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既成事実、作りました!










「ぷはぁ〜っ!」

 ダンッ! と、木製のカウンターに叩き付けるようにして、今しがた空になったジョッキを置く足柄。豪傑のようないい飲みっぷりである。そしてまた、体にあまり良くなさそうな飲み方でもあった。彼女はそのようにして、日頃から溜まりに溜まった鬱積を可能な限り晴らそうとしているのだ。

「うぇーっぷ。ほーしょーさん、も一杯くらはぃ! うぃっく」

「足柄さん……。程々にしておきましょうよ」

 一緒に飲んでいる相手は彼女の上官たる男、提督だった。常識人であり、足柄の深酒を見るに見かねて注意をするけれど……。

「あーによ! 今夜はとことんのむーっていったれしょー! ひっく。らいらいなんなのよ! みんなよってたかってあたしのことをいきおくれらの、こんかつにひっしなあらふぉーみたいだのいってばかにしてぇっ!」

「そんな事誰も言っていませんよ」

 足柄は皿の上からねぎまを一本取り、根本から一気に食らった。見事な絡み酒である。くだを巻きまくりである。既にろれつもまわっておらず、せっかくの美人が台無しである。綺麗な黒髪も、ウェーブがかったお洒落な髪型も台無しである。

「足柄さん。もういい時間ですよ。そろそろ帰りませんか?」

 時計の針はかれこれ午前一時になろうかというところ。飲み始めてかれこれ四時間はたっていた。

「夜戦れしょ夜戦! 今ましゃに夜戦の最中れしょうが! 気合を入れなしゃいよきあぃを! せんじょーが! しょーりがあたひを呼んでりゅにょよ! んん、このねぎまおいしぃ。もぐもぐもぐ。ればーもちゃんとたべるわよ」

「何、どこぞの夜戦バカな軽巡みたいなことを言っているんですか」

 夜戦が三度の飯より大好きな、忍者みたいな某軽巡の姿を思い浮かべる提督。

「あぁ? あたしゃぁね! 勝ちたいのよぅ! 何に対してもとにかく勝ちたいのぅ! 常に勝って勝ってかちつづけちゃいのよぅ!」

「何に勝つんですか。っとに」

 戦場の飢えた狼とはまさに彼女の事だなと、提督は思った。……それとも熟れた狼かな? なんて思ったけれど、ものすごく怒られそうなので口には出さなかった。そしてレバーなんか食えば更に血の気が濃くなってしまうのではなかろうかとも思ったけれど、やっぱり文句を言われそうなので口には出さなかった。

「足柄さん。最後の一杯ですよ」

 冷静さを失いまくった足柄とは別に、鳳翔がそっと一杯だけお酒を出してくれた。酔っ払いの相手は慣れているけれども、少し困ったように微笑みながら提督に『お疲れ様』と言っているかのようだった。

「そうですね。じゃあ、最後に一杯飲んだら、帰りましょう」

「あぁん!? まらまら夜はこれから……ん、ぐ、んぐ! れしょうがぁっ! うぇっぷ!」

 差し出された一杯をぐびぐびぐびびっと一気に飲み干し、足柄は吼えた。が……そこまでだった。

「あたしらってねぇ……! これれもいっしょーけんめいやってんのよぉっ! ひっく。ひっく……。みんな、ばかにしてぇっ! うぇぇっ! ぷふっ! げふぅっ!」

 しゃくりを派手に数回した後、カウンターの上にぐしゃっと潰れるように突っ伏し、そのまま動かなくなった。

「あーあ」

 遂に酔いつぶれて眠ってしまった足柄。美人で魅力的な女性なのに、どうしてこうも残念なことになってしまうのだろうか? 口元から涎を垂らし、ぐごー、ぐごーといびきをかきながら眠りに落ちた彼女を見て、提督は皿に僅かに残っていたナスとキュウリの浅漬けをポリポリと食いながら、しみじみと思うのだった。















