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美空島夏物語










 美空島は観崎家。夏真っ盛りの一日。

「ふふ。タカったら、寝顔可愛い。気持ち良さそう」

 それはとっても優しい女神様の独り言。

「ねえタカ、知ってる? みんなね。揃いも揃ってタカのこと、大好きなんだよ?」

 時刻はもう夕暮れ時。高久は、暑いからと窓を全開にしていて、弱設定の扇風機を首振り状態にしてそのままベッドに横たわっていたら、そのうち深い眠りの中へと落ちてしまっていた。そしていつからか、高久の耳元で誰かが優しく語りかけている。

「聞こえてなんていないと思うけど、ね」

 実際はそうでもなくて、高久の深い眠りはいつしか浅いものにかわっていて、夢でも見ているかのように感じていた。子供の頃の楽しかった思い出のような、どこか懐かしくもおぼろげに感じられるもの。近いようでいてどこか遠いような、遠くで夜鳴きしている犬のような、決して辿り付くことができないようなイメージを抱いている。

「――だから、さ。みんなの思い、かなえてあげたくなっちゃうんだ」

 みんなの気持ちが痛い程にわかるから、ということ。恋する女神様はただ単に自分のことだけじゃなくて、大切な人達の気持ちも大切にしたいと願ったのだった。それがどのような結末を招くかは、いつものようにあまり深く考えずに。

「ねえ」

 カーテンをさらりと揺らしながら、そよ風が入ってくる。暑かったのが嘘のように涼しくて、どこか儚げな風。もしかすると、神奈の優しい気持ちが暑さを和らげているのかもしれない。

「いいよね? タカは優しいから、許してくれるよね?」

 そうしてまた高久の意識が遠くなっていく。少しずつ、全てがフェードアウトしていくように。

「タカにはとんだ災難かもしれないけどね〜。ふふ」

 そしてそのまま、声は聞こえなくなっていく。

「追いかけてきてね」

 それは紛れも無く美空島の島神、一ツ橋神奈の心の声。みんなの幸せを願いつつ、最後には戻って来て欲しいと、そう願っているような……。





-美唯-





 ――日曜日の朝七時頃のこと。観崎家の居間にて、高久は後ろ姿の美唯を見つけた。

「美唯、おはよ……」

 あくびをしつつ今まさに、妹におはようの挨拶をしようとしたところで異常は起きた。晴天の霹靂とばかりにとんでもないくらいの異常が。

「お兄ちゃんおはよう」

 観崎美唯……。とびきり可愛い妹による、何の変哲もない挨拶。今日もおいしい朝ご飯を作ってくれて、その上兄のことを思いっきり慕ってくれる。あまりにもよくできた娘だと高久は常日頃思うのだった。……が、今日はどうにも様子が違っているようだった。くるりと振り返った美唯の、衣服の布地が覆っているであろうはずの場所は何一つ遮るものがない状態……つまるところ、丸く大きなバストが剥き出しになっていた。

「え?」

「ねえお兄ちゃん。……パイズリ、させて」

「は? パイ……」

 目と共に耳を疑うとはまさにこれ。美唯は恥じらいに身じろぎし、ぷるんっと胸全体が震えたように見えた。

「私のおっぱいで、パイズリさせて」

「な!?」

 言葉が出ないことを、同意してくれていないとでも受け取ったのだろうか。美唯は不満そうな様子。

「う〜。させてくれないのなら、こっちからしちゃうよ」

 何を言われたのか未だわからずに呆然としてしまう高久。そんな彼の一瞬の隙をついた早業が繰り出される。美唯は高久の元にひざまずき、チャックの金具を手際よく掴んでジッ、と音を立てて一気に降ろし、トランクスの口から一物と玉を掴んで引き出した。そしていつの間にか露になっていた二つの巨大な膨らみで挟み込み、しごき始めた。更にそれだけではなく……。

「わっ!」

「はむ……。あむ……」

 次第にむくむくと膨らんでいく一物の先端をくわえ込み、口でも奉仕。熱心に、愛情をたっぷりと込めて。

「み、み、美唯!? な、な、なっ……!?」

「んん〜。私のおっぱいはね。お兄ちゃんに気持ち良くなってもらうためにあるんだよ?」

 優しく、それでいて的確な動き。包み込む膨らみは相当に柔らかく、それでいてどこかハリがあって堅い。二つの飛び出た乳首が高久の玉に当たり、くにゅくにゅと折れ曲がり、こね回されている。月日の流れは変化を生じさせるもの。子供の頃と比較して随分と大きくなったものだと高久は感じたが、それどころではない。

「もちろん、ファンの人達には悪いと思ってるけど。でも……それだけは譲れないの」

 美唯の中で高久の存在は絶対的なものなのだった。

「み、美唯。こんないけないことやめよう。こんなところ、もし神奈に見られたりしたら……」

 至極当たり前の意見。親しき仲にも礼儀ありだと高久は主張する。……礼儀どころか、道徳的にいけないことだろうと。色々な意味でこれはいけないと訴える。

「あ、大丈夫だよ。神奈ちゃんは今お出かけ中だから。それに、パイズリでもしてあげたら〜? って、笑いながらすすめてくれたよ?」

「何でそうなる! も、もう何が何だか」

「今日はね。お兄ちゃんに気持ち良くなってもらう日なんだよ〜」

 神奈はこのことを知っているようだ。一体どうなっているのだろうか。そして、妹としてはいけないという極めて常識的な概念はさらりとスルーされている。

「ど、どういうこと……う、うああっ! も、もう……」

「ふふ。出そうなんだね。いっぱい出して。……わっわっ。んんっ。すごーい」

 美唯が言っているそばから高久は射精した。制御不能になった高久の一物から、どぴゅ、どぴゅ、と飛び出る精液。美唯の顔も胸も白く染められていった。

「あ、あ。すまん! そんな、顔に出してしまうなんて……」

「ううん。謝ることなんてないよ。いっぱい出してくれてありがとう。お兄ちゃん……。好き。もっと、させて」

「ち、ちょっ!」

 美唯はにこにこしながら、今も尚射精が続いているものを受け止めていく。やがて美唯は、ぺたりと座り込んでしまった高久の上に跨がってきた。高久の一物を手で握って狙いを定め、ゆっくりと体を降ろしていく。高久のものが美唯の中にずぶずぶと沈み込み、二人は一つになっていく。

「んっ。あっ。お兄ちゃん……。あああっ!」

 そしてそのままトランポリンの上で遊ぶかのように上下運動を開始。ゆさゆさ、たぷたぷと形を変えながら上下に揺れる美唯のバストが眩しく見える。

「あ、あ……」

 余りの快感に、一瞬視界が真っ白になってしまう。目の前でフラッシュでもたかれたように。

「ああっ。お兄ちゃん、いっぱい出てるよ。熱いくらい」

 はあはあと粗い息を付きながら、美唯が高久の胸に顔を埋めてきた。

「お兄ちゃん。私のおっぱい揉んで」

「え? あ、ああ」

「強く、だよ。手加減なんていらないから。……ずっとね、お兄ちゃんにおっぱい揉んで欲しかったの」

「そ、そうなのか」

「もっと強くして。大丈夫だから。痛くないから。もっと、揉み揉みして」

「う、うん」

 勢いに飲まれ、されるがままの高久。

「乳首もつまんで、引っ張って」

 どこまでもしてもらいたい。目茶苦茶に。と、美唯はそう思う。

「あ……。私のおっぱいに、お兄ちゃんの指がめり込んでるよ。もっと、ぐにぐに揉んで。んっ」

 いじくられて美唯は満面の笑顔。

「私はお兄ちゃんのもの。私は……お兄ちゃんに犯してもらいたいと思ってる、いけない妹。ねえお兄ちゃん。もう一回、して……」

 普段の無邪気さからは想像も付かないような妖艶さだった。四つん這いになり、大きなバストを揺らしながら喘いでいるのだから。

「あんっ! 後ろからパンパンってしてぇ! もっとぉ……んあっ! あっ! あぅんっ! はぁんっ!」

「あ、ああああっ! も、もう……何が何だかっ!」

「あんっ! あんっ! はぁんっ! あっ! あっ! あああんっ! お兄ちゃんもっと! もっとぉ……!」

 無我夢中だった。高久はやけっぱちになったように美唯を突きまくった。痛みを与えていないか心配だったが、反応を見る限り杞憂であることに気付く。そうして観崎家のリビングは、美唯の甘ったるい喘ぎに包まれていった。





-千紗-





「な、何だったんだ一体」

 違和感などまるでなかった。ごく普通に、朝の挨拶でもするかのように、妹とどっぷりたっぷり濃厚な交わりをしてしまった。経緯はどうあれ、結果は結果。高久が罪悪感を抱こうとしたところ、美唯が体を拭きながら満面の笑顔で『それじゃお兄ちゃん、いってらっしゃ〜い』などと、今までのことを全く気にしていないように言うものだから調子が狂いまくりだった。

「どうしたの」

 丁度考え事をしながら歩いている所に突然制服姿の幼馴染み……帳千紗が現れる。目の前にはこれまたお馴染みの蛙地蔵。

「おわっ!」

 妹に次いでこの幼なじみの少女もまさか、と一瞬疑ってしまう。

「ご挨拶ね」

 じとーっとした目で睨み付けられてしまう。その眼差しはとても痛くて批判的。美唯とは雰囲気も見た目も性格も全く違って、クールで生真面目な幼馴染みはどうやら『正常』なようだと勝手に決めつける。その判断を下すのにはあまりにも材料が足りないのだが、高久は強引にでもそう思いたかったようだ。

「わ、悪い。つい」

「どうせ考え事でもしてたんでしょ」

「う……。まあ。考え事には違いないか」

「ふーん。エッチな事とか?」

 くすくすとからかうように千紗は言った。全くの図星なので何も反論出来ない高久。何とも説明し難い事態をどうしたものかと考えるが、しかし……。

「それはその……。って!?」

「観崎。ううん、高久」

 またも異変は発生した。全ての蛙地蔵を丁寧に拭き終えたばかりの千紗は、地蔵の頭に手を置き、中腰のままお尻を突き出してきたのだった。その態勢では短いスカートの中……パンツが見えてしまうと高久は瞬時に心配したが、既にそれ以前の問題となっていた。なにせ、そこにはあるはずのものが無かったのだから。……正確には、千紗にしては大胆な鮮やかな紫色のショーツは既に膝辺りまでずり降ろされていた。そうして千紗は、聞き間違うはずも無い一言を呟く。

「入れて」

 恥じらいに頬を赤らめつつ、おねだり。千紗の露わになった割れ目を、たら〜りと一筋の愛液がしたたり落ちていく様がとてつもなくやらしい。

「ち、千紗!? お前まで!?」

「美唯とはできて、私とはできないって言うの?」

「え……。そ、それは……。って、何でそれを知って?」

 全てを見られていたかのように千紗は言い、高久は驚愕する。

「そんなことはどうでもいいから。早く、して」

 戸惑う高久に督促する千紗。妙に積極的で、大胆。

「で、でも」

「ほら、両手で私の腰をしっかり掴んで、先っぽを割れ目にくっつけて。……そしたら一気に入れちゃっても、大丈夫だから。早く……焦らさないで、して……。誰か来る前に。女の子に恥ずかしい思い、させないで」

