惚れた弱みにゃかなわない
怒りというよりも呆れに似た感情。それは彼女の場合、決まってため息と共に発露される。これまでもそうだったし、これからもそうなのだろう。何となく、そんな気がした。 「あ、んたは……あたしに生き恥晒させるつもり?」 と、彼女。相楽美佐枝はこめかみの辺りをひくひく震わせながら云った。それに対し云われた方、岡崎朋也の反応は……。 「まあまあ。そう云わないでさ」 なだめるように、落ち着かせるように、ちょっと引きつった笑顔を見せる。朋也としても譲れないものがあるわけで、どうしても好奇心に勝てないからこそ、変なお願いをしてしまうわけだった。 「もう」 案の定と云うべきか。ため息をつきながらも、結局は云うことを聞いてしまうのが相楽美佐枝という人だった。そしてそれは、朋也もお見通しの上だった。結構悪どい奴である。 きっかけは、数分ほど前のアクシデント。
「ふう」 美佐枝が脚立にのって、廊下の切れかかった電球や電灯を交換していると。いつものように朋也が春原の部屋へとやってきた。暇さえあればいつもそうだったので、もはや常連と化していた。 「あら岡崎……」 美佐枝がそれに気づいて声をかけた……まではよかったのだが。その瞬間。 「あ……っ」 「危ねぇっ!」 美佐枝はたまたまそのようなタイミングで足を滑らせてバランスを崩してしまい、反射的に朋也が飛び込んでクッション代わりになった。そして、お互い重なり合うようになったわけで。 「あいたたた。ご、ごめん。岡崎……大丈夫?」 「む、ぐ」 朋也は仰向けに倒れこみ、ゴンッという鈍い音がするほど頭をしこたま打ち付けてしまったが。幸いなことに、美佐枝の方は何ともないようだった。 「岡崎?」 「む、む〜〜〜!」 実のところ、頭を打ち付けた痛みは大したことなどなかった。が、問題なのはその後。美佐枝の豊満で重量感のあるバストが朋也の顔にのしかかってきたわけで、ただ今現在呼吸困難な状態に陥ってしまった。 「ちょっと岡崎! しっかりしてよ ! 岡崎! 岡崎ぃ!」 そんな状態なのも露知らず。美佐枝は狼狽し混乱し、心配の余り涙をこぼして叫ぶのだった。それはあたかも、朋也が痛みにのた打ち回ってるように見えてしまったから。……実際には、天国に近いような気分を味わっていたわけだけれど。 (だ、大丈夫……だってのに) ふっくらした、大きな膨らみに顔を埋めて気持ちいいやら苦しいやら。 結局その後……。
朋也は美佐枝の部屋に連れて行かれて、すぐさまベッドに寝かされ、アイスノンを後頭部に当てられていた。そして、彼女は付きっきりで見てくれていた。 「大丈夫だって」 「本当に?」 「本当」 何度となくそんなやりとりをして、やっとこさ落ち着いてくれたのだった。 「よかった。ごめんね……」 「大丈夫なんだから。もう、謝らないでくれよ」 「でも……」 ちなみに、不幸中の幸いということで。誰にも目撃されていなかった。朋也にとってはそっちの方がよかった、と思えるのだった。 (……美佐枝さん。優しいな) 美佐枝は泣きじゃくって赤くなった目を細め、慈愛に満ちた眼差しを朋也に向ける。朋也にはそれがとても母性的に感じられた。 「岡崎ぃ」 「うん?」 「ありがとね」 美佐枝は本心からそう云った。自分のドジでこんなことになってしまって、申し訳なくてどうしようもない。そんな気分。 「ああ」 「何かお礼、しなくちゃね」 「いいって」 「そんなこと云わないでさ。何か、あるでしょ? 何でもいいから」 どうしても美佐枝が引き下がってくれそうにないと朋也が悟ったところで、たまたまとあるものが目に入った。開いたクロゼットの中、ハンガーに掛かっている見慣れた服。 「じゃ、さ」 「ん」 「あれ、着てみてよ」 「あれ?」 「そうそう。あれ」 朋也が指差した先。クロゼットの中のそれは、クリーム色の上着と紺色のスカート。恐らく、彼女が学生時代に着ていたのであろう制服だった。朋也が今通っている学校の、女生徒の制服。 「……。よりによってあれかいっ!」 一瞬呆然とした後、さすがに困惑する。 「うん。あれ」 「どうしても?」 「見てみたいな。無理にとは云わないけどさ」 断れない事をわかっていて云ってみた。美佐枝の性格もあるけれど、先ほどのシチュエーションが弱みになっているから尚更だ。 「あ、んたは……あたしに生き恥晒させんの?」 「まあまあ。そう云わないでさ」 「もう……」 朋也の予想通り、溜息をつきながらも美佐枝は云った。
