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-天羽みう編- それはある晴れた昼下がりのこと。学校の先輩であり一つ年上の彼女でもあるみうに『家に来ない?』と誘われて遊び来ていた新吾はその日、とっても刺激的な体験をすることになるのだった。 「新吾さん。一緒にお風呂入りませんか?」 みうの――とても若々しくて、どこからどう見てもお姉さんにしか見えないお母さんこと天羽結子さんはそのように言って微笑んだ。みうが睨みつけている状況に気付いているのかいないのかは定かではないけれど、新吾の背中に豊満で膨よかなバストをむにゅと思いっきり当てながら。 「お母さん……。何を言ってるの?」 その言に対し、みうがぷるぷると震えている。実の娘の前で、それも娘の彼氏さんに対してあまりにも過激すぎる発言内容なのだから当然。つまるところ『非常識でしょう!』と糾弾し抗議する眼差しを向けるのだったが、その抗議に対し結子お母さんは……。 「新吾さんが可愛いから」 何だか語尾にハートマークでも付いてきそうなくらいにこやかに、悪戯っぽい答え。それがみうの堪忍袋の尾をこれでもかという程にぶっち切ってしまう。 「全然理由になってない〜〜〜! どこの世界に娘の彼氏さんに一緒にお風呂に入ろうって誘うお母さんがいるの〜〜〜!? って言うかお母さん、いい加減新吾くんから離れて〜〜〜! さっきから何胸当ててるの〜〜〜!」 みう自身の包容力溢れるおっとりペースも、お母さんの前では思いきり乱されまくりなのだった。これが格の違いというべきか年季の違いというべきか、新吾はみうを遙かに上回る目に見えない『力』のようなものを感じていた。 「このように、みうはとってもやきもちやきさんなんですよ」 「そ、そうなんですか」 尚もにこにこと楽しそうな笑顔の結子お母さんに対し、答えに詰まり、どもりながら同意するしかない新吾だった。 「やきもちなんてやいてないもん」 「あら。みうは新吾さんと一緒にお風呂入りたくないのかしら?」 「だからどうしてそういうお話になるの……」 みうは小さな体をぷるぷると震わせながら、話の内容に脈絡が全くないと主張するのだったが。 「可愛いから」 そんな一言でみうの怒りを軽く受け流す。にっこりとほほ笑む魔性の人妻は余裕ありまくりだった。 「相変わらず全然説明になってない……」 「じゃ、そう言うわけなので行きましょうか新吾さん。お背中流しますね」 そう言って娘の彼氏の腕を取り、お風呂へと連れていく美人なお母さん。気分はまさに心ときめく青春時代真っ盛りといったところ。 「も、もう! 何が行きましょうか、よ! どういうわけなのよっ! ちょっと〜〜〜!」 続いてみうも駆けだし、どたどたと荒い音をたてながらバスルームへと向かうのだった。 (拒否権すら与えられなかった……) みうや新吾の気苦労など知らずに結子お母さんの暴走は続いていく。後に残された二匹の猫のドモンとカリンが、にゃ〜と鳴きながら三人を見送っていた。それだけ見るととても平和でほのぼのとした展開なのだったが、さてどうなることやら。 …………
まさか、いくらなんでもそんなことはしないだろうと、みうは当初思っていた。しかし、その思い込みが想定外かつとんでもない間違いであることに気付くのに要した時間は極めて少なかった。 「それじゃ新吾さん、早速お背中流しますね。……ふふ。大きなお背中ですね」 「ど、どうも」 とてつもなく照れくさいけれど何故か抗えない新吾。どうしてこうなったのだろう。何故こうなってしまったのだろう。何度となくそう思うも、この様な状況になってしまった以上どうしようもなかった。 「お母さん!」 広々としたバスルーム。その中にはバスチェアに腰掛けるほぼ裸の新吾。