Back


-Pure Mix-
一ノ瀬ことみ編
一ノ瀬ことみ編















 あれから数カ月が経過していた。あれからというのは、今は朋也の恋人であり、一家に一台一ノ瀬さんちのひらがな三つでことみちゃんこと、一ノ瀬ことみの誕生日のこと。
 浮世離れしていて人見知りがちな天才少女ことみは『一人じゃ寂しい』と、そんなようなことを常々云っており、岡崎家の家庭環境という事情もあって、結局二人は一緒に住むことにしたのだった。もちろん、岡崎家ではなく一ノ瀬家の方に。
 現役の高校生が堂々と同棲するのは普通に考えれば色々問題があるはずなのだが、周囲は気にもとめていなかったので、案外大丈夫なのだった。学校でも有名な不良生徒と、授業を免除される程の天才少女がくっつくなどとは、ごく一部の者を除いて誰も考えなかったのだから。
「よし。庭の手入れ完了」
 首にかけたタオルで汗をふき取る朋也に対し、縁側の上には白い服を着たことみ。それはまさに清楚なお嬢様、といったところだった。
「お疲れさま」
 そして彼女は、朋也の労をねぎらうかのように、バイオリンを取り出して。
「ご褒美に、新譜を一曲」
「いらん!」
 お気に入りのバイオリンを首にあてて、演奏モード。
「いっぱい練習したの」
 誰かに聴いてもらいたくてうずうずしていたことみ。やる気満々だった。
「ま、ま、まてまてまてっ! 早まるな! 新譜はだめっ! もっと慣れたのにしろ!」
 朋也は必死に止めるも時既に遅し。ことみは、少し恥ずかしそうにしてからすぅっと息を吸い込んで、思い切り弾き始めた。
 程なくして、ぎゅいいいいーーーーーんとか、ぎゅおおおおーーーーーんとか、ぐぎゃぎゃぎゃぎゃーーーーんとか、とにかくクラシックというよりハードロックテイストな激しいサウンドが辺り一帯を支配するのだった。
「ぎゃあああああーーーーーー!」
「うっとり」
 轟音に悶絶する朋也に対し、とっても楽しそうにうっとりすることみ。慣れてない曲だと、こうなること(=殺人音波)が多いとは朋也談。










そんなのが、二人の新しい日常。










青青とした芝生に、洒落っ気のある椅子とテーブルが二つ。










隅々まで手入れが行き届いた庭には、彼らの友人たちも時折遊びにやってくる。










 そんな、よく晴れた休日のこと。
「きれいなお庭ですね〜」
「お花がいっぱいです〜」
 楽しそうに庭を眺めるのは古河渚と藤林椋。彼女たちはお世辞でもなんでもなく、素直に庭を評価してくれるのだった。
「そうだろ。ガーデニングってのは、やってみるとこれが案外楽しくてな。徹底的にこだわってみたくなるんだ」
 えっへんと云わんばかりに胸を張る朋也。成り行きで始めたことだったが、今では完全にはまってしまったようだ。その証拠に花の名前も種類も特性も沢山覚えたし、手入れの方法も覚えて、腕前はめきめき上達している。
「渋いわねぇ」
 朋也の意外な才能に、ちょっと驚いているのは藤林杏。足元にはペットであり、ウリボウ(猪の子供)のボタンがすりすりとまとわりついている。
「いっそのこと、庭師でも目指したらいいんじゃない?」
 杏は冗談で云っているわけではなくて、かなり真剣に提案をしていた。つまるところ、彼女もこの庭のことをとても気に入ってくれて評価しているのだった。
「うん。俺もそう思う。……ところで」
「なによ」
「あいつも来てたのか」
「どいつ?」
「あいつだよ、あいつ」
 可憐で華やかで、可愛い面々の中に一人だけ場違いな野郎が交じっていたわけで。
「ああ。あれね」
「あれっていうなー!」
 忘れちゃいけない。朋也の悪友こと春原陽平。










