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-八塚万智編- まっちー先生こと八塚万智はこのところ妙に体が重く、気怠さを感じる時がある。そして更に悪い時は気分がどうしようもなく落ち込み、憂鬱ですらある。特に万智は職業柄、若く健やかな女生徒達と共に過ごす時間がとても長いからか、何かにつけて自分自身と比較してしまって尚更そう思うのかもしれない。 万智は自他共に認めるくらい気が弱く落ち着きが無く、尚かつオロオロしていることが多く、事がある度に『ごめんなさい』と謝罪を繰り返してしまうという、非常に頼りない女教師だった。そのためか、女生徒達に完全に舐められてしまっていて、よく校舎裏で一人愚痴っているのだった。最も、そんな惨めな万智を新吾や隼太といった優しい男子生徒達が時々勇気づけたりしてくれるのだが。 「はあ。若い子って……」 放課後。日も落ちかけて夕暮れ色に染まる教室。何をする訳でもなく佇んでいると何だか段々空しくなってくる。せめてもの気分転換ということで、ちょっと場所を変えてみたが、憂鬱が解消されるわけではない。 「どうせ私なんて、オバサンですよ……」 自分は一体何をしているんだろう? と、自分の存在そのものに対する疑問までもが込み上げては止まらない。そんな時もあるよと言い聞かせるも、なかなか精神的に安定したりはしない。このところ、大分ストレスが溜まっていると自覚しているが、どうしようもない。 「もう……」 そうして取ったのは、あくまでも無意識の行動だった。万智は手近な所にあった木製の学習机を見つけ、丸みを帯びた角に股間を押し当て、もぞもぞとうごめいてみた。ぐりぐりと恥部に触れる感覚が欲しい。もし、意中の人がいるならば、愛情のこもった思いを形にして、挿入してくれるに違いない。そう思うが、現実は虚しい。 「はっ!?」 私は何を? と、一瞬遅れて気付く。 「な、なっ!?」 けれど、その感触は忘れられず、どうしても手を止めることができない。 「だ、だめよ! こんなの!」 口ではそう言うけれど、気持ち良くてたまらない。 「ん、ん」 出入り口には背を向けているし、誰が残っているわけでもない時間だから、きっと大丈夫。自分自身に対し、心の中で根拠のない言い訳を繰り返す。 「あ……あ……」 ああ、ここが気持ちいいのよと、やがてそんな適切なポイントを見つける。 「ん、あっ」 感じ過ぎて染み出さない程度の快感がいいと思い、適度に加減した強さでこすり続ける。ゆっくり、じっくりと念入りに。そうこうしているうちに少しずつ力が込められていき、右足を浮かせて、机の角をスーツのスカートの中へと侵入させ始めた。万智はやがてそれだけでは物足りなくなり、大胆にもスーツの胸元をはだけさせ、白いブラを片方たくしあげて、露になったバストをむんずと掴んで揉みしだく。程よい大きさの、スレンダーと表現しても差し支えのないバストを。 「はぁ、ん。気持ちいい……。だ、だめよ。こんな……でも。ん……」 逡巡と好奇心が交ざり合いつつも、この背徳的な行為を続ける。きっと、満足するまで延々と続けることになるのだろう。……と、そんな時のことだった。 「……万智先生?」 彼女はこんな所で一体何をしているんだろう。純粋にそう思った男子生徒が現れた。 「え?」 足音や気配すら気付かないくらいに夢中になっていた万智は硬直したように動きを止めて、振り返る。そこには……。 「し、新吾くん?」 彼は万智自身が受け持っているクラス……各務台学園と結姫女子学園の統合に伴い発足した、所謂テストクラスに所属している男子だった。万智にとっては特によく見知った男子の一人でもある。そんな彼は当然の如く、戸惑ったような表情をしながら佇んでいた。 「え、ええ。瓜生ですが……」 「きゃっ! ど、ど、どどど、どうしてここにっ!?」 万智は混乱かつ動転し、はだけた胸元を戻すこともできずに細い腕を交差させて隠すだけ。もう下校時間も直前だから大丈夫だろうと、そんな油断が招いた結果がこの有様だった。 「あ……。え、えっとその。帰る途中に忘れ物してたことに気付いて。それで……」 「そ、そうだったの」 性格的にかなり場の空気を読める新吾だけど、この場においては流石に問わずにはいられなかった。そうしないと逆に、説明不能な違和感と言うべきか、気まずさが渦巻いていくような気がするから。 「はい。えっと。それで……。先生は……」 夕暮れの色がもっと濃くて何も見えなければ良かったのにと、二人揃って思う。 「……」 (あ。しまった) それは決して聞いてはいけなかった一言だった。しかし、聞かなければそれはそれで余りにも不自然な状況でもあるしとも思う。……迷った結果の選択はあまり良いものではなかった。新吾に、ある意味尋問されたような形になった万智は観念したように溜息をつき、高く上げて机の上に膝を付いていた片足を降ろし、力無く床に膝をついてうつむいた。 「ふ、ふふ……。ふふふ……。そうよ。多分、新吾くんが想像している通りの事よ。そんな事をしていたのよ、私は。……おしまいね。おしまいだわ。もう」 「あ、あの。万智先生」 どんなことをしていたのか、流石の新吾も理解できてしまう。