特別編SAGA
彼女の名は七瀬さくらと云った。略してみたらナナサクと云ったところ。しかしながら正確には、七瀬ミナエルさくらと云うのが便宜上の本名。もしナナサクと云うあだ名で呼んだりしたら漏れなく鉄拳だのハイキックだのが飛んでくるから要注意だ。さくらは輪っかもつけられるくらい、正真正銘の天使だ。だけど性格は単純かつ短気で破天荒、体育会系で根性はあるが実技はともかく他はからっきしの成績。勉強は全然だめで追試に次ぐ追試の結果、落第天使故に単位稼ぎが必要てなことで、地上に修行に行ってこーーーいと云うことになった。 で、改めて天界もとい空から留学してくる時、すなわち空から降ってくるときに、風に吹かれてちょっとしたドジをやらかして姿勢制御をミスり電柱に頭をぶつけてから民家に墜落して記憶を失い、それが大学生の悟君……鈴木悟との因縁。いやいや、良縁を生むことになったのだった。 で、かくかくしかじか。紆余曲折ありながら、二人は恋人同士になったのだった。そして今まさに、恋人同士がすることを初めてしようとしているのだった。 「悟」 「ああ」 そこは悟の部屋。一人暮らし用、とも云える程度の狭い部屋。意外なくらいに整っていて掃除が行き届いているが、その片隅にベッド。更にその上には裸の二人。仰向けに寝そべる悟の上に、さくらがまたがっているのだった。まさに準備万端と云ったところ。 色々あって、落ち着いた後。二人で相談して、今日改めてしよう。と、そう云うことになったのだった。 「痛くしないでよ」 「わーってるって」 緊張した面持ちのさくら。悟は極めて慎重に、そろそろと、さくらのくびれた腰をつかんでゆっくりと落として行く。が……。 「う……」 「ゆっくり行くからな」 安心させるために何度も繰り返した台詞。悟は相当気を使っており、直前にもそう云ったのだったが。さくらはすぐに叫び始めた。 「っ痛ったあああああああああっ! あああ、あにすんじゃてめ悟このぼけええええええっ! 痛くすなって云っただろがああああああっ!」 「ぐおっ!」 少しだけ。そう、ほんの少しだけ先っぽが入りかけたところでさくらのヘッドバッドが悟の脳天に直撃していたのだった。いきなりこれかい、ということで悟は前途多難な事を改めて思い知ることになる。 「じゃあどうすりゃいいんだよ!」 「んなもん! い、痛くしないようにすりゃいいのよっ!」 「と、云われてもなぁ」 やれるだけのことはやってきた。最善は尽くした。はずだ。だが、それではまだまだ不十分だったようだ。 とりあえず悟は少し考えた。痛いのは、やはりさくらが初めてで自分のものと馴染まないからではないか。ゼリー状の潤滑油でもあればよかったのだけど、忘れていた。ならばとりあえずと云うことで、さくらの股間に顔を埋めて舌で愛撫して唾液で柔らかくほぐしてから本番を開始する。という現実的な提案をしたのだが。 案の定と云うべきか。残念ながら、火に油を注ぐ結果になってしまった。 「ば、ば、ばっきゃろおおおおおおおっ! んなこっ恥ずかしくて死にそうなことあたぃができっかああああああっ! 悟てめぇ女の子の貴重で大切で割れ物みてぇな生おま○こ何だと思ってんだこの腐れどち○ぽ野郎があああああああ!」 顔を真っ赤にして激怒するのだった。 「あのなぁ」 しかしながら、さくらがあんまりうるさいので相手にしてても埒があかんので、悟は強引にやることにしたのだった。ベッドの上に仰向けに寝るさくらの両足を大きく開いて丸見えになったさくらのそこに舌をはわすと。さくらは顔を真っ赤にして叫び出した。暴れはじめたとも云うが、とにかくじたばたしてる。 「ああああああんぎゃあああああああっ! どぉぉああああああっ! てめぇぇぇ悟きっさまぁぁぁっあにすっだぁこるぁぁぁあぁああぁあぁあ! あたぃの天使のおまん毛見てわーこいつ毛深いなーだなんて思って馬鹿にしてっだろあぁぁぁあっ!? あーーーあーーーあーーーっっ!」 