「えっ? あっ」

「早く、して」

 普段の凜とした様が嘘のように、不安げに潤んだ瞳。

「あ……。わ、わかった。入れるぞ」

「んうっ!」

 そんな目で見つめられて高久は拒否することができず、千紗の既にとろとろに濡れそぼった割れ目に先端を押し当て、突っ込んだ。

「あ……んっ! あっ……りがと。入れてくれて。ん、いいよ。んっあっはっあっあっあっ! 突いて! もっと突いて! んああああっ!」

 ずぷりと奥までねじ込んだものは、強い抵抗を受けつつも前後にうごめく。やがて馴染んできたのかすべりもよくなっていく。ぱんぱんっとリズムカルに音を立てながら、千紗の華奢な体が小気味よく揺れる。長い髪も、二房の細い三つ編みも、バストの膨らみも全て。そうしているうちに、高久の心の中にむらむらと沸き上がってくる感情があった。もっと揺らしてやりたくなってくるという思い。

「高久ぁ……。パンパンしながら……胸も揉んで……。み、美唯や深景先輩にはかなわないけど……私だって、少しはあるんだから。……あっ! んっ! 神奈くらいは、ね。負けてないんだから。……んひっ!」

「何を張りあっているんだ」

「張りあってなんか。……んんっ!」

 高久は千紗の腰から手を離す。そうして千紗に言われるがままに、制服の上からもわかる二つの柔らかな膨らみをむんずと掴み、揉み回した。バストサイズに関しては美唯と深景という二大巨頭がいるから千紗自身は埋没してしまっているけれど、決して小さなわけではないのだった。

 二人の交わりは続く。ぱちん、ぱちん、と激しくぶつかる音が延々と聞こえてくる。

「あっあっあっはあっあふっあっんっんっ! す、ごい……もっと! もっと強く揉んでいいよっ。もっと強く突いちゃって……んあっ! あんっ! はあんっ! だ、め……も、もう……お外でいっちゃ……んんんんんっ!」

 どぷりと溢れ出る感触。中に出し、引き抜いてからも射精は続いた。千紗のお尻中はおろか、スカートの中までべっとりとした精液が噴射していった。千紗は脱力し、ずるずると崩れ落ちてお尻を丸出しにしたまま座り込んでしまった。

「はあ、はあ……。高久ぁ……。好き。激しくしてくれてありがと……。気持ちよかったよ」

 いつも凜とした表情が印象的な少女は、ふんわりと包み込むような笑顔を見せながら、股間やお尻についた精液をティッシュでふき取っていくのだった。





-芹夏-





 こんな事があって良いのだろうか? 心底そう思う。

「ほ、本当に何なんだ今日は……」

 結局、美唯だけでなく千紗ともしてしまった。妹に続いて幼なじみとはまたどいうことなのか。どこかで何かおかしい事でも起きているんじゃなかろうかと高久は思う。あの後、千紗が言うには『神奈は学校に向かったわよ』との事だった。そんなわけで高久は更に打ちのめされたような気持ちになり、肩を落としながらとぼとぼと歩いていき、いつしか目的の地に辿り着いていた。

「見つけましたよアニ!」

「はあ……。本当にもう、まいった。どうなっているんだ」

 とてもいけないことをしてしまったと思って悔やみ続けている高久の前に、白く可愛らしいテニスウェアを着た、まさに元気の塊のような少女……清澄芹夏が現れる。高久が丁度テニスコートの脇を通っていくところを待ち構えていたようだった。

「う〜ん。どうしたものか……」

 が、しかし高久は芹夏を無視してそのまま素通りして行こうとした。

「って、何ナチュラルに無視して行くですか! いっくら口やかましい貧乳不人気ピンクだからってそれはないです! 気付いてください! ひどいですよアニ! うざくてうっとうしいかもしれませんけどこんなあたしみたいなピンクにもいっぱしの人権くらいあるんですからっ!」

 まさにマシンガントークとばかりにまくし立てる芹夏。

「あ? 何だ芹夏か」

「『何だ』って何ですか『何だ』って! ピンクはヒロインから除外だとでも言うのですか!? くうう! こうなったら絶対勝負するのですアニ!」

 何かと言うと勝負事が大好きな芹夏。有り余る元気を持て余している暇すらないような、いつものパターンだった。

「悪いけど、今はテニスをやってる気分じゃないんだが」

 適当にぱたぱたと手を振って神奈の探索を続けようとする。けれど芹夏はしぶとかった。高久の腕を掴み無理やりテニスコートの片隅まで連れて行く。

「勝負はテニスとは限りませんよっ!」

「はあ。まあ、どうであれ後でみんなにはフォローを。……って、おいっ!」

 芹夏は突然白いスカートをたくしあげ、見せつけてきた。それだけならまだアンダースコートやショーツがあるはずなのに、今は何故か剥き出しになっていた。美唯や千紗との時とまるで同じ感じ。

「せっくす勝負ですアニ! 負けませんよ! って、ああっ!? ここまでしてるのに何で無視して行こうとするんですか! 乙女のあそこを見ておいてそれはないんじゃないですかアニ〜〜〜!」

 さすがにそれは乙女のプライドが許さないのか、抗議しまくる芹夏。

「いや……。何だかもう、俺は実はまだ目覚めてなくて悪い夢でも見ているのかと。色々とおかしいんじゃないかと……」

「悪い夢とまで言われた!? おかしいとまで言われた!? くうううっ! ……こうなったら覚悟するのですアニ! 神奈先輩にはどうあがいても絶対かなわないですけど、私だってやればできるかもしれない子なんですからっ!」

 芹夏は突然高久に飛びかかり押し倒しのしかかり、股の辺りに跨がる。

「わあっ!」

「いくですよ入れるですよしちゃいますよ犯しますよ! 先にいっちゃった方が負けですからねっ! それじゃ勝負スタートなのですっ!」

 勝手にルールを定めた揚げ句、一気にスタート。いつも以上に強引なノリ。

「ま、待て待て待てっ! 正気かこんなっ!」

「むぉーちろん正気っす! 待ちません! ええ、待ちませんとも! 勝負はもう既に始まっているのです! 非情なものなのです!」

 芹夏は恐ろしく手際良くズボンのチャックを降ろして高久のものを引き抜いていた。

「わーーーー! 待て待て待てっ!」

「待ちません待ちません待ちません! 私は正気ですよ大丈夫ですっ! ちゃんと一人エッチしておいてぐしょぐしょのぬれぬれになるまでほぐしておきましたからっ! いっちゃう寸前までして我慢したんですからもー我慢できませんっ! 寸止めで欲求不満な乙女はもう止められないのです!」

 なんとも用意周到なことだと高久はしみじみと思った。

「そーいう問題じゃないっ! 誰かに見られたりしたらどうするんだ! それにお前……」

「服は着たままですし、ここは結構死角になってるから大丈夫です! それに……私はアニとならいいですっ! 平気です! だだだ、大好きなのです! って、何恥ずかしい事言わせますかっ! ということで万事OKなので行きますよ! いただきまーすっ! んひうっ!」

 芹夏が腰を落とす。ずぶ、と一気にめり込んだ感じがした。ああ、またやってしまったと高久は大きく息をついてしまう。

「んっ! んっんっんっんっんっ! あ、アニの……大きいです……。けど、負けては……いられません。先にいってもらいますからね! あっんっんっんっんっんっ!」

「うああっ! な、何なんだ今日は一体!? どうなっているんだ!?」

「あ、アニ! 早くイっちゃってくださいよね。じゃないと……」

「誰が先にイくかっ!」

「ん、あ、あっ! は、早く……! あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ! も、もう……! このまま、じゃ……! ペース、速すぎです!」

 いきなり全開で飛ばしたのは他でもない芹夏なのだけれども、達してしまいそうで弱気になっていく。

「っく。いい腰遣いしてる。流石テニス部だな」

「それテニス関係無いですからっ! ってああ!? 何下から突き上げて来てるんですかっ!?」

「負けるわけにはいかないからだ」

「い、いきなりやる気満々になってます!? あひっ! あっ! そ、んな……。おっぱいの大きさではみんなにかなわないから……んっ! 腰の振りで頑張ろうって思ったのにアニに手玉にとられるなんて!」

「そのままイってしまえ」

 何だかんだで結構情け容赦ない高久。

「あっあっあっあっあふっ! も、もう……あ、あ……だ、だ、めええぇぇっ! んうううううっ! ふひゃあああああああああぁぁぁんっ!」

 芹夏はびくびくと飛び跳ねるように痙攣し、あっさりと達してしまった。

「はあはあ……。あ、あっさりとアニにイかされちゃった。……って!? うええええっ!?」

「これで終わりだと思うなよ?」

 あろうことか、逆襲が本格的に始まる。高久はいつの間にか立ち上がり、芹夏を引きずるようにしてフェンスに手を付かせ、再び挿入。

「い、いいい、いつの間にかアニがノリノリに!? 何ですかこのテンション!?」

「お前のおかげで何だかもう、段々吹っ切れてきた。こうなったら徹底的にやってやる。お前をイかせまくってやる。礼だと思って受け取ってくれ」

「あ! あ! あ! あ! あ! あ! わ、わ、私のターンの時に吹っ切れないでくださ……ああああああああっ! あひいいいいーーーーんっ! アニが! アニが発情したああぁーーーっ! あっあっあっあっあっあっあっあっあーーーーーっ! は、げ、し、す……ああああんっ! あんっ! はあんっ! あはあああんっ!」

 芹夏の華奢な体が大きく震え、がしゃがしゃがしゃがしゃとフェンスが猛烈に揺れていく。それはもう、猛獣が思いっきり体当たりでもするかのように激しく。ぎゃあぎゃあと騒がしく続いてとても目立つも、何故か奇跡的に誰の目にも触れることはないのだった。


「はふうぅん……」

 後に残されたのは、散々イかされまくって目をぐるぐると回してしまい、ボロ雑巾のようにへなへなになってしまった芹夏だった。





-夏帆-





 結局、神奈は学校にはいなかった。

 お仕置きとばかりに芹夏を徹底的にイカせまくった成果は、それなりにあった模様。芹夏は息も絶え絶えにさせられながら『神奈しぇんぱいは浜辺の方に向かいました〜。げふん……』と、極めて素直に白状したのだった。ちなみの芹夏とは更にその後も何度か交わった。芹夏は精液まみれのお尻を丸出しにしながらしばらくテニスコートに突っ伏していたようだった。……高久はもう放っておいたけれども。

「……誰もいない。神奈もいないけど、よかった。……のか?」

 ここいらでちょっと休憩をとることにした。太陽の熱で熱くなった砂の上にどっかりと腰掛ける。

「考えてみれば俺、どうして神奈を探しているんだろう?」

 そういえば、その理由もわからない。何故だか無意識のうちに神奈を探し始めていて、それを誰もが不思議には思わないどころか、探していることを知っていた。そして更に不思議なことに、たて続けに全力で三人もの少女と交わったのに、全然疲れていない。それどころか、性欲が更にみなぎってくるような気すらした。

 と、そんな時、突然背後から声。

「高久〜」

 それはビキニタイプの水着を着たポニーテールの娘……音無夏帆だった。夏帆はテニス部の部長であり、芹夏にとっての鬼軍曹的存在。そして高久のクラスメイトで、互いに親友と認めているような仲。標準的ヒロインと比較して眉毛が太めだけども、それは姉の京佳も同じ。

「夏帆。お前もか? お前もなのか? そうなんだな?」

 だいぶ疑心暗鬼になってきた高久。

「うん。何となく高久が言おうとしていることがわかる。で、結論から言うと多分そうだと思うよ。……って何よ。お前みたいな攻略対象から漏れていそうな、モブキャラの太眉毛には全然期待していない、みたいな目は」