もっとも、決して無理やり衣服を剥ぎ取られたというわけでもなくて、結子お母さんにより極めて自然かつ丁寧なご奉仕により一枚一枚服を脱ぎ脱ぎしてもらって、結局最後には股間周りを覆うタオル以外全裸にさせられたのだった。新吾とは逆に、天羽母娘はそれほど大きくもない標準サイズのバスタオルで胸と股間だけをギリギリ覆っているのだが、二人共背丈はともかくバストやヒップが結構な具合に出っ張っているのでタオルが覆う面積は心許ないものがあり、それが新吾の視線をどうしても誘導してしまうことになっていた。もはや自制心など風前の灯火だったが、ここはどうにか押さえるしかないと思うのだった。 「あら。みう、どうかしたのかしら?」 余裕な母に対し、威嚇する猫のようにふーっと息を吐き出すみう。 「どうかしたもこうしたもないの……。新吾くんのお背中はわたしが流すんだから」 とことんまでに天然さんぶりを貫く結子お母さんと、そんな母をじっとりした目でにらみつけるみう。大好きなおもちゃを取られないようにしている子供のように、あるいは苦労しながら入手した魚を捕られないようにしている猫のように、しっかりと新吾の背中に張り付くようにして接触。 (む、胸が!!) 新吾のクラスメイトのメイド娘、アンジェと共にバストサイズのふくよかさでは双璧とされているみう。その弾力に溢れふんわりしていてなおかつまん丸なものが新吾の背中に当たって軟式のゴムボールのようにぐにゃりと潰れている。悶絶寸前の感覚に新吾は股間のものが否応なしにそそり立っていくのを自覚し、どうにかしてこの状況を防がなければならないと思いつつもどうしようもなかった。 そんな新吾の苦悩を知ってか知らずか、結子お母さんは大人の余裕を見せるのだった。 「あらあら。それではわたしは前の方を洗わせていただきますね、新吾さん」 「え!?」 流石にそれは、と絶句する新吾。しかしその時既にみう先輩の怒りは頂点に達していた。 「だめ〜〜〜! 新吾くんの前も後ろも全部わたしが洗うの〜!」 「欲張っちゃだめよ、みう。そんなに叫んだりしたら新吾さんが怖がっちゃうわよ?」 「叫ばせてるのは誰だと思ってるの……」 やはり全然会話が噛み合わない。ギアの形が根本的に異なっているかのように。 「あら? 新吾さん、大っきいですね〜」 「あ、あ……」 どこ触っているんですか! と、本来ならば口にすべきなのだろうけれど、状況に圧倒され感覚そのものを支配されたかのように動けないという金縛り状態の新吾。 「お母さん!」 新吾は絶対に『可愛いわ』と、思われているのだろうと想像し、観念した。それは勿論新吾の下半身……特にタオルで巻かれつつもふっくらと盛り上がった下腹部のことだった。六根清浄! 六根清浄! と、心の中で何度も叫んで煩悩を振り払い、必死に自制を試みたがかなわなかった。やはり体は正直と言うべきだろうが、とにかく結子お母さんはとってもにこにこしてて嬉しそうなのだった。 「それじゃ。洗って差し上げますね」 「だ……だめ〜〜〜〜〜!」 結子お母さんの言葉に慌てたみうは飛びつくようにして新吾の頭にしがみついて。当然のことながら、新吾の後頭部にもみうの大きな胸が思いっきり当たるがそれだけでは終わらない。更に飛びついた拍子にみうの体を辛うじて覆っていたバスタオルが解けて落ち、遮るもの一つない肌と肌の触れ合い状態になってしまった。 「みう。独占欲が強いと男の子に嫌われちゃうわよ?」 「……誰のせいでそうなっていると思ってるの。っていうか、いい加減に新吾くんから離れて〜!」 「可愛いから」 だからそれはできないのと、語尾にハートマークを付けて言う結子お母さんだった。 「だから全然理由になってない〜!」 結局新吾は全く動くことができなかった。至極自然に、自らの胸に新吾の顔を埋めて優しく抱き締めている結子お母さんにはまるで無力。それを見てみうもたまらずに、母から彼氏を奪い返すかのように、頭に飛びついた。顔前に結子お母さん、後ろにみう。共にとっても豊満なバストのようで、むにゅううう、とやわらかくてふにふにしてぷるぷるのつるつるの瑞々しい感触が溢れてくる。四方からのふっくらとしたおっぱいサンドイッチにより埋もれて、新吾はもう昇天寸前だった。きっとこのまま窒息によって死んだとしても、決して悪い死に様ではないのだろうな、とか思いながら。 …………