「思ってねぇって。普通だと思うぞ?」 悟自身は全く気にしていないが、さくらは結構気にしている模様。若干毛の量が多いかもしれないがしかし、それを云うのなら彼女の、赤青黄の信号機みたいな三色リボンで結んでいるトリプルテールとか云うわけのわからん髪型の方がそもそもおかしいと悟は思った。こいつの髪のボリュームを考えれば、股間の毛が多少なりとも濃くたって、全く問題はないと判断するのだった。 「てゆーか、いいから黙れ。萎えるだろが」 「ううううう。しかたねーのよぉ。そうしないと恥ずかしすぎてどーにもなんねぇのよ」 意外と可愛らしいところもあるようで。これまでの怒声は全て恥ずかしいから、それを誤魔化すためだったようだ。 「お前なぁ。とにかく言葉遣いを何とかしろ。見た目は可愛いのに勿体ない」 「え? 何? 何だって? 可愛い? あんた今あたしのこと可愛いって云った? 嘘? マジ? 聞き間違いじゃない? 本当?」 ぴくん、と反応。そして何度も何度も問い返す。『可愛い』と云われて純粋に嬉しかった模様。普段、怒鳴り合ってばかりいて、そんなこと云われたのは初めてかもしれないから。 悟は悟で正直だった。事実、さくらは可愛い。外見は文句なしに美少女だ。友人には羨ましいとよく云われる。ああ、やはり内面を知らないからそう云えるんだな、と思うけれども。とにかく可愛いのは事実中の事実なのだった。 「ああ。可愛いよ。普段の行いとか別にすればな」 「いーのよ。可愛いは力! 権力! パワー! 可愛ければだいたいのことは許されんのっ!」 いや、色々意味かぶってるから、と思いつつ話を進める。 「とにかく続けるか、やめるか。どっちかにしようぜ」 このままだと腹上死しかねんと悟は思った。でも、さくらの決意は変わらない。 「決まってるっしょ! 任務続行よっ!」 任務なのかよ、と悟は思った。 そして。
「うぁぁぁぁっ! うあぁっ! ああっ! あーーーっ!」 さくらは狂ったように腰を上下していた。その度にぽろぽろと涙をこぼす。もっとも、最初から凄まじい早さで腰を上下していたのだけど、やせ我慢している故にすぐにそのスピードは落ちていき、動けなくなってしまっていた。それでも根性出して何とか頑張ってはすさまじく動いて、また痛みに耐え切れず脱力して止まってしまう。そんなことの繰り返し。 「うぅぅ。やっぱダメ。痛いよ痛いよ痛いよぉぉぉ。あーーーん! うあーーーん! うわーーーん!」 子供のように、アニメのよーにびえええええんと涙を滝のように流すさくら。本気で痛いようだ。今回はもう、動く気力もないようだ。悟もそんなことを咎める気はまるでない。それどころか優しくあやしてくれる。 「ああ、よしよしよしよし。だから無茶するなって云ってるのに」 「だってだってだぁって……。悟とする前に、誰かに犯されちゃったりしたら嫌だから……。だからなのよぅ。だから最後までしたいのよぅ」 いや、お前を知っている奴は、お前を襲おうなどという怖いことを考えたりはしないだろう。仮にお前のことを知らない奴がそれを実行したとして、消し炭にでもなるか全身打撲あたりになるほど痛めつけられて撲殺されるかその他無惨な状態になること間違いなしだろう。 さくらはそんだけ強い娘だったのだ。 などと悟は思ったが、口には出さないでおいた。その代わり、フォローとなる一言を加えてやることにした。 「お前。可愛いよ。そういうところ」 「ぐすぐす。嬉しい……けどでもやっぱ痛いよぅ」 「だから無理をするなと何度云わせればわかるかな……」 さくらは実に男気(?)のある女の子。というよりも何でもかんでもど根性で突破していく突撃タイプ。例えるなら飛び交う弾幕をものともせず、シールド一丁構えてうおおおお、と特攻していく感じ。蜂の巣に出来るんならやってみやがれ! てなところ。