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ほっとくりすます










 証明する必要もないくらい、ただただ熱かった。互いの口元からひたすら絶え間なく発せられる息は粗く、外気に触れて白く染まっていく。

 ――それは薄暗くて人の気配など全くない夜の公園での出来事。辺りを照らす灯りの光も頼り無く感じる程に弱々しい。名前すらあるかどうかわからないような寂れた公園の、そのまた片隅にある茂みの中から悩ましげな声が聞こえてくる。

「あっ! ……はぁはぁ。さ、最高のクリスマスプレゼントだよ、理樹君」

 クリスマスイブの夜に唯湖が理樹に対して望んだもの。それはもうとてつもなく過激な要求に他ならなかった。

「あっあっあっ! も、もっと! もっといっぱい! あっ! そこ……いい!」

 屋外だというのに全裸にさせられて、その上交わったままゆさゆさと全身を揺さぶられ、淫乱な女のように唯湖は言った。とにかく今日は痛めつけるくらい徹底的にハードな攻めが欲しい。私にとってそれこそが最高のプレゼントなのだよ、と。――要求はただそれだけ。余りにも単純明快なものだった。





…………





 理樹に限らず世の男にとってプレゼント選びというものはいつも悩みの種。贈る相手の事を考え、どのようなものが好まれて喜んでくれるのか? 喜んでくれたならいいけれど、がっかりされてしまったら悲しいので、結構真剣に熟慮しつつもその都度悩んでは溜息が出てしまう。クリスマスを前にしたある日のこと、なかなか埒が明かないので理樹は思い切って唯湖に何が欲しいかを聞いてみることにしたのだった。そうしたら唯湖は少し考え込んてから一言。恐らくリトルバスターズに所属している可憐な少女達のことを思い浮かべているのか、うっとりとしたいやらしい目つきをしながら言った。

「そうだな。あえて言うのならば、活きのいい美少女を数人」

「ドラキュラか何かかあんたはっ!」

 ハーレムモードではべらすつもりかよと、ついつい突っ込んでしまう。このようにして理樹の質問は毎度のようにはぐらかされてしまうのだったが、逆に質問を返されてしまう。理樹君こそ何が欲しいんだ? と。売り言葉に買い言葉と言う訳ではないけれど、いつしか押し付け合いの様相を呈してきたが、結論から言うと理樹は根負けしてしまい、欲しいと思うものを白状することになった。理樹が望むものとは、それは。

「ゆいこさんの望みをかなえること。……ただし、僕にできる範囲のことで」

「ふむ。そうきたか。なかなかに上手い返しだね」

 考えておくよと唯湖は言い、プレゼントの話題は途切れた。





…………





 唯湖の答えはとても単純明快で衝撃的なものだった。

「理樹君。君はいつも私に優しすぎるんだ」

「そ、そう……なのかな?」

「うむ。だが、優しくしてくれるのは本当に嬉しいけれど、時々それ以外のことも望んでしまうものなんだよ。女というものは誠に我が儘なものでな、満たされれば満たされる程に無い物ねだりをするかのように、他のものが欲しくなっていく。例外はあるにせよ、特に私はそうなのだろうと考えたのだ。そこでだな……」

 唯湖の願いとはまさに優しさと相反するものだった。要約すると、クリスマスイブの夜はとことんハードかつアブノーマルなくらいに激しく攻めて欲しい。縛っても構わないしロウソクをつかっても全く問題ない。むしろ望むところ。とにかく痛めつけるくらい徹底的に、考えつく限りのハードな事をして羞恥を煽って欲しい。冷たい外気など関係無いくらいに熱い一夜をプレゼントして欲しいと、期待のこもった微笑を見せる。

 決してふざけているわけでは無さそうなので、理樹は唯湖の要望に応えざるをえなくなってしまった。そうしてとっぷりと日も暮れて、誰もが皆寝静まった頃に寮をこっそりと抜け出して、漆黒の闇へと姿を消した。

「夜中に寮を抜け出して好き放題するというのは、なかなかスリル溢れるものだろう?」

「う、うん。そう、だね」

 理樹が浮かない表情をしているのを見て、唯湖は片眼を瞑ってみせる。

「真人少年の事を心配しているのか? なに、大丈夫だ。こんな事もあろうかと夕食の時、彼の飲み物の中に特殊な睡眠薬をこっそり仕込ませておいた。きっと朝まで起きはしないだろう」

 用意周到だった。いつの間に、と理樹は思ったけれどこの際真人の事は置いておく。

「……それで。ハードに攻めて欲しいとか何とか言うけど、具体的にどうすればいいのさ?」

 手短に終わらせたい。雪でも降ってきそうなくらいに寒いし辺りは暗くて変質者でも現れそうな雰囲気だし、それに何より重大な校則違反をしているわけなのだから。唯湖の望みについて今一つピンときていない理樹の問いに対し、唯湖はすっぱりと言い放つ。

「そうだな。……例えば、野獣が襲いかかるかのように乱暴に私の服を引き裂いたりとかな。あるいはバックでガンガンやりながら、へっ、いい腰使いしてんじゃねーかこの淫乱な腐れビッチが! とでも言うように、乱暴な言葉遣いで私をなぶったり苛めたりとかもなかなかゾクゾクきたりするな。何度も言うが、今の私は君にそういうことを望んでいるのだよ」

「できないよ、そんなの……」

 どう考えても無理。と、弱気な理樹が早々にサジを投げかけた時のこと。

「では、強制的に君をその気にしてやろう。拒否は許さん。今日はとことん私の要求に応えてもらう」

 恐らく唯湖は最初からそのつもりだったのだろう。一見すると二人して当てもなく歩いている……ようだが実は全て唯湖の計画通りのようで、ごく自然に暗い公園の中へと理樹を引きずり込んでいった。そうしてベンチに腰掛けてから、唯湖は制服のポケットから何かを取り出した。小さなビンの中に怪しげな色をした液体が見える。