「言っている意味がよくわからないんだが、お前も……なのか?」

「だから、そうだって言ってるでしょ。まあ、お姉ちゃんじゃなくて悪いけどさ」

「こんなことは道徳的にいけない。もうやめた。誰から求められても絶対しない。これからは清く正しい異性交遊を目指すぞ。って言ったら?」

 それが至極当たり前の返答ではなかろうかと、この常識的な男は思うのだった。

「またまたそんな事言っちゃって〜。って言うか、芹夏とはできてあたしとはできないって言うの?」

「俺の酒が飲めないのかって絡んでくる酔っ払いみたいだぞ、お前」

 ああ言われたらこう言い返すとばかりに、夏帆も負けてはいない。

「そうだ。あたしの体が抱けないのか〜! というわけで、ごちゃごちゃ議論するのは苦手だから、さっさと失礼するよ」

 夏帆は高久の下腹部の方に腰を落としてきた。ここら辺の強引さはテニス部部員の伝統なのかもしれない。

「うわ。何だか、どっこいしょ、とでも言いそうだな」

「そんなん言うかー! ったく、こんな時に雰囲気壊すようなこと言わないでよ。さすがにあたしもそんなにおっさんくさくないわよ!」

「雰囲気も何もないだろう。こんなところで人目を気にせずにしようとしているんだから」

「ああ、大丈夫大丈夫。誰も来ないって」

 どうしてわかるのか、と反論しようとしたが高久はやめた。……多分、わかるんだろう。何となくそんな気がするという、無意味な確信へと変わっていた。

「なあ。最初から狙ってて水着着て待っていたのか?」

「さあね〜。ん……。高久の、思ったよりずっと大っきい……」

「そりゃどうも。……しかし、こうも続くとやはり、誰かさんが意図的に仕組んだとしか思えないな」

 誰かさんとは言わずもがな。

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。真相は闇の中。……っていうか、拒まないの? このままだともう入っちゃうよ? 高久のが」

 ずれた水着の中にはなまめかしく濡れた秘所。

「相手が心底嫌がってるなら拒むさ。っていうか、毎回相手の方から迫ってくるから、なし崩し的に同意の上でということになるんだが」

「あはは。みんな超好意的に迫ってくるでしょ。そだね。ま、あたしもさ。高久の事好きだから、して欲しいな。なんてね」

「そんな感覚でいいのか?」

「あたしはね。高久はどうなの?」

「この島で嫌いな人なんていないさ」

「んー。いい人な答え。でも、そういう優等生な答えじゃなくてさ」

 夏帆が言わんとしていることはよくわかる。だから、高久もはっきりと答えを出す。

「勿論お前のことも嫌いじゃないさ。実際、すごくどきどきしてこんな風に追っ立ててしまってるし。でも……」

「こんな形でしちゃってもいいのかな、って? ……今日一日、誰とえっちした?」

 嘘をついても仕方がないので正直に答えることにする。

「美唯と千紗と芹夏」

「あ〜。う〜ん。そだよねぇ。納得。っていうか芹夏に先越されちゃうとはね〜。不覚だわ」

「それで、自己嫌悪に浸りまくっていたのに、休む暇を誰も与えてくれないんだ。みんなひどいぞ」

「あはは。まあいいじゃん。こういう時は勢いだよ勢い。南国気分で行こうよ。ハーレム特権を得たスーパー主人公だと思ってさ」

「……勢いね。それはそうと夏帆」

「何?」

「俺のを入れるのか入れないのか、決めてくれないか? じっとしてると、流石にちょっと萎えてくる」

 本能的に寸止めは蛇の生殺し状態。

「あ、ああ。そうだね。焦らしちゃってごめん。それじゃ改めて、あたしの中に入れちゃうよ〜。……ん、ん……んはっ!」

 芹夏の時と同じように、ずぶずぶと入ってくる感覚がわかる。

「くうっ」

「んくっ……。入った〜。ねね、あたしの中、どう?」

「気持ちいいよ」

「そ。よかった。ん、ん、ん」

 ゆっくりと引き抜いては、頃合いを見計らって降ろしていく。

「なあ夏帆」

「何?」

 ひたすら腰を上下に動かしている夏帆の頭を優しく引き寄せる。

「キスくらいしよう」

「え、いいの?」

「いいのも何も……。まずはそこら辺からだろう? 入れるより前にだな」

「あ、あはは。そうだね。……ごめん。こういうのに慣れていなくて」

「俺だってそうだ」

「嘘でしょ。三人もの女の子を取っ替え引っ替ええっちしまくっておいて、今更何言ってるのかな」

「いや、だからその。三人とも、向こうから強引にしてきたんだけどな」

 心の準備も何もあったものじゃなかった。そうして二人の唇は触れ合う。

「ん、ん、ん……。んんん……。慣れてるよ、やっぱり」

「夏帆。お前、やっぱりテニスで鍛えてるだけあって、スリムだよな」

 両手で夏帆のくびれを掴んで、しみじみと思う。

「それ、芹夏にも同じ事言ってない?」

「いや。何しろあいつは、いきなり勝負しろとか言い出してきたから」

 そんな事を言い出す暇すらなかった。

「あ〜。そかそか。何となく風景が浮かぶわ。まあ、あんまりおいたが過ぎる時は適当にラケットでも突っ込んでやって。そうすりゃおとなしくなるだろうから」

「……すごいお仕置きプレイだなそれ」

「ん、ふっうっ……くううっ! それはそうと高久……これだけ動いてるのに、よく平然としていられるね」

「これでも我慢してるんだが。夏帆の中、気持ち良くて滑りも良くて、絞り上げられそうだよ」

「あ、あたしはもう……気持ち良さがいっぱいで、色々と溢れてきちゃいそうなのに……」

 何だかんだで夏帆の言う通り、みんなとの交わりを繰り返していくうちに慣れてしまったのかもしれない。あるいは……今日一日何故か何度女の子と交わっても疲労を感じないどころか、ますますしたくなってきたり噴射する精液の量が増していっている。

「だ、め。高久……もう、もう……」

「イってもいいぞ」

「う、ん……。じゃあ、そーさせてもらおうかな。……あ、あん! あ、あ、あ、あ、んあああああああっ!」

 お言葉に甘えるかのように、夏帆は達した。体を大きくのけぞらせて口を大きく開き、物憂げな眼差しを宙に向けながら。しかし……その瞬間、高久の突き上げが始まった。

「ひああっ! な、何するのっ!?」

「一回じゃ満足できないだろ?」

「そ、そんな……っ! ひはっ! あひっ! んああっ! はふっ!」

 突然の強い突き上げにより一回、二回、三回と小刻みに絶頂。夏帆はトランポリンの上で跳びはねるように痙攣し、勢い余って高久の上から飛び出し、砂浜の上に転がる。

「んあっ! あ、あ! ま、また……んひっ!」

 無論、それだけで終わるはずがない。高久は既に息も絶え絶えな夏帆の腰を掴んで四つん這いにさせ、バックの体位に変わって突き始める。

「ああっ! あっ! はっ! あぅっ! はぐっ! も、もう……だ……め。あ、あ、あっ……あっあっあっ!」

 体を支えようと両手で砂を掴もうとするけれど、熱いくらいに乾いた砂は、無情にも夏帆の手を逃れてさらさらと落ちていく。

「どうした夏帆。テニス部主将だろう?」

 高久が発破をかけるも、夏帆の震えは止まらない。

「あ……。も、だめ……。気持ち、良すぎて……力、入らない……」

「そっか。じゃ、もっと気持ち良くなってくれ」

「そんなっ。あっあっあっあっあっあっあっあっ!」

 交わりの中で自然とずらされた夏帆の水着……たわわに実った胸元がぷるんぷるんと揺れている。二人は交わりながらも、ばしゃばしゃと音をたてながら海の中に突き進んでいく。海水温を上昇させんばかりの勢いで。

「あんっ! あんんっ! だめ……だめ……。気持ちいいいいいっ! あひいいいいっ!」

 夏帆はまたも思いっきり絶頂を向かえる。ようやくのことで二人の体は離れ、夏帆は脱力して海にぷかぷか浮いていった。





-穂乃里-





「高久さん! やっと見つけました!」

 つい数十分前とは打って変わり、緑溢れる山中の道。そんなところにて高久は顔見知りの少女と出会った。……もはや偶然とは思えないけれども、出会いは出会い。けれど、これから多分起こるであろうことに対して高久は決意表明をしてみる。

「もう、何があっても驚かないぞ」

「え? 何がですか?」

 首をかしげる少女、穂乃里。よくわかっていないであろう、純情そうな瞳。他の少女達と同じく、高久には尋常ならざる好意を抱いている。

(もしかすると……)

 このおかしな日常において、唯一まっとうな思考の持ち主に出会えたのかと高久は期待した。最も、すぐにその期待は裏切られることになるのだが。

「えっと、高久さん。あのですね。実は、お願いしたいことがありまして……。えへへ」

 恥じらいの表情を見せながらもどこかわくわくしている感じ。明らかに、誰かからそそのかされたように、その言葉がどのような意味を持つかも分かってないことが丸分かり。

「せっくす、したいです」

 にこやかな笑顔。誰だ、こんな純情娘にそんなこと言わせたのは! と、高久は頭を抱える。

「一つ聞いておくが、意味わかって言っているのか?」

「はい! ……最初はよくわからなかったけど、丁寧にいろいろ教えてもらいました」

「誰に?」

「えっと、その。皆さんに?」

 親切な人達の顔を思い浮かべ、指を折りながら数えていく穂乃里。あああ、と頭を抱える高久。

「皆さんというと、神奈とか美唯とか千紗とか芹夏とか夏帆とか深景先輩とかか?」

「はい。そうです」

 穂乃里は笑顔で言う。あいつらは……と、高久は溜息をつく。こんな純情な狸娘を捕まえて何ということを吹き込んでいるのだ、と。

「えっと。皆さんとすることができて、わたしとはできない理由はないですよね?」

「絶対に断られるだろうから、最初にそう言っておけと、言われたのか?」

「え、あ……は、はいっ! 全部お見通しなんですね」

 確かにそういう事を言われれば拒否することは難しいだろう。この辺りは千紗か深景あたりの入れ知恵かもしれない。

「いいよ。穂乃里がいいのなら、俺は構わないぞ。こうなったらもう、拒んだりなんてしない」

「え、いいんですか? わたしは高久さんにして欲しいです。本気です!」

「途中で嫌だなんて言うなよ?」

「はい! 絶対に言いません!」

 そうして高久は穂乃里へと近づき、包み込むように抱き締めてはキスをする。こうなればもう、なすがまま。

「ん……。優しいです」

「怖くないのか?」

「全然、怖くないです。高久さん、優しいですから」

 穂乃里は目を細め、暖かな感覚に頬を更に赤らめる。

「えっと。お口で、するんですよね?」

「そんなことまで吹き込まれたのか」

 これはもう、ただするだけでは済みそうにないなと高久は天を仰ぐ。

「あは。……それじゃ、しますね?」

 穂乃里は小さな体を屈み込ませ、高久の股間へと顔を埋める。事前に聞いていたからか迷いは無く、とても積極的。高久の方からチャックを開け、話をしていただけで大きくなっていたものを取り出して見せつける。

