今更な二人
ある眠れない夜のこと。
神尾家の居候、国崎往人は羊の数を数える代わりに、深く自問自答してみるのだった。 何について? それは、人生というものについて。 人の生き様において、金銭はとても重要な役割を担う。金が無くては遊ぶことはおろか飯も食えないし、衣服も買えないし、住居を借りる事すらできない。無論、それが全てというわけではないが、ある程度は必ず必要とされるものであり、多くあって尚良いものだ。 「至極当然のことだ」 では、楽して金を稼ぐ方法とは、果たしてあるのだろうか。 「ノン。そんな都合のいいものはない。あるわけがない。あったとしても非合法な響きを伴うだろう」 ならば妥協して、苦労していっぱい稼ぐ方法はあるか。 「あるけれど、なかなか『いっぱい』に、とは稼げないものだな。世の中そんなに甘くはない」 では、それならばお前は八方塞がりな状況の中、何を望むのか? 「……少なくとも、風雨をしのげて、それなりに食える環境。贅沢は望むまい」 今の環境はどうか? 「なかなか、悪くない。どころか、神尾家の環境はかなりいい。たとえ割り当てられた部屋が『タンスにドン』のような消臭剤の香る物置の一角であっても、布団と毛布と枕が与えられているというのはそんなに悪いものではない」 更に人生設計を突っ込んで問う。その環境。将来性についての問題はどうか? 「観鈴との関係は非常に良好というよりもエロゲーのトゥルーエンド後のようならぶらぶな状態であるからともかくとして、俺が晴子に明日にも追い出されないとは誰にも否定できない状況故に、決して安定しているとは云いがた……そうかっ!」 自問自答を重ねるうちに往人の中で、一つの方向性ともいうべき人生設計の答えが見つかった。 「観鈴と既成事実を作ればいいんだ……! って、別にそんな人質のように際どい設定ではなくて、双方の了解を得てだな」 了解も何も、実のところ二人はもう完全に両思いで、えっちなことも経験済みで、非常に今更なことでもあるのだが。 「無論。定職に付いて安定した収入を得て、あいつを心の底から安心させてやるというのが大前提だが」 うーむ、と悩む。結構真面目な思考を巡らす。それについてはまあ、なんとかなるだろうとも思った。今は近くのリサイクル業者の手伝いをしているが、結構長く真面目に続けていて相手方からもそれなりに気に入られているから。要は、頑張ってるから大丈夫だぜ、ということだ。 「あれ。でもまてよ。俺が観鈴と正式に結ばれたとしてだ。俺は晴子の……………………」 関係改善? 進展? あるいはそれを認めるということは、観鈴と結ばれるまでの険しい道のり以上のものを受け入れるということだった。 「……。俺は、晴子の……。ぎゃああああああああああっ! お、恐ろしや恐ろしや!」 それは、恐ろしいほどの悪夢だった。……というよりも、そんなに嫌なのだろうか? で。物盗りでも出たのかと思い、突然のことにどがっとドアを蹴っ飛ばして入ってくるは、神尾家の家主である晴子さん。 「なんやなんやなんや! 夜中にでかい声出してやかましいわこの居候が!」 しかしながら。往人は自分以上にやかましい人を見て、かえって冷静になれてしまったのだった。素直に絶叫した原因を述べる。 「いや……。悪夢ではなく、悪夢のような想像をしてしまったのだ」 「あぁ? どんな想像をしたんや?」 「いやなに。大したことではないんだ。……俺が観鈴と既成事実を作ってしまったら、晴子が俺のお母様ということになるのかなと思ってな。いやもう考えただけでも……ぽっ」 と、どこぞのお米券をくれる少女のように頬を赤らめて見せるが。 「く、くぁああああっ! きしょいことぬかすんやないわこのどあほおおおおっ!」 「ぐふっ!」 バキッと、気合の入ったローリングソバットが往人の顔面に炸裂するのだった。 「アホなこと考えとらんでさっさと寝んかいぼけなす!」 怒りの晴子さんは、ドアを乱暴に閉めて出て行ってしまった。 「め、目が覚めてしまったぞ……。完全に」 もはや眠れる状態ではなくなってしまったのだった。が……。 「まあ、晴子が俺の……お母様になってしまう事実はさておいて」 観鈴と結ばれることについて意義などある訳がない。あいつを守ってやりたい、と、千年の時を経てでも思い続けるのだった。 で。そんなことを考えていると、何故だか無性に観鈴と話をしたくなってきた。昼間、ずっと一緒にいたのにもかかわらず、今観鈴を抱きたいというラブソングのフレーズのような気持ちになってきてしまった。これが、このもどかしくもほのかに甘く熱い感じが『愛』という形の無い代物である、と往人はうんうん頷きながら確信した。なれば……。 「よし」