――気分的には大嵐の後の後片付け状態だけどどうにかこうにか落ち着いて、改めてみうの部屋にてくつろぐ二人。 「もう。お母さんったら」 「は、はは。なかなか……すごかったね」 あの後。さすがに悪ノリが過ぎたかしらと結子お母さんが思ったのかあるいは空気を読んだのか、真相は定かではないが、とにかく買い物に言って来るわと笑顔で言い、みうと新吾を二人きりにさせてくれた。みうは思う。もしかすると嫉妬深い女と思われるかもしれない。けれどみうには言わずにいられなかった事が一つある。 「新吾くん。嬉しそうだった」 「え……?」 そう言われてからじーっと、みうの大きな目で見つめられて、新吾は絶句してしまう。気のせいか潤んでいるようでいてどこか切ないような、自分の元から離れていかないでと心配しているような、少し憂いを帯びた眼差し。 「い、いやあの。嬉しかったという訳じゃなくて、いや、嬉しくなかったということもないんだけど。あ……圧倒されっぱなしだったと言うか。その……上手く言えないんだけど、魔性の人妻に手玉に取られちゃった……って言うのかな。つまりそのー……とにかくすごかったなーって思って、何も抵抗できなかったと言うのかな」 言い訳ではなく本当にそう思ったわけで、決して悪気や邪な気持ちがあったわけではない。みうの気持ちを裏切る気など全然ないと説明しようとして、釈明会見のように苦しくなってしまう。針のムシロとはこのことで、絶対にしないけれどももしも浮気をしてバレてしまったらこんなふうに追求されるのかなと新吾は思った。 「……。魔性の人妻に手玉に取られるのが好きなんだ」 新吾の煮え切らない態度に怒ったのか、あるいは負けてはいられないと思ったのか、はたまたそれくらいわたしにもできるもんとムキになったのか。キッと目付きが険しくなって、眉も吊り上げて口元も歪め、普段のおっとり具合とは正反対の強気モード。そしてみうは猫のように四つん這いのまま新吾の上にのしかかって行く。 「せ、先輩?」 「いーよ。新吾くんがそういうのが好きなら、わたしがしてあげるから」 お母さんなんかより遙かに上手に、と暗に言っている。みうの中で対抗心がめらめらとわき起こっていく。 「い、いや。だからその、決して好きってわけでは……わあっ!」 新吾は突然ぐい、と股間を掴まれる。既視感があった。かつて夢に見た姿そのままの先輩。確かあの時は自分の脳内で勝手にシーンを再生したものだが……。『蛇口が壊れた水道って、どうなるか知ってる?』とか、そんな感じの事を言ったのを思い出した。偶然か、あるいは必然か。 「もう許してあげない。わたしの手や口でいっぱいいかせて、蛇口が壊れた水道みたいにしてあげるから」 (み、みう先輩が……みう先輩が黒化した!?) 今のみうは普段の包み込むように柔らかな笑顔とは明らかに違う。どこか妖しい光を帯びたような瞳は狂気を感じさせ、サディスティックな性格へと変貌していた。今のみうは新吾を戦慄させる魔性の女、黒みうなのだった。 「ふふ。可愛い」 手早くチャックを降ろし、大きな逸物を手で握り扱き始める。小さくて柔らかな手はしかししっかりとした動きを見せる。 「せ、先輩! わああっ!」 「あっという間にいかせてあげるから」 しゅ、しゅ、しゅ、しゅ、と音をたてながら的確かつ敏速な動き。上手い、と新吾は思った。なにしろものの数十秒もたたないくらいの間に絶頂を向かえさせられようとしていたのだから。