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新しき日々










 見てはいけない光景――。

 学校……。辺りの全てが夕暮れの色に染まりつつある頃の事。人気の無い廊下を通り抜けようとしたところで、彼女はまさにそんな光景を目撃してしまった。

「ん、んん……」

 とある教室の中から小さく、消え入りそうな声がした。例えるならそれは小動物が鳴くような切なげな響き。たまたま耳に入ってしまっただけなのに強烈なインパクトを感じた。

 一体教室の中で誰が何をしているのだろう? 年頃の彼女の中で好奇心が沸き上がり、微かに引き戸のドアを開くこととなった。音を立てないように、気付かれないように注意しながらドアを開けていく。教室の中……窓際には二人の男女がいた。

(椋……?)

 その内の一人は女生徒だった。そして、誰よりも見知った後ろ姿でもあった。彼女とは真逆の、短く切り揃えられた髪が特徴的な少女。彼女……藤林杏の双子の妹、藤林椋その人だった。

 そしてその側にいる男も見知った顔だった。椋の彼氏でもあり杏の顔なじみ、岡崎朋也。

 朋也は椋の体を強く抱き締め、キスをしていた。唇を全て覆うくらいに濃厚なディープキス。先程の声は椋のものだった。呼吸が苦しいけれど、好きな人に身を任せているという幸せさに浸る中、甘ったるい声が無意識の内に出たようだ。

 杏は何かに引き込まれたかのように、食い入るようにその光景を見続けていた。やがて二人の唇が離れる。数秒間の沈黙の後、椋が何かを云った。

(あ……んたたち。な、に……してんの……よ)

 それは杏が唖然とするような一言だった。

「ん、ん……」

 そして様相が一転する。窓際の椅子に腰掛け、机に肘を置き頬杖をついている朋也。床に両膝をつき、朋也の股間に顔を埋める椋。

(あ……)

 椅子と机が物陰になってよく見えないけれど、二人が何をしているのかははっきりと分かる。教室などでしてはいけないことをしていると。

『口で、してあげますね』

 と、つい数秒前に椋はそう云った。そして、手慣れた手つきで朋也のズボンのチャックを降ろし、露になったものを優しく撫でてから舌を這わせ、くわえ込む。

「ん、ん、ん……」

 恥ずかしがり屋で、ずっと秘めた思いを打ち明けられなくて、いつも姉に頼っていた椋。彼女はもはや姉の……杏の知らないことをしている。杏は孤独を感じた。同時に、言葉にできない感情が込み上げてくる。そうして何故だか鼓動が早くなる。二人の行為を見ていて興奮してきたのだろうか。

 今はとにかく誰もいないところにいきたかった。杏は中の二人に悟られぬよう、その場から立ち去った。





…………





「あ、あ……」

 校舎の中に数あるトイレ。その中でも旧校舎の最上階片隅。殆どの部屋が倉庫か空き教室という、誰からも忘れ去られたような場所。その女子トイレの個室にて、杏は便器の蓋を閉じ椅子代わりにして腰掛けていた。無論、ばれないように明かりも付けずにだ。辺りは段々と薄暗くなって行くけれど、構いはしない。むしろ好都合だと思った。

(何よ。何なのよ)

 杏の短いスカートの下で指が蠢く。下着が濡れるのも気にせず、敏感なところを指で擦っていじくる。

(どうして……こんな……)

 自分が今、何をしているのかわかっていた。けれど、止められなかった。

(どうしたって云うのよ。何だって云うのよ)

 なけなしの快感に、杏は苛立った。理由は明確だった。妹が好きな人と……キスを……セックスをしていたからだ。

 朋也のこと。とっくにふっ切れたはずなのに。諦めたはずなのに。身を引くことができたと思ったのに。妹と……椋と二人で交わっていた。わかっていたはずなのに、猛烈にショックを感じた。

(馬鹿あっ)

 誰に対してそう思うのだろう。恐らく自分。杏は自棄になったかのように指をめちゃくちゃに動かし続け、達しようとしていた。そんな時、異変は起こる。

(っ!?)

