【Minase Series! 前編 -ある朝の激闘記録-】




















最高の朝とは、どんな朝だろう?










例えばそれは










眩しい日光が室内いっぱいに差し込むような、日曜日の朝とか?










『春眠暁を覚えず』といわれるような、暖かくていつまでも寝ていたい、夢見心地の朝?










爽やかな風がカーテンを揺らしてくれる、初夏の朝?










とにかくも『今日』はそんな、気持ちのいい朝だった。










けれど……。




















そんな爽やかさとは全く不釣り合いなシチュエーションが、そこにはあった。
「う〜」
サラサラのロングヘアに垂れ目の少女は水瀬名雪といった。簡単に紹介すると……『おっとりした優しい性格で、かなりの天然ボケが入っていて、のんびり屋さん』というところだろうか。その割には陸上部の部長だったりして、意外性というかギャップが彼女の魅力かもしれない。
「よしよし。とってもいい光景だ。目の保養になるぞ」
とかなんとか意地悪に云っている男は、相沢祐一といった。……二人の関係は主従関係とか弱みを握らされて渋々従ってるとかそういうダークなものでは決してなくて、正真正銘の恋人同士であった。それも、両親公認の。
「はずかしいよ〜……。すーすーするよ〜……」
名雪は、黒いハイソックスとスリッパを除き何一つ身につけていないという、ほぼ素っ裸の状態にさせられていたのだった。
「なんでこんな恰好しなきゃいけないの〜」
「ふ。自業自得だろうに」
自信満々に断言する祐一。
「違うよぉ。祐一が言い始めたんだよ〜」
「勝負の世界は非情なのだ。負け犬は負け犬らしく勝者に媚び、従順になるのだな。云っただろ? 勝った方は負けた方を一日中何でも好きなようにしていい、と。一日奴隷になれ! とな」
「うー! そうだけど〜」
とっても暖かくて明るくて爽やかな朝なのに、どーしてこんな目にあわなければいけないの? 彼女の主張は根本的に『権利』がないものではあるにせよ、万人に同情されるだろう。
「わっ。だめだよ。あんまり見ちゃ……」
「ヤダ。見ちゃう見ちゃう。視姦してやる。なめ回すように見てやる」
即答。一刀両断である。冷酷非情というには大げさで間が抜けてはいるが、一貫していることは確かだった。
「うぅ。何でこんな……。恥ずかしいよ〜」
顔を真っ赤にしている名雪とは対照的に、余裕ありまくりで落ち着き払ってコーヒーを飲んでいる祐一。
「それだ。お前のその恥じらいを見たいがために、こういうのを望んだのだよ。ほらほら、胸をかーくーすーなー」
「祐一のエッチ……」
「あっそ。負け犬の分際でそういうこというのか。そーかそーか」
「わっ。な、何……!? 何をする気なの〜!?」
空になったコーヒーカップを座っていた椅子に置き、ゆっくりと名雪に近づいていく。
「口の減らない悪い娘にはお仕置きだ」
「わ〜っ!」
「よっと」
祐一は腰をかがめて軽々と名雪の体を抱き上げて、何も置かれていないテーブルの上に仰向けに寝かせてしまった。名雪のスラッとした身体は軽くて、強く抱きしめたら折れてしまいそうなくらい、華奢だった。
「これでよし」
「よ、よくないよ」
やっぱり名雪の懇願は無視される。
「さ、足を開きな。オープンッ! オープン・ザ・レーッグ! イッツショーターイムッ!」
「う〜。祐一……。ドラマの悪役みたいだよ〜」
「悪役結構! こういうときなら俺は偽善ぶった正義より、潔く、かつ気高く自らを悪であると公言している愛すべき悪役を選ぶぜ!」
「ひ、開き直ってる?」
「あ〜はいはい。いいからいいからいーからさっさと足開くっ! 開け〜〜〜っ!」
開き直ったように言い放ち、堅く閉じていた名雪の両足を掴んでグイッと開く。すると。
「え!? き、きゃ〜っ! み、見ちゃだめだよ〜!」
綺麗なピンク色をして、薄い毛で覆われた名雪の恥ずかしいところが露わになり、とっさに両手で覆ってしまう。
「見るために開いたんだろが! 手で隠すなーーーっ!」
「そ、そうだけど……。さ、さわっちゃだめだよ〜!」
「だから! 触るために開いたのっ!」
「う〜!」
「さぁさぁさぁさぁ! ショータイムの始まりだ。ぐへへ」
「ゆ、祐一〜! 変な笑い方しないで〜っ! 怖いよ〜〜〜!」
別の意味での恐怖(?)におののく名雪の叫びが、明るい室内に響いたのであった。
「俺は勝者だ! お前も勝負の条件に同意したからにはガタガタ文句云うんじゃなーーーーいっ!」
「はぅ〜〜〜っ!」




