しかし、あっという間に絶頂を迎えようとしたらそうはさせてはくれなかった……。 「いきそう? いかせてあげる。……でもやっぱり、まだだめ」 登山にすると八号目あたりくらいのところで突然動きを止められる。込み上げかけた感覚が急に失せ、新吾は生殺しの気分を味わった。 「くうっ!」 絶頂の直前で急に止められて高ぶった快感が一気に失われていく。みうはくすくすと笑いながら空いた方の手で陰毛に包まれた柔らかい玉を弄ぶ。手の平で撫で回し、転がし、指先で突いたり揉んだりと好き放題に。 「あ、あ……」 「くすぐったいでしょ? 柔らかいよね。力入れたら潰れちゃいそうだよね」 みうは新吾の陰毛を細い指先にクルクルと絡めて弄んでから、小さな舌先でぺろりと二つの玉をなめた。妖しい雰囲気に、新吾はただただ圧倒されるだけだった。 「先輩……。あっ」 新吾が声をかける間もなく、みうは新吾のものにしゃぶりついていた。口の中いっぱいに飲み込み、舌で上下左右縦横無尽に愛撫する。 「ん、ん、ん……」 「先輩。本当に、怒ってるんですか?」 「んぷ……。どうして、そう思うの?」 みうは言いながら右手で新吾のものを握り、先端をアイスでもなめるように舌を這わせる。 「うあっ。……す、すごく激しくて……大胆だから」 「だって。これくらい大胆にならないと新吾くん、わたしよりお母さんの方がいいって、そう思っちゃうんでしょ?」 「お、思いませんから」 「本当に?」 「本当です」 新吾は再び、じーっと見つめられる。不安に彩られた大きな目は心なしか潤んでいるように感じられる。 「……。お母さんのおっぱい、気持ち良かった?」 「え?」 「答えて」 有無を言わせない迫力がどこかに感じられる一言だった。 「それは、その……。えっと……。はい……」 新吾はついさっき、バスルームにてみうに負けず劣らずふくよかなバストをむにゅうううと背中に思いっきり押し付けられた時の感触を思いだし、無意識のうちに股間のものがむくりと勢いを増す。それもみうの目の前で。嘘をついたりごまかしすることはできなかった。それがみうの対抗心に更なる火を付ける。 「わたしだって……負けないんだから!」 眉をちょっと険しくさせながら唇をとがらせ、拗ねているみう。おもむろに立ち上がり、スカートのホックを外して脱ぎ去ると同時にショーツもずり降ろす。上着については脱ぐのも億劫なのか、ブラを乱暴に剥ぎ取って投げ捨る。そうして二つの膨らみが露になってから、ベッドに仰向けに横たわる新吾の顔に股間を押し付ける。 「新吾くん。わたしのお○んこ、なめて」 こうなればもうなるようになれといった気持ちだった。過激な言葉だって、いくらでも出てくる。 「わ、わっ! せ、先輩!」 「シックスナインでしてあげる。……でも、新吾くんもしてくれなきゃ許さないから」 恥じらいなどかなぐり捨てて、みうは丸いお尻をくねらせる。 「ん、んん、ん、ん」 みうは新吾のものを口で愛撫すると同時に、ふくよかな胸を新吾のお腹に思いっきり押し付ける。柔らかな中心に、起った乳首の少し固い感覚。 (ああっ! それ、思いっきり気持ちいい) 「ん、ん、んぷ。新吾くん。一人で感じてちゃだめだよ。わたしもいかせてくれなきゃ、また寸止めしちゃうからね」 「……はい」 絶頂寸前で止められる。気持ち良さと辛さが同居した生殺し状態。あれはもう嫌だと新吾は思い、みうへの愛撫を始めた。秘所に舌を這わせ、両手でお尻を満便なくなで回す。白い肌の感触は瑞々しくて、指に吸い付くように柔らかかった。 「ん。そう。上手だよ〜。いい子いい子」 くすくすと笑いながら新吾の愛撫を誉めるみうは十分魔性の女の資質があると新吾には感じられた。さすが母娘。血は争えないな、と思うくらいに。 「あ……。もっと奥までなめて。お尻もいやらしく撫で回していじって。