そんな娘なので、過度な優しさは時にプライドを傷つけるのだった。つまりは、優しい男心の分からない純情娘なのだった。 「いーのっ! とにかくあんたはあたしのお○ん○で締め付けられてさっさといっちゃえーーーーーっ! 早くいけば痛いのも少ないんだからーーーー! ほらぁーーーーっ! いっけぇぇぇぇぇっ!」 さくらは突然、腰を上下に動かし始めた。歯ぁ食いしばって、顔赤くして、力仕事万歳な勤労娘の如く。 「ぐおおおっ! お、お、折れる! 痛い痛い痛い痛いっ!」 そしたら今度は悟がたまらない。けれど、さくらもやっぱりたまらない。どっちつかず。 「あーーーーっ! あーーーーっ! やっぱ痛いいいいいーーーーっ! こっちも痛いいいいいいっ! ダメーーー! うあーーーん! うわあああああんっ!」 「だからっ! 無理すんなとさっきから何度も云っておろうがーーーーーっ! ああっ! 血ぃっ! 血が出てるっ!」 「う、うるせーーーっ! あ、あたしはこれでも処女ま○こなんだから血ぃ出んのぐれぇ当たり前だろがあああっ! って、あああああ! 痛い痛い痛いいいいいっ! 離して離して離してええええっ!」 「ええいこの馬鹿女! 痛いならとっとと離れんかーーーっ!」 もはやえっちどころじゃないようだった。悟は悟で心配するのに疲れたのか、苛ついた揚げ句にさくらを無理やり引っ剥がす。するとさくらの中から悟のものがすぽーーーんっと抜けて、さくらは結果的に勢い余って思いっきりのけぞり。 「のふぉっ! ずばきょっ! ごぎゅっ!」 裸のまま弾丸のように飛んでいき、本棚に頭から突撃。本棚はそのまま豪快に倒れてきて、さくらは下敷きになってしまうのだった。 「きゅう……」 「あ、あーあ」 初めてって、痛いものなのね。と、さくらは目を回しながら思った。いや、本来そう云う痛みちゃうから、と悟は思った。 そんなこんなで二人の初体験は見事なまでの大失敗に終わったのだった。 無論、さくらもそんなんで納得できるわけがなく
翌日再戦と相成った。が……前回の反省を踏まえてとか、同じ轍は踏まない、とか云ったような学習効果と云うべきか、経験の積み重ねと云ったものはさくらにはないのだった。無縁なのだった。あればそもそも追試で地上に降りては来ない。つまりは馬鹿なのだった。 けれど、悟はそんなに馬鹿ではないようで。色々工夫してはいた。 「くらぁーーーーーっ! 悟てめぇ何あたしを縛ってやがんだこのど変態がーーーーっ!」 足でげしげしと蹴られつつも動じない悟。さくらが暴れないようにロープで両手を背中で縛っているのだった。そうしないとまた天使の力を発動してアパートを破壊しかねないから。『また』という言葉が表すように、前科があるわけだ。全ては自業自得。 ついさっき、挿入時の痛みに耐え切れず、波動砲をぶっ放してガラス戸をぶち破ったばかりだったのだ。 「うるさい黙れ。いいからさっさと股開けこの馬鹿女」 「くあああああっ! てめ何しやがる! 何乙女のまん○をくぱぁってえろく開いてずぶっとぶっ込もうとしてやがんだコラ! 離せーーーっ! このごーかんまあああああっ! ばっきゃろおおおおっ!」 めちゃくちゃだ。自分で『今度は暴れないからお願い!』とか何とか悟に云ってるくせに、いざするとなると怖くなって暴れる暴れる。そんなさくらとするには、もはや強姦するかのように無理矢理じゃないととても無理だ。悟はやむなしとばかり、積極的に攻勢に出るのだった。 「さて、入れるぞ。……今回はじっくり濡らしてほぐしたから痛くないだろう」 「まてーーーっ! やめーーーっ! あーーーあーーーあーーーっ!」 そして悟は改めてさくらの恥ずかしいところに、大きくそそり立ったものをあてがう。あとは挿入するだけ。 「はいはい観念しろ。じゃ、行くぞ」 「あーーーーーっ! やっぱりやーーーーだあああああっ! こわいこわいこわいいいいいっ!」 