何故彼らがこのようなことをしているか……。










事のはじまりは、一週間ほど前にさかのぼる。










話すと長くなるが、話さないとお話にならないので話すことにしよう。










以下はとても長い回想である……。










その日も暖かくて明るい、爽やかな朝であった。




















じりりりりりりりっと、火事場のサイレンのようにけたたましく響き渡る目覚まし時計。そして、バァンッとドアを開け、対テロ特殊部隊員のように室内へと突入していく祐一。
「うらああああっ!!!! 起きろコラ起きろ朝だ早く支度して学校いくぞ名雪っ!」
「う〜にゅ〜」
とても気持ちよさそうに、子猫のようにころんと寝ころぶ名雪。この次点で既に祐一に気付いているのかいないのかは定かではない。
「おーーーきーーーろーーーーっ! 起きんかコラァーーーーーーっ!」
「ふにゅぅ。あと五分〜」
単純に叫んだところで起きるわけがないことくらい、祐一は重々承知なのだ。だが、それでも叫ばずにはいられなかった。
「ちーーーこーーーくーーーするだろがっ!」
それは……。祐一の立場は、絶望という現実を目の前にしながら、無駄だと知りつつ悲鳴をあげずにはいられない状況に似ているかもしれない。などと祐一は思ったが、口には出さなかった。出したところでどうにでもなるわけではないから。事態が好転するとは到底思えないから。
「くぉの……毎度毎度手こずらせおって。こらーーーーーーーっ! 起きんかこの居眠り娘ーーーーーーっ!」
この状況が少しだけでも改善した時期は確かにあった。……祐一が吹き込んだ(とっても恥ずかしい)メッセージを目覚まし時計に使っていた頃だ。だが。
「こ、これはもはや、社会的犯罪に等しい。よって、厳罰を……経済制裁……じゃなくて、肉体的・精神的制裁を加える必要性があると俺、相沢祐一は判断するっ!」
何にでも耐性というものはついていくものであり、いつしかその程度の刺激……『祐一のらぶらぶなメッセージいり目覚まし時計』程度では起きられなくなっていたのだ。
「ちっ。……やはり正攻法ではだめか。ならばっ!」
「くー」
祐一は何か新しい手を考えたのか、すーはーと深呼吸をして。
「いくぞっ!」
一気に息を溜め……。急に真顔になり。
「名雪。俺の愛しい人。……俺の大切な、可愛い恋人であるお前に改めてお願いしたいことがあるんだ。俺は、お前を愛している……。他の誰より。どんな女の子より」
「……」
「お前を傷つけた事もあったし、これからも……もしかしたら、俺の不器用さでお前を傷つけてしまうことがあるかもしれない。けれど。もしそんなことになって、許してもらえなくても……俺はお前を、誰よりも大切な人だと思い続けているだろう。だから……」
「……」
「だから……。目覚めて欲しい。ずっとそばにいて欲しいんだ……。俺は、お前のことが……お前しか……見えないんだ」
祐一はそう言い終えて、名雪の可憐な唇に、軽くキスをした。
「ゆ……いち」
それはワザとかもしれない。あるいは不可抗力かもしれない。けれど、最高に幸せな夢を見ている気がして、覚めたくなかったからかもしれない。名雪が目覚めないでいたのは、もしかするとそんな事情があったのかもしれない。
「好きだよ。名雪」
「……わたし、も」
やがて離れる唇。頬を赤く染め、恥ずかしさに顔を逸らす名雪。……そして、それを見て。
「ふ、ふふ……」
「祐一?」
首を傾げる名雪に……。
「やっと起きたかああああああああっ!!!!! 手こずらせんじゃねぇっ!!!! 早く起きろおおおおおっ!!!!」
隙有りと判断し、布団をひっぺがした。
「え、え、ええええ〜!? も、もしかして起こすためだけにわざとこんなことしてたの〜!?」
「当たり前だろうが。もはやこうでもしなけりゃお前は起きないだろがっ! っとに、朝っぱらから苦労させやがって」
「んーん……。毎日、こんな起こし方してくれたら……起きられる、と思う」
今も唇に残る、大好きな人の優しい感触。名雪は口を手で押さえ、恥ずかしそうな表情を隠そうとした。
「できるかっ! こんなの一回限りだっ!」
「え〜。そんな〜」
心底、残念そうな名雪。
「残念そうに云うなっ」
「うー」
とっても残念で、是非とももう一回やって欲しい……いや、できることなら毎朝やってほしい。という感じの名雪。
「……ふ。それほどまでにやって欲しいのであれば、俺も鬼ではないから考えがないでもない」
「本当っ?」
それを聞いて、ぱぁっと明るい笑顔。
「これから一週間ずーっと一人で起きられたら、毎朝この起こし方で起こしてやらないでもない。できるか? いわばこれは、俺と名雪。恋人同士ではなく、ただ一人の男と女の純粋な勝負である」
「おっけーだよっ! あは。朝起きくらい大丈夫だもん♪ わたし、がんばるよ〜!」
やる気満々だ。
「よぉし。なれば全七戦! 先に四勝した方が勝ちとする。ま、日本シリーズと一緒だな」
「うんっ!」
やる気いっぱいの名雪。
「しかし……。そうだな。うむ、そうしよう。その方が試合に対するモチベーションが向上するというものだ」
祐一は何かを思いついたようだ。
「うにゅ?」
「勝った方は……今週の日曜日、試合の展開によっては来週の日曜日一日。負けた方を好きにできる。これでどうだ?」
「わ〜。本当にいいの〜?」
楽しくて楽しくてしようがない、遠足の前日を過ごす子供のよーにはしゃぐ名雪。
「いいさ。日曜日の午前零時から午後二十三時五十九分きっかり、負けた方はずーっと絶対服従だ。…では、お前の望みを云うがいい」
「え〜とね。う〜んとね。…………祐一と一日中、一緒にいたい♪」
「は?」
祐一は鳩が豆鉄砲を食らったような……肩すかしを食らったような……間の抜けた表情をみせてしまう。
「ずーっと一緒、だよ?」
「そんだけか? そんだけでいいんか?」
それはあまりにも簡単すぎるというか、欲の無い望みのように聞こえたのだろう。
「うんっ♪ ……祐一と一緒に寝て、一緒に起きて、一緒にご飯作って、食べて……一緒にお昼寝して。一緒に遊びにいって、デートして、お買い物して……一緒にイチゴサンデー食べて……一緒にドラマ見て……一緒におふ…………はぅ〜……っ!」
何かを想像して、ぽっと頬を赤らめる名雪。
「な、何を想像したかな。名雪」
「な、なんでもないよ〜。祐一のえっち……」
「ふん。まあよい。……俺の望みはお前のちゃちな望みなどと違って極めてハードだぜ。ふっふふふ」
どういう意味での『ハード』なのかは不明。
「あ、そうそう。それとね……。喫茶店で、祐一と一緒にジュースを飲みたいな」
ずっとやりたかったことを思い出したように云う。
「は? 何だそりゃ?」
「あ、えっとね。二本のストローで一つのジュースを一緒に飲みたいなーっ……てこと」
純朴な名雪の考えそうなことではあった。
「ぶっ! い、嫌だ……。絶対嫌だ……。何が哀しゅうてそんな恥ずかしい思いをせないかんのだっ!」
確かにとてつもなく恥ずかしい行為だろう。間違いなく周りの視線が釘付けになるだろうし。
「だって、何でもしてくれるんでしょ? 何でも云うこと聞いてくれるんでしょ? えへへ〜。楽しみだよ〜」
「む、むむ……。こいつは負けられんっ! ならばこっちもそれに匹敵するくらい恥ずかしい罰ゲームを用意したるからなっ!」
「望むところ〜。わたし、負けないよー!」
……こうして、長く厳しい戦いは今日をもって幕を開けたのであった。……が、それを知って楽しそうに微笑む人物がもう一名いた。
「あらあら。そういうことなら、日曜日あたり旅行にでも行ってこようかしら」
部屋の入り口に立っていたのは、名雪の母親である水瀬秋子さんであった。エプロンと三つ編みが年齢を想像できないくらい若々しくて、似合っている。
「え、どうしてですか? …………って、秋子さん!?」
「はぅっ!? お、お母さんっ!?」
「ふふ。日曜日一日、二人で楽しそうなことをするみたいですから。お邪魔になっちゃうかと思って。……丁度月曜日も祝日でお休みですし」
「え、いやその……そんなことは」
「お、お母さん〜!」
「それより二人とも、急がないと遅刻しちゃうわよ」
思い出したように、でも全然慌てていない秋子さん。
「って!」
「わーーーっ! どうしてもっと早く起こしてくれなかったの〜〜〜!?」
「起こしたわいっ!」
ドタドタと部屋を出ていく二人。とても騒がしい朝。
「行ってらっしゃい。祐一さんも名雪も、がんばってくださいね」
後には秋子さんが一人、クスクス笑っているだけだった。




















