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PureMix2nd
棗鈴編
-棗鈴編-















それは果たして、どこの世界の出来事だろうか?















 雄も雌も一緒。猫たちがこぞって恋をする季節。それは、猫ではないけれど理樹と鈴にとっても同じようで――。

「あぅ……。り、理樹」

「怖い?」

「……」

 二人は学校の敷地の片隅にある、茂みに囲まれた秘密基地のような場所での密会を続けていた。

 陽春の、眩いばかりの日光を受けて黄緑色に輝いている草むらにて、制服のまま仰向けに寝そべっている鈴と、その上に覆いかぶさっている理樹という構図。鈴は靴を二足とも脱いでいて、今まさに左足のソックスも脱がされかけているところ。

 理樹の問いに、頭を振るわけでなく視線を僅かに逸らして、ちょっと怖いと正直に告白する鈴。けれど、その後にも補足説明。

「で、でも。大丈夫。……続けて」

「うん。嫌だったら言ってよ? やめるから」

「あぅ……。嫌じゃ、ない。けど、やっぱりちょっとだけ……怖くて……。でも、大丈夫」

 漠然とした恐怖は決して不快なものではなくて、勇気を振り絞って一歩踏み出さなければいけないと思わせるもの。いつまでも理樹の優しさに甘えてばかりではだめだという、鈴の決意。どんなに心地よくても、あまりにも一方的な関係だけではいけないと、鈴の中で自立心が育っていた。

 鈴は、これから始まる出来事がぼんやりとしか想像できないでいた。死んでしまいそうなくらい、ものすごく恥ずかしいであろう行為ということはわかるにしても、それ以上どんなことをさせるのか等、予測もつかない。

「足、きれいだよね。つるつるのすべすべだし」

 ほめられているのに、嬉しさよりも照れ臭さが先行する。

「あぅ。み、見ちゃ……だめだ。あたしの足なんて。見てもいいことなんてない。……うぅ」

「そっか。やっぱり、恥ずかしいよね?」

「あ……」

 優しい理樹はいつも鈴のことを気遣ってくれて、決して無理をしようとはしない。

「理樹……。つ、続けて。み、見てもだめじゃない。から。……着たままより、脱いだ方がいいっていったのは、あたしだから」

「本当にいいの?」

「い、いいっ。だからほら……早く」

「う、うん」

 普段の強気さからは想像もできないような、不安や脅えに支配されている鈴。理樹には堪らなくいじらしく思える。

「……」

 そうしてやがて、理樹の手によって鈴の肌を覆っていた黒いソックスが全て脱がされ、健康的な素足が露になる。

「えっと」

 次はどうする、と言うべきなのだろうけども、理樹は躊躇してしまう。

「……パンツだけ、脱がして」

 それだけならきっと恥ずかしくない。耐えられる。鈴はそう判断したのだけど……。

「いいの?」

「うぅ……。い、いちいち聞くなボケ〜〜〜っ! ……あぅ。ごめん。でも、早く……して。理樹が脱がして。自分じゃ、できない」

「う、うん。ごめん」

 自分ではなく、理樹にやってもらわなければ意味がないと、鈴は思うのだった。そうして理樹は改めて鈴の白いショーツを両手で掴み、するすると脱がしていく。鈴はただ両足をぴったりとくっつけて、脱がしやすいように腰を少し浮かしている。

「んんんっ!」

 本当に綺麗な肌だなと、理樹は鈴の恥部を見つめながら改めて思った。幼なじみでいつも側にいて、これまでそんなことを意識しなかった自分を、今更ながら恥じる理樹だった。

「うぅぅっ」

 鈴はただひたすらきつく目を閉じながら、恥じらいに耐えている。苦行にでも挑んでいるように。

(可愛いな)

 白く、しなやかな足……。いつも真人を蹴り飛ばしているお転婆娘の足とは思えないくらいに華奢だった。

「鈴」

「あ、ぅぅぅ〜」

 理樹が『脱がし終えたよ』と、わざわざ言うのも憚られてしまうような、鈴の恥じらいぶりだった。

「あう、あう」

「り、鈴」

 ぴったりと足をくっつけて、大事な所が極力見えないように隠している鈴。理樹がこれ以上どうしていいかわからずに戸惑っていると。

「り、き。……あたしは……いい。大丈夫。だから」

 鈴の両目は潤んでいて、とても大丈夫には思えない。それでも勇気を振り絞って鈴は理樹に続きをして欲しいと促す。

「強引に……開いて。あたしが妨害しても……力尽くでこじ開けて、それで……理樹の……好きなように、して。うぅぅ〜……」

「う、うん」

 理樹は知っていた。ここまで言われて拒否するのは、鈴のプライドを大いに傷つけてしまうことを。だから、その思いを受け入れて、好きなようにしようと決意する。このいたいけな少女を更なる羞恥の渦に巻き込もうと。

