【SweetWater】




















そこは緑豊かな森の中。










そして、『彼ら』の前にはサラサラと流れる清流。










辺りはしっとりと湿っていて










真夏を思わせないくらい、ひんやりとした空間……




















濡れないようにロングスカートの裾を手で持って、ゆっくりと、そーっと、慎重に素足を透き通った水の中へ入れようとして……。
「ふぇっ! つ、冷たいです〜!」
けれど、敏感になった感覚はとても素直で、冷たさについ足を離してしまう。
「佐祐理さん。そりゃ冷たいって」
「あはは。そ、そうですね」
ロングヘアに、大きくて可愛らしいライトグリーンのチェック柄リボンが特徴的な彼女……倉田佐祐理は苦笑するけれど、それでも冷たい水が気持ちいいのか、少しずつ慣らしながらもぱちゃぱちゃと音を立てて水の中を歩く。
「祐一さ〜ん。水の中、とっても気持ちいいですよ〜」
「そうですか」
苔が生えた岩の上に座って頷くのは、相沢祐一。
「祐一さんも入りましょうよ〜」
「んー。どーしよっかなー。とってもいい眺めだし〜」
「……え? きゃっ!」
彼がにやけながら見ているのは、たくし上げられた佐祐理のスカート……。僅かに下着の白い布地が見えたりしていて。
「今日は白ですか。とっても清純ですな。佐祐理さん♪」
「そんなえっちな祐一さんには」
佐祐理はそんな祐一の視線に気付き、スカートの裾を脇と口で押さえて屈み込んで、自由になった両手で水を少しすくって。
(えいっ!)
「おわっ!」
祐一目がけて、パチャッと投げつけた。
「こうですよ〜」
してやったり、という表情の佐祐理と。
「佐祐理さん……やったな!」
ムキになって、ドボンと水しぶきを上げて飛び込む祐一。
「きゃっ! わ〜。祐一さん〜! 水かけちゃだめですよ〜!」
「さっきの仕返しだ。仕返し!」
必死に水の中を逃げ回る佐祐理に、パシャパシャと水をかけながら追いかける祐一。




















笑顔でじゃれあう二人は恋人同士。










どうしてこんなところでこんなことをしているのかというと?










それは、数日前のこと……。




















太陽がジリジリ、ギンギンと容赦なく照りつける真夏の日中。祐一はそれに耐えられず『もうこうなったら日本は温帯湿潤気候なんかではなく、亜熱帯じゃないのか!? 基準が間違っているんじゃないのか!?』などと、無意味な疑問を呈していた。頭の中で、だけど。
「あ……じぃ」
「今日も暑いですね〜」
真夏の町中は、アスファルトがあるおかげで更に暑い。照り返しと共に、熱を吸収するわけだから。
「あーもう。何なんだこの理不尽な暑さは。ここは北国じゃないのかよ……」
「あはは……。北国でも夏は暑いですよ〜」
祐一はTシャツに半ズボン。佐祐理は薄い布地のワンピース。両者とも完全真夏モードの、可能な限り涼しい服装なのだけれども、所詮服装での冷却効率などたかが知れている。
「図書館、もうすぐですよ」
「あー」
「クーラーがきいてますから、きっと涼しいですよ〜」
「そ……だね」
一つ年上の佐祐理。そして、三年生という受験勉強真っ最中の祐一。二人が向かっているのは他の学生の例に漏れず、勉強をするのに最適な場所こと市立図書館。
「でも、暑い中ごめんね。佐祐理さん」
「いいんですよ。佐祐理も、祐一さんとずっと一緒にいたいですし。そんなこと気にしないでください〜」
それを聞いて祐一は、見た目も実際もとっても感激する。
「ありがとうありがとう……。俺、とっても大感激……」
「あは。感激されちゃいました」
こんな可愛らしい彼女がずっと一緒にいてくれる。そして、家庭教師のように勉強まで一緒に見てくれる。受験期という暗くて辛くて疲れる時期なのに、これ以上の幸せを求めたら罰が当たるというものだ。と、祐一は強く思った。思ったのだが……。
「でもさ。佐祐理さん」
「はい?」
常々疑問にしていたことを口にする。
「佐祐理さん、サークルとか入らないの? 佐祐理さんなら引っ張りだこでしょ?」
佐祐理は大学生なわけで、サークルの一つや二つに所属していてもおかしくないものだし。それに何より、倉田佐祐理という容姿も内面も共に魅力的な人なら、すぐにでも、どこからでも声がかかるだろう。
「入らないですよ」
「それはまた、どうして?」
「祐一さんや舞と一緒にいる時間が減っちゃうからです」
互いに立場が違うのだから、仕方ないことだけど。
「そっか」
「はい♪」
一緒にいるだけでほのぼのした優しい気持ちになってしまうような可愛い人だ、と祐一は改めて思った。……と、そんなとき。
「祐一さん?」
「……」
小学生とおぼしき子供達がサンダルをパタパタと鳴らし、きゃいきゃい騒がしくはしゃぎながら商店街を通っていく。……手には水着入れを持って。
「プールか……。ちくしょー。いいなぁ。入りたい……」
「いいですね〜」
だけど、現実にはそんな暇は無くて。……図書館の入り口が見えて。ひんやりとしたクーラーは嬉しいけれど、長ったらしい勉強に嫌気が差して、グッタリと肩を落とす祐一。
「あ〜……も〜……。う〜……」
今の祐一は誰がどう見ても完璧に『やる気なっしんぐ』な状態だった。
(う〜ん……。あ、そうだ♪)
そんな祐一を見て、佐祐理は何かいい考えが浮かんだのか。
「祐一さん。思い切って明日、遊びに行きませんか?」
「……え?」
にっこりと天使のように微笑みながら手を合わせ、祐一のことを想って気晴らしの提案をする。
「佐祐理、腕によりをかけてお弁当作りますから。たまには気晴らしに遊びに行きましょう〜」
「いーけど。どこに?」
「山の方に、です。涼しくて気持ちいいですよ〜」
「山の方、ねぇ」
地理感覚にあまり詳しくない祐一は、イメージがわかないようで。対照的に、ここら辺の地理に詳しい佐祐理は、色々と知っているようだ。
「はい。ものみの丘、というところを越えてどんどん奥に行くんです。森林浴しましょう」
「はぁ、そーなんですか」
具体名をだされても、よく分かってない祐一。
「川遊びもしましょう。とっても綺麗な清流があるんですよ〜」
「ああ、なるほどね」
佐祐理と一緒ならとても楽しいだろう。そう思ったから二つ返事で了解したのだった。
「それはそうと。舞はどうしているのかな?」
少し遠くの専門学校に進学した親友……川澄舞。一緒に住んでいるのに、なかなか話をする暇もなくて。
「昨日の夜お話しましたけど、忙しいって云っていました。疲れてるみたいで、すぐ寝ちゃって……」
「そっか」
佐祐理はちょっと寂しそうにうつむく。
「残念ですけど。……舞の分も、楽しんできましょうよ」
「そうだな」




















そして、次の日。










祐一は、午前中いっぱい図書館で勉強










『久しぶりに一人だぜ』とは、世の受験生を敵に回す一言だけど。










そんなわけなので、商店街で待ち合わせて……




















長いスカートを揺らしながら、裾を気にする余裕もなく急いで走ってくる佐祐理。
「はっ……はっ……。ご、ごめんなさい〜。待ちました?」
「うん。ちょっとね」
心底、申し訳なさそうな表情の佐祐理。
「ごめんなさい……。お弁当作っていて……手間取っちゃって」
「とっても暑かったよ〜」
「ごめんなさい〜〜〜!」
「さてさて、何をしてもらおうかな〜」
ふっふっふ、と意地悪に笑う祐一。
「はわわ。ゆ、祐一さん〜。許してください〜」
「なんてね。嘘嘘。冗談だよ、冗〜談。俺も来たばかりだしね」
あたふたする佐祐理を見て、ついつい意地悪をしてしまって。
「そうだったんですか〜。もう、祐一さんったら意地悪さんです〜」
心底ホッとする。
「はは。行こっか」
「はい♪」




