…………















「ったくもう」

 後に残された提督は、さてこれからどうしたものかと途方に暮れていた。

「提督、大丈夫ですか? よかったら、店の奥で休んでいきませんか?」

 親切な鳳翔がそう言ってくれるが、提督は心から感謝しつつも断った。

「いえ、大丈夫です。足柄さんは、俺が責任を持って連れて行きますよ」

「そうですか」

 そうしたのには理由があったからに他ならない。

 ――日々の激務を終えて誰もが疲労困憊な中。ある時、妙高、那智、羽黒の姉妹達がとても言い辛そうに、申し訳なさそうに提督に相談をしてきたのだった。

「普段はみんなで足柄さんの愚痴にたっぷりと付き合ってあげているのだけど、今日ばかりはみんな疲れ果ててしまったとかで。夜のお酒を断りたいのだけど、断れない。と」

「それで、提督が引き受けたのですか」

「ええ。俺が相手をして適度に切り上げるから、今日はみんなゆっくり休みなって。もっとも……」

 そのことでみんなに感謝された。でも……。

「それだけじゃないんですけどね。足柄さんの相手を引き受けた理由は」

「そうでしたか」

 それは下心というやつで、決して褒められたものではないなと提督は思っていた。けれど、鳳翔は穏やかな眼差しを提督に向けながら言うのだった。

「きっと、わかってくれますよ」

「そうだといいのですけどね」

(提督の優しさ。足柄さんも、きっとわかってくれますよ)

 鳳翔は、この二人はきっとすぐに、今よりもっともっと親密な関係になるでしょうねと確信していたのだった。そしてその予測は完全に的中することになる。















…………















「う……ぐ……」

 重い、とは決して言わない。たとえ相手が重巡でも戦艦でも空母でも軽巡でも駆逐でも潜水艦でも、それは女性に対しては絶対に言ってはいけない悪魔の一言であると提督は思っていた。提督なりのデリカシーというわけだ。

「持ち、辛い」

 それは言っても構わない言葉かもしれない。足柄をおぶっているので、当然の如く提督の背中にはふくよかなものがぴったりと当たっている。しかし、こうするしか方法はない。許してくださいっていうか、こうなったのはそもそも貴方の深酒が悪いんですからねと提督は心の中で呟いた。せめてもの役得ということで、これくらいは勘弁してもらおう。しかし、むにょむにょとした感覚がこそばゆくて色々とこう、込み上げてくるものがあって困る。大変困る。

「ぐ……。も、もう少しだ。頑張れ」

 やっぱり鳳翔さんのご厚意に甘えておけばよかったかなと、提督は少しだけ後悔した。が、自室までもう少しの距離だったので、頑張ることにした。根性論は好きではないが、時として必要になることはある。今がまさにその時なのだろうなと、提督は思った。

 そうして程なくして自室に辿りつき、足柄を布団に寝かせた。

「任務、完了。ふぅぅ! つ、疲れた」

 汗だくになり、床に体を投げ出しながら提督は呟いた。

「っとにもう、なーにがいき遅れですか。……ここにこんなに貴方の事をずっと長らくお慕い申している人がいるってのに、全然気づいてくれないなんて、この鈍感娘」

 足柄が眠りこけているから、言いたい放題。普段ならば考えられない事でも言えてしまう。

「えーそうですよ。この提督は、貴方の事が大好きなんですよ。俺の深い想いに気づいて欲しいんだけどな〜。って、聞いちゃいませんよね。っとにもう。この残念な酔っ払い娘が」

