしければ感想なんかいただけたら嬉しいなぁ。なんてね(^^)
七瀬「…ねぇ。それはともかく。なんか私の扱い、ひどくない?(TT;)」
もう目を付けたからな。
どんどん壊していってやろう(^^)
七瀬「すなっ!(T-T#)」
では、次回をお楽しみに〜♪
七瀬「私の扱い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(>_<)」