そうして軽く腕を組み










たわい無いことを話ながら、歩いていく。










ありふれているけれど、とても大切な瞬間……。










本当に『楽しい』瞬間とは、こういうとき……。




















セミの音と小鳥の鳴き声がにぎやかに響いている。緑の木々がカーテンのように吹いて、程良く日光を遮っていて、心地よい。
「ふ〜。気持ちいいですね〜」
石に腰掛け、清流に足をつけてくつろぐ佐祐理。
「ふわぁ……」
ググッと肩を回し、大きなあくびをしてリラックスしきっている祐一。
「祐一さん。今日はもう、のんびりしましょう」
「んー……。うん」
さらさらと、清流の音を聞いていると、段々眠くなって……。
「眠い……って、どわぁっ!」
「はぇ〜。祐一さん〜」
一瞬気を抜いて、腰掛けていた石からツルッと滑り落ちて……。
「ぬぉぉっ! つ、冷たいいっ!」
ちょっと深めの所に、どぼんと落ちてしまった。
「あはは。祐一さん、大丈夫ですか〜?」
「うう……。おかげで完全に目が覚めたよ」
ちょっと苦笑しながらよかったですね、なんて呟いて、祐一が落ちたあたりに近づこうと、スカートの裾を手で持ち上げて。
「ああ、佐祐理さん。そこら辺苔で石が滑るから気を……」
「きゃっ!」
「……つけてね」
云ってる側から、つるっと滑って。
「はぇぇ〜〜〜! わ、わ、わ〜……!」
ばっしゃーんと、水の中に倒れ込んでしまった。
「あ、あはは〜。転んじゃいました」
「あのね。……云ってる側から、なにやってんの?」
当たり前だけど、下着はおろか、服もびしょびしょになってしまった。
「服、スケてますよ……」
「ふぇ〜。そうですね〜」
身体を起こして少し赤くなって笑って、でも隠したりはしない。一緒にいるのが祐一だけだから。
「……どーすんの?」
着替えなんて持ってきていないわけで。
「そうですね〜。じゃあ……」
次の一言は、さすがに祐一をびっくりさせた。
「服。ぬいじゃいましょう」
「……さ、佐祐理さん。さすがにそれはまずいんじゃ」
いうまでもなく動転する。
「大丈夫です。他に見ている人もいませんし、平気ですよ〜」
本人より、見ている方が心配してしまって。
「いや、そうかもしれないけど。でも……」
「誰も来ませんから」
佐祐理の云うとおり、誰かが来るような所じゃないし……見つかる恐れなんて全くと云っていいほどないだろうけれど。さすがに祐一には大胆に感じられて。
(さ、佐祐理さん……。ちょっと、大胆な人だな……)
「祐一さん……。その、少し……後ろ向いていてもらえませんか?」
脱ぐのであれば後ろを向いたところで同じなのだけど、服を脱ぐ所をみられるのは裸を見られるより恥ずかしいようで。
「……ああ、うん」
そして祐一が後ろを向いたのを確認して。佐祐理はリボンをシュルッとほどいて、濡れてぴったりと張り付いてしまったワンピースを脱いで……。
(な、なんか、すっごくいけないことをしているような気がするんだけど……)
ブラジャーのホックを外し、パンティーをずるっと下ろして……。
「はい、こっち向いてもいいですよ」
「うん。……ぶはっ!」
「服が乾くまで木陰で休んでましょ〜」
脱ぎ去った服や下着は、枝に吊されていて……。祐一の視線の先には、一糸まとわぬ姿の女の子が一人。
「こ、ここに来てラッキーだったな。こういう姿の佐祐理さんを見られたんだから」
軽口を叩いて誤魔化さないと、恥ずかしさで間が持ちそうに無いようだ。不自然に目を逸らしていて、頬が赤く染まっているのだから。
「あはは。祐一さんったら、えっちですね〜」
「で、でも。やっぱり……裸は……その」
大胆な佐祐理を見て、さすがにとまどい、視線を逸らす祐一。
「佐祐理の身体、嫌いですか?」
祐一の反応を見て、佐祐理はちょっと表情を改めて。
「そんなことな……あ……」
振り返った祐一に、ギュッと抱きつく。
「さ、佐祐理さん」
「祐一さん。我慢しちゃ、だめですよ〜」
間延びした声が何故か、逆らえない雰囲気を醸し出して。
「え? え? え?」
「疲れたら、佐祐理に……甘えてください」
「で、でも……」
「祐一さんが……したければ、いつでも佐祐理は。佐祐理はどんなことでも……して、差し上げますから」
「お、俺は。俺はそういうことをしたくて佐祐理さんと付き合っているわけじゃ……ない」
「はい。わかってます」
祐一の感情を見透かしたように、にっこりと笑顔で答える。
「祐一さんは、とっても奥ゆかしい人ですから」
「そんなことは……。でも、どうしてそんなこと云うんですか?」
「今の祐一さん、我慢してますから」
受験勉強に明け暮れていて、疲れている……佐祐理にはそう見えて。
「……」
「もっと佐祐理のこと……頼って欲しいから」
「佐祐理さん」
「今は……何も考えずに、佐祐理の体で気持ちよくなって……ください」
「……」
「佐祐理の体で、祐一さんの気持ちが癒されるなら……佐祐理。何でも……しますから」
この人の支えになりたい。佐祐理の素直な気持ちに、祐一は。
「……ありがと」
優しい気持ちに、身を任せ……。




