仕方ないわねぇ、と。
内心朋也は『やったあ!』と、子供のようにガッツポーズをしたくなった。
「ったく。いい歳して制服だなんて……。イメクラじゃないんだから」 早速隣の部屋にて着替え中。朋也がわくわくしながら待っているのとは対照的に、美佐枝は溜息ばかりついてしまう。汗で濡れた髪を解きたくなったけれど、外で急かす奴がいるので後にすることにした。あの馬鹿たれ、と心の中で呆れて罵るけれど仕方がない。もっとも、そんな美佐枝のうなじが色っぽくて朋也を魅了するのだけれども。 「んしょっ。……う、きつい。ああもう。そりゃ!」 紺色のインナーを着込もうとして、胸のあたりがきつくてなかなか入らないことに苛立ち、ぐいっと強引にねじ込む。学生時代に比べて更に大きく、ふくよかになったようで。ダイエットしなくちゃねぇ、と強く思うのだった。 「う、ああ。スカートがぴちぴちじゃない……。冗談じゃないわよ。何だってのよもう」 それに加えて身長もある程度伸びたからか、スカートの短い丈が気になって仕方がない。それもこれも全て朋也が悪い! とは思うのだけれども。 「仕方ない、か」 助けてもらった弱みもあるけれど、彼なら何故か許せるのだった。そして服のしわを整えて改めて鏡を見てみると。 「う、あ……な、何か。見てはいけないものを見てしまった気がする」 その姿にすぐさま自己嫌悪。だめだこりゃ、と云いたくなるようなそんな感じ。端から見ればそんなことはないのだけど、自己評価としては『不自然極まりない』と云うところだった。現役の人々から年増呼ばわりされそうな、陰でクスクス笑われて指をさされて馬鹿にされそうな気になってきた。そんな、ネガティブな被害妄想にふけるくらいに今の自分が情けない格好をしてると思ってしまうのだった。 「美佐枝さん。まだ?」 「はいはい。今見せるわよ。あんまり期待しないでよ。恥ずかしいんだから」 そしてドアを開けて朋也の前に出る。もはややけっぱちだった。が、一瞬まぶしい光に包まれる。 「わっ! な、何っ!?」 その正体はすぐ判明。朋也は何故かデジカメをもっていた。後で判明したことだが、商店街の福引きで当たったとか何とかで、春原に見せびらかしてやろうと思ってもってきていたのだそうだ。 「撮った?」 「うん。ばっちり」 「あら、そう」 笑顔でそう云った後、美佐枝はすぐさま息を吸い込んで……。 「こら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 このお姉さん。八重歯が可愛いな、などと朋也が呑気に思う間もなく叫び。 「消せ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 獲物を狙う獣の如く。 「どわあっ!」 朋也に飛び掛ったのだった! 「だ、誰にも見せないからっ! ただ、似合ってるなぁって思っただけだから!」 「尚悪いわーーーーっ! そんなにあたしの羞部を記録して楽しいかああああっ! 脅迫の材料にでも使うつもりくぁ〜〜〜〜っ! カメラをよ〜〜〜こ〜〜〜せええええ〜〜〜っ!」 「ちちち、違う違う違う! そんなつもりは全然な……うおおおおっ!?」 朋也はただ単に記念撮影、してみただけだったのだがそうは問屋が卸さないとばかり、ガシッと関節をロックされてしまう。当然の如く朋也はジタバタもがく。そうして揉み合いになり、いつしか美佐枝は朋也をベッドに追い込んで勢いよくごろごろと転がり、押し倒すような形になっていた。 「つ、捕まえたわぁっ!」 「つ、捕まってしまったぁっ!」 興奮し、はぁーはぁー云いながら美佐枝は朋也の肩を捕む。しかし……。 (こ、この格好って) わずか数センチの距離で視線が交差する。互いに吐息を感じられるくらいに近い。 「さ。データを消させてもらおうかしら」 朋也にとって、もはやそんなことはどうでもよくなっていた。美佐枝が手を伸ばしたところを見計らって、発作的に行為を起こす。 「んんっ!?」 美佐枝の背中に手を回し、思い切り引き寄せてキスをした。そしてすぐさま、離れることができないように両手でがっちりと固定する。 「んっ! んんっ! お、かざき……」 突然のことに戸惑い、大きく目を見開く美佐枝だったが。朋也はそれ以上に戸惑っていた。まるで、迫られたかのように感じたから。 「美佐枝さんのせいだからな」 「何を……」 開き直ったかのように、どちらが年上かわからないくらいに朋也は積極的になり、逆に美佐枝は怯えるかのように少し目を潤ませて、視線をさまよわせた。拒否の言葉はもう出てこなかった。 「好きだ、ってずっと云い続けてる相手にこれだもんな」 朋也は少し呆れて苦笑する。自分が好きな人はそれだけ純情で、可愛いということだと改めて気付かされた。 「んぅっ!」 朋也は再度、美佐枝の顔を引き寄せてキスをした。そして、抱きしめ合ったままごろんと体を入れ替えて、朋也が覆い被さるような体勢になった。そのまま当然のことと云わんばかりに、迷うことなく美佐枝の制服に手をかける。きついインナーを少し強引にたくし上げて、露わになった大きな膨らみを包み込んでいるブラも同様にする。するとふるん、と柔らかな胸がたゆみ、朋也はそれを見てゴクリと唾を飲み込んだ。 「あ……」 美佐枝が恥ずかしさに体をよじろうとしても、のし掛かられていて身動き一つできない。今はもう、普段の腕っ節の強さが嘘のように、か弱い少女のようにさせられてしまっていた。朋也はそんな状態を見越したかのように美佐枝の左右の胸を掴んでは揉み回し、同時に乳首にしゃぶりついた。美佐枝の胸は大きさに対し、乳首は小さめで淡い色をしていた。 「やっ……あっ!」 赤ん坊のようにしゃぶりつきながら舌で乳首を転がし、わざと音を立てて吸い付く。交互に、おもちゃを扱うかのように何度も。 「あっ! っく……ぅ」 美佐枝ははしたない声が出ないようにシーツを掴んで必死に堪えるも、朋也の攻めは執拗だった。段々と体から力が抜けていき、されるがままになってしまう。 「似合ってるよ。制服」 「な、にを。あ……」 朋也は唾液でとろとろになった乳首から口を外し、今度は親指と人差し指で摘んでいじりながらボソッと呟く。 「本気で。現役みてぇだから」 春原や、寮の男子生徒達にこんな所を目撃されたらぶっ殺されるかな、などと朋也は思う。みんなが憧れている人に学生時代の服を着せてわざと恥ずかしがらせて、大きくて魅力的なバストを揉み回して好き放題弄んでいるのだから。 「あ……。だ、め。っく。も……胸は……あっ」 「そう」 小刻みに荒い呼吸を繰り返す美佐枝を見て、朋也はじゃあ、とばかりに胸から手を離す。 それは素早くて美佐枝が『何をするの』と問う間もなかった。朋也は体を起こして美佐枝の両足を左右にぐいと広げ、スカートに潜り込むように顔を入れる。 「え……ちょ……。お、かざき……あっ!」 呆然としていた美佐枝が我にかえり、気付いたときにはものすごく恥ずかしい体勢にさせられていた。朋也は無言のまま美佐枝の下着をずらして舌を這わせる。柔らかな部分は薄い陰毛に覆われていて、朋也の頬に触れる。 「やっ! そ、そんなとこだめよ! 岡崎ぃっ!」 慌てて朋也の頭を掴んで離そうにも、スカートの布地が邪魔をしてどうにもならなかった。もっとも、度重なる愛撫の刺激によって更に力が抜けてしまっていて、結局されるがままなのだけれど。 「はぅっ! あっ! あひっ! あああっ! だ、めよ岡崎……も、もう……やめ、て」 あっという間に割れ目を舐められ、指でいじくられ、唾液でとろとろになるほどほぐされて濡らされて、美佐枝は体を小刻みに震わせて悶えた。 「あ、あ、ああぁ。あひ……あ、あ! くすぐった……い。ああっ!」 そろそろいいかな、と朋也は思い、秘部への愛撫をやめて立ち上がる。