ささやいて……
よく晴れた休日の図書室にて。本来誰もいる訳がない場所なのに、何故かわざわざデートに来ている物好きがいた。それは今、床に座布団を敷いて座る朋也と、彼の両足の間に挟まれてちょこんと腰掛けていることみだった。学校の、それも図書室に行きたいというリクエストは無論、ことみからの発案。 朋也は最初、ことみの読書に律儀に付き合っていたのだけれども段々と退屈になり、何やらいたずらを思いついたようだった。いたずらの内容とは、彼女の耳元でかすかにささやいてみることだった。ことみの名を、ただひたすらに。 「とみ。ちゃ……ん」 「……?」 張り詰めていた糸がぷつんと切られたかのように、柔らかな反応だった。あるいは、人形が命を吹き込まれて突然動いたようにすら感じられる。それまで物凄い集中力で、電話帳を一気にめくるように速読をしていたのが嘘みたいに思える。 「朋也、くん?」 可愛らしく首を傾げて、呼んだ? と云いたげなことみ。 「呼んだ。……かも?」 答えはあえて出さず、はぐらかす朋也。 「呼ばれた。……かもしれないと思ったの」 照れ臭そうに目を細めることみに、朋也は笑って云う。 「じゃ、また。そのうち呼んでみる」 ことみは頬を赤らめて、僅かにこくんと頷く。好きな人に名前を呼んでもらえるのはとても嬉しいことだから。 そしてまたことみは読書に没頭していく。それにつられて朋也も読書を始める。が……ちょっと読み進んだだけですぐに眠気が訪れてしまうのだった。何しろ内容がとてつもなく難解だった故に、何を云っているんだかさっぱりわからないという状況なのだった。さすがに自分があまりにも不勉強なのが情けなく感じる朋也。けれども、ことみがチョイスした本なのだから、これはもう仕方がないのかなとも思える。 (統一場理論……?) 読む前に、せめて本のタイトルくらいは確認しておくべきだったな、と朋也は溜息をつきながら思うのだった。 (しかし、まあ) つん、とことみの頬を人差し指で軽くつっついてみる。白い肌が柔らかくて可愛らしい。無論ことみはその程度の事では気付くそぶりも見せない。 (本気で気付いていないんだな) 時折瞬きをするくらいで完全に静止している。 (じゃ、こっちはどうだ) ふに、とことみの胸を人差し指で軽くつついてみる。大きな、ボリュームたっぷりの胸は制服の上からでも柔らかい感触で、指先がめり込んだ。何度かそんなことを繰り返すけれど、ことみはやっぱり気付かない。 (すごい集中力だな) 今度は紺色の短いプリーツスカートの上からお尻を触り、いやらしくなで回す。胸と同様に、ボリュームたっぷりの柔らかさだった。 「ことみー」 「……」 やはり声は聞こえていない。ただ、ことみの白く華奢な指先が器用に、しゃ、しゃ、と音を立てページをめくっていくだけ。とても規則的なが断続的に続いて行く。 (じゃ……。これはどうだ) 朋也は更に悪乗りしていく。おもむろに立ち上がり、じ……とズボンのチャックを降ろす。そうして取り出したものは既にそそり立ち、臨戦状態。何だかとても間抜けな格好だなと思いつつ、一度やると決めたらとことんやってやろうと無駄に執念を燃やすのだった。 「ことみ。して欲しいんだが」 ちゃんと耳元で囁いてみて、許可を得ようと試みる。勿論反応は皆無。朋也はそれを予想し、ことみの頬にぴたぴたと先端を押し当てる。可愛らしい顔にグロテスクなものを押し当ててるという背徳感に、朋也はちょっと背筋にゾクッと震えが走るのを感じた。いっそこのままことみの顔に思いっきりぶっかけ……もとい射精したりしたら、さすがに気付くかなと思いつつ、さすがにそれは酷すぎる行為だろうと思い留まるのだった。 (これでも気付かないのか) さすがにこれ以上黙ってするのは可哀想なので、気付かせることにした。