いかがわしいビデオでの映像やインターネット上での画像くらいでしか見たことがないけれども、新吾も普通の健全な男子生徒なのだから、分からないはずがない。 「はぁ……。幻滅したわよね。こんなふしだらでいい加減で変態な女が担任だなんて、呆れ果てるわよね。自分でもそう思うわ。もう、どんな言い訳もできないわよね」 「え、えっと……」 どうすればいいのか……。こんな時、どんな声をかけるべきなのか。あるいは、どんなフォローを入れるべきなのか。新吾は判断がつかず、考えあぐねる。マニュアルやハウツー本でもあったらとっさに調べてみたくなるような緊急事態が到来したのだと思う。 「ま、万智先生……。俺、その。誰かに言ったりなんて絶対しません!」 秘密保持はとても重要な事。口が軽い人間は誰からも信用されないのは当然の事だから、新吾はその点を主張して安心させようと試みた。しかし、万智は疲れたように溜息をつきながら言った。 「新吾くん……。優しいのね。でも、新吾くん自身は私のことを見損なったでしょう? 教え子にそんな思いをさせてしまった時点で私はもう、人として失格よ。……教師なんて続けていられないわ」 新吾は焦った。圧倒的にフォローが足りない。彼女は決して悪いことをしたわけではないし、このようなことで未来が失われるのはあまりにも悲しいことだと思う。絶対に、どうにかしなければならない。 「そ、そんなことありません! 俺、万智先生の事が好きです! 生徒思いの素敵な先生だってわかってます! 俺だけじゃなくてみんなもそうだと思います。だから、そんなこと言わないでください。その……。事情はわかりませんけど、誰だってそういうことをしたいって思うような時もあると思います。きっと、深い事情があるんだと思います。ですから……」 「……したくなっちゃったのよ。気がついたらいつのまにか、してたの。近頃色んな事が本当に上手くいかなくて、我慢できなくなって、それで……。教室でこんな行為にふけるなんて。誰か来るかもしれないって分かっていて。止められなかったのよ。それで案の定、新吾くんに見つかってしまうなんて……。間抜け過ぎるし……もう、だめだわ。おしまいだわ。変態よ。変態なのよ私は〜! 新吾くんに蔑んだ目で見つめられて、変態って罵られるべきなのよ〜!」 ああ、だめだ。何を言っても聞いてくれそうにない。どうしよう。勇気づけるつもりが逆に、超が付くほどネガティブな思考モードになってしまった。八塚万智という先生は一度こうなってしまった以上、元に戻るのはなかなかに困難だということがこれまでの経験でわかる。新吾は慌てふためいた結果、一つの思い切った行為に出ていた。発作的だけども、純粋に先生を助けたいと思ったがゆえの決死のひらめき。 「万智先生っ!」 「新吾く、んっ!?」 新吾は俯いている万智に近づき、涙に濡れた頬を両手で掴んでちょっと強引に引き寄せて、キスをしていた。 「た、例えば俺も、先生とこういうことをしてしまえばその……同罪みたいなものになるんですよね? きっと」 「新吾くん!? な、な、ななな、何をっ!?」 「なるんですよね?」 冷や汗交じりの笑顔で念を押す。事は簡単だ。この際悪役になったって構わないと、そう思ったがゆえの決断。 「あ! ま、待って。あっ」 それにしても、実に思い切った行動だと新吾は思う。もしかすると、一人の女性を本気で傷つけてしまうかもしれないけれど、今のままだってそれはそれで十分まずい状況だから、一か八かの賭けに出たのだった。 「……はは。これでもう、気になんてなりませんよね? 万智先生は用事があって教室にいて、クラスの男子生徒からいきなりとんでもないことをされたって言えば、誰もが信じますよ。いきなり抱きつかれてキスされて、わいせつな行為をされたって言えば」 新吾に嫌悪されることを恐れた万智に、逆転の発想で対抗。どう思われてもいいという、捨て身の行為。 「し、新吾くん。でも、新吾くんは……。私の事を心配してしてくれて、それで……ここまでしてくれたのよ。それなのに私は」 新吾の作戦は失敗に終わる。またも万智はより深いネガティブモードに入ってしまう。しかしまだだ。まだ終わってはいない。新吾は諦めずに次の一手に出る。キスでだめなら、もっと過激な手法ならばきっと上手くいくはずだ……。 「じ、じゃあ、これならどうですか」 「え……。あっ!?」 次の一手。それは、万智の、はだけた胸を隠すために胸元で交差している左右の腕の中へと突っ込むように手を伸ばし、丸い膨らみをむんずと直接掴んで揉み回すことだった。 「ああっ! あ、あっ! ああんっ! だ、めぇ! だ、だめよ! 新吾くん!」 「ですよね? だめですよね? ほら、これで俺は万智先生と同罪どころか、それ以上です。先生にいきなり襲いかかって、あろうことかおっぱいを揉んでいる最低の変態男です。思いっきりわいせつ行為ですよね? だから……先生はもうその、一人でしていたことなんて、何も気にすることなんて……」 万智の鼓動が一気に高まっているのが、肌を伝って新吾にもわかる。万智は自らの胸を包むように被せられた新吾の手に軽く触れ、自嘲気味に微笑む。 「ううん、違う。