そして、意を決して場所移動。
気配を完全に消し、音を立てずスネークする(=忍び込むの意) その作戦行動は成功し。 「観鈴」 耳元でささやくも、彼女は気づかない。相変わらずく〜く〜愛らしい寝息を立てている。 「……」 そんな彼女の長い髪をみていると、触りたくなってくる。……髪だけではなく、全身にも。 「観鈴」 そしてごく自然にそっとベッドにもぐりこみ、慣れた手つきでパジャマのボタンを一つ一つ外して行くと、胸が完全にあらわになる。彼女は寝るときにブラなどはしていないようで、何一つ覆い隠すもののない乳房がぷるんとあらわになる。 「観鈴」 往人はこれまた慣れた手つきでさわさわと胸をまさぐりながらも彼女の名をささやく。柔らかな膨らみが往人の手のひらでこね回され、形を変える。 「観〜鈴〜」 柔らかな中に、少し堅い突起があった。観鈴の乳首は少しだけ起っていた。で、今度はパジャマのズボンを下着と一緒に膝あたりまですーっと下げる。そして、右手で観鈴の股間をまさぐり、左手で乳房を寄せ上げて乳首にしゃぶり付く。 「ん……。え……?」 もぞもぞと何かがうごめくような違和感に、観鈴は目を覚ました。 「え? え? ……ゆ、往人さん!?」 当然のことながらびっくりする。 「しっ。静かに。ちょっと夜這いに来ただけだ」 「夜這いに来ただけ、って……。が、がお……」 気がついたらいきなり体中いじくられていたら、観鈴に限らず誰でも混乱するだろう。 「いや、なに。この際だから観鈴と既成事実を作ろうと思ってな」 「ゆ、往人さん〜! どうしていきなりそういうことするのかなあ……」 準備もへったくれもあったもんじゃなかった。 「実はな。かくかくしかじかというやつで」 「はぁ……。だからって、こんなにいきなり」 事情を聞いて溜息をつく観鈴。 眠れないので人生について色々考えていたら、今観鈴を抱きたい気持ちになってしまった。と……誤魔化しも何もありはせず、観鈴もそれを完全に本当のことだと確信した。要は、往人の人となりを完全に理解しているのであった。 「というわけでいくぞ。観鈴、いいか?」 「いいかも何も。もうはじめてるのに……」 これだけ好き放題やっておいて今更何を云うのかな、と観鈴は目を伏せて二度目の溜息をつく。何しろ、観鈴の太ももには既に臨戦態勢になった往人のものがぴったりと当たっているのだから。今更止めたところで引いてくれそうにもないし。 「じゃあ、いくぞ」 往人は嬉々として観鈴のパジャマのズボンを下着ごと脱がしてベッドの外にぽいッと勢いよく『こんな邪魔なもんいらねーや』とばかりに放り投げて。 「……。あ、んっ!」 仰向けの観鈴に覆い被さるようにして往人は体を重ね、上からねじ込むようにして秘部にあてがって、ずにゅずにゅと押し込んでいく。 「ゆっくりといくからな」 「はぅぅ〜っ!」 観鈴は両手でシーツをぎゅっと握りながら、入ってくる圧迫感を堪える。 「う、う、う〜〜ぅ。はぅっ」 「痛いか?」 「だ、いじょぶ……だけど。き、ついよ……」 固く、熱く、大きなものが自分の体の中をじりじりとこじ開けて入ってくるのがわかり、観鈴は赤面しながら答える。 「あ……あっあっ……はふぅっ!」 「もう少しだ」 「んあっ! あ……あ……」 最後にぐぐっと圧力をかけて押し込むと、根本まで埋まり込む。 「全部入ったな」 「は、あっ……あぁぁ」 荒い息を付く観鈴を抱き締めるように、背中に手を回すと、観鈴もそれに合わせてきた。 「観鈴」 「んっ」 見つめ合う間も無くキスをする。 「往人さんの……。熱いよ」 「観鈴の中も熱いぞ」 馬鹿みたいなシチュエーションに、お互いくすっと笑い合いながら、少しずつ動き始める。 やがて