「飲むがいい」

「これは?」

「媚薬だ。それも超強力な」

 理樹は呆然としてしまう。また、どこでそんな怪しげなものを手に入れたんだか、と思っているのだ。

「なに、全部飲めとは言わない。半分こだ。互いに熱くなりたいだろうし、片方だけというのはフェアではないからな」

「う、うん」

 これを飲んだら僕は一体どうなってしまうんだろう? 理樹が不安に思う中、ごくりと喉が鳴る音がした。唯湖はあっさりと媚薬を半分飲み干して理樹に渡す。迷いの全くない行動だった。

「ほら、私は間違いなく飲んだ。今度は君の番だ」

「の、飲むよ」

 こうなった以上もう引き返すことはできなかった。ぐび、と思い切って飲み干す。一瞬むせ返りそうなくらいに強い刺激と匂いを感じたが、気にしてはいられなかった。それを見守り、唯湖は頷きながら言った。

「そうだ、それでいい。今日は思う存分私を目茶苦茶にしてくれ。犯すくらいの気になって、徹底的にな」

 こうしてハードな一夜は幕を開けるのだった。

「私の願いをかなえてくれ、鬼畜サンタな理樹君」

 どういう意味、と理樹が思った瞬間、前後不覚になったのかあるいは目眩がしたように世界が一変した。自分が自分ではなくなっていくような感覚に、理樹は戸惑いながらもこれから先の展開が少しだけ読めたような気がした。

「さぁ、イブのパーティ開始だ」





…………





 やはり唯湖により下調べは十分に行われていたのだろうと理樹は改めて思い知った。彼らが通う学校からは何駅も離れているくらいの距離にある寂れた公園は誰にも邪魔されなく、万が一誰かに見られても全く問題のないであろう秘密のスポットだった。下調べをしていた唯湖にとっても想像以上のベストプレイスだったようで、うむ、と満足げに頷くのだった。

「あ、あ、ああぁ、あぅ……あぅぅ、ん」

 住宅地に隣接している割に、夜になれば暗闇に包まれて女性の一人歩きが危険に思えるような場所。鬱蒼とした木々に囲まれた茂みの中からは物憂げな喘ぎ声と共に、ずちゅずちゅと粘りのある水音が聞こえてくる。当然の事ながら、茂みの奥の方で制服を着たままの二人が交わり合っているのだった。攻められる側の唯湖はショーツを脱がずに少しだけずらされ、攻める側の理樹はズボンのチャックだけ開けながら大きくそそり立った逸物を表に出していた。

「あ、ああ! ゆいこさんごめん、僕、もう我慢できない! もっと強く突くよっ!」

「う、んっ! 我慢なんてしなくていいから、もっともっと突いて欲しい! ほら、思い切って深くねじ込んで」

 唯湖は太めの木を見つけて両腕でしっかりとしがみつきながら、ボリュームたっぷりの大きな尻を突きだし、理樹のものを誘うように受け入れている。それどころか理樹の突きに遭わせて腰をくねらせて、受け入れ体制は万全。

「で、でも。ああ……やっぱり外でこんな……」

「んっ! 開放的でいいじゃないか。今更何を迷っているんだ!」

「そ、そうだけど!」

「あっあっ! 体は正直だな。そんな迷ったようなことを言いながら……んっ! どんどん激しくなっていってるのだから、理樹君は本当に嘘つきだな。いつまでも心を偽っているむっつりスケベ野郎だ」

「だ、だって……」

「ほら、迷ってないでもっと命令して。激しくして欲しいのが私の望みなんだから、叶えてくれるんだろう? 君が主導権を握るんだ。早く」

「う……」

「もっと私をいじめてくれ。ほら、これでも私の首に巻いて繋いで引っ張って。私は犬になればいい? それとも兎がいい? 君の望むがまま、なれと言われれば何にでもなるよ私は」

「これは?」

「鎖だよ。サンタがトナカイを繋ぐ為のな」

 じゃらりと怪しげな音を立てながら唯湖がポケットから取り出したのは、鎖のついた首輪だった。そんなものを突然手渡され、理樹の中でリミッターが弾け飛んでいった。あるいはようやく、飲み込んだ媚薬の効き目が出てきて精神的なスイッチでも入っただけなのかもしれない。理樹の手により数秒もたたないうちに唯湖の首には首輪が巻かれていた。そして理樹は遂に本性を現し、過激な命令を下す。もう唯湖を犯すのに夢中な野獣と化していた。

「じゃあ、ゆいこさん早速だけどさ、犬みたいに鳴いてみせてよ。大きな声でさ」

 理樹の変貌ぶりに、唯湖は一瞬呆気に取られる。徐々に変わっていくと思っていたものが、突然に押し寄せてきたのだから。狙い通りと思う前に、強い突き上げに杭を打ち込まれたような衝撃が全身に走る。

「え……あうっ!」

「ほらほら、僕の突きが気持ち良かったら鳴いてみせてよ。遠くの方で犬が鳴いているみたいにさ」

 何を言っているのか一瞬わからず、唯湖は戸惑う。するとすぐに理樹の突き上げが連続して繰り出される。ずぶりとした感触は、根本まで深くねじ込まれていく証拠。

「あっ! んっ!」

「ほらほら、感じてないで早く鳴いてよ。ほら、四つん這いになってさ。ハードにして欲しいんでしょ? グズだなぁもう」

「ああ……」

 唯湖はしがみついていた木から離され、地面に両手を付かされる。そうして四つん這いにされて、一層深く激しく突き上げられた。一瞬呼吸ができず、むせ返りそうになった拍子に変な声が出てしまう。そうしてなし崩しに、犬の鳴き真似をさせられていた。

「僕のち○こさぁ、でっかいでしょ? 上手く鳴けたらご褒美にいっぱいずこずこしてやるからさ。ほら、始めて」

「はぐっ! あぐっ! あっ! あぐぅっ! あっあっあ、あ……あぉ〜……ん」

「だめだめ、全然小さいよ! そんなんじゃ誰にも聞こえないじゃないか。ほら、ゆいこさんは無駄に乳のでかい雌犬なんだからさ。もっと色っぽく鳴いてみせてよ。近所迷惑なくらいにさ。……いくよ。それっ! それっ!」