 ばたんと外のドアが開く。こんな時間に誰かが来たのだ。心臓が飛び出そうな思いとはこの事だった。杏は脅え、呼吸の音すら漏らすのを恐れとっさに口元を手で抑える。

「教室でもいいじゃないか」

「だめですよ。声が漏れちゃいます」

 声が聞こえる。聞き慣れた声だった。紛れも無く朋也と椋の声。

「ここなら誰も来ませんよ」

 椋の悪戯っぽい声が聞こえる。

「まあ、そうだな。でも、いい場所じゃないよな」

「掃除はきちんとされてるからきれいですよ。それに、殆ど誰も使っていませんし」

 二人は何をやろうとしているのだろう。杏は今にも荒くなりそうな呼吸を押さえながら、ドアひとつ隔てた向こう側の気配を伺う。

 だが、杏の予想に反して会話が途切れた。沈黙が数秒間続く。物音も聞こえない。呼吸はおろか鼓動の音すら聞こえてきそうな静けさに、杏は冷や汗をかく。何を……一体何をしているのと、そう言葉に出したくなる。

「あっ」

(っ!?)

 突如、椋の驚いたような声が響いた。刺されでもしたかのように、上ずった声。

「あ、あぁぁぁ……あっ! は、入ってきま……す。あうっ!」

 ずにゅ、という感触と共に椋の秘所に朋也のものがねじ込まれていく。

「んっ! あっあっあっあっ!」

 そしてすぐに、椋の断続的に続く喘ぎ声。杏は想像する。恐らく二人は今、交わっているのだろう。実際には朋也は椋を四つん這いにさせ、背後から激しく突いていた。ぱん、ぱん、ぱん、と乾いた音が断続的に響くのが何よりの証拠だった。こんなところで、そんなことをと杏は思い、必死に堪えながらも堪えきれずにはぁはぁと荒い息を吐き、頬を赤らめながらも自分の胸と秘所に指を這わせる。あたしも全く人のことは云えないわね、と自嘲気味に思う。

「あ、あ、あ……。朋也くん……。いい、です。気持ちいい……です」

「俺もだ椋。締め付けてくる」

「あ、あ、あ、あ、あ、あっ!」

 椋の喘ぎが更に大きく、淫靡なものへと変容していく。体同士がぶつかり合う音も大きく、早くなっていく。やがて朋也は達し、椋の体にぶちまけるのだろう。

 杏は指を動かす速度を速めていく。けれど、どうしても満足などできなかった。どんなに指を動かし、自分を慰めても隣で行われている行為に比べれば刺激は弱いのだから。

(何で……よ!)

 異常なシチュエーションだった。朋也と椋。壁ひとつ隔てたところにいる二人によって挑発されているかのように思えてしまう。

「あっあっあっ! ああっ! あんっ! あっ! 気持ちいいですっ。私……私……いっちゃいます! ああんっ!」

 椋はひたすら喘いだ。まくり上げられたスカート。足下までずり降ろされたショーツ。剥き出しになった丸いお尻。インナーの中に手を這わされ、ブラをたくしあげられながら激しく揉みしだかれている胸。窓際に手を付く椋は快感に溺れ、ただ揺さぶられるだけではなく自ら腰を激しくくねらせていた。

「もっと……もっと突いてぇ。もっと激しくしてぇ……ああああっ!」

(もうやめて……よ)

 いけない事をしている。朋也と椋に対してではなく、自分に対して強くそう思う。諦めた人との交わり。椋が自分だったら……。そう思ってしまい、指がうごめく。

(もう……だめ)

 ぽた、ぽた、と床に雫が落ちる。杏は一足先に達した。数秒して、椋の喘ぎが止まった。ドアの外からは朋也と椋の荒い息が聞こえる。

 やがて辺りは静まる。少ししてから二人が外へ出て行くであろうドアが閉じられる音が響いた。

「はぁ」

 杏は脱力して、しばらく動けそうになかった。





…………





「お姉ちゃん?」

「り、椋?」

 トイレから出た杏に、椋が声をかけてきた。驚きのあまり、杏は声が上ずってしまう。

「こんな時間まで、どうしたの?」

 まるで何も知らなかったかのように可愛らしい笑顔を向ける椋。つい先程まであられもない姿で乱れていたのに、全くそんなことを感じさせない。この娘は少し前まで何をしていたのかわかっているのだろうか?

