皆さんこんにちはこんばんはおはよーございますです〜(^○^)
Minardi改vbxでございますです。
もぅのすごぉくひっさしぶりのSSで〜す♪
七瀬「さぼってたのねっ!(T_T#)」
ううっ…ここしばらく忙しかったんだよ〜。勘弁して〜(x_x)
七瀬「まぁいいわ。…で、今回は何なの?(T−T)」
ああ。今回は川名みさき先輩のSSですですです♪
丁度バレンタインの季節なので、思い切って一つ書き上げてみました。
今回はじつ〜に乙女ちっくなお話にしてみたつもりです〜(^○^)
ばきっ!
ぐふぅっ!(x_x)
七瀬「乙女は私一人よッ!!(T−T#)」
そ、それでは…ど、どう…ぞ。…がくっ(x_x)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それはある日のことでした。
学食で雪ちゃんと一緒に、いつものように軽めのお昼ご飯を食べていると。
「そういえば、もうすぐバレンタインデーよね…」
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく…
「…もぐもぐもぐ。…ほへ?もぐもぐもぐもぐ…。雪ちゃん…もぐもぐもぐもぐ…。今何か…もぐもぐもぐもぐ…。言った?もぐもぐもぐもぐもぐ…」
十六杯目のカレーライスをゆっくり食べていたんだけど、雪ちゃんが何言ったのか聞こえなかったよ〜。
あ、ちなみにカツカレーの大盛りだよ〜(^^)
「…た、食べ終わってから話しなさいよ!(怒)」
「そだね。じゃあちょっとまってて…」
残りたったの四杯だから急いで食べ切っちゃおっと。
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく…
ごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく…
お水を飲み干して、御馳走様でした。やっぱりここのカツカレーは美味しいね〜♪
「ふ〜、御馳走様。美味しかったよ〜。で、なんだっけ?」
ホントはもうちょっと…後五杯くらい食べたいところなんだけど、腹八分目ってよく言うからこれで今日はおしまい。
「…も、『もうすぐバレンタインデーよね』と言ったのよっ!」
あれ?なんだか雪ちゃん声がワナワナと震えてるよ?どしたのかな?
「そういえば…そうだね」
「でもまあ、みさきにはあんまり関係ないことね」
「雪ちゃんヒドイよ〜!私だって男の子にバレンタインのチョコレートくらいあげるよ〜!」
「あんたはいつも作ってるとき『味見』とかなんとかかんとかいって殆ど全部の材料を食べ尽くしちゃってるでしょうが!」
「あ、あれは。ちょっと味見しただけだよ〜!」
「はぁ〜。あんたは川名家特性巨大ナベ一杯分丸ごと食べても『ちょっと』なの?」
「うー…」
反論できないよぉ。
一口食べてみたら美味しかったから、ちょっとだけ…軽くお鍋一杯分食べただけなのに。雪ちゃん意地悪だよね?
「あ、でもみさき!今年はちゃんと作らなきゃいけないのよね〜。うふふふふ〜♪」
うぅっ!
私に今、好きな人がいることを知ってる雪ちゃんが冷やかすよ〜!
私には雪ちゃんの顔が見えないけどきっと今、にやにやしながら馬鹿にしてるんだよ〜!
「みさき、好きな人いるんだもんね〜♪今年は〜♪」
「うー・・・雪ちゃんのいじわる〜!」
「彼、結構甘党らしいから、貰うととすっごく喜ぶと思うわよ。ホントに」
「そ、そうだよね…。やっぱり…」
そうだよね。
男の子って、バレンタインデーに女の子からチョコレートもらうと嬉しいものだよね?
私だって本当はあげたい。
手作りのチョコレートを作って…綺麗にトッピングして…リボンで包んで…。
私も普通の女の子みたいに。
でも…一人じゃ無理だよ。
「雪ちゃ…」
「無償労働一ヶ月分」
「わ〜!私、まだ何も言ってないよ〜!」
『雪ちゃんお願いっ!』って言おうとしたら即答で『無償労働』…ううっ。読まれてたよ〜!
多分、今の雪ちゃんは…きっとものすごぉく追いつめられてるんだよ〜!
修羅場をくぐり抜ける同人作家状態なんだよ〜きっと!
「雪ちゃん…。ひょっとして今、修羅場攻略作戦遂行中なの?」
「ええ。猫の手も借りたい状態だから、みさきにもお願いしてるのよ」
「ううっ。私、猫よりは役に立つよ〜!」
「というわけだからお願いね。みさき」
「え〜〜〜!?」
「…もしかしてみさき。親友の心からのお願いを聞いてくれないの?それならいいのよ。『無理』にとは言わないから!『無理』にとは〜っ!」
やたらと『無理にとは言わないから』という言葉を強調する雪ちゃん。
雪ちゃんの『無理にとは言わないから』はイコール『強制』なんだよ〜。う〜!