「じゃあ鈴。お望みどおり、足、開くよ?」

「え? あ……っ!」

 一瞬の脱力。理樹は鈴の両膝をしっかりと手で掴み、ぐい、と強い力を加える。息を飲む間もなく、鈴の細い太ももがあっさりと左右に開き、ショーツを脱がされて何一つ覆うもののない秘所が露になった。

「あ……っ! あっ……あっ……! ああああっ!」

 淡い産毛の他には何も見えない秘所。一筋の割れ目。鈴は慌てて足を閉じようとするけれど、理樹は体を挟み込むようにしていて、もはやどうにもできなかった。

「い、嫌! そんなとこ見るなボケぇっ! うああっ!」

 鈴はとっさにそんな態度をとってしまうけど、主導権は既に理樹が握っているのだった。

「鈴。僕の好きにしていいんだよね?」

 ちょっと意地悪だったかなと理樹は思うけれど、鈴は素直だった。

「あ、う……。そ、そう……だ」

 確かに自分はそう言った。鈴は何も言えない。

「だから、鈴のお○んこ、じっくり見させてよ」

「なああっ!? は、恥ずかしいこと言うなあ〜!」

「じゃあ何て言えばいいのさ」

「う、うう……あぅ」

 そう言われればその通り。鈴は言い返す言葉が見つからない。理樹は鈴の秘所に両手で触れ、割れ目をなぞりながらやがて柔らかな皮を剥きにかかる。

「綺麗なピンク色だね」

「あ、あぁぁ……。あぁぁぁ……。ああぁぁぁ。見ちゃ、いや……」

 まだ誰も貫いたことのないところ。いくつもの世界があって、未来があって、分岐していたとしても、今この目の前にいる少女は紛れも無く、男と交わる事など初めての娘だった。

「ゆ、指……。だめ。あ、あ。さ、触っちゃ……あぁっ! く、すぐったいいぃぃ!」

「鈴。おとなしくしてなきゃだめだよ」

「ああああっ! で、できるかっ! ……くぅぅっ!! な、中にっ!?」

 つぷり、と人差し指が少し入ってくる。それだけでも猛烈な違和感なのに、突然……。

「んひっ!?」

「今の鈴、可愛かったよ」

「なっ! なっ! なああっ!? なにしてんじゃこのボケ〜〜〜っ!」

 鈴には信じられないような行為だった。秘所とは別の、もう一つの穴に、理樹は触れたばかりか指先を軽くねじ込みかけたのだ。

「何してもいいんだよね?」

「そ、そう……だ。うああああっ! うああっ! うああああっ! だ、め……。いやあああ……」

「鈴……」

「うぐっ。ひっく、ひっく」

 理樹は鈴を弄ぶ手を止め、申し訳無さそうに呟く。

「ごめんね。やっぱり、やめておけばよかった」

「あぅ、あぅ……。違う。そんなこと……ない。理樹は悪くない」

 必死に、込み上げてくる嗚咽を堪える鈴だったけれど、とうとう泣き出してしまった。

「恥ずかしいのが嫌じゃないんだ。……恥ずかしくて、続きをしてもらえないのが、嫌だ。我が侭なあたしのお願いを聞いてくれてる理樹の邪魔をしてるのが、悔しい。気が付くと……反抗しちゃうんだ」

「そっか」

「理樹……。無理やり、あたしを犯して。恨んだりなんて絶対しないから。あたしが抵抗したら、押さえ付けて。叩いてもいい」

 そんなことを要求しても、きっと理樹は優しい。鈴はそう思う。そこをあえて、悪乗りをするくらいに好き放題して欲しい。そう思って、閉じられた両足を大きく開いて、恥ずかしい所を見せつける。

「鈴。おいで」

「んん……」

 優しいキス。鈴の緊張を解きほぐすように包み込む。今度はきっと大丈夫。ううん、本当は最初から大丈夫だったのに、臆病な自分が妨害していただけ。鈴は堪らなく自分が情けなくなってしまう。





