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妹の誘惑










 それは春先の暖かい夜のこと。

 暗闇の中でも分かる温もりは、愛しくてたまらない人のもの。新吾の部屋のベッドにて、隣り合って寝そべり、ぴったりと密着している桜乃と新吾。

「お兄ちゃん」

 付き合う以前とは違い、ただの添い寝だけで済むはずがない。その証拠に、桜乃は新吾の手を見つけて掴み、そして……。

「桜乃……。だめだよ」

 新吾の諌言に、桜乃は駄々をこねるように答えた。

「して、欲しい」

 掴んだ新吾の手をいざなうように、もぞもぞとパジャマの中へ潜り込ませ、股間へ触れさせる。

「妹のお○んこ、いっぱい触って」

 既にその気になっているから、恥ずかしい言葉だって普通に出てくる。

「……」

 新吾はすべすべの肌の中に、一際柔らかい感触を見つけた。そこは、もう既にしっとりと濡れているのがわかる程準備が出来ている。桜乃の恥ずかしいところ。

「お兄ちゃんに調教されちゃったから、はしたない言葉も出てきます」

「俺、桜乃に調教なんてしてない……よ?」

 語尾に疑問符が出てくるような自信の無さ。事実のはずなのに、どきりとさせられる一言を受けて、新吾は言いきることができなかった。

「してる。……ちょっと触られただけで、ぬるぬるになっちゃうようなえっちな娘に、させられちゃった」

「俺は無意識のうちに桜乃を調教してる、と?」

「うん」

 桜乃は頷いた。どういうことなのだろうと、新吾は不思議に思うけれど、きっとそうなのだろう。桜乃としては、新吾との一言一言が時折刺激になることがあるとのこと。好きだと思うただそれだけで、体の奥から何かが込み上げてきてしまう。もっと極端に言えば、面と向かって『可愛い』と言われたり『好き』と呟かれただけで感じてしまうのだ。

「だから。わたしを調教してくれたお兄ちゃんに、これからお礼のお返しをする」

「桜乃?」

 薄い布団と毛布の中で、桜乃がもぞもぞと体をよじらせる。

「何、してるの?」

「んしょ……。んしょ……」

 新吾の問いに、間を置くかのようにあえて答えない桜乃。やがて桜乃のパジャマがパサ、と、落ちる音が聞こえる。

「半脱ぎの妹は、いかがでしょうか」

「え?」

 パジャマのズボンと下着を同時に脱ぎ捨てた模様。

「桜乃。今日はどうしたの?」

 今日の桜乃は何だか妙に積極的だなと新吾は思うのだった。桜乃の答えは、とぼけているのか本気なのかよくわからない。今の状況を一言で説明すると……。

「妹、発情中」

「わっ」

 突如として桜乃は仰向けに寝そべる新吾の体に乗っかってきた。

「お兄ちゃんとしたいから、大胆になっちゃってる」

「あっあっ! ち、ちょっと桜乃!」

 桜乃は右手で新吾の一物を捜し当て、その上に跨がる。少し強く押し込めば入ってしまう状態になっていた。

「お兄ちゃん。……妹のお○んこに、お○んちん突き立てて」

 互いの視線が至近距離で交わる。かすかな息遣いはもちろんのこと、鼓動の音すら伝わってきそう。

「だめ?」

「桜乃……」

 拒否する理由はないのだけど、何故か躊躇してしまう新吾。いつもすぐそばにいる娘と、あまりにもいけないことをしようとしていると思ったからだろうか。

「……」

 新吾の反応を見届けてから、桜乃は無言のまま、新吾の上から離れていく。もしかすると、弱腰過ぎて気を悪くさせてしまったのかもしれないと、新吾がそう思っていると……。

「怒ってなんて、いないよ」

 その一言を聞いて、心を見透かされたのかと、新吾は思った。

「ストイックなお兄ちゃんの心を動かすのには、まだ挑発が足りないようです」

 でも決して諦めない。不屈の闘志を持つ妹と、桜乃は思った。

「え?」

 桜乃はすくっと立ち上がってベッドから降りる。パジャマの上着だけではカバーし切れないお尻が見える。割れ目までくっきりと。

「ちょっと待ってて」

「あ……。ちょっと」

 新吾が『どこ行くの』と言う間もなく、桜乃は部屋の外へと出て行った。……そうして二、三分もしないうちに再び戻ってきた。

「お待たせ」

「桜乃?」

 暗闇で、よく見えはしないけれど、とんでもない異変が起きた予感がする。

「妹の痴態。見て欲しい」

「え?」

 だんだんと目が慣れていく。……ほんの僅か。少し見えただけでも十分だった。桜乃の格好はパジャマの上着と、剥き出しの下半身。そのはずが、下半身には何故かショーツではなくて……。

「桜乃? それは……」

 ここで桜乃の爆弾発言が炸裂する。

「妹、オムツはいちゃってます」

「何でっ!?」

「お兄ちゃんに、何しているんだと、そう思わせる為だから」

 あくまでいつもののんびりした口調でそう言われて、新吾は二の句を告げられない。どこでいつ入手したのかは全くわからないけれど、最初からそのつもりだったようだ。赤ちゃん用のそれをしっかりと巻き付けて、済ました顔。

「悪ふざけがすぎる。いいかげんにしなさいと、強く叱って欲しい」

「あ、あのね。桜乃……」

「叱ってくれないの?」

 残念そうにすら感じるような、淡々とした口調で桜乃は逆に問う。

「いや、その……。何というか……」

「……わかった。じゃ、もっとすごいこと、しちゃう」

「えっ!?」

「失礼、お兄ちゃん」

 桜乃は再びベッドの上に乗り、新吾の体を跨いで立って……。

「馬鹿な妹だって、怒って。なじって。叩いても、いいよ」

「そんなこと、しないから。……って、ええっ!?」

 新吾の答えを聞いてから、桜乃は次の手を打つ。

「出すよ。……んっ」

 ちょろろ、ちょろろ、と控えめだけど確かに聞こえてくる音。

「オムツはいておしっこお漏らししてる妹。この変態妹って、なじって」

「あ、ああ! さ、桜乃」

「そんなに、出ないから……大丈夫」

 嘘だった。尿意は本物で、少しで済むはずがない。ちょろちょろちょろちょろと、水音は響く。滴がこぼれ落ちていないか、桜乃も気が気ではないようだ。

「まだ、大丈夫だと思う」

「そ、そう」

 こぼしたらごめんなさい、と桜乃は心の中で呟いた。恥じらいに頬を赤らめ、目を細めている様が、新吾にはとてつもなく可愛らしく見え、一物もいつしか膨らんでしまっていた。こうして桜乃の企みは、完全に成功することになった。けれど桜乃はここにきて、もう一押しとばかりに攻勢をかけることにする。駄目押しといったところ。妖艶な笑みを見せ、そして……。

「ふふ。おむつの中におしっこがいっぱい出ちゃってるよ。どう? お兄ちゃん。こんな変態な妹は、嫌?」

 桜乃はそう言ってから新吾の服の上から一物に触れ、何度となくさすった。その効果はてきめんだった。

「う、あ……。桜乃。俺……もう、したい。桜乃の中に、入れたい!」

「……」

 桜乃は悪女にでもなったような気持ちで言った。

「だめ」

「えっ?」

「えっちは、おしっこが全部出終わるまで、おあずけ」

「そんな」

「ん……。今は、変態妹のお漏らしシーンを……食い入るように見ていて欲しい」

「う、ん」

 思わずごくりと唾を飲み込んでしまいそうな背徳感に、新吾は目を離すことが出来なかった。じっくりと見つめられてしまい、桜乃は全身をぶるると震わせた。










…………










「桜乃。いくよ」

「うん。……あっ」

 先程と違い、今度は桜乃がベッドに横たわっている。そうして、桜乃の上に覆い被さるようにして新吾が重なる。とろとろに濡れてほぐれた秘所に、杭が打ち込まれるようにして挿入が始まる。真上から体重をかけて、ゆっくりと桜乃の中に沈み込んでいく新吾のもの。