そう……。あは、いいよ新吾くん。もっとずぷずぷ指も入れてかき混ぜて」 ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃと、濡れた舌で亀頭をなめ回しながら、みうはうっとりとした表情で言った。 「あ、あ……。んんぅ。わたしも、頑張る……。ん、ん、ん……」 じゅぷ、じゅぷとみうがおしゃぶりを続ける音と、くちゅくちゅと新吾がみうの秘所をかき混ぜる音が響く。 (な、何だかもう今日はずっと振り回されっ放しだな) 拒否することもできず、流されるままに今に至っているけれども。 (でもこれってきっと、幸せなんだろうな) そんな風に思える新吾もただ者じゃないのかもしれない。もっと幸せになりたい、そう思えば思う程指や舌の動きが早まっていく。気がつけば形成が逆転していたようだった。 「んあっ! あ、あ……っ! いっちゃう……っ!」 新吾の愛撫攻勢に耐えきれず、みうはそれまでずっと口でくわえていたものを離してしまう。新吾はチャンスとばかりに愛撫の速度を速める。とろとろと、溢れ出る蜜が新吾の口元を濡らしていく。 「あ、あ、あ……っ!」 愛撫を続ける度にみうの体がびくびくと震える。快感に全身を支配されつつ、何とかして新吾のものをくわえてしゃぶり続けようと努力するも、結局みうは喘ぎ続けるだけだった。そんな、子供のように必死に背伸びをしようとしている姿が可愛らしくて、新吾は更に舌と指の動きを共に早めていく。 (俺の勝ち。だね、先輩) 「あ、ひっ! あ、あ、あ……ああああああっ!」 こうして幾筋もの雫を溢れさせながら、みうは絶頂を迎えた。それは今のみうにとってはとても不本意で屈辱的な事なのだった。 …………
ベッドの上には全裸の二人。そしてその片隅にてしょんぼりとうなだれているみうに新吾は声をかける。 「先輩」 「なぁに?」 「何をそんなにしょげているんですか?」 「……そりゃ、しょげちゃうよ。新吾くんが魔性の女に手玉に取られるのが好きだって言うから、一生懸命頑張ってみたのに。それなのに、逆に新吾くんにいかされちゃったんだもの」 何とも可愛らしい理由だった。 「いや、俺は別に魔性の人妻に手玉に取られるのが好きというわけじゃなくてですね。……っていうか、お母さんに対抗しないでくださいよ」 「だって」 対抗と言うべきか、嫉妬していた理由はとてもわかりやすくて微笑ましいものだった。 「お母さん、綺麗だもん。……新吾くんも見ていてそう思うでしょ?」 はい全くその通りですとばかりにはっきりと頷く新吾。もう若々しすぎてお姉さんにしか見えません。冗談抜きでそう思います、と。 「ほら。だから、不安になるんだよ。嫉妬深いとか独占欲が強いとか思われちゃうかもしれないけど、恐いんだよ」 「女の子ってそういうものなんですか」 「そういうものなの」 たとえ、それが実の母親だったとしても。 「俺は、大丈夫ですよ。先輩の彼氏なんですから」 「……うん」 わかっている。けれど不安になるのは仕方がないこと。そんなみうの心を見透かして、新吾はキスで緊張をほぐしてあげた。それから抱きしめ合って、互いの体を愛撫して、そして……。 「んっ」 仰向けに寝そべる新吾の上に跨がり、ゆっくりと腰を落としていく。 「みう先輩は、騎上位とか好きそうですよね」 さりげなく性的な趣向を聞かれる。 「そうかな? ……どうしてそう思うの?」 「だって。なんだか手玉に取られそうな体位だし」 男性よりも女性が主導権を握るような格好なのだから無理もなかった。 「新吾くん。……もしかしてわたしのこと、えっちなことが大好きな変態さんだと思ってる? しょっちゅう男の子との交尾の事ばっかり考えてる淫乱さんだって思ってる?」 それはそれで結構心外な事だった。 「そりゃ……ちょっとは。