 反応などあるはずがない。そう思っていた。しかし……。

「てーとくぅ。それほんとぅ?」

「は?」

 突然、むくりと起き上がる足柄。何の前触れも無く、起き上がり小法師のように。

「ホントってきーてるのよぅ」

「……。もしかして、聞いてました?」

「……うん」

「全部?」

「ぜんぶ」

「……」

「……」

 何とも言えない空気。

「……。俺じゃだめ?」

「ううん。だめじゃないわぁ」

「……。えっと、その。はい。実はずっと、足柄さんのことが好きだったんです。こんなタイミングで言うなってところでしょうけど」

 こんな適当な愛の告白があってよいものかと、提督は気まずさに指先で頬をかく。

「うれしぃ」

「そうですか」

 全ての憂さが吹き飛ばされたように、足柄は思った。そして、言うのだった。

「ええと……じゃあ、その……。する?」

「え? 何を?」

 提督が問い返すと。

「えっちなこと」

「え?」

「はだかのおつきあい。どーぶつどうしのこーび」

 何を言っているのかこの酔っ払いは。

「いきなりそっち!?」

 唐突な申し出に提督が突っこみを入れる。

「じゅんじょ、ちがう?」

「急ぎすぎだと思いますが! まずは手をつなぐとか腕を組むとか喫茶店でお茶するとか、そういった方面からかと」

「……いきおくれ」

「え?」

「わたしねぇ。いきおくれだとかいろいろひっしななアラサーだとか、いままでさんざんいわれてきたわ」

「そ、そうですか」

 あれ、アラフォー呼ばわりされてるんじゃ無かったっけと提督は思ったけれど、無論口にチャックだ。

「たしかにぃ。いままでいっぱいいそいできたけど、しくじってばかりでもーたくさん。したい。やだ?」

「え?」

「したいしたいしたい! えっちなことしたい! はつたいけんむかえたい!」

 三歳くらいのだだっ子ですかあなたは! と、提督は毒づいた。そして、さりげなく未体験な告白をされてドキドキしてしまった。

「い、嫌じゃないですけど。でもその、いいんですか? こんな、酒の勢いみたいないい加減な状況で、大切な事を。っていうか、足柄さんはやっぱりまだ酔っ払っているでしょう? 起きたら全て綺麗さっぱり忘れていて、俺に犯されたーとかハメられたーとか破廉恥なことされたーとかもうお嫁に行けないーとか、鎮守府中に言いふらしたりするんでしょう!? セクハラ疑惑をぶち上げて俺のキャリアや人生を破壊するんでしょう!? んなことしたらぶっ殺されますよ俺! 軍事裁判も銃殺刑もごめんです!」

 提督は、那智、妙高、羽黒の三人がにこやかな眼差しで、きらりと光る主砲の砲身を向けてくるという恐ろしい姿を想像した。『私たちの大切な妹(姉)によくも手を出してくれましたね』とか言われながら硬い弾丸を……。おお、恐ろしい。辞世の句なんて考えたこともないし考えたくもない。

「わたしゃーシラフよぅ! っていうかじょーきょーなんかもうどうだっていいの。とにかくおとこのひととえっちしたい! ううん、だぁれでもいいわけじゃない! わたしのことこころからすきだっていってくれるやさしぃしいひとらぶらぶえっちしたい! で! てぇとくはいまさっきすきだってめんとむかっていっちぇくれた! かんがえてみたらふだんからすっごくやさしいし! わたしもすき! だからえっちしたい! すぐしたい! 今したい! てぇとくはまじめなひとだししんらいしてる! きせーじじつつくっちゃったわーなんてぃわないわ! うぃっく」