そんなこんなで。










みんな揃ったところで、楽しいパーティのはじまりはじまり。










「わっ」
「すごいです〜」
 渚と椋は目を輝かせて驚いてくれる。テーブルの上にはことみが作った料理がいっぱい並べられていた。見た目もお味も極上の出来。
「一生懸命作ったの」
 自信ありげに微笑むことみ。
「朋也。あんた、ホントいい彼女みっけたわねぇ」
 料理の名人である杏も一口食べながらうんうんと感心している。
「いやー。まったくもって、羨ましい限りですよ。ええ。まったくもって」
 僕にもこんな彼女がいたらなぁ、とか思いながら料理をがつがつとおいしそうに口に運ぶ春原。
「春原」
「ああ?」
「羨ましいだろ」
 嫌みったらしくのろける朋也。
「あんた、わかってて聞いてるでしょ! 今云ったっしょ! 羨ましい、って!」
「ご名答だ」
「意地悪っすねあんたは!」
「今更わかったか」
「ひどっ!」
「春原」
 朋也は尚も春原を追い込む。
「なんですかッ!?」
「すげえ羨ましいだろ」
「う、う……うあーーーーーーーんっ!」
 と、そんな風に朋也が春原をサディスティックかつ精神的にいじめて優越感に浸っていると。杏が何かを思い出したようにことみを呼んだ。
「あ、そうだ。そんなことはいいから、ことみー」
「??」
 きょとんとすることみに、杏は云う。
「可愛い服、着てみたいでしょ?」
「???」
 何のことやら、とばかりにはてなマーク三つ。
「とにかくこっち来なさいな」
 そして、思いっきり何かを企んでいるかのよーにアヤシイ笑みをもらしながら、杏は『いいからこっち来なさい』と云って手を引き、ことみを家の中に連れ込むのだった。
 ……。それから数分が過ぎて、尚も出てこない。
「あいつ。絶対何か企んでいるな。そうだろ藤林?」
「です、ね。……あ」
 無意識のうちに思わず同意してしまって、気付いてから後悔する椋だった。
「やっぱりお前もそう思うか?」
「え、あぅ……。あはは……」
 誤魔化しは効かなかった。姉が頬をつり上げてアヤシイ笑みをもらすとき、きっと何かを企んでいると、椋も朋也もお見通しだったから。
「ま、まさか! 室内でことみちゃんといかがわしくもいけないことをっ!? 止めなくちゃ!」
「おい。まてコラ」
 と、想像力というのか妄想力というのか、そういった能力が無駄に高い春原が危機感を感じ、朋也の制止も振り切って家の中に踏み込もうと歩み出そうとした瞬間。
「するかっ!」
「ぐおっ!」
 春原の脳天に、たまたま家から出てきた杏が放った分厚い電話帳が直撃して、思いっきりぶっ倒すのだった。
「な……っ!」
 が……。次の瞬間朋也が絶句したのは、撃破された春原を心配したからなどでは無く、ことみの姿を見たからだった。