このようにして。










水瀬名雪と相沢祐一の『敗者を一日奴隷化できる権利』を賭けた一戦こと『水瀬家シリーズ』は










ごく少数の人にしか知られずに、ひっそりと開幕したのであった!




















Minase Series! -第一戦ッ!-




















火曜日。晴れ。最初に起きてきたのは祐一であった。……すでに制服に着替えていて、顔も洗った後のようだ。
「おはようございます〜」
「おはようございます、祐一さん」
秋子さんと挨拶を交わしてから椅子に座る。テーブルの上の皿には既に、バターが塗られたトーストが一枚乗っていた。
「名雪、起きてきませんね」
「そう…すね」
まだ起き抜けで眠たそうで、食欲もなさそうだ。
「朝ご飯、食べられます?」
「……いただきます」
むしゃむしゃとトーストを頬張り、少し薄味の、水瀬家特製和風醤油ドレッシングで味付けされたレタスとキュウリとトマトのサラダを食い、暖かいレモンティーで強制的に胃の中へ流し込んだ。
「第一戦は祐一さんの勝ちですね」
「そのよう、ですね」
名雪はまだ起きて来ないが、何故か楽しそうな秋子さんであった。




















Minase Series! -第二戦ッ!-




















水曜日。曇り。その日はちょっと気分が沈んでしまうような、グレーの空が印象的であった。
「おはようございます」
「祐一さん。おはようございます」
テーブルの上の皿には既に、バターが塗られたクロワッサンが一つに、プレーンワッフルが一つ乗っていた。
「名雪、今日も起きてきませんね」
「そう……ですね」
まだ起き抜けで眠たそうにあくびをかきながら、はぐはぐとクロワッサンを頬張り、甘いフルーツヨーグルトを食べ終えてから、ブラックのブレンドコーヒーを口の中に流し込んだ。
「祐一さん。二連勝ですね」
「秋子さん。野球とか好きなんですか?」
何となく疑問に思ったことを質問してみる。
「好き、というほどではありませんが。昔はよく見に行ったものですよ。車で数時間かけて」
「へえ……。意外です」
秋子さんの性格からして、野球が好きというのはあまりピンと来ないのは確かだろう。
「オリオンズ、とか云ったかしら。近く……ではないですけど、プロ野球のチームがあったんですよ」
「……今のマリーンズです。それ」
「まあ。そうなんですか」
やっぱり何故か楽しそうな秋子さんであった。




















Minase Series! -第三戦ッ!!-




















木曜日。雨時々曇り。はっきりしない天気が続く。ちょっと晴れ間が恋しいところだ。
「秋子さん、おはようございます〜」
「おはようございます」
テーブルの上の皿には既に、マーガリンが塗られたフランスパンが二つ乗っていた。
「やっぱり名雪、今日も起きてきませんね」
「そ……ですね。ふわぁぁ……」
まだ起き抜けで眠たそうにあくびをかきながら、バリバリとフランスパンを頬張り、コーヒーで流し込んだ。
「祐一さん。三連勝ですね。日本一に王手ですよ」
「……好きだった選手とか、いたりするんですか?」
「名前は忘れてしまいましたが、確か……まさかり投法とかいう投げ方のピッチャーがいて、素敵でした。足をとても高く上げるんですよ」
「それ……ムラタとか云いませんでした?」
「そうだったかしら?」
やっぱり何故か楽しそうな、無邪気な秋子さんであった。




















Minase Series! -第四戦ッ!!!!-




















木曜日。晴れ時々豚。今日はトンカツにでもしようか、あるいは豚丼か。などとアホなことを思う。
「おはようございます。秋子さん」
「おはようございます。祐一さん」
「おはようございます〜……だおー……」
テーブルの上には既に、白いご飯が二つよそられていた。そしておかずに卵焼きと海苔とみそ汁があった。『日本人なら米を食え!』 ……とまではいわないけれど、ご飯も大好きな祐一であった。
「む。名雪、今日は起きてきたか」
「わたしだってちゃんと起きれるお〜」
「ら抜き言葉はいけないぞ。名雪」
明らかに寝ぼけている名雪に、何故か冷静に突っ込みを入れる祐一。
「そうかしら? いつもそうならいいのだけど。ふふ」
まだ起き抜けで眠たそうにあくびをかきながら、がつがつとご飯を頬張り、ずずとみそ汁を飲んで流し込んだ。
「これで祐一さん三勝、名雪一勝ですね。でも、三連勝したあとに四連勝されることもありますから、油断は禁物ですよ。名雪はもっとがんばりなさい」
「はぁい〜……くー」
「ああっ。やっぱりまだ寝てる」
「ふふ」
どこまでも楽しそうな秋子さんであった。




