…………





「あっ。あっ。あぅっ。あぅぅ」

 鈴は股を大きく開いていて、露になった秘所に理樹が顔を埋め、割れ目の中に舌を這わせては、なめ回し続けている。鈴はただ小刻みに震えている。

「あ、あぁぁ……。だめ……そんな、とこ。ぺろぺろしちゃ……。あっ」

「可愛いよ。鈴のびらびら。柔らかくて、ぷにょぷにょしてる」

 理樹はわざと音を立てて吸い付く。じゅるる、ずずー、ずちゅ、ぐちゅ、と。そんな卑猥な感じの音を。

「ひぅっ! あぅぅっ。あ、うぅ……。そんな、音たてるなあ〜! ひゃふっ! あっ! あぅっ!」

 鈴は理樹の愛撫攻勢を受け、きつく目を閉じて耐えているけれど、時折堪えきれずに全身を小刻みに震えさせている。

「気持ちいいんだね?」

「う……。くすぐったくて……。むずむずして……。体が何だか、変」

 快感に戸惑う鈴は理樹の指摘を否定しない。理樹はそんな健気な鈴を見て、指に絡み付いた湿りを顔になすり付ける。

「な、何すんじゃー!」

「何って。鈴のお汁だよ?」

「あ、あ……」

「こんなにぐしょぐしょのべとべとに濡らしちゃって。糸引いてるし、えっちだよね、鈴は」

 理樹は鈴に見せつけるように、ちょっと意地悪な口調で言ってみせる。

「だって。理樹にされる度に、その……。で、出てきちゃうんだから、しょうがない」

 鈴が言う通り、理樹が鈴の体のあちこちに愛撫を続ければ続けるほどに、秘所にはとろみを帯びた透明な液体が滴りおちていく。

「感じてくれてるんだね」

「……」

 鈴は無言のまま不安気な上目使いで、こくこくと頷いて肯定。よくわからないけれど、きっとそうなんだ。そうでなければ説明がつかない。

「鈴。もう、入れちゃおっか」

 とても気軽に、気楽な口調で理樹が言う。その方が鈴にとっては気が楽だと思ったから。最後までいってしまって欲しい。

「……優しく、して欲しい」

「うん。優しくするから」

 鈴は理樹の言葉を信用し、またもこくんと一回頷く。仰向けに寝そべる鈴の上に理樹が重なっていく。顔同士が近づくと同時に視線も重なり、互いの吐息すら感じる。

「鈴」

「んん」

 鈴の緊張を解きほぐすかのようなキス。そして二人は更に密着していく。理樹の愛撫でとろとろに濡れた鈴の秘所に亀頭が当たる。それから力が加わり、硬くそそりたったものが、鈴の柔らかくほぐれた割れ目をずにゅううう、と押し広げながら受け入れていく。

「あ……。うぅ……。へ、変な感じ……」

「僕のが鈴の中に入ってくよ」

「あ、あ!」

 肉体同士がこすれ合い、一つになっていく。

「鈴。痛くない?」

「大丈夫。けど、変……。あぅぅ……。体に……自分じゃないのが、入ってくる……」

 太陽が辺りを明るく照らしているこんなところで、とは二人共思ったりしない。この世界には、二人しかいないのがわかっているから。しかし、理樹は言った……。

「ねえ鈴。もっと気持ちいいこと、しない?」

「え?」

 理樹は突然そんなことを言いだした。

「ど、どんなことするんだ?」

「ん。それはしてからのお楽しみ。……猛烈に恥ずかしいけど、ものすごく気持ちいいと思う」

「そう、なのか」

 鈴の表情が羞恥によって紅潮していく。理樹は鈴の体を起こし、立たせる。

「しようよ。鈴」

「う、うん。……でも、それは恥ずかしいことなのか」

「ううん。恥ずかしいのが気持ち良くもあるんだよ」

「よく、わからない。……でも、理樹がしたいのなら、いい」

 鈴は遂に決意して、理樹に全てを任せることにした。










そうしてまた、新たな世界が産み落とされる。










「あ、あっ! り、理樹〜!」

「大丈夫だよ。おいで」

 ひたひたと、素足の裏に感じる冷たさが現実を思い知らされる。鈴はソックスとショーツを脱いだまま、上履きもはかずに廊下を歩んでいく。目指す先は、自分達がいつも授業を受けていた教室。通り過ぎる廊下にも、すぐ側にある教室にも人の気配はない。本当に誰もいないのだろうかと、鈴は不安になるけれど、理樹は構う事無く鈴の手を引いて歩んで行く。


「着いたよ、鈴」

「え?」

 僅かに開いているドアの先には……。

「あっあっ! み、みんながいるじゃないか!」

 小声で、慌てたように鈴は言う。当初は、ここは誰もいない世界だと思っていたのに、いつもと同じような授業が行われていた。小毬がいるしクドもいる。真人はやはりいつものように机に顔を突っ伏して寝ている。謙吾は熱心にノートをとっている。来ヶ谷は、どうやらいないようだ。その理由は教科にあるようで、担当の教師は見馴れた顔。つまりはいつもの数学の授業。ただ一つ異なっているのは、本来理樹と鈴の机があるところには他のクラスメイトが座っているということだけ。