 普段の落ちついた感じとはまるで違う、だだっ子のような足柄。

「いいわよ! してくれないならむりやりするから!」

「おわっ!」

 そしておもむろに、提督の体にのし掛かってくる足柄。か弱い女子とはいえ、艦娘に提督がかなうはずもない。

「わ、わかりました! って、乗ってこないで! わああっ!」

「むっふぅ。ていとくぅー。すきだって、もーいっかいいってぇ!」

「す、好きです! だから、乗ってこないで!」

 足柄は提督の懇願を完全無視。

「きゃあん。うれし〜。ねーねーもーいっかーい!」

「す、好きです。うあぁぁっ! 何チャックを降ろしているんですかっ!」

「んーん。すきなひとにすきっていわれるのさいこーにしゃわせぇ! いくわよぉーーーー! しょーりがあたしをよんでいるのよーーーーっ!」

「何が勝利なんですかっ!」

「ちゃくだんー! なかだしちゃくしょー!」

「二番目違うからっ!」

「わぉ。みごとなずるむけごくぶとち○ぽ〜。たくましいわぁ〜」

「ちょっとぉ!」

 狼に襲いかかられる提督。















そして……















 ダガガガガガガガッ! ズガガガガガガッ! と、そんな感覚。何というか、上から打ち付けていくような、老朽化したアスファルトをコンクリートブレーカーで思いっきり叩いてかち割っていくような感じである。

「あああああんっ! いいわぁっ! てーとくぅっ! あっあっあっあっ!」

「……うぅ。くぅぅ」

 横たわる提督の上に上半身を露にしながら跨がり、狂ったように腰を上下に揺さぶっている足柄。これが初めてだなんてまるで想像がつかない熟練感。娼婦顔負けの腰遣い。

「すごいわ! んっ! ぶっとくてながくてたくましくて! さいこーよっ! はぁぁっ! あふっ! はふっ! あんんっ! はぁんっ!」

 ぽつぽつと汗の玉が飛び散る中、足柄は首を仰け反らせながら快感に喘ぐ。

「ああんっ! このあらうまを! んくっ! ぜったぃにのりこなしてみせるわ! てーとくぅっ! あっあっ! ああんっ! はぁんっ! いいわあっ! そこっ! そこがいいの! ああんっ! そこいいっ! もっと! もっとぉ! あんっ! ああんっ!」

 提督は何もできずされるがまま。

(か、艦娘に乗りこなしてやるって言われるのも変な感じ……だ)

 提督のものはずぎゅずぎゅと、足柄の狭い膣内を容赦無くかき分けていき、絞り上げられる。

「うぅぅ。っていうか足柄さん。痛くないの?」

「あっあっ! すこしのいたみがきもちぃぃくらいよっ! ふっ! くぅっ! いくぅっ! それっ! それぇっ!」

 耐久レースというか、スポーツというか、そんな感じ。足柄の表情は恍惚としていて、それでいて頬は赤くて、それなりに恥じらってはいる模様。

「あああっ! あたしったらこんなにおーまたひらいてこしふって……。はしたないったらありゃしないわ! もうおヨメさんにいけないわぁ! ひっく」

「これだけやっておきながら何言ってるんですか!」

「んっふぅ。ちょっとていとくぅ。セキニンー。せきにんとってよねー。あたしはついさっきまではなもはじらぅおとめだったんだからぁ! わたしのしょじょうばったせきにんとってよねー!」