「ううっ…。で、でもでもぉ〜」
雪ちゃんの強制労働はキツイって学校中の評判なんだよ〜!
「人呼んで『鬼』の演劇部部長なんて言われてるくらいだから〜!」
ゲシッ!
「だぁ〜れが『鬼』ですって〜〜〜っ!?」
「な、ななななな、なんでも…なんでもないよ〜!」
いけないいけない。つい口に出しちゃったよ(汗)
「ふぅー。私、みさきのこと……小さい頃からずっと…心からの親友だと信じていたのに、困り果てている友人を見捨てるのね。…はぁ…。わかったわ。私は一人惨めに部員のみんなに『…ごめんなさい。私の力不足で…人手不足問題の解消できませんでした。公演に間に合わなくて…本当にごめんなさい。ごめんなさい…う…うっ…ひっく…』と、みんなに…大粒の涙を流しながらみじめに謝り続けるのね〜。はぁ…助っ人(雑用係=使い走りともいう)さえもう一人いれば…なんとか修羅場を乗り越えられたかもしれないのに…」
さ、さっきからやたらと感情のこもった、わざとらしい一人芝居が続いてるよ〜!?
「ゆ、ゆきちゃ〜ん…!ううっ」
「はぁ〜。みんな毎日夜遅くまで残って頑張ってきたのに。大道具の完成だけが間に合わなくて…私は一人、暗い顔して先生にキャンセルのお願いをしにいくのね。…はぁ。ああ…どうして私はこんなに辛い青春を送らなければならないのでしょう〜?」
「あ、あうううううっ!ゆ、ゆきちゃん!ゆきちゃ〜〜ん!ゆきちゃ〜〜〜〜んっ!!!」
ミュージカルの女優さんみたいに完全に役になり切っちゃってるよ〜!!
周りの人も不思議な目で見てるよ〜!きっと。
「…折角…。今まで外野から『弱小部』とか『自転車操業の中小企業』なんて言われて…馬鹿にされながらも健気に頑張ってきたのに。私は部長として後輩にまともな活動予算すら残してあげられずに卒業して。これからも…生徒会の意地悪な人たちに虐待され続けるのね・…演劇部は…」
「わーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーーわかったからわかったからわかったから〜!」
も、もうやめてよ〜〜〜ゆきちゃん〜!
わたし、こわいよ〜〜〜〜〜っ!!!!
「じゃ、無償労働一ヶ月間、やってくれるのねっ?」
「うぅっ。で、でもでもでもぉ…。その、一ヶ月は…長いよ〜!」
あの地獄の労働を一ヶ月間も。うううっ!気が遠くなるよ〜!
「そっ。じゃあ仕方ないわね。そうそう。みさきの彼。『折原浩平君』は結構格好良くてもてるから。いろんな女性からいっぱいチョコレートをもらうのでしょうね〜。本命チョコをいっぱい。ここで出遅れたら浩平君のハートは他の女性のものになってしまうかもしれないわね。恋はスタートの第一コーナーが重要なのに、残念ね〜〜〜♪♪♪」
お、オペラ歌手みたいに妙にハモりながら歌い出す雪ちゃん!
で、で、でもでもっ!そのとおりだよ〜〜〜〜!
「…そ、そ、そ!…そそそそそっ!そうだよそうだよそーすだよっ!うまいやきそばそーすだよっ!!ど、ど、どーーーーしよーーーーーーーっ!!!!」
それは絶対嫌だよ〜〜〜!!
私…浩平君のこと…大好きだもんっ!
他の女の子には負けたくないよ〜〜〜!
「…じゃあ。手伝ってあげる代わりに、私のお願い。聞いてくれるかしら?」
「うううっ…わ、わかった。わかったよぅ〜〜〜〜!」
「あはっ。ありがとっ♪やっぱりあなたは昔っからの大親友ね〜!みさきっ♪」
ガシッ
嬉しそうに力強く握手する雪ちゃん。
「ううっ。ご、ごくあくにんだよ〜。…ゆきちゃん…」
人の弱みにつけ込んで〜!(涙)
「うふふふ。誉め言葉として受け取っておくわ。み・さ・き・ちゃんっ♪うふっ♪」
「うううう〜〜〜〜!」
私はむなしく、雪ちゃんの下僕に成り下がっちゃいました(涙)
「今日から一ヶ月間休み無しで深夜までお願いね〜♪うふふふ」
「わ、私…女の子だよ〜!女の子に深夜まで働かせるの〜!」
「ふふふっ。ちゃぁんと送っていってあげるから心配しないの」
「私の家はすぐ側だよ〜!」
「あら、じゃあ貫徹で労働できるわねっ♪」
うー。なんだか私の立場がどんどん不利になっていくような気がするよ…。
…私は雪ちゃんにチョコ作りをお願いしたことを、ちょっと…。ううん、かなり後悔しました(汗)
こうして私の…苦難のチョコレート作りは悪夢の強制労働と共にはじまったのでした。
ガチャ!