 ぱん、ぱん、と激しくぶつかり合う音。唯湖はその衝撃に耐えられなかった。

「あぅっ! あ、あ、あお〜〜〜んっ!」

 衝撃に唯湖はたまらずに腹の底から大きな声で叫んだ。今更ながら愚かなことをしていると自覚したのか、後悔と、猛烈な恥ずかしさが込み上げてくる。自分は今一体何をやっているのだろうという疑問と背徳感。しかし理樹は唯湖に考える暇を与えてはくれない。理性などすっ飛ばす勢いで次の攻めを繰り出す。早く、もっと強く突いてくれ。そうしなければ淫らに鳴き声を上げることができない。君の望を叶えることができない……。無意識の中に沸き上がる新たな意識。

「そうそう、いいよその調子。続けていくよ。それっ! それっ! くぅぅ、締まりがいいなぁ」

「あっあおっ! あおっ! あおっ! あ、あお〜〜〜んっ! わおぉ〜〜〜んっ!」

「いい感じだよ! でも、まだまだっ! もっと大きな声で鳴いたら、その分僕も強く突いてあげるからね!」

 唯湖はドキ、と心拍数が跳ね上がった気がした。言うことを聞けばもっと激しく強く突いてくれるんだ。いやらしく鳴けば鳴くほど更に強く……。唯湖は無意識のうちに、盛りがついて発情した雌犬になりきることにした。理性はその瞬間完全にはじけ飛んでいた。

「いくよっ! それ鳴けぇっ! そらっ! そらっ! そらっ!」

「あっあっ! あっ! あんっ! あおんっ! わぉーーんっ! あぉぉんっ! あんっ! あぉぉんっ! わほぉーーんっ! あお〜〜〜〜んっ!」

 理樹のものが勢いよく唯湖の中へと突き上げられる。唯湖もそれに合わせて野生に帰ったかのように激しく鳴いた。甘ったるい喘ぎと紙一重の叫び。

「ははっ! 突かれる度に鳴いてるよ! 本当に盛ってる雌犬だねっ! ほらっ、まだまだ! 鳴けっ! 鳴けよほらっ!」

「わぉ〜〜〜んっ! くひぃ〜〜〜んっ! あおぉ〜〜〜んっ! わっぉぉ〜〜〜んっ! きゃおんっ! きゃおんっ! きゃおおぉんっ!」

 公園のすぐ側に広がる住宅街にも鳴き声は届き、誰かしらに聞こえている事だろう。その人は犬の鳴き声などに注意を払っているだろうか? やはり何とも思わないか。それともあるいは興味を持って近付いてくるか……? 恐らくは、誰も来ないことだろう。

「遠くで鳴いてる犬が、実はこんな淫乱な雌犬だとは誰も思わないだろうね」

 それほどまでに唯湖の声色は真に迫っていてリアルなものだったから。唯湖は唯湖で理樹に言われるがままに犬の鳴き真似をしているうちに、本当に犬の気持ちになってしまったのかはぁはぁと粗い息をたてながら舌を出していた。

「はぁ、はぁ。ふ、ぅ。理樹……君。もっと」

 潤んだ瞳で理樹を見つめ、更に激しい羞恥を求める唯湖。体中が火照っていくのがはっきりとわかる。

「何? いきたいの? だめだよ、まだいかせてあげない」

「そ、んな。……体が火照って、収まりがきかないよ」

 助けて欲しいと言いたげな、憂いを帯びた表情。

「じゃ、ちょっと散歩でもしようか?」

「……うん」

 そうして二人は茂みを抜け出し、静かな夜の町へ……。





…………





 二人は公園を出てあてもなく歩く。元から閑静な住宅街だけれども、真夜中となると明かりもろくになく、暗く静まり返っている。

「相変わらず、でっかい胸だよね」

「……」

 勿論ただ歩いているだけじゃない。理樹は唯湖の首に付けた首輪はそのままに、制服の胸元を完全にはだけさせて羞恥心を煽っていた。歩む度にふるふると震える胸は、それだけで絶叫を上げてしまいたくなる程に恥ずかしい。それなのに、寒さと火照りに少し赤く色づきながら勃起している乳首と、てかるように瑞々しい肌が艶めかしい。本来乳房を覆っているはずのブラはとっくに脱がされた挙げ句に理樹の人差し指でくるくると回され、弄ばれている。

「散歩が終わったら、またずこずこしようね」

 唯湖は僅かに頷く。首元が熱い。繋がれているだけでとてつもなく興奮する。

「ただ歩くだけじゃなくてさ。自分で揉みながら歩こうよ」

「う、うん。……あ」

 言われるがままに、両手で自分の乳首を揉み回しながら歩みを続ける。と……遙か先の方に人影が見えた。こちらからは離れていくようだけれど暗くてはっきりとは見えない。どうやらスーツを着た男性の模様で、こんな時間まで残業でもして帰宅するところなのだろう。そのように推測するのが無難なところだろうか。

「そーっと。近付いていくんだよ」

「え……」

 胸を腕で隠そうとして止められて、唯湖は一瞬戸惑った。

「う、ぅ」

 そのまま歩みを進める。スポットライトを浴びたような場所……街灯の下に来たせいもあって、羞恥心が更に刺激されてしまう。

「まだまだ。数メートルくらいまで近付かなきゃ」

「で、でも……」

 僅かだけども距離は縮まって行く。このままだと……真夜中に卑猥な格好をしながら歩いている変態がいる、と思われてしまうと唯湖は息を飲みながら考えた。鼓動が極限にまで高まっていく。

「あ」

「あーあ。なんだ、がっかりだよ。もっと楽しめると思ったのに」

 その男性は突然に角を曲がっていった。これでもう追わなくても良さそうだった。緊張が解け、途端に力が抜けてしまう唯湖だったが、理樹は許してはくれない。

「何ホっとしてんのさ。……もー。もっと近付くつもりだったのに。つまんないから、ゆいこさんのぬれぬれパンツをどこかの家のポストにでも突っ込んじゃおうかな」

「り、理樹君何を!」

「ほら! 取ってこ〜〜〜い! それっ!」

 そう言って理樹は、手に持っていた唯湖のショーツを思い切り放り投げた。ものがものだけに僅か数メートルのところでぽとりと落ち、唯湖は慌てて駆け出して拾い上げた。そうして非難の眼差しで理樹を見つめる。