それは……。










「こ、とみ……ちゃん?」
「わ……っ」
 ことみの姿に目を丸くして驚くのは朋也だけではなく、椋と渚もだった。
「……」
 絶句して硬直する朋也。
「へっへー。びっくりしたでしょー?」
 みんなを驚かせて、してやったりとばかりに得意気になってる杏と。
「恥ずかしいの……」
 もじもじして、頬を赤らめていることみがそこにはいた。
「うう。一体何が。……はっ!? こ、ことみちゃんが、ば、ばば……ばばば……っ!? ぐおっ!」
 我に返った春原、哀れ、すぐにまた脳天に強打をくらい昏倒。今度は和英辞典だったようで。
「うら若き乙女にばばあなんて云うんじゃないわよっ!」
 春原が驚きのあまりどもったのを、杏が勝手に聞き間違えただけだった。かなり理不尽な仕打ちだが、そんな些細なことはさておき。
「ば……バニーガールだとぉっ!?」
 正解とも云うべき状況説明を朋也がしてくれた。そう……。網タイツ、黒く胸の空いたハイレグのよーな衣装に、そして……うさぎの耳に尻尾。どっかの展示会にいそうなコンパニオンのような、バニーガール姿だったのだ!
「そっ。可愛いでしょー。思った通り、サイズぴーったり!」
 でもなかった。ことみは少し苦しそうにしている。
「胸が、きついの……」
「まあ、何て羨ましい。また大きくなったのね」
 人形に可愛らしい服を着せて喜ぶ少女よろしく、杏は何故か嬉しそうだ。
「って。お前、こんなもんどこで入手したんだよ」
 半ば呆れながら朋也が問うと、杏はあっさりと答えた。
「演劇部よ」
「……」
 朋也は頭を振り、無言で現演劇部代表(仮)の渚をじとーーーっと見つめる。
「あ。えっと。……廃部になる前の部の備品が、残っていたので」
「どんな部だったんだよ」
「それで、あの。……廃棄処分にするものを分別していて、あんまり痛んでいなかったのでわたしがその、試しに着てみたんですが。サイズが全然合わなくて」
 渚はうつむき、とても悲しそうに、沈んでいく声になってしまった。そして、杏は云う。
「それであたしがもらって繕ってみて、誰か着られる人を探していたのよ」
 そして、サイズがぴったりだったのが他でもない、一ノ瀬ことみなのだった。
「……はぁ。そうですか」
 げんなりしてしまう朋也。
「いやー。思った通りおおむねぴったりだったわ。触っただけでほとんどサイズがわかるあたしってなかなかすごいわねー。……ただ、胸の方はちょっと予想外だったけどー」
 過去に色々触ったりと、セクハラしたあげくにサイズを大体把握していたのだった。
「んでー」
 杏はまたまた小悪魔的なあやしい笑みを見せながら、朋也を問い詰める。
「ことみの彼氏さんとして。ご感想はどうですか?」
 ずいっとことみを朋也の前に立たせて、面と向かって云わせる。
「……。可愛い、ぞ」
 その瞬間、ことみの顔が更に赤くなる。
「わあ、のろけてるわねぇ」
「のろけじゃねえって。本当にそう思ってるから云っただけだ」
「照れちゃって〜。あは」
 からかう杏の言葉どおり、朋也も恥ずかしくて頬を赤らめる。
「……うれしい」
 ことみも、消え入りそうな声でボソッと呟くのだった。かなり満更ではないようで










結局、その服はもらっちゃったのだった。










 それからまた数日後のこと。
「よし、と。洗濯物干しおしまい」
 洗濯はことみ、物干しは朋也、と助け合いながら家事。その様子を杏に『まるで夫婦ね』と、半ば呆れられながら云われて、即座に『だろ? 俺たち、卒業したら結婚するつもりなんだ』と、天然ののろけで返し、絶句させたくらい息が合っている。何しろ、お互いの下着まで洗濯し合うような仲なのだから。
「ことみのブラ……大きいな。って、何を考えている俺。そうじゃなくて……ふかふかの布団に洗いたてのシーツ。これで夜は気持ちよく眠れそうだな」
 想像すると楽しくなってくる。埃をはらい、太陽の光をたっぷりと浴びた布団はさぞかし寝心地が良さそうだ。
「お疲れさま」
 背後から声。
「ことみもそう思うだろ? 干したての布団は気持ちいいって」
 と、同意を求めて振り返ったのだが。
「っ!? こ、こっこっこ……」
「……?」
 驚く朋也を不思議そうに首をかしげて眺めることみ。
「ニワトリさん?」
「じゃなくて、ことみっ! お、お前! 何て格好を……!」
 ことみの格好は、いつぞやのバニーガール姿。
「朋也くんが可愛いって云ってくれたから、着てみたの」
 頬を赤らめることみ。……が、問題なのはそんなことではなくて。
「む、む、むねががが……!」
「あ……」
 バニーガールコスチュームの、胸の部分の布地がすこーしだけめくれてずれているのに彼女は気がついていなかったのだった。ことみのふっくらした膨らみのてっぺんに、桜色の可愛らしいさくらんぼがちょこんと露になっていた。
 そんな、あまりにも無防備なことみを見て、朋也がとっさに取った行動は……。
「こっち!」
「あっ」
 物干しの、布団やらシーツやらが干してある隙間にことみを押し込み、カモフラージュするのだった。
「まったく。気をつけなきゃだめだろう?」
 と、もっともらしい注意をするものの。
「ことみ?」
「いじめる? いじめる?」
 小動物のようにおびえることみ。
「あ……」
 それもそのはず。ことみを芝生の上に押し倒し、のしかかったような態勢になっていては、説得力など皆無。彼女の服がはだけていては尚更。このような状況を他人が見たらどう思うかというと、間違いなく『いたいけな彼女を押し倒してえっちなことをしようとしている』だろう。
「えっと。うん。優しくいじめる。辛抱たまらん」
 で。ハッとなり、我に返った(返っていないのかもしれないけれど)朋也は、思わず素っ頓狂なことを口走るのだった。そして、云ってからようやく気が付いた。
(お、俺はこんな青空の元……何をしようとしているんだ?)
 白いシーツと布団に挟まれた中で、朋也はとってもいかがわしいことをすることになるのだった。