違うわ! これは絶対にわいせつ行為なんかじゃない。新吾くんは全て私の為を思ってしてくれてる。そもそも新吾くんはそんな人じゃない。すごく優しくて、あえて私に嫌われようとして……ここまでしてくれてる……。それなのに私は何をやっているのよ一体……。それにそれに、教え子に罪を着せるなんて……できないわ。……ううん、違う。罪なんて、ないのよ。全ては私が悪いのよ……! そもそも元を正せば、私が一人でこんな、馬鹿なことをしてるからいけないのよ。こんなことを、新吾くんにさせてしまった私が……。ううぅ。新吾くん、ごめんなさい〜〜〜!」 万智は頭を振りながら泣いている。シリアスなシチュエーションのはずなのに、何故か喜劇のように感じてくるのは何故だろうと新吾は一瞬思ったが、すぐに気を取り直す。だめだ。またも万智先生の思考がマイナスに傾いていく。ああもう、どうすればいいんだと新吾は心の中で頭を抱えつつ叫んだ。後で思うとこの瞬間、新吾は完全にやけっぱちになったのかもしれない。次なる作戦を実行に移す為、新吾は万智の胸から手を離した。 「せ、先生が教室でオナニーして何が悪いんですか! 先生だって普通の人間です! 疲れたりストレス感じることだってもちろんありますし、思わずオナニーしたくなることだってあるんじゃないですかっ!? それにですね、オナニーなら、お、俺だっていくらでもしてますよ!」 「そっ……」 そうなの? と、万智は思った。想像やフィクションの中でしか、そんな光景は知らない。男の子はそうなんだと、しみじみ思う。 「そうですよ! ほら! 嘘じゃないから見てください! 万智先生のおっぱいを触っててこんなに大きくなったこれ……。いつも、手でしごくんです」 ジッ、と短い音。ズボンのチャックを開けた証拠。 「あ、あああっ」 男の象徴たるものを間近で見せつけられ、万智は目を離すことができなかった。 「す、すごい。こんなに」 気を引くことができた。このままたたみ掛けるべきと新吾は判断する。 「それじゃあ! 先生のお口でしてもらいますからっ! 入れますよっ!」 これでもまだだめかとばかりに、新吾は予告なしの行為に打って出た。万智の頬を掴んで引き寄せ、呆然として軽く開いたままの口内へと入れていく。亀頭の先端に触れた万智の唇の感触がとても柔らかく、優しく感じるのも一瞬だった。 「え……? んぅっ!」 突然そんなものをねじ込まれ、万智は目を見開いて驚く。 「口を目一杯あけて、しっかりくわえ込んで。歯、当てないでくださいね」 「ん、んぅぅっ! んううううっ!?」 新吾の言葉に素直に頷く。誰もいない教室で、教え子のものを口でくわえ込んで愛撫という、確かにオナニーなんかとは比較にならない程いけない行為だ。ぐぼ、じゅぽ、と湿った音が現実であることを感じさせる。 「先生、上手です。ゆっくりでいいですから、動いてください」 「ん、ん、んぅ……! んふぅっ!」 「ほら。俺は欲望に負けて、優しい担任の先生の口にとんでもないものを無理やりねじ込んでる最低の男なんです。軽蔑したでしょう? 変態だと思うでしょう? だからもう、一人でしていたことなんて、気にしないでください」 「んっ! んっ! んっ!……んぐっ! ふぐぅっ!」 事実は新吾の言とは異なり、決して無理やりにしているわけではなかった。その証拠に拘束などしているわけではなくて、万智の口内から新吾のものが引き抜かれる。 「んんぅ。けほっ。んっ。ううん。軽蔑なんて、しないわ。……新吾くん。……ありがとう」 万智は口元を手で拭いながら、感激の涙をぽろりとこぼす。形としては無理矢理なものだったけれど、優しい行為だと万智は思った。 「新吾くんの言う通り、もう……気にしないわ。自分がしていたことなんて。教室で、オナニーしていたことなんて」 よかった、と新吾は思う。やっとのことで納得してもらえた。あまりにも強引な手法だったけれども、結果的には成功した模様。これでめでたしめでたしといければいいのだが、そうはならなかった。 「でも……。お願いがあるの。こんなオバサンが相手で、新吾くんは心底嫌かもしれないけれど、聞くだけでも……聞いてもらえないかしら?」 もしも自分が新吾と同じくらいの年齢で、教師と教え子という特殊な立場でなく、女子生徒と男子生徒という対等の立場で出会えていたらと、万智は本気でそう思っていた。運命はどうすることもできないけれど、それはもう仕方がない事だと万智は割り切る。新吾とは年齢の差や立場の違いはあるけれども、今は同年代の男女と同じ気持ちになって、素直にお願いをしてみる。 「続きを、して」