「り、理樹君!」

「あはは。なかなか楽しかったでしょ? ……でも、そろそろまた公園に戻ろっか?」

 こんな程度で満足できるわけがない。散歩は終わった。唯湖はうっとりとした表情のまま頷いた。次は何をしてくれるのと、言わんばかりに。

「ほら、おねだりするんだよ。……ちゃんと言って」

 理樹は唯湖の耳元でささやく。恥ずかしい事を言えとの命令。

「……。いっぱい……ず、ずこばこ……してぇ」

「どこに?」

「わ、私のお……に」

「何を?」

「理樹君の……を」

「いいけど。はい、鳴いて」

「あ……あお〜〜んっ!」

 住宅街の真ん中で淫らに鳴いてみせた。





…………





 ほんの少しの危ない散歩をこなしてから再び公園の茂みの中へと戻って来た。唯湖は理樹に命令されるがまま、靴とソックス以外の制服を殆ど全部脱ぎ捨てた。……あえて言うならば、巻いたままの首輪に加えて赤いサンタの帽子をかぶらされていた。言うまでもなく猛烈に恥ずかしくて唯湖は右腕で胸を隠し左手で股間を覆っていた。寒さも吹き飛ぶくらいの羞恥に体が火照っていく。

「えろ可愛いよ、ゆいこさん」

 唯湖は何も答えられない。恥じらいに頬を赤らめる様が更に可愛いと、理樹は思っていた。さて、これからこの可愛らしくも淫らな雌犬をどうしてくれようか。

「ねえねえ。あっちにさ、家が見えるよね?」

 道路を隔てた向こう側に、ちょうど二人で散歩に行っていた閑静な住宅街が見える。理樹は指をさして言った。何か悪巧みをしているような邪悪な笑顔だった。

「一番向こうの家からさ……」

 理樹は唯湖の耳元で何かを囁く。唯湖は信じられないとでも言いたげな気持ちで目を見開きながら聞き続ける。

「僕はここで見てるからさ」

「……」

 行かない訳には……と一瞬思うけれど、そうではないのだった。嫌よ嫌よも好きの内、どころの話ではない。行きたい、と唯湖は自分自身が猛烈に思っていることに気付く。何しろその証拠に足が自動的に動いていくのだから。そうして何の抵抗も感じないまま、霰もない姿を隠すバリアーのように鬱蒼とした茂みを出て行く。道路に出て右を見て、左を見て、誰もいないことを確認して、そろそろと全裸の唯湖は歩みを進めていく。今度は先程とは状況がまるで違い全裸なのに、歩むたびに豊かすぎるボリュームの胸がふるふると震えている。隠そうにも大きすぎる膨らみは唯湖の細い腕や手では到底覆いきれるものではなく、溢れてしまう。コツ、コツ、と堅いアスファルトを靴底で踏み締めながら唯湖は理樹が指定した立ち位置へと辿り着いていた。それは理樹の視線にギリギリ収まる範囲。緩やかなカーブを描いた道路に沿って横並びに、同じような無個性なデザインの家が五軒程並んでいた。唯湖はちらりと理樹の方を見やる。

(私は今、全裸で……道の上に……。はっ!?)

(いいよ)

(う、ううっ!)

 理樹は茂みの中から手を上げ、始めていいよと合図する。突如、唯湖が切羽詰まった表情のまま駆け出しはじめた。そして一軒、また一軒と壁についたチャイムのボタンを押していく。理樹自身はあまりやらなかったけれど、恭介や真人達のようないわゆる悪がき連中が幼少の頃に時折やっていたいたずらで、ピンポンダッシュとか言った。どの家の窓にも明かりは灯っていないけれど、玄関だけは例外だった。中にはもしかするとチャイムの音に気付いた人がいるかもしれない。慌てふためき、全力で駆ける唯湖の胸ははちきれんばかりに上下にたぷんたぷんとたゆみ、長い黒髪がたなびいて、薄いヘアに囲まれた股間もぐしょぐしょに濡れている。極めつきは首輪に突いた鎖がジャラジャラと鳴り響く。自分は今、何という危険で卑猥な行為をしているのだろう。もし誰かに気付かれて取り押さえられたりでもしたら自分の人生は確実に悪い方向へと向かうことだろう。それなのに気持ちは更に高ぶっていく。股間から両股に熱くぬめるものを感じる。唯湖の秘所は確実に濡れていった。

(は、早く! 誰かに気付かれる前にっ! こ、こんなっ!)

 後ろを振り向く余裕すらない。四軒、五軒目とチャイムを押し終えたところでたまらなくなり、小さな柵を飛び越えて公園内の茂みに戻って身を隠す。はあはあと粗い息をつきながら背後を振り向いて見る。何も変化は見られない。幸いな事に、誰にも見つかってはいなのか気づかれていないのか、反応は皆無だった。

「はあっはあっはあっ! ふうぅっ!」

「あははは」

「り、理樹君の鬼畜、変態」

「へえ。お外で素っ裸なくせしてそういうこと言うの?」

「……う」

「でっかいおっぱいをあんなにぶるんぶるん揺らしまくって、あそこをぐちょぐちょに濡らしながら、人のこと変態とか言うの? 太ももが洪水状態じゃない」

 下半身が熱く、したたっていくものを感じる。確かにその通りだ。もはや何も言い返せない。唯湖はふと理樹の幼少時代のことを想像してみた。恭介や真人と言った典型的な悪ガキ連中が悪戯をしようとしていたとする。理樹はやめようよとか、泣きそうな表情で言うのだが、心の底で一番悪戯をしたがっているのは他でもない、理樹自身ではなかったのかなと。そういう心の闇と言うべきか、本性が見えた指令だった。