「……」

「り、理樹っ? 何をっ!」

 何を血迷ったのか、理樹は鈴の手を引いたまま、教室の中へと進んでいった。

「大丈夫だよ」

「な、何考えて……ああっ!」

 皆の視線が注がれることだろう。鈴はそう思って慌てた。しかし……。理樹はドアを開くわけでもなく、ぶつかるように進むと、体が透き通っているかのようにすり抜けた。

「え? え?」

「ほら、大丈夫でしょ?」

 鈴はきょとんとしながら辺りを見回す。誰も自分達に関心を払ってはいない。

「今の僕達はさ、ここにはいないんだよ」

「ゆ、幽霊みたいなもの、なのか?」

「そ。ご名答。いい例えだね」

「り、理樹……。まさか」

「うん。そのまさか。ここでしようって思ってね」

「う……」

 鈴は一瞬で悟る。そうだった。ここは、理樹が鈴の為に用意した、新たに産み落とされた世界なのだと。自分達が存在しないだけで、それ以外は全てが似通った世界。

「ほ、本当にみんな、あたしたちが見えてないのか?」

「そうだよ。疑うなら、試してごらん」

 例えば、いつものように……。

「真人! 聞こえているなら返事しろこの馬鹿! こんにゃろ!」

 真人に対していつものハイキック。しかしそれは真人の巨体はおろか、机すらすり抜ける。

「鈴。大胆だね」

「あ……」

 ふと、下着をはいていないことを思いだし、鈴は赤面する。スカートがふわりとたくし上げられ、剥き出しの割れ目が皆の前にさらけ出されてしまった。けれど、理樹の言う通り誰にも自分達の存在は感知できないようだ。

「見えてないのはわかった。けど……猛烈に恥ずかしい……」

「だから、そうだって言ったでしょ?」

 でも、いいと言った以上引くのは嫌だ。どうすればいいんだろうと思っている鈴に、理樹は耳打ちする。

「あぅ……」

 短いスカートを両手でたくし上げて、教室内を徘徊しろとのリクエスト。もう言われた通りにするしかないのだけど、恥じらいの余り手先が震える。

「こ、これじゃ、変態じゃないか〜!」

 泣き言を言いつつ、しっかりとスカートの裾を持ち上げる。

「ほら、両足を開いてみんなにお○んこ見せつけるようにして。さっきまで僕のものが入ってたところを」

「理樹の意地悪〜!」

 非難すると同時に、理樹が言っていた意味がわかってきてしまった。教師の声と黒板にチョークが擦れる音以外何もない、静けさに包まれた教室内にて、人知れず痴態をさらけ出しながら歩んでいる。その事実が鈴の背筋をぞくぞくと震わせる。