「よぉ。みさき先輩」
「あ、浩平君」
ドアを開けて浩平君が屋上に入ってきた。いつものように私は質問をする。
「浩平君。今日の夕焼けは何点かな?」
「おう!『夕焼け』は某Tact●csから大好評発売中だぞ!みさき先輩!」
「某Tacti●s?何のことだかよくわからないけど、すごいね〜♪」
「『ば●たく』もすごく好評らしいぜ!」
「薔薇宅?きっと綺麗なお家なんだね〜(^▽^)」
「みさき先輩。絶対勘違いしてるだろ?(T_T;)」
「そうなの?(・−・)」
浩平君は私の知らない事をいっぱい知ってるね〜。もっともっと教えてもらっちゃお〜っと♪(^^)
閑話休題(ま。それはともかくとしてだ…(汗))
カチャ…
私は力無くバスルームのドアを開ける。
「ううう…つかれたよ〜…」
演劇部の鬼部長(雪ちゃん)にこき使われて夜遅くまで重労働。
もう十一時過ぎだよぉ。明日も学校あるのに〜!
「雪ちゃんってヒドイよね。ううう…足が棒のようだよ〜…」
浩平君に美味しいチョコレートを贈りたいから…雪ちゃんに協力してもらわなければならないのは仕方ないけど。
少し休んだだけでも。
『さぁぁぁぼるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!』
とか言って怒鳴りつけてくるんだよ〜!
「うう。雪ちゃんの極悪非道企業経営者〜!絶対労働基準法違反だよ〜〜!か弱い女の子にヒドイよ〜〜〜!奴隷労働反対だよ〜〜〜〜!労働基準監督署に訴えてやりたいよ〜!(涙)」
はぁ…。雪ちゃん、私に何か恨みでもあるのかな〜?
雪ちゃんもきっと善意で…やってるわけないか。ううう…昔っから何か困ったことがあると。
『心の大親友〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪(^^)』
とか何とかかんとかいって結局私を引きずり込むんだから。
「うー・・・。もしかして、あの時・・・雪ちゃんの作ったチョコを少しだけ食べちゃったことを根に持ってるのかなぁ?」
もう小学校の時の事だよ。
だって雪ちゃん『わ、私が男の子にチョコなんか作るはずないわよっ!』とか言っていたのに結局バレンタインデーの日に『ぎ、義理よ・・・全部義理チョコよ。そ、その・・・気まぐれで・・・ひ、暇だったから・・・作ってみたのよっ!食べたければ食べなさいよっ!』って言うから遠慮なく全部もらって食べたんだけど・・・。
もしかして本命が混ざってたのかな?大きくてあま〜いチョコも食べた覚えがあるけど・・・。
私が嬉しそうに食べていると、雪ちゃんの顔が心なしか引きつっていたような感じがしたけど・・・。
まだ私の目が見えた時の頃だから・・・。
「それともアレのことかなぁ・・・」
小学校の頃、節分の日に・・・友達のみんなと一緒に・・・。
『日頃のお礼(怨み)ということで、雪ちゃんをおどかそー(^^)』
ということで雪ちゃんを私の家にお招きして・・・。
キュッキュッキュッキュ・・・ギュッ!
玄関に雪ちゃんを脅かすための罠を仕掛ける私達。
「うふふふ。やっぱり節分の豆まきはスリルがなくちゃつまらないよね〜(^^)」
「で、でもみさきちゃん。これはさすがに非道くないかなぁ・・・?」
「大丈夫!絶対大丈夫だよ。雪ちゃんならブービートラップの一つや二つくらいかかったって無傷だから。絶対顔を真っ赤にして『みさきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!(T_T#)』って反撃してくるから♪」
「い、いいのかなぁ・・・ホントに?」
「大丈夫だよ。だって節分は鬼さんに豆を好きなだけ投げつけていいんでしょ?だったら大丈夫だよ。何しろ雪ちゃんは鬼の学級委員さんだし〜(^^)」
「そ・・・そうだね・・・そうだよね・・あは・・・あはは・・・あはははは〜(汗)」
私達は楽しみながら玄関に罠をいっぱい仕掛けました。
そしてしばらくして・・・。
ぴんぽ〜ん!
「みさき〜。来たわよ〜〜〜!」
「あ。雪ちゃんが来たよ。みんな隠れてっ!」
「は、はいいっ!」
さっ!