「べ、別に。ちょっと……その、いろいろあったのよ」

 そう思いながらも、杏は何も言い訳できなかった。

「ふうん」

 椋は相変わらず、可愛らしい笑顔で云う。

「さ、さあ。帰るわよ」

 あんたこそどうしたのよ。普段だったらそう問い返していただろうけれどできず、強引に話題を逸らす。杏は椋に対しぷい、とそっぽを向いてそう云った。

「え? 帰れないよ?」

「何を云ってんのよ」

 椋はくすっと笑って云った。とても衝撃的な一言を。

「お姉ちゃん。オナニー気持ち良かった?」

「っ!」

 杏は、心臓がどくんと跳ね上がるように感じた。

「何を云って……」

「誤魔化さなくていいよ。物足りない、よね? やっぱり」

 今まで何をしていたのか、全て知っているんだよと――。そんな口調の椋。

「私。お姉ちゃんに謝らなければいけない」

 落ち着き払っている椋。杏の知っている椋とは別人にすら感じる程に。

「お姉ちゃんの、私と朋也くんを見る目。すごく寂しそうだった」

「……」

 淡々と続く独白。

「見ちゃったの」

 あれはいつのことだったか。杏が自室にてオナニーしているところを。そして、杏が朋也と椋の名を呟き、謝りながら泣いている所を。

「お姉ちゃん。泣きながら……謝りながら、してた」

 椋は涙を流していた。教室での行為もトイレでのセックスも、全て知った上。

「ごめんなさい。でも……もう……苦しんでるお姉ちゃんを、放っておけない」

「あ!」

 突然の事だった。杏は背後から拘束された。朋也が物音を立てずに近寄ってきたのだ。

「ごめんな杏。椋が、どうしてもって云うから……」

 とても申し訳無さそうな朋也。杏は抵抗などしなかった。杏の望みは、全てされるがままに。





それが、新たな日々の始まりとなった。





 チャイムが鳴った。長かった授業が終わり、だらだらと進行したホームルームも終わった。それから数分後のこと。杏と椋の二人は制服の下にブルマをはいたまま、互いに別々のトイレでこっそりオナニーをしていた。

(あ、ん)

 限られた時間だからこそ、椋は必死に手を動かして感じた。込み上げてくる快感に晒され、溢れそうな声を押さえ込む。

 それは杏も同じ。片手で秘所と胸をぐりぐりと愛撫し続ける。朋也にいつもされているところを想像しながら。

(ん、ん)

 そうして間もなく制限時間が訪れる。腕時計を見やって、ラストスパート。

 二人とも絶頂に達する直前でずっと耐え続けていた。あまりにももどかしい時間だったけれど。達するのが目的ではないから。

(も、もう……。あ……あっ……ああっ)

 椋はブルマを下着ごと掴んでいた。そして、自分の股間にぐりぐりと押し付け、同時にお尻にも食い込ませていた。赤い布地が千切れそうなくらいに強く……。更にそれだけではなくクリトリスをこね回し、お尻の穴を指でつついてぐりぐりと刺激させた。

(あ、あ、あああっ! ともや……くん……っ! あっ! あっ! 気持ちいいいいいっ! あああああっ!)

 椋はみだらに腰をくねらせながら、達した。

(ああああっ! 気持ちいい……気持ち……いいよぉっ!)

