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ある雨の日の授業中。直枝理樹は来ヶ谷唯湖からのメールを受け取った。またいつもの、退屈を紛らわすためのどうでもいい内容なのかと思いながら、教師に見つからないように机の中で携帯を開き、メッセージを読む。 窓の外は今日も雨。この数日間、永遠にやまないかのような長い長い雨が降り続けていた。このままだと世界は水没してしまうんじゃないか。そう思わせるくらいに。 長雨は少しばかり気分を陰鬱にさせたけれど、まあ仕方がないか。と、思うことにした。自然が織り成す何の変哲もない事象。どこか逃れられないような、繰り返される日常の一風景。……だと、理樹は思っていた。しかし。 『歯車がずれてるどころじゃなくて、脱落してるよ。この世界は』 理樹はすぐに、呆れながら思うことになるのだった。 例えるならば、そう。授業中に黒板を見て、ノートにペンを走らせても周りの人々は誰も何とも思わない。思いはしない。思う訳がない。『普通』のことなのだから当然のことだ。彼女がこれから行うことはあくまでそれと同じような感覚だった。 『面白いものを見せてあげよう』 という内容にメールに理樹は、どうせまたくだらないことでも考えているのだろう。と、思いながらメールの送り主の方をちらりと見た。 直後に理樹は度肝を抜かれることになる。それもそのはず。唯湖は授業中だと云うのに突然立ち上がり、何を思ったのかおもむろに服を脱ぎ捨てるのだった。それも、豪快に。見せつけるように。 「え!? ええっ!?」 しかし、目を見開いて驚く理樹の予想に反し、教師も生徒も誰も止めることはおろか、反応すらしなかった。一部の例外(例えるなら、昼寝をしているような筋肉野郎)を除き、みんなまるでなにも起こってないかのように一心不乱にノートを取り続けていた。そしてそのまま唯湖は上着を脱ぎ、ブラウスのボタンも外して脱ぎ去り、一気に上半身をさらけ出す。 「フフ」 唯湖は理樹の反応は予想通り、と云わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。 「み、みんな何とも思わないの!?」 と、思わず理樹が叫ぶもそれでも誰も反応せず無視。井ノ原真人に至っては、気だるそうに、鬱陶しそうに理樹に云った。 「あぁ? 普通のことだろ?」 何を騒いでいるんだ、と、そんな感じにあくびをして再度机に突っ伏した。理樹はただただ呆然とするだけだった。この世界は何も起こっていない。自分は存在しないように扱われて、大いに不安になる。 そうしているうちに唯湖は自分の机の上に腰掛けて、理樹に更に見せつけるようにして下着を脱いで大股開きして、局部を丸出しにするのだった。無修正の秘所が露わになる。 「な! な! 何やってんのっ!? さっきから何やってんのっ!? ち、ちょっと!」 「うむ。君を色仕掛けで誘っているのだよ」 そのまんまではあるが、まるで説明になっていない。もはやTPOがどうこうの問題ではないのだが。更に誘惑は続く。 「でだ。理樹君。頼みがあるんだ。私のここにな、君のものを入れて欲しいのだが」 右手の人差し指と中指で、淡いピンク色の秘所を開いて見せつける。 「なぁっ!? い、嫌だよそんなのっ! みんな何とか云ってよ! おかしいよこんなのっ! 何で! どうして!?」 事情を知らずに慌てふためきパニック状態に陥る理樹を見て、唯湖はますます面白そうに笑みを浮かべる。 「では仕方がない。ご希望に応じてスカートも脱ぐとするか」 望んでない! と、理樹が云うより早くスカートを脱ぎ、ショーツをぽいっと投げ捨てた。