視線が重なって










顔と顔が近づいて










やがて、触れ合う唇……。




















キスを交わして、少し年上の余裕を見せる佐祐理。
「佐祐理に任せて、ね。祐一君♪」
「さ、佐祐理さん!?」
ずっといつものように『さん』付けだったのに、いきなり『君』付けで云われて素っ頓狂な声をあげてしまう。
「だめです〜。佐祐理のこと、『さん』付けしちゃ。さ・ゆ・り、ですよ」
「あ……ああ。さゆ……りさん! って、何か恥ずかしくていえないっ!」
「祐一君。だめですよ〜。できるまで頑張らないと」
「佐祐理さん。もしかして、遊んでる?」
「あはは。そんなこと」
受験勉強に付き合っている時のように、あるいは年少の教え子を見守る家庭教師のように、余裕をもって。
「そんなこと?」
「あります〜……なんて。冗談ですよ〜。あはは〜」
悪戯っぽくぺろっと舌を出して、あっさりと言い切る。
「や、やったなぁっ!」
佐祐理に飛び掛る祐一
「あはは〜♪ ごめなさ〜い♪」
パシャパシャと、水の中ではしゃぐ二人。でも、じゃれあううちに……。
「きゃっ!」
「おわっ!」
転んだはずみで、祐一が佐祐理を水の中に押し倒すような形になって……。
「……」
「……」
包み込むように、少し強めに抱きしめて。
「祐一さん。佐祐理の身体……気持ちいいですか?」
「ああ。暖かくて、柔らかくて、気持ちいいよ」
祐一の神経を包み込むように、優しい感触。
「ありがとう。……嬉しい」
「俺も、佐祐理さんに優しくされて……嬉しい」
ぎゅっと、少し強いくらいに抱きしめ合って、互いの体温を感じていた。
「祐一さん」
「佐祐理さん」




