Minase Series! -第五戦ッ!!!!!!!-




















金曜日。天変地異発生。……もしかするとこの世の終わりかもしれないけど、あまり気にしないようにする。風が吹いても雨が降っても学校には行かねばならないのだ。
「秋子さん、おはようございます」
「おはようございます。祐一さん」
テーブルの上には既に、コーンフレークが二つよそられていた。
「……自家製、ですね?」
「はい。自家製コーンフレークです」
「具が、とてつもなく大きいですね」
「栄養分もボリュームも当社比三倍です」
「……いただきます」
「どうぞ。めしあがれ」
確かに巨大な具のコーンフレークであった。
「名雪、今日は起きて……来ませんね」
まだ起き抜けで眠たそうに目をこすりながら、シャリシャリと自家製コーンフレークを頬張り、ミルクで流し込んだ。
「そうですね」
と、いうことは……。四勝一敗で。
「祐一さん。水瀬家シリーズ優勝、おめでとうございます」
優勝の割にはあっさりとしたやりとりだ。
「……ありがとうございます」
「はい。トロフィーです」
「…………なんでそんなの用意しているんすか?」
「楽しそうでしたから」
「そ、それだけでわざわざ用意を?」
「はい♪」
さすがだ……この人はすごい、と。つくづく実感したのであった。
「ふふ。祐一さん、名雪と仲良しで嬉しいです」
「いえ……その。……はい」
恥ずかしかったけれど反論するのも名雪に失礼だし、素直に頷く。
「日曜日は一日、ごゆっくりしてくださいね。名雪と一緒に」
「そんな気をつかわないでください……。半分冗談で云いだしたことですし」
「いいじゃないですか。たまにはずーっと二人きりでも」
何というか、やっぱり俺はこの人には一生かなわないのだろうな、などと祐一は思ったのであった。




















Minase Series! 四勝一敗で相沢祐一の勝利!




















……そして、時は流れ。










土曜日の夜二十三時五十九分。










すでに秋子さんは旅行に行っていて、月曜日まで帰ってこない。つまり。




















「俺たちは一つ屋根の下『二人っきり』と、いうわけだ」
「強調しなくてもわかるよ……」
そこは、祐一の部屋。
「十、九………七、六………三、二………一………ゼロ〜〜〜ッ!」
時計の針は丁度、日曜日の零時を差した。そして。
「というわけで。早速、負けた方を『一日奴隷にする権利』を行使するぞ。罰ゲーム罰ゲームばつゲ〜ム〜っ! 肉体的精神的嫌がらせ……もとい、制裁発動〜っ!」
「う〜う〜!」
名雪は不満いっぱいなのだが、負けたのだからどうしようもない。
「さて、改めて俺の望みを云おう。……敗者・水瀬名雪よ。今日一日・我がおもちゃとなれ!」
「お、おもちゃって……」
「まずは、そうだなァ……。何をしてもらおうかな〜。う〜んう〜ん……やっぱり定番はあれかな。……てなわけで、脱いで♪」
「えっ?」
やっぱり? という思いと、いきなり〜!? という思いが交差する。
「パジャマを俺の目の前でストリッパーのように恥ずかしそーに脱いでくれとお願い……いやいや、命令してるのだ」
「な、何でそうなるの〜!?」
「俺が勝ったからだ。故に、俺の好きなようにやるのだ。今からお前にとって俺が全てになるっ!」
事実を超がつくくらい大げさに云われて、渋々従う……。
「わ、わかったよ……。うぅ」
「キチッと起きないのが悪いんだよ。罰ゲームだってわかってんのか?」
ま、確かにそれは名雪に非があるのではあるが。それにしたってやっぱり『いきなり!?』という感はぬぐえないであろう。
「そんなこと云われても……。朝は苦手なんだよ〜」
「ええーーーいっ! ぐだぐだいわんでさっさと脱げーーーーっ! じゃないと強制的に脱がすぞコラ!」
そーいって強制的にパジャマに手をかけようとする。
「きゃ〜〜〜っ! わ、わかったから! 脱ぐから、だから脱がさないで〜!」




















……と、いうのがこの一件のあらすじなのであった。










長かったようでいて、短いのかもしれないが










それはまぁ、ともかくとしてだ。




















……こうして、紆余曲折有りながらも名雪は半強制的にパジャマを脱がされ……一糸まとわぬ姿にされてしまったのであった。
「うー……。ぬ、脱いだよ?」
「うむ。よし」
真っ赤になって恥ずかしがる名雪とは対照的に、満足そうに頷く祐一。
「それで。ど、どうすれば、いいの?」
「とりあえず。本日の夜二十四時まで、そのまんま。俺がいいと云わない限り素っ裸でいること」
「な、何それ〜!?」
「罰ゲーム」
極めて単純明快かつ、欲望に忠実な答えである。
「あ、ちなみに。特例として靴下とスリッパだけは着用を許そう」
「よけい恥ずかしいよ……」
右腕で胸を隠し、左腕で股を押さえるけれど。恥ずかしいのには変わりがなくて。靴下とスリッパだけ残すというのは、かえって恥ずかしいものである。祐一のマニアックな趣味が明らかになった瞬間だった。
「あ、あんまり見ちゃ……だめだよ」
「ヤダ」
あっさり拒否。
「う〜……」
「俺は見るぞ。じーーーっと、目を凝らしてなめ回すようにな。穴があくよーに念入りにスキャンして網膜に焼き付けてやる」
実際、じーーーーっと名雪の綺麗な身体をなめ回すよーに眺めている。
「いじめだよ〜……恥ずかしいよ〜……」
「そうだよ? 知らなかったのか? これは肉体的精神的制裁。いわば、公認のいじめだからな。お前もそれを認めたのだからな」
それはいじめというか何というか。
「さて、名雪」
「……な、何?」
「寝ようか。もう、夜も遅いし」
「……え?」
その答えに、意外そうな表情をする。すぐさま何かをされるのかと思っていたから。
「な、何にも……しないの?」
おそらく……絶対、何かされると思っていたのに、肩すかしを食らった気がしたようだ。
「ふ……。一日は長い。お楽しみはこれからだからな。ま、朝までは平和でいさせてやろう。つかの間の平和を充分に満喫するのですな」
「な、何か……こわいよ〜」
「こわくないこわくない。……じゃ、おやすみー。……ちなみに、朝方抜き打ちチェックにいくからな。ソックスとスリッパ以外に何か着ていたら速攻でお仕置きするぞ」
「う〜!」




