ことみは恥じらいながら目を閉じて










キスの受け入れ態勢は万全










据え膳食わぬは何とやら










朋也はもはや、引くに引けず……










(え、ええいままよ!)










 朋也はことみの背に手を回して抱き寄せ、軽くキスをした。けれど、すぐに唇は離れて見つめ合う。
「朋也くん……」
「なんだ」
「キス、好き?」
「うん」
 それを聞いてぽーっと頬を赤らめながら、どこか楽しそうに微笑することみ。
「ん。あ……」
 そして、自然ともう一度キスをした。同時に朋也は片手でことみの胸をなで回す。柔らかくて白い肌はきめ細かくて、吸い付くように朋也の手に収まった。
「くすぐったい」
「可愛いな。ことみの胸は」
 大きくて、ふっくらしていて、真ん丸で、触っているだけで気持ちよかった。調子に乗って、今度は両方の胸をさわさわと揉むと……。
「ぽよぽよ」
 とか云いながら、ことみは朋也の手に自分の手を重ねる。
「ふにゅふにゅ」
 朋也が今度はの少しだけ強めに揉むと、ふんわりとした感触とともに指がめり込んでいく。
「ことみ。痛くないか?」
「大丈夫。……朋也くん。おっぱい好き?」
「嫌いな男は、滅多にいないと思うぞ」
 そして手の平ですくい上げるように寄せ上げて、親指をめり込ませて、きゅ……と、つねるようにこねてみる。
「ん……」
「大きいな」
「大きいの、好き?」
 服からこぼれおちた胸をわさわさとこねくり回され、熱い感触を感じて少し呼吸が荒くなる。
「ことみの胸が好き。可愛い」
 恥ずかしいところを触られて、ぽーっと火照っていくことみを見て、朋也はかぶりつくようにして乳首に吸い付いた。両手で揉みながら、交互にちゅーちゅー吸い付いて、柔らかな感触に包まれる。
「ん、ん。赤ちゃん……みたい、なの」
 ことみはそんな朋也を抱きしめるようにして、後頭部に手を回す。
「ことみこそ。うさぎさんみたいだぞ」
「……。うん」
 交互に乳首を吸われて、朋也の唾液でとろりと濡れて、起っていく。そんな乳首を唇でつまみ、引っ張るようにして離すと、胸全体がぷるんと揺れる。
「あ……。あ……」
 今度は乳首を舌で転がされ、ことみはのけぞって感じる。
「ことみ」
「朋也……くん」
 やがて視線が合わさって、キス。
「もっと、して」
 ことみがそう云えば、朋也は頷く。
「うん」
 目を閉じて、何度も何度もキスを繰り返した。
「ん……あ。あ」
 片手でことみの胸をまさぐりながら、舌と舌を絡め合うくらい濃厚なディープキス。
「ん、んぅ。ふぁ……。ん、は……ぁ」
 唇が離れ、視線が合うとお互いに笑顔。そしてまたキスをしたくなって、唇を重ね合わせる。笑顔とキスの連鎖反応は続く。
「ことみ」
「朋也くん」
 見つめ合いながら意味もなく互いの名を呼び合って、そしてまたキス。肌を触れ合わせているだけで楽しく感じるのだった。
「もっと、したい」
 朋也がそういえば、ことみも頷く。
「うん」