「自分から無理やりしてきておいて何言ってるんすか!」

「あれぇ、そうだっけー?」

「……もう、何でもいいです」

「んん〜? ていとくぅ。おこった? あっ!」

「怒ってませんよ。ただ、一連の流れに思いっきりびっくりして、戸惑ってるだけです」

「そっかー。らいじょうぶぅ? んっ。 おっぱいもむ? もみもみするぅ?」

「……既に俺の両手首を掴んで胸に押し当てておいて何言ってるんですか」

「あはは。ほらほら、もみもみしよ? ぱふぱふしよぉ? どーお、あたしのおっぱいは。んっ! りっぱでしょお?」

「……大っきくて柔らかいです」

 むにょむにょと強く揉ませる。ふくよかで柔らかくて、指がめり込む胸元。

「あっはっはー。そっかー。それじゃ、もみたくなったらいつでもいってよね。きょかしちゃうんだから! んぁっ! はぁん」

「時間と場所はわきまえますよ」

「っていうか、ていとくー」

「はいはい、何ですか?」

「あたしね。んひっ」

「だから、何ですか?」

「じつはいまー。ひそかにイっちゃってたりするんだな。んぁぁっ! きもちいぃ。ああ、いいわぁこのかんじ。はじけちゃいそう」

「そーですか。……初めてでも、気持ち良くなったりするものなんですね」

 確かに、ただでさえ狭い膣内が収縮し、締め付けが一段と強くなった。

「そんでもってさー。んんっ」

「はいはい何ですか。もったいぶらないでくださいよ」

「もーすでに、ここ。お○んこびちょびちょなんだけどさー。もっとでてきちゃいそうなんだけど。あ、なんかきちゃいそう。なんだろこれー」

「え?」

 言っている意味がよくわからなかったけれど、すぐに理解した。びしゃああああああと、おびただしい量の雫が提督の下腹部を濡らしていくのだから。

「おわああああああああっ!」

「あっあっ。でてるぅ。でてるわぁっ! いっぱいでてるぅ。やっぱこれって、しおふきってやつよねぇ。わーすごぉいくじらみたい」

「何でそんな冷静なんですか! っていうか、どいてください!」

「んっ。どかないわよぉ。ああん、なかでぐりぐりこすれるのがいいわ。クリちゃんもちくびもおもいっきりぴんこだちよ」

「ちょっと! 本当にまずい!」

「ふふ。とどめはきちんとさすわ。いきまくりなあたしのお○んこでしぼりとられて、てぇとくもざーめんでちゃいそうなんでしょう?」

「ええそうです! だからどいてくださ……」

「やだぁ。なかにだしてくれなきゃやだやだやだ! あたしのお○んこをてーとくのちょうのーこーなお○んぽミルクでたっぷたぷにしてよぉ!」

「ちょっ! う、うわああああああああああああっ!」

 提督も限界だった。膣内奥深くで達し、多くの精液を注ぎ込むことになってしまった。

「ああ……。あぁん。ずぴゅずぴゅずびゅしゃあってかんじにいっぱいでてるぅ。あつくてすっっっっごくきもちいぃぃ……。さいこぉ。たっぷりきゅーゆされちゃってるわぁ。ああ、まだぱいぷがびゅくびゅくどぷどぷしてるぅ。……おやすみなさぃ。ぐぅ……」

「って、唐突に寝るんですかい!」

 そして足柄はとろけるような表情を浮かべたまま睡魔に身をまかせ、未だ提督と繋がったまま、横たわるのだった。

「うぅ……。ぬ、抜けない! 給油はもう終わりですよ……。っとに」

 本当にがっちりとした強い締め付けで、膣内から引き抜くのに提督は大変難儀したそうな。そしてその途中で足柄がこれまた唐突に起き出して、第二ラウンドに突入したとかで。















朝。小鳥のさえずりが聞こえる中のこと。















『えー。時刻は午前四時を回ったところです。時間軸的にこれから少し過去に巻き戻される音声は、小官の名誉を守り、かつ、小官の部下である重巡洋艦娘足柄さんに重大な誤解を与えることのないようにするための予防処置であります。まず足柄さんにおかれましてはその事をご承知、ご同意の上、この大変ショッキングな録音音声を覚悟をもって確認されるものと期待します。繰り返し申し上げますが、足柄さんを辱める意図はなく、やむなき処置であることをご理解願います』

 概要の説明が始まる。誰に対して?

『昨日、当鎮守府の司令たる小官が、部下である足柄さんと共に鳳翔さんが営む居酒屋へと出向き、小官はともかく足柄さんがひどく泥酔したために、小官が自力でこの部屋へと運ぶことになったのですが――』

「提督。これは?」

「言葉通りです。これから足柄さんにとって、大変ショッキングな音声が流れますが、ご留意ください」

「え?」

 椅子に腰掛け、再生機のスピーカーを見ている提督と足柄。

『それでは、本編の音声に切り替えます』

 パッと場面が切り替わる。そこには……。

『あぁんっ! てーとくのいきりたったおち○ちん、すてきですわ! やみつきになってしまいそう!』

 ずんずんずんずんと体を激しく上下に揺さぶっていた足柄。ベッドの足が思いっきりきしむ。

『あっあっあっあっあっ! い、いくっ! いきます! いっちゃいます! はぁんっ! あっあっあああああああんっ! お○んこきもちいいぃぃぃぃぃっ! のーみそまっしろになってはじけちゃいそう!』