このよーな経緯をたどり。










名雪にとって、ドキドキ(?)な一日が始まったわけである。










そして、朝が訪れる。




















ぼやけた視界に加え、未だもうろうとしたままの意識。要するにそれはレム睡眠と呼ばれる、浅い眠りのことだ。
(……ん)
そしてそんな、夢と現実の区別がきわめて曖昧な状態の時に、微かにトントンという、規則正しく何かを叩く音が聞こえてきた。
(なんだろう?)
ドアをノックする音ではなくて、大工が釘を金槌で打ち付ける音でもない。
(起き……るか。よし)
少しだけ気になるので、意を決して、心地よい眠りから目を覚ましてみる。
(一階の方か? ……秋子さんは旅行に行っていて、いないはずだが)
もう一人の可能性は、きわめて薄いと判断していたのであったが。
(あの居眠り娘がこんな朝っぱらから起きているとも思えないが)
という理由からだ。そして、一階に下りると。
「名雪?」
「あ。祐一、おはよ」
キッチンにはエプロンを着て、朝ご飯を作っている名雪がいた。
「えへへ〜。わたしも自分で起きれたよ〜?」
「そーかそーか。そいつはよかった」
うんうんと頷き、感心感心とのたまう祐一。……だが。
「ところでなゆちゃんや」
「な、何?」
引きつった笑顔。
「何か一つ、忘れていないか?」
「え? な、何かな〜?」
どう見てもとぼけてる名雪。
「昨日の夜、俺は何をいったかな? 寝る直前に」
「あ、えっと……何、だっけ? わ、忘れちゃった……あは……あはは……」
「ならば、思い出させてやろう。……今日は一日素っ裸のままで過ごせといったはずだぞ。『ソックスとスリッパ以外に何か着ていたら速攻でお仕置きするぞ』とな」
にやけながらそう云って、名雪に近づいていき……グイッと……。
「きゃっ! だ、だめ〜!」
ロングのスカートをまくり上げて、露わになったパンティを一気にずりおろした。水色と白の、ちょっとカラフルな縞々柄だった。
「約束はきちんと守らないといかんと小学校の時先生にならわんかったくぁ〜〜〜!」
「だだだ、だってだって……寒かったんだよぉ〜! それにそれにそれにっ! 恥ずかしかったんだよぉ〜〜〜!」
「えーいっ! ぐだぐだいわんととっとと脱げーーーーーっ!」
「わわ、わかったから……脱ぐから。だ、だけど……その。朝ご飯できるまでは……待って……」
「そのような条件を認めることはでき……」
まてよ、と祐一は思った。
「ふむ……うむ。そうだな。折角であるし、その方がおもしろいというものだ」
「……?」
「よし。名雪、許可してやる。そのまま朝飯を作り続けるがよい」
「え? う、うん……」
意外な答え。が……祐一はあっさりとリビングへ出る……フリをして。
(そーっと、そーっと……)
抜き足差し足でキッチンに戻り、名雪の背後に立ち。
(突入っ! GOGOGOッ!)
むにゅっ♪ という音が聞こえてきそうなくらい、柔らかなふくらみをエプロンの上から、鷲掴みにした。
「き、きゃあああっ!」
云うまでもなくびっくりする名雪。
「だ、だめだよ祐一。今、お料理中……。危ない」
「ああ、自由にやるから気にするな。これが本当のセルフサービスってやつだ」
「気にするよぉ〜! だ、だめだよ〜! 包丁、危ない……」
けれど、祐一はそんなこと気にも留めていなくて。
「いいからいいから。それよか名雪。少し胸大きくなったんじゃねーか?」
「そ、そんなこと……ない、もん」
「俺がいっぱい揉んだからかな」
「し、知らない……」
ふさ、ふさ……ぷにゅ、ぷにゅ……。服の上からもはっきりとわかる柔らかな膨らみ。強く揉まれるごとに、弾力で形を変えて……。
「や……」
「でもやっぱ、約束は守らなくちゃな」
「え?」
祐一は胸を掴んでいた手を離し、素早く名雪のスカートのホックを外して……。
「だ、だめだよぉ〜! スカート脱がしちゃだめ〜!」
空気抵抗を受けてふわっと床に落ち、丸く広がるスカート。名雪の下半身は、先ほど脱がされかけた縞々パンティの布地だけが覆っていた。
「や……だめ。お尻さわっちゃ……や…」
パンティの上からぐにぐにと柔らかいお尻を鷲掴みにしたり、つんつんと人差し指で突いたり、つねったり。
「あ……ふ。だめ……やだ……よ。こんなの……はずかしいよ……」
下半身を重点的に愛撫され、くすぐったさに悶える名雪。
「ほら、いいから朝飯作り続けな」
「あぅ……あふ………はふ………。そんな……。こんなことされながら……できな……い……よぉ」
「あっそ」
縞模様のパンティを両手でグッと掴み、上に引っ張り……お尻の割れ目に食い込ませる。
「だ、だめ……だめだって…。だ……め。そんなのだめ……」
ずり……ずり……ずりずり。伸びきったパンティの布地で股間を締め付けるようにこする。
「こんなこと……しちゃ、だめ……」
「ふーん。なら、こういうのならどうだ」
掴んでいたパンティを離し、弾力でぱちんという軽い音がして……。不意に、名雪の中枢神経を快感が襲った。
「きゃふっ! だ、だめっ! そんなとこなめちゃだめっ!」
ぷちゅ、ぷちゅ……つぷ、ちゅぷ……。パンティの上から名雪のお尻を舐めて愛撫する。
「だ、だめ……あ……や……。やだ…………。お尻なんて舐めちゃいや。……だ……め……くすぐったいよぉ」
恥ずかしさでお尻を振っても逆効果。かえって祐一の愛撫をまんべんなく受けてしまうことになってしまった。
「形のいい尻だな。色も白くて綺麗だし、ぷにぷにしてるし」
「そんな……嬉しくない……よっ」
反論しようとして。
「き、きゃああっ!」
つぷっ! ぐりぐり。……パンティの上から人差し指でお尻の穴を突かれ、グリグリと押しつけられ……。
「だ……め……」
「割れ目がくっきりだぞ」
「ひゃんっ! さ、触っちゃだめ……あっ……んっ!」
食い込まされて、パンティの上からでもくっきり分かってしまった秘部……。敏感な部分を指でグリグリされて。
「少し、湿ってきてない?」
「し……らない」
やがて名雪は全身から力が抜けてしまった……。
「もう、準備OKだな」
するすると手早くパンティをずり下ろされてしまう。
「あ……。か、返して……よぉ」
「ヤダ」
祐一は脱がしたパンティをくるくると指で回して、にやりと微笑んだ。




