「足元まで垂れてるよ。鈴のえっちなおつゆが」

「そんなこと言うな〜! あぅぅ……」

 溢れ出た雫は鈴の素足を伝うだけでなく、ぽたぽたと床にも流れ落ちていく。

「み、皆の前でこんな恰好していると思うと……。何故か、出てきちゃうんだ……」

「本当に、ぐしょぐしょになっちゃってるね」

「あああっ!」

 笑顔で指摘する理樹とは対照的に、恥ずかしさが頂点に達している鈴はまるで余裕がなかった。スカートを掴む手は震え、やがて足腰から力が抜けてしまい、うずくまる。

「鈴。そろそろ、しようか」

「こ、ここで……するのか。みんなの前で。本当に」

「うん。ほら、立って」

「あ……」

 理樹は鈴の手を取って立ち上がらせ、抱きしめるようにして挿入を開始した。

「あ! うぅぅっ!」

「これだけぐしょぐしょに濡れてるから、すんなり入っちゃったね。気持ちいい?」

「あ、あっ。わ、かんない……そんなの。あっ」

 下からの突き上げに、鈴は小刻みに体を震わせる。その営みはしばらくの間続いて、そして……。

「あっ!」

 いつしか理樹は体を入れ替えて、立ちバックのスタイルで鈴の中に挿入を繰り返していた。両手を、何故か触れる事のできる黒板に当てさせて体を支える。

「着たままだから、恥ずかしくないでしょ」

「は、恥ずかしいんじゃボケ〜! あっあっあっ!」

 抗議の声も喘ぎに遮られてしまい、勢いが無い。そうしてひたすらに、静かな教室に鈴の吐息と体同士が擦れる音が響く。

「授業中の教室でえっちだなんて、すごいよね」

「へ、変態だ。こんなの……。だめ。んっ! あっ!」

「そう言いながら、声出しちゃって」

「そ、それは……理樹が、上手だから。あっ!」

 恥じらいとは別に、このまま続けて欲しいと思ってしまっている自分に、鈴は気づいてしまう。

「あっあっああっ!」

 たん、たん、たん、と交わる音が響く。すぐ側なのに、別の次元にいかのよう。まるで存在しない二人。

「り、き……。あっあっあっあっあっ。ふ、深いぃ……。もう、や……あっ」

 びくっと鈴が体をのけ反らせて跳ねた。絶頂を向かえた証拠。

「あ、あ……」

「いい感じっぷりだよ、鈴」

 脱力して床にぺたんと座り込んでしまう鈴の腕を、理樹はちょっと強めに引っ張って起こす。

「でもね。もっと恥ずかしいこと、しようか」

「え……」










次の巡礼地は……。










「あ、あ……」

 体育館の、ステージの上。鈴はスカートとショーツを脱がされて半裸状態。

「ほ、本当にみんな……あたし達が見えていないのか?」

「さあ、どうだろうね」

 理樹は微笑を浮かべたままそう答える。ステージの下には大勢の生徒の姿。今はまさに、全校集会が開かれているのだ。

「ああ……」

 鈴の両足を伝って落ちて行く滴。多くの視線が集中するところに、あられもない格好でいる事実に体が反応してしまっているのだ。

「あたし……。変態だ……」

「本当だよね、まったく」

 理樹は鈴の腕を取り、そして四つん這いにさせる。丸くて白い尻を見せつけるように突き出させ……。

「ああっ! こんなの……」

「お○んこも、お尻の穴も両方丸見えだよ」

「い、言うな! 言うな〜っ! あひっ! な、何をするんだ〜っ!」

 ずぷりとねじ込まれて行くのはアナルプラグ。猫の尻尾を模した……。

「ほら、鈴。猫みたいにみんなの周りを練り歩いて。すりすりするみたいに」

「ああああ……」

「にゃーとかみゃーとか、そんな鳴き声上げながら、だよ」

「み、みゃあ……。にゃあ……」

 鈴はいつの間にか、猫の耳をかたどったヘアバンドをつけられて、鈴のついた首輪まで巻かれていた。気位の高い鈴にとっては耐え難いくらいの痴態だけど、理樹に求められるがままだった。

「そう。発情期の雌猫みたいに、悩ましげな声で鳴くんだよ」

「うにゃあ……」

 こういうのも悪くないと、鈴は、そう思うようになっていた。理樹によっていつしか飼い馴らされてしまったのかもしれない。









次行ってみようかと、理樹はテレビのチャンネルを変えるように気軽に言った。










 外は雲一つ無い快晴。グラウンドの辺りでは、リトルバスターズの面々が揃って野球の練習をしていた。

「どうだっ!」

「わあっ!」

 鈴の豪速球がうなる。細い体から、信じられない程に切れのあるボールが理樹の目前を通り過ぎていく。タイミングを合わせることもできず、理樹は見送っていた。

 そんな光景……もう一人の自分達を見下ろしながら……。

「あっあっあっ!」

 緑の絨毯に包まれたような土手にて、全裸で交わり続ける理樹と鈴の姿。四つん這いの鈴は今も猫の尻尾をアヌスに突っ込まれたまま、猫耳ヘアバンドもつけさせられている。

「みんなの前でえっちするのって、恥ずかしくていいでしょ」

「り、理樹の変態……。あっ」

「これだけ締め付けておいて、人のことは言えないよね」

「はぐっ!」

 ぱんっ、と大きな一突きに、鈴の小ぶりな乳房がぷるると震える。

「みんなに見せてあげたいよね。僕と鈴の公開セックスを」

「そん、な……。あっ!」

 もう一人の自分達がいる。恭介がいて、真人がいて、クドがいて……見知った友人達がすぐ側にいる。そんなところで、自分達の姿が見えないからといって情事にふける。鈴は体中が熱くなっていくように感じた。

「あれ?」

 ふと気が付くと、猫達が二人の周りを取り囲んではにゃーにゃーと鳴いている。偶然かと思ったけれど、どうやらそうでもなさそうだった。

「なあっ!? お、お前達! み、見えてるのかっ!?」

 鈴の切羽詰まったような質問に対し、猫達はただちょこんと佇んだり、丸くなったりしては、二人の行為を興味深そうに見物している。

「わ、わふ〜! どうしたのですか〜! と、と、止まってくださいなのです〜わふっ! い、いきなり止まらないでくださいなのです……」

 外野にて、小毬とキャッチボールをしていたクドが慌てたように駆けてきた。二匹の犬……ストレルカとヴェルカが突然クドの元を離れて駆け出して、追ってきたのだ。二匹はクドのお願いを聞いたかのように突如として止まり、クドは止まりきれずに土手に向けてダイブしてしまう。

