春の夜に
簡単ななぞなぞ。高いフェンスに囲まれて、上を見れば空しか見えないような場所はどこだと問えば誰もがピンとくるだろう。答えは屋上。そんな所の真ん中からか細くも荒い吐息が小刻みに聞こえてくる。辺りは既に暗くなっていて、風は少しばかり生ぬるいくらいに暖かい。季節は春。 「澪」 浩平は耳元でささやくように、制服姿の少女の名を呼んだ。浩平と抱きしめ合いながらひたすら交わり続けている少女、澪。 当初は演劇部の練習中、のはずだった。台本片手に澪を個人指導していく浩平と、どんどん上達して行く澪。あまりにも息が合っていて、いつしか二人はハイになりすぎて時間を忘れる程熱中していたのだった。 そうして夕焼け色の空が漆黒の闇に染まりつつあるのを見てやっと我に返り、座って一休みをしていた。 『疲れたの』 タオルで汗を拭いながらスケッチブックにメッセージを書き込む澪。それに対しそうか、と浩平は頷く。一生懸命頑張った甲斐あって、次回の講演が楽しみだった。きっと大成功に終わることだろう。浩平は澪の髪を撫でてあげる。 「ご褒美」 「……?」 そうして、可愛らしくにこにことほほ笑んでいる澪の顔に近づいて、頬にキスをしてあげる。澪は少しきょとんとして首をかしげながら浩平を見つめるけれど、すぐに笑顔に戻って人懐っこい子犬のように擦り寄ってきて、今度は自分から浩平の頬にキスをした。じゃ、今度はとばかりに浩平は澪の唇にキス。そうしたら今度は澪からもお返しのキス。ご褒美は二人で分け合うのと澪は云いたそうだった。 そんな感じで楽しいキスの応酬は続いて、浩平は澪を立たせて抱き締めた。 「キスシーンの練習、忘れてたな」 練習メニューから漏れていた、とかいうわざとらしい口実。そうしてまた、キス。浩平は身長140cm台という澪の小さな体を持ち上げるようにしつつ、同時に少しばかりかがみこむ。とてもえっちな格好だなと思い、ふと……澪の耳元でささやく。 「ここで、しようぜ」 さすがにそれに対しては澪も戸惑い、恥じらう。けれど既に浩平の勢いに乗せられてしまっていて、尚かつ澪自身も興味があるから断れないし断らなかった。全ては浩平のなすがままに。 「誰も来ないし。着たままならばれないし」 それに澪は静かだから、とは云えなかった。 浩平は早速、澪の縞模様のショーツを脱がそうとしたけれど、足元の上履きに引っ掛かってしまったので面倒なのでそのままにしておいた。その方がかえってエッチに感じるし、と浩平は思った。産毛のような薄い茂みをかきわけると小さな割れ目。浩平はそれを目掛け、片手で澪のお尻を持ち上げるようにしつつ、腰をかがめて下から突き上げるような形で入り口にあてがった。 「……っ!」 一瞬の強い抵抗と共に、全てが入り込んでいく。最初はゆっくりと上下に動く。けれど、最初から澪の呼吸は荒くて表情は切なそうだったので、少し動きを緩めてキスをする。緊張を解すためのキス。 そんなことを繰り返していくうちに、やがて馴染んできたのか澪の方からも上下に動いてくれるようになってきた。必死に浩平の体にしがみつき、倒れないように。 「澪」 ふと気が付くと浩平は澪の片足を持ち上げて、徹底的に突き上げていた。がくがくと揺さぶられる澪。大きなリボンも髪も揺れている。澪の中は狭くて暖かくて、気を抜くとそのまま達してしまいそうだった。 けれど、今の態勢では澪が苦しそうだったので……。 「……っ!!」 浩平は澪の体をひっくりかえして床に手を着かせ、四つん這いにさせた。そしてそのまま腰を掴み、前後に突きまくる。汚れないようにとスカートをまくり上げてあげると澪の小さくも柔らかそうなお尻が剥き出しになり、割れ目の中を浩平のものが出入りしているのが丸分かりになる。浩平が激しく突くたびに澪のお尻がたゆみ、ぱち、ぱち、とぶつかり合う音をたてる。 「澪。いいぞ」 着たままならばれないとか云っていたのに〜、と澪は思った。勢いに任せ、浩平は澪の制服に手をかけていた。柔らかい布地の上着のボタンを外して前を開け、ブラウスをたくしあげ、ショーツとお揃いの縞模様のブラもずらして小刻みに揺れる胸を揉みしだいた。既に半分裸の状態で、誰かに見られたら一瞬でばれてしまうことだろう。そう考えて澪は顔を真っ赤にしながら耐えるけれど、乳首を摘ままれてびくっと体を震わせる。その瞬間、中の締まりが更にきつくなる事など知る由もない。 「そろそろ、いくぞ」 「……」 澪ははっきりと頷いた。ぱち、ぱち、と体同士がぶつかる音は更に激しく、ぱん、ぱん、とはっきりしたものになっていき、互いの体液が絡み合い水音のように湿り気を帯びていく。 