「雪ちゃん。鍵は開いてるよ〜」
ガチャ!
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ドアを開けた瞬間。ノブに付けておいた線が引っ張られて四方八方に備え付けられた大きな袋の口が空いて・・・。
「お邪魔しま・・・き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
雪崩のように勢いよく目標を捕捉したよ〜(^^)
「やったぁ!大せいこ〜♪」
見事なブービートラップが雪ちゃんに炸裂したよ〜♪
「・・・・・み、みさきいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!よ、よくもやったわねええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!」
お豆の山から這いずり出てきて、予想通り顔を真っ赤にして怒り出す雪ちゃん。う〜ん、赤鬼さんぴったりだね(^^)
「みんな〜。第二派攻撃だよ〜!てーーーーーーーーーーーー!」
サッ!
小隊長の私が手をあげた瞬間、後方に控えていたみんなが・・・。
「い、いいのかなぁ・・・ホントに・・・・えいっ(汗)」
バシュッ!
「だってだってだって〜・・・みさきちゃんがいいって言ったんだもん〜!えいっ!(涙)」
バシュッ!
「もう後には引けないよ〜〜〜!えいっ!(涙)」
バシュッ!
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチンッ!
「きゃあああああああああああっ!痛い痛い痛い〜〜〜〜!くうううう・・・来年を覚えてなさいよみさきいいいいいいいいいいいいいいいっ!絶対に復讐してやるんだから〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
「いつもののお礼(仕返し)だよ〜〜!えいっ!えいっ!えいっ〜〜〜!(^^)」
シバババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババっ!!!
対雪ちゃん用『メイルシュトローム作戦』だいせいこー♪
渦巻き上に雪ちゃんを攻撃するよ〜♪
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチンッ!
「みーーーーーーーーーーーーーーさーーーーーーーーーーーーーーきいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!おおおおぼえてなさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
ちゃぷん
静かに水音を立てながら湯船に浸かる・・・。一日の疲れがドッと外に出てきて思わず気持ちよく感じました・・・。
「・・・あんな些細なことで怒るなんて・・・やっぱり雪ちゃん鬼だよ〜!」
ちょっとした悪戯心だったのにあの後しばらく口を聞いてもらえなかったよ。
「だからきっと・・・今でもあの時のことを怨みに思っているからこーいう仕打ちをするんだね・・・雪ちゃん。くすん・・・そういうことだから深山ジャイ子なんてあだ名が付くんだよ・・・」
雪ちゃんが私に何かお願いするとき『心の大親友〜♪(^^)』何て言うから「雪ちゃんって、ドラ●もんのジャ●アンみたいだね〜」って言ったらそのままあだ名になっちゃったんだよ。
「ううう・・・鬼畜で外道で極悪人な友人を持つとつらいよぉ・・・・はぁ〜」
思い出に溜息をついていると・・・。
ボコボコボコッ!!
「えっ?えっ?な、な、なになになに〜〜〜っ!?」
いきなり湯船から大きな泡が吹き出してきたよ!?
お、お風呂に何かいるよ〜〜〜!!(汗)
ザバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!
「誰が鬼畜で外道で極悪人でしかもガキ大将の妹ですっってえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?!?」
「え?えっ?えええええええ〜〜〜〜〜!?も、もしかしてもしかしてもしかしてッ?・・・・雪ちゃんっ!?!?」
「もしかしなくても私は深山雪見よっ!!」
湯船の中からイキナリ海坊主のように出現するなんて〜〜!?
「ひ、ひじょーしきだよ〜〜!雪ちゃ〜〜〜んっ!!(汗)」
「あんたには負けるわよっ!!!」
「も、もしかして・・・聞こえていていたの?」
「ええ。ぜーーーーーーーーーーーーーーーーーんぶねっ!昔の素晴らしい思い出がじっっっっっっっくりと蘇ってきたわよ!みさきは私のことをそーーーーーーーーーーーーーーーーーいう目で見てたのねっ!」
「あ、あは・・・あはは・・・あはははは・・・・で、でも・・・・どーしてここにいるの?雪ちゃん」
「貴重な助っ人を逃がさないようにするために、今日中に私の目的を果たそうと思ってね・・・。あ、おばさんにはちゃんと許可取ってあるから大丈夫よっ!」
「え〜。私、今日はもう疲れたよ〜〜!」
「・・・え〜と・・・みさきの行いを演劇部の労働時間に換算するとどれくらいになるかしら?・・・もしよければ一ヶ月と言わずに二ヶ月でも三ヶ月でも・・・」
「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!雪ちゃああああ〜〜〜〜〜んっ!!!!(>_<)」
雪ちゃんが暴走してるよ〜〜〜〜〜!!!(汗)
「さぁっ!さっさと始めるわよっ!」
「ま、まだお風呂に入ったばかりだよ〜〜〜!それに今から始めるの〜〜〜!?(汗)」
まだ暖まってないし・・・それにもう夜遅いよ〜!