「じゃあやめよう」 と、直前で悟が云うと。 「あぁっ!? 悟てめ何ここまでいたいけな乙女で美少女さくらさんを縛って大股開きさせて羞恥心煽って焦らしておいて追い込んでおいてやっぱやめようだぁっ!? ふっざけんなああああああっ!!」 「……」 呆れ果てた悟はもはや何も云う気が起きなかった。我が侭娘にはきっついお仕置き。無言のままさくらの腰をがっちりと掴み、中へと腰を進める。すると。 「あーーーーあーーーーあーーーーーっ! ままま、待って待って待ってええええええっ! そこちょっとま、ああああああああっ!」 ずぶずぶとさくらの割れ目の中に悟のものが入ってきて圧迫感感じてきて、段々痛くなってきたので。 「ささささ、裂けちゃううううっ! あーーーーっ! やめーーーーーっ! だめーーーーーっ! う、う、こ、こーなりゃこーなりゃおおああああっ! く、くらいやがれ悟の大馬鹿ぁっ! 必殺……お、お○ん○砲おおおおおおおっ! あおーーーーんっ!」 「どわぁっ!」 突如、さくらのちょっと濃いめの毛に覆われた秘所というか割れ目というか恥ずかしい部分、すなわち股間からピカァーーーッとまばゆい光が放たれ、凝縮してレーザーなのかよくわからないけれど、とにかく衝撃波となった。さくらの中に入れようとしていた悟に直撃するのは当然のことで、思い切りすっとばされて、冷蔵庫にタックルをしかけることになってしまった。 「ぐえ!」 冷蔵庫が倒れてきて、下敷きに。マジで昇天!? と思ったさくらは焦りまくって叫ぶのだった。 「わああああぁっ! ささささ、悟ううううううっ!」 「……お前。飯抜き」 その日の夜。食卓には悟の分だけご飯。悟は頭にでっかいコブを作ってしまい、むすーーーーっとしてしまった。流石にさくらも自分が悪かったと認めて、しょんぼりしてる。何しろ股間から衝撃波。やった方もやられた方も、いくら何でもそりゃないだろう? 云うに事欠いて『お○ん○砲』だと? この馬鹿女。アホたれ。羞恥心の欠落した『駄』天使。散々罵倒されてもさすがに悟に反論できないさくらだった。 無惨にも破壊され、散らかった部屋を片付ける時、悟は一言も口を聞いてくれなかったのだった。無理もないことだ。 「えーーーーっ! えーーーーっ! そんなそんなそんなああああっ! 悪かったわよぅ! 許してよぅ! さーーーとーーーるぅぅぅっ! いーーけーーずううううっ!」 結局。試行錯誤の結果、一つのルーチンワークができあがる。さくらとえっちをする時は、甘い甘い甘〜いキスが大前提。そしてそれと共に、悟がさくらを優しく熱く抱き締めて頭をなでなでしてあげるのがこれまた大前提。この二人の場合、柔らかな温もりをお互いが存分に感じるには、それくらいしなきゃだめなようだった。 「う、う」 「痛くない痛くない」 痛いの痛いの飛んでけーと、そんな感じ。頑張れと励ます悟。そうなるとさくらも健気に耐えるのだ。 さくらについて、改めてわかったことがある。今まではとにかく猛烈にツンツンツンツンツンツンしていて、ごくたまにデレのデくらいまで行くところだったのが、結構甘えるのが好きなようで。安心しきった顔は本当に可愛らしくて、天使してるなーと悟は思った。 「痛いけど……頑張る……ぐすぐす」 互いの顔を見ながらいっぱいキスをして、ようやく暴れなくなって、普通にえっちができるようになったんだとさ。 「やれやれ」 「う、う。悟ぅ。悟ぅぅぅ」 それでもやっぱり痛くて、お股がずきずきして目を潤ませて、悟にお願いする。 「何だよ」 「キスー」 「はいはい」 「んんーん」 さっそくしてあげると、さくらはとっても嬉しそうに微笑んだ。いつもこうならいいのになぁ、と悟はしみじみと思った。 おしまい
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