くすっと笑って、佐祐理は云った










「して……ください」










三度目のキスは、同意の証……




















「え?」
少しびっくりしたような返事。
「胸で、ですか?」
頷く祐一に、佐祐理はちょっと戸惑ったものの、すぐにわかりましたと云って、水の中で仰向けに寝そべって。
「こ、これで……いいんですか?」
ふっくらとした豊満な胸に、祐一のモノをサンドイッチのように挟み込んで……両手で胸を掴んで、擦り合わせ始めた。
「うぁ……。それ、気持ちいい……」
ずり、ずり……ぴちゃ、ぴちゃ……。そんな音が響いて。
「佐祐理の胸と口で……気持ちよくなって、ください」
でも、それだけじゃなかった。佐祐理は、可憐な口を祐一のモノに近づけて。
「ん……」
「さ、佐祐理……さん」
つぷ……。やさしく、大切そうにくわえ込み…。
「ん……んぐ……ん……ん……」
胸を動かしながら、舌で亀頭部分をぺろぺろと愛撫して。
「あ……くぅぅ……」
勃起した乳首が祐一の肌と擦れ合って、柔らかそうに形を変える。
「は……ぅん。ん……ん……」
一生懸命に、優しい愛撫……。
「佐祐理さん……。あの」
「んく……。なんですか?」
祐一は、少し云いづらそうに。
「胸。触っても、いい?」
「あは。もちろん、ですよ。佐祐理のこと、好きにして……いいんですよ?」
遠慮は無用と、佐祐理は云った。
「ありがとう」
そして祐一は、少し緊張しながら佐祐理の胸を掴み……。
「きゃうっ……!」
少しだけ強く揉まれて、ゴムボールのようにぐにゃりと形を変える胸。その刺激で甘い声を上げてしまう。
「あ、ごめん。……痛かった?」
ついつい心配してしまう。
「大丈夫ですよ。ちょっとだけ、びっくりしちゃっただけ……です」
優しい表情で。
「もっと強く触っても、いいんですよ?」
「佐祐理さん……」
祐一は、柔らかい乳房に身を任せるように……快感をむさぼった。
「あ……ん」




















『想いの形』










それは、一つじゃなくて。




















「佐祐理のここ……見て、ください」
石の上に座って、大きく股を開いて……自分の秘部を、指で開いて……さらけ出す。もちろん、羞恥に顔を真っ赤に染めて。
「佐祐理さん……。気持ち、いいの?」
「はい」
だってそれは。
「祐一さんと……ですから。んっ」
祐一が佐祐理の秘部に指を入れ、引き抜くと……。
「あ……ん」
「もう、こんなに濡れてる……」
「云わないで……ください。恥ずかしい……」
とろりとした液体が糸を引き……。
「ひぁっ! ゆ、祐一さ……んっ!」
ちゅぷ、と熟した果実のような佐祐理の秘部にしゃぶりつき。
「ゆ……いちさん……! あ……あ……」
「佐祐理さんのここ、おいしい……」
冷たい水に浸かりながら熱い吐息を吐く二人。




















形にできない気持ちを










無理矢理でもいいから、形にしたくて




















「あっあっ! あぁっ! ゆ、祐一さ……ンッ!」
白くて、細い腕を多少強引なくらいに強く掴んで引き寄せて。
「……」
「ひはっ! あっ! あっ! あっ! あぅっ!」
バックから奥まで突かれるたびに、ぷるぷると揺れる二つのふくらみ。佐祐理の華奢な身体が壊れてしまいそうな感じがして、祐一は怖くなって。
「佐祐理さん。……痛く、ない?」
「だい……じょうぶです」
荒い息を付きながらも、笑顔をみせて。
「祐一さんの好きなように……して、ください。佐祐理、何でもします……から。何でも……大丈夫だから」
「佐祐理さん……」
「佐祐理の身体で、気持ちよくなってほしいから。もっと、佐祐理のことを頼って欲しいから」
佐祐理にとって祐一は、自分の気持ちを受け止めてくれて……自分の痛みを理解してくれた人だから。
「今は佐祐理のことなんて、考えないで……。遠慮しないで、ください……」
「でも……」
「祐一……さん」
祐一の役に立ちたい。ただ、それだけの思いを込めて。
「わかった。じゃあ、思いっきり……俺の好きなようにいくよ?」
すがるような目でお願いされて、祐一は決心した。
「はい!」
そして……。ぱちゃぱちゃ、ぱちゅぱちゅと、水を跳ね上げながら動きを早め。
「ゆ、祐一さ……あぁ〜〜〜! あっあっあっあっ! ひあぁっ!」
激しい攻めに絶叫する佐祐理。




















やがて二人は










互いを求め尽くして……。




















「あっあっ! あぁっ! あっ! ゆういちさ……あああっ!」
「佐祐理さん、俺……もう……」
冷たい水の中で……抱きしめ合いながら行為を続け。やがて……。
「出して……ください! ゆういちさんっ! ゆういちさっ……ああっ! あああああっ!」
「くぅっ!」
限界が来るのは、そんなに早くなかった……。
「ゆういちさ……んっ!」
何かがはじけるような……一瞬、頭の中が真っ白な感じになって……。




