「ええいっ!やかましいっ!!少し浸かれば充分よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!さっさと初めてさっさと作り終わるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!やっぱり雪ちゃんの極悪人〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
「・・・さて、私と一緒に作るからには妥協は許さないわよ!徹底的に力を込めて行くわよっ!!」
「ゆ、雪ちゃ〜ん!ここは演劇部じゃないんだから、私の頭にはちまき巻くのやめて〜〜〜っ!(汗)」
「ええいっ!気合いよ気合いっ!気合いを入れて浩平君のハートをGETすんのよっ!みさきっ!!!」
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜!
「ふえええ〜〜〜〜ん。雪ちゃん痛いよ〜〜〜(x_x)」
「ええいっ!泣き言言わないっ!・・・本当はカカオを砕くところから始めるつもりだったんだけど時間の関係で略っ!というわけでさっさとボールに市販のロッ●板チョコを入れてっ!」
「は、は、はいいい〜!でも何で●ッテのチョコなの?」
「このSSの作者がロ●テファンなのよ。野球のね!」
「はぁ・・・。なんだか適当だね〜(^^;)」
「いいから早く!」
「はいはいわかったよ〜」
ガサガサガサ・・・!
紙と銀紙を同時にはがしてボールの中に入れるよ・・・。
「ええと・・・。ゴミは何処に捨てればいいのかな?」
「まてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええいっ!!!!」
「な、な・・・なになになにっ!?雪ちゃんっ!?」
「捨てるのはベル●ークを取ってからッ!!」
「私は●ルマークなんて集めてないよ〜」
「私は集めてるのっ!!公共教育機関に素晴らしい貢献になるのよっ!」
「・・・・ひょっとして雪ちゃん。小学校の頃学級会でやった『お家からベ●マークを探して持ってきましょうキャンペーン』の時からずっと集めてるの?」
「そ、そうよ・・・。な、何よその目は・・・いいじゃないのよ〜!」
あはは・・・。相変わらずだなぁ雪ちゃんってば。
「そういえば作者さんも集めてるそうだね」
「え?あの超が付くほど悪筆でいつもいつもいっつも『○×のSSはまだ書けてません〜(^^;)』とか人様をなめきったようなことを抜かしてる馬鹿馬鹿自称SS作家のこと?」
「うん。現在(2/12)八十九点集まったんだって」
「ふっ。まだまだ甘ちゃんね!・・・そんなことより、早くボールに入れて・・・」
パクパクパク
「ぱくぱく・・・・このチョコ美味しいね〜〜(^^)」
べしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいンっ!!!!
「ううっ・・・・い、いたいよ〜雪ちゃん〜!(涙)」
おでこを思いっきり叩かれたよ〜〜〜!
ヒリヒリするよ〜〜〜!
「って、しょっぱなから食ってるんじゃないわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
「ちょっとつまみ食いしただけなのに〜」
「あんたの『ちょっと』は全然『ちょっと』じゃないのよっ!!」
「う〜」
『ちょっとだもん』・・・と反論しようとしたんだけど、後がコワイので言えませんでした。
キッチンの中には雪ちゃんの殺気が充満してるよ〜〜〜!
「ううっ・・・雪ちゃんコワイ・・・(涙)」
「あーもうっ!無駄なことばかりしてないで・・・。ボールに入れたチョコは溶かす前に刻んでおくのよ!」
「うん。でも、どうして刻むの?」
「刻んでおくと湯煎で熱したとき溶けやすくなるからよ」
「ふ〜ん。そうなんだぁ・・・。でも、作者さん男の人なのによくチョコレートの作り方なんて知ってるね〜(^^)」
「あの馬鹿作者が知ってるわけないでしょ。某所で教えてもらったのよ!」
「ふ〜ん」
(作者:教えてくださいましてどーもありがとうございますです〜。感謝感激ですぅ ;_;)
「あれ?何か声が聞こえたような?」
「・・・はい。手を休めないでボールを湯煎に浸して・・・」
「うん」
ぴちゃ・・・
コトコトコトコト・・・
「ふふ。いい具合だわ。このまましばらく煮て70度位で湯せんして溶かしてチョコレートを35度〜38度にするのがチョコ作りの鉄則なのよ」
「ふ〜ん・・・ぱくぱくぱく・・・そうなんだぁ・・・ぱくぱくぱく・・・」
「さっ。チョコを溶かしてる間にトッピングの準備をするわよ・・・」
「は〜い。ぱくぱくぱく・・・」
「・・・」
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく・・・
「・・・・み・さ・き・ちゃん。・・・あなたが今手にとって、モーレツな勢いでぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくととおいしそ〜に食べてるカラフルなものはな〜にかしらぁ?(^^;)」
「え?よくわからないけどトッピングの材料だよ〜。雪ちゃんも食べる?(^^;)」
「ええいいわね。私もいただくわ。うふふふ・・・(^^;)」
「はい。あ〜んして(^^)」
「あ〜ん・・・・って!くうんじゃないわとなんどもいっとるだろおがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
ベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシベシッベシッベシベシベシベシベシッ!!!!