――万智のお願いから十数分程度が経過してからの事。学校近くの森の中にて、新吾のものを口内奥深くまで頬張る万智がいた。 「んっ……。あむっ」 万智の前置きはとても長かったけれども、自信に満ちてはいないものだった。 彼女曰く、新吾の回りには愛理や桜乃やみうといった、同年代の若くて元気で魅力的な娘ばかりがいるということ。そして、新吾自身の人格的魅力によって誰からも好かれているのは間違いないということ。それに引き替え自分はと言えば……歳も離れていて担任と教え子というそれはもう世間一般的にはとんでもなくけしからんと思われるような関係で、それに加えて更にとてつもなく恥ずかしいところを目撃されてしまって、揚げ句の果てにショックで徹底的に落ち込んでしまった。新吾はそんな情けなさ過ぎる自分を過剰な程フォローしてくれた。その優しさに、万智はこれまでにないほど強く心を打たれてしまったのだった。 最も、万智にとって新吾は以前から優しくしてもらってきて、好感度は水準を遥かに超えるくらい高かったけれど、今回の一件でメーターが振り切れたような気がした。そのようにして万智はいつの間にか新吾の事を異性として本気で好きになってしまった。けれど、どさくさ紛れで続きをねだることに、罪悪感を感じてしまう。新吾の行為を、弱みを握ったような感じがして。 それに対して新吾は言った。 『俺も、先生としたいです』 と。好きになってしまったのは万智だけではなかった模様。新吾も新吾で同じような気持ちになってしまっていた。これならば結果オーライといったところだろうか。 それでも問題は残った。とても些細だけど、なかなかに重要な問題。それは今回の一件に至った要因。大分今更感が漂うけれども。 『先生。どこでします?』 『そ、そうね。どこがいいのかしら?』 『普通なら、ホテルとかになるんですけど』 『ほ、ホテル!? だ、だ、だめよそれは! ホテルだなんて! そんなのいけないわ!』 そんなところを誰かに見つかりでもしたら、自分だけでなく新吾の立場も大いに危うい。万智にとって決して賛同できる案ではなかった。 しかし、かといって流石にこのまま教室内で続けていくのは如何なものか、という結論に二人して達した。目撃した新吾のように、誰が見ているのかわからないし、そもそも学園には野良メイドのアンジェといったような神出鬼没な人物もいることだし。さて、どうするべきか? 考えあぐねたが、とりあえずは学園の外に出てみることにした。 『……行きましょうか』 『え、ええ。そうね』 体育倉庫とかトイレとか、色々と考えてみた。けれど結局、学校でのこれ以上の事はやめようということになった。結局のところ、場所が未だに未定。 『困りましたね』 『本当ねぇ……』 二人の気持ちはしぼむどころか結果的に焦らされることになって、ますますやりたくなってきてしまった。まったく、発情でもしてしまったかのようだと新吾は思った。 『俺。先生としたいって思っているだけで、すごいことになっちゃっているんですよ。実は』 照れ隠しであえてそんなことを言ってみる。決して嘘ではない。ズボンの膨らみは事実以外の何ものでもない。 『そ、そう。あ……。ほ、本当に……そうなのね』 『先生はどうですか? その……。やっぱり、やめますか?』 新吾の目には、どこか万智が迷っているように見えたからそう言ったのだけど、違うようだった。 『え!? ま、待って! わ、私も、その……す、すごいことになっているわ! だ、だから……やめるだなんて、言わないで』 泣き出しそうな表情になってしまう万智に、新吾は失敗したと思って謝るのだった。万智の恥ずかしい所が、どのようにすごい事になっているのか、絶対に見てみたいとも思うから。 『ごめんなさい。そうですよね。でも、場所が。……あ』 新吾はふと、向こうの方を眺め見る。そこには自然豊かと言えば聞こえはいいが、実際のところは鬱蒼とした森。木々の密度は高く暗く、少しでも内に入れば誰もいないであろうことが一目でわかる所。自然豊かな旧市街特有の雑木林。何処までも続くかのように広大な緑の地帯。 『先生。その……。先生がよければ、あの中とか』 決してロマンチックなロケーションではない、いわば苦し紛れの提案。流石に屋外はないだろうと、新吾自身は思ったのだが、彼女の反応は新吾の予想から外れていたものだった。 『いいわ。あそこにしましょ』 『わっ! ま、万智先生!』 両手で水色のスーツの胸の辺りを押さえ、決意したような表情で万智はそう言った。もう、待ちきれない。わくわくとどきどきが混在した胸の高鳴りを押さえ切れない。万智はそんな気持ちになって駆け足になり、新吾の手すら掴んで引っ張っていく。人の目に触れなければ、どこでも構わないと、そう思う。 ――こうして二人は木々に囲まれた、あたかも閉鎖空間かと思わせるような場所にて、教室でしていた事の続きをし始めた。 「ん、ん」 立ち尽くす新吾の股間に顔を埋めている万智。普段の臆病ぶり及びマイナス思考が嘘のように積極的な愛撫だった。 「先生。……上手ですね」 「んぷっ。は、初めてなのよ? これでも」 手慣れているとでも思われるのが嫌なのだろう。万智は新吾に『信じて』と言いたげな眼差しを向ける。 「ええ。わかってますよ。それだけ一生懸命してくれて、嬉しいです」 「でも、新吾くんは……その。気持ち、いいの?」 万智は、この愛撫が単なる自分の勇み足ではないかと思い、脅えたように問う。 「はい。本当に、万智先生のお口は柔らかくて暖かくて最高ですよ」 「よかった」 万智は自分のしていた行為が誤りではないと知り、心底ホッとしつつ、続きを始めた。少し慣れてきたので、唇で包み込むだけじゃなく、舌も使ってみる。 「んぅ、んぅ、ん……。んぅんんぅ」 「くうっ。……な、何だか本当に、アダルトビデオみたいです」 ずりゅ、ずるり、じゅる……と、擦れ合う生々しい水音が聞こえる度に、新吾は快感に背筋を震わせる。 