荒い息をつきつづける美佐枝を横目にズボンのチャックを下ろし、極限までそそりたったものを出す。勢いよく飛び出してきたそれは、太く、大きかった。朋也は美佐枝に見せつけるようにして目前につきだしてみせる。 「……」 美佐枝は不安そうな眼差しで、怯えるようにビクッと体を震わせながらも本能的に凝視してしまう。朋也がこれからしようとしていることは一つだけだった。入り口に先端をあてがって、後は中に入れるだけというところで静止して。 「美佐枝さん。いい、かい?」 初めての相手が自分でいいのか、と今更ながらに確認。こういう事をするのは初めてなのだろうということは、突っ込むのも野暮だった。 「ば……かぁ」 これだけやりたい放題やっておいて何云ってる、と、そんなところ。嫌なわけがない、などと云うまでもなかった。朋也は僅かに頷いて。 「いくよ」 正上位のまま、ずにゅ、と上からねじ込むようにして挿入を開始する。たっぷり愛撫をしてほぐれたとは云え、美佐枝の中はきつく締め付けてきて、熱かった。 「あ、あぁぁぁ……あぁっ! 痛っ」 猛烈な圧迫感と少しばかりの痛み。美佐枝は朋也の体にしがみつくようにして体を支え、堪える。朋也にとって美佐枝は気丈で、元気で、頼りになるお姉さんのような存在なのだけれど、不安と痛みを堪え続ける姿は弱々しくて、普段の面影などなかった。頬を伝う涙が一筋、二筋と増えていくのを見て、朋也は少しだけ罪悪感に苛まれた。 「入っていくよ」 ゆっくりと、少しでも美佐枝に負担をかけないように挿入を続けていく。それでも、結合部は血こそ出てないものの痛々しく腫れ上がっていた。 「痛み、大丈夫? やめる?」 わかっていつつ、聞かずにいられなかった。 「大丈夫……。我慢、する。最後まで、う、うぅぅ……して……んっ!」 やがて、何かを突き破るような感触の後、抵抗が抜けて一気に奥まで入り込んだ。 「……」 「……」 完全に一つになった後。二人は数秒間見つめ合って、互いに無言。口を開いたのは朋也の方だった。 「美佐枝さんってさ」 「ん」 「やっぱり、初めてだったんだな」 「やっぱりって何よやっぱりって。耳年増で悪かったわね」 拗ねたように唇を尖らせてみせると朋也はくすくすと笑う。 「いや……。よかった」 「何が?」 「美佐枝さんの、初めての人になれて」 「あー。今更だけどさー」 「うん?」 「ファーストキスの相手もあんただからね。責任取ってよ」 「え。そうだったの?」 「っとに。デリカシーのないやつねぇ。それくらい意識しなさいよね」 と、彼女がそう云えば。 「美佐枝さんは男運がないんだな。きっと」 ああ云えばこう云う、とばかりに云い返す。 「あんたが云うな。自覚しなさい。まったく。どうしてあたしはあんたみたいなのに惚れちゃったかねぇ」 「美佐枝さんこそ、本人の目の前で云わないでくれ」 何だか段々おかしくなってきた。一つに繋がったまま何話してるんだろうと。それは二人とも同じ。 「ん……。もうしばらく、このままでいて」 「ああ。好きなだけ」 今日はもう、一つになれただけでよかった。そして、朋也もそれ以上は望まなかった。代わりと云うわけではないけれど、何度となくキスを繰り返して、その度に微笑みあった。 でもね、と。美佐枝は笑って云った。
「ん、ん」 それだけじゃ寂しいということで、ベッドに腰掛ける朋也に対し、美佐枝はひざまずいて口で愛撫を始めた。八重歯があたらないように思い切り口を開けて、舌と唇で包み込む。じゅぽ、じゅぽ、とこもった音がするくらい濃厚で、熱いほどねっとりとしていた。 「美佐枝さん。口でするの、上手だね」 「ん……。ぷは。云っとくけど。これも初めてだからね」 美佐枝が口を離すと、にゅるんという感触とともに透明で粘り気のある液体が糸を引く。 「嘘?」 「もぉ。信じなさいよね」 じとーっとした目で朋也を睨む。 「だって、このテクニックだもんな」 「あっそ。じゃ、もうしてやんないから」 ぷいと拗ねてみせると、朋也は慌てて謝るのだった。 「ああ、嘘嘘。