「わああ。大きいんですね……」

「だろ。……口をいっぱい開けて、唇で包み込んで歯を当てないで」

「はい。気をつけます! あ、む。はむ、あむ」

 何だか純粋無垢な小さな子にいけないことをしている。そんなふうに高久は思い、いたたまれない気持ちになった。

「あむ、あむ、はむぅ」

「上手だな。本当に初めてか?」

「んぷ。……初めてです。みんなに教わって、多分こんな感じかなって思ってました」

「想像通りだったか?」

「大体は。……でも、思っていたよりはるかに大きくて……びっくりしてます」

「そうか。苦しくないか?」

「ちょっとだけ。でも、大丈夫です。……続き、しますね。あむ、あむ、はむ」

「いいぞ。舌もつかって、前後に動いて」

「ふぁい。あむぅ、はむぅ、んんんぅ」

「上手だ。まったく、みんな耳年増なんだから」

「んんんぅ。ん、ん、ん、ん、ん」

 愛情のたっぷりとこもった愛撫に、自然と快感が込み上げていく。

「ん……。穂乃里、口の中に出すよ」

 高久の言葉に穂乃里は上目使いの眼差しを向けながら頷く。程無くして高久は達し、穂乃里の口内へと射精していった。

「んんんぅ。けほっ。わ、わあ……。こんなにいっぱい、出るものなんですね」

「いや、普段はここまでは出ないよ。……どっかの神様の仕業だよ」

「神奈さんの、ですか?」

「どうやら今日はそういう日のようらしい。それでずっと神奈を探しているんだけど、なかなか会えなくてな」

「んぐ……。神奈さんなら、神社の方に歩いて行くのをみましたが」

「そうか」

 色々と歩き続けることになったけれど、次の目的地が決まったようだ。

「高久さん。その前に……」

 最後までして、と高久を求める穂乃里。

「ああ、わかってるよ。今更迷いはしないさ」

 高久は穂乃里の体を引き寄せ、抱き締める。そうしてそのままいつの間にか剥き出しになっていた秘所……一本の毛も生えていない部分の裂け目へと、未だ勢いを失っていないものをねじ込んでいく。

「ああああっ! す、すごいです!」

「痛くないか?」

「大丈夫、です。……高久さんは本当に、優しいです。でも、気にしないで、思いっきりしちゃってください。……んっ」

「じゃあ、動くぞ」

「は、い。あ、あ、あっ! んああっ! ああっ!」

 穂乃里の片足を持ち上げて片足で立たせ、下から上へと突き上げる。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ! あふ! あぅ! す、ごい……です」

「きついな。穂乃里の中は」

「高久さんの……。すごく、熱くて力強くて……んひっ! ん、んああああああっ! い……イっちゃいます! あ、あ、あ、あ、あ!」

 ゆっくりとした動きのまま、少しずつ込み上げていくものはやがて飽和していく。二人は笑顔のまま見つめ合い、そして一つの交わりが終わっていった。





-深景-





 神社へと続く長い階段にて、上納神社の巫女……今は制服姿の葉月深景と出会った。もうこうなれば、出会った瞬間何かしらのフラグが成立しているのは間違いない。元より、そっちの方面に興味があるであろうことがわかるような言動を普段からさりげなくしている少女なのだから尚更。

「高久くん。お待ちしてました」

「全部お見通しみたいですね」

「はい〜。遂にここまで来ちゃいましたか。って、そう思います」

「何だか、ラストボス一歩手前みたいな感じですね」

「とても的確な例えだと思います。ここを通りたくば、この私を倒してから行ってくださいね。って感じですね」

「舞台もいいですよね。階段ですから」

「回り道も簡単にはできませんね〜」

「まさに魔王っていうか、大邪神カンナーを守る最後の大物中ボスって感じですよね」

「あら。そんなことを言ってもいいのですか? 本物の神様に、こらタカ! 今のは聞き捨てならんな! 誰が大邪神カンナーだーーーー! って、突っ込まれちゃいますよ?」

「うん。似てましたよ今の台詞」

「結構似た者同士なのかもしれませんね。私と神奈さんは」

 当の本人が耳にすれば何と言うだろうか。

「で、するんですか?」

「当然です! 神奈さんの前座ではありますが、巫女としての務めを果たします! それに、皆さんが高久くんとしっぽりたっぷり気持ち良くて愛情いっぱいな思いをされてるのですから、私も是非。……けど、でも」

「何ですか?」

「私から待ち構えておいてなんですけど、この場所はないですよね……」

「ああ、まあ、確かに。誰か来たら隠れようがないですし」

 それはそれでと思ってしまう自分が嫌だと高久は思った。何せ、今までしてきた場所が場所だけに。色々と感覚がおかしくなっているのかもしれない。

「というわけですので、ちょっと場所を変えてみませんか?」

「いいですよ。もう、どこへなりとも」

 でも、もういいや、とも思う高久だった。

「ありがとうございます。ではでは、こちらへどうぞ」

 そうして深景に手を引かれるがままに辿り着いたのは……。

「ここですか」

 森林浴にぴったりの場所。灼熱の太陽も木々に遮られ、明らかに気温が和らいでいる。それに加えて、さあああ、と止まる事なく流れの音。心身共に冷却されていくような渓流。そしてその場所の、特等席とばかりに用意された岩の上に腰掛けて、高久と深景はくつろいでいた。

「はい! 夏帆ちゃんとは海岸でしっぽりたっぷりされたんでしょう? でしたら私はそれに対抗しまして冷たく爽やかな沢の中とかどうかな〜って思ったんです!」

「どうしてそんなに詳しいんですか」

 何だかもう、今日一日の行為は大体みんなに筒抜けの模様。監視でもされているのか、妙な情報ネットワークでもあるんじゃなかろうかと考える。神様であるはずの神奈はインターネット中毒者でもあるわけで、言わばそれは神様ネットとでもいったところなのだろう。

「まあでも、いいんじゃないですか?」

「ですよねですよね! では高久くん。不肖ながらこの葉月深景、誠心誠意お相手仕りますよ〜!」

 そうして威勢よく制服を脱ぎにかかるのだが。

「……あの。先輩」

「何ですか?」

「全部、脱がないんですか?」

 深景の今の格好。靴とソックスに加えてスカートとショーツを脱いで上着だけ残している。いわゆる半脱ぎにという格好。勢いよく脱いだけれど、それでおしまいのようで疑問に思った。

「高久くん」

 聞き捨てならないとばかりにちょっと眉を吊り上げて、真剣そうな深景。

「は、はい?」

「何と嘆かわしいことをおっしゃるのですか! 半脱ぎのいけなさをお分かりでないだなんて!」

「そ、そうなんですか?」

 これこそがフェティシズムというものかと高久は思ったが、そういったものに対する知識は少ないというべきか、とても疎いのだった。こうして深景のお説教もとい、講義が始まる。

「そうですよ! いいですか高久くん。本来、服を着て覆い隠さなければいけない女の子の一番恥ずかしい所をあえて一部分だけさらけ出しちゃっているんです。それでいて、半分は服を着ている。それなのに肝心の、下の方は隠せていない。このいけなさが、とても羞恥心を刺激するくらい背徳的なんですよ?」

「そ、そうですね。でも……先輩」

「何でしょう?」

「先輩の……その……。せっかくの立派な胸が隠されちゃって……。勿体ないな、って」

 深景は、むむ、とうめくように眉を寄せる。

「それはまた、なかなかいいところを突きますね。……上の方だけ脱いだ方がよかったのでしょうか。……でも、そうしましたら、そうですね。私の服の中に手を入れて、むんずと掴んじゃってください。はい、どうぞ」

 何だかそういうことになったらしい。

「わっ」

「ノーブラの生おっぱいですよ〜」

 深景は高久の両手を掴んで引き寄せ、自分の胸へと触れさせた。

「大きいです。本当に」

「ありがとうございます。……でも、ですね。実は、大きさはともかく形は、美唯ちゃんのおっぱいの方がいいと思ってます」

「え?」

 意外な事実が明らかになった。

「私のおっぱいは美唯ちゃんのおっぱいみたく、張りがあって真ん丸じゃないんです。……腕でこんな風に押さえてないとちょっと、その。た、垂れ気味だって、そう思ってません? 高久くん」

 さすがに恥ずかしそうに深景は言った。

「そ、そんなことはないと思うけど」

「本当ですか?」

「本当です!」

「じゃあ後で、美唯ちゃんのおっぱいと見比べてください」

「はい! って、後でって何です!?」

「後では後でですよ。二人して抱き枕みたいに寝そべってみますから、私と美唯ちゃんの体を穴があきそうなくらいじ〜っくりと見比べてみてくださいね」

「抱き枕って……」

 そんな光景を想像してしまう。

「ああっ! 巫女さんの抱き枕カバーなんていいかもしれませ……」

「却下」

 深景のノリの良さに、瞬時に反応できるようになってきた高久。

「諦めるのが早いですよ高久くん」

「いいです。試合終了にならなくても、諦めてしまうときもあります」

 奇妙な変化球を投げ合って、相手の取り損ないを狙っているかのような会話が続く。

「ふふ。高久くん。私のおっぱい、吸ってみてください。思い切りかぶりついて……」

 深景はやがて上着をまくり上げる。そこには膨らみを本来覆っているであろうブラジャーはなく、特大サイズのバストが露になる。

「んっ。こんな風に掴んで、絞り上げるようにしてお口に入れちゃってください。ああ、強くねじり上げたって大丈夫ですから。ほら」

 笑顔で自分の胸を掴んで差し出す。それはあたかも、恋人にアイスクリームでも差し出すみたいだ。

「は、はい。……んもっ!」

「ん……。思う存分ぺろぺろしちゃってくださいね。あっ。……高久くん、赤ちゃんみたいですよ。ちゅーちゅー吸っちゃって。ああ……。高久くんにおっぱい吸われて嬉しくて、気持ちいいです。右も、左もしてくださいね。ん、ん。お上手です」

「それは、だって……」

「ミルクが出せれば良かったんですけど、さすがにそれは無理のようです。本当に残念です」

 心底残念そうに眉を寄せる。

「いっぱい出そうなのに」

「あ。私のおっぱいはミルクタンクみたいだって言うんですね? ひどいです〜。そんな高久くんは、こうです!」

 とってもにこやかに何かを企んでいる深景。突然、高久の顔を巨大な胸で挟み込んだ。

「んおおっ!?」

「ふふ。おっぱいも使いようですね〜」

 ふにゅふにゅとあまりにも柔らかくてすべすべした感触に、高久は呼吸すら忘れてしまう。

「悪い子はこうですよ。それ! それ〜。おっぱいビンタです」

 ぷるんぷるんとたゆむ胸が高久の頬を叩く。戯れているような感覚。

「も、もう! 先輩……っ」

「きゃっ。高久くん、怒っちゃいました?」

 じゃれあうような雰囲気で、深刻さはまるで感じない。

「ええ、怒っちゃいました。なのでお仕置きのえっちといきますよ」

「はい! きっついお仕置きをしちゃってください!」

 岩の上から足を延ばし、水の中へと入る。

「そう言えば、高久くんはどんな体位がお好きなんですか?」

「深景先輩が恥ずかしいと思う体位ですね」

「……高久くん、段々と私のあしらい方を覚えてきましたね?」

「そうかもしれません。で、どんな体位が恥ずかしいですか?」

「それは……言えません」

「じゃあ、試してみればいいだけですね」

「あ……。あ……。はうっ!」

 立ちバックの体位で深景の中へと挿入。当然のように背後から深景の胸をむんずと掴んで揉みしだく。

「本当に、えっちな巫女さんですよね」

「あ、あ……。えっち……ですよね私。んあっ」

「はい。それはもう。こんなに乳首起てちゃって」

「だって、気持ちいいから」

「突かれて気持ちいいんですか? それとも、おっぱい揉まれるのがいいんですか?」

「んぅっ。勿論どっちも、です」

「じゃあ、もっと激しくいきますね」

「はいっ! あっあっあっあっあっ! はあぁぁぁっ! 高久くん、もっと……。もっと強く。激し……くうっ! 意識、飛んじゃいそう……!」

「すごい。乳首つまんで引っ張ると、締まる……」

 高久の手による愛撫は続く。深景はそれを咎めない。むしろ積極的に望んでくる。いつまでも交わっていたいと二人揃って思う。

「あああああっ! んああああっ! す、ごいです……。こんなの、はじめ……て……。ああっ! もう、だめ……。高久くん……高久くん……いっちゃ……んあああああああっ!」