そうしたらちょうどコントロールが良かったようで、机につっぷしたままの真人の頭の上にぽふっと落ちた。真人もそれに気づいたようで、拾って手で広げてみせる。 「んあ? 何だぁこれは? ……って。おおっ。何だかよくわからんが、これをかぶれば筋肉が付きそうだな!」 「いや、ないから」 寝ぼけている、のだろう。きっとそうだ。そうでないとおかしい。……そうであってくれ、と理樹は願った上で突っこみを入れるのだったが、その期待は完全に裏切られる事になる。いくら真人がアホであってもそりゃないだろうと信じたのに。 「いや、あるぞ。そうだな。それを頭にかぶってみるといい。弾力のあるショーツが脳みその筋肉に負荷をかけ、鍛えることができるであろうことを保証するよ」 真人をおちょくる唯湖だが、真人は真剣にそれを実行した。 「うおお! そいつはいいことを聞いたぜ! おっしゃぁ、早速装着! うおおお! 本当だ! すごいうねりだ!」 「それじゃへ、変態だよ真人! やめてよ!」 もはや真人(21)と書いてロリのレベルではない、と理樹は思った。 「いややめねぇ! 止めるんじゃねぇ理樹! うおおおおっ! 脳内筋肉活性化! 脳筋! 脳筋! 脳筋!」 女性用の下着を頭に被り、わけもわからずハイテンションな真人だった。 あまりにも異常な空間。教室内は六月に外で雪が降っても誰も驚かないような、そんな雰囲気があった。下手なコントでもしているかのような現実感の無さに、理樹はくらくらしてしまう。 更に追い打ちをかけるように突然校内放送が入る。 『授業中に済まない。全校の皆、聞いてくれ。俺は三年の棗恭介だ。今から重大な告白をしようと思う。……俺は、ロリコンだ。もう誤魔化したりしない! ロリ最高! 今からロリロリ団の設立を宣言するっ! そして……! 重度のシスコンでもあるっ! 鈴、聞いてるかっ?』 でかい声で、気合いが入ってるのが見て取れる。彼は本気だ。 妹の鈴が聞いたら何と云うのだろう、と思ったのだが。当の鈴は無反応のまま、ノートを取っていた。と、云うよりも。誰も何も聞いていないかのように無反応だった。 そこに、一人の男が立ち上がる。それは……。 「ふっ」 不敵な笑みをこぼしながら宮沢謙吾現る。だが。 「俺は剣道よりも極めるべきものを見つけた」 「ええっ!?」 絶句する理樹に、全てを悟ったかのように謙吾は云う。 「それは……筋肉道」 彼は剣を置いた。今までありがとう、と一言残して。とても優しく、哀しく、どこか吹っ切れたような表情で。……数秒後。彼の目は鋭く、戦う男のものになる。 「はああっ!」 絶叫とともに剣道着の上着をはだけさせる。そこにはあるものが存在していた。真人はそれを見て驚愕する。 「なにいぃぃっ!?」 「真人よ。筋肉はお前だけのものではないということを教えてやる」 そうか。やはりお前とは永遠のライバル同士なのだな。と、理解。そして二人、筋肉で戦うことになった。戦うルールは簡単だ。互いに筋肉を見せつけ合って、迫力のある方が勝ち。それ以上でも、以下でもない。実に平和的かつ迫力に満ちていた。 「見ろ! はおぉっ!」 おおおおお、とクラスの皆が感嘆の声を上げる。いつも筋肉筋肉うるさい真人の専売特許と思われていたものが、謙吾にも存在していたのだ! 「へっ。面白いじゃねーか。見せてやるぜ、真の筋肉ってやつをよぉっ! はあああああっ!」 俄然やる気になる真人。気合いを入れて力を込めたら上着がびりびりびりっと破けてはじけ飛んだ。そして接戦が繰り広げられる中。第三の男が参戦する。 意外な男。ダークホース。そう。棗恭介が参戦することになる。 「待てよお前ら。