「んぐっ。……あ、アダルトビデオって、こういうものなの?」 「そうですよ。……って、俺もそんなに見たりするわけじゃないけど。綺麗な女優さんが先生を演じて、えっちな事をいっぱいしてくれたりするものとか、ありますよ」 「そ、そうなんだ」 色気……綺麗……。果たして自分はどちらかに当てはまっているだろうか、と万智は自問自答する。正直なところ、どちらにも該当しない……地味でパッとしないタイプだろうと思い、結構凹む。 「お、女教師って……すごく当たり前と言うか、多分定番なジャンルだと思いますよ?」 「定番……なのね」 万智は、はあ、と感嘆のため息を漏らす。 「こんな風に……するのね」 「勿論、そうじゃないのもあるけど。……って、あ」 興味津々の万智に対し、明らかに余計な一言だったかもしれないと新吾は後悔。 「ほ、他にはどんなのがあるの?」 「え、えっと。……数人がかりで無理やりレイプしたり、とか。服を乱暴に剥ぎ取ったりとか。あとは……し、縛り上げたり……とか」 「そ……」 そういうのか、と想像がついた。考えれば考える程恥ずかしくなっていく。 「あ、いや。俺はそんな事しませんから。そういうのもあるっていうだけで」 「う、うん。わかっているわ。新吾くんは……優しいから」 ハードな内容をついつい脳内で想像して、万智は体が火照ったように熱くなっていくのを感じた。でも……新吾になら、多少手荒に扱われてもいいかもしれないと思った。 「あ……。ごめんなさい。続き、しないと。ん、ん、ん、んふぅ……ん」 どうも話が逸れてしまう。万智は再び新吾のものをくわえ込み、今度は一心不乱に顔を前後に動かし続けた。 「あ、あっ」 いつも見慣れた先生。教卓の前に立ち、女生徒達の視線に晒されて脅え、自信なさそうに話をしている口内奥深くに新吾のものがねじ込まれ、汚している。あまりにも背徳的な状況に、新吾はぞくぞくするものを感じた。 「ん、ん、んぅぅ」 「せ、先生……!」 唾液で濡れた唇で包み込み、舌を丹念に絡ませながら顔を前後に動かしてこすりつける。気持ちいい、と新吾はお世辞抜きに思った。 「す、すみません先生! 俺、もう出そうです! 早くてすみません!」 「んぅぅっ!?」 上目使いで不思議そうな表情の万智。新吾が達するタイミングなどわかるはずもなかった。万智のフェラはそれだけ上質で丁寧で、新吾をあっと言う間にいかせてしまった。新吾は堪え切れず、無意識のうちに万智の頭を両手で掴んで引き抜いていた。その瞬間に射精も始まる。ぶびゅ、と飛び出した音が聞こえた。 「あ……っ。き、きゃあっ! あっああっ!」 あまりにも突然な状況変化に万智は対応できるはずがなかった。猛烈な勢いと量の射精が万智の顔中にぶちまけられ、弧を描いて頭を飛び越えつつ万智の髪へとかかり、果てはスーツの胸元にまで飛び散った。 「あ、あ、あ……。んぶっ! けほっ! う、りゅ……く、ん……んんんんーーーっ!」 濃厚すぎる精液のシャワーをもろに浴び、万智はパニックに陥っていた。 「せ、先生ごめんなさい!」 「あ、あ、あっ!」 尚も射精は止まらないでいた。びしゃ、びちゃ、と叩きつけられる精液はやがて、スーツの中まで侵入していく。 「あっ! ひ……! あ、あ、あっ! す、すごい……! あ、あ! 熱いいぃっ!」 「せ、先生落ち着いて! 本当にごめんなさい! 歯止めがきかなくて……」 手で必死に抑えようと懸命な万智。あんまりな行為をしてしまい、新吾は焦った。しかし……。 「う、ううん。謝る事なんて、ないわ。新吾くん……。もっと頂戴」 万智は全身にぶちまけられた精液を手で拭いつつ立ち上がり、手近にあった太い木にしがみつくように両手を伸ばす。スーツなんていくらでも代わりはきくものだし、この際徹底的にめちゃくちゃにされたって構いはしないわと割り切る。 「新吾くん……。入れて。私。もう、完全におかしくなっちゃってるの……。男の人の……いっぱいかけられて、すごくて」 「せ、先生」 「見て、私のここ。新吾くんの事を……。新吾くんと、セックスすることを考えただけで、こんなに……なっちゃってたのよ」 万智はスーツのスカートをまくり上げ、ストッキングとショーツが覆っている股間を見せつける。しっとりと濡れたそれは大きな染みになっていた。 「あ、あんまり見ないで。……でも、えっと。い、入れてえぇ。新吾くん……。早く、新吾くんのを私の中にねじ込んでえぇ……」 猛烈に恥ずかしいことを言っていると気づくけれど、したくてたまらない。甘えるようにおねだりをしてみる。 「は、はい。それじゃ、その……。先生の中に、入れますね」 「うん。してえ」 新吾は万智のぴっちりとしたスカートを更にたくしあげ、ストッキングとショーツを同時に膝上辺りまで降ろす。そうして露になった割れ目に、限界まで太くなった先端をあてがい、押し込む。 「んくぅっ!」 ずん、と、ある程度一気にねじ込まれる感触。それまでの行為で充分にとろみを帯びた割れ目はさしたる抵抗もなく、新吾のものをずぶずぶと受け入れていった。 「んあああああっ! あ、あ、あ! いきなり深……くうっ! し、新吾くん……。