 椋の秘所はぐしょぐしょに濡れていき、やがて滝のようにあふれ出した。ちょろちょろと滴がこぼれ落ちていく。

 ――同時刻。別フロアのトイレ。

(あ、あたし。いきそ……あっ)

 杏は上着をたくしあげて、ブラをずらし、剥き出しになった乳首をこね回す。同時にブルマの中に手を侵入させて、指を割れ目に這わせていた。

(や……やっ。だ、だめ。すごい……これ。……あっ!)

 ぐちゅぐちゅとした感触に興奮する。体が火照ったように暖まっていく。もう少し力を加えればすぐ達してしまうことだろう。頃合いでもあるし、杏は仕上げに入ることにした。

(あ、あ、あ、あ! い、いく……いく。あたし……いっちゃう!)

 指がずぷずぷと出入りを繰り返す。感極まって、杏はお尻の穴も愛撫。

(いく……いっちゃう! あ、あ、あ……は、ぁ……ああああっ! い……っくううううっ! で、ちゃう。出ちゃうよぉぉっ!)

 達する寸前なのに、びしゃびしゃと指が濡れる。そして、溢れた。

 杏も椋も二人とも荒い息をついていた。そして、まだ余韻が覚めやらぬのか……。

「ん、ん……」

 椋は服を脱ぎ捨てて全裸になり、大きく股を開いてM字開脚。右手と左手でぐしょぐしょに濡れた秘所をこじ開けて、愛撫。

 誰もいないところで猛烈に恥ずかしい格好をしてみせる。朋也に見てほしいから……。

(朋也くん)

 同時刻。杏も椋と同じく全裸になり、胸を揉みしだいて喘いでいた。誰かに見つかろうものなら何と云われることだろう。

「あ、ん……」

 ぐい、と寄せ上げて、乳首の先端を舌でつつく。

(朋也ぁ)

 あたしの方がえっちで変態だ。この点は、たとえ大切な妹……椋であろうと譲る訳にはいかない。杏はひくひくと体を震わせながら、思った。しかし全く同じことを椋も感じていた。互いに負けたくはない。朋也はどちらを選ぶか……それは、これからわかること。

 その後。

「朋也くん」

「朋也ぁ」

 二人は再度制服に着替えてからトイレを出た。そして誰も来ないであろう建物の物陰で、スカートをたくしあげながらブルマを下着ごと足元まで降ろし、朋也に見せつける。

 あそこの濡れ具合がよかった方にはご褒美が与えられる。そういうことになっている。さて、結果は……。

「は……うっ!」

「あ、あ……っ」

 指で実際に触ってみて調べる朋也。審査の結果僅かばかりの差で椋に軍配が上がったようだ。杏はとても悔しそう。椋は建物に両手を付いて、腰を突き出した。すぐにでも朋也のものがねじ込まれていくのだろう。





淫靡な遊戯は日々、続いた。





 何の変哲もない授業中。けれど、この所密かに違うことがある。今、椋と杏の下半身には穴の空いた恥ずかしい下着。どこで手にいれたのか、時にわずかな布地のローレグ。たまに食い込ませたTバッグ。……ノーパンであることも。果ては縄で緊縛させたりさせた。椋と杏の二人は着せ替え人形のように扱われていた。

(ああ……)

 かりかりと、黒板には教師がチョークを走らせる音。椋はついついスカートの上に手を押し当ててしまう。

(オナニーしたい……)

 制服の下にはとんでもないもの。縛られている時は体に食い込む縄のラインが気になったけれど、あまりにもささいなことで誰も気づいたりはしなかった。

(気持ちいい……。今、ここで……)

 同時刻。杏は教師に差され皆の前に出て、黒板に答えを書き続ける。自然と視線が杏に集中する。スカートの薄い布地を一枚隔てた先には下着。そしてその下には縄で縛られた秘所。見られたことによりわずかに濡れてしまう秘所。

 人目を気にする事なく、衆人環視の中で自慰行為にふけりたい。いやらしい喘ぎを上げて腰をくねらせたい。誰もが見つめる中で、スカートをたくしあげてみせつけたい。そのうえで秘所を指で開いて大股開きしてみせたい。杏も椋も互いにそう思った。