「はうう〜・・・いたいいたいいたい〜・・・・雪ちゃん痛いよ〜〜〜!(x_x)」
「ぜぇぜぇ・・・はぁっはぁっはぁっ・・・・た、タフね・・・みさきも・・・。あんだけド突かれてもダウンしないなんて・・・演劇部の部員でもそうはいないわよ・・・ぜぇぜぇはぁはぁ・・・」
「ううっ・・・ゆ、雪ちゃんお願いだから『おしゃもじ』で何度も叩かないで〜(x_x)」
「これ以上この『川名家特性巨大しゃもじ』でド突かれたくなけりゃつまみ食いするのはやめなさいっ!!」
「ふぇぇぇ〜ん・・・だってだって〜・・・おなかすいたんだよ〜〜〜〜!」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!そんなことでどーするっ!!!!気合いよっ!気合いで耐えるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!浩平君を他の女の子に取られてもいいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
「そ、そそそそそっ!!!そーーーだよそーーーーーーーだよそーすだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!うまい焼きそばペ●ングだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
のんきに食べてる場合じゃないよ〜〜〜〜!!
「だったら気合いを入れなさいイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」
「わ、わかりましたぁ〜〜〜〜〜〜〜!雪ちゃんたいちょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
・
・
そんなこんなで夜は更けていきました・・・。
・
・
チュンチュン・・・チュンチュン・・・・
「ふぁ・・・・ぁぁ・・・・・・」
窓から差し込む日差しを受けて、私は目を覚ました・・・。
最も、光が見えたからじゃなくて暖かさを感じたからなんだけどね。
「あああ・・・ふわぁぁぁぁ・・・・・・ん?・・・・もう・・・朝かぁ・・・」
ぐっ!
身体を思いっきり伸ばしてみると自然に目が覚めてくる・・・。
「そっか。チョコレート作っててそのまま寝ちゃったんだね。・・・疲れて・・・」
私の傍からすーすーという寝息が聞こえてくる。
「雪ちゃん・・・」
何だかんだ言って、最後まで一緒に作ってくれたんだね・・・。
「あは・・・。ありがと」
「ふあぁぁ〜・・・・ふにゃ・・・・・れい・・・なんかいらないから・・・・ちゃんとこーへいくんのこころを・・・・つかまえてくるのよぉ・・・・・すーすー・・・・」
ビクッ!?
「ゆ、雪ちゃん・・・?」
「すーすー・・・くーくー・・・」
「な、なんだ寝言かぁ・・・」
あ〜びっくりしたよ〜。
でも・・・。
「・・・そうだね。浩平君に・・・ちゃんと・・・伝えるよ・・・。」
私の気持ちを・・・ね。
「ふわぁぁ・・・・・それでこそ・・・・・わたしの・・・・しんゆう・・・・よ・・・・・みさきぃ・・・・ぐご〜〜〜〜・・・・・」
「うんっ!私がんばるよ〜!」
ヒュゥゥゥ・・・!
屋上は今日も冷たい風が吹いています。
でも、ここにいればきっと浩平君に会えるから・・・。
ガチャン!
「よぅ。みさき先輩」
ほらね。
思った通り浩平君は来てくれたよ。
「浩平君。待ってたんだよ」
「『夕焼けの点数』を聞くためにか?」
「あはは。それもあるけど、でも・・・今日は他にも用事があるんだよ」
「俺に用事?・・・そのおでこのバンソーコーに関係あることか?」
「え?これ?」
私のおでこには×印のバンソーコーが貼ってあるけど・・・。
「どこかにぶつけたりでもしたのか?」
「あ、あははは・・・・ち、ちょっと・・・ね。あははは・・・」
つまみ食いするたび雪ちゃんにおしゃもじで叩かれてたなんて恥ずかしくて言えないよ・・・あはは(汗)
だってだって・・・お腹すいてたんだもん〜!