すごい……」 「ちゃんと入ってますよね」 「うん。もっと奥まで入れてえ」 やがて奥まで入り込み、新吾は万智の腰を両手でしっかりと掴んで固定しながら、腰を前後に揺さぶり始めた。万智にはそれら一連の行動はとても手際が良く、慣れたものに感じる。 「あっ。ひっ。んっんっ! 新吾くん。……ほ、本当に……初めてなの?」 「本当ですよ。俺もよくわからないから、こんな感じでいいのかなって、そう思いながらしているんですから」 「そ、そうなの? すごく、上手だから」 「先生こそ。……初めてなのに、痛かったりしないんですね」 「え……。だ、だって。その……。いっぱい、濡らしてもらったから。……あっ」 「オナニーと、フェラと、妄想ですね?」 「んっ。そ、そうよ。あっ。……もう、ばれちゃっているから正直に言うけど」 「もう、これからはオナニーしたくなったら……俺としましょうよ」 「あ、りがとう。んあっ! そうして、欲しいわ。あ、あ……。すごい。男の人の……が、体の中に入ってる……。オナニーなんかと比べ物にならないくらい、すごい」 二人の重なった体がゆさゆさと交差する。肌を覆うはずのスカートは完全にまくれ上がり、丸い尻の割れ目の中へと新吾のものが出入りを繰り返しているのが見える。 「こうすると本当に、ぱんぱんって音がするんですね」 「あああっ! 恥ずかし……っ! んっ! あっ! ひっ! すご、いいぃっ!」 新吾が突き込む度に万智の柔らかい尻がたゆみ、音をたてている。 「万智先生。気持ちいいです。先生の中、最高にきつくて、ぬめぬめしてて暖かくて」 「あっあっあっあっ! そ、そう。先生も……うれしっ。んああっ! 気持ちいいわあっ!」 「もっと強く突いてもいいですか?」 「うんっ。突いてぇ。めちゃくちゃにしてぇ」 「それじゃ……」 新吾は万智の腰を掴み直し、足をもう一度踏みしめてから、突き上げの速度を速め出し入れの幅を大きくした。 「はぅ! はぅっ! はぁんっ! ああんっ! す、ごい……。こんなの、はじめ……て」 顔中精液まみれの万智は新吾に攻められる度に切な気に喘ぐ。ぶちまけられたものは重力には逆らえず、糸を引いて落ちていく。万智が必死にしがみついている木がゆさゆさと揺れている。 「先生。どんな気持ちですか?」 「え……」 「いえ、その。こんな外で。……しかも教え子のを、口でおしゃぶりして顔とか体中にぶちまけられて。それで、木にしがみついて丸出しのお尻を突き出して、ぱんぱん音たてながら交わってるのって、どうなのかなって」 「は、恥ずかしいに決まってるわ。顔から火が出そうなくらい……。あっ!」 「そうですよね。俺も、何だかものすごくいけないことをしているようで。背徳感っていうんでしょうか。背中がぞくぞくします」 話をしつつ、新吾は動きを緩めない。 「し、新吾くんも……なの」 「ええ。でも、何と言うか……そうですね。もっとしたくなります」 いっぱいいっぱいな万智と違い、新吾の方はまだまだ余裕がありそう。 「みんなに自慢できますよ。先生とエッチしちゃったよ〜って。……絶対しませんけど」 爽やかな笑顔できっつい冗談を言う新吾。 「し、新吾くんは意地悪ね。そういう事言っていじめるなんて、ひどいわ。んああっ!」 「はは……。ごめんなさい。喘いでる先生が可愛くて、つい」 「あっんっ! もうっ! ……私、可愛い……の?」 「ええもう。最高に可愛いです」 「……初めて、よ。男の人に、可愛いだなんて言われるなんて。本当にもう、涙が出るくらい嬉し……あっあっあっ!」 嬉し泣きしながら感じて喘ぐ万智。 「そろそろ、一気にいきますよ」 「あっあっあっあっあああっあっあっ! わ、わかったわ! 手加減なしで、して!」 「はい。しっかりしがみついていてくださいね」 新吾は再度足を踏み締めて、一気に突き込んでいく。 「あっあっんあっ!」 ぱちん、ぱちん、ぱちんと内部をえぐるように深く大きく動いてからぱんぱんぱんぱん、たんたんたん、と小刻みに早く。平手打ちでもされているかのように体がぶつかり合う。ぎし、ぎし、と万智がしがみついている木が揺さぶられる。まくれ上がったスカートと、丸い形をした尻。そしてその割れ目に突き刺さるようにして挿入されている新吾のもの。何もかも全てが非日常のようだった。 「う、あ……。も、もう出ます……!」 「ん! あっ! あっ!」 突如として新吾は絶頂を迎えた。初体験で二人同時という具合にはいかないようだった。新吾は万智の中から引き抜き、尻めがけて何度となく射精を繰り返した。 「はあ、はあ、はあ」 「ご、ごめんなさい先生。いきなり、出しちゃって」 「ううん。気にすることはないのよ。……私の体で気持ち良くなってくれて、本当に嬉しいわ」 顔と尻をべとべとによごされながら、可愛らしい笑顔で新吾に礼を述べる万智。頼りない担任というイメージは薄れ、包容力のある女性という感じ。新吾は感激してしまう。なかなか格好良く、すんなりと仕上げというわけにはいかなかったけれど、嬉しさに包まれる。 「先生……」 「何でも、していいのよ。私の体でよければ、だけど」 「その……。おっぱいに、触っていいですか?」 そんなこと、今となってはお安いご用。 「ええ。