「ねえ桜乃。教えて。……どうしてあんなこと、したの?」

「んっ。……お兄ちゃんが、いつも優しすぎるから。はーどににゃんにゃんして欲しいなって、そう思ったから。あぅっ」

「それで、あえて俺を挑発して、本気モードにしたかった、と?」

「その通りでございます」

 新吾は何と答えていいかわからなかった。

「そんな事しなくても……」

「ううん。……変態って、罵って欲しい。お兄ちゃんの部屋で、おむつなんてはいて、お漏らしまでしちゃった妹だから、言われて当然」

「大胆すぎるよ」

 新吾はふと思う事があった。

「じゃあ、さ。これが終わったら、もう一度してみてよ」

「おしっこを?」

「うん。……妹に、おしっこするところ見せてなんてお願いする兄は変態だよね? それならおあいこじゃない」

「お兄ちゃん……。かないませんよ、本当に」

「して、くれるかな?」

「うん。する。……お兄ちゃんにおしっこしてるとこ、見てもらいたい。でも、その前に」

「その前に?」

「交尾」

 このまま続けて欲しい、とのこと。

「……間違っちゃいないけど、女の子が交尾だなんて言っちゃ、いけないよ?」

「お兄ちゃんにハメられた妹だから、いいの」

「それも、間違っちゃいないね」

「お兄ちゃんも、妹も変態。変態兄妹……。困った。そんなこと、誰にも言えない」

 例え親友の愛理にも。と、桜乃は思った。

「言う必要ないから。……二人だけの秘密だよ」

「うん。変態は、二人だけの秘密」

 そうして、指切りげんまんをしてみせる。

「お兄ちゃん。……おっぱいも、揉んで欲しい」

「あ、うん。……えっと、桜乃。後でさ。その……。おしゃぶり、してもらえる?」

 肉球模様のパジャマの胸元をはだけさせ、可愛らしいブラをずらして露わになった二つの膨らみを寄せ上げる。

「妹了解。あ、あ、あ」

 一つに繋がり、ゆさゆさと揺さぶられながら、二人はそんなお話を続ける。

「キスも、して。……んんぅっ」

「桜乃」

 唇同士を重ね合わせながら、ずぶ、ずぶ、ずぶ、と出入りを繰り返す二人。絡みつく肌の感触は柔らかくて瑞々しくて心地良い。

「あ、あっ。奥まで、ハメられちゃってる……」

「桜乃の中。ぬめぬめしてて、暖かくて……それでいて、締め付けてくるよ」

「お○んこの締まりがいい妹は、いかがでしょう。……あ、あぁっ!」

「もう。そんな事ばかり言って。……いくよっ」

「ふ、深い! 深いよお兄ちゃん。……あっあっあっあっあっ! あ、当たる……。奥に。奥に当たるよぉ」

 新吾は桜乃が照れ隠しのボケもできないくらいに強く、早く上下に弾むようにうごめく。そうしてやがて、桜乃の狭い膣内へと射精がなされていく。桜乃はしなやかな体をよじらせながら、熱い吐息を漏らすのだった。










…………










 リビングにて、引き続き戯れる二人。

「わたしのお口は、お兄ちゃん専用のオナホ」

 宣言しつつ、ぺろりと舌を出して、新吾の先走り液にまみれてしまった唇を更に湿らせる桜乃。

「いつでも、好きな時に使って欲しい」

 そうしてまた、大きく口を開けて新吾のものをくわえ込む。桜乃の口からそんな単語が出てくるなんて、微塵も想像できなかった。

「ん……。最高だよ、桜乃のお口は」

「んぷ。……妹のお口は最高のオナホだと、みんなに自慢できちゃいます」

 そんなこと、よく知っているなと新吾は思う。

「しないから」

「愛情込めて、ねっとりご奉仕するから」

 そうしてまた、桜乃は新吾のものを咥えこむ。

「あ、ああ……」

 いたいけな妹の口に咥え込ませている。その事実はとてつもなく背徳的で、それでいて暖かくて気持ちいい。桜乃が顔を前後させる度に、柔らかな髪を二房に結んでいるリボンが揺れる。大切な人を汚しているんだと思う度に、新吾のものはむくむくと更に膨らんでいく。










…………










 二人は尚も全裸で交わり合った。そうして互いに幾度となく絶頂を迎え……。

「ん……」

 約束通りの展開になっている。桜乃はリビングの黒いテーブルの上に腰掛けて、大きく股を開いている。はしたない、と思うのは二人揃って同じで、何を今更と開き直っていた。

「桜乃。いいよ」

「うん」

 何しろ、これから始まることは股を開くこと以上にはしたないことなのだ。きれいに、こぼさないようにというのが二人の共通認識。

「お兄ちゃん。いくよ」

 桜乃の開ききった股間から、一筋の雫が細い線のように飛び出していく。その落ちる先には、バスルームで使っているであろう空の桶。僅かな距離だけど、そんなところを目掛けて桜乃は放尿を始めた。

