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かなたよりこなたまで
「皆さんこんにちは。泉こなたです。昨晩のことです。私がいつものようにオンラインゲーをしていて、三時を回るくらいになって、寝落ちしそうになったので寝ようとしてその前にトイレに行こうとしたら。お父さんの部屋から声が聞こえたのです……」
「そう君」
「んがー。んがー。ぐがー」
「そう君」
「んが……。ん〜?」
「そう君。起きてください」
「ふわぁぁぁ。なんだぁこなたぁ……。おとーさんといっしょにねたいのか〜? そうかぁ〜。かわいぃやつめぇ〜。くか〜」
「私はこなたではありません。かなたです」
「よしよぉし、そいねしてやるからこっちこい〜。むにゃむにゃ」
「そう君!」
「はいっ! ……って。もしかして本当にこなたじゃなくてかなた?」
「そうです」
「ということは、幽霊?」
「そうです」
「足ある?」
「あります」
「あの〜。……何をしに、こっちに戻ってきてくれたのでしょうか?」
「そう君の。こなたに対する教育を見かねて、一言云うために戻ってきたのです」
「こ、こなたはとてもいい子に育っているぞ? ……一部、マニアック過ぎるところもあるが」
「その一部が問題なのです。毎日オンラインゲームに没頭して夜二時三時まで……!」
「や……。ま、まぁ。それは確かに問題だが。あれは廃人になりやすいものだし、若気の至りということで少しだけでも大目に見てやって……」
「そう君!」
「……ゴメンナサイ」
「大体ですね。そう君が甘やかすからあの娘はあんなにマニアックになってしまったのですよ」
「ま、マニアックなのは別にいいじゃないか? それに、そう! こなたがオタクなのも元はといえば父娘による関係が良好でコミュニケーションが上手くいっているから……って。結局オレのせいかっ!?」
「ふぅ……。別にマニアックでもオタクな趣味でもどうこう云う気はありません。ですが、あまりにもそればかりというのはどうかと思うのです。何事にも、限度というものはあるのではないかと」
「い、いや……。そればかりではないぞ? こなたは普通の女の子らしくちゃんと服にも興味持っているし、コスプレとか。文芸部のよーに創作活動とかも時たまやってるみたいだし、えろ同人とか……。流行りものにも興味あるみたいだし、えろゲーとか……って。全部マニアックなものばっかりだ!」
「そう君!」
「ひぃっ! ゴメンナサイ!」
「いいですか! そもそもそう君が……!」
「ふぁぁぁ。おと〜さん。おきゃくさん〜?」
「……。こなた?」
「……。もしかして、おか〜さん……の、ゆ〜れい?」
「こなた。大きくなったわね」
「……うん」
「こ、こなた……かなた……。そ……そっくりな母娘って激萌えええええええっ! ……はっ!?」
「おと〜さん……。感動の再会、ぶちこわし……」
「そう君っ!」
「はいっ! すみません!」
「座りなさい! 大体ですね……!」
「こうしておとーさんはおかーさんに一晩中お説教されたのでありました。めでたしめでたし?」
「め、めでたくないぞこなた。……父さん寝不足で、全然仕事にならんぞ! 目も充血しまくりだ。ああ……〆切が近いのに」
「じごーじとくって言葉、知ってる?」
「オレがそんなに悪いのか!?」
「悪い、んじゃない?」
「云いきるなよこなた。ああでもしかし、かなたもあっちで元気そうで何よりだ。それにしても母娘でそっくりで、ろりろりなのって萌えるよなまったく……ああ、オレって勝ち組かもしれないなぁ……」
(んー。元気っていうより、やっぱりおかーさんは、私たちの事が気になって仕方がないんじゃないカナー?)
「とにかく! 一つだけ云えることは、うり二つなくらいそっくりな母娘は萌えるということは確かということだ」
「おとーさん……。これから毎晩お説教だね?」
「嘘!? 何で!? どうしてだ!?」
「めでたしめでたし」
「めでたくないっ!」
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