 ばしゃばしゃと水音をたてながら、高久は深景の中に射精していった。





-神奈-





 激闘の末、中ボス扱いの深景に勝利(?)をおさめ、先へと進む。神社の前には神奈がいた。普段通り、へそ出しのカジュアルな格好で。

「やあタカ。おはよう」

 何事もなかったかのように振る舞っても、高久には通じない。今回の異変を起こした張本人に尋問を行うのは至極当然の事。

「来たぞ。どういうつもりだ? 全部お前の仕業なんだろう?」

「あーうん。まあねー。みんな、タカのこと好きなんだな〜って思ったから」

 覚悟はしていたけれど、ちょっとバツが悪そうで、視線を逸らす神奈。

「それで?」

「みんなの心の中に、何ていうのかな。潜在的に眠っていた、タカへの思いっていうのかな。そういうのを引き出してみたんだけど。これが思いのほか、すごく効いちゃったみたいで」

 こいつはそんなことまでできるのか、と高久は感嘆の声を上げる。

「すごいなお前。やっぱり神様だ」

「よしてよタカ。……あのね。弁解するとね。あたしはタカとその……一緒に、えっと……彼女と彼氏の関係になることができたけど。見えちゃうんだ。そうじゃない未来が。……みんながタカと、そういう関係になる世界。ほんのちょっとの、些細な事で分岐していく可能性の世界」

「並列世界みたいなものか」

「うん。そう、それ。そんな感じの展開。……えろげーで言うところの、他のシナリオみたいなのかな。あたしにはそれが見通せるんだ。やろうと思えば、だけど」

「よくわからん例えだが、こうなったであろう世界、か」

「そ。だから、場合によってはそんな世界もあるんだよって、みんなに言ったらね、是非是非見てみたい〜って言われて。で、じゃあとばかりに実際再現した所を見てもらって。それで、ね。……許可を得た上で、タカには悪いけど……」

 それだけでこのようなことになるようにしたのだった。

「よくやるよ。本当に」

「怒った?」

「いや、別に。実にお前らしいなって思った」

「だって。……だってね。あたしはタカと……こんなふうになれてるけど、でも……だって……みんなの気持ち……わかるもん。わかっちゃうんだよ……あたし」

 いつしか神奈は泣いていた。悪い事をして咎められて、それでもやむにやまれぬ理由があったんだと弁明するかのように。

「ああ、別に怒ってないって。泣くなよ。お前、優しいな。どこまでお人よしなんだか」

「だって」

「普通は逆だと思うんだがな。お前以外のみんなとしてしまったのだから。俺の方が怒られるものかと」

「そんなこと……。怒ったりなんて、しない」

「お前は神様扱いは嫌だって言うけどさ。俺にとって神奈は、最高に愛しい女神様だよ。本当にもう」

「タカ……」

 感極まった神奈はタカに寄り添い、そしてキスをする。

「それで、その。する?」

 さりげなく高久が耳元でささやくと、神奈は……。

「する! いっぱいする! 目一杯する」

 こうなりゃもう、女々しく泣いてなんていられるかと涙をぐしぐしとぬぐい取り、はっきりと頷いた。そして決意に燃える眼差しで言い切った。

「絶対みんなの時よりタカを気持ち良くさせてみせるから! ああ、何だか燃えてきた! 俄然やる気が出てきた! 負けるもんかーーーっ!」

「そんな事で対抗せんでも」

「そんな事、じゃない! 美唯にも千紗にも夏帆にも穂乃里にも深景にも絶対負けるもんか〜! ……あ、でも芹夏には余裕で勝てそうかな? うん。きっとそうだ」

 そんな事を聞いたら、神奈先輩ひどいです〜とか、ピンク色の元気印がすっ飛んで来て抗議しそうだと高久は思った。そして……。

「じゃ、改めて場所変えってことで。行くよ〜」

「ここじゃだめなのか?」

「こんな辛気臭いとこでやってられっか〜!」

 自分の神社のはずなのに酷い扱いだと高久は思った。深景の時と同じように、誰かに見られるのは悔しいし恥ずかしいので場所を変えることになった。神奈は高久の腕をとったまま空へ飛び上がった。神社を飛び越え森を越え渓流を見下ろし、海を目がけ灯台の元へと辿りつく。高久が悲鳴を上げようが構わず楽しそう。絶叫マシンにでも乗せてあげているように思っているのだろう。

「誰もいないでしょ?」

「まあ、いないと思うけど」

「じゃ、おKってことで。んふふ〜。服なんて邪魔。脱いじゃえ脱いじゃえ」

 ぽんぽんぽーんと服を脱いでは放り投げて行く神奈。恥じらいというものが存在していないかのように思い切りが良かった。

「本当にいい脱ぎっぷりだよな」

「いいじゃん減るもんじゃないし。それに今は二人きりなんだから、じっくりとなめ回すように体中見てほしいよ。さてさて……あたしがすっぽんぽんになったんだから、タカも脱げ〜!」

「飯じゃあるまいにがっつくな! 脱がすな! 自分で脱げる……あああっ!」

 傍から見ていればバカップルがいちゃついているようだ。

「タカ。見て、ここ」

 神奈は座り込む高久の前に立ち、両手の指で秘所の割れ目を左右に大きく開いて見せつける。つつ、と細い糸を引いているのが見える。

「濡れてる」

「うん。タカとえっちしたいって思っていたから、結構濡れちゃった」

 高久は手を伸ばして触れようとする。

「タカ。前戯はめんどくさいから省略。入れちゃお」

「ああ。って、いいのかよ。何か貞操が軽すぎるぞ」

「いーのいーの。大丈夫だよ。今のタカはどんなに女の子とエッチしても枯れないようになってるから。むしろ今は常時ニンニク増し増し状態ってところかな。なかなかいいパッシブスキルでしょ〜」

「どういう設定なんだよそれは」

 神奈は高久の突っこみなんてもはや聞いていない。

「はいはい。じゃ、いくよー」

「いつの間に乗ってるんだ」

「ん。こっそりと乗っちゃった。はい、装着完了〜。んんんっ」

 どこがこっそりだ、と高久は思った。

「ちょっとまった! パソコンのコネクタでも繋げるんじゃないんだから!」

「んぅっ! 待たないっ! 待つもんか! 神に逆らうのか〜〜〜! てんば〜〜〜つ! んふっ!」

 怒りの雷でも落としそうな神奈。

「すげえ。都合がいい時だけ神様してやがる」

「うむ! くるしゅうないぞタカ。我は汝との比度の契り、多分恐らく終生忘れることなどないであろうぞ!」

「全然決まってねえ。多分恐らくはないだろう。それでも神様らしくなったつもりか。やっぱり普段からちゃんと神様してないから違和感ありありだ。少しは銀王を見習え。あの貫禄と威厳を」

「むっかーーーーーーーっ! えっちの最中にあいつの顔なんか思い浮かべてんなーーーーーーーっ! って、深景の顔だけどさ、そりゃ……。あっ! わかった! そういうことかこのおっぱい星人め! 顔じゃなくておっぱい思い浮かべてんだろ! そんなに大っきいのがいいのか! あんな超弩級の爆乳がいいのかーーーーっ!」

「いいのかーって、お前な」

「あたしだってあたしだって、なかなか悪くないおっぱいのはず! なのに身近なところに深景や美唯みたいな非常識な超ディープインパクト級が二人もいるから影が薄くなっちゃってるよ〜〜〜! うきーーーーっ!」

「何だよディープインパクト級って」

 何だかんだいいながら、高久の上でゆさゆさと揺れまくってる神奈だった。

「うん。本当に神様の威厳、ないな」

「何だと〜! 余に威厳がないと申すのか!」

「ない。全く。そもそもお前の一人称に『余』はないだろう? 絶対あり得ない」

「あぅぅ。自分でもそう思う……」

「逆に、銀王の一人称は『余』がしっくりくるよな」

「だーーーっ! だから、あたしとまぐわってるときにあいつのこと思うなーーー!」

 互いにどうでもいいような事をしゃべりながら、二人は交わり続けて行く。とても自然で、時に軽口を叩き合い、冗談を言い合い、笑いながら。

「タカ……。もう、上手なんだから……」

「お前の動きがいいせいだろ」

「ん……。そう、かな。あ……。うん。確かに気持ちいいかも」

 ゆさゆさと揺れる度にふっくらとした胸も上下する。

「ん、ん。タカ。このまま最後まで、いっちゃってもいい……かな」

「ああ。思う存分いけよ」

「んっ。ありがと。やっぱりタカは優しいね」

 ずちゅ、ずちゅ、と湿りを帯びた音が聞こえる。

「あ、あ……。じゃ、いっちゃうよ。ん……あ、あっ! んっあっあっあっあっあっあ!」

 こうして神奈と高久は静かに、ゆっくりと絶頂を迎えていった。





そしてやがて、全員参加のお祭りのような状態へ――。





 夏帆と交わったのがつい先程のように思える場所……海岸。水着姿の少女達の一団が輪を作り、ぐるりと取り囲む中、一組の男女が交わり続けている。

「あっあっあっあっあっ! お、お兄ちゃん……お兄ちゃんっ! あああんっ!」

 水着など邪魔とばかりに脱ぎ捨て、全裸の美唯が高久と立ちバックの体位で交わっている。快感を隠すことなく喘ぎ続け、ボリュームたっぷりな胸も、高久が美唯の背後から延ばした手によって握りつぶされ、こね回されている。

「よく考えるとものすごい光景よね、これ」

 体育座りをしながら二人の交わりを見守る千紗。

「写真週刊誌のネタになりそうです」

 さらりとブラックな事を言う深景に、美唯は慌てる。確かに公然の秘密というものだけども。

「そん、なっ! だめ……だよ、みんな。んっ。内緒に……して」

「ふっふ〜。隠して欲しくば高久を思う存分イかせるのだ〜」

「そうですよね、そうですよね! 高久くんを思う存分イかせちゃいましょ〜!」

「今こそ妹パワーを見せるのです美唯!」

 夏帆と深景と芹夏が煽り立てる。弱みとは思えないような脅しに美唯は発奮するけれど、物事はそう簡単にはいかないようだ。

「う、ん。がんば……る。あっ! んっ!」

 ――人気アイドルが実のお兄ちゃんと乱れまくり。なかなかにスキャンダラスな光景が、この場においては当たり前になっていた。

 全て事前に打ち合わせていたのか、いつしかみんなが集まってきて、高久とすることになった。その当初のこと。

『最初はあたし〜』

 などと、神奈は脳天気に言ったものだが、当然の如く周りから反対意見が多数上がった。要約すると、あんたはついさっきしたばかりでしょうが! というもの。神奈はだいぶぶーたれてしまったが、そのようなわけで、結局のところ公平にジャンケンで決めることになり、結果として美唯が一番手となった。