雪ちゃんってひどいよね・・・(;;)
「それで、用事って何だ?」
「浩平君。今日は何の日でしょう?クイズだよ〜」
「・・・今日は・・・『自称乙女が開発したサイ●ミュ搭載ニュー●イプ専用試作型チョコレートの実験台にされた日』だな。朝から胃が痛くてたまらんぞ俺は!」
「くすくす・・・あははは。そうなんだ〜」
「後は・・・ミルクチョコならぬ『チョコレートミルク』を食べさせられたぞ」
「・・・『チョコレートミルク』って、ミルクチョコレートとどう違うの?」
「牛乳の中にチョコレートが少しだけ入っているという代物なんだ!」
「ふ〜ん・・・。なんだかすごいチョコばかりだね〜(^^)」
本当に胃が痛そうに話す浩平君がなんだかおかしいよ〜。
なんだか芝居がかってて面白いよ〜。
「いや〜。『チョコミルク』はよかったんだが、『サイ●ミュ搭載ニュー●イプ専用試作型チョコレート』はきっつい味だったぜ!俺のクラスに一人強烈なチョコを生み出せる奴がいてね〜。先ほど、そいつが開発した『サイ●ミュ搭載ニュー●イプ専用試作型』義理チョコを食した男子十数人が救急車で運ばれて現在集中治療室で緊急手術をしてるんだぜ〜♪」
「ぷぷぷ・・・あははは・・・。おかしいよ〜浩平君・・・。でも、そうすると。その娘の作ったチョコを食べても何ともなかった浩平君の胃袋はすごく丈夫なんだね〜」
「まぁな。けど、断じていうがみさき先輩の特殊酵素配合超強力圧縮能力を誇る四次元胃袋には負けるぞ!」
「うー。私の胃袋は普通だよ〜」
普通だよね?
みんなもそう思うでしょ?
「浩平君ひどいよ〜!」
「いやっ!俺の意見に同調する奴は非常に多いと見たぞ!みさき先輩!」
「う〜・・・そんな意地悪な浩平君には私の手作りチョコあげないもん!」
ぷい!
勿論冗談だけど、ぷーっと頬を膨らまして拗ねてみます。
意地悪な浩平君を困らせちゃお。
「・・・え?みさき先輩が俺に手作りチョコくれるの?」
驚いたように言う浩平君・・・。
「いらない?」
「い、いや!でも・・・どうやって・・・?」
どうやって作ったのか不思議みたいだね。
「あは。雪ちゃんに手伝ってもらったんだよ〜」
「ははぁ・・・。ということはその額のバンソーコーは隙をみては『つまみ食い』するみさき先輩を深山さんが『食べるんじゃないわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!』ってな感じでドついたんだろ?」
ギクっ!
こ、浩平君って・・・鋭いよ〜(汗)
「う〜・・・どうしてわかるの?(TT)」
「いや、なんとなく・・・」
「でもね。・・・殆ど雪ちゃんに手伝ってもらったんだけど、一生懸命作ったんだ・・・受け取ってくれないかな?」
「みさき先輩・・・」
「あ、あの・・・でもね・・・。これは・・・その・・・私の本命チョコ・・・だよ・・・」
受け取って・・・欲しいよ・・・。
私は真っ赤になりながら、浩平君に差し出した・・・。
サッ!
「本命チョコって!?・・・俺なんかでもいいのか?みさき先輩・・・」
「『なんか』じゃないよ〜!・・・えっと、その・・・私の・・・告白なんだよ・・・浩平君・・・」
浩平君がどんな表情してるのかわからない・・・。
返事がなくて・・・コワイ・・・よ・・・。
もしかして私・・・振られちゃったのかなぁ?
「先輩・・・。そういうことは普通男の方から言うものだぜ」
「・・・え?」
そういうことって・・・?
「俺と付き合ってくれるか?」
「・・・うんっ!」
浩平君は私を受け入れてくれた・・・。
すごく嬉しいけど・・・何というか・・・その、あっけなかったというか・・・。
浩平君は私の告白を受け入れてくれたから。
私きっと・・・ほっとしちゃったんだね。
「浩平君・・・ありがと・・・」
すっ!