まさに、まな板の上の鯉状態……。










主導権は、調子に乗った祐一が保有。










二人は、何だかんだぎゃーぎゃー云い合いながらも










結局は、力と勝者の権限が勝って……










名雪の華奢な身体は、あっさりと持ち上げられてしまい。










そして……




















大切な人……名雪の身体だから、あくまで優しく扱う。
「あ……」
ろくな抵抗もできないまま、テーブルの上に仰向けに寝かされて。
「こんな恰好……。やっぱり恥ずかしいよ」
「誰も見ていないって」
「祐一が……見てる」
「ああ、見てるよ。じっくりとな。名雪の恥ずかしいところをじーっくりとな」
足を広げられて、下半身は黒いハイソックス以外何も身につけていない。エプロンもシャツも……全部脱がされてしまって、二つのぷっくらとした膨らみが微かにぷるると揺れた。
「あぅ……」
「名雪。もー濡れてる。こんなに」
股間を触れられ、粘ついて糸を引く液体を人差し指と親指につけて、目の前にで伸ばして見せつけられ、恥ずかしさに赤くなる。
「や……。そんなこと、云わないで」
むき出しになった秘部をまじまじと眺められて視線を逸らす。
「名雪のここ。花びらみたいだな」
「きゃっ! さ、触っちゃだ……め……」
薄い毛をかき分けられて、皮を指で剥かれ……。
「だ、だめだよ祐一。そんなことしたら……」
「そんなことしたら、何だって?」
「ぜ……ぜんぶ、み、見え……ちゃう……」
「だからー。見たいからやってるんだって」
「そ、そうだけど……あっ」
ヒラヒラした花びらのような皮を人差し指と中指で左右にこじ開けられて、ピンク色の柔らかい部分が見えてきて。
「綺麗だな。これがホントのサーモンピンクってやつか」
「っ……うれしく、ないよっ………やっん!」
……人差し指の第一関節部でいじくると、少しだけ濡れたのがわかる。つぷぷ、ぷるぷる、そんな音がしてきそうなほど、柔らかかった。
「ちっこい豆だな」
埋まっていた小さな突起、クリトリスを剥かれ、突付くと……。
「やっ……あっ! そ、そこはだめだよ!」
「そこってどこ?」
「う……うぅ」
「何がだめなんだ?」
とても意地悪な質問。
「触っちゃ……だめ……」
「どうして?」
「だって……。その……」
云えるわけが無いのに、ワザといわせる。
「ダメな理由がないなら、拒む必要もないだろ?」
ワザと意地悪になるのは、反応も何もかも全てが可愛いから。ついサディスティックな気分になってしまうのだろう。
「だって、だって……。そこを触られると……その……感……じちゃう……」
「そこってどこ?」
名雪はもう、観念するしかなかった。
「く……クリちゃん……。うぅ……い、いじわる、だよ」
「そ。俺はいじわるなのさ。だから、こんな事もできるわけだ」
ずぷっ……。今度は指と違って堅い、人工物が挿入されていく。箸の太い部分の方から。
「きゃふっ! い、入れちゃだめぇっ! お、お箸……入れちゃ、だめ……」
「やだっていってるだろ? 今日一日お前は俺の奴隷なんだからな」
「うぅ……」
名雪の哀願を冷たく突き放す。
「あぅっ! や……あ……んんんぅっ! あ、あ……あ……」
ぐちゅぐちゅ、くちゅ…くちゅくちゅくちゅ……ぐちゅぐちゅぐちゅ…ちゅぷっ。細い箸を少しだけ挿入されて、上下左右と絵の具のようにかき混ぜられ。……そう思ったら挿入されたり引き抜かれたり……。
「だめ……ぇ。や……ぅ……あぅっん………くふ……ぅっ! かきまぜ……ないで……。ひぁぁっ!」
そして同時に、指で円を描くように周辺部を愛撫され……緩急をつけた攻めにかぶりを振って刺激に耐える名雪。
「今の名雪ってさ。最高にエロいよ」
「やっ……あぁぁ! だ、め……入れちゃ……はぅっ……ん……。あ……ぁん。はぁ……んっ!」
二人きりのリビングで裸同然のまま……テーブルの上に乗せられて淫らに大股開きさせられて。箸や指で恥ずかしいところをいじくられ、突っ込まれてかきまぜられ……快楽に酔った甘ったるいあえぎ声をあげている。
「……二本入れてやる」
硬いけれどつるつるした箸を二本入れ……。
「や……ぁ」
ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ……くちゅくちゅ……ぐちゅっぐちゅっ……。名雪の秘部から発する淫靡な音が、明るい室内に響いている。
「だめぇっ! や……はぁぅっ! だ……めぇぇっ! あ……あんっ! わたし……おかしく………なっちゃうよぉっ!」
「おかしくなっちゃうって、どんな風に?」
「な、何かが……熱い……のがこみ上げて……ああんっ! あんっ! やっん! あンッ!」
「云ってみなよ。正直にさ」
「ひぁっ! あぁんっ! 舐めちゃ……だめぇぇっ!」
つぷ、つぷ……。クリトリスを舌で転がされながら、箸と指で愛撫されて。名雪の秘部は粘っこくて湿った音を立て……。
「あひ……あひぃ……ひぁ……ひゃぅぅ……あひぃぃっ! ひぃっ! ひふっ!」
あまりの刺激に、よがり続けながらとろりとした愛液をテーブルの上に垂らして……。
「い……ちゃう……よぉ。わたし……わたし……ぁふっ! あんっ! ああんっ! ひぅ……んっ!」
もう、自制すら効かず……自ら胸を揉んで、乳首を摘み……快楽をむさぼりはじめた。
「そーか。……いっちゃいな。エッチな名雪ちゃん」
ずぷぷっ! 愛撫は小刻みに深く、浅く……。そのたびに、陸に打ち上げられた魚のように、テーブルの上でふるえた。
「ああっ! も、もおだめぇっ! い、いくっ……いくぅっ! わたしいっちゃうっ! いっちゃうよぉっ! ああああっ! い………っちゃう! えっちに…なっちゃうよぉっ!!!!」
羞恥心などかなぐり捨てて、絶頂が近いと叫んだ。
「そらっそらっ! そらっ! いっちゃいな。淫乱なゆちゃん」
「きゃっ……うっ! んんんんっ! は、じけちゃうぅぅっ! ああんんっ!」
ぐちゅぐちゅぐじゅ、ぶじゅぐじゅ……くちゅくちゅくちゅ。……敏感な部分をマシンガンのように速くかきまぜられ、しつこいほど舌で愛撫され。
「あひっ! ひぁんっ! やっあああっ! あっあっあっあっあっ! あぁんっ! あんっあんっあああんっ! だめっだめぇっ! だめえええっ! い……いっちゃううううううっ! とんじゃううううぅっ!」
ぐちゅぐちゅぐじゅ、ぶじゅぐじゅ……くちゅくちゅくちゅ……ぐちゅぐちゅぐじゅ。……やがて名雪の意識は真っ白に飛んで、華奢な身体が折れそうなくらい弓なりにしなって……。
「ひあああああああっ!!!! あっああああああああっ!!!! あっあっあっあっああーーーーっ!!!」
ぴゅ、ぴゅ、と愛液をこぼしながら……同時にぽろぽろと涙をこぼしながら、テーブルの上で絶頂を迎えさせられた。




