そして……。










「あ……」
 ことみは四つん這いにされて、お尻を高く突き上げさせられていた。
「ことみはお尻も可愛いな」
 タイツの上からぐにぐにと揉むと、柔らかなお尻に指がめり込む。
「尻尾も似合っているぞ」
「この格好。恥ずかしい……の」
 朋也は調子に乗ってふっくらした感触を更に楽しみたくて、お尻に顔を埋めてぐりぐりと左右に揺さぶった。が……。
「ふぁぁ……。あ、あ……」
「あ」
 少し強く揺さぶったせいか、柔らかなタイツはビリッと破れてしまった。
「いじめる? いじめる?」
 またも、か弱い小動物のような瞳で見つめられて、朋也はその気になってしまった。何かが吹っ切れてしまった。
「うん。いじめる。辛抱たまらん!」
「朋也くん。……こわいの」
「大丈夫。やさしくいじわるにするから」
 明らかに矛盾したことをいいつつ、タイツをビリビリともう少しだけ破って、ことみの恥ずかしいところを隠している布地をぐい、とずらす。お尻の割れ目の中に、ちょこんと穴が見える。
「今度は直に」
 再度ことみのお尻に顔を埋めて、薄い毛で覆われた秘部を舌で愛撫し始めた。
「あ、ふぁあっ。と、もやく……んっ。あぅ……はぅ……」
 ぺろぺろと、舌の先端がことみの秘部を円を描くようになぞり、中に入ってくる。その度にことみは背筋を震わせながら両手で芝生を掴んで堪える。
「ことみのここ。綺麗だぞ」
「あっ。あ、ん……。あっあっ……」
 ことみは目を潤ませながら、小刻みに呼吸を繰り返す。朋也はことみのひらひらした花びらのような秘部を舌でれろれろと愛撫し、じゅるりと吸い付くようにしゃぶり付く。
 そして、朋也の舌が離れるたびに唾液と愛液が糸を引く。
「ことみのここ。大洪水だな」
「ああ……あ……あぁ」
「そろそろ、いれるぞ?」
 ことみの秘部はもう、十分にほぐれていた。
「うん」
 朋也はチャックを開け、大きくそそり立ったものをことみの秘部にあてがって。そして……。
「っく……。入っ……ていく」
「ああ、あ、あ、あ……」
 ことみの腰をしっかりと掴んで引き寄せる。……ず、という僅かな抵抗を無視して一気に奥まで押し込んだ。
「あっ! はぁっ! あっ……あんんっ!」
「ことみ。声出したら、人に気付かれる……」
 今更ながらにシチュエーションを思い出した。青い空の元、布団とシーツと洗濯物に囲まれただけの所で淫靡な行為を続けているのだから。
「……。でも」
 朋也の大きなものを出し入れされて、堪えきれる刺激ではなかった。
「じゃあ、そ〜っと」
 ならばということで、極めてゆっくりと抜いて、入れてと繰り返すが。
「あ、あぁぁ……。朋也くん……」
 ことみは切なげに震える。あくまでゆっくりと動くから、ことみも力んでしまって締め付けが強くなる。
「ああもう、焦れったい!」
「朋也君……。こそばゆいの」
 蛇の生殺しというべきか。欲情した状態の男にはイライラする状況。
(……。何かないか! 何か! あった!)
 朋也はふと、側に干してある洗濯物に気がつき、それが何かを確かめもせずに洗濯ばさみから離して。
「これを口にくわえてっ!」
「朋也くん。……これは」
 ことみは困惑した。
「いいから早くっ!」
「ん、んく……んん〜。んんん〜」
 けれど朋也に急かされて、それを口にくわえた。
「これで早く動いても大丈夫だな」
「んく〜。んん〜」
 朋也がことみにくわえさせたものはハンカチでもタオルでもなくて、ことみの下着……。
 二人が動くたびにぱん、ぱん、と体がぶつかり合う。ことみの柔らかなお尻はほのかにピンク色に染まり、形を変えていく。
「んく、んく、んぐ……」
 その度に、ことみの豊かな胸がぷるぷると揺れる。朋也は腕を伸ばして、二つの膨らみを揉んだ。