……最も、既に十分過ぎるほどひどいことをしているのだが。 「ことみ……ちゃん」 「?」 しかしそこは朋也。あえて頬にでっかいものを押し当てたまま気付かせてみる。我に帰ったことみは最初、頬の辺りに違和感を感じたが、それが何なのかすぐにはわからなかった。 「あ……」 いきなりそんなものが目前に現れ、ことみの表情が怯えたように、恥じらうように変わっていく。柔らかくも堅い、熱を帯びた先端。ちりちりとした陰毛。朋也くん、何をしているの? と、云おうとしたけれど上手く言葉が出て来なかった。 「あー。さっきからずっとお願いしてるのにさ。ことみが全然聞いてくれないから、我慢できなくて」 「そ……」 「だから改めてお願いしたい。……してくれ」 口元に押し当てられ、ことみは断ることができず、頷いてしまう。 「あ、ん!」 ぐいぐいと半ば強引に、口内へと押し込まれる。 「んんっ! ん、ん……!」 くぐもった声を漏らしながらも愛撫を始めることみだった。 …………
「朋也くん、ちょっと強引なの」 「ことみが上手だから」 「褒めたって何も出ないの」 口内に射精され、ポケットティッシュで口の辺りを拭い取りながら少しばかり責めるような上目遣い。けれどどこか照れたようなことみ。 「次は、さ」 「……」 まだ、するの? と、云いたげなことみは脅えモード。いくら休日とはいえ、学校なのだから当然のこと。だけど朋也は構わなかった。 「ことみ」 「あ……」 朋也はことみの体を引き寄せる。そうして僅か十数秒後のこと――。 「と、もやく……ん」 明るい日差しが図書室の中にまで差し込んでいる。その真ん中にある大きな机の上には四つん這いのことみと、既にことみの中に挿入し腰を前後に動かしている朋也。極度の恥ずかしさに震え、涙目のことみの羞恥を煽るため、わざと机の上でするのだった。 「ことみの中。締め付けてくる……」 「あ、あ、あ。は、恥ずかしいの。こんな、の……。こんなとこ、で……。誰かに見られちゃうの」 ぱち、ぱち、と音を立てつつゆっくり交わり合う二人。同時にぎしぎしと机が揺れていく。 「そうか? でも、服は着たままだから恥ずかしくないだろ?」 ことみはふるふると頭を振り、否定する。 「ものすごく恥ずかしいの……」 ことみは制服を脱がされず、着たままだった。ただショーツを僅かにずらされ、露になった秘所に挿入されている。 「じゃ、脱ぐ?」 「だめ、なの」 「裸と着たまま。どっちが恥ずかしい?」 「どっちも……。ああっ!」 ことみが悲鳴のようなあえぎ声を出してしまう。朋也がことみの腰をしっかりと掴み直し、突く速度を速めたのだった。ことみの長い髪も子供っぽい飾りも、制服に包まれた胸もスカートも、あらゆる所が震えるように揺れていく。 「可愛いな。ことみは」 「あひっ! あっあっあっあっあっ! は、げしいの……。だ、め……なの……。あ、あああっ! ああっ!」 ぽかぽかした暖かい一日に似つかわしくないワンシーンは続く。静かな図書室の中に、ぎしぎし、ぱんぱん、と淫らに交わり合う音が響き渡る。ことみはぽろぽろと涙をこぼし、大きく突かれる度に堪えきれない声を出してしまうのだった。 いたいけなことみを犯しているかのように感じられ、朋也の興奮はなかなか冷めなかった。一突きする度にことみが可愛らしくも切ないあえぎを上げるから、もっと聞きたくなってしまう。更に気持ち良さも込み上げてくるから、だから突きは速く、強くなっていく。 「あ、あ……あっ!」 それは、二人が達してしまうまで続いた……。 ----------後書き----------
久しぶりにCLANNADのお話を書いたような気がします。 というわけで、ことみの短編えっち話なのでした。 ご意見ご感想、誤字脱字報告はWeb拍手のコメント欄にて宜しくお願い致します。 |