テーブルの上は既に、名雪の愛液でびしょびしょになっていた……。




















ぐったりと、テーブルの上に横たわる名雪。
「はぁはぁ………はぁ……はぁ」
「名雪。気持ちよかったか?」
「う……ん」
荒い息をつきながら、わずかに首肯する。
「でもな。まだ朝なんだからな」
「……」
エッチな罰ゲームは、はじまったばかり。
「これだけ濡れてれば、すんなり入るな」
「……ぇ?」
名雪が問い返す間もなく、ずずずという音を立てて……。
「あっ……ぅっ。な、何を……してる……の!?」
「名雪の中にバイブをつっこんでる。イボ付きのをね」
「ど、どこでそんなの買ったの……」
「秘密」
恐らく、この日のためにどこからか入手してきたのだろう。
「ひ、ひゃうっ!」
ず、ず……ずんっ! 最初はゆっくりと、そして一気に入り込む……。絶頂を迎えたばかりの秘部は、異物……バイブレーターをすんなりと受け入れてしまい。ごつごつとした突起が引っかかるようになって、思わず悲鳴を上げてしまう。
「あぐ…。な、何か……変な感じ、だよ……ひゃふっ!」
気持ち悪くはないのだけど、何かが違う……違和感を感じている。
「お股が……きつい、よぉ……。抜いて……抜いてよぉ……」
「ダメ。外していいと云うまで外しちゃだめだぞ」
「そんな……」
けれど、決していやがっている訳じゃない。……絶頂を迎えてしまって、身体は逆にもっと強い刺激をもとめてしまっているから。
「それはそうと、名雪」
「な、何?」
「朝飯、作ってくれないかな? 腹減ったし」
「う……ん。……でも、あの」
気になるところは、一つしかない。
「何だ?」
「こ、これ……とっちゃ、だめ……なの?」
「ダメ。つけたまま料理しろ」
「う〜……。いじわる……」
「特別に、エプロンだけは着用を許可しよう」
「余計……えっちだよ……。うぅ……」
逆らえるワケが無く、真っ赤になってうつむきながらテーブルを降りようとして。
「う……んっ! あふっ!」
少し股を動かしただけで、こすれてしまい……。
「あっ…ぅ。……きゃ……ぅっ! あ、歩けない……よぉ……。こんな……ひぅっ!」
敏感になった秘部は、そのままの状態を維持し続けていて。
「名雪。床、濡らすなよ」
「そんな……こと……云われても……あ、ふ……ぅ……ぅ……ひぁっ! あっ! あぁぅっ!」
ぽたぽたと、小さな雫がこぼれ落ちていく。




















(だめ……。わたし……このままじゃ、おかしくなっちゃうよ……)




















ふらつきながらもキッチンに入り、てきぱきと朝食の準備を進めていく。スリッパと靴下とエプロンだけを身につけて。
「いい眺めだぞ」
「う〜……」
股間にはバイブレーターを挿入されたまま。
「あ、ちなみにな。そのバイブ」
「え?」
名雪が振り返ろうとした瞬間。祐一は、何かのスイッチをカチッと押して。
「き、きゃあっ! な、何っ!?」
ヴヴヴヴという低い音を立てながら、バイブが振動をし始めた。
「ぁ……ぁぁっ! やぁっ! だめだよ………はひっ! だめ! らめっ! う、動かしちゃらめぇっ!」
「リモコンバイブだったりするんだな。しかも振動モードがいっぱいある」
ヴーヴーヴー、ヴッヴッヴ、ヴヴヴヴ………。振動は、いくつものパターンがあるらしくて、そのたびに名雪は足をふらつかせ、長い髪を振り乱して悶える。
「あぅ……はぅ……。も……もう……ら……めぇぇ……らめ……ぇ……。やめ……ぇ……はぅぅ………」
あまりの刺激に耐えきれず、ぺたんと座り込んでしまった。もはや、ろれつすら回らないようだ。
「ぬ、抜いて……祐一。わたし………わたし……このままじゃ、おかしくなっちゃうよ……。ヘンになっちゃう……ぬいてぇぇ……とめてぇぇえ」
とろーっとした液体が、こぼれていく。……そんな名雪は火照った顔で祐一を見上げ、抜いてと懇願する。
「嘘だろ。お前のやりたいようにやってみな」
「え……」
「もっともっと、変になっちゃいたいんだろ?」
祐一の云うとおりだ、と名雪は思った。けれど……ううん、だからこそ。
「そんな……。祐一……も、もう許して……」
「だめ。……素直になっちゃいな」
祐一には、そんなところ……見せたくない。そう思うからこそ、耐えていたのに。
「さっきみたいにね」
「で、でも……」




