「ことみの中。気持ちいい」
「んんぅ〜!」
 胸を揉みながら、乳首をキュッとつまんで転がすと、途端に締め付けが強くなる。ぴりっとしびれるような感覚に、ことみは背筋を震わせる。
「ことみも、一緒に動いて」
「ん、ん〜ん〜」
 ことみも朋也に合わせてもぞもぞとお尻を前後に震わせる。
「一気に、いくぞ」
「んっ! んっ! んんっ! う、んっ!」
 朋也はラストスパートとばかりに腰の動きを更に速めていく。やがて、ちょぐ、ちょぐ、と湿った音をたてながら、ことみの秘部から恥ずかしい液体がたれていく。
「んっ! んっ! んんぅっ!」
 下着をくわえこまされた口からは、くぐもった声が溢れてくる。
 ぱんぱん、と音を立てて激しく交わるたびに、ことみの子供っぽい髪飾りも揺れる。
「くぅっ! も、もう出る……」
「んんんぅっ!」
 朋也と同じくことみも、込み上げてくる感覚にこらえ切れなくなっていく。
「っく!」
「……っ!」
 最後に大きく奥まで突いてから一気に引き抜いて、やがて……ことみのお尻にぶちまけた。
「ん、っく!」
 ことみは脱力したように、芝生の上に倒れ込む。
「もごもご」
 大量の精液がぽたぽたとたれていく中、ようやくしゃべることができるようになったことみ。
「朋也くん、ひどいの」
「え? ……うはっ!」
 ことみは口にくわえさせられていたものを取って、見せた。それは紛れも無くことみの下着。
「ご、ごめん。それ、ハンカチか何かだと思ってた」
 かなり苦しい言い訳だけど、実は本当に勘違いしていたのかもしれない。朋也もそれくらい慌てていたわけで。
「悪い子の朋也くんには、おしおきなの」
 と云って、ことみはぴょこんと飛び起きて、いきなり朋也の前にひざまずいた……。とっても丸くて形の良いお尻の割れ目がむき出しで、精液まみれなのも気にせずに。
「こ、とみ……!?」
「ん、ん……」
 いまだ勢いを失っていない朋也のものを、ぱくっとくわえ込んでしゃぶり始めた。それはとても的確で、男が感じる術を知っているかのような舌使いで。バニーガール姿のことみはまさしくニンジンをくわえるうさぎさんだった。
「ど、どこでこんなことを……覚えた、の?」
「ん、ん。……朋也くんの、お部屋にあったご本に、書いてあったの」
「な、何てもの読んでるのっ!?」
「めいどさんの、お話だったの」
 朋也にも、彼女がいるからといってそうそう捨てられる訳ではないご本が何冊かあったわけで。
「ご主人様。ご奉仕致します。……んん」
 台詞まで覚えてしまったようだ。というよりも、朋也はどのような趣味をしているのだろうか?
「そ、そ、そんなこと覚えなくていいのっ! って、う、うああああっ!」
 ずず、とすすり込むようにしゃぶり、その快感とは裏腹に、朋也はとてつもなく背徳感を感じるのだった。
「ん、んく。ん、ん、ん……んん〜ん」
 じゅぷじゅぷと音を立てながら顔を前後に動かして、程なくして。
「ああっ! で、で……るっ!」
 ことみの可愛い口から慌てて引き抜くも、時すでにおそし。
「あ……」
 ぴゅ、ぴゅ、ぴゅ、と立て続けの射精は最初よりもはるかに強烈だった。結局……ことみの顔から胸からお腹まで、真っ白に染め上げてしまった。
「朋也くんの……が、いっぱい」
「ぐはっ!」
 ことみはうっとりしながら、頬にかかったものを人差し指でぬぐい取って、舐めた。
「こ、ことみ、ちゃん?」
「ん……。朋也君。ぶっかけ……って、好きなの?」
 どうも、そのような趣向の本も見つけて読んだらしい。
「そ、それは……その……」
 精液でべとべとの顔に、とても愛らしい笑顔で。
「朋也くんの、お気に召すままに」
 何でもしてくれる可愛い小うさぎさんは、ちょこんと飛び跳ねるのだった。