「お、にいちゃ……あっ。すご、い。すご……。あ、あ、あっ。だめ……もう、いっちゃ……あああああああっ! ああっ! あーーーーっ!」

 びく、びく、と震えながら美唯はあっさりと絶頂を迎えさせられた。肌に触れられるだけで感じてしまうような敏感さだった。

「はい、美唯陥落〜。次の人〜」

「あ、う……」

「あらら。美唯ちゃん負けちゃいました〜」

「高久は手ごわい」

 美唯は幸せに包まれ眠り込むように、暖かくも柔らかな砂浜の上に倒れ込む。けれど、高久には休息の暇など与えられはしない。

「それじゃ、私の出番ね」

 千紗が水着を脱ぎ去りながらスクッと立ち上がり、高久を砂浜に横たわらせてその上に跨がり始めた。その様がとても手慣れているので、高久は聞いてみたものだ。

「千紗。恥ずかしくないのか? いつもならお前……」

「は、恥ずかしいに決まってるじゃない。……でも、もう、吹っ切れたわよ。こんな風に、していいって言われたら。みんなの前でもね……するしかないじゃない」

「そうなのか」

「本当は、裸を見られるのだけでも死にそうなくらい恥ずかしいんだから。……んっ! あっ!」

「神奈大明神主催の乱交パーティーだから、気兼ねなくできるってことね」

「ちょっとまった〜! 誰が主催してるって!? そもそも、みんながみんな、したいって言ったんだろが〜!」

「じゃ、神奈はしなくていいの?」

「いいわけないだろ〜〜〜! あたしとタカの仲を引き裂こうとしたって、そうはいくか〜〜〜!」

「あ〜はいはい。いいから次々〜。早く高久とえっちしたいよ〜」

 夏帆がけらけら笑いながら神奈の文句をスルーしにかかる。

「人の話を聞け〜〜〜い!」

「本当に威厳のない御神託よね」

 神奈とみんなの痴話喧嘩のようなやりとりが続く中、千紗は腰を上下に動かし続けた。

「あっあっあっあっあっあっあっあっ。高久……。すごい……。いい」

 根元まで埋め込まれた高久のものの感触を存分に楽しむ千紗。

「千紗さん、すごく気持ち良さそうです」

 先程からずっと黙り込んでいた穂乃里がおずおずと顔を出し、興味津々とばかりに高久と千紗の交わりを見つめる。ごくりと唾を飲みながら。

「う、うん。気持ちいいよ……。あっ。うっ」

「この分だと千紗もあっと言う間に陥落しそうだね」

「全く、どれだけドーピングさせてるんだよ。全然気づかなかったぞ」

「いや〜。もともとタカはこっちの才能ありまくりだったんだよ」

 高久の突っ込みに神奈は予想外との返答。

「そうなのか」

「あ、あ、あ、あ、あ、あ! だ、め……。意識、飛んじゃ……う。ああ、あ、あ、あっ!」

 大方の予想どおり千紗があんまりにもあっさりと陥落し、絶頂を迎えながら砂の上に倒れ込む。

「で、次は?」

 諦めたのか理解したのか、高久は次の挑戦者を求める。

「はいはいはいはいはいはいはいっ! アニの次のお相手は是非是非このあたしにお任せくださいませっ!」

 元気印満点娘芹夏が名乗りを上げる。じゃんけんで公平に決めるはずが、いつしか早い物勝ちルールに変わっていったようだ。

「ちょっと待った。次はあたしだって言っただろが」

「たとえ部長命令でもそれは聞けません! 夏帆ちん先輩より上手くやってみせます!」

「ああん!? 聞き捨てならないわね! 誰が誰より上手くできるって!?」

 ぎゃあぎゃあとやかましく言い争い始めるテニス部二人。それを尻目に深景が仰向けの高久の上にまたがり、挿入しつつ腰をグラインドさせていた。

「高久く〜ん」

「……先輩、どさくさに紛れて思いっきり漁夫の利を得ましたね」

「っとに、要領いいんだから。ちゃっかりしてる」

 苦笑しながら呆れる高久と神奈。

「はい〜。こういうものは早い者勝ちですから」

「え!? あ!? あーーーーっ! 夏帆ちん先輩のせいで先を越されちゃったじゃないですか〜!」

「んあああっ!? だ〜れのせいだってえ!? 誰の!」

 とっても間抜けな芹夏と夏帆。お先に失礼しますとばかりに深景は腰をくねらせる。

「あ、あん、あん、あん。んふ……。高久くんは本当にすごいです。この声、全然演技じゃないですよ? 気持ち良くて上手で大きくて、自然とこんな声が出てきちゃいます」

「そうなんですか」

「あ、んっ! むんずって、おっぱい掴まれちゃってます〜」

「触らないと失礼かなって思って」

「はい。まさにその通りです〜。高久くん、よくわかってます〜」

「ああ! タカのおっぱい星人〜!」

「そりゃ、ねえ。このおっぱいならむんずと掴みたくなるよね」

「はふぅ。自信無くなってきちゃいます……」

「おっぱいって、ここまで大きくなるものなのですね」

「あ、あ、あ、あ、あ! 気持ち良くて、お潮……吹いちゃいそうです」

 ずちゅ、ずちゅと湿った音とともにぴちゃぴちゃと溢れていく滴。乾いた砂をとめどなく溢れる滴が濡らしていった。

「はふぅ……。高久くん、お上手……でした。あっという間にいかされちゃいました……」

 ひくひくと震えながら深景は陥落した。静かに、密やかに。

 ――次。

「じゃ、そういうわけでー。そりゃ!」

 一瞬の隙をついて夏帆が芹夏を出し抜いていた。深景の後を引き継いだかのように、騎上位という格好。

「ああああっ! ちょっとちょっと夏帆ちん先輩何してるですかー!」

「何って、見ての通りセックスだけど?」

「しれっと言わないでください! 先にさせてほしいって言ったのにガン無視だなんてひどいじゃないですか!」

「おおおお! こら芹夏! あたしの中から高久のものを引っこ抜こうとするなー!」

「根っこごと引っこ抜いてやります! おおおりゃあああああ!」

「お前ら。何気なく怖いこと言ってるぞ」

 パワー的には夏帆も芹夏も似たり寄ったりだが、態勢的に夏帆の方が不利のようで、すぽーーーんっといった具合に引っこ抜けた。もっともその拍子に、夏帆も芹夏も吹っ飛んでいき、互いにおでこをゴン、とぶつけていた。

「はふぅ!」

「んがっ!」

 目を回しながら砂浜に倒れる二人。しかし、すぐにまた我に帰ることだろう。

「なーにやってんだか」

 呆れる神奈。欲張るとこうなるという典型的な見本。

「って。あんたはしないの?」

「え……? いいんですか?」

 みんなと高久の交わりを片隅で見ているだけの控えめな穂乃里。テニス部二人による、醜くも見苦しいお笑いのような奪い合いにも、割って入ろうとはしなかった。

「遠慮なんかしてないの。早い者勝ちっしょ、こういうのは」

「は、はい」

 穂乃里に笑顔で促す神奈。その様はとても優しいお姉さんのよう。

「というわけでー。よいしょっと。タカ、穂乃里の中に入れるよー」

「あああっ!」

 神奈は穂乃里の小さな体をひょいと持ち上げて、相変わらず仰向け状態な高久の上に置いた。

「物じゃないんだから」

「はふぅっ!」

 高久のものがずぶずぶとめり込まれていく。

「ほら穂乃里、入れただけで満足しちゃだめよ。ちゃんと体を動かさなきゃ」

「は、いぃぃ。は、ふ。あ、ふ……あ、あ、あ」

「おお。幼い外見とは裏腹に腰のくねらせ方はとても熟練してるわね」

「穂乃里、上手だよ」

「あ、は……はい。はふぅぅ」

 細く、華奢な体をぴくぴくと震わせながら穂乃里は体を上下させ続ける。高久のものが抜ける寸前まで引き抜いては、根元まで差し込んでいく。

「は、ふぅ。あ、ふぅ」

「すーごい気持ち良さそう。夢見心地って感じ?」

「穂乃里」

「あっ!」

 穂乃里の小さな胸を揉みまわす高久。僅かな膨らみがくにゃりと潰れて形を歪ませる。

「んー。前から思っていたんだけどさ、高久ってロリコン?」

「違う」

「じゃ、ペドフィリア?」

「違うと言っている。黙って聞いていれば好き放題言ってくれるな」

「あ、ああ、あ! 私……。子供じゃ、ないです……」

「いやー。わかっているんだけど、小さな子を高久が犯してるようにしか見えないんだけどさ」

「人聞きが悪いぞ」

「そう、で……す。あ、あ、あっ! はふぅ……」

 穂乃里はあっさりと絶頂を向かえる。そうして高久の体に倒れ込んでしまった。

「あ。穂乃里ってば、いっちゃったみたいね」

「はあ、はあ。……えへへへ。高久さんに犯されて、いっちゃいました……」

「犯されてるのに、うれしそうね」

「はい〜。嬉しいです〜。はふ〜。あふ〜。えへへへへ〜」

 穂乃里はとっても嬉しそうにとろけていった。

「じゃ、そんなわけだからタカ。しよっか!」

「しよっか、って。夏帆と芹夏はいいのか?」

 未だ目を回している夏帆と芹夏を完全無視している神奈。やっとあたしの番が回ってきた〜と、長蛇の列に並び疲れた子供のような様子。

「ま、そのうち目ぇ覚ますっしょ。それじゃタカ……んーと。駅弁スタイルでダイナミックにいってみよっか」

「いいのかよ、そんな扱いで。というか、そんな格好でするのかよ。手が疲れ……」

「だーれが重いって!? そんな事言うタカには、こうだ〜っ!」

 神奈と高久はぎゃーぎゃー言い争いながらも既に格好はついていて、そのままなし崩し的に挿入。

「あふぅっ! 入ったよ〜! 入った入った入った〜!」

「ああ、入ったな」

 はしゃぎまくってる神奈と妙に落ち着いている高久。

「んじゃ、動くよ〜」

「既に動いてるぞ」

 高久はまさに実況担当。

「あっはっは〜。あぅ! はぅ! はふ〜! あ〜気持ちいい〜! ほんっと〜に、タカ最高っ!」

「う〜ん。……あれ、あたしどうしてたんだっけ。って、ああっ! 神奈先輩ずるいです!」

「あたたた。うぅ、こら芹夏! 部長を差し置いて先にするなんて! って、神奈!?」

「あ、ふっ! んっ! テニス部のお二人さん、おっ先〜! あっ。んっ」

 ちゃっかりと先を越してしまった神奈は満面の笑み。ひたすら体を揺さぶって、高久のものの感触に浸っている。

「あ、あ、あっ! も、もう……いきそ。ああっ!」

 あっさりと神奈が絶頂を向かえる。誰もが皆、島全体が色めき立ったような、そんな気がしてきた。高久は神奈のお腹目がけて射精。神奈は満足げに笑いながら砂浜に横たわる。

「おっしゃああ! 神奈先輩終わりましたね! 今度はこのあたしがさせてもらうですよ!」

「おわっ!」

 突然芹夏が高久の上にのしかかってきた。先を越された夏帆はもう、仕方ないとばかりにお手上げ状態。

「んっひょおおっ! 入りました入りました奥までずっぽりと! んああああっ!」

 騎上位の体位で頑張る芹夏。

「おい芹夏。少し落ち着け」

「あっあっあっ! あ、アニは落ち着き過ぎなんです! んああっ! えっちしてるんですよ! 女の子とえっちしているんですよ今! んひっ! それがどーしてそんなに冷静でいられるんですか! んううっ!」