俺を忘れるんじゃねぇ! この、ロリハントで身につけたコンパクトな筋肉を見ずに戦うんじゃねぇ!」 彼はこの日が来ることを予測し、密かに地道な筋トレをしていたのだ。突如机の上に乗り、制服を全て脱ぎ捨てる。……そこには、赤いふんどしが! 「しゃらくせぇ!」 「ふ。甘いぞ恭介!」 二人とも服を脱ぎ捨てる。そこにはやはり赤いふんどしが! 「いくぜ恭介ぇっ!」 「俺は誰にも負けん!」 「ふっ。それでこそ俺たちロリロリハンターズだぜっ!」 彼らの筋肉から、まばゆい光りが発せられていく……。 「な、何が何だか。僕は夢でも見ているんだろうか」 くらくらしてきて、思わず云った一言。それこそが真理だった。 「ご名答だ理樹君。ようやく気づいてくれたか」 そして、一通り騒いだところでようやく改めて説明。もはや理樹は何でも受け入れるつもりでいた。どんな無茶苦茶な話であっても。 「ここはずばり、私の夢が叶う世界。だから理樹君としっぽりたっぷりむふふなことをいっぱいしたいのだよ」 唯湖はそう云いつつ、全裸のまま教卓の上に腰掛ける。クラスメイト数十人の目の前でそんな姿を晒しても、やはり誰も何とも思わないし云わない。教師に至っては、教卓を避けつつ授業を続ける。大きな荷物でも乗っかっているかのように、ごく自然の動作で避けて動く。 「というわけで。時間を気にせずじっくりとお姉さんと戯れようじゃないか」 「僕、吸い尽くされそうなんだけど」 「大丈夫。君の熱きマグマのような精液も、無尽蔵に出るだろうから。夢の世界なのだから射精力も∞だ。思う存分消防車の放水の如く放ってくれたまえ」 恐らくそうなのだろう。そして理樹は何かに引きつけられるかのように、体が勝手に動くかのように服を脱ぎつつ、唯湖に近付いてそして。 「さぁ。君の思春期特有の熱き欲望を私にぶつけてくれたまえ」 「うぅ」 誘われるままに、ズボンのチャックを下ろし、唯湖の体に重ね合わせる。 「んっ。……ちなみに中出しし放題だからな。何も気にすることはない」 「そん、なっ」 理樹も教卓を椅子代わりにして腰掛けて、その上に唯湖が重なるかのように腰掛けた。理樹の大きなものは唯湖の中に埋没していき……。唯湖はすぐさま腰を上下に揺さぶる。 「んっんっ。いいぞ理樹君」 「あっあっ。こんな……みんなの前で」 授業中の静かな教室内に、二人の吐息だけが響く。体を揺さぶる度に、教卓はギシギシと揺れる。 「なに。理樹君はバックがいいのか。そうかそうか」 「云ってないよそんなことっ! って、あぁっ!」 まさに問答無用。数秒後、唯湖は教卓の上に四つん這いになり、理樹はその腰をがっちりと掴んで動物のように突きまくっていた。 「んっんっ。なかなか、上手いぞ理樹君」 「ああっ! ああっ! もうっ!」 「それはそうと理樹君。みんなの前で白昼堂々とセックスをするのはどういう気分だい?」 「ど、どういうって。どうかしてるよ! 何だかもう、サイズの合わない歯車が無理矢理かみ合ってバキバキと砕けていそうな世界だよ。ここは」 やけっぱちになって云ったのだが、実に正しい例えだなと理樹は思った。 「フフ。そうだな。よし」 この世界において、彼女は神なのだろう。だから何でも許されるし、できるのだろう。そんなことを理樹は思い浮かべて、唯湖もそれを察したのだろう。 「でもな。私にも、やってはいけないことくらいはわかるぞ。だから安心してほしい」 仮に夢の世界だろうと大事にするし、普段と変わらない。彼女なりの安全宣言だった。 「今してる行為もやってはいけないことだと思うのだけど」 「そうかな。これからすることに比べれば、そうでもないと思うのだが。そもそも」 君はまだ理解していない、と唯湖は云った。 しかし、理解できるわけもない理樹は、それはやってはいけなくない程度の事なのでしょうか。と思った。 これからすること。それは……。