 二人はそうして散々喘いだ後で、朋也に貫いてほしいと思うのだった。

 ……その後、杏と椋はこっそりと下着を交換しあった。授業中に散々濡らした下着を。そして互いにトイレでオナニーをして更に濡らし、暗い学校内でそのまま全裸に近くなるのだった。それを見て朋也は云う。

「裸じゃないから恥ずかしくないだろ?」

 裸以上に恥ずかしいと、姉妹は互いに思った。朋也はわざとそう云っているのだ。けれど、中毒になったかのようにやめられない。

「……」

「あ……」

 二人とも絶句する。乳首と乳輪をわずかに覆う布地。股間の割れ目も同じ。ものすごく布地の小さな水着。下着とも云うべきか。

「お姉ちゃん……私……もう、だめ……」

「う、ん……」

 網タイツを着させられ、頭にはうさぎ耳のカチューシャがつけられる。

「尻尾も付けような」

「あふっ!」

「んうっ!」

 更にお尻に、うさぎの尻尾が着いたバイブを突っ込まれた。

 こうして今日も淫らな時が始まる。

「朋也ぁ。あたしのおま○こに入れてぇ」

 堂々とビデオカメラで撮られる中、杏は求めた。

「ああ。椋もおねだりしないと、してやらないぞ?」

「……」

 椋は何も云えない。あまりにも恥ずかしい行為だから。越えてはいけない一線のような気がしてきたから。

「椋。云わないなら、あたしはもっと云っちゃうわよ」

 杏はくすくすと小悪魔のように微笑む。椋の望みを知りつつ、自分も朋也を求める。わざといやらしいことを云いまくって椋を煽り立てるかのように。椋の心を見透かしたかのように媚びた声を上げる。

「朋也ぁ。来てぇ。あたしのぐしょぐしょになっちゃったおま○こに、朋也のおっきなおちん○んちょうだぁい」

 杏は両足を大きく開き、ぐしょぐしょに濡れた秘所を指でこじ開けて挑発するかのように求める。なまめかしい色のそこは柔らかくもきつく締め付けてくるのだろう。

「だってさ。椋はいいのか? 云われたからにはしてやらないとな」

 いいわけがない。杏は、云わないなら朋也を独り占めしちゃうわよと暗に云っているのだった。椋も危機感を抱く。

「入れて……ください。と、朋也くん」

 負ける訳にはいかない。例え姉だとしても。

「椋? それだけ?」

 杏は更に挑発するように云う。悔しいと思う。それでも椋はふと我に返り、躊躇してしまう。

「あぅ……」

「あたしが朋也を独り占めしちゃうわよ?」

 さあ云ってと、杏は椋の背中を押したのだった。

 椋は何かをふっ切った。リミッタを解除するかのように、恥じらいを吹っ飛ばすかのように。怒涛のように淫語を繰り返した。

「私のお……おま○こに! 朋也くんのおっきなおちん○ん入れて、ず……ずこずこして、ください。おま○こに! おま○こにくださいいぃ! おちん○んく ださいぃぃ!」

 云い切った。椋はもう、何も不安に感じることはなくなっていた。

 姉妹での、はしたない求め合いは続いた。これからも、ずっとそうだろう。





…………





 椋は体をのけぞらせて喘いだ。朋也の指が何度も体の中を出入りしていくから。くちゅくちゅと湿った音を響かせながら、椋は絶叫を上げる。

「ああああああ〜〜〜!」

 教室の窓の外を目がけて潮をふく。

「どうだ?」

「あ、あ、あ……き、気持ちいい……です」

 放物線を描いて流れ落ちて行く滴は月の光に当たり、きらきらと輝いていた。こんなところでいけないことをするのがあまりにも気持ちいい。椋は杏と共に全裸。

「どこにいく?」

 息も絶え絶えな椋を横目に、杏が朋也に聞く。

「そうだな」

 朋也は少し考えて、そして。

「う、う……」

 椋は胸と秘所を隠した。二人の行為を見て、人目に触れないところで服を脱ぎ捨てた事はあったけれど。そのまま徘徊するのは初めてなのだから。意味などないとはわかっていつつ、体が動いてしまう。