「名雪がえっちに乱れるところが見たい」




















「そん……な」
「見せてくれないのか?」
「う……ぅ」
その一言が、理性をぶちこわすトリガーになって……。
「う……ぁぁぁっ! ああっ! き、気持ちいいよぉっ! 祐一っ! ゆういちぃっ!!!!」
ずぶずぷ、ずちゅずびゅ……。暴れるようにうごめくバイブを自ら抜いたり入れたりして快楽をむさぼる……。
「熱いよぉっ! すごいよぉっ! わたし………また………いっちゃうぅぅっ! いっちゃうぅぅぅっ!」
淫らに腰をくねらせて、開いた手で胸を揉んで……。
「おいおい、自分一人だけ感じようなんて、ひどいんじゃないか?」
「……え?」
我に返った名雪の目の前には、祐一の勃起した大きな逸物が……。
「今度は俺も、感じさせてくれよな」
大きく見開いた名雪の瞳……その視線のすぐ先に……。
「口で、してくれよ」
「く……ち?」
名雪の、小さくて可憐な口……。
「そ。お前の可愛い口で俺のをしゃぶって、俺も気持ちよくさせてくれよ。アイスキャンディーなめるみたいにさ」
「うん……。いいよ」
初めての行為だけど、不思議と不安感はなくて。
「気持ちよくさせてあげる……祐一の、お……ちんちん」
これが他の男だったら、嫌悪感しか感じないんだろうな。などと考えながら。おずおずと口を開いて……いとおしく、大切そうに口内にくわえ込み……。
「あむ……ん。……ん……ん……んふ……ん……あふ……」
大きな逸物なので、口を目一杯開けて……ちょっとだけ苦しそうにしている。空いた手で、柔らかい二つの玉を転がして……。
「そうそう。歯を当てないように、ゆっくりと……ああ、少しずつでいいから舌もつかって。そう……上手いぞ。裏筋をなめるようにして……」
仁王立ち状態の祐一に跪くようにして……むき出しのお尻をつきだし、ヴーヴー振動を続ける電動バイブで攻められながら、愛撫を続けた。
「んむっ……。き、気持ち……いい、の? もっと、ぺろぺろなめた方がいいの?」
「くっ。……最高だから。名雪の口……暖かくて、柔らかくて……ねっとりとしていて。吸い尽くされそうだから。もっともっと、名雪が思う通りにやってくれないか」
「うん。男の人の……しゃぶるなんて、変な感じ……。だけど、祐一のだから嫌じゃない、よ。……あふ」
じゅぷじゅぷ……じゅぐじゅぐ。肉棒が口内でこすれる湿った音と、祐一の陰毛が名雪の唇に当たる音が聞こえる。傍目からすれば、綺麗で可憐なものが汚らわしいものに犯されている……そんな光景。
「そういう名雪は、どうなんだ?」
「んぐ? ……し、しょっぱくて、すっぱくて……にがい……よ。でも……祐一のだから……おいし……んひっ」
「一緒に、感じようぜ」
「んんっ!」
そういって祐一は、リモコンバイブのモードを最大である強に設定して。
「ふわぁあっ!? ……あ、あああああっ! あふっ! やぁんっ! あっあっあっ! あ、あそこが…あそこがあつひぃぃぃっ!」
強い刺激に銜えていた口が離れ、にゅるんと逸物が抜けてしまい。
「ほら、口がお留守になってるぞ」
「んぐひぃっ!」
ちゅぷ、ちゅぱ……。半ば強引に名雪の頭を掴んで引き寄せ、再度逸物をくわえさせる。奥までくわえ込んでは、名雪の可憐な唇を柔らかい毛むくじゃらな部分が汚していく。
「んぐぅっ! んうっ! んくぅっ! んぅんんんぅっ! うんっんっんっ!」
ヴヴヴヴッ……ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ……ヴーヴーヴーッ……ぴちゃ、ぴちゃ……ヴッヴッヴ。名雪の秘部をかき混ぜるバイブレーターの音と、口での愛撫。淫靡な音が入り乱れてキッチン中に響き渡る。
「くっ。名雪……頭、前後に動かすぞっ!」
「んぅ? んんんーーーーっ! んーーーーーっ!」
絶頂が近いのか、祐一は名雪の後頭部をつかんで、前後へと激しく揺さぶって……。くぐもった声を上げながら必死に舌を動かして愛撫を続ける名雪。
「んぅっ! んぐぅっ! んんんぅっ! んん〜〜んっ! んっんっ! んぐっひぐぅぅ!」
前後から激しく責め立てられて、悶絶しようにも声を上げるしかなくて。それがかえって祐一の逸物に響いて刺激して、新たな快感になって……。
(あ……あぐっぁぅっ! わ…たし……あ……た…しぃ。ば、ばいブいれ……られて……かんじて……るぅゥ……。……ゆ、いちの……おちんち……ん……しゃぶって……あぁっ……も……ぅだめ……。なにも……かんがえられ……な…ぃ……)
じゅぶっじゅぶっじゅぶっじゅぶっ! 祐一の逸物をしゃぶらされ、頭を掴まれて前後にメチャクチャに動かされて……。突っ込まれたバイブレーターに好き放題かきまぜられ……。
「ひ……はぐぅぅぅ……あ……あぁ………あー……っ……あ……あぁ……あ……んぐぅぅっ!」
首筋にダラダラと涎を垂らし、ぽたぽたと愛液をこぼし……。普段からは考えられないくらい、淫らな恰好にさせられ。
「くっ! で、でるっ!」
「んっあっ! んああああああっ! あああああーーーーーーっ!!!! あッひいいいいーーーーーーーっ!!!!」
二人は同時に、絶頂を迎えた。




















びしゃっ、びしゃっ……叩きつけるような音と共に、大量の精液が名雪の綺麗な顔を……汚していった。




















「ゆ……いちの。……ん……んぐ……ん……。ん……ぐ……んく……ん……。にが……い、けど……ゆういちの……」
こびりついた祐一の精液を指で取っては、口に含み……こく、ごくと飲み込んで。
「よかったよ。名雪の口」
「えへ。祐一も……感じてくれたんだ。嬉しいよ」
顔中をべとべとによごされながらも……笑顔を見せる。




















二人だけの一日は、まだ……始まったばかり。




















後編へ続く。






























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(後書き)

やっぱり突発ネタの名雪SSでしたが。今回は続き物なので、後編に続きます。
名雪は可愛いですねー。おっとり天然ボケさんはとっても好みです。
この作品のご意見ご感想をBBSメールで、是非是非くださいませ。
というわけで、後編をお楽しみに〜。