さっきみたいに、壊れた蛇口みたいにしてあげる、とか言われたらもう……」 新吾が言うところの黒化のインパクトはなかなか強烈だった。きっと、忘れる事が出来ないと確信してしまうくらいに。 「……」 みうは無言のまま、腰を上下に動かし始めた。 「いーよ。新吾くんがそう言うのなら、思いっきり手玉に取ってあげるんだから。ん、ん……っ」 「あっ」 みうの動きに合わせて、ベッドがぎしぎしときしむ。 「あ……。ん……。新吾くんのおっきなおち○ちん、わたしの中にずっぽりと入っちゃってるよ。ほら、見えるでしょ?」 はしたなく大股を左右に完全に開ききっていて、薄い陰毛に囲まれた割れ目に新吾のものが激しく出入りを繰り返しているのがわかる。先程の余韻も残っているのか、すぐにまた熱いものが込み上げてきてしまう。 「あっあっ。あれれ……。な、何だか気持ちよくなってきちゃったよ」 「ほら。やっぱり騎上位好きなんですよ」 「そうかも。……新吾くん、なにやってるの? 両手がお留守だよ?」 「え?」 何のことだろうと新吾が思っていると、みうは新吾の両手首を掴んで胸に押し当てた。 「おっぱい、強く揉んでくれなきゃ嫌だよ」 「……はい」 みうの動きに合わせてゆさゆさと揺れていた大きな膨らみ。好きな人に弄んでもらったり、揉まれたりすると嬉しいようだった。 「ふふ。大きい、でしょ? 菜夏ちゃんには負けるけど……大きさには自信があるんだよ」 「そう、ですね。……先輩は、背はちっちゃいのにスタイル抜群ですよね」 「あ、そういうこと言うんだ。背のことは結構気にしてるのに。新吾くん、意地悪だよ」 「あ、いや……。トランジスタグラマラス、ということを言おうかなと思っただけで悪意はないです。……っていうか、桜乃なんか羨ましがってますよ。わたしの身長、誰か少し貰ってほしい。クメマートの特売ばりにディスカウントするから。って」 スラっとしたスタイルの妹の姿を思い浮かべる。 「ふぅん。でも、桜乃ちゃんって、言うほどそんなに身長高いかな」 「俺も特別高いとは思わないけど。本人はもっと小さい方が良かったみたいで」 「新吾くんってさ。……桜乃ちゃんと、こんな風にえっちしたくなったこと、ある?」 一瞬新吾は吹きかけた。突然の爆弾発言。何て事を言うんですかと思ったけれど、しかしもしも桜乃とそういうことをするとなると、やっぱり普段のあの淡々としたのんびり口調で『……お兄ちゃんを手玉に取ってる悪い妹。ふふふ、とか笑うのが似合う魔性の妹はお好きでしょうか』とかなんとか言いながら、ギシギシとベッドをきしませつつ馬乗り状態のままするのだろうか、と一瞬思ったが、そんないけない妄想を吹き飛ばしつつ否定する。 「……ありませんから」 「じゃあ、愛理ちゃんとは? 四つん這いにして交尾とか、したくならない?」 「交尾て……」 まったく、天然ボケもここに極まり。なんというはしたないことを言うんですか、と新吾は思ったがしかし、もしもそのようなシチュエーションに至った場合、きっと愛理は全身を硬直させ歯を食いしばりながら恥辱に耐えるのだろうか。『もう! よりによってこんな恥ずかしい格好でなんて! もうっ! あ、ああ! 焦らさないで早くしてよ早くっ! あ、ああああっ! こ、今度は動き早すぎ! 加減して! って、あ、ああぁ、あっあっあっも、もう……いっちゃうわよぉっ!』とか思っていそうだと新吾は考えたが、やはりいけない妄想だから頭の中から消し去ろうと努力する。 「……ないですってば」 否定するが、桜乃と愛理と続いたら次はやはり……。 「菜夏ちゃんとは?」 無意識だった。もやもやと怪しい妄想が脳内プロセッサにより生成されていく。きっとメイド服を着たままな彼女と『あうぅぅぅっ! だだだ、旦那様とっても激しゅうございます! あ、アンジェの体が完全に持ち上げられちゃっておりますでございますが、これが有名な駅弁ふぁ○くという体位なのでございますねそうですね! あひゃぁぁぁんっ!』