出る……。浩平は込み上げてくる射精感を必死にこらえながら澪を突いていた。と、そんなとき。浩平は屋上へと通じるドアの向こうに人影があるのをみてしまった。澪も浩平も互いに見知った顔を。ふと、目が合ってしまうけれど、その瞳の色は他の人とは決定的に異なっていた。こんな時間にこんな所に来るような物好きならぬ、唯一無二のイレギュラーな要素。既に卒業した先輩……川名みさきだった。 「浩平くん……?」 「み、みさき先輩」 盲目の瞳は空洞のようなイメージ。みさきの髪の色と同じように黒く、何も光りを写してはいない。だから、人の気配を察するだけしかまだしていない。この場合助かった……と、云うべきなのだろうか。 「えと……。何、してるの?」 「これは……その」 問われて説明しようとして我にかえる。ふと、今も無意識のうちに澪を突きまくっていることに気づいた。それもかなり容赦なく激しく、体の挙動が完全にオートモードで自動的に動いてしまっているような感じ。側に誰かいたとわかっていても急に止められるもんじゃない。慌てながらちょっとまって、今終わらせるから。と、云った感じ。とても間の抜けたやりとり。 「っ!!」 一際大きく澪の奥まで突いて、互いに絶頂を迎えた。澪びくびくと体を震わせ、大きく口を開けて声の代わりに息を吐き出していた。浩平は澪の中から手早く引き抜いて、お尻に射精した。二度、三度、四度と繰り返し……澪のお尻の割れ目にまでたれていくほど大量に、べっとりと白く汚す。 乱れた服もそのままに、澪は脱力して床に横たわる。息は相変わらず荒い。その呼吸はみさきにもはっきりと聞こえていたようだ。 「澪ちゃん?」 ここで初めて澪はみさきの姿に気が付いたのか、跳びはねるようにして驚いて慌てふためく。そうしてスケッチブックとペンを拾い上げて書きまくる。『えとえと!!!!』とか『これにはきっとふかいわけがあるかもしれないなの!?』とか『わかさゆえのあやまちなのっ!』とか、明らかに錯乱している。書いたところでみさきには見えないことにも気付いていない。そのうちようやく落ち着いて、説明のしようがないことに気づいて、えぐえぐと涙目になる。 みさきも何となくわかったようで。 「……よくわかんないけど、内緒にしといてあげるよ」 みさきはわからないと云ってる割には、顔が真っ赤になっていく。そっか……。えっちしていたんだね……。こんなとこで……。おそとで……。はげしそうだね……。と、みさきは心の中で繰り返していた。想像力は増幅されていき、どきどきと鼓動が荒くなっていく。 「せ、先輩も……どう?」 冗談なのか本気なのか、浩平も錯乱していたのかもしれない。どうして云ってしまったのかわからない。ついつい無意識のうちに口走ってしまったとんでもない言葉だったけれど。完全に云う相手を間違っていた。みさきの好奇心は無邪気な子供のように、とても強いものだったから。 そうすれば、私も同罪になるね。
と、みさきは何となく呟いたのだった。
それは、最高の口止め方法。
「あ、あああ、ああ……っ!」 「……」 床にあぐらをかく浩平の上に、みさきは大股開きしながら椅子に座るかのようにして重なり合っていた。太く、長いものがみさきの秘所にずっぽりとはまっていき、ずんずんといった感じに大きく出入りをしているのがわかる。と、澪はそんな二人のつながった部分に舌を付けてぺろぺろと愛撫をしていた。四つん這いで、ショーツを脱いでお尻を剥き出しにしたままという、とてつもなく恥ずかしい格好で。 澪は恥ずかしいと思ったけれど、今のみさきも同じかそれ以上に恥ずかしいことをしているから、何となく平気になれたのだった。 「あ、あ、あああああっ! こ、うへいく……んっ! あああああっ!」 浩平が背後からみさきの剥き出しになった胸を揉みしだくと、澪が乳首に吸い付いてきた。大きいの、とか、あえぐ声がえっちなの、とか思いながら。 やがてみさきは浩平とともに絶頂を迎え、澪もまた二人の熱いものを顔で受け止めていく。二人の……熱いの……と、澪は火照った表情で思った。 そんな春の夜の一時だった。
----------後書き----------
何となく書きたくなったので澪。わけもなく突然澪。何年ぶりかわからないけれど澪。そして加えてみさき先輩。そんでもっていつも通りのえっちぃお話。 しかしながら、この何となくという感覚が、同人と云うべきか創作においてはやっぱり大切なのではないかなと思うのでありました。
よろしければご意見ご感想をくださいな。
|