「どうしてと言われても、なあ」

「ななな、何がなあ、ですかっ! んああああああっ! あうあうあうっ!」

 がくがくがくっと揺さぶられている芹夏。対して高久は冷静そのもの。

「あんまり喚かれると、萎える」

「しょしょしょ、しょんなあ〜!」

 それはまずいと焦る芹夏。

「冗談だ。……一気にいくから、おとなしくしてろよ」

「んへっ!? 一気? お、おおおおおおお〜〜〜!? ああああアニ! おおおおおお手柔らかに……ふにゃああああっ!」

 高久による突き上げが始まった。芹夏は小さな胸を揺らし、体を弓のようにしならせながら喘ぎまくった。

「あへっ! はへっ! はひゅっ! にゃふっ! ああああふっ! ら、ら、らめえええええっ! ふひゃあああああんっ!」

 跳びはねるように乱れる芹夏はあっというまに絶頂を向かえさせられ、そのままトランポリンから外れていくかのように、砂浜へとダイブしていった。

「あ、あ、あへ、あへええぇ……はふぅ」

 何だかんだで気持ち良くて、芹夏は体をぴくぴくさせながら夢見心地。俗に言う、アヘ顔というようなだらしのない表情。

「っとに、最後の最後までやかましいやつめ。全く」

「まあ、確かにそうだが。夏帆……するのか?」

「勿論! というか、これでやっと一巡じゃない。あたしだけしてないなんて女がすたるわ! 姉さんがいたら絶対に言ってる! みんなに遅れをとってどうするの! 負けるんじゃないわよ、と!」

「思うんだが、どうして音無家というのはこう、負けず嫌いなんだ?」

 夏帆の決意に対し、呆れたように高久は言う。

「負けず嫌い上等! それこそが音無家の伝統なのだ! それじゃ高久、いっくよ〜!」

「うおっ」

 夏帆は高久の上にのしかかる。それはまるで、芹夏と張りあうように全く同じ体位。

「ふっふっふ。そこで無様にふにゃふにゃになってる芹夏と違って、このあたしはそー簡単には屈しないからねー」

「そうなのか」

 ふーん、とばかりに適当に聞いていた高久が突き上げる。適当な動きだったけれども、実は効果覿面。

「んはっ! あ、あっ! な、何? 嘘っ! こんなすごい、なんて……」

 高久にとってはちょっとした突き上げが、夏帆にとっては全くもってちょっとどころではない。高久のものは大きく、えぐるかのように夏帆の内部へと侵入する。

「あっ! あっ! あっ! ちょ! た、高……久! ちょっ……まっ……あああああっ!」

「な〜にを偉そ〜に。夏帆ちん先輩だって口ほどにもないじゃないですか〜」

 いつの間にかちゃっかりと復活している芹夏がここぞとばかりに夏帆を挑発する。

「なにを〜! う、うああああああっ! た、高久! 本当にちょっと待って……。も、もう! それ以上されると! あ、あ、あ、あ! んあああああああっ!」

 夏帆は僅かな時間で一気に絶頂を迎えさせられてしまった。

「あ……あふぅ」

 脱力し、砂浜へと倒れ込む夏帆。

「アニ! 早速リベンジを申し込むのですよ! 今度こそはアニをいかせていかせまくってみせますっ! 何度倒れても立ち上がる! それこそが我らテニス部の心意気なのです!」

 やる気満々の芹夏。しかし……。

「待ちなさい。芹夏。今度はあたしの番よ」

 やる気満々な神奈が、芹夏を牽制する。

「ぎょへっ!? か、神奈先輩!? いつの間にか復活なのですか!?」

「高久くん〜。私もリベンジしたいですよ〜」

 神奈と時を同じくして深景も復活。まだまだしたりないといったところ。

「お兄ちゃん。もっとして……」

「深景先輩と美唯まで!? お昼寝していたと思ったのに!」

「こんな炎天下で昼寝なんかしてたら熱中症で干からびるわよ」

「いつまでも眠ったままじゃいません」

 見くびってもらっては困りますと言わんばかりの美唯。

「高久。私ももう一回、して欲しい」

 千紗も復活。とっても物欲しげな眼差し。

「高久さん〜。わたしも……」

 穂乃里もまた、高久を求める……。

「はっ! いつの間にかみんな復活してるし。……高久ぁ〜。ポニテまゆ毛だからって差別しないで相手してよ〜」

 夏帆もすぐに気を取り直す。

「そんな事言われてもな。七人対一人じゃ……」

「出血大サービスということでアニが触手でも出せばいいんじゃないですか! そうすればみんな平等かつ、いっぺんにできますよ!」

「俺はどこのモンスターだ」

 芹夏の発案はとてもマニアック。

「はうっ! ししし、触手!?」

 が、しかしその一言に深景がビクッと反応。大汗をかきながら震えている模様。

「あちゃ……。深景にとっちゃトラウマだったの忘れてたわ」

「はあ。そうなんですか?」

 事情を知らない芹夏の頭の上に?マークがいくつも浮かんでいる模様。

「まあでも、確かに芹夏の言うことは一理ある。そこでー。触手はまあ、無理としても。あたしに一つ画期的な案があるんだけど、どうかなみんな? 聞きたい?」

「え。なになに?」

「神奈ちゃん、どんなこと?」

「何だか楽しそうね。いいんじゃないかな」

「神奈先輩! どんなアイデアなんですか〜?」

「なんだかすごそうです〜」

「触手でないのなら、いいと思います」

 テンションが上がってノリノリになったみんなの反応に、にっこり笑いながら片目を閉じる神奈。高久を除く六人に、ちょっと耳を貸せとばかりに円陣を組む。蚊帳の外となった高久も空気を読んで、あえてみんなから離れて待ちぼうけを食らう。そうして六人が話を始めてから数分後。

「何を企んでいるんだか」

「ってなわけでー。どうよ?」

 神奈の一言に他の五人が『おお』と、感嘆の声を上げる。そうして何かが決まった模様。

「というわけでタカ〜。えへへ〜」

「一体何をしようって言うんだ?」

「ちょっとだけ〜。いいかな〜?」

 神奈はとても悪戯っぽい笑みを高久に向ける。きっと、ただ事ではないことが起きるに違いないけれども、まあいいかと高久は思う。諦めたわけでもなく、達観したわけでもなく、むしろ高久の方こそ興味があるということなのかもしれない。こうなればもはや、なるようになれだ、といったところ。

「どうするんだ? 危ないことじゃないだろうな」

「うん。大丈夫。全然危なくないから。……えっとね。一言で言うと、タカの分身をいっぱい出現させてみようかなーって思ってね」

「そんな事、できるのか?」

「できるできる。この前アニメ見てて閃いた必殺技だから簡単簡単」

 必殺技なのかそれは、と高久は心の中で突っ込んだ。

「いいのか、そんなんで。……まあ、危なくないのならいいが」

「いいのいいの。じゃ、そういうわけで、全員の合意も取り付けたから、いくよー! はああああああ! むんッ! ……ガードスキル発動。モード、ハーモニクス」

 大きく息を吸い込み、神妙な表情で呪文詠唱……とかするのかと思ったら横文字な単語に高久はずっこける。お前は日本の神様だろうが、と突っ込みを入れたいのだろう。

「おい待て。それ、全然和風じゃないぞ」

「いいんだよ、今はグローバルスタンダードな時代なんだから。細かい突っこみは無し無し。古臭い伝統にこだわっていたら、神様だって時代に取り残されちゃうんだぞ〜」

 そういうものなのだろうかと高久は思った。変わらなくていいものも、世の中にはあるのではないかと。そういうわけで、神奈必殺のガードスキルとやらが発動。……高久を眩いばかりの光が照らしていく。それらは数十秒にわたって続いていく。そして……。

「わあ」

「すごーい」

「さすが神様ね」

「あああ、アニがいっぱいです〜!」

「本当にいっぱいになっちゃいました〜」

「惚れ惚れしちゃいます」

「お、俺が……七人も」

 目の前にあるとんでもない光景に、思わずくらっときた高久。今更ながら、非日常なんだなと思う。

「別に違法コピーしたってわけじゃなくて、思考も共有しているから違和感ないでしょ? ま、あれだよ。分身というか、オプションをひっつけてるもんだと思ってさ。思う存分、酒池肉林、両手に花な状況を楽しんじゃってよ」

「ゲームか何かじゃないんだから」

 ともかくも、そのようなわけで高久は七人になった。分裂した、というのが正しいのだろうか。

「で、これでどうすればいいんだ?」

「そんなの言うまでもないでしょ? やるんだよ。あたしを含めたみんなとしっぽりたっぷり乱れまくり」

「いいのかよ、それで」

 事ここに至って今更迷うことはない。困惑する高久と違い、少女達はみんな逞しかった。

「いいと思います。お兄ちゃん」

「別に問題ないわね。むしろ願ったり叶ったりね」

 美唯と千紗が頷いている。否定するわけがない。

「む〜!夏帆ちん先輩勝負ですよ! どっちが先にアニをいかせられるかガチンコ勝負なのですよ! それーーーー! アニ、覚悟するのです!」

「おおっしゃあ! 望むところだ芹夏! かかってこんかーい! タカ! いっくよ〜〜〜!」

 相変わらずの勝負事に燃えまくっているテニス部二人。典型的な体育会系のノリだった。

「えへへ〜、高久さんが七人も〜。何だか楽しいです〜」

「これはつまり、やろうと思えば8Pくらいできちゃうってことですね?」

「それ、絶対手に余ると思いますけど」

 やけに楽しそうな穂乃里と、ちょっと怖いことを言っている深景。そして突っ込みを忘れない律義な高久。

「じゃ、そういうわけなのでー。皆さん思う存分はっちゃけちゃってください」

 神奈の一言に、その他のみんなは『おー!』とかけ声をかける。誰も彼もがやる気満々。……しかし。

「ちょっと待った!」

 そんなところに、思いっきり水を差すような声がした。

「あ、モブさん達登場」

 しれっと言う神奈。

「さりげなく、とてもひどいことを言われた気がします」

 神奈が言うところのモブさんその一、ジト目が似合う姫ちゃんこと吉野川姫。

「夏帆。ちょっと、これは一体どういうことかしら?」

「あ、ああいや。決して姉さんのことを忘れていたとかそんなことはななな、ないからね!」

 笑顔の割りに、こめかみ辺りがなにやらひくひくしている音無家長女、音無京佳。そして更に……。

「そうだよそうだよ! みんな忘れてるなんてひどいよひどいよ!」

 仲間に入れてよとばかりに現れたのは、高久達の担任の榛名優依先生。誰がどう見ても、この中で穂乃里と同じかそれ以下の年齢に見える外見。

「あ〜。優依ちゃん先生が出て来ると犯罪の香りが高まっていくんだけど」

「ひ、ひどいよ音無さん! 私、子供じゃないよ! ちっちゃいけど子供じゃないよ!」

 誰がどう見ても子供にしか見えない反論だった。

「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。それじゃ改めて、御新規様に向けてタカを新たに追加三丁でっていうことで」