「ご、めん……なさい」

「謝ったってだめだよ。自分の事、変態だって認める?」

 何も迷うことはなく、うんと頷く。

「理樹君、もっと」

「もっとして欲しいの? これだけ恥ずかしい目にあってるのに、ゆいこさんって本当にいやらしい変態だよね」

 もはやこうなればとことん突き進むのが良いだろう。それこそが自分の望みなのだから、と唯湖は思ったのではっきりと言い切った。

「きみに、いやらしいとか変態だとか言われるのは、最高に嬉しい……」

 まさに望むところだと唯湖は思った。





…………





「あぅっ。ああぅっ」

 ヴヴヴヴ、と蠢くようにな音。唯湖が密かに持ってきていた極太のバイブを理樹に奪われた挙げ句に根元までねじ込まれ、アヌスにも大きなアナルビーズを何玉もねじ込まれてしまった。更に、二つの大きな胸は縄が食い込むくらいにきつく縛り上げられて、ロケットかミサイルの先端の如く飛び出しそうなくらいに膨らむ。そして首を拘束し続けている深紅の首輪と鎖。唯湖はこれ以上ない程に羞恥極まる格好にされていた。にもかかわらず、理樹はつまらなさそうに言う。

「う〜ん、何か物足りないなあ」

 理樹は唯湖の胸を無造作にむんずと揉みしだきながら、乳首を捻った。

「あぅっ!」

「こんなにおっ起てちゃってさ。エロすぎ」

 そうして今度は乳首を引っ張ると、唯湖は切なげな喘ぎを上げてしまう。

「くぅ!」

「ほらほら、あっちの方に行こうよ」

「う、うぅ。む、無理……」

「大丈夫だって。ほら。ほらっ!」

「んひっ!」

 理樹は唯湖の首輪につながっている鎖をぐいぐいと引っ張る。唯湖は抵抗できず、苦しげに着いていく。そうして茂みから出て、たどり着いた先は手入れがなされていないのか、所々錆び付いているブランコの下。薄暗い明かりに照らされながら、唯湖はブランコに腰掛ける理樹の股間に顔を埋めてフェラをさせられ始めた。

「いっぱいしゃぶってよ。えろくさ」

「ん、んんんぅぅぅ!」

 必死にくわえ込む唯湖。今もバイブが鈍い音をたてていて、くわえるだけでも精一杯といったところ。

「上手上手」

 唯湖に対して理樹は余裕綽々。鎖を引っ張ったりすると唯湖を屈服させてるように感じ、ご満悦といったところ。

「折角なんだから口だけじゃなくてパイズリしてよ。何のためのでかいおっぱいなの? パイズリするためにあるんでしょ?」

「う……」

 理樹のものはあまりにも大きくて、口だけではとても飲み込めない。そんなわけだから、胸も使ってしごけと理樹は言っているのだった。唯湖は言われるがままに理樹のものを胸で挟み、しごき始める。理樹の陰毛に唯湖の唾液が交じり合い、ずりゅ、ずりゅ、と湿った音。更にそれに加えて理樹の先走り液も交じり、ますます粘り気を帯びていく。

「おしゃぶりはともかくおっぱいの使い方は下手くそだなぁ。もっとしっかりきつく挟んでよ、そんなんじゃ全然感じられないよ」

「んんぅ!」

 理樹の容赦ない言葉が飛ぶ。

「もっと強く、絞るように掴んでしごいてよ。ちゃんと僕をいかせられなきゃ見捨てるよ? ゆいこさんが脱いだ制服とかパンツとか持ったまま、一人でどっか行っちゃうからね」

「ん、んんぅっ!」

 そんな状況を何気なく想像してみる。一糸まとわぬ姿で公園に一人残される状況を。もはや公園を出て行くことも適わず、その場に留まり続ける事もできない。それでも冬の寒さは確実に体温を奪っていき、口元を伝い顎には拭き取ることもできないよだれと精液、胸はロープで縛り上げられた赤い跡が痛々しい程に残り、股間から足下は未だ洪水状態。通行人に助けを求めたとしても、誰がどうみても変態がいると思い、蔑んだ目で見下すこと事だろう。汚れ物のような扱いをされ、近寄るな、とでも言われる事だろう。そうしてやがては朝が来て……そうしたらもう、隠れる事もできない。茂みの中に隠れていたとしても、近くを通りかかる人……散歩をする人や、ジョギングをする人。公園で遊ぶ子供にでも見つけられたりしたらもう……。誰かに見つけられて通報されて、おしまいだ。そんなのは嫌だ。嫌だ……けど、でも、もし。想像の中で自分の社会性を徹底的に蹂躙して見せて、熱く込み上げてくるものを感じる。すごいよ、と思いながら。

「ん、ん、ん、ん、んぐっ!」

「あ、いきそう。何だか残念だなぁ。折角、みんなにゆいこさんが変態だって言い触らそうかと思ったのにな」

 理樹の言葉は本心ではないし事実でもない。唯湖の羞恥を煽るための挑発。

「出すよ。……口の中にしようかな、それとも顔にぶっかけようかな。どっちがいいと思う?」

 理樹の質問は答えなど望んでいなかった。

「ん、んんんんんぅぅっ!」

 反論すらできなかった。何しろ、理樹のものが更に勢いを増し、喉の奥にまで到達しそうになったのだから。そうして唯湖がむせ返る間もなく一気に引き抜かれ、ずびゅ、と音をたてて精液がぶちまけられた。唯湖の端正な顔が、大きな胸が白く汚されていく。顎を伝わり糸を引き、たれていく。

「あ、あああぁっ」

 吐く息が更に白い。熱源は自分と理樹だと唯湖は思った。次は……次はどんなことをしてくれるのと、潤んだ瞳で唯湖は言った。理樹はもちろんまだまだ満足できる訳がない。そうだねと言い、少し考えてから何かを指した。あの人と、あの人には悪いんだけど、と理樹は言った。二人だけのいけない遊戯に少しだけ付き合ってもらうよ、と。

「あ……」

 ――相変わらず卑猥な格好のまま呆然としている唯湖に対し、理樹は相変わらず主導権を握り続ける。

「ほら、ちゃんと打ち込んで」

「う、うん」

 そこは公園の片隅にある電話ボックスだった。携帯電話の普及でめっきり少なくなった公衆電話も、いずれは撤去されてしまうであろう運命を感じさせる。理樹はここぞとばかりに未使用のテレカを使い、ある人へ電話をかける。かける相手の番号はと言えば、理樹の携帯にはっきりと写っている。その名前は神北小毬。唯湖は受話器を握って耳に当て、手際よく番号を打ち込んでいく。