 膣内射精を受けながら体を仰け反らせ、絶頂を迎えている足柄。

『はぁ、はぁ……。みてくださいぃ。お○んこからこんなにあふれてきますよぉ。いとひいてますよぉ』

 どろりとこぼれ落ちる白濁液に、うっとりとした表情の足柄。

「……。あの。ていとく。これは?」

 何たる失態。あまりのショックに言葉遣いが片言のようになっている足柄。

「聞いてのとおりです。俺は昨晩このようにしてあなたに童貞を奪われたので、責任をとってくれませんか?」

 ま、まさか……そんな……ことが……。ありえ……ない……。

「わかり、ました。……責任をとって腹を、切ります。それで許していただけませんか? 介錯は、神通さんがしてくれるかしら。切れ味の良い日本刀がいいわ。なるべく苦しまないように、一思いにやって欲しいわ」

 セプク……ですか、と提督は予想外の言葉に衝撃を受けた。

「そ〜いうのじゃなくてですね。もっと責任のとり方、あるでしょ?」

「えと……。鳳翔さんのお店か間宮さんの食堂で朝から晩まで強制労働の刑とか?」

 あの二人ならきっと、優しく指導してくれるし、休憩時間もきちんとくれて残業なしで、とってもおいしいまかないつきの極めてホワイトな労働環境だろうなと、提督は思った。

「違うでしょ!」

「じ、じゃあ、どうすればいいのですか! うにゃあああああああああぁぁッ! こ、こんなことして、私……ッ! 軍事法廷ですか? 銃殺刑ですか? もういっそ、撃ち殺してください! あぁぁぁ。本当になんて事を……ッ!」

「違います。足柄さんが常日頃、普段したいしたいって言ってることを、俺はしてもらいたいんですよ! いき遅れだとか、必死なアラフォー呼ばわりされてるとか、自分で散々言ってるじゃないすか!」

 これ以上のヒントはないだろうと、提督は思った。その瞬間、混乱する足柄もさすがにゼ○シィの分厚いカタログで顔を思いっきりぶっ叩かれたように、のけぞった。

「え、えと。……もしかして、それって、け、ケッコン?」

 提督は、こくりと頷いた。

「俺じゃ嫌ですか?」

「い、嫌だなんてそんな」

 提督は極めて優秀な男で、周りに対して気配りができて、艦隊の誰からも好かれている。きっと、そのうち誰かといい仲になるのだろうと足柄はずっと思っていた。自分のくだらない愚痴にも散々付き合ってくれたし。それにしても、まさか自分とは思わなかったのだった。

「あ……。ひょっとして、そこまでじゃなくて、まずはお付き合いから始めるべきでした?」

 急ぎすぎかなと提督が思っていると。

「い、いえいえいえ! これを逃したらもう後はありません! 背水の陣です! 是非に! ふふふ、ふつつつかものですが! よよよ、よしくお願い申し上げますッ!」

「じゃあそういうわけで」

「はいぃ! ……あの。そ、それはそれとして、その音声を、消してもらえませんか? 私、穴があったら入りたいです。完全に身から出たサビですが、これ以上生き恥を晒すのは許して欲しいです」

