-Pure Mix-
相楽美佐枝編 いつものように、いつもの如く。男子寮の廊下をどたどたと騒々しく駆けていくのは、ラグビー部の男子部員たちだった。そして、彼……岡崎朋也はいつもその後に少し遅れてやってくる。それはもう、もはやお決まりのパターンと化していた。で、そういう展開の後には更に……。 「こらーーーーーーーー! あんたたちーーーーーーーー!」 これもまたお決まりパターンと云えるべきことだが。そのように叫びながら二十代前半の、若々しい寮母さんこと相楽美佐枝が、キれた表情で追いかけていくのだった。 でも、時既に遅し。男たちは全員自分たちの部屋に避難済み。それを見て彼女は、やれやれまたかと疲れた表情で諦めざるを得ないのだった。 「相変わらずだね」 「まったくねぇ。あいつら、あたしをおちょくってんのかしら」 もはや恒例と化していた行事だけど、彼はある種『まともに話ができる種類の人間』なので、ちょっとばかり愚痴を聞いてもらうのだった。 「今度は何? 連中、何やったの?」 「聞きたい?」 「一応」 「あいつらは。エロ雑誌を食堂で堂々と広げて……。集まって大騒ぎして……」 吐き出すように云うけれど、最後の方はため息に変わり、言葉になっていなかった。 「ぷっ」 悲壮感よりもコミカルな感じがして、彼は吹き出してしまうのだった。 「まあ、笑われてもしゃあないわねぇ」 彼女は彼女で、情けなさに苦笑するしかなくなってしまう。と、そんなとき……。 「なになに? 何の密談をしているの?」 側のドアが開き、部屋の中から春原陽平がでてきた。朋也にとって彼は、悪友とも云うべき存在だった。 「あんたはあんな事しないわよね?」 じろりと上目遣いでにらむ。何のこっちゃ、と云いたげな表情の春原に、朋也は……。 「よう、レアえろ本コレクター。掘り出し物はあったか?」 「へ?」 春原が何のことかわからず問い返そうとしたその瞬間。こめかみをひくひく震わせた彼女は体をひねり……。 「てんばーーーーつ!」 ずびしと、相楽流奥義の飛び膝蹴りが春原のみぞおちに入るのだった。あまりにも俊敏な動きは、獣のようだった。 「おふっ!」 豪快に吹っ飛ばされる春原だった。 「もうあんなことしないッ!?」 「し、しませ……ん……」 涙を流しながら呟き、廊下の冷たい床に接吻するのだった。 「そう願うわ」 …………
春原の雑然とした部屋にてごろ寝する二人。男が二人いるだけで狭苦しく感じるような、むさ苦しくも汚らしい部屋だった。 「てなことがあったそうだぞ」 「ふーん。……じゃあ、僕が美佐枝さんにどつかれたのは」 「全くの濡れ衣だな」 雑誌を捲りながら、適当にぬかすのだった。 「あのね」 呆れかえるものの、もはやいつものことなので何も云い返す気になれないのだった。 「でも。美佐枝さんって、すごいテクニックだよね」 技を習得するのがとても早い、ということを云っているのだろう。 「ああ。それは同感だ。飲み込みが早い早い」 「夜の方も上手だったりして」 ひっひっひと、いやらしく笑う春原。 「かもしれないな。……それも一人二人じゃなくて、五、六人を一気に相手してたりしてな」 「ええっ!? じゃ、じゃあ。ラグビー部の連中とか集めて……?」 「ああ。連中なんか、美佐枝さんの前じゃひとたまりもないだろう」 「嘘っ!?」 ……春原の妄想がはじまる。
全速力で駆けてきたかのように、切羽詰まった表情と声。彼らは美佐枝の部屋の前に立つと、コンコンコンコンと一斉にノックを始めて、中の人を呼ぶのだった。 「美佐枝さんお願いっす!」 「このままじゃ、試合に集中できないっす!」 「お、俺もお願いしまっす!」 彼ら曰く。『限界にまで達した性欲』の処理をお願いしているのだった。そうしてもらわないと、大事な試合で実力を発揮することは困難ということらしい。 「またあんたたちか。もう。……仕方ないわねぇ。あたしは風俗嬢じゃないんだけどなあ」 彼女は仕方なさそうに、ため息交じりにそう云うと、ラグビー部員達数人を廊下に並んで立たせた。そして、彼らの前にしゃがみ込むと……。 