それからまた数日後のこと。一ノ瀬家のリビングにて。










「頼みがある」
 と、真面目な表情で杏に相談事を持ちかける朋也。ことみはキッチンの方でお菓子でも用意しているようだった。
「何よ?」
 ずず、とコーヒーを一口飲む杏。ミルクを半分に、砂糖を少々という微妙に甘苦い味を味わいながら問い返す。
「これを」
 差し出されたるは、例のバニーガールコスチューム。
「……」
 股間の部分と網タイツが激しく破損したそれを見て、杏はじとーーーーっとした目をして。
「なおしてく……ぐはっ!」
 無理難題をぬかす朋也を無言でバキッと殴るのだった。
「あんたねぇ……」
「こ、これには深いわけがあってだな」
「どーいうわけよっ! 何考えてんのよ!」
 服の状態を見てどのように使われたかは容易に想像が付くが、実際にそのような用途に使うとは杏も予想していなかったようだ。朋也を見くびっていたというべきか、見通しが甘かったというべきか。
「しかしな杏。ことみのあのナイスばでぃに、うさぎさんで網タイツでぴちぴちの服だ。これはもう、そそり立たないのは彼氏の名に恥じるというものではなかろうか!」
「何力説してんのよ」
 その意味もなく強烈な説得力に、呆れ果てる杏だった。
「そーいうわけなので、ちょいと調子にのってやりすぎたら破損してしまったのだ。こんなこと、ことみに頼むのもどうかと思ってだな」
「……。わかった、わよ」
 案外頼みを聞いてくれた。
「なおせばいいんでしょ。なおせば」
「頼む!」










そしてまた数日がたつ。










「よし、と」
 キッチンにて。蛇口をキュッと閉め、濡れた手をタオルで拭く。
「洗い物終了」
 これもことみと分担しているのだった。家事は徹底的に助け合い。
「朋也くん……」
「お。丁度良かった。これからお茶でもいれようかと思っていたところなんだ……。って」
 頭を振り、背後のことみを見て絶句。
「こ。ことみ……ちゃんっ!?」
「この服……。おかしいの……」
 それは、いつぞやのバニーガール服。だが、以前とは決定的に違っていた。明らかに違っていた。改ざんでもされたかのように違っていた。
「……」
「……」
 互いに見つめ合い、硬直する。
 その服は胸の、乳首の部分と股間の部分だけ布地がなくて、恥ずかしい部分が丸見えなのだった。
「杏ちゃんのお手紙が、入っていたの」
「そ……」
 服を繕ってなおしてくれた杏からの一言。『これでも着て、後はいくらでも好きにしなさい! このバカップル!』と、そういうことだった。
「ありがとう杏。お前の好意、決して無駄にはしないぞ」
 好意というべきか、嫌みというべきか。それでも今の朋也は構いはしなかった。
「朋也くん。いじめる?」
「おう。辛抱たまらん!」










そして、ことみの肩に手をかけて。










「あっあっあっ! 朋也く、ん……あっあぁっ!」
 仰向けで寝そべる朋也の上で、ことみは上下に揺さぶられていた。
「ことみ。最高に可愛くて、気持ちいいぞ」
「朋也くん……。えっちなの」
「ことみこそ。そんな格好して、おっぱい揺らしちゃって」
 動く度に、剥き出しになった膨らみがふるふると揺れ、朋也に揉まれて形を変える。
「ことみももっと、激しく動いて」
「う、ん……。あっ……はぁっ! あっあっあっあっ!」
「く……っ! 締まりよすぎ……!」
 ヤカンのお湯が沸いてピーピー云ってるのも気にせずに、二人はひたすら肌を重ね合わせる。ギシギシとキッチンの床がきしむほど激しく……。
「も、もういきそ……」
「朋也くん、んんんっ! あっ! はぅっ! あっあっん……っ!」
 思い切り熱い吐息と喘ぎをあげながら、やがて二人は達するのだった。










おとといは兎さんなことみ










昨日も兎さんなことみ










そして、今日も、明日も……しばらくず〜っと、かも?




















-おしまい-




















----------後書き----------

 久々更新なPure Mix。今回は一家に一台一ノ瀬さんちのことみちゃんでした。

 シナリオを考えるに、朋也とことみの二人はやはりあの家で暮らすんじゃなかろうか、と思ってこのような展開になりました。

 何というべきか、朋也はことみを良く支えそうなイメージがあるので、家事やら何やら楽しく分担していそうな。

 作中で『尻尾』なエピソードが出ていたので、そんな姿に。今なら丁度、某朝比奈嬢のようなイメージを想像してもらえるとわかりやすいかなと思います。

 いかがでしたでしょか?


 ご意見ご感想シチュエーションのリクエスト、誤字脱字報告はWeb拍手にてお願い致します。





Back