「そ、そうですね。そんなつもりはなかったんだけど、こうでもしなければ絶対に誤解されると思って」

 その誤解はきっと、破滅を招くクラスのものだだっただろう。妙高達の主砲が四方八方から向けられ、ギラリと光っているような。

「ええそうですよね。その通りです。わかります、本当にご迷惑をおかけしました」

 未だ足柄の獣のような咆哮が派手に聞こえてくる。泥酔して上官を押し倒し、無理やり既成事実を作ってしまったのだから落ち込むのも無理はない。

「その。今度、ね。指輪……買いに行こ? 好みとかサイズとか、全然知らないから。サプライズとか、苦手なので」

「はい。……でも、本当にこんな成り行きでいいのかしら? 提督は、本気で言ってくれているんですよね? 優しいから、私を傷つけないようにとか考えていたりしませんか?」

「俺は本気です! っていうか、いいんです! 誰が何と言おうと、俺と足柄さんがいいならいいんです! ……でもその代わり、このことは絶対に秘密ですよ!」

「は、はひっ、 墓の中まで持っていきます!」

 こんなこと、一体全体誰に話せるというものですかッ! 足柄はそう思った。

「あ……。執務室、いかなきゃ」

 そうしてようやく、秘書官の務めを思い出す足柄。

「今日はいいです。非番にしましょう」

 流石にまともに執務を行える状況ではない。提督も足柄も。幸いな事に執務は落ちついているので、一日くらい不在にしても支障はないだろう。日々、最善を尽くして執務に励んでいるお陰だ。

「え、でも……」

「それに足柄さんに、お願いしたいことがあるんです。聞いてもらえませんか?」

「私に? 何ですか?」

「その……。シラフの状態で、もう一回」

「……」

 足柄は顔を真っ赤にしながら、しっかりと頷いた。

「そ、その……。優しく、してくださいね? 私。あんなことしておいて今更……ですけど」

「はい。勿論」

 不器用な二人はもう一度、体を重ねることにした。















…………















「ん……」

 そっと目を閉じて、優しくキスをして……。

「好き、です」

 好意をきちんと口にしながら、しっかりと抱きしめ合う。恋する乙女のような、ソフトな触れ合い。

「あ、ふ」

 やがて足柄は二つの膨らみをたっぷりとこね回され、乳首に吸い付かれる。

「ものすっごく恥ずかしいのですけど……」

「そうですよね」

 こんなに恥ずかしいことなのに、どうしてあんなにしてしまったのだろう。恥ずかしさと嬉しさがない混ぜになって、足柄は叫んだ。

「うにゃあああっ! わたしは酔った拍子になんてことを……!」

「もう、忘れましょう。犬に噛まれたと思って」

「噛んだのは私の方かと……」

 狼のようにがぶりと噛みつきまくったと、足柄はしょんぼりしながら思った。

「ところで足柄さん。今何をしようとしています?」

「え? 子作り、しようと思って。よいしょっと。んっ」

 提督をベッドに横たえさせて、その上に跨がろうとしている足柄。

「早い! 早いよ足柄さん!」

「そ、そうかしら? でも、いき遅れとか言われ続けてきたから」

「もう一旦ゴールしたでしょ!? これからは焦らずいきましょうよ!」

「わ、わかったわ。焦らずいくわ。って、くああぁぁっ! 何これきつい! 何この圧迫感! こんなのが私の中に入っていたっていうの!?」

 足柄はおずおずと自分の秘部に提督のものを宛がってから腰を落とし、喚きまくるのだった。

「散々やっておいて何言ってるんですか!」

 騒がしい朝はまだまだ続いていきそうだった。

 この後。二人の結婚話を聞いた妙高達姉妹は一様に驚き、喜び、そしてあの晩二人に一体何があったのだろうと話し合ったものだ。

 そして鳳翔さんは鳳翔さんで微笑みながら『やっぱり、思ったとおりになりましたね』と、二人の親密になりまくった関係をたっぷりと祝福してくれたのだった。










----------後書き----------

 幸せになって欲しいなと、そんな風に思わせる娘でしたので。ドタバタではありましたが、そのような展開にしてみました

 とりあえず設定とか見直していてカツカレーが食べたくなったので、某大手のカレーチェーンにでも行こうかな。


ご感想を頂けると嬉しいです。




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