「はい、出して」 「は、はいっ!」 皆一様に恥ずかしがりながらも、嬉々としてズボンのチャックを降ろす。と……ギンギンの限界にまで起ちまくった代物が一斉に露になる。どいつもこいつも太くて長くて固そうな、屈強な体育会系風そのものな、立派なものばかりだった。 美佐枝はそれに合わせてエプロンを脱ぎ、ブラウスのボタンを外してブラも脱ぎ、廊下の床へ落とした。 「いくわよ」 そして上半身裸になり、そのまま胸と口で性的な攻撃を開始する。小さな口を思いっきり開けて、くわえ込む。 「ん……。んむ、んむ」 「う! あっ! み、美佐枝さんいきなりそんな! ああああっ!」 豊満すぎる胸で男のモノを包み込み、前後に思い切りしごきながら小さな口で愛撫。更には華奢な手で玉を転がせて弄ぶ。……とてつもなく早く、的確過ぎるテクニックで相手を翻弄し、くちゃくちゃと水音を立てながら続ける。 「んん、んむ、ん、ん、ん……んっんっんっんっんっ」 「あっあっ! 美佐枝さん! は、早くてすんませんっ! 俺、も……もうで……でるっす! うっ!」 ものの数分もたたぬうちに……あっと言う間に一人目をいかせ、射精させた。 「ぷはっ! はい一丁上がり! 次っ!」 びしゃっと思いっきり顔にかかったものを気にも留めずに、次のターゲットをロックオンする。 「んむ、ん、ん、ん、ん、ん……。んぐっ、ん、ん、ん、ん……んにゅっ」 そしてまたくちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅと濃厚な音が廊下に響く。またしてもあっと言う間に次のターゲットを絶頂に追い込んでいく。 「うっ! あ、ああああっ!」 どぴゅっと口内射精。数分どころか、数十秒も持たないのだった。 「んぐ! はい、次次!」 ごくっとあっと言う間に飲み干して、次の獲物を狙う。一人、また一人と屈強な男たちをあっと言う間に骨抜きにしていくのだった。すると……。 「何? 気合い入れてほしいって?」 「は、はいっ! 美佐枝さんに気合い入れて欲しいっす!」 後回しにされていた部員が、思い切って望みを云った。それは……。 「仕方ないわねぇ。ほら、歯ぁくいしばりなさいな。いくわよ。……それっ!」 彼女は体を勢い良くひねった。 「おぶっ! うぶっ! おふっ! し、衝撃が……気持ちい、いいっすっ!」 「乳ビンタして欲しいだなんて、変態かあんたは」 そして遠心力を生かし、たぷんとした胸を使って頬に思いっきりビンタをするのだった。ぷるんぷるんと当たるたびにやわらかくめり込む感触が痛いどころか心地よすぎて、ラグビー部員は例外無くもだえるのだった。すると、それを見ていた別の部員が今度は……。 「何? 今度はぱふぱふして欲しいって?」 次から次へとマニアックな注文が押し寄せるけれど。いつものことと云わんばかりに、あっさり聞いてくれる。 「は、はいっ! 美佐枝さんにぱふぱふしてほしいっす! 美佐枝さんのおっぱいに顔埋めたいっす!」 「っとにもう。早く彼女みつけなさいよね。……いくわよ」 そしてぎゅむーーーーーっと、ラグビー部員の顔を胸に押し付けて、ぐりぐりぐりーーーっと左右に揺さぶる。 「んむぅぅぅーーーーっ! んーーーーっ! さ、さいこーーーーっすぅぅぅぅっ!」 窒息しそうな感じが逆に心地よい。柔らかくて暖かい乳房に包まれて、天国にでも行ってしまいそうだ。 「何? 乳首吸わせろ? っとにもう……。後がつかえてるんだから、二人まとめてにしなさいよ」 「は、はいっ!」 「そ、それじゃ早速!」 男が二人屈み込み、赤ん坊のように乳首に吸い付いた。 「ん……。はい、次は。口? はいよ……。ん、ん、ん」 それと同時に二人分のモノを交互にしゃぶり……更に。 「お、俺……。美佐枝さんの中に入れたいっす! もう我慢できないっす!」 「ぷはっ……。じゃあ、入れなさい。ほら……」 ズボンのベルトを緩めて下着ごと降ろすと、形のいいお尻が露になる。 「ちゃんと支えてよね。……んんっ!」 「い、行きますっ!」 そして、誘うように突き出されたお尻を目掛け、一気に奥まで入れるのだった。 「み、美佐枝さんの中……気持ちいいっす! 最高っす!」 女一人に男数人……。更に、そんなことをしているのを目撃したのか、男の数は更に増えていくのだった。でも、圧倒的に主導権を握ってるのは美佐枝だった。 以上。春原の妄想、終わり。