「あっあっあっあっあっ!」 激しい行為にぎしぎしとベッドがきしむ。仰向けに寝かされて、身動き取れない観鈴を徹底的に攻める。叩きつけるようにして、上から押し込んでは引き抜く。 「はぅぅ! あっあっあっ! も、もぉ……だめ」 「まだまだ。もうすこし」 両手で強く胸を揉みまくりながら、更に動きを早める。 「あっあっあっあっあっあっ! はぁぁぁあっ!」 観鈴はあっさりと絶頂を迎えさせられ、果てる。 「出るっ!」 「ああっ! あ……ついのが入ってくる」 観鈴の中に大量に射精。だが、往人は観鈴の中から引き抜かず……。 「今度はバックだ」 「え……あ。そんな……」 繋がったまま、観鈴の体を手早くひっくりかえして腰を上げさせて引き寄せて、すぐさま再開。波状攻撃のような突きをはじめる。 「ゆ、往人さん。休ま……せて。はうっ!」 「だめだ」 ぱんぱんぱん、と体がぶつかり合う中、観鈴の胸を揉み、乳首をぎゅっと少し強めにつねる。 「抜かずのまま、後三回は楽にいけるからな」 涼しい顔で、これは前菜のようなものだと云うのだった。 「が、がお……。観鈴ちん……ぴんち……あっ!」 「一気に行くぞ。全力で俺を、感じてくれ!」 中出しされてぐちょぐちょした感覚なのも構わず、往人は二度目の射精へ向けて最大出力。 「あ、あ、ああっ! 熱いのがまた……あうっ!」 「ほら。観鈴ももっと腰振れ」 振り回される一方の観鈴を奮い立たせるため、ぺちぺちとお尻を軽くたたいて気合を入れる。それはあたかも、競走馬に鞭を入れるかのごとく。 「む、り……だよぉ! ああああっ! は、激しいよぉぉ! あっあっあんっ! あああんっ! はぁぁんっ! だ、めえええ……」 ……この後、騎乗位で一回。体面座位で一回。そして延長戦とばかりに駅弁スタイルで一回と、ありったけの欲望を観鈴の中に注ぎ込んでいくのだった。 もちろん云うまでもなく一度も抜かずに休ませず、最後までノンストップ。 「が……ぉ……」 へとへとのへろへろ状態の観鈴。 徹底的に攻められて絶頂を向かえさせられて、しばらく足腰立たなくなってしまったのだった。 「ぐがー。んがー」 そんな往人は観鈴の脇でぐーすかぐーすか眠りこけている。 「う、うぅ……。往人さ……んん……」 そんでもって朝日が昇るころ。
「おはよう」 「……。お、はよう」 ぐったりとして寝不足な観鈴と、対照的に元気いっぱいな往人。 「観鈴」 「ゆ、往人さん。もしかして、また?」 「もしかしない」 「ひあっ!」 往人の分身は今も臨戦態勢! 既に、観鈴の秘部にコネクト寸前状態。 「というわけで、いくぞ」 「が、がお……。あ、あっ! ああーーーっ!」 間髪入れず、観鈴の中にずにゅっと挿入開始。 「ああ。後で、口でもお願いな。観鈴のおしゃぶりは気持ちよくて好きだぞ」 「み、観鈴ちん、だいぴんち〜! はうっ! あうっ! あああんっ!」 で、観鈴はそれからまたいっぱい攻められてしまうのだったが。 「ふっ! くっ! ……いい締め付けだ」 どこまでも絶倫な往人が観鈴にのしかかって、もはや何度目かわからないくらいの行為を再開すると。 「ひっ! ひいいっ! ひはっ! も、だめ……ぇ……。あっあっ!」 奥の奥まで激しく突かれて悶絶する観鈴に、往人はさらなる攻勢をかけるのだったが。そんな時。 「くらぁっ! 観鈴、居候! 朝っぱらからいつまでも盛ってんやないわあっ! いーかげん起きんかあああっ!」 どがっ! と部屋のドアが開いて晴子さん登場。さすがに見るに見かねたのだろうか。 「お、お母さ……ん……っ!」 「お母様。おはよう」 嫌がっていたくせに、いともあっさりと晴子を『お母様』認定。 「ぬあっ! お母様云うなああああああっ!」 余りの違和感にキれた晴子さん。鋭い蹴りを往人の背中に炸裂させる。 「ぐふぉっ!」 「あああんっ!」 くいを打たれたかのように奥の奥まで埋没し、射精と同時に観鈴も絶頂を迎えるのだった。
千年分の(?)思いを込めて
観鈴とやりまくる往人。 二人はもはや、『今更な仲』では終わらない! ----------後書き----------
こんなのもまた幸せなその後、かな? 往人はとても絶倫そうなイメージがあるので、このようなお話になりました。 ご意見ご感想シチュエーションのリクエスト、誤字脱字報告はWeb拍手にてお願い致します。 |