「ん……。お兄ちゃんによる、妹調教中……」

 桜乃は目を細め、頬を赤らめながらとぼけたことを呟いた。

「調教じゃないって。桜乃が、もっとすごいことさせてって言うから……」

 二人で話して決めたことだけど、提案者は桜乃の方だった。その間も、雫は勢いを強めながら孤を描いて落ちていく。

「あ……。こんな。みんなでご飯食べているテーブルの上で……おしっこなんて、しちゃってる。すごい……」

 桜乃の細くて白く、しなやかな肢体がぶるると震える。膝を掴む力が強くなり、僅かに爪が食い込んでいく。

「本当だよね。桜乃の恰好、すごい」

「お兄ちゃん。……このおしっこが終わったら、また……ハメて欲しい」

 またそういうはしたないことを口走って、と新吾は思うけれどあえて何も言わなかった。

「うん。いいよ。しよっか」

 新吾がそう言うと、桜乃は嬉しそうに笑顔を見せる。それと同時に、飛び散る雫が勢いを増して、床に置いてある桶を遥かに越えてしまった。そしてそれだけでなく、テーブルの上にもこぼれていっている。

「あ、あ……。桜乃」

「こぼしちゃった。……これはもう、おしおきもの」

「え?」

「おしおきの定番といえば、お尻ペンペン。スパンキング……?」

「で、できないよ。桜乃にそんなこと」

 どこまでも、お兄ちゃんは優しいな、と桜乃は思った。

「それじゃ、代わりに。……入れて欲しい」

「普通に入れるつもりだけど?」

 ピンときていない新吾に、桜乃はまたも爆弾発言。

「……。お○んこじゃなくて、お尻の方に」

 妹の大胆さに、新吾は絶句するばかりだった。










ずぶり、と突き抜けるように深くまで挿入。










「んひっ!」

 相も変わらずテーブルの上で交わる二人。四つん這いの桜乃の後ろから、新吾が密着していった。

「さ、桜乃大丈夫? 痛くない?」

「大丈夫。遠慮なくやっちゃって。……ばい、お尻を開発されちゃってる妹」

 そんなとぼけた答えを言われてしまっては、もう後にはひけなかった。

「う、うん。……あ、ああ。お、お尻ってこんなに入っていくものなんだ」

「あ、あ、あっ!」

 桜乃の細い体がしなり、テーブルの脚が床と擦れ、ギシギシと音を立てる。

「お、お兄ちゃんに……お尻の奥まで開発されましたって言ったら、愛理、なんて言うかな?」

「言っちゃだめだから。絶対だめだから」

 クラスメイトの表情が浮かぶ。きっと、呆れ果てるに違いない。ジト目で睨まれるだろうと二人揃って思う。もしくは、顔を真っ赤にして抗議をするかもしれない。

「あ、ああっ! もっと……。もっと深く……。ああっ! あふっ! あっ!」

 ずぶ、ずぶ、ずぶ、とゆっくり出入りは続く。しっとりとぬれているから、痛みはまるでない。いずれ始まるであろう、中への射精に思いをはせながら、桜乃は達していく。

「リビングの……テーブルの上でアナルファックしている兄妹は、変態だよね」

「本当にね」

「そして、お尻に入れられながら……お尻を振っちゃう妹なんて、救いようがないよね」

「そんなことはないよ。だって、俺……。桜乃のお尻、好きだから」

「……私も。お兄ちゃんのお○んちんが大好きです」

 似たもの同士だね、と二人揃ってくすくすと笑いあった。

「あっ。ひぅっ。……お兄ちゃん。お尻の中に、出して。いっぱい。……ああっ!」

 交わる動きが早まっていく。桜乃は小振りな胸をぷるぷると震わせながら喘いだ。新吾の射精が間近になっていく。桜乃のふっくらとしたお尻はぐにゃりと潰されている。

「いく……。お兄ちゃんに、お尻犯されていっちゃう妹は……変態。あっあっ。んっ! んんんんんっ!」

 どぷりと熱いものが込み上げていく。込み上げる快感を止める事などできはしなかった。










その後。










 ベッドの上にて戯れる二人。

「お兄ちゃん。はい。おっぱいですよ」

 桜乃からの提案による、シチュエーションプレイというもの。新吾を赤ちゃんに見立てて授乳。

「ちゅーちゅー吸って。ぺろぺろってして」

 桜乃は終始主導権を握って、新吾をあやしている。新吾もそれに付き合っている。

「お兄ちゃんは、妹のおっぱいで発情しているんですね」

 楽しむようにそんなことを言う。

「いつでも触って、揉んで、ぺろぺろして、いいよ。ん……」

 桜乃は優しく言いながら、少しずつ込み上げて来る快感に体を軽く震わせていった。この瞬間がずっと続いて欲しいと思いながら。















----------後書き----------

 何気なく続いているましろ色短編話。今度は桜乃のターン。

 この娘はなんだか本作のようにとんでもない事を涼しい顔をしながらしてしまいそうの思えたのでありました。新吾を振り回す様も、きっと楽しんでいるのではないかと。


ご感想を頂けると嬉しいです。





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