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真夏の水瀬家










 夏真っ盛り。――水瀬家の居間。

「祐一ぃ」

 長いソファーに腰掛けているのは祐一と名雪。

 さっきから名雪はわけもなくにこにこしながら祐一の腕に抱き着いてきていた。名雪の格好はとっても薄い布地のキャミソール。露わになった華奢な肩と柔らかそうな素足。そして、服の上からもわかるツンと膨らんだ胸。夏だけに露出度がとても高くて男としては嬉しいけれど、ちょっと目のやり場に困る。

「何だよ」

 人懐こい小動物のように抱きついてくる名雪に対しちょっと鬱陶しそうな祐一と、正反対に『え? どうして?』と、祐一の質問内容自体が不思議とばかりに首をかしげる名雪。

「何でもないよ?」

 理由などないと名雪は云いきった。例えばそれはまばたきをするかのように、ごく自然の動作。

「何でもないなら何で抱き着いてくるんだ」

 呆れたように苦笑する祐一。名雪はうーんとねと、ちょっと考えて。

「祐一だから〜」

 名雪にとっては明確だけど、祐一にとっては答えになっていない答え。名雪は嬉しそうに、更に強くぎゅむーっと抱き締めてきた。

「好きだから〜」

 補足の答えが全てであり、最初からそう云えば良かったのだった。要はバカップルとか云われるくらいにいちゃいちゃしたいと云うか、単にスキンシップを取りたいようだ。えへへと嬉しそうにほほ笑む名雪に祐一はうんざりしながら云う。

「暑い。離れろ」

「どうしてそういう事云うの〜」

 好きな人に甘えきって抱きついちゃいけないの? と、名雪はちょっと不満なようで抗議の表情。猛暑でバテていそうな祐一とは対照的に名雪は暑さなど全く気になっていない模様。

「祐一の意地悪」

 名雪は頬を膨らませながら更に強く密着する。少し汗ばんでいることもあるけれど、吸い付くような感触の肌。祐一はかったるそうな反応だけど、内心はどきどきしていた。

 白く、瑞々しく、若々しい肌。本音を云えば、触りたいのは祐一の方だった。視線の先数センチの距離には名雪の顔。向こうのキッチンで何かしているのか、秋子さんの後ろ姿が見えた。こちらの方を向いていないから大丈夫と、祐一はそんなことを確認してから。

「あ……」

 さりげなく名雪の唇にキスをしていた。名雪は嬉しいけれどちょっと困惑してしまい、頬を赤らめながら小声で云う。

「う……ぅん。だ、だめだよ祐一。お母さんに見られちゃうよ。後で……」

 確かにその通り。しかし祐一は思う。

(蛇の生殺しだなこりゃ)

 祐一は今すぐ目の前の少女を押し倒したい衝動に駆られていた。貪るように唇を奪いディープキスをして舌同士を絡ませたい。キャミソールの中に手を這わせて二つの膨らみを揉み回したい。ショーツを脱がすのも億劫だから、少しずらして露になるであろう割れ目にそそり立ったものを奥まで突っ込みたい。

 秋子さんのせいとは云いたくないけれど、流石にそれは……と、躊躇してしまう。





しかしそれから数分後のこと。





「ちょっと買い物に行ってくるわね」

 偶然か必然か。空気を読んでいた。……わけでは恐らくないのだろうけれど、にっこりとほほ笑みながら秋子さんはそう云った。玄関にて、行ってらっしゃい〜と名雪も見送った。そうして秋子さんは出て行った。玄関のカギを閉めるとすぐに……。

「わっ!」

 背後から名雪の胸を鷲掴みする祐一。

「名雪」

 祐一は先程とは打って変わって真剣な眼差しで名雪を求めていた。恐らくは、名雪に服を脱がす暇すら与えてくれないことだろう。

「ゆ、祐一ぃ。待って」

 名雪はそれを察知し、困りながらも拒みはしなかった。

「その……。汗かいちゃったから」





シャワー浴びさせて、その後で等とは云わなかった。





お風呂で、と云うことに。





 邪魔な服を脱ぎ捨てて、二人は全裸。

「あっあっ! 祐一ぃ!」

 風呂場の中に名雪のか細く切なげな喘ぎ声が響き渡る。

 湯船の中には二人と共にお湯ではなく水がたっぷりと入っていた。そうして正面同士を向かい合う対面座位。祐一と名雪は抱き締めながら一つに繋がっていた。見つめ合い、何度もキスを交しながら……。

「あ、あふ、あぅ! つ、めたくて……あついよぉ」

 繋がったままゆっくりと上下に動く名雪。その度に祐一の太くて長いものが出入りを繰り返し、ちゃぷちゃぷと水面が揺れる音が響く。

「名雪の中、熱くて締まる」

「ゆ、祐一の……も」

 密着した肌と肌。強く抱き締めているからか、名雪の胸は潰され形を変えていた。時折祐一は指で名雪の乳首を摘んだり引っ張ったり転がしたりして弄ぶ。

「あ、あ。す、好き……すき。祐一ぃぃ。す……き。んにゅ……」

 熱い想いが込み上げ、名雪は無意識のうちに好きという言葉を繰り返すけれど、度々キスに阻まれる。秋子さんがいない間に、つまみ食いするかのように交わる二人。

「もっと、動いて」

「う、ん。あ、あ、あ……。は、ずかしいよぉ……」

 上下の動きを早める名雪。祐一は両手で名雪のお尻を掴み、揉みしだく。

「あ、ん……っ。気持ち……いいよぉ。祐一ぃぃ……っ。あっあっあっあっ」

 そうしてそのまま二人は達してしまった。





あまりにも気持ちがいいので





二人は繋がったまま、まだ暫くは水の中。










----------後書き----------

 久々の名雪あまあま話。時折書かないといけない気がするのです。



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