【Eternal Sky.】

みなさんこんにちは。Minardi改です。
人は誰でも『過去』の、傷を背負っています。
でも、自分の傷によって…他人も傷ついてしまったら…?
貴方はどうしますか?
もし、それが最愛の人だったら、自らの傷を…痛みを捨ててでもその人を助け出しますか?
これは、そんな二人のお話です
それでは、どうぞ(^^)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





















祐一がこの街に来てからもう、三ヶ月の時がが過ぎ去った…。
まだまだ寒いけれど、雪は徐々に少なくなって光り輝く太陽と鮮やかな緑の季節。
だけど何故だが最近、祐一は寂しそうにしている。
祐一は、私のことを大切にしてくれる。…私のことを愛してくれている…。
ううん、それは私だけじゃない。
香里も、北川君も、栞ちゃんも、あゆちゃんも、倉田先輩も、川澄先輩も、真琴ちゃんも、美汐さんも、私のお母さんも…みんな。祐一の大切な人たち。
それでも、祐一は寂しそうに………青空を見上げている………。
今日も、傷ついた瞳で……私とは違う空を見上げている………。




















EternalSky.




















「祐一、最近どうしたの?」
ベランダの手すりにもたれ掛かり、ずうっと空を見上げている祐一。
「いや…。なんでもないよ…」
なんでもなくないよ祐一。そんな悲しい顔して……ううん、悲しいというより、思い詰めた表情………。
祐一は、虚ろな瞳で話しかけてきた。
「なあ、名雪…」
「どうしたの?」
「俺さ。ホントに……この街に戻ってくるべきだったのかな?」
…どうして!
どうしてそんなこというの?
「時々思うことがあるんだ。この街の空はどうにも…俺には合わないんじゃないかってね。見知った連中は少ないし、それに、なんだかよく解らないけど………この街は俺にとっては寂しすぎる気がするんだ」
祐一の瞳は、遠くを見つめていた。
二度と戻れないくらいの遠く………を。
「俺はここにいるべきでは……ない人間なのかもしれない。最近、そんな風に思うんだ…」
「祐一っ!私は祐一と一緒にいられて凄く嬉しいんだよっ!……もう………もう。…………一人にしない…………で。…………そんな悲しいこと…いわないで…………ぐすっ………」
私は無意識のうちに叫んでいた。
だって祐一は…。
心を閉ざしかけた私を……救ってくれた人。
七年間も………ずっとずっと想い続けてきた人。
意地悪だけど、もの凄く優しい人。
子供っぽくて……無邪気で……悪戯好きで…。
ずうっと一緒にいないと……知らぬ間に何処か遠くへ行ってしまいそうな人……。
「お…お母さんが事故に遭ったとき!……祐一がいてくれなかったら。……………私…………私。………………ぐすっ」
嫌……。
私……嫌だよ。もう……離れたくないよ……。祐一……。
大好き……だから……。
「わかっているよ。絶対に名雪を一人にしたりはしない!……俺がいいたいのはそんなことじゃないんだ。………違うんだよ!」
「ぐすっ……どういうこと?」
「例えれば……そうだな『雲の彼方に行ってしまいたい』というか『自分の居場所がわからない』とか………。ホームシックとは違うんだ。上手く説明できないんだよ……」
祐一は思い悩み……疲れ果てていた。
そんな恋人に対して私は……。
「祐一はきっと……疲れてるんだよ。この街にやってきてから、ほとんど休む間もなかったし……。色々あったから……」
そんな言葉しかかけてあげられなかった。
祐一は力無く『そうだね』と呟き…部屋へと戻っていった。




















それから、祐一は眠りについた。




















でも…。




















ずっと、悪夢にうなされている…。




















まるで、何かに取り憑かれたかのように。




















そして。




















私はそれを………知っている………。




















無力な私。




















私は祐一に甘えている…。




















それを…知っているから…。




















だから…壊したくないの…。




















今の関係を。




















自分のエゴで…。




















祐一を苦しめているのは……私……。




















−−− 夢 −−−




















「うっ……ぐ。……………はぅっ………………う………………ぁ………………………………ぐっ!……………」
真夜中。
浅い眠りの中……祐一は今日も、夢を見続けていた。
いつ醒めるとも知れない……。終わりのない夢を……。








































『これ、ゆきうさぎっていうんだよ』





















『わたしヘタだから、じかんかかっちゃったけど……』





















『いっしょうけんめいつくったんだよ……』





















『もう…おわかれだけど…』





















『うけとってくれないかな?』





















『ずっといえなかったけど……』





















『わたし、ゆういちのこと……』





















『すきだよ』




















バンッ!




