「おーい、どうした?」

「やけに猫達が集まってるじゃないか。何かあるのか?」

 真人が、謙吾が、訝しげな表情になりながら近づいてくる。

「猫さん達だけではないのです……。ストレルカ達も急に走りだしたのです……」

 目を回し、息も絶え絶えなクドが付け加える。

「きっと、我々には見えない何かを見ているのだろうな」

 興味をひかれたのか、唯湖もやってきた。そうして小毬が来て、葉留佳がやってきて……みんなが揃っていく。

「鈴。猫達は僕らに気づいているみたいだよ」

「そん、な……ことが。あっ! あふっ!」

「あったっていいじゃない。ほら、ドルジやストレルカも見ているよ」

「み、見るなああ……。こんな恥ずかしいところ……」

 鈴は理樹と繋がったまま、体位を変えられる。仰向けの理樹の上に重ねられて大股開きという羞恥極まる格好。二人が繋がっているところが皆に見えてしまう。

「り、理樹の変態!」

 鈴の抗議はしかし、弱々しい。

「こんなにぐちょぐちょ音を立てていやらしい汁したたらせて、説得力ないよ」

「あ、ぅ……」

「素直に言いなよ。気持ちいいって」

「う……。き、気持ち……いい。あふっ! そ、そんなに深く……突くなああ……」

「深く突いたら締め付けがよくなったよ?」

「あ……あ……」

「鈴。正直に言いなよ。お○んこにお○んちんをずっぽずぽされて嫌らしい汁をいっぱい垂らして、意識飛んじゃいそうなくらい気持ちいいんでしょ?」

 理樹の口調は意地悪だけど、鈴は決して否定できない。感覚を共有でもしているかのように、完全に図星なのだから。

「ほら、言いなよ」

「う、あ……あああ……。お、お○んちん……気持ちいい。あたしの中……ぐりぐりされるたびに、おかしくなりそうなんだ……」

「擦れるたびに、滑りがよくなっていくよね。でも、ぬめぬめしてて、気持ちいいよ」

「ふ、あっ。と、んじゃい……そう。体……熱くて。ち……くび。起っちゃって……。あふっ!」

「みんなに見てもらいながらするセックスは最高でしょ?」

「あ、あ、あ……。そ、そう……だ。みんな……見てもらいたい……。あたしと理樹の……せっくす。あ、あ、あ! 見て! みんな……もっと。あ、あたしのお○んこに理樹のお○んちんが入ってるところを……」