ちょっと待ってて」 しゅるり、とスカーフが解かれる。続いてブラウスのボタンが開けられ、白いブラの中に、それほど大きくはない胸がわずかに震えながら現れる。万智は少しためらいながらも、ブラを左右同時にたくしあげる。 「はい。……大したことのない胸だけど」 「そんなこと、ないです」 新吾は正面から、両手で触れる。 「あっ。んっ。私も……新吾くんに、思う存分触ってほしい……わ」 軽く掴んで、もにゅもにゅと手の平の中でこね回す。 「あ……あ……」 「可愛いおっぱいですね」 「そ、う? あっ」 胸を弄ばれるなんて初めてのこと。こそばゆさがどうしようもなく込み上げていく。 「俺、ものすごく興奮してます。いつも教室で、みんなの前にいる先生の体を。お、おっぱいをこんなふうに触ってるなんて。信じられない」 「あ、あ……。そ、そうよね。いけないこと、よね」 「でも、もっといけないことをしたくなっちゃって。……そうだ」 新吾は万智の胸を少し強めにぐりぐりと揉み潰しながら、ふと思い出したように言う。 「先生は、その……。ぼ、ボーイズラブ……とか好きなんですよね?」 「そ……そうよ。だ、だめ、かしら? 幻滅した?」 「いいえ。個人の趣味や主張は自由です。非難したりなんてしません。……そうじゃなくて、その……そういうのが好きなら、えっと。こういうのも、どうかなって」 「あ……」 突如、新吾の手によってくるりと体を反転させられる万智。そして再び背後から、尻の割れ目を目がけて先端が押し当てられる。 「し、新吾くん……。それは!」 最初の位置とは事なる部分。 「一回、試しにこっちでしてみたら、どうなのかなって思って」 あくまで気楽にお試し感覚。 「もしかすると、今以上にBLっていうんですか、そういうのに感情移入できるようになるかもしれませんよね」 「あ、ああ! そ、んな……! あ、あ! あああぁっ!」 そんなやりとりが続く間にも、新吾のものが万智のアヌスをめりめりと突き進み、押し広げていく。 「すごい。奥まで入っていく」 興味津々の新吾と、目を大きく見開いて大慌ての万智。 「ああぁっ! ぬ、抜いてえぇっ! あひっ! あふっ!」 「でも先生、何だか気持ち良さそうな声出してますけど」 「ち、違っ。ああああっ!」 ゆっくりと、しかし確実に新吾のものが万智の中へと入り行く。 「全部入りました。……動かしてみたら、どうなるのかな」 「だ、めええっ! んああああっ! あああっ! あっ! あっ! あっ!」 上ずった声で、切なそうな眼差しが虚空へ向けられる。新吾は少しずつ万智の腰を引き寄せては離そうとし、揺さぶっていく。万智の胸ぷるぷると震えている。……ふと、新吾はあることに気付く。 「……え?」 しゅるり、と何かが解ける音。万智の、頭の後ろでまとめられていた髪が解ける音。 「あ、あ。だめよ新吾くん。髪解いたら。んっ! んぐ!」 「すみません。髪を下ろした先生が見てみたくなったので。もちろん、うなじも綺麗ですけど……」 「あふぅっ! も、もう。恥ずかしいから……。髪を下ろしたところあまり見せたくないの。んあっ!」 「先生は恥ずかしがり屋なんですね。髪を解いた先生、本当に可愛いんですよ」 「そ、そう……なの?」 「はい」 そんなこと初めて言われたのか、万智は思いっきり赤面。少し弱まったペースを速めていく。ずむずむずむ、と、細かくうごめくように前後する。 「んあああああああっ! お、お尻が……お尻が熱いいいぃっ!」 「まさに背徳の情事、て感じですよね」 「あ、あ、あ、あ、あ、あ!」 「今の俺達って、女教師もののアダルトビデオそのもの感じですね」 「そ、そうなの?」 「そうですよ。教え子に犯されて、パンパンされて、あんあん喘いでいるんですから。万智先生には充分にその資格があると思います」 「だ、って……」 「しかも入れられているのはお尻ですし。それも、初めてなのに」 「く、あ……んっ! し、新吾くん……。い、じめないで。ああっ!」 「いじめてなんていませんよ。事実を口にしているだけです」 新吾はにこやかに言いながら、腰を送り込む速度を早めていく。 「あぅ! あぐ! はぐぅっ! あ、あ、あっ! だ、だめよ! だめよ……こんな!」 入ってはいけないところへと散々侵入され、万智の喘ぎは裏返ったものになっていく。叩きつけられる先端は熱く、万智の全身を更に敏感にさせていく。 「先生。俺、もういきそうです。……中に出しますね」 「え? あっ! 待って……あ、あ、ああああああっ! わ、私も……お、お尻に出されていっちゃ……! んああああああああああああっ!」 新吾は万智の中に射精していった。びゅくびゅくと送り込まれていく感触は、万智にとっても新吾にとっても忘れられない記憶となった。 …………