『あ……』




















『う………ぐすっ………』




















『っ……!』




















『あは…は…』




















『ゆきうさぎ、こわれちゃったね………ぐすっ……』




















『ごめんね…』




















『わたしのせいだよね……』





















『うぐっ………。ごめんね………』





















『ぐすっ。………あした、あってくれないかな?』





















『ずっと………。まってるから………』





















『ちゃんとおわかれ………いいたいから………』





















『ぐすっ…………。おねがい…………』





















『…………………お……………………ね………………………が……………………い……………………』








































バタンッ!

乱暴にドアを開け、暗い部屋へと入る。
祐一のうめき声が…私の部屋まで聞こえてきたから。
「ゆういちっ!ゆういちっ!ゆういちーっ!」
無我夢中で、祐一を抱き起こす。
「………うあ。………………う………………。なゆ………………………き………………………………」
祐一の体はすごく熱かった。
体中から汗が噴き出して、虚ろな瞳…。
「すごい熱…!しっかりして、祐一っ!」
「な……………………………………………………………………………き。…………………………………ごほっ……………………………」
祐一は………すごく苦しそうなのに……私に何か伝えようとしている……。
「う………………。ごめ………………………………ん…………………………………よ。…………………………………ゆき…………………………………うさ…………………………………ぎの…………………………………こ…………………………………と…………………………………」
…!
あの雪うさぎのことを言っているの?
「うぐっ。………も、もういいから。ぐすっ……。私……私………そんなこと………もう…………気にしてないから……………っ!」
私の我が儘が……祐一を傷つけている。…………困らせている!
誰よりも大好きな……大切な……恋人………………を。
「元気になって…。お願いっ!」
私はそれから眠った。
………祐一と一緒に。抱きしめ合いながら…。








































『祐一。……一緒に行こうよ。あの頃へ……』




















『…ああ、そうだな』




















『一緒に報告しにいこうよ』




















今も…雪の中で待ち続ける、あの子……に。




















『俺のこと、許してくれるかな…?』




















『ふふ。大丈夫……』





















心配いらないよ。




















だって、その娘には…。




















今でも変わらずに……大好きな人がいるから。




















『今とは違うけれど………。そこにはきっと、きれいな空があるよ………』




















『だからもう…傷つかないで……』




















私の大切な恋人……。




















『祐一…』




















『何だ…?』




















『夢の中でも…』




















一緒だよっ!


















いつまでも……いつまでも……。




















Fin




















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(後書き)

名雪「ゆういち〜、すきだよ〜………(//_//)」
…今回のコンセプトは「大昔の少女漫画」です!
書いてるこっちが恥ずかしくなるような台詞がたくさんあったでしょ(^^;)

『ゆめのなかでも、いっしょだよっ!』

とかね。わ〜はずかし〜(>▽<)
香里「あなたにしては珍しく完全シリアスSSね。ところで『Dog Fight!(五)』はどうしたの?」
ああ、もう原案は大体書き上がってるよ。
お笑いSSばかり書いていると、発想(ネタのアイデアとか)に乏しくなるのでちょっとタイプを変えてみたんだ。
香里「ふ〜ん。でも、どうしてシリアスは名雪の作品が多いの?(・_・)」
それは、僕が完全名雪属性だからさ!実際、そうなんだけど僕にとっては彼女が『一番幸せになって欲しい女性』なんだ。
例の雪うさぎイベントで、名雪は祐一を許したことになってるけど、今度は逆に祐一が罪悪感にさいなまれるという可能性も、あるのではないか?
…そんな風に考えたのがこのSSを書くきっかけさ。
香里「…似合わないわね(^^;)」
ぐはッ!ほっといてくれぃ(x_x)
まぁそれはともかく。苦悩する祐一を名雪が女性特有の優しさで包んであげると。
そんなことを表現したかったわけなのです。
それに、Kanonというゲームは風景とかを結構重視しているから、そのような雰囲気も表現したかった。
ノスタルジックというか、過去そのような感覚を持ったことのある人は意外といるのではないかな?
空を見上げて
「俺は、これからもここにいるべきなのかな?」
とか、そんな感覚をね。
香里「なんか気持ち悪くなってきたわ…(;_;)」
な、なんで?(TT;)
香里「今回といつもの、あなたのイメージが全然違うからよ…(;_;)」
ふっ!
しんぱいいらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
『Dog Fight!(五)』は香里 VS 栞だろッ!!そんな対戦を僕がまともに(真面目に;^^)書くと思ってるのか!?
めちゃくちゃにしてやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!(^▽^)
香里「やめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!(T_T#)」

ズガッ!!!!

ぐふぅっ(x_x)

名雪「ゆういち〜、大好きだよ〜(//−//)」
香里「はぁ〜、名雪は幸せでいいわね〜、ほんと(TT;)」