「かかった?」

 理樹が小さなひそひそ声で問いかけると、唯湖は震えながら頷いた。まだコールは続いている。

「じゃ、入れるからね」

「んっ!」

 濡れたバイブがずるりと引き抜かれた秘所に、理樹のものがねじ込まれた。

 ――同時刻。女子寮の一室。

「ふあぁぁ。おで、ん……わ? ふぁい、もしもぉし」

 枕元に置いてあった携帯が突如ぶるると震える。マナーモードにしてあったとはいえ、木製の台の上でバイブ機能が発揮されるとそれなりにけたたましい音になったようだ。完全に熟睡していた小毬は寝ぼけたまま大きくあくびをしながら電話に出るのだった。

『んっ! んっんっんっんっんっ!』

「ふぁれ? ん、もしもしぃ? どなたれすかぁ?」

 問いかけても返事はない。聞こえてくるのは粗い吐息とくぐもった声のようなもの。何だろう? と、小毬は思って聞き返した。

『あっあっあっあっ!はぁっはぁっはぁっ! はふっはふっはっはっ……んんっんんっ! き、きもちいぃ! い、いくっいくっ! いっちゃうのぉっ! あ、あんっあんっあんっ! お○んこきもちいいぃぃっ! お○んこぐちょぐちょ熱いのおおおおっ! お○んちんがお○んこにずっぽり入ってるうぅぅぅっ!』

「ずっぽりれすか。はぁそうれすか。おま○こきもちよくていっちゃうのれすか。おま○こぐちょぐちょ? お○んちんにおま○こ……。お○んこ?」

 お○んこって何だろう? と、何気なく思う。そして……。

「って、な、な、ななななななっ!?」

『お○んこ気持ちいひぃぃぃぃぃぃぃっ! あうぅぅぅぅんっ! お○んこ熱いいぃぃぃぃぃっ!』

 小毬は無意識のままとんでもないことを口に出していたことにようやく気付く。一瞬にして眠気が吹っ飛ぶ小毬だったが、その瞬間問題の怪しげな通話はぷっつりと途切れていた。着信履歴にはただ無情に『公衆電話』と書かれた文字。悪戯電話だったの!? と、思った。

「ななななななっ!? いいいい、一体何だったの今の〜〜〜っ!? お、お、お、お……だって、はうぅぅぅっ!」

「何ですの一体!? 何時だと思っておりますの神北さん!」

 一気に鼓動はフルスロットル状態になってしまい、慌てふためきながら叫ぶ小毬と、真夜中に突然たたき起こされ、理不尽さに怒るルームメイトだった。

「さささささーちゃん! いいいい、今何だかすっごくえっちな電話が!」

「もう、寝ぼけて何をおっしゃっているのですの! いい加減にしてくださいましっ!」

「あうぅ……」

 ルームメイトはぷんすかしながら再びベッドにもぐりこむのだった。取り残された小毬はもはやどうして良いのかわからず、ベッドの上で呆然としていた。





…………





「はあ、はあ。ん……はあ、はあ」

「どうだった?」

「聞こえていた……みたい。私だとは分からなかっただろうけれど」

「だね。完全に声色変わってたし、別人みたいだったよ」

 それはそうだろうと唯湖は思った。この手の芸当には正直なところ自信はある。けれど今は完全に、理樹のサディスティックな趣味に利用されている。

「小毬さん、慌ててたでしょ?」

「最初は寝ぼけていたみたいだったけれど、私の恥ずかしい言葉を聞いて復唱して……やっと恥ずかしいことを言ってると気づいて、なななななな!? とか叫んでた」

「へぇ。小毬さんらしいなぁ」

 じゃ、今度はさと、理樹は唯湖に耳打ちした。

 ――同時刻。女子寮の別の部屋。

「ん〜んん……。お電話、なのです……」

 ルームメイトのいない一人部屋に携帯の着メロがけたたましくなる。

「ぐっどもーにんぐはうあーゆー、なのですぅ……」

 まだ朝ではないのに、勘違いをしたかのように挨拶。クドが小毬と同じように寝ぼけ眼で答えると。

『ん、ん、ん、ん、んっ! おち○ちん気持ちいひぃぉっ! はあはあはあっ! おち○ちんすごい! おち○ぽだいすきいいいいっ!』

「ほわっと……?」

『あんっ! はぁぁあんっ! お○んこ突いてぇっ! もっと突いてえぇ! もっと深く、奥までずんずんしてえぇぇっ! おち○ちん大好きいいいいぃぃっ! お○んちん気持ちいいいいぃっ! いくいくいくいく、いっくうううううっ! セックス気持ちいいいいぃぃっ!』