「う……」 ぷるぷると震える春原。 「う?」 「うおおおおおおっ!」 「おわっ!」 春原は頭を抱え、絶叫し、悶えた。 「み、美佐枝さんそんなことまで!? そんなとこでそんなことまでしちゃうの!? うおおおっ! すげぇよ岡崎! 美佐枝さんすごすぎるよ!」 「そ、そうか」 こいつは一体どのような想像、いや、妄想を抱いているのだろうか、と朋也は思った。……まあ恐らくは、あーんなことやこーんなことなんだろう、と想像して実際全部その通りだったのだけど。 「ぼ、僕もお願いしてみよっかな〜」 「いいんじゃないのか?」 とりあえず、とても無責任にそう云ってみた。後の展開は何となくわかるから。 「あ。岡崎もそう思う? じゃあ、早速……」 「がんばってな」 「ああ。僕、がんばっちゃうよ! 美佐枝さんのおっぱいにルパンダイブしちゃうよ!」 「なんだかよくわからんが、健闘を祈るよ」 「ありがとう! じゃっ!」 そして、勇ましく部屋をでていくのだった。 「……。さて」 バタンとドアが閉じたのを見てから朋也は携帯を取り出して、手早く何処かへとかけた。そして、数秒とかからず繋がって……。 「あ、美佐枝さん? 岡崎だけど。今から春原がそっちにいかがわしいことしてもらいに行ったから、気をつけてね」 『……なっ!?』 そして彼女が携帯を置いた次の瞬間、春原は美佐枝の部屋のドアをノックする。
「美佐枝さ〜ん。いる〜?」 (おのれはっ!) のーてんきにぬかす春原が、よくは分からないけれどとてつもなくいかがわしいことを考えていることは確かなので。 「僕。美佐枝さんにお願い事が〜」 「てん……」 現在の状況を貞操の危機と判断し、思いっきりドアを空けた。否、ドアをぶつけて攻撃した! 「ばーーーーーつっ!」 瞬間。ばきょっという鈍い音を立て、春原に打撃攻撃が加わる。 「んごふっ!」 吹き飛ばされ、廊下の壁にたたきつけられる春原だった。哀れではあるが、自業自得である。 「な、なんで……。ばれてん……の?」 「俺が電話で教えた」 背後から、見下すかのように冷たい瞳をした朋也の声が聞こえる。信じた友に裏切られ、失意のまなざしを向ける春原。 「ゆ、友情って……何だろうね?」 「脆く儚く尊いものだな。例えるならそれは、思わず種を弾け飛ばしたくなるような、ホウセンカのようなものだよ」 詩人にでもなったような、大げさな云い回しをしてみるのだった。 「うぅぅ……。お、かざき……」 そして、息絶える(?)春原。 「まったく」 そんな風に、だらだらとした日々がいつまでも続いていく。
夏休みに入ってからも、朋也は春原の部屋に入り浸っていた。
そんなある日のこと。
「あら岡崎」 夜になって朋也が帰ろうとすると、廊下で美佐枝に出会った。彼は、帰省していく春原を横目に思いっきり爆睡しまくっていたのだった。 「帰るの?」 「そうだけど。……ちょっとばかり寝過ごし過ぎた」 「晩ご飯食べた?」 「食べるわけないでしょ」 「じゃ。食べていきなさいよ」 「……。金ならないよ?」 「ばーか。タダでいいに決まってるでしょ。みんな帰省しちゃって、食材がちょっとばかり余っちゃったのよ。あたしとしたことがねー。失敗失敗。はっはっはー」 なるほど。そういうことか、と朋也は納得するのだけど。折角だから好意に甘えることにした。 「そういうことなら、遠慮なく」 「そうそう。遠慮なんてしないしない」 そういうわけで、気さくな寮母さんに招かれて、食堂へと向かうのだった。 …………