私は恥ずかしいから、視線を逸らした。
「でも、これ作るの・・・大変だったんだろ?」
「うん。だけど、楽しかったよ・・・」
すごく久しぶりだから・・・本当に楽しかった。好きな人のために・・・チョコを作るのなんて・・・
サアアアアア
「・・・気持ちいいけど冷たい風が吹いてるね」
フェンス越しに、冷たい風が吹き抜けていく。
・・・あの時も・・・こんな感じだったなぁ。
「浩平君。・・・私ね・・・中学校一年生の頃・・・。好きな人がいたんだ・・・」
サアアアアア
「その人ね。・・・小学校の頃から仲良しだった人なんだよ。・・・私の・・・初恋の人だったんだ」
「・・・みさき先輩」
「その時も頑張って作ったんだ・・・。バレンタインデーの・・・チョコレート・・・」
ファサ・・・
風に揺れる髪を抑えながら・・・私の口は少しずつ言葉を紡ぎだしていく・・・。
意識したわけじゃないのに・・・。
「でも・・・。受け取ってもらえなかったんだけどね・・・。チョコを渡すとき、思い切って告白したんだ・・・。もちろんすっごく恥ずかしかったよ〜!」
・・・何を言ってるんだろ。私は・・・。
「でもね。その時その人に言われたんだ・・・『気持ちはすごく嬉しいけど、君と僕が付き合うと・・・きっと辛い目にあうと思う。だからこれは・・・受け取れないよ』って・・・」
「・・・」
「あ、あは・・・な、何言ってるんだろうね・・・私・・・うぐっ・・・」
ぽたっぽたっ・・・
瞳から不意に涙がこぼれだしててきた・・・。
「その人・・・すごく優しい人だと今でも思ってるよ・・・。傷つく前にはっきりと言ってくれたから・・・」
嫌だ・・・嫌だ・・よ・・・。
どうしてそんなこと・・・言うの?
「ひっく・・・・ごめん・・・。変なこと・・・言って・・・ぐすっ・・・」
これじゃ・・・まるで浩平君に八つ当たりしてるみたいだよぉ・・・。
「ぐすっ・・・ごめんねぇ・・・・その・・・そんなつもりは・・・ないんだよ・・・そんなつもり・・は・・・うぐっ・・・」
まるで浩平君に・・・『浩平君は違うよね?』なんて・・・愚痴を言ってるみたいだよ・・・。
浩平君は・・・同情で私を受け入れてくれたわけじゃないのに・・・こんな・・・確認するみたいなこと言って・・・。
ぽたり・・・ぽたり・・・
自己嫌悪の涙は・・・なかなか止まってくれなかった・・・。
「ごめん・・・ね・・・」
「・・・先輩。このチョコ・・・食べていいかな?」
「え?う、うん・・・」
パキッ!
浩平君がチョコを折る音が聞こえた・・・。
「・・・馬鹿だな。そいつ」
「浩平・・君?」
パキパキパキ・・・
「こんなに甘くて美味しいチョコなのに・・・突っ返すなんて・・・馬鹿だ」
「私のチョコ・・・美味しい・・・の?」
「ああ。・・・先輩も食べてみなよ。あ〜んしてみな」
「・・・うん・・・あ〜ん・・・」
パクッ!
「ほら。甘いだろ?」
「・・・ぐすっ・・・あはは・・・そう・・だね・・・」
「それにさ・・・。見た目は長い黒髪の綺麗なお嬢様なんだけど実はもんっっっのすっごく天然ぼけで人並みはずれた大食らいでいつもいつもいっっっつもぼーっとしてて走るのが好きで足が速くて堅い物にぶち当たっても全然平気でそれにどう見ても年上には見えないよ〜な、この御時世なかなか出会えないような貴重で、すっっっごく綺麗で魅力的な女の子を自分から振るなんて・・・。大馬鹿野郎以外の何者でもないと思うぞそいつは。・・・ホントに」
浩平君の言うことを聞いていたら、何だかおかしくなってきました。
「あは・・・浩平君ひどいよ〜・・・あは・・・あはは・・・あはははは・・・・」
「ははは。俺はそんな超が付くくらい『変』な美少女。川名みさきが大好きだぜ・・・」
「うー。私はそんなに変じゃ・・・」
笑いながら、私は変じゃないよ〜・・・と言おうとしたとき・・・。
チュッ!
「あ・・・」
「だからさ・・・。泣くのはやめるの」
浩平君がキスをしてくれた・・・。
「ぐすっ・・・あはは・・・そうだね・・・。ありがと・・・」
初めてのキスは・・・チョコレートの味がしました・・・。
甘い甘い・・・チョコレートの味が・・・。
「あ、ホワイトデー忘れちゃダメだよ。浩平君〜(^^)」
「・・・どわぁっ!そ、そうだった・・・食べるものは勘弁してくれ〜(x_x)」
「期待してるよっ。こーへーくんっ♪」
「・・・浩平君。大好きだよ〜(^^)」
〜おしまいっ♪〜
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(後書き)
ううむ・・・・散々苦労した割には・・・余りにもベタすぎる終わり方だなぁ・・・(^^;)
でもこういうのもいいのでは?
え、ダメですって?(T_T;)
ぐはぅっ・・・(x_x)
じ、次回はもうちょっとまともなもん書きますから・・・。
見捨てないで〜(>_<)
ではまた・・・。
挿し絵提供:そあさん
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