 余りの刺激的な台詞に、クドのはなぶくちょうちんがぱぁんと割れた。一気に目が覚め、ぽかーんとするクド。

「ななななな、何してるですかーーーーーーっ!?」

 ――そしてまた、クドの反論など全く許さずに通話は途切れた。後に残されたのは、顔を真っ赤にしながら呆然としているクドだった。

「はあ、はあ、はあ……」

「あはは。クドの声がこっちにも聞こえてきたよ」

「君は、本当に……意地悪だな」

「そうかもね。でも、ノリノリだったじゃない。すごい熱演でさ、あれなら絶対ゆいこさんだってわかんないよ」

「そうだろう、な」

「どうだった? 知ってる人に自分のえっちな声聞かれて。僕に背後からずこずこ突かれながらさ」

「自分が……自分ではなくなってしまうみたいだったよ。あまりにもどきどきして」

「よかったじゃない」

 そう言って理樹は、唯湖の中に差し込んだままのものをぐい、と引き抜いたのだった。べとべとに濡れたそれは糸を引き、唯湖のお尻を汚していった。

「満足できた?」

「じ、十分だよ。これだけハードにいじめられたら……」

 唯湖はふと、何かに気づく。

「わ」

「珍しいな」

 羽根のようにふわりと舞落ちる雪。

「ホワイトクリスマス、というわけだ。もはやムードもへったくれもないが」

「そうだね」

「普通だったら、七面鳥やらケーキでも食べているところだが」

 それがどこをどうしてこのようなとんでもない形になったのだろうと二人揃っておかしく思う。

「そうだよね。でも実は、小さなケーキを持ってきてたりして」

「ほう」

「一緒に食べようよ」

 ――勿論それだけで済むはずはない。数分の後。芝生の上には小さなケーキの乗った紙皿。そして相変わらず首輪をつけられたまま四つん這いにさせられている唯湖。

「ゆいこさんは犬なんだから、犬食いしなきゃね。手を使ったりしちゃだめだからね」

「ん、ぐ」

 唯湖は言われるがまま、ケーキを犬食いした。

「じゃ、僕はゆいこさんを食べようっと。それっ」

「んんぅ!」

 ずぶりと入ってくる感触。すぐにぱんぱんと音を立て始める。

「あははは。後ろでずこずこされながらケーキ食べるってどんな気分?」

「んぅーーーっ!」

「ゆいこさんの体って本当にえろいよねー。突けば突くほどぱんぱん音が鳴るし、でっかいおっぱいはゆさゆさ揺れまくりだし。何度入れてもきつくて気持ちいいよっ」

「あぅ! あくっ! あうぅっ!」

「ほらほら、お皿もぺろぺろ舐めて綺麗にしなきゃだめでしょ!」

「んんーーーっ!」

 理樹は唯湖の頭を掴み、ぐいぐいと皿に押しつける。

「あっ! んっ! はぁっ! んっ! あっあっあっ!」

「あは。本当に面白い。突けば突くほどあんあん言っちゃって。気持ちいいんだねー」

 あまりにもハードな展開。理樹の本性を媚薬が引き出したのは確かだろうけれど、決してそれだけではないと唯湖は思うのだった。





ハードな行為は尚も続く。





「あ、あ、あ!」

「ほら、一気に出して」

 滑り台の上で、唯湖は理樹に言われるがまま、大きく股を開かされる。

「ああぁ! あ、あ! あーーーーっ!」

「あはは。出てる出てる。すごい勢いだね〜」

 そうして勢いよく放尿。ぷしゃああ、と吹き出た飛沫は熱くて湯気を立てながら滑り台の上から下まで落ちていく。普段、小さな子供が遊んでいるであろう場所は、いけない遊戯に使われていた。





交われば交わる程、互いに熱くなっていく。





「あっあっあっ!」

 立ったまま、どこでも交わり合う。

「ゆいこさんの中、きつくて熱くて気持ちよくて、何回でもいけちゃいそうだよ」

 公園内の公衆トイレ……それも男子トイレの中。灯りは消えて真っ暗闇。何という場所でしているのだろうとは、もはや思わなかった。

「気持ちいいんでしょ? だったら……って、言ってよ。ほら」

「あ、あっ! お、おち○ちん気持ちいぃーーーっ!」

 言われるがままに、どんな恥ずかしい言葉も出せてしまう。それも大きな声で。





降り続ける雪すら、込み上げる火照りをおさえたりはしない。




「は、恥ずかしい……。理樹君……」

「だめだよ。そのままでいなきゃ」

 公園を出て、帰り道。サンタ帽と首輪はそのままに、今度は何故か裸のまま全身網タイツ。だけどなぜか股間とお尻、胸の部分だけは破られて剥き出し。

「ふ、服を……。コートを返して……」

「だめだって言ってるじゃない。あんまり言うとそこの橋から投げ捨てちゃうよ? 制服もコートも」

「ああ……」

 あまりの緊張感に全身が張り詰め、ぴくんと震える。

「隠しちゃだめ」

 両手で胸や股間を隠そうとすると止められる。

「今度隠そうとしたら、ゆいこさんのパンツとブラをそこらへんの家の庭に投げ込むから」

「……」

「折角だからさ」

 理樹は俣何かをたくらんで、言った。その数秒後のこと。

「ん、ん、んんんぅ! んんひぃぃぃっ!」

 大きな胸を自ら掴んで捻り上げ、自分の口でくわえ込む唯湖がいた。

「自分の乳を自分で揉んでしゃぶって気持ちいいんだね。ほら、気持ちいいって言い続けなきゃだめだよ」

「ん、ん……。あん……。気持ちいい。気持ちいいよ……あ、あ」





理樹はとにかく気紛れだった。





「あっあっあっ!」

「気持ちいいからって、そんなに喘ぐと聞こえちゃうよ?」

 道ばたの電柱にしがみつかせて背後から突き上げる。街灯がうっすらと二人を照らす町中で、堂々と交わり続ける。人がいようといまいと関係無い。むしろいた方が激しくなるかもしれない。

「あ、あ、あー……んんんんっ!」




そうしてやっと学校に帰ってきた。





 校門をよじ登る前に至ってようやく制服とコートを返されていた。それでも、これでやっと終わりとはいかなかった。

「理樹君、ありがとう」

「良かったの? こんなえっちなクリスマスでさ」

「もちろんだよ。理樹君が優しすぎるから、こんな風にハードにして欲しかったのさ。その気持ちは本当だ」

 我ながらハードすぎたと思うけれど、と理樹は言ったら、ハードなくらいが丁度いいと言ったろう? と、満面の笑みを見せながら唯湖は言った。

「それはそうと理樹君。もう一回、いけるかな?」

「大丈夫だけど。また、するの?」

「今日の最後だ」

 唯湖はタフだなあ、と理樹は思った。唯湖は唯湖で、理樹君は底なしだと今更ながらに実感していた。

 ――それからグラウンドの片隅に移動して、仰向けに寝そべる理樹に跨がり、腰を上下する唯湖がいた。

「ん、ん、ん。あ、いい……。理樹君、気持ちいい……」

「もうっ。何回やれば気が済むんだよ、この色ボケ女!」

「何回でも、大丈夫……。んっ! あっ!」

「今日何回イった?」

「も、もう。覚えてない……」

「覚えてないくらいイきまくりだなんて、本当に淫乱だよね」

「淫……乱」

「ゆいこさんみたいな人のことだよ。本当にもう、昼間とかさ。引き回してみたいよ。鎖で繋いで学校中を四つん這いで歩かせて。えろい飼い犬でしょ〜、って。みんなに見せびらかして回りたい」