「ごちそうさまでした。美味かったよ」 「御粗末様」 彼女は洗った食器を布巾で拭きながら、笑顔を見せた。 「にしてもさ」 「なによ」 「春原もラグビー部の連中も、みんな美佐枝さんの飯食ってるんだな」 「そうよ。まあ、いっぱい食べてくれるのは嬉しいんだけどねぇ。どいつもこいつもこぼすし、騒ぐし」 はぁ、とため息をつく。何となく愚痴っぽくなったので、彼女は話題を変更してみることにした。 「岡崎ってさ」 「うん」 「彼女いるの?」 「いねえって」 いれば春原の部屋のようにむさ苦しくも不衛生なところには来ていない。と、心の中で突っ込みを入れてみた。 「ふーん。……もてるのに。勿体ないわねぇ」 「そうか?」 「恋愛相談に来てた娘がいたでしょ」 「ああ。そういえば。藤林妹のことか」 「他にも何人か来たわね」 朋也にとってはいずれも、関心まるで無しということだった。 「じゃ。女の子としたこともないんだ」 何をだ、と突っ込みを入れたくなったけど黙っておいた。 「……。まあね。って何でんなこと聞くの?」 「ん。ちょっと不思議に思っただけよ」 「美佐枝さんこそ。したことあるんでしょ?」 逆襲とばかりに云ってみる。……が、彼女は素っ気ない。 「ないわよ」 「嘘だ」 「本当よ。……したいとかやらせろとか寮の連中に云われることは度々あるけど」 云ってる連中は彼女に構って欲しくて冗談で云っているのだろうが、その度に天罰攻撃を食らわせるのだろう。もっとも、彼らにとってはそれも望み通りだろうから、かなりMっ気のある連中なのかもしれない。 「……。もしかして、マジ?」 「大マジよ」 「信じられん」 「あんたね。仮にも女の子の前でそーいうこと云う?」 「女の子……」 さりげなく『女の子』と云ったのを聞き逃さなかった。 「そういうところは突っ込まない!」 それはともかく。彼女がはじめてだという事実はちょっと信じられないので、じとーっとした目になる。どうしてもなってしまう。 「そんなこと云われても、信じられないものは信じられない」 朋也は朋也で頑固だった。主張を曲げなかった。その一言に、彼女はカチンときたのか……。 「じゃーあ。試してみる?」 「は?」 「聞いたとおりよ」 何か、美佐枝さんのキャラが変わっている、と朋也は思った。意地を張っているように見えたから。 「マジ?」 「大マジ」 「……いいの?」 「こんなこと、冗談なんかで云わないわよ。それに、あんたも本気なんでしょ。……昔のことであたしを泣かしておいてさー」 「うぐっ!」 グサッと鋭く朋也のトラウマを突く。朋也の美佐枝に対する態度は本気。だから美佐枝も本気になってみて、あえてドキッとするようなことを云ったのだった。 「……うぅ。い、痛いところを突くね」 「まあ。若い娘と違って面白くないだろうけどねー。……って、岡崎」 「な、何かな?」 朋也は焦った。男の象徴たる部分の状態を見られてしまったから。 「あたしから云っておいてなんだけど。体は正直ねぇ」 はぁと溜息をつく美佐枝さん。 「い、いや。これはその。不可抗力と云うか、何というか」 いかがわしいことを想像してしまったから仕方がない。 「まあいいわ。……で。どうするの?」 「どうすると云われても」 「そう」 お互いに主導権を持て余す。 「じゃあ。と、とりあえず」 朋也は苦し紛れに云った。 「テーブルの上に座ってよ」
そしてそれから……全てがはじまった。
「そんな行儀の悪い……って。今更よね」 「うん。俺もそう思う」 こんなところでいかがわしい行為をするのだから、行儀も何もないだろう。 「まあ、今は誰もいないから大丈夫だろうけど。っと。ほら……座ったわよ」 「うん」 テーブルの上に腰掛ける。……でも、どこか居心地が悪そうだった。 「で?」 「そしたら、股開いて」 「はしたないわねぇ」 とか云いつつ、股を開く。 スカートじゃないのに、何故か色っぽく感じるのは体のラインがくっきりとわかるからだろう。 「で。ど、どうするのよ?」 「脱がす」 朋也は手早くズボンのホックを外し、彼女のお尻を持ち上げた。が……その手は心なしか震えていた。 「な、何震えてんのよ」 「初めてだから、当然だろ? ……って。そう云う美佐枝さんだって」 「だから。あたしもはじめてなんだってば」 お互いに緊張して固くなっていた。