『現実に戻りたいだろう』 と、唯湖は云った。当然の事ながら理樹は頷いて、唯湖は続ける。 『ならば。私のことを心底軽蔑すればいい。そうすればすぐにでも戻れる。ま……今までの行為だけでも十分軽蔑に値するだろうがな』 そんなことはない。当然の事ながら、そんなことできない。と理樹は云った。その答えも承知済みだったようで、唯湖は続ける。 『私はこれから、とてもひどいことをする。夢の中とは云え、な。皆には本当に申し訳ないと承知の上だが、本気で君を試す。それでも君はここに留まり続けるられるかな?』 彼女の目はあくまで本気だった。ならば、自分も肝を据えるのみだ。理樹はそう思った。勝負……とはちょっと違う。挑戦、それも少し違う。あえて近い行為を云うならば、我慢比べだろう。唯湖は理樹に、正常な世界に戻ってもらいたいと望んでいる。だが、心の底では違うのだろう。 そうか、と理樹は全てを理解した。別れが待っているのだ。永遠か、それともどこかで再会できるのか。記憶すら定かではなくなる別れが。 ならば、どんな酷いことでも自分が受け入れるしかないのだ。 そして始まる行為。理樹はもう、何も云わなかった。 ……もし仮に現実世界で同じ事をしたら、卒倒するだろうな。と理樹は思った。その相手とは、神北小毬。厳密には、小毬をはじめとした数人のこと。リトルバスターズの仲間たち。 「理樹く〜ん。えっちしましょ〜」 いつもの口調。普段どおりの明るく、間延びした声でとんでもないことを云いながら小毬は自らスカートを捲り上げて露わになった下着を足下までずり下ろし、黒板に両手を付いてお尻を突き出した。下着の色は薄緑と白。理樹がいつか見た縞々模様だった。 「小毬さん……」 小毬のお尻は真ん丸で、とても柔らかそうに見えた。そして、実際そうだった。 「入れるよ」 「うん。入れてぇ〜」 理樹は何かに動かされたように、自然に小毬の中に自分のものを入れていく。この世界がそれを望んだかのように、止められなかった。恐らくは、止めようと思っても止められないのだろう。理樹も全てを理解しつつあった。傷つくのは自分だけでいい。自分から望んで動いているのだから、彼女は悪くない。プログラムされたかのように、理樹のものを大歓迎で受け入れた。 「あ、あぁ、あぁん。理樹君の……お、大きいよ〜」 やがて全て埋没。理樹はゆっくりと動き始める。 「あ、んっ」 小毬の中は柔らかく、それでいてきつく締め付けてきて、理樹は段々と出し入れの速度を速めていく。本当にこれは夢の中なのか、と疑ってしまうくらい現実と遜色ない感覚で、気持ち良かった。実は全て現実で、事前にあらゆる打ち合わせが行われていたのではないか、などと思うくらいに。 「あ、あ、あ。いいよ理樹君。もっともっと〜。もっと突いてぇ〜」 突く度に、小毬の柔らかいお尻がたゆみ、形を変える。同時に、服の上からも分かる胸の膨らみが、ふるふると揺れていて、理樹は手を伸ばす。触ってみたかったから。きっと、前からそう思っていたはずだ。そうに決まっている。 小毬の胸は手で揉むとふにゅ、という感触と共につぶれる。手を離すと形が戻り、ふるると震える。これが女の子なんだ、と理樹は改めて思った。先程の唯湖との行為はなし崩し的で、全然心の準備ができていなかったから今更ながら実感する。 「小毬さん。僕、もう……いくよ」 「うん。いっぱい出してね。……あっあっあっ!」 理樹は小毬を犯すかのように激しく突き上げながら胸を揉みまくった。そして程なくして達し、小毬の中に射精。小毬の中から、白い液体がこぽ、と音を立てそうなくらい垂れてきて、ソックスを汚していった。 「はぅっ! あ、あ……。熱いよぉ」 大量に射精した後も、理樹のものは衰えることを知らなかった。唯湖がそうさせているのかもしれない。射精され、自らも達し、はあはあと荒い息を付き、脱力して座り込む小毬の横には……。 「リキー!」 小毬に比べて一際小柄な少女。と、云うよりも小毬以外の誰と比べても小柄だった。そんなマスコットのような少女、能美クドリャフカ。いつもと変わらず元気いっぱいな彼女は子犬のように理樹に飛びついてきた。 「今度は私の番なのですよー!」 もう準備OKとばかりに、先程の小毬と同じように下着を足下までずり降ろし、お尻を突き出す。意外なほどに肉付きの良いお尻の中に、小さなすぼみと一筋の割れ目が見えた。全く収まっていないどころか、更に高まってくる射精感に、理樹は一気に終わらせる決意をする。 「クド。行くよ」 「さー・いえっさー! れっついんさーとなのですー!」 クドの体は小柄なので、理樹は多少腰をかがめなければいけなかった。少しだけならいいのだけど、長時間続けていくと億劫になっていき……。 「わふっ!?」 クドの両足を折りたたむかのようにして、そのまま持ち上げてしまった。そして挿入が始まり、理樹のものは柔らかな温もりに包まれていく。 「あっあっあっあっあっ! ははは、入ってきますううううっ! きききききついですうううっ! わわわ、私の中はななな、なろーばんどなのですぅぅぅっ!」 「ごめんねクド。すぐ終わらせるから」 そのまま凄まじい速度でおもちゃのように揺さぶられるクドだった。 「あ、あ、あ、あ、あ! え、えくすたしぃ、なのです……ああああっ!」 そしてそれから。次の相手は三枝葉留佳。何だかとてもノリノリだった。 「あはは! 理樹君すごーい! あっあっあっあっ! そこっ。そこぉっ。もっと激しくぅっ!」 そのまた更に次のターゲット。西園美魚。淡泊なようでいて、リードするのは理樹だった。 「……。鬼畜プレイも、歓迎ですよ」 次の次のターゲットと事は進んでいく。そして……。 「ふう」 「あぅ……。理樹……。すごい……。気持ち良かった……ぞ」 脱力し、崩れ落ちるのは、理樹の幼馴染み棗鈴。彼女が最後だった。 「あぁ。僕。……早漏なんだな」 改めてわかると凹むが、それ以上に罪悪感が押し寄せてくる。黒板の前には座り込みながら、スカートを捲れ上がらせ、白くて綺麗なお尻をはだけさせている少女達。今し方理樹と交わったが故に、秘所から白い精液がたれている。 「来ヶ谷さん。終わったよ。これでよかったの?」 「……」 いつの間にやら服を着ていた唯湖は机に腰掛けていた。そして、理解しがたいと云った風に目を伏せて問う。 「君は、誰が好みだ?」 自分よりも誰か好きな人がいるだろう。と暗に聞いているのだった。そうか。そんなことを確かめるがために。そして、心変わりを促すためにこんな事をしたのか。と理樹は悟っていた。 「来ヶ谷さん」 「どうして君は」 そうなんだ、と云いかけたところで理樹に唇を重ねられていた。不意打ちでもくらったかのように、唯湖は目を見開いた。 「……っ!」 「好きなんだから、しょうがないよ。それにね……ほら」 唇を離しながら、背後を見やる。 「唯ちゃんがんばって〜」 何となく事情を察したのか、小毬は笑顔だった。 「いいのですよ来ヶ谷さん」 クドも同じ。 「姉御ー! はるちんのお墨付きなのだから安心するのだー!」 「元々……。直枝さんはタイプでしたから」 葉留佳も。美魚も。 「何故、だ」 プログラムの暴走、とでも云うのだろうか。唯湖の予想を超えた反応が返ってきた。 合わせていられなくて伏せた目から涙が一粒。私が何をしたのかわかっているのか、と云った。許されざることをした。例え幻の世界であったとしても、大切な人達を弄んだ。その心を見透かしたかのように理樹は云った。 「よくも、エッチな夢を見せてくれたね」 あくまで笑顔で、やってくれたねぇ。と。……目覚めてみたら、ズボンの中がとんでもないことになっていそうだ。きっと大洪水の大惨事。 「こんなことされたら尚更、忘れるわけないじゃないか」 「理樹……君」 理樹は近づく。唯湖は動けない。唇が重なる。そのまま下着をずらし、入れる。 「あ……あ」 「折角だから。みんなに見せつけてあげようよ」 理樹はくすくすと笑った。突如、教室の中がざわめく。理樹が主導権を握り返したように。世界は再び動き出した。 「理樹っ! お前何やってんだっ!」 「ひゃああああああああっ! りりりりり、理樹君と唯ちゃん何やってんのおおおおおっ!?」 鈴の絶叫が発端だった。小毬は顔を真っ赤にして卒倒し、教師は呆気に取られ。そして女生徒たちの羞恥にあふれた声が響きわたる。信じられないものを見たような悲鳴が。 「う、あ……」 唯湖は理解した。理樹は、一瞬ではあるものの夢の中に現実を持ち込んだ。今は現実の世界で、授業中だと云うのにみんなの前でセックスをしているのだ。全員見ている……見られた。 でも、誰も止めることはおろか、二人に触れることさえできなかった。すぐ側まで来ることならできるのに。例えるなら、テレビの画面に映されているかのような、エッチなビデオを見ているかのようだった。二人だけの世界を誰もが覗き見して大騒ぎしている。 「みんなに見られながらするって、どんな気分?」 「あ……あ、あ……」 唯湖はあまりの恥ずかしさに絶句。いつの間にか理樹に制服を全て脱がされて、全裸。そしてそのまま入れられたまま揺さぶられる。 「あ、あ、あ……」 理樹は体位を変え、背後に回る。そして唯湖の大きな胸を何度も大きく揉みしだきながら、廊下へと出る。云うまでもなく一つになったまま。 誰もがざわめきながら廊下に出て来る。真人や恭介が怒鳴るが、やはり二人に触れることすらできない。 「ん、ん、ん……」 唯湖は羞恥も限界に達し、何かがふっ切れた。妙に客観的に、自分を見つめている。回りの声も、ざわめきも何も耳に入らない。それにしても、随分と刺激的なお仕置きだな、と思った。理樹君は案外Sなんだな、とも。いやいや、SどころかどSだな。でも……自分が先程した事に比べれば、大したことではないか。何しろ自分は大切な人達を犯し、弄んだのだから。これが罪か。ならば、いいんじゃなかろうか。全力で付き合ったって、理樹君の動きに合わせて淫らに腰を振ったりしても。優しい温もりに身を任せ、大切な人の歩みを止めたって。変態呼ばわりされても軽蔑されてもいいだろう。 「あっあっあっあっ! い、いい! 理樹君、気持ちいいっ! そこ……そこがいいのっ! ああっああっ! もっと! もっとぉ! もっと強く、してぇっ!」 散々卑猥な声を上げて、快感をむさぼる。誰もが見ている目の前で何度も達し、大股開きをして秘所をぐしょぐしょに濡らす。淫乱だと思われてもいい。何と思われてもいい。見られて感じているのは事実なのだから。 夢はまだ、終わりを向かえない。 きっとまた、繰り返されるのだろう。 ずっと、これからも。 二人の気が済むまで。 ----------後書き----------
というわけでリトバス初作品。……のっけから変なもんになってもうた。
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