「中に出すからね」

「あああああっ! 熱いのが……! お、奥に……。くぅぅっ!」

 ずむ、ずむ、と、ゆっくりと区切りられるような動きが段々と早まっていき、連続していく。ずぷ、ずぷ、と体液同士が擦れて泡立つようになっていく。

「ああっ! あ、あ、あ、あ、あーーーーっ!」

 こうして鈴は、みんなに囲まれながら、絶頂を迎えさせられてしまった。人以外の者達は、相変わらず二人の交わりを見守るかのように鳴いている。










…………










「鈴。もっとえっちしよ」

 理樹が言うと……。

「う、うん。する。……その。あぅ」

 鈴は、何かいい辛そうにしている。

「どうしたの?」

 理樹が優しく微笑みかけると、鈴は正直に言わないといけないような気持ちにさせられる。

「その……。も、ものすごく……変に、して欲しい」

 もじもじしながらそう白状する。

「へえ」

 意外そうな表情の理樹。

「いいけど、どうしてまた? そういうの、嫌なのかなって思っていたから」

「嫌じゃ……ない。さっきのも……すごく、その。理樹にされればされるほど、気持ち良くなっちゃって……」

「そっか」

「んっ!」

 理樹は鈴に近づいて、キスをする。そして……。

「じゃあ遠慮なく。変態なの、いくよ」

「う、ん……」

 ――そしてまた、この世界に少しだけ干渉することにする。

 どこかの教室。体育の授業中なのか、誰もいない。そして机の上には女子の制服が置いてある。

「ん、あ……」

 鈴は誰かの制服を上だけ着させられながら、机にしがみつくようにしていた。机の足がぎしぎしと擦れているのは、理樹と交わっている証拠。

「結構ぴったりだったね。笹瀬川さんの制服」

「あっあっあぅっ! なん、で。ささささの制服……なんて」

「普段から張り合ってるからさ」

「そ、んな……。あいつがあたしを一方的に……んっ。ライバル視、してるだけ……だ。あっ!」

 理樹の突き上げは強烈で、鈴は言葉を続けることができない。

「相互理解できるんじゃないかなって思ってさ」

「そ、ん、な。あっ!」

 一際強い突きの後、大量の精液が鈴の背中にぶちまけられた。

「あ、ああ……」

 当然の如く、制服もべたべたになったので、鈴は慌ててふき取るのだった。





…………





 どこかの部屋にて。

「り、理樹の意地悪……」

「そうかな」

 鈴の小ぶりな胸には不釣り合いなくらい大きなブラが巻かれていた。当然のごとく、スカスカだった。

「くるがやのおっぱいには勝てる訳がない。わかっててこんなことをするなんて意地悪だ」

 いじけ顔の鈴の胸を理樹は背後から揉み回す。楽しそうに、遊んでいるかのように。

「大きいよね。来ヶ谷さんの胸って」

「あ……あ……。くすぐったい」

 小さな乳首が手の平で転がされる。くすぐられているようで、鈴は体をぶるると震わせる。

「そうだ。鈴。いいこと思いついたよ」

「え?」

 思い立ったら何とやらということで。理樹は鈴の手を引いて、そして……。

「あ……。なんで、こんな」

 芝生の上……。鮮やかな緑の絨毯には、赤、青、黄色に紫に水色にピンクに……色とりどりの華やかな花がちりばめられ、咲き乱れているように見える。

「みんなが気づいたらびっくりするだろうね」

「あっあっあっ! り、理樹! なにさせるんじゃー! んあああっ!」

 理樹は鈴に言ったものだ。秘密の花園を作ってみようよ、と。その結果がご覧の有様だった。

「ほら、もっと腰をくねらせて」

「あ、あ、あ! 恥ずかしい……!」

 理樹は鈴に、冗談めかして言った。可愛い泥棒猫さんになってよ、と。

「小毬さんのパンツはどれかな。クドのは……これかな? わ。紐パンだよ」

 つまりは勝手知ったる女子寮に入って、みんなの下着……ショーツやブラを片っ端からかき集めてくるようにとの指令。

「だめだよ鈴? 下着泥棒なんてしちゃ」

「り、理樹の意地悪。理樹がやれっていうから……! あぅっ! はぅっ! そ、そんなに強く……。ああっ!」

 こんもりと盛られた山のように、柔らかな布地が積まれている。鈴はその上に寝そべるようにさせられながら、激しく突き込まれていた。

「鈴はどんな柄が好き? 水玉とか、縞々とか、動物のプリントものとか」

「し、知らない。あっ! はぅっ!」

 ぱちん、と二人の体がぶつかり合う。

「わ。ブルマもあるね。誰のかな」

「あっ! はっ! んぅっ!」

 鈴の脳裏に皆の顔が思い浮かぶ。クドに小毬、葉留佳に来ヶ谷。美魚に佐々美に佳奈多に……。それだけじゃない。クラスメイトの女子達も。ごっそりと奪い去り、今に至っている。皆が異変に気付いたら、さぞかし大きな騒ぎになることだろう。

「り、理樹の変態! って、あ、ああっ!? お、お前達! 何やってんだ!」

 鈴の周りには、またも姿が見えているかのように何匹もの猫達が集っていく。そうして、足元の下着にじゃれかかり始める。噛みついて食いちぎろうとする猫や、ひたすら引っ張ろうとしている猫。じゃれていくうちに体に絡まってしまう猫。様相はすぐに混沌としていく。

「はは。猫達も嬉しいみたいだね。……鈴だって、人の事変態とかいいながら、えっちなお汁をダラダラ垂らしてるじゃない。みんなのパンツやブラにぶちまけてるよ?」

「そんなっ! これは、理樹が……激しくするから」

「僕にこうされるの、嫌?」

 理樹は突如真顔になって、そう問うた。

「う……。嫌なわけ、ない……」

「そっか。よかった」

 理樹の突き込みが強くなっていく。

「あっあっあっあっ! も、もう……だめ……」

 光の中で、二人は同化するかのように一つになっていく。衣服を脱がされた鈴の細い腕も肩も、しなやかな背中も、丸い尻もすらっとした足も全てが照らされて輝いて見える。

「いきそう? 気持ちいいの?」

「う、うん」

「そっか。よかった」

「んっ。理樹も……気持ち良くなって欲しい」

「大丈夫だよ。充分気持ちいいから」

「そうなのか」

「そうだよ。好きな娘と、こんな風に一つになって、ぱんぱんって音たてながらえっちするのって、最高に幸せだよ」

 小刻みな動きに突如として変わる。

「あっあっあっあっあっ! り、理樹ぃ! あたしも……。んああっ! これ、いい……」

「じゃあ鈴。そろそろいくよ」

「う、ん。……あっ!」

 鈴の吐息が荒くなっていく。絶頂が近い証拠。もちろん、理樹も。

「いくよ……っ」

「んっ。あっ! うああっ!」

 鈴は自分の中に込み上げてくるものを感じた。それは何度となく続き、あふれるくらいに奥まで注入されていく。こうして猫達が見守る中、二人は熱いくらいの温もりに身を任せていった。