「椋。隠しちゃだめだ」

「だ、だって」

「大丈夫だって」

 警備員はおろか、宿直の先生などいない。全て確認済みだ。

「今日は椋と二人で友達の家に泊まるって電話して来たから、そっちも大丈夫よ」

「だってさ」

「う……」

 暗い廊下を出て、がらんとした靴箱を出て、街頭のかすかな光が照らす桜並木を越えて、校門までやってきた。当然のことながら既に門は閉められていた。

 朋也はポケットから鍵を取り出した。こんなところのものまで合鍵を入手してあるようだった。

「ここで、しようぜ」

「え……」

「うん」

 朋也は二人を塀の上に上らせた。そして学校名の書いてある札の上に座らせ、そのまま大きく股を開かせる。そうして、ひらひらした秘肉を指でこじ開けさせる。毛を剃られたそこは何も遮るものなどなく、薄いピンク色がなまめかしかった。

「あ」

 ぱしゃり、と写真を撮られた。椋は思わず声を出してしまった。こんな写真……誰かに見られたら。そう思うと背筋が震える。それは杏も同じこと。脅迫材料にでもされてしまうかなとも、朋也にはもう逆らえないのかな、などとのんきに思う。

「……。こん……な、とこ……で」

「おねえ……ちゃん……」

「姉妹揃ってこんなとこでM字開脚なんて、いい風景だな」

 そして、朋也は求めた。そのまま、出せよと。

「椋」

「う、ん」

 杏は椋に目配せする。そして、いくわよと云った。

 しょろろ、と音を立てて二人の股間から滴が放物線を上げていく。

 校門からは延々と続く下り坂。二人が生み出した滴が線を描き、流れ落ちて行く。二筋の滴が平行に並んでいた。

「椋頑張れ。杏に負けてるぞ」

「う……く……」

 先程潮をふいたばかりだからか、出す勢いは杏に対し若干劣っていた。椋は目をきつく閉じながら必死に下腹部に力を込める。顔が燃え上がりそうなくらい恥ずかしい……けれど、絶対に負けたくはない。椋の方も勢いを増すが、杏はそれ以上だった。

「う、あ……」

 やがて互いに出し終えたのか、勢いが衰える。ぽたぽたと滴が落ちて、壁を伝う。学校名の書いてある札も濡れた。すさまじい背徳感だった。

「杏の勝ちだな」

 杏は穏やかに目を閉じ、椋は落胆したように目をふせる。

 そして朋也は杏の手を壁に着かせて……。

「ご褒美だ」

「あ、あ、あっ!」

 挿入し、激しく突き始めた。手加減無用とばかり、いきなり奥まで叩きつける。

「お姉ちゃん。気持ちよさそう」

「う、うん。椋ぉ……気持ち、いい……よぉ。あっあっ!」

「椋もすぐしてやるからな」

「……」

 すぐしてもらえるんだと思った椋は、ほっとすると同時に股間に熱く込み上げてくるものを感じた。ぱん、ぱん、と体同士がぶつかる音。姉と朋也が交わるのを見て、興奮して、濡れてしまった。早くこんなふうにしてもらいたい。深く突き上げて、犯してほしい。

「あっ! あっ! ああああっ!」

 長い髪を振り乱しながら腰を振り続ける。杏のか細くも切ない喘ぎ声。椋は無意識のうちに、秘所に手を伸ばしていじくりはじめていた。





姉妹と朋也の淫靡な行為は続く。





それが三人の、新しき日々。










----------後書き----------

 久々に二次のえっちぃの。杏×椋ものでした。

 もうそろそろリトバスのシリーズを開始しようかなとも思います。


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