朋也は彼女のズボンを下着ごと一気にズリ降ろして、脇に放り投げる。 「あ……」 靴下を残してすらっとした素足が露になり、下半身が剥き出しの状態になる。 「股閉じちゃだめだって」 「わかってる、わよ。……で、次はどうすんのよ?」 思わず閉じかけていた足を再び開く。少し濃めの毛が、股間を覆っていて秘部を隠していた。 「えっと、その。……なめるよ」 「え? あっ!」 朋也は美佐枝の股間に素早く顔をうずめる。そして、じゅると音を立ててなめた。というよりも、秘部に舌をいきなり突っ込んだ。 「んぅっ! あ、あんたちょっと。いきなりそんなとこ、汚な……ひぁ! こ、こらぁっ! 最初からそんなことするなああっ!」 「え。でも最初は前戯からって云うし。こんな感じじゃ……ぐあっ!」 イキナリのことに美佐枝は、太ももで朋也に首四の字固めをかけるのだった。ガシッと掴んで、ギリギリギリッと締め上げる。 「んごおおおおっ!!」 が……。すらっとした美脚の感触は、結構気持ちが良かった。それは、死ぬ間際に見る走馬燈のような幸せな感覚……。 ……。仕切り直し。
ズボンを脱がしたお次……。 今度はブラウスのボタンをぽつぽつと外し、下着をずらすと二つの膨らみが露になり、ふるると揺れた。大きくて、先端がツンと尖っていて、張りのある乳房が。それは、皆の憧れ……。 「この寮に住んでる野郎全員が、いつも夢に見てるんだろうな。美佐枝さんのおっぱいは」 「そう、かしら」 「そうだよ。絶対。おかずにされてるだろうな」 春原だけじゃない。男たちの想像の中で散々もみくちゃに弄ばれて、いいようにされて、おもちゃにされているのだろう。そう云うわけなので、皆の憧れの膨らみを、朋也は今まさに独占しているのだった。 「物好きも、いるものね。……あ」 朋也が震えながら乳房に触れる。すると、ふに、と指がめり込んで行く。 「物好きじゃねえって。美佐枝さんって、すげえ可愛いんだから。……自己評価低すぎなんだよ」 今度は連続して、ふさ、ふさ、と優しく揉みしだく。柔らかな膨らみが歪み、形を変えていく。 「ん……。ありがと。そんなこと面と向かって云ってくれるの、岡崎だけよ」 「美佐枝さん。胸、痛くない?」 「大丈夫。……もっと強く揉んでも、平気」 朋也の気遣いに笑顔で返す。そして朋也は調子に乗って……。 「ん、ん」 「……も、う」 赤ん坊のように、乳房を掴んでしゃぶりつき、ちゅーちゅーと吸った。 「あふっ……。赤ちゃんじゃ、ないんだから。んっ!」 勃起した乳首を舌で円を描くようになめ回し、れろれろと転がし、めり込ませる。左右の胸を交互に、何度も繰り返す。 ……そして、散々胸をいじくり回してから、朋也は美佐枝を見つめて……。 「み、美佐枝さん……。俺……」 我慢できない、と云いた気な彼に対し、彼女は視線を逸らしながら云った。 「どんなこと、して欲しいのよ?」 その問いに、朋也は……。
柔らかく、暖かい感触に朋也は背筋を震わせる。……が、少しだけ固いものが当たり、苦痛とまではいかないけれど、違和感があった。 「や、八重歯が当たって痛いよ。美佐枝さん」 「んぷ? あ、ああ、ごめんごめん。気をつける……。ん、ん」 八重歯が当たらないように、更に大きく口を開けて、舌でガードするように朋也のものを包み込む。 「ん、ん、ん……」 そして、ただでさえ大きくてボリュームのある胸を寄せ上げて、朋也のものを目一杯包み込み、上下に擦り合わせる。胸のふんわりと柔らかな感触に、口内の、からみつくようにねっとりと濃厚な感触。朋也はごくりと唾を飲んだ。 「う、あ。美佐枝さん。パイズリ上手だね」 「ん、んう。……はじめて、よ? こんなのするの」 「嘘でしょ?」 春原との会話を思い出す。飲み込みが早い、というのは技の習得のみならず、こういう行為においても本当だったから。 「信じなさいよ。あ……」 朋也は何となく、行為にふける彼女の胸の先端……乳首を人差し指と親指で摘まんだ。そして引っ張る。 「ち、ちょっと。そこ、触らないでよ」 「起ってるよ」 「ばか……あっ!」 