…………










 日だまりの中ですやすやと寝息をたてている鈴。猫たちに散々じゃれつかれいじくられ、下着でとっ散らかった芝生。鈴はその上で、猫のようにまるくなりながら、お昼寝中。

『理樹がハードなことばっかりするから、眠たくなってきちゃったじゃないか』

 とは、鈴の言い分。ふああとあくびをして、目を細めて横になり、そのまま。

 暖かい日差しに適度に涼しい風。つい先程までの淫行も、嘘のようだと思うけれど。いずれその時はまた、訪れる。

「理樹」

 数時間が過ぎて、鈴は目覚めた。そして、猫のように体を伸ばしてから言った。

「また変態なこと、して欲しい」

 鈴の態度は、どこかふっ切れたよう。すくっと立ち上がり、そして……。

「ここに、理樹のを入れてくれ」

 鈴はスカートをまくり上げる。つるつるした秘所に一筋の割れ目が見える。

「随分大胆になったね。鈴」

 鈴は恥じらいに視線をそらしながら、言った。

「きょーすけが言っていた。スカートは、すぐに変態なことをできるようにと、よく考えて作られたものだって」

「違うよ、それ」

「そうなのか?」

 答えが間違っていたとしても、今はいいと鈴は思った。……普段なら、あの馬鹿兄貴と罵るところだけど。

「理樹」

 鈴は芝生の上に腰掛けてから両足を大きく広げ、既にとろとろに濡れている割れ目を人差し指と中指でこじ開ける。性知識なんて殆どないような、子供のようだった鈴は今や頬を赤らめ、好きな人の一部をねじ込んで欲しいと望んでいる。鈴は理樹のいいようにされていくうちに、なんとなく悟っていったのだった。甘えるだけではだめ。時には望むことを主張し、積極的に求めていかなければいけないのだと。たとえそれが、ものすごく恥ずかしい事だったとしても。

「えっちなこと、して」

 どんな? 理樹は無言だったけれど、そんなことを言われそうな気がした。

「うー。お……○んちん。あたしの……この中に入れて。ぐりぐりって、いっぱい動かして。それで……その……。せーし……。いっぱい、出して……」

 新たな生命を求めるように、鈴は熱い吐息をこぼした。

「ふ、ふぁっく……じゃなくて。せ……せっくす、だった。……して」

 どこでそんないけない言葉を覚えたんだろう? と、理樹が思うと同時に、ちりん、と鈴の長い髪に結んだ鈴が鳴る。

「あ……あ……っ! 理樹。深……いっ」

 鈴の体に被さるようにして理樹が近づいていく。強く、ずぶずぶとねじこまれていく感触がはっきりとわかる。そしてまた……二人の営みが始まっていくのだった。

「んんっんっ! 今度はみんなに見えるところで、して欲しい」

「そうだね。実はこの世界、みんなに丸見えなんだ」

「え……」

「でも、誰も僕達に触れる事はできない。便利な世界でしょ」

「あ、あ、ああ……」

 気付けば場所は変わり、授業中の教室の中。着ていた制服はいつしかなくなっていて、ソックスと上履きだけ残して全裸にさせられていた。

「気持ちいいでしょ、鈴」

「う、うぁあぁ……あぁぁ。あ、あ、あ……ああああああああああああーーーーーっ!」

 みんなの視線が集中しているのが嫌でもわかる。そうして鈴は大きく目を見開き、絶叫した。けれどそれは悲鳴ではなくて、快感が極まったエクスタシーの声。

 ――そうしてまた、新たな世界が生まれていく。
















----------後書き----------

 これにてミッションコンプリート。と、いったところでしょうか。

 長きに渡って続いて来たシリーズでしたが、ようやくのことで完結に至ることができました。

 思えば鈴編は随分とまた長引いてしまったりしましたが、それでもここまで到達することができてよかったなぁと思います。

 いずれまた、何か新しい事をはじめることもあるでしょうから。今後ともどうぞよろしくお願い致します。Twitterにもしょっちゅう呟いていたりしますので、絡んでやっていただけたら嬉しいです。




ご感想を頂けると嬉しいです。





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