――いつもの朝。おはようございます、と大きな声で挨拶をした後、教卓を前にして出席簿を手にする万智。 「それでは出席をとりますね」 新吾は知っている。この所、男子達から聞こえてくる声を。 『なあ新吾。最近の先生ってさ、何と言うかその……。すごく色っぽいと思わないか?』 『まさに女教師だよな!』 『今まで地味だったけど、髪を下したらすげえ美人だったんだな!』 『くううっ! 個人レッスンしてもらいたいぜ!』 男子達だけじゃない。女子達からも声が聞こえてくる……。 『まっちー先生って、実はすっごく可愛いわよねー』 『普通に美人だと思いますわ』 『やっぱり髪おろした方がいいって思っていたのよ』 ……いつもと違って、髪を頭の後ろでまとめていない万智。新吾による密かなリクエストに万智が答えた形だけど、当事者以外にはどのような事があったのかわかる由もない。万智の中で何かが変わったのか、自信に満ち溢れて、今やおどおどした頼りなさはどこにもなかった。はきはきとした颯爽とした若さが女生徒達に負けず劣らず、眩しく見える。新吾は男子や女子達だけじゃなく、あの愛理や紗凪からも同様の感想を聞いた。 「瓜生くん」 「はいっ」 新吾とほんの僅かに目線が合い、微笑。……そうしてすぐに何事もなかったように、次の名を呼び上げる。 『新吾君。……また』 『いいですよ』 『ああんっ! 嬉しいわ、新吾くん! もう、大好き!』 無邪気な少女のように喜ぶ万智。新吾はそんなやり取りを思い出す。それは、初めてした後の事。 『先生がしたい時に、いつでも』 『ありがとう。……その』 『何ですか?』 万智はもじもじとしつつ、とてつもなく恥ずかしいけれど、勇気を出して言ってみた。変態だって思われるかもしれないけれど。 『お……。お尻の方でも、してもらえる?』 想像以上に良かったようで癖になったのか、またして欲しいと思ってしまうのだった。軽蔑されるかもしれないと思うけれど、新吾は優しく頷きながら言ってくれる。 『いいですよ』 新吾の一言に、万智は嬉しさを隠さない。 「それでは授業を始めます」 新吾はしみじみと思う。自分はこんな素敵な先生とその……してしまったのだな、と。好奇心旺盛で、気持ちいいことが大好きで……そして、自分の事を心から慕ってくれている人。 『あ、あのねあのね新吾くん。……今日、帰りに』 その先は、新吾が笑顔で言ってあげる。 『いっぱいしましょうね』 そんなやりとりがあったのだった。 さて、今日はこの可愛らしい先生とどんなことをしようかなと思えば思うほど、新吾は平静ではいられなくなっていく。それはまた万智もそう。とりあえずこの授業が終わったら、トイレに行って溢れ出たものを拭き取らなきゃいけないわと思う程に、熱いものが込み上げてきてしまう。それだけじゃなく、胸を包み込んでいるブラに尖ってしまった乳首が擦れて痛いくらいにも感じている。 時計の針がやたら遅く感じる。二人にとって、じりじりと焦らされるような時間が続いていく。そんな時間は妄想を繰り返して切り抜けるようにする。 『あ! あ! あ! あ! あ! し、新吾くん! い、いくうっ! いっちゃうわ! お尻でいっちゃううううっ! んああああああっ! お○んこも気持ちいいいいっ! もっと! もっと突いてえ! もっと激しくしてええぇっ! あああっ! 新吾くんのお○んちん気持ちいいのおっ! いっくううううっ!』 万智はそんなふうに、これでもかとばかり思いっきり淫語を連発するくらい乱れようと、心に決めていた。数時間後の自分はきっと、全てをさらけ出しているはず。新吾もまた、そう。 『万智先生、いい格好ですね』 『あっあんっああんっはあんっあふんっ! こんなっ! 四つん這いなんて……!! あああああーーーーーっ! い、いくっ! いくっ! いくうっ! うあああああっ! 中に! 中に出てるうっ! 気持ちいいいいいいいっ!』 それは誰も知らない世界。空想の中での密かな鬼ごっこ。楽しくて、でも、待ち遠しくてたまらないものだった。 ----------後書き----------
さて、今回はBL好きの悩める女教師編だったわけですが。もし。もしもです。逆移植パターンでの更なる追加シナリオがあるとしたらこんな感じでいかがか! と、そんな風に思いながら仕上げてみました。ちょっとばかりハードに、これぞえろげでしょうといった感じに。 それはそうとして、人妻二人偏はちとばかり微妙なところやもです。当初は書いてもいいかなとも思ったのですが。 理由として、独り者の女教師と新吾くんがくっつくのは全くもって何も問題ないとして、瀬名さんちもしくは天羽さんちのお母様と新吾くんがくっつくとなると様々な問題が生じ、ぶっちゃけ誰かしら不幸になっちゃったりしそうかなと思うが故に、それではこのシリーズの趣旨に反しそうと考える次第であります。二次創作はあくまで原作及び、周辺作品の延長線ととらえているがゆえに。……まあぶっちゃけ、愛理さんみうさんがそれらを許すとはあんまり思えないもので。きっと怒る。悲しむ。最悪の場合、グレそう。状況によっては桜乃さんも反対しそうな気がそこそこする。 てなわけで、長らく続いたましろ色シンフォニーのえっちSSシリーズはこれにて終了。……きっと。 今後はぱれっと様&和泉つばす様の新作品に期待しつつ、時折ましろ色の短編作でも繰り出していこうかなと考えます。 これまでお楽しみくださいました皆様、どうもありがとうございます。そして、これからもどうぞ気長にお付き合い頂きたく、お願い致します。
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