とかなっていそうだ、ってそうじゃないそんなことは考えていちゃいけないと思うがしかし、アンジェとはそういったアクロバティックな体位が楽しそう、ってそうじゃないそうじゃないと新吾は頭を振りながら雑念を振り払おうとする。 「いやもう、ありえないです」 「じゃあ紗凪ちゃんとは?」 そういうの、もうやめましょうよと新吾が言う間もなく、間髪入れずに次の候補者名が上げられていた。 紗凪とは何故か正常位でしている所を想像してしまった。痛みがあるのかないのか、恥ずかしさの余り涙目で猛烈に悔しそうな表情で、足をばたつかせたり暴れたりしながら彼女は『こ、このクズムシがぁ! さっさとイってはやく出せ〜! ああぁ〜〜〜!』とか散々悪態をつきつつ、込み上げてくる快感と共に新吾と一つになっているという心地良い事実にいつまでも身を任せていたくて仕方がないと……新吾はそこまで考えてから思考を止めた。 「ないです。……さっきからなんですか。先輩は俺に浮気をしてほしいんですか?」 「新吾くん。今、頭の中でみんなとえっちなこといっぱいしてたでしょ? それって浮気?」 「違うと思います。……怖いんですか?」 「……うん。すっごく怖い。だって、桜乃ちゃんも愛理ちゃんも菜夏ちゃんも紗凪ちゃんも、みんなすごく可愛いもん。……考えちゃいけないってわかっていて、考えちゃうの。嫉妬深い娘だって、自分でもわかってるのに。そんなんじゃ、いつか新吾くんに嫌われちゃうぞって、わかってるのに」 いつしかみうの中から黒いオーラは消え去り、正反対に弱々しく脅える姿を見せていた。先程結子お母さんも言っていたけれど、本当にやきもちやきな娘だと自分でもわかっていて、そんな自分を改めて知り、しょげているのだった。 「俺はそんな先輩のやきもちやきなところも大好きですよ。でも……」 新吾はにこやかに言いながら、突如体を起こす。そうしてみうの体を持ち上げたまま立ち上がる。 「あっ?」 通称駅弁スタイルと呼ばれるような体位。みうのお尻を掴んで持ち上げる。 「やきもちやきな先輩には、お仕置きが必要ですよね」 一つになったまま体を宙に浮かされてしまうみう。 「し、んごくん……! こ、こんな格好……恥ずかしいよ!」 「そりゃ、お仕置きですから恥ずかしがってもらいますよ。先輩は体がちっちゃくて軽いから、こんなことも簡単にできちゃうんですね」 「ちっちゃいけど、お姉さんなんだか……ら……あ、あっ! あっあっあっ!」 新吾はゆっくりと交わり合うつもりはなくて、いきなり全開だった。みうの体を揺さぶるように打ち付ける。 「気持ちいいですよ。先輩」 「あ、ああああっ! あ、あそこが熱いよぉぉぉっ!」 更に首筋にもキスをされて震えるみう。 「ほら。先輩も動いて。ほら、ほら」 「う、うんっ。頑張る……。あ、あ、ああっ! き、もちいいよ。新吾くん……。あっあっあっあっ!」 「宙に浮かされながら揺さぶられるのってどんな気分ですか?」 「あっ! あっ! す、すごいよ新吾くん! んあああっ! わたし、だめになっちゃう……!」 手玉にとっていたはずがいつしか形勢逆転。みうもまだまだ魔性の女になるには経験値不足なようで。 (あ、ああっ! こんなところ見られたらお母さんに、まだまだねえ、とか言われちゃうよ〜!) それは何故か猛烈に悔しいのでどうにかしたいけれど、でも気持ちいいのだからこんな風にしてもらうのも悪くないかな、とか思っている自分はとても幸せなのかもしれない。みうはあっという間に絶頂を迎えさせられて、一瞬意識が真っ白に飛びかけながら新吾の事が本当に大好きなのだと実感したのだった。けれど……一瞬だと思っていたけれど、実際にはそうではなかった。我に帰ってみると、いつの間にか裸のまま毛布をかけられてベッドに寝かせられていた。