痛くないくらいにちょっとだけ強く引っ張り、コリコリと転がす。 「ひょっとして美佐枝さん。乳首弱い?」 「……!」 図星、とばかりに目を逸らす。 「やっぱりそうなんだ」 そして朋也は調子付いて、乳首をこれでもかとばかりにいじくり回す。 「ちょ……。そこは、だ……め。そんなに……しない、で」 美佐枝は切なげな声を上げて体をよじる。 「美佐枝さん。パイズリ……」 その拍子に、挟んでいた胸が離れてしまう。 「わ、わかってるわよ。……あ」 美佐枝は再度胸を掴んで朋也のモノを挟もうとしたが、朋也の攻めは続いていて、上手くいかなかった。 「もう。乳首から手え離してよ」 「だって。感じてる美佐枝さんが可愛いから……。そうだ」 「ん」 朋也は何を思ったのか、手を放し。 「……え」 「これで。……してよ」 くすくす笑いながら、美佐枝の耳元で何か囁く。 「もう。……変態なんだから。乳首攻めだなんて」 美佐枝は改めて胸を掴んで、起った乳首で朋也のモノを刺激し始めたのだった。 「お……。お……」 「どうよ?」 亀頭の割れ目をつんつん突いてから、つつーっとなぞる。先走り液のぬるっとしたものが乳首を濡らす。 「微妙に気持ちいい」 「あっそ」 彼女はの反応はそっけないけれど、明らかに嬉しそうな表情だった。 そして、そのまま……乳首での攻めを続ける。先端から玉まで、つんつんと突いてはつつーっとなぞる。 「岡崎」 「あ」 美佐枝は体を起こして朋也と見つめ合い、抱きしめ合うようにして、乳首同士を触れさせ、絡め併せた。 「お、おおおお……。何かそれ、いい」 「岡崎って。……ん。結構、胸板厚いのね」 「そ、そうかな」 くにくにと絡め合ってから、ぎゅむーと抱き締めるように胸を押し付ける。そして、それと同時に濃厚なキスを交わす。 「ん、ん……」 「好きだよ。美佐枝さん……」 唇が離れてから朋也は、美佐枝の胸と胸に顔を挟み込み……谷間の部分を舌でなめた。 「う……んっ!」 くすぐったさにのけぞる美佐枝。 「柔らかいね」 両方の乳首を人差し指と親指で摘まんで、強めにぐりぐりとこね回し、引っ張りながら……胸の下部をなめて行く。 「あ、あ……」 「美佐枝さん……俺」 柔らかな胸を愛撫し続けてきて、朋也のモノは限界にまでそそり立っていた……。 「俺。もう、我慢できない」 「え……あっ!」 朋也はいきなり美佐枝の体をひっくり返した。 「入れるよ」 「……で、でも。ああっ!」 そして、美佐枝の唾液でとろとろに濡れたものをあてがい……。 「い、きなりそんな……あぐっ! 深……くっ!」 腰をつかんで引き寄せ、ぐぐっと一気に奥まで挿入した。 「あぐっ! あっ……うっ! はうっ!」 「美佐枝さんの中……。熱くてきつくて、気持ちいい」 美佐枝はテーブルにしがみつくようにして、体を支える。 「痛くない?」 「そういうことは、最初に……入れる前に、んんっ! 聞くもんよ」 「それはそうだけど」 ぱちゅぱちゅと、出し入れを連続で繰り返し、小刻みに動かすたびに美佐枝は震える。 「んああっ!」 「このまま……いくよ!」 「え……あっ!?」 美佐枝の胸をむにゅっと揉みながら、立たせて歩かせる。 「そうだ。折角だからさ」 「……え?」 「廊下でしようよ。……広いところで」 「あ、ああっ! そんな……」 そして、食堂を出て……。 「はっ! あっあっあっ!」 春原やラグビー部の連中が毎日行き交う廊下で、二人は激しく交わっていた。 「っく。美佐枝さんの中、気持ちいい」 ぱんぱんと小刻みに突く度に、大きな胸がゆっさゆっさと揺れ、お尻の肉もたぷたぷと形を変える。 床に手を付かせ、片足を持ち上げながら挿入を続ける。 「んっ! んああっ! こ、これじゃ……。まるで、い……犬みたいじゃない! あっあっあっあっ!」 「云われてみれば。……まるで、犬がおしっこするときみたいだな」 妙に冷静な口調で云いながら、小刻みに動く。 「わ、わかっててやらせんなああっ! ……ひあぁっ! はぅっ! あふっ!」 「……。試しにやってみる?」 「できるかあっ!」 