冗談じょーだん」 「はいはい」 そして再びくわえ込み、同時に豊満な胸で挟み込む。ふるんとたゆむくらい柔らかでいて、ハリがあって触れるだけで気持ちよかった。 (美佐枝さんって、着痩せするんだな) 普段、服とブラに包まれている胸は、むき出しになると更にど迫力なのだった。 「んぐ、んぐ、ん、ん、んっ」 ほら、早くいっちゃいなさいな。とでも云いた気な上目遣いで、愛撫の速度を加速させる。朋也はやがて、堪えきれなくなって達しかけていた。が、そんなとき。 「美佐枝さ〜ん。います?」 「うわっ! やばい!」 恐らくラグビー部員の誰かが相談にでも来たのだろう。ドアがノックされて音がした。が、美佐枝は怯むことなく愛撫を続ける。そして……。 「う、で、出る……」 朋也は思いきり射精した。二度、三度と大きく震えて美佐枝の口の中に。 「ん、ん……。さて、ちょっとごめんね。隠れてて」 笑顔のままあっという間に飲み込んで、乱れた服を直し、ティッシュで口を拭いてドアの方に向かおうとするが。 「美佐枝さん! 服! 服!」 「あ……。あらやだ、忘れてたわ。あっはっは」 自分の服装をすっかり忘れていたようだ。笑顔が引きつる。さすがに、朋也以外のやつにはそんな姿見られたくない。 「ごめんねー。今お風呂上がりだから、後にしてー」 機転を利かせて、ドアの向こうの男子生徒にそう云うのだった。 それからまた後日のこと。
「今度はさ。あれを着てみてよ」 「なっ!?」 段々と、朋也の悪のりはエスカレートしていく。しかし、タンスの中にあったものを見ては仕方がなかった。どーしてこいつはそういうものばかり発見するのだろうか、と美佐枝は呆れ果てながら思った。 「あんたってやつわっ!」 「ま、まあまあ。絶対似合うからさ。頼むよ」 「余計悪いわーーーーっ!」 それでも最終的には着てくれることを朋也は見抜いていた。美佐枝も、自分が断れないことを知っていて引き受けてしまう。 「はぁ……。こんなことになるなら捨てておけばよかったわ。何の羞恥プレイよこれは」 それはまた、学生時代の服。体操着なのだった。 「ああっ! なんであたしがこんな生き恥晒さなきゃいけないのよっ! 一体全体何のアダルトビデオよこれはっ!」 当時に比べて更に胸が大きくなり、身長も高くなり、上着のサイズが合わずにおへそが見えてしまって精神的に凹む。更に、お尻のボリュームも増してしまったのか、ブルマもかなりきつい。寮の野郎共にとっては嬉しい限りの要素だが、本人としては切実で考えれば考えるほど段々と頭に来るので、こうなったら今日は完全にペースを握って、吸い尽くすまでやってやるわあんにゃろう! と、そう誓ったのだった。そして……。 「はい着たわよ! これで文句ないっしょ!」 もはややけっぱちになって、ドアを勢いよく開けた。と、その瞬間。 「わぁっ!」 まぶしさに一瞬目を閉じる。それは云うまでもなくフラッシュライト。 「し、しまったぁ! またっ!」 美佐枝が罠にはまったと悟った時は既に遅かった。朋也はちゃんと撮れてることを確認して、満面の笑みを浮かべて云った。 「美佐枝さん、やっぱり似合ってるよ。それにはみパンも見せてくれるなんて、感激だよ」 本音なのだろうけれど、とっても癇に障る一言だった。ちなみにはみパンは意図的にサービスしたわけではなくたまたまで、見せるつもりなど毛頭なかったのだが朋也の突っこみは火に油を注ぐことになってしまった。慌ててはみパンを直しながら飛びかかる。 「はあぁぁっ!? 似合ってる、じゃなーーーーいっ! 何がはみパンだーーーーっ! そんなの知らんわーーーーっ!」 そしてまた始まるは、取っ組み合い!
でも、そんな中でも朋也は強く思った。
今度は是非、学校指定のスクール水着を着てもらおう! と。
反省の色などまるでないのだったとさ。
----------後書き----------
彼女はふつーに制服が似合いそうな気がしないでもないのは、私だけでありましょうか? ご意見ご感想シチュエーションのリクエスト、誤字脱字報告はWeb拍手にてお願い致します。 |