 上機嫌の神奈はあたかも居酒屋での注文を取るかのような感覚で言い切った。

「……もう、好きにしてくれ」

 自分自身が更に増殖させられていく状況に、高久は諦め気味。しかし新たに現れた三人はちゃっかりしているというべきか、遠慮がない模様。

「一体全体どうしてこういう流れになっているんですか」

「神様の思し召しですよ、姫ちゃん」

「何だか全てあなたの手の平の上で動いていそうです。ま、いいですけど」

 じとーっとした眼差しを深景に向ける姫。それでいて、高久と交わることに抵抗はなさそうで、みんなと同じように一つになっていく。

「夏帆。これから、大人の魅力をじっくりたっぷりと見せてあげましょうか」

「え? 姉さんって、経験豊富だったんだ」

「ええ。それはもう!」

 妹の減らず口に対してにっこりと笑顔の京佳。迫力と言うべきか、貫禄を感じさせる。そうしてさっさと高久を一人確保してやる気満々。早速とばかりに入れ始める。

「高久くん! 私、子供じゃないから遠慮なくしちゃうから!」

 意地を張って背伸びしまくる優依。やけっぱちになったかのように高久のものを宛てがっていく。教師と生徒という関係は、この際どうでもいいらしい。

 三人が事を始めようとした時既に、その他の皆さんはそれぞれにあてがわれた高久と思う存分好きなことをし始めていたのだった。

「あっ! お、お兄ちゃん! すご……いっ。んんっ! あんっ!」

 立ったまま抱きしめ合い、高久と交わっている美唯。

「あっあっ! 高久! い、いいよ。気持ちいい……。んっ! そこ。そこ、いいよ。ああっ!」

「あっあっあっあっ! アニ! 上手です! すごいです! 不覚にもま、またいかされちゃ……あああああっ!」

 美唯と同じような体位で交わりながら、千紗と芹夏が喘ぐ。三人とも下部からの強烈な突き上げを何度も何度も断続的に受けながら喘いでいる。

「ああ! 遅れちゃいけない! 高久っ! あたしも入れるよ! ん、ん……あふっ!」

「高久く〜ん。また入れちゃいますよ〜。ふふ。相変わらず大きいですね〜。可愛いです〜」

「ん〜。タカ! そういうわけだから、あたし達ももう一回しよっか。んしょ、んしょ。……そりゃ! ん! んああああっ!」

「どういうわけなんだか」

 焦る夏帆と相変わらずの深景。そして上機嫌な神奈は、高久を仰向けに寝かせて騎乗位の体位での挿入を要求。三人とも思いきり股を開いて、高久のものを自らの中へと一気に沈めていった。

「高久さん。わたしも……せっくす、したいです。し、しちゃいますね! えいっ! あ、あ、あ! んっ!」

 穂乃里もみんなに触発されてやる気満々。高久に飛びついて抱き抱えてもらいつつ、入れてもらう。穂乃里は小さな胸を優しく揉み回してもらい、こそばゆそうに喘いだ。

「あっんっんっ! み、みんな! タカと一緒に……思いっきりいきまくろ〜! んあああああっ! あっあっあっ! だめっ! また……いっちゃうよ!」

 美空島の島神神奈の、だいぶ今更感漂う宣言に、みんな同意したように声を上げる。望むところだ、とばかりに誰もがみんな嬉しそうな返事をする。……やがて、高久のものから容赦なく飛び散る精液と、思いっきり絶頂を向かえさせられた少女達の秘所からも、飛沫が上がる。一度や二度では満足できるはずがない。誰もがへとへとになるまで交わり合う。正常位、騎上位、バックに駅弁スタイル、犬のように片足を上げながらだったり、体を引っ繰り返したままだったりと実に様々。大股開きをしても恥ずかしくはない。時に口で咥え込み、喉の方まで飲み込む。もちろん出されたものは全て飲み干していく。

「あ、あ、あああっ! お、お兄ちゃん! お兄ちゃん! 突いて! もっと強く突いてええ!」

「た、タカ! 気持ちいいよぉっ! いっちゃうよぉっ!」

「んあああああああっ! ま、またアニにいかされちゃいます! あああああんっ!」

 バックでしてもらっている美唯、神奈、芹夏。みんな白いお尻を惜し気もなく突きだし、割れ目の中に高久のものが深々とねじ込まれている。高久と交わるたびに、柔らかなお尻の肉がぷるぷるとたゆんでいる。

「んああああっ! 高……久。すごい、こんな……あっあっあっ!」

 駅弁スタイルに挑戦している千紗。猛烈に恥ずかしい格好だけど、自分の身を全て好きな人に任せることで安らぎを感じる。宙に浮かされ、揺さぶられる度に喘ぎ声を上げる。

「んぐ、んんぅ。高久さん……気持ちいい、ですか?」

「ああ。上手だよ、穂乃里」

 穂乃里はただ今お口で奉仕中。ほめられてにっこりと笑顔。けれど……。

「よかったです。……でも」

「うん?」

「高久く〜ん。おっぱいでご奉仕のお時間ですよ〜」

 穂乃里のすぐ横にて行われている行為。自身の巨大なおっぱいに高久の一物を挟み込み、ずりゅずりゅとしごいている深景。あまりにも豪快で刺激的な光景に、穂乃里はちょっと残念そう。

「いつか、そんな風にできるようになってみたいです」

「はは。そうだな。いつかできるようになるよ、きっと」

「んっ。あ、あ、あ、あんっ! はうんっ!」

 高久はおかしそうに微笑を見せながら、穂乃里の小さな胸を指先でいじくってやった。誰もが皆敏感になっているのか、ちょっと触れられただけで甘ったるい声を上げてしまう。

「んんうぅぅぅんっ! んひいいいいいいっ! んうっ! んんぅっ!」

 四つん這いの夏帆が高久に攻められている。それも三人同時に、口にねじ込まれ、秘所とアヌスにまでも。

「夏帆。だらしないわね、それくらいで白目剥いちゃうなんて」

 高久のものを手でしごき、射精させながら夏帆の痴態を見ている京佳。どこまでハードな行為に耐えられるかの勝負ということで、4Pに挑戦しているとのこと。軍配は京佳に上がっているようだった。

「もごおおおっ! ぷはっ! ぬああっ! こ、こんなのされて、んぐっ。平然と、耐えられる姉さん……ど、どんだけ経験豊富なのよ……」

「ふふ。見直したでしょう夏帆。敗北を認める?」

 夏帆の感想に得意気な京佳。

「んぷっ! み、認めるか〜! も、もごおおおおっ!」

 かなり涙目になりながらも頑張る夏帆だった。

「あう! あう! ななな、なんだかいつの間にかこんなことになっちゃってます!」

「あああああああんっ! 観崎くん! 観崎くうんっ! んああああああっ!」

 正常位で交わっている姫と優依。何の違和感もなく、もはやそれが当然というような光景。

 ぱんぱん、ぱちんぱちん、ぐちゅぐちゅ……そんな感じの生々しい音が響く。

「ね、ねえみんな。一緒に……一緒にイっちゃお!」

 そんな中で、神奈の刺激的な提案。誰もがみんな頷く。うん。いいわねそれ。よっしゃあ。と、そんな感じにノリノリ。そうと決まれば話は早い。

「あんっあんっあんっああんっあんっ!」

 騎乗位で、下から容赦なく突き上げられている神奈。

「あっふっ! 深、いっ! あっあっ! 奥……まで。んああっ! 高久、すごすぎ。あああんっ!」

 正常位で、上から覆い被され、何度も何度も押し込まれている夏帆。

「い、イっちゃう! また、イっちゃうよ高久ああぁっ! だめえぇぇっ! んあああぁぁぁっ!」

 互いに直立したまま抱きしめ合い、交わっている千紗。

「あ、あ! あぅぅっ! お、お兄ちゃん! 好き……んあああああっ! あんっ! き、気持ちいいよおぉっ!」

「あぅっ! 高久くん……! もっと強く、突いて……。もっと強く……揉んじゃって……んああっ! おっぱいもあそこも気持ちいいいいいっ!」

 四つん這いにされ、突かれまくっている美唯と深景。ボリュームたっぷりな胸をこれでもかとたゆませ、揺らしている。

「あふぅ! あふ、あぅ、あふぅぅぅ……っ。あ、うぅぅっ。はふっ! はぁぁぁっ!」

「あ、あ、あ、あぅ、あぅ……も、も……だ、め……んああぁぁっ! ああぁ! あぁっ!」

 互いに駅弁スタイルで、小さな体を持ち上げられながら攻められている穂乃里と優衣。既にもう何度も達し、今も尚絶頂を迎えている。堪えきるなんて無理と、二人はひくひく震えながら思っていた。軽く白目を剥き、大きく開いた口からは涎。

「ああああああああっ! も、もう、何が何だか……め、目が回ってきちゃってますうぅぅぅぅ……! あ、あ、あ、あ、あっ! はひゅうううっ!」

 立ちバック状態で突かれまくり、目を回してしまっている姫。

「た、高久くん。なかなか……んっ! やりますね! んっ! あっ! い、いい! イっちゃいます!」

 姫と同じく立ちバックで交わっている京佳。高久は京佳が感じるツボを見つけたのか、主導権を握りつつあるようだった。

 全員の喘ぎ声が強く、大きくなっていく。交わる音も速く、激しくなって、そうしてやがて絶頂を迎える。全員同時に……。

「あああっ! な、かに……。あ、あぁぁ、ぁ」

「あ、あ、あ! お股が……お股が熱いよおぉっ!」

 中に出された千紗と美唯がうわごとのように呟いている。

「あ、あぅ……あぅぅ……あ、溢れて……くる……」

「逆流してきてます……。アニ……絶倫すぎ……」

 同じように中に出され、余りの量と勢いによって秘所からたっぷりと垂らしてしまう神奈と芹夏。

「あふぅ。おっぱいがべとべとになっちゃいました。いっぱい出してくれて嬉しいです、高久くん」

「はうぅ。けほっけほっ。……お、おっぱいで防げなくて……顔中べとべとですうぅ」

 同じように胸へ目掛けて射精された深景と穂乃里。だけど、後の状況は全く違っていた。胸で大部分を受け止めた深景と、全く受け止められなかった穂乃里。

「んぐ……。んぅ、ん、んんぅ」

「んんーー! ん、ん、ん」

 高久が射精する寸前に自分の中から引き抜き、口で咥えて全てを飲み干している夏帆と京佳。こんな所でも張りあっている模様。それにしても、いつの間にかテニス部の抗争から姉妹同士の争いへとシフトしていたようだった。

「あ……。あれ……」

「ふにゅうぅぅ……」

 思いっきり失神し、俯せに横たわっている優依と姫。お尻から背中はおろか、頭にまで精液が飛び散っている。

「ねえみんな。……今度はさ。お口で高久をイかせてみない?」

 それはいいね。望むところだ。と、誰もが頷く。神奈の何気ない一言が、高久とのまた新たな交わりを開始する。誰もが皆小さな口を目一杯あけ、可憐な唇で包み込み、舌を縦横無尽に動かして愛撫を始める。一生懸命顔を前後に動かして、唾液を絡ませて少しでも高久に気持ちよくなって欲しいと思う優しい気持ち。時には手を使って、胸を使って……。じゅぷじゅぷ、ちゅくちゅく、じゅる、ずずず、ぴちゃぴちゃ……。そんな音がそこかしこで聞こえる。やがて高久は絶頂を向かえさせられて一斉に射精が始まり……みんなの顔中を思う存分汚していく。みんな笑顔で全てを受け止める。

 遥か前に脱ぎ捨てられていた、色とりどりの水着が浜辺のあちこちに散らばって、浜を飾る花々のように見える。みんなの交わりは夜まで続いていく。交わりが激しくなるにつれて入道雲もボリュームを増していき、美空島全体が色付きはじめ、真夏なのにもかかわらず春や秋、冬の花まで咲き乱れていった。





…………





(ふっ。……余も後で、存分に楽しませてもらおうかな)

 いずれはみんな疲れ果ててしまうだろうから、そうしたらじっくりたっぷりとさせてもらおうかなと、深景の中に潜むもう一人の(ちゃっかり者な)神様がほくそ笑みながら呟くのだったとさ。















----------後書き----------

 初のクロシェット二次作品でした。

 いつかはお話を書いてみようと思っていましたが、まさかこんなド派手なハーレムものになるとは思わなかったり。

 とりあえずは次作のプリズムリコレクションに期待というところですね。



ご感想を頂けると嬉しいです。



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