ゲシッとかかとでどつかれる。 「ぐわっ! ……や、やだなあ、冗談だよ。冗談」 「あんたが云うと、冗談に聞こえないわよ」 「それはそうと。……美佐枝さん、お尻の穴丸見え」 「そ、そんなとこじろじろ見てんじゃないわよっ! あ、ああっ……も、もう……だめ」 湿りを帯びたそこは熱く火照っていく……。 「あぅっ! あぅぅっ! お、岡崎の……熱ぃっ!」 「じゃ、そろそろ……出すよ」 「んんんぅっ!!」 そしてふーっと息を吐き、何かに取憑かれたかのように、一心不乱に突きまくる。 「っく!」 「あっ……んっ!」 やがて朋也はにゅるんと音を立て、どろどろに汚れたものを引き抜いてから彼女のお尻に思いっきり射精した。どろっとした白い液体が糸を引きながらこぼれ落ちていった。 「ふぅぅぅ……。み、美佐枝さん。気持ちよかった、よ」 力尽き、廊下にぺたんと座り込む。 「岡崎ぃ……。あんた、本当にえっちするのはじめて?」 「当たり前でしょ」 最初は彼女を疑っていたのに、今度は逆に疑われてしまう立場になっていた。 「嘘でしょ。女の子の扱いに、めちゃくちゃ慣れてる感じだった」 「……信じてよ」 「信じらんない」 じとーーーっとした目で、上目遣いににらまれる。 「し……。信じてくれぇ〜〜〜!」 結局最後まで、疑われたままなのだった。 ……
「はぁ」 またも、ため息をついてしまう。自分が招いてしまった、あまりにもあっさりしすぎた展開に。 「なにやってんだろ、あたし」 後悔という二文字が頭をよぎり、ベッドに仰向けになって、横になる。 「馬鹿よね。あたし……」 そんな風に思う彼女を慰めるかのように、虎柄の猫が寄ってくる。 小さくて、細い鳴き声をしながら。 「よしよし」 体を起こし、ベッドに腰掛けて猫を抱き上げる。 「あたし。もう、待たなくてもいいでしょ? ねぇ」 何度、そう思ったことだろう。 意味のない独り言。猫はそれに答えるかのように、頷くかのようにぺろっと舌で彼女の手をなめる。 「あーあ」 あの後。
「俺と付き合ってよ」 朋也はそう云った。あまりにも単刀直入に、純粋な思いを打ち明けた。 それは今までも、何度となくあったアプローチ。 「ばーか」 照れ隠しだった。 「一回や二回したくらいで、そんな仲になってたまるもんか」 勢いみたいな形で関係をもってしまいたくなかったから、少し冷たく反応を返してしまう。どこかツンケンしてるな、と彼女は自分でもそう思った。 「じゃあ、四、五回。もしくは十数回くらいすれば、付き合ってくれるの?」 「あのね……。あたしゃどこぞのポイントキャンペーンじゃないんだから」 それでも彼は諦めなかった。 「じゃ、どうすりゃ付き合ってくれる?」 「そうねぇ」 彼の問いに対する答えは『こんな時もうすこし素直になれていれば』と後悔することになった原因。 「真面目に、ちゃんとサボらず授業に出て。単位も取って卒業して。何か仕事を見つけて就職して、あんまり休まず真面目に働いて。で、それを二年……んー。三年くらい続けて。それくらいすれば、少しは信用するわよ。ちゃんとした男だ、って」 「……」 何でこんなことを云っているんだろう、と彼女はつくづく思った。 こうるさい母親のお小言のような、もっともではあるけど融通のきかない、真面目ぶった意見だったから。 「わかった」 「え?」 彼は考え込んで、少し思い詰めるような表情をして、立ち上がった。 「サボらずちゃんと授業に出る。単位も取って卒業してどこでもいーからちゃんと就職して、投げ出さずに辛抱強く真面目に仕事を続ける。そしたら美佐枝さんは俺と付き合ってくれるんだな?」 「岡崎。あんた、まさか……」 彼の目は、どこまでも本気だった。 「もうここには来ないよ。信用してもらえる男になるまでは」 「ち、ちょ。岡崎。あたしは……」 冗談で云ったんだから、という言葉は出て来なかった。 「俺、本気だから。それじゃ」 「……あ」 彼は、美佐枝の部屋を出て行った。 …………