「い、ぬ……」

「ほら、イっちゃいなよ!」

「あぅっ!」

 理樹は両手で唯湖の胸をむんずと掴み、揉み回した。その瞬間、唯湖はまたも絶頂を迎えさせられていた。





ゆったりと降り積もる雪が辺りを白く染める中、二人は尚も求め合った。





 学生寮に程近い倉庫の物陰。建物の壁に両手をついている唯湖に加えて後ろから重なる理樹。

「あ、あ……あぐっ!」

「ほら、鳴けよ犬」

 攻撃的な理樹の言葉は見下したように鋭く冷たい。

「あ、あぁぁ!」

 唯湖は目を見開き、口を大きくあけながら切羽詰まったような声を出している。それもそのはず、理樹が突いているのは唯湖のアヌスなのだから。ずっと埋没されていたアナルビーズを思いっきり強く引き抜かれ、唯湖は腰が抜けたように座り込んでしまったが、理樹は容赦しなかった。

「きゃふうっ!」

「お……。ま○この中のバイブの振動がケツの中にも響いてくる。気持ちいー」

「あああぅ!」

 唯湖の秘所には極太の電動バイブが根元までねじ込まれ、最大モードで蠢いていた。その上理樹のアヌス責め。しかもそれだけじゃない。唯湖の乳首にはぶぶぶぶ、と震えるローターがテープで括りつけられていた。

「あふっ! あぅっ!」

 あまりの刺激に声を押し殺して堪える唯湖だったが、理樹は許してはくれない。乱暴な位に強く唯湖の頭を掴んで、耳元で言い放つ。

「ほら、ケツの穴掘られて気持ちいいんだろ。さっさと鳴けよ。このえろ犬」

「う、ああぁ!」

「寮で寝ているみんなにも聞こえるように」

 ずぶ、ずぶ、とアヌスの小さなすぼみに理樹の極太のものが強引にねじ込まれていく。ヴヴヴヴ、と蠢くバイブは唯湖の秘所から分泌された液体によってとろとろに濡れ、糸を引いてたれて行く。

(皆がいる……。聞こえる……。そんなところで)

 公園での行為とは訳が違う。唯湖は戸惑い、逡巡した。だが……理樹は容赦なく言う。

「鳴かないのなら、大股開きしたまま校門に縛り付けて朝まで放置するよ?」

「あ……」

 何という事だろう。唯湖はそんなシチュエーションを瞬時に想像し、どくんと鼓動を高鳴らせた。こんな姿をみんなに見られたら……。そう思うと尚更心が興奮していく。朝……登校する生徒や教師達の戸惑いと恥じらいと、非難と好奇に満ちた視線が集中する。その先には全裸で体中の穴に器具を突っ込まれ、白目を剥きながらだらしなく口を開けて涎をたらし、うわごとのように気持ちいいと呟きながら悶絶している自分の姿。

「あ、締まりがきつくなった。想像して感じてるんだろ?」

「あ、ぅ……。う、ん……」

「だったら早くしろよ」

「う、う……。わ、わ……わおぉーーーんっ! あ、あ、あおぉぉぉぉんっ! わんわんわうんっ! わうーーーーーんっ! お、お尻が裂け……そうで気持ちい、いぃぃ! あ、あんっ! わおおおおんっ! あひいいいいっ!」

 唯湖は遂に鳴き始めた。プライドも何もかも全てかなぐり捨てて。けれど、何故だろうか。込み上げてくるのは熱い気持ち。その叫びは何回も続いた。理樹が唯湖のアヌスに射精し終えるまでずっと。





…………





「おはよう」

 いつもの朝がやってくる。食堂にはいつもの面々。少し遅れてやってきた唯湖は、やはりいつものようににんまりとしながら皆に挨拶をした。

「お……はようございま、す」

「ふあぁぁぁ〜。おはよう、ございましゅ……」

 血行が良くてつやつやな肌の唯湖に対し、目の下にくまができていて何だかとっても眠たそうなクドと小毬。それを見て唯湖は言った。

「とても眠たそうだな」

 それはそうだろう。二人が眠たそうな原因を作り出しておいて、唯湖はいけしゃあしゃあと言った。

「私が推測するに、クドリャフカ君と小毬君はおおかた夜中にえっちな夢でも見たのだろう? そうだろう?」

「わふっ!?」

「はぅっ!!」

 途端に反応する二人。どうして知っているんですか、とでも言いたそうな二人に対し唯湖は余裕の笑み。

「はっはっは。どうやら図星のようだな。ま、そんな思春期特有のハードな夢でも見て朝まで悶々としてしまっていたのだろう? 容易に想像できるよ、うむ」

 昨夜の事が思い出される。お○んこだの、お○んちんだの、いっちゃうだの……僅か数秒なのに、猛烈なインパクトの電話だった。あの後小毬は鼓動がおさまらず、ルームメイトに見つからないよう布団の中でこっそりと自分を慰めたのだった。ルームメイトのいないクドはと言えば、朝まで休まずに手を動かしてしまった……。それはもう、寝不足になるわけだ。理樹は二人には迷惑をかけたと思いながらも、どこかおかしくてくすりと微笑んでいた。

「それにしても……夜中野犬が鳴いててやたら騒がしかったな。皆も聞こえていなかったかい?」

 そうだったか? とでも言いたそうな者もいれば、ああそういえばそうだったっけ。とはっきりと言う者もいた。それは誰も気付いてはいない、理樹と唯湖……二人だけの知られざる秘密。いつかまたしようねと唯湖は理樹に対し後で言おうと思った。

 こうして二人の長い一夜は密かに終わりを告げた。

 けれど、理樹は未だ知らない。何食わぬ顔をして食事をとっている唯湖の秘所に、今も極太の電動バイブがねじ込まれていることなど。唯湖がこれから授業の合間や休み時間に、人気のないところでバイブのスイッチを入れては淫らな行為を楽しもうと思っている事も。そして、その程度の刺激ではもはや足りないともわかっていて、アンコールでもするかのように今夜も理樹を誘おうと思っている事など。

(クリスマスの後は、大晦日とお正月だよ。理樹君)

 さて、今度はどんな風に乱れさせてもらおうかな? 女豹のような目で唯湖は微笑むのだった。










----------後書き----------

 相も変わらずハードなお話でした。で、今回のこれは某所に寄贈。



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