WhiteCanvas
-乾紗凪編- それは公園のベンチでの出来事。紗凪と新吾は互いに寄り添いながらお話中。 「く、く……」 声を出しているのは紗凪。決して笑い声ではなく、呼吸が苦しいわけでもない。ただ、非常に言い辛い事を発言しようとしているだけ。それはあたかも、内気な少女が勇気を出して憧れの相手に想いを告白をする時のように、頭ではわかってはいるけれど思うように声が出ていかないのだった。 「く……く……」 普段の元気さもどこへやら。何度もどもりまくり、ためらいまくり、恥じらいまくり、それでいて過去の自分を思い出しては自己嫌悪に浸りまくっていた。新吾はただ無言のまま紗凪を見つめている。とっても微笑ましそうに、心の中では頑張れー、と応援している。 「くじゅ……むし……。あぅ……」 結局はっきりとは言えなかったけれど、新吾にとってはそれだけで十分だった。 「何だか久しぶりに呼ばれたような気がするよ」 「あぅっ! あ、う……っ。ごめん。ごめんね……。酷い事言ってごめんね……。ぐしゅ、ぐしゅ……ごめんなさい。ごめんなしゃい……。ひぐっ」 みるみるうちに潤んでいく紗凪の目。新吾はちょっと意地悪が過ぎたと思い、後悔する。予想はしていたけれど、完全に言えなくなっちゃったんだと実感。 「酷くなんてないよ。俺が言ってみてってお願いしたんだから。ああ、ごめん。泣かないで」 それはまさに『超が付くくらい男嫌いなツンツン娘が思いっきりデレまくりになるとこうなる』という見本のようだった。会話がはずむ中でちょっと過去の思い出話になって、新吾は紗凪に『久しぶりにクズムシとか言ってみてよ』とリクエストをしてみたのだった。その結果、今ではもうそんな事を軽々と言えなくなってしまