【迷い子たちの旅路】
















カタンコトンカタンコトン…

静かに響く音。
まだ朝早く、車内に人影は殆ど見えない。
窓から見える外は、見渡す限りの新緑と…海…。
その中をゆっくりと進む一両編成のローカル線…。
そこに存在する一つの独立した空間…。
…悠久の時と静寂の中の…独立した世界が存在していた。
幻想的な世界は…。
一人、また一人と…人を誘う…。
新たなる、心の旅へと。















香里「あらあら。…まるで詩人ね(^^;)」
幼少の頃に受けた傷… トラウマと言ったほうがわかりやすいかな?
それ(トラウマ)は一生…死ぬまで残るものだといわれているよね。
だからかな『旅』という特別な刺激…雰囲気において人は、ノスタルジック(望郷的)センチメンタル(感傷的)になりやすいのは…。
流れる時間や風景などを見ていると、いろいろ考えさせられることが多いと思います。
事実、僕もそうです。
将来の夢や目標、不安なことや心配なこと…。今、弱気なことや好きな人のこと、友人のこと、趣味のこと…。
自分自身の存在から何から何までね。
今回書いた作品の基本コンセプトは『愛し合うだけでは癒えない傷』ということ。
普段隠されていた傷を旅という世界が表面化させ、癒してくれる。
だけどその課程には、それ相当の歪(ヒズミ)がつきまとう。
過去の自分との対峙…。トラウマとの対峙…。
俗に言う足かせが。
香里「…な、なんかシリアスですごいわね。論調が…(T_T;)」
…これはそんな二人のお話です。
長いお話になってしまいましたが、お付き合いいいただけましたら幸いです。
それではどうぞ…。

Caution! 
Over 18 Years Old Only.

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
















サラサラ















サラサラ















降り積もる雪…冷たい雪…



それはあたかも、永遠に続くかのように



少女の…小さい体にも…



降り積もってゆく…



『ゆういち、おそいなぁ…』



もう五時間も



来ない人を待ちつづけている…



『はあ〜っ』



これで何度目だろう?



はく息が白くて、大きくて…



悲しくて…



それでも涙は凍らずに…流れ落ちる…































……。
「くー……うにゅ……ん……」
太陽が昇りはじめ・・・車窓から、朝日の光を目にした私は夢から覚めました。
不思議。
普段、どんなに早くてもこんな時間に起きることなんて滅多にないのに。
まるで朝日の魔法みたいだね。
街の中とは違う…日常とは違う…解放された雰囲気…と、いうのかな?
今まで考えつかなかったようなことも、頭に浮かんでくるよ。
それくらい、車内には朝日の綺麗な光が射し込んでいました。
街中と違って…空が広くて…深い。
吸い込まれそうなほど…眩しい蒼空…。
ふと、向かいの席に目を向けると祐一の眠る姿が見えます。
くすっ。
可愛い寝顔だね。
「……ん……あ………ぁぁぁぁ〜…ふわぁ〜」

グッ。

朝日が眩しかったのか、祐一も目を覚ましたみたい。
体を伸ばしています。
「祐一、おはよう」
「ん…ああ、おはよう…ふわぁぁぁ〜」
祐一は、まだ眠たそうに目をこすってます。
「くすっ。祐一ホントに眠たそうだよ〜」
「当たり前だ。家を出るときあれだけ手こずらされりゃ、眠たくもなるわい!」
「あ…ごめんね、昨日は早く寝たんだけど、ダメだったみたい」
少し前のことだけど…出発の朝。ちゃんと目覚しかけて起きようとしたんだけど…いつものように私は大寝坊してしまい、祐一に叩き起こされたのでした。
「ちなみに昨日の夜は何時頃寝たんだ?」
「七時…」
「それは早過ぎると思うぞ」
「うー、ごめん…。これからはもっと努力するよ」
「せっかく二人で旅行することになって、電車に遅れたくはないからな。次からは頼むぜ」
「うん。おっけーだよ」
祐一の言う通り、私たちは二人で旅行をしています。
ローカル線に乗って、二人で一緒に。
…あれは一週間ほど前のことでした。
お母さんからこの旅行のお話が持ちかけられたのは…。





パタン

「ただいま〜」
「お帰りなさい」
祐一が転校してきて二ヶ月ほどがたった。
…後少しで学校も春休みに入るのだけど、まだまだ寒くて雪もたくさん残っています。
慣れない地に来て、慌ただしい時を過ごしたせいか、祐一の体調はあまりよくなさそうです。
本当に…。
本当に色々……あったから。
朝寝坊な私をいつもいつも起こしてくれて。
お母さんが事故にあった時も…私のことを気遣ってくれて、一晩中そばにいてくれたり…。
他にも…慣れない気候や、範囲の違う授業…。
自分を知っている人が殆どいない…一人ぼっちの場所…。
今までとは違う…新しい土地に来て戸惑い、感じたストレスはかなりのものだと思います。
私が祐一と同じ立場だったら、多分ホームシックになっていると思います。
だから…癒してあげたい。
祐一の心を。
私は、昔から祐一に支えられてばかりだったから。
だから今度は…私が祐一を…支えてあげたい…。
ほんの少しでも…力になってあげたい…。
「祐一、あのね」
「…」
「祐一?」
返事がないのでのぞき込んでみると、祐一はソファーに横になって静かな寝息を立てていました。
疲れて眠っちゃったみたい。

すっ

私は祐一が風邪を引かないように毛布を掛けてあげました。
ゆっくり休んで…ね。
「名雪。あなたにお話があるんだけど」
「お母さん。なにかな?」
私の顔をじっと見つめて、お母さんが悪戯っぽく微笑んだ。
う〜…これはきっと何か企んでる顔だよ。
「祐一さんと二人で、一泊二日の旅行に行ってみない?」
「…祐一と二人で?」
「そう。私の知り合いが旅行券をくれたんだけど、その日はお仕事が入っちゃってね。だからあなたと祐一さんの二人でどうかしら?」
二人きりなんて…だ、大胆だよ〜、お母さん!
そりゃ…行きたいけれど…女の子の私と…男の子の祐一の二人りっきりだなんて…。
嬉しいけどちょっとこわいよ〜。
祐一、エッチだもん…。
「で、でもでもでもっ!!二人だよ!?二人っきりだよ!?二人っきりで…旅行に行っちゃっても…いいの!?」
二人っきりだよ二人っきり!?
二人っきりで旅行だよ〜!?
ということは一日中一緒…。
朝も昼も夜も。
きゃ〜〜!
恥ずかしいよ〜!
「いいわよ。だって、二人とも母親公認の仲なんだから。堂々と旅行してもいいのよ。くすっ」
「えっ!?お、お母さん…どうしてわかるの?」
このことは秘密にしていたのに…。
「あなた達を見ていればわかるわよ」
「…」
「くすっ。私が知らないとでも思った?」
…思わず顔がかぁっと熱くなる。
きっとお母さんは全部わかっていたんだ。
ずっとずっと…前から…。
「ふふ。祐一さんはあなたの『一番大切な人』なんだから、何も心配してないわよ。…それに、旅行といっても温泉旅館に一泊するだけよ」
「…」
そう。
お母さんの言うとおり、祐一は私の『一番大切な人』…。
ずっとずっと…七年間も…待ち続けていた人…。
遅れることはあっても、必ず約束を守ってくれる人…。
私が生まれて初めて…好きになった男の子…。
これまでも…これからも…ずっと…。
好き…。
「祐一さんは、私が事故で入院していたときあなたをずっと守っていてくれたんでしょ?」
「…うん」
あのとき…お母さんが事故にあって入院したとき、祐一が側にいてくれなかったら私は…。
笑顔を取り戻せたかな…?
ううん。多分、笑顔を無くしていたと思う…。
こわくてこわくて……心を閉ざしていたと思う…。
祐一が側にいてくれなかったら…。
「祐一さんがこの街にやってきてから色んなことがあったわ。本当に…」
ソファーで眠る祐一を見ながら、お母さんは笑いました。
「でも。祐一さんが疲れているのもわかるわ。だから、癒してあげて」
私に…できるのかな?
「それができるのは、あなただけよ…」
…。
「うん…」





…と、いうことがあったんです。
お母さんはきっと私たちに気を遣ってくれたんだと思うけど。
でも…嬉しい。
祐一と二人っきりで…旅行…。
ずっと一緒。
ホントはね、朝寝坊したのは昨日の夜…全然眠れなかったからなんだよ。
ドキドキしちゃって…。
まるで、小学校の遠足の前日みたいに。

キキィィィ…

そんなことを考えていたら、電車が停車駅についたみたい。
海辺の小さな駅に。
「名雪、この駅でしばらく停車するみたいだから弁当とお茶を買ってこようぜ」
「うんっ」
二人でホームを歩いていると、朝の涼しい風が私たちに向かって吹いてくる。
すごく…気持ちがいいよ。
「涼しくて気持ちいいね、祐一」
「そうか?俺は…ちょっと寒い…」
そうだね。
気持ちいいけどちょっと…寒いね。
「くすっ。じゃ、暖かいお茶を買ってくるね」
「ああ」
美味しそうなお弁当を二つと、お飲物を何本か買ってから席に戻りました。
「祐一、トランプやろうよ〜」
「あ、いいねえ。じゃあポーカーやろうぜ」

スッスッスッスッ!

なれた手つきでカードをシャッフル(混ぜる)祐一。
う〜、上手だよぉ。
私それ上手くできないんだよ〜。
いつも混ぜている途中にバラバラ落っこちちゃって…。
うらやましい。
「ふふふ。私、こう見えてもポーカー強いんだよ〜」
「ほお。意外だなぁ」
「香里にいつも鍛えられてるから」
香里は物凄く強いんだよ〜!
いつも手加減無しの本気だから…。
強い相手と勝負するとこっちも強くなるから。
だから私はいつのまにかポーカーが得意になっちゃった。
ひょっとして才能あるのかな?
なんちゃって。
えへへ。
「なーるほど。どう見ても『天才女性ギャンブラー』な香里に鍛えられたのか。よし!じゃあ俺も本気でいくぜ!」
「負けないよ〜!」
まだ旅ははじまったばかり。
祐一と一緒の…。
大好きな人と一緒の…楽しい旅…。
いつまでも続いて欲しい…時間。















ペタペタ…



白い…雪…



固めて作ろう…ゆきうさぎを…



できたら祐一に渡すんだ



お別れする前に…



みつあみも…綺麗に編めたし…



リボンも…祐一の好きな色…



ペタペタ…



不器用だけど一生懸命



私、頑張って作ったよ…



『ゆういち、よろこんでくれるかなぁ…』



一番好きな人に…想いを込めて…



ペタペタ…















「…」
「祐一?」
会話が途切れて気がついた。
祐一は寝ちゃったんだ。
あれから二人でずっとトランプやったんだけど、祐一強いよ〜!
『フッ!ばれなければイカサマとは言わないのだよ、名雪君!』
とか言ってこっそり別のカードを袖に隠してたり、靴に鏡を仕込んで私の作戦を読んだり…。
それに気づかない私は負けてばかり。
卑怯だよ〜!
うー。
熱くなった私は祐一にやられ放題…。
悔しいよ〜!
今度やるときは絶対仕返ししてやるもん!
でもすごく…楽しかったな…。
「ふわぁぁ〜…あ?俺…寝てた?」
「あ、起こしちゃってごめんね。用があるわけじゃなかったんだけど…」
「ん。俺、もう一度寝るよ。ついたら起こしてくれ…」
「うん」
そういって横になる祐一。
やっぱり疲れてる。
無理いって一緒に来てもらったけど。
お母さんの言っていた言葉が頭をよぎります。
『癒してあげて』という言葉が…。
だから…私は…。
「祐一」
「何だ、名雪?」
「膝枕…してあげるよ…」
「えっ!?い、いいよ」
「でも、そのままじゃ頭痛いでしょ?」
座席は思ったより狭くてゴツゴツしてるから…。
「そ、そうだけどさ…」
「誰もいないから恥ずかしくないから、ねっ」
「…うん」

ぽさっ

「ど、どう。祐一…」
「ん、暖かくて…柔らかくて…気持ちいいよ…名雪」
「そ、そう…」
私は祐一の隣に座って膝枕をしてあげました。
祐一も恥かしかったみたいで、顔が熱かったです。
ちょっと恥かしいけれど…でも、祐一だから…。
大好きな恋人(ヒト)だから。
これくらい…いつでも…いくらでも…してあげるよ…。















サクッ…サクッ



木の葉と木の実をつけたゆきうさぎ



一生懸命作ったゆきうさぎ…



きっと喜んでくれるよね?



今日でお別れだから…



しばらくの…お別れだから…



お別れする前に…どうしても…伝えたいことがあるの…



祐一に



私の気持ちを…



私は歩きだした…



あの人の…所に…



みつあみを…ゆらしながら…















ザザァァァ…

「祐一、夕日が綺麗だね」
「ああ。そうだな」
夕方になって宿につきました。
前は海で後ろは山。
駅から少し離れた小高い丘の上という、すごく見晴らしのいい所にありました。
ちょっと離れた所にある岬に、灯台が見えます。
夜になったらピカピカ光るんでしょうね。
私たちは荷物を置いて一緒にお散歩をしています。
風はまだまだ冷たいけれど、とても気持ちがいいよ〜。
水平線に沈む太陽がとてもロマンチック。
海を赤く染めています。
「ちょっと座ろうか」
「うんっ」

すっ

砂の上に座って、夕陽を眺めながら…。
お話しよう…祐一と…。

サァァァ…

浜辺には涼しい風が吹いてきて、私の髪を揺らします。
「きゃっ。髪が乱れちゃうよ〜…」
慌てて押さえる私…。

フサッ…

「祐一?」
「名雪の髪って、ほんとに綺麗だよな。いい香りがする…」
祐一が風になびいた私の髪を優しく撫でてくれました。
「…ありがと」
私の髪を…誉めてくれた。
『綺麗』だって。
前にもあったけど。
「そういえば名雪は昔、三つ編みだったんだよな…?」
「うん」
「何でやめたんだ?」
それは…。
「祐一」
「なんだ?」
「私と…はじめてあった時のこと、おぼえてる?」
祐一はうろ覚えだと言ってたけど…。
私は全部覚えているよ。
いっぱいお話して…いっぱい遊んで…。
たまに喧嘩して…。
でも…すぐに仲直りして…。
一緒にご飯食べて…一緒にお風呂入って…一緒のお布団で寝て…。
冬が来るのが待ち遠しかった…。
「覚えてるよ」
「じゃあ、最初にお話したことは…おぼえてる?」
「…」
口に手を当てて必死に思い出そうとしている祐一。
やっぱりそうだよね。
最初にお話したこと。
あの時のこと。
「ごめん。そこまでは…」
申し訳なさそうに俯く祐一。
「あは…そう…だよね。……忘れちゃったよ…ね。……うっ………ぐすっ………」
不意に流れ落ちる涙。
「名雪」
おぼえてるはず無いよね。
だって。
とても悲しい事があったから。
仕方のないこと…だよ…。
祐一は…悪くないよ…。
だけど…。
「ごめん…」
イヤ…。
どうして涙が……出てくるの?
誰も悪く……ないのに。
「ううん祐一は悪く…ないよ…」
「名雪…」
困った表情の祐一…。 「ごめん…ね。私…泣いたりして……うっく……ひっ…」
ダメだよ。
こんな姿見せちゃ…。
「うっ……ぐすっ……ひっく…ひっ…うっく……」

ザザァァァン…

波の音が静かに聞こえました。
止まらない涙が失われた時と二人の間を…行き交うかのように…。















スッ



頭の上に乗せたゆきうさぎ



お別れと…私の…想いを込めて…



『ゆういち。…これ、うけとってもらえるかな?』



『これ、ゆきうさぎっていうんだよ…』



『わたし…ぶきようだから…じかんかかっちゃったけど』



『いっしょうけんめいつくったんだよ…』



『ゆういちに…うけとってもらいたいから…』



『また…このまちにきてほしいから…』



『また…いっしょに…あそんでほしいから…』



『ずっといえなかったけど…』



『わたし、ゆういちのこと…』






























『すきだよ』






























バシッ!































『あっ…』



パサッ…



パラパラ…



『あ……あは。…ゆきうさぎ…こわれちゃったね…』



祐一の…手…。



祐一に壊されてバラバラになって落ちた…ゆきうさぎ…。



葉っぱの耳も、木の実の目も。



なにもかも…。



崩れ去った…ゆきうさぎ…。



『ひっく……。ごめんね……』



『ぐすっ。…わたしが……わるいんだよね……うっ…』



涙を堪え…無理に笑顔を作りながら…。



『…ごめんね』



必死に言葉を紡ぎ出す…。



『…あした…あってくれないかな?』



『ちゃんとおわかれいいたいから…』



『おねがい…』



だけど。



祐一の耳には…何一つ届いていなかった。



その時の祐一は…目も…耳も…口も…心も消えていたから…。



なにもかも…。



しんじゃった…ゆきうさぎ…。



届かなかった…想い…。















「祐一、ご飯おいしかったね…」
「…ああ」
宿に戻った私たちはお風呂に入って、それからお部屋で夕ご飯を食べました。
今の時期はシーズンオフらしくて、殆ど他のお客さんはいません。
まるで私たちの貸し切りみたいです。
ちょっとうれしいな。
でも…。
「おいしかったけど、お母さんのご飯のほうが…もっと…おいしいよね…」
「…ああ」
浜辺で私が涙なんか見せちゃったから、ものすごく気まずい雰囲気です。
祐一の表情が暗い。
口数も少なくなってしまったし…。
『祐一は何も悪くないよ』とは言ったけれど…それでも…。
そんなの気休めにもならない…よね。
祐一を癒してあげるどころか…そんなことを言ってしまうなんて…。
どうして…?
どうして私は…あんな…祐一を傷つけるようなことをしてしまったのだろう…?
人は過去を忘れていく生き物だから。
…だから…生きていけるのに。
忘れてしまうのは…仕方のないことなのに…。
誰も悪くないのに。
それでも祐一を責めて。
いつも私を守ってくれる…大切な…恋人(ヒト)を傷つけて…。
本当は『どうして忘れたのよ!』とでも、きついこと言って…祐一を追及したかったのでしょ?
私は本当は祐一を……許せるわけ……ないんでしょ?
…私は?
ヒドイ。
冷たい女。
嫌い。
こんな私なんて…。
キライ……。
「名雪…今日は…もう寝よう…。明日もあるんだからさ」
「…」
私は返事をしなかった。
癒してあげるどころか…傷つけてしまったことを…。
心の底で……祐一に謝ることだけで……精一杯だったから……。















キライ…















『あう……。…ゆ、ゆういち…くん…』



『なゆきちゃん…』



あの時の…私と……祐一……。



お母さんに付き添われて、はじめて出会った時の。



『くすっ。従兄弟の祐一さんよ。ちゃんとご挨拶なさい、名雪』



お母さん…。



あは……今も全然変わらないね……。



『あの……よろしく……』



『う……ん……』



出会ったばかりのぎこちない関係…。



二人とも、とても恥ずかしがってたんだっけ。



名前を呼び合うことですら……顔が真っ赤になるほど……。



『ぁ…………あの…………あの…………その…………えっと…………』



何かお話しなくちゃ!



そう思ってたんだっけ……。



でも…恥ずかしくて…。



真っ赤になって俯く…小さい頃の…私。



そんな私に……祐一が言った言葉…は…。






























『みつあみ……かわいいね……』






























すごく嬉しかった…。



自分でも…気に入っていたから…。



お母さんに編み方を教えてもらった……みつあみ……。



生まれて初めて……好きになった……男の子に……。



『かわいい』って、ほめてもらったから…。



みつあみにしていれば。



いつまでも……一緒にいてくれると思ったから…。



綺麗なリボンもつけて…。



いつもおしゃれをしていた。



ずっとずっと…。



このままだと思っていたんだ。



私は永遠に変わらないと…。



思っていたんだ。






























『………あ、ありが……と…………ゆういち…………くん…………』





























チャプン…

ここは露天風呂。
静かに水音が響きます。
私以外に、誰もいない露天風呂。
あの頃の夢を見て……目が覚めてしまったから…。
嫌な汗を掻いて…気持ち悪かったから…。
普段こんなこと滅多に無いのに…。
「ふう…」
どうしてあんな夢を見てしまったのだろう?
もう……昔のこと……。
ずっと昔の…ことなのに…。
悲しかったけれど。
吹っ切れたことだと…思ったのに…。
祐一は悪くないのに。
どうしても…忘れられない…。
私の体が……忘れてくれない……。
祐一は今…私のことを……想ってくれているのに……。
「………ゆきうさぎ………みつあみ………」
私は自分の髪を手にとって、見つめながら…。
幼い頃を思い浮かべていた…。
あの頃のことを…。















サラサラ



『…』



ヒュウヒュウと、風音が響いています。



吹き付ける雪は冷たくて、頬が痛い…。



辺りも暗くなってきて…寂しくて…。



心細くて。



それでも……ひたすら待ちつづける……。



約束した……あの人を……。



涙を……堪えながら……。



『クシュンッ!』



きっと……きてくれるから……。



しんじているから。



だから。



ずっと……まちつづける……。



あの人が誉めてくれた…みつあみと……リボンをつけて……。



すっ



突然…私の前に現れた影。



思わず私は顔を上げた。



『ゆういち…?』



『名雪』



でも。



それは……私の待ち望んでいた人ではなく…。



『…』



おかあさん?



『お家に帰りましょ』



優しく笑って諭すように言うお母さん。



だけど。



『いや…』



スッ



『ほら、こんなに冷たくなっちゃって…。お家に帰りましょ。暖かいから…』



私の頬に暖かい手が触れた……。



暖かくて優しい……お母さんの手……。



『いや…』



『どうして、帰りたくないの?』



『っ!……だ、だって………えぐっ………だって………ゆういちと約束したんだもんっ!………ここで会う約束……したんだもんっ……!』



堪えきれずに流れ落ちる涙…。



『…名雪』




『えぐっ……えぐっ……ち……ちゃんと……おわかれいうんだもんっ!……また………あいたいもん…………!』



押さえきれない感情。



『…』



『わたし……ゆういちのこと………すきだもん………ぇっ………ぐ………』



届かなかった想い。



『だから………まつんだもんっ!……えぐっ……ゆういちが………きてくれるまで………!』



『…』



『まつんだ………もん……』



お母さんはただ、優しく…。



『そう…。……祐一さんは…また……来てくれるわ。だから今日は……帰りましょ。お家に………』



『えぐ……うそ……だよ……』



『ううん。嘘じゃないわ。本当よ…。だから……ねっ』



『ぐす……ほんとうに?……ゆういちは……わたしのこと……きらいじゃないの……?』



『当たり前よ』



『ほんとうにほんとう?』



『本当に本当よ』



『ほんとうにほんとうにほんとう?』



『くす…。本当に本当に本当よ』



『…』



それが偽りの言葉だと…わかっていても…。



お母さんは…優しかった…。



私に優しく笑いかけてくれた。



だから私は…待ちつづけた…。



偽りの…キセキを信じて…。






























七年前の…冬…。






























フサッ

お風呂上りの塗れた髪にバスタオルを当てる。
真夜中だから、私一人だけの静かな更衣室。
「…」
鏡に映った私。
うさぎのように…赤い目…。
どれほど泣いたのだろう?
…人は…変わっていく生き物…。
どんな人だって…そう…。
あの頃と今とは何もかもが違う。
私も祐一も。
それなのに、私は…。
過ぎ去った過去の……許したはずの……傷に泣き……。
逆に、大切な人を傷つけていく。
…。
嫌い。
私なんて。
「…」
鏡に映った私。
無表情で…何も答えず…何も考えていない…。
もう一人の私。
それに導かれるかのように。
惑わされるかのように。
私は。
無意識のうちに髪を編み。
みつあみにしていた。
「…そんなことして、また…祐一を…傷つけるの?」

『…』

何も答えない…鏡の中の私…。
…もう一人の私。
「…そう」
それなら…傷つけてもらおう。
祐一に。
詰られて……犯されて……壊されて……。
そうすればきっと…救われる…。
もう一人の…私を…壊せば…。
祐一が『嫌だ』と言ってくれるのなら…それだけでも…充分…。
目覚めてしまった…もう一人の…私…。
みつあみの…小さな…女の子…。






























…みつあみの…おんなのこを………こわせば………。






























すっ

襖を開けて、部屋に戻る。
祐一はもう眠っているはずの…暗い部屋の中に…。
けれど。
「……名雪?」
祐一は起きていた…。
「名雪…その髪は…?」
「…」
本当は…祐一には…見られたくなかった…。
永遠に…忘れたままでいて欲しかった…。
それなのに私は…みつあみを…みせた…。
「私がみつあみをやめた理由はね…」
止まらない…言葉…。
もう一人の私が紬出す…。
でも。
それだけは絶対に嫌だった。
「あ……っく」

『七年前。…あなたが私を捨てたからなのよ』

必死にその言葉を飲み込もうとした…。
でも…だめ。
それは私の言葉ではない…。
だけど…同じ私。……もう一人の私が…。

『どうしてあの時…来なかったのよ?』

「名雪…」
「…っ!」
やめ…て…。

『どうして…私を傷つけたのよ?』

「…」
「くっ…!」
おねが……い……。

『何が……「みつあみかわいい」ですって?』

「…」
「……うぐっ!」
もう……やめ……て……。

『あんたなんて……最低よっ!』

「…」
「……やぁっ!……いやぁっ!」
「名雪!」
「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてぇぇぇぇぇっ!!!」
それ以上……祐一を……傷つけないでっ!
私の大切な人を……ひどくいわないでっ!
私の…………大切な…………人を…………うっく…………ううっ…………。

嫌……。
嫌…………。
いやっ!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
嫌い……。
嫌い…………。
きらいっ!
私なんてっ!!
だいっきらいっ!!!
「ひっくひっく……うっうっ………ぐすっ…………え…………っく…………」
「名雪…」

ぎゅっ

泣きじゃくる私を…祐一は優しく…抱きしめてくれた…。
こんな私でも…。
もう一人の私を押さえることすらできず…。
ううん……それは……私自身……。
祐一を詰って……傷つけた……私でも。
祐一は。
「……っ!……ゆう……いち…………うっく…………ぐ……ひぐっ………」
「今の名雪は凄く……可哀想だ……」
可哀想……ですって?
祐一は…自分が傷つけられたのに?
私があれだけヒドイことを言ったのに?
「…………し……………わ………た…………し…………うぐっ」
まともに声が出ない……。
それでも…懸命に搾り出す…。
「わた…………し…………ほんとうの………わた……し………祐一を傷つけた。………『どうして忘れたのよ?』なんて言って………追求した………『あなたが私を捨てたからなのよ』なんて……祐一を………大切な…………人を………なじって………傷つけて………」
「…」
「祐一は……何も……悪くないのに………私は………私は…………うっく………ぐっ………」
「もう、いいよ…」
「っ!よくない…よ………ぜんぜん………」
「名雪…」
「私のこと………なじってよっ!……『ひどい女だ』って言って傷つけてよっ!……気が済むまで叩いて………壊してよっ!…………わたしを…………わたしを…………っ!」
「名雪…」
「こんなわたしなんて…………こわしちゃってよ…………うっ…………」
そうすれば…………救われる…………だから…………。

くっ

「っ!」
「……」
「ん……む……っくぅ……」
突然のキス…。
祐一が私を引き寄せて…キスをした。
深く…長い……キスを……。
「ゆう…いち……?」
「…ばぁか。誰がお前を『ヒドイ女だ』なんて言うかよ。俺は全部知ってるんだよ…」
「…え?」
「秋子さんに言われたんだ。この旅行で『名雪の傷を癒して欲しい』ってな…」
おかあさんが?
「『祐一さん…私が事故にあった時、名雪の側にいてくれてありがとう。だけどあの子はまだ……それを引きずっているわ。今取り除いてあげないと一生……あの子は。だからお願いします。あの子の傷を取り除いてあげてください…』ってね…」
「…」
私は呆気にとられてしまいました。
祐一を癒すどころか・・・癒されていたから。
「その時の秋子さんさ、床に正座して深々と頭を下げるもんだからさ俺も恐縮しちゃったよ。だから言ったんだ『あ、秋子さん…そんなことするのやめてください。俺達はみんな…家族じゃないですか』って慌ててさ。『俺にも名雪の様子は分かりますよ』なんてね。あははは」
「…」
かなわないな。お母さんには…あは…は…。
「一本取られたんだよお前は。っふ……ふふふ…あははは…あっはっは…」
「そう………だね………くすっ……ふふふふっ」
それから暫く二人で笑いました。
あまりにもおかしくておかしくて…笑いが止まらなかったから…。
「みつあみの事も思い出したよ…。ホントに懐かしいよなぁ…」
祐一は私のみつあみを、懐かしそうにクシャクシャと弄くりながら。















『グスッグスッ』



届かなかった想い…。



止まらない涙…。



凍えるように寒く…暗い部屋…。



ギュッ



『けろぴー…』



いつも見守ってくれる…お気に入りのぬいぐるみ…。



『わたし…ふられちゃった…』



ポタポタと落ちた涙を吸い取って…。



一緒に泣いてくれるかのように。



だけど。



『あは…………ばかだよね…………わたし…………』



『こないって………』



ポタッ



ポタッ



止めどなく流れ落ちる雫…。



『ゆういちは…………こないって…………わかっていたのに………』



フルフルッ



無理矢理に涙を払おうと…頭を振ると…。



みつあみの長い髪がまとわりつく。



祐一が…ほめてくれた……みつあみ……。



初めて会ったときから……大好きだった人に……。






























『みつあみ……かわいいね……』






























あのひとの…ことば……。



『っ!』



もう……いらない……!



あのひとがみてくれない……。



みつあみ………なんて………!



『ぐすっ………いらないっ!』



チャキッ



手に持ったはさみで…。






























シャッ!






























パサッ……






























ポトッ…






























静かに床に落ちた…二つのみつあみ…。



もう二度と…編むことは…ない。



『ひ……っく…………さよ………な……ら…………グスッ………』






























もう二度と会えない……大好きな人と共に……。






























暗闇の……底に……落ちた……。





























クシャクシャ

「もう二度と見られないはずだったんだな。このみつあみ…」
「ゆう……いち……ぐすっ……」
失われた想い出が……よみがえって…。
「……いまでもかわいい………よ。みつあみ……」
「ぁ……!」
もう一度……言ってくれるなんて…。
あの時の言葉を。
「ゆきうさぎもみつあみもみんなみんな……俺のためにやってくれたんだよな」
「祐一」
「ありがとう。…それと、ごめん……な……」
「祐一っ!」
「今更…遅すぎるけど…」
ううん、遅くなんて…ない…。
やっぱり私は祐一のことが…好きだから…。
世界で一番…。

くっ

「ん…」
奪い取るかのように……深いキス…。
熱く…長く…。

すっ!

私の背中から……浴衣の中に手を忍ばせる祐一……。
優しく……ゆっくりと……。
「ん……く……」
私は汗を掻いてきた。

ポサッ!

「あ!」
私をお布団に軽くうつ伏せにさせ……上からのし掛かる祐一……。
そのまま胸を……愛してくれた。
お風呂から上がったばかりで下着も何もつけてない……胸を……。
先から……先まで……。

ふさ……ふさ……

「ぁ………ん………」

きゅっ

「ひっ……きゃうっ?!」
先を抓られ思わず大きな声が漏れてしまった…。
はずか……しいよお……。
「名雪」
大きな…手で…。
「ん……あ…………やぁ…………っく…………」
優しく。

ふさ……ふさ……

「んんっ…………あふっ………」
「やっぱり、胸………大きくなったよな。あの頃に比べて」
悪戯っぽく微笑む祐一。
え?
「や、やぁっ!な…なんてこといんだよっ!……祐一っ!」
言われて暫くしてから気がついた。
「むっふっふ。だってさぁ。昔よくやったじゃないか。『お医者さんごっこ』をさっ♪」
「…」
顔がかーっと熱くなる…。
そ、そんなこと…憶えてなくていいよぉ!
「な〜に、心配することはないさ。あの頃もお前の胸をよ〜く触ったものだが、遙かに大きくなってるぞ〜!むっふっふっふっふ…♪」
笑いながら…私の全身を愛撫し続ける祐一…。
「やぁ……ば………ばかぁっ。えっち………へんたいっ!………あふっ………くっ………」

さわさわ……

「んうっっ!……あは………ぁ………」
胸………お尻………。

さわさわ………。

「ひゃうっ!」
背中………髪………。

「ああ………ぁ…………ぁ………」
全部を。
ちょっと意地悪だけど……優しく……愛撫し……暖めてくれた。
「なかなか感度がいいなぁ名雪は…むふふふのふっ♪」
「もう…」
ムードがないんだから。
お気に入りの玩具を見つけた子供みたいに。
祐一は昔と何も変わってない。
無邪気な悪戯っ子のままだから…。
だから、私も笑顔で答えるんだ。
祐一を笑顔で受け入れるんだ…。
大好きな……人だから……。
私たちは抱き合ったまま……。
「祐一…」
「名雪。俺はもう…ずっとお前と一緒にいるんだ。だから…さっきみたいに自棄になったりするなっ!」
真面目な顔で促す祐一…。
「…うん」
「もっと…自分を大切にしてくれ…」
「うん。…ごめんね……祐一……」
もう、だいじょうぶ…。
祐一が…いるから……。
いて…くれるから…。
「…」
無言でお互いの唇を重ね合う…。
そして。

ズズッ!

「っ!………はうっ!…………ぐっ…………!」
体を真っ二つに切り裂かれるような……痛み…。
恐らくシーツには血がついているでしょう……。
私の中に……祐一が入ってきた……。
熱くて…大きくて…力強くて…。
でも、大丈夫。
すごく痛いけれど……大丈夫…!

ズズッ…!

「うぐっ!……うっ……うっ…………はぁっ!はぁっ…………うっ!」
だけど私は耐える。
「名雪…」
「祐一…」

ズグッズチュッ!

「うグッ…………ふ…………う………ぅ…………ん…………」
どんなに涙を流しても・・・。
「名雪ぃっ!」
「祐一っ!」

キュッキュッギュッ!!

「ぃ…………たぁ……………あぐっ…………」
どんなに傷付けられても。
お互いの名前を呼び合いながら。
「なゆきぃっ!」
「ゆういちっ!」

ズグッズグッズグッ!!

「っく………おれ…………もう…………!」
「………いい……よ……。わたし……も………!」
もう………限界………。

ズッ!

「くっ!」
「あっ!」






























ハラッ…






























その瞬間。






























みつあみが…ほどけた…。






























「…」
「名雪、どうした?」
祐一は不思議そうに聞いてきた。
まだ解けてない方のみつあみを手に持ち、じっと見つめる私…。
「もう、お別れ……だよ……」
片方だけ残った……みつあみ……。
ほとんどほどけかけて。
もう……二度と会うことはないけれど。
「……そうだな」
最後に……ありがとう……を言いたいな。
お風呂場の更衣室で無意識の内に編んでいたみつあみ。
「きっと…あのゆきうさぎが」
あの時のゆきうさぎのおかげ…だね…。
きっと…。
「ああ。きっとそうだな」
ゆきうさぎと。
ずうっと待ち続けた……みつあみの……女の子……。
もう待たなくても……いいんだよ…。
私がここに……いるから……。
「ありがと。さよ…なら……」

スルッ…






























私たちはみんな……旅をしています。






























果てしなく、長い長い……旅を……。






























一度は迷って






























別れてしまったけれど。





























再び巡り会ったんだ。






























今もまだ…。






























旅の…途中…。






























『雪…積もってるよ…』






























その日、私は…。





























大好きな人と…再会した…。





























−Fin−





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

(後書き)
ふと気がついたんだけどさ。
香里「なに?」
今年(’99)の6/29に初めてSSを書いて投稿して、今回でKanonだけで31作目。
香里「へ〜。もうそんなに書いたの(^_^)」
それ以前にも二つだけ別の作品のSSを書いたことがあるけど、実質上初めてだった。
作品のイメージとかは完全に新しく作ったんだよ〜(^^)
香里「殆ど全部KanonSSなのよね、あなたの書くのは(^^;)」
う〜むむむ、色々考えることはあるよ。
初心に返って言うけど、僕がSSを書き続けるのは『書いていて楽しい』からだよ。
読者の皆さんには申し訳ないのですが、やっぱりそれが一番の理由だね。
僕は筆無精だから『文章の練習になる』とか『表現能力の向上』なんてのも理由の一つではあるんだけど、一番ではないね(^^)
香里「ふ〜ん。書いていて楽しい…のね(・_・)」
ゲームというのは限られた時間の中で開発するものだから、本編で表現できるキャラクターのアイデンティティなんてたかが知れてる。全部表現していたらスタッフさんが過労死しちゃうよ。考えていけばきりがないことだからね(;_;)
だから僕は『このキャラクターはこんな感じの設定も合うんじゃないかな?』なんて考えてそれを文章にして書く(イメージを具体化する)。SSでも何でも、それが二次創作の醍醐味だから。…やっぱりそれは楽しいよ。
物語に沿ってSSを書くこともあれば、とことん設定やイメージ、キャラクターなどを『ぶっ壊して』書いていくこともある。
その善し悪しはともかく、僕はそうやって書いてきた。これまでもこれからも…。まあ度はわきまえているつもりだけどね(^^;)
香里「ふ〜ん」
多分、楽しくなくなったときが…やめるときなんだろうな。書くのを。
ネタの枯渇なんて関係ない。時間という制約の元で書いているから間隔はあいちゃうかも知れないけど、それまで僕は書き続けるでしょうね(^▽^)
香里「じゃあ勢いに乗って次は私の明るいシリアスラブロマンスねっ(^^)」
う〜ん、前向きに検討いたします(^^)
香里「書いてよ〜!」
では、Minardi改vbxの次回作をお楽しみに…。