余りの気持ちよさに気を失ってしまっていた模様。その様子を見守っていたのか、新吾がベッドの脇に腰掛けていた。 「はぁ……」 結局のところ、どうなったのかと言うと。精一杯努力してきたものの、結局みうは、自分は結子お母さんのように魔性の女にはなれない……もしくはなるのが早すぎるのかもしれないと悟ることになった。そのことが情けなくて悔しくて溜め息が出てしまう。 「新吾くん」 無理をしている事がいいわけがない。 「今度は……普通にしよ?」 微笑む新吾の答えはもちろん、いいですよと言う内容。そんなわけで今度は正常位ですることにした。とっても甘ったるく香るような雰囲気でもう一回、抱きしめ合いながら何度もキスを交わし、密着していく。 「あっあっ! 新吾くん、新吾くん……っ! ああああっ!」 「感じている先輩、たまらなく可愛いです」 「ありが、と。嬉し……あぁんっ」 新吾の全てが優しいと心の底から思い、みうは華奢な体を精一杯動かして温もりを伝えることにする。包まれていくような快感に、ぽろぽろと涙をこぼし、はしたなく喘ぎ声を上げ続ける。 「ああっ! あっあっ! ああああっ! 気持ちいいよぉ新吾くんっ! もっと……もっと」 無理をしなくていいのかもしれない。これで、このままでいいのかもいれない。穏やかな気持ちでみうは思う。新吾くんと一緒にいると、わたしはわたしになることができる。そんな気がする。だから、ありのままの自分をさらけ出していこうと心に誓った。 …………
――翌日のこと。とても珍しいことに、二人は揃って部活に遅刻してしまった。その原因は明白。昨日、頑張り過ぎてしまった余韻が残っていたのか、もっともっと一緒にいて愛し合っていたくて、結局みんなから隠れて(できる行為に限度はあるけれど)いちゃいちゃしまくって、気付いたら部活の時間がとっくに過ぎていたといったところ。ちょっぴりみんなからの視線が白いけれど気のせいかな? と、思う新吾だった。 「先輩、どうしたんです?」 何だかみうの元気がないようなので声をかけてみると。 「うぅ。自己嫌悪に浸っちゃってるよ。わたしの我が儘で遅刻なんかしちゃって、みんなに呆れられちゃう。新吾くんにも嫌われちゃう……」 甘えっぱなしで自制ができなかったことに落ち込んでいるようだった。それに対して新吾は大丈夫だよと笑って一蹴。自分はともかく、みう先輩は人徳がありますから誰も呆れたりなんてしませんよと言った。そして更に。 「絶対に、嫌われたりなんてしません。何しろ俺はもう、みう先輩の虜なんですから」 「新吾くん……」 「だからこれからも、もっともっといっぱい、とろけるくらいに甘えてくださいね」 うん、とはっきりと頷くみうは頬を赤らめて照れるのだった。そうして後でまた……してね、と、甘えた視線を投げてまた、お互いに笑顔になるのだった。 ----------後書き----------
天羽みうというキャラのシナリオにおいてなかなかのインパクトが強かった黒化、というものを実際にさせてみたらどうなるかと思ってさせてみました。 が……途中でどこか主導権を奪われそうな、完璧超人じゃ無さそうなところがあるかなと想像したのでした。脇が甘いというか隙があるというか、そんなところがある方が可愛いかな。 さて、お次はさっちゃんさんに加えてPSP版の新キャラということで。発売が順調に延期しているのが残念ですけれども、楽しみにしております。 このシリーズも佳境に近付いて来ましたが、もうしばらくお付き合い頂けたら幸いです。こういったお話を書いてみたくなるような作品に巡り会えたら幸いだと思って、日々探したりしていますが、今後何かを見つけられるかどうか。
ご感想を頂けると嬉しいです。
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