「はぁ……」 また、ため息をついてしまう。 「馬鹿」 自分に対しても、朋也に対しても、そういう言葉しか出て来ない。 「あたしだって……。本気、だったのに。何であんなこと、云っちゃったんだろ」 あれから数カ月がたつが、彼は学生寮に来ていない。彼女に云われた通りに、授業をサボる事なく朝からきちんと受け続けているらしい。課題も提出して、テスト勉強もきちんとしていて、本当に云われた通りの事を実践しているようだ。 その豹変ぶりに、春原が大騒ぎしたりクラスメイトたちが驚いたりしたけれど、彼はいたって平然としていた。 「あたし……だって」 ぽとりと一粒、涙がこぼれた。 「このままずっと……待ちっぱなしなのかな」 全部、自分のせいだと自覚しているけれど。どうにもできなかった。 (会いたい……わよ) いつの間にか、彼の存在が大きなものになっていた。そのことに気が付くのは遅すぎた。そしてまた、彼女にとって空白の時間が過ぎていく……。
季節が変わっていく。
進学する者、就職する者、共にそれぞれの道を模索しながら、学生寮を出て行く。 それと共に、新たに入寮する新入生達。 「こらぁーーーー! あんたたち待ちなさーーーーいっ!」 いつも、いつまでもそんな風に叫ぶ。 歴史は繰り返す、というべきだろうか。何年たっても、やっぱりそんな感じにだらしない学生達を世話していく。 ……そんなある日のこと。夏を過ぎ、高い空の下。寮の前で落ち葉掃きをしていたら。 「やあ」 「……」 薄汚れた作業着の男が、懐かしそうな瞳で彼女を見つめる。 「約束だよ。付き合ってくれるんだよな?」 「馬鹿ね。あんな言葉真に受けて。……本当に」 と、呆れたように云いながら涙がぽろっとこぼれ落ちた。 「馬鹿は酷いな。一途と云ってくれ。それに……」 「なによ」 「美佐枝さんこそ、律儀に待っていてくれたんだな」 「待っていたわけじゃ、ないわよ。ただ……あんたが軽い男かどうか見極めたかっただけよ」 と、強がって余裕を見せる。 「軽くはないぞ。体重増えたし。肉体労働だから筋肉付いちゃってね」 「……馬鹿」 おかしくて、思わずぷっと吹き出してしまう。 「あたしはもうおばさんよ」 「それはよかった。俺は熟女が好きでね」 「あのね。……熟女って程おばさんじゃないわよ!」 照れ隠しに視線を逸らすけれど。 「冗談だよ。年上の、美人のお姉さん」 「美人のお姉さんをあんまり待たせんじゃ……ない、わよ」 「待っていたわけじゃないって、云ったじゃない?」 「う、そに……決まってる、でしょ」 「でもさ。待っててもらわないと、美佐枝さん。俺のこと、信じてくれそうになかったから」 どこまでも一途な二人の物語が、はじまろうとしていた。 「馬鹿。絶対信じて……やらない。やるもんか」 「じゃ、信じてもらえるまで一緒にいるさ」 「じゃあ。ずっと、信じてやらない。ずーっと」 素直な彼と素直になれない彼女。売り言葉に買い言葉は続き。 「はは。それじゃ、もうずっと一緒だな」 「……。仕方ない、わねえ」 嬉し泣きの涙は幾筋にも流れ落ちて、竹箒が手から離れて落ちるのも気にせずに、朋也は彼女を抱き締めてキスをした。 成長した虎猫が、再会を歓迎するかのように朋也の足下にまとわりついてきた。 そして、唇が離れて。
「ずっと信じてくれないのなら、また待たせてしまうかもしれないな」 少し意地悪に、そんなことを云ってみた。 「そしたらまた待つ、わよ」 信じているから、そんなことを返す。 「そっか」 「そうよ」 終わることの無い追い駆けっこのような、二人の関係……。 「ふふ。……おかしいわね」 「そうだな。ははは」 コメディみたいなやりとりに、おかしくなって笑い出す。
そんな
どこまでもお似合いな二人を見上げながら 足下で、彼女の猫があくびをしていた。 -おしまい-
----------後書き----------
久々のPureMixは寮母さんこと相楽美佐枝編でした。 シナリオの展開上、その後のお話をどーするか色々悩んだ結果、このようになりました。 いかがでしたでしょうか? ご意見ご感想シチュエーションのリクエスト、誤字脱字報告はWeb拍手にてお願い致します。 |