熱い想いをぶちまけて










絶頂を迎えた……。










……




















「ふ〜」
小さな滝のようなところをみつけて、裸のまま透き通った水の中でのんびりと寝そべるようにして、流れに身を任せる。
「気持ちいいです〜」
「何か佐祐理さん。妖精みたい」
「ふぇ?」
あまりよくわかっていないみたいだけれど、儚げで、自然にとけ込んでいる彼女をみて、祐一は微笑む。
「佐祐理さん。今日は、ありがと。来て良かったよ」
「あはは〜。どういたしまして、なんて。お礼を言われるようなことじゃないですよ〜」
思う存分リラックスして、癒されて。
「ふぁ……」
涼しくて、気持ちよくて……つい、うとうととしてしまって。
「あ、飲み物冷えてるかな?」
水の中で冷やしておいた缶ジュースを取って、戻ってくると。
「祐一さん。ジュース、冷えてますよ〜。……祐一さん?」
「……」
返事はない。祐一は既に、心地よい眠りに落ちていて。
「ふぇ〜。眠っちゃったんですね〜」
それを見て佐祐理はくすっと笑って。身体をハンカチで拭いて、乾いた下着と服を着て、リボンを付けなおしてから。
「ゆっくり眠ってください。祐一さん」
横になった祐一の頭を、そっと、枕代わりの膝に乗せてあげて……。




















夏の、ゆったりとした一日が過ぎていく










水の流れる音に、鳥の鳴き声










ただそれだけが響いて。




















「おやすみなさい。祐一……君」
「……」
まだ、日は高いまま。
「ふぁ……」
冷えていた身体に、緩やかな風と日差しが心地よくて。
「佐祐理も、眠たくなってきちゃいました」
佐祐理の瞼も、少しずつ下りてきて。やがて……。
(……)
膝枕をしたまま、眠ってしまった。




















木々の隙間からこぼれる日差しは、まるで










ゆっくりと、ゆっくりと










時が流れ落ちていくようだった。









































おしまい









































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(後書き)

前略。中略。というわけで、いかがおすごしでしょーか皆さん。
『イマジネーションの赴くままに書いた作品!』それがこのお話です。
とか何とか云えば何となく恰好いいのだけれども、結局の所『毎日無駄にあちぃなー。涼しい話書きたいなー。涼しいと云えば清流だなー。清流でも野郎一人じゃなんかさびしいなー。かわええおにゃのこと二人がええよなー。涼しくて、でもほのぼの甘々でほんのり爽やか風味がいいなー。さて、お相手は誰にしよ?』
などと個人的な妄想全開で構想を押し立ててきたのですけどネ。っていうか、創作なんて妄想でこさえるもんでしょうしっ!
……無意味に熱くなりました。それはともかく。
漫画雑誌にあるよーな、読み切り短編もので、短いのだけど印象にのこるよーなお話で、涼し〜いひんやりとした気分になれるものをかこーということにしたわけでして。
で、上述の『お相手は誰にしよ?』というところでキャラを考えたところ。何故かさゆりんがぴったりとイメージに合致したのでした。なんでだろ? 答えはなんとなく。
話を書くときは、書く前に何かしらのイメージの参考にするもの(例えば絵とか音楽とか)を探したりするのですが。
今回それは某所で見た絵が参考ブツでして。ロングヘアのおにゃのこ(版権かオリジナルかは不明)がたのしそーに清流の中に入ってロングのスカートの裾を手で持ち上げてる、とゆー。
そのイメージが合致したのはコスチューム的に、さゆりん、名雪……というところだったのだけど。名雪はここしばらく幾つかお話を書いてますし、他のキャラでいこーかなーと思って、結果的にさゆりんになったのでした。
このお話を読んで、やたら暑い盛りにひんやりと涼し〜気持ちになれたら、作者的には狙い通りというか成功! と思ってます!
読んでくださいました方。いかがでしたでしょ〜か?



このよーにして、いきなり書きたいな〜と思ったことを何の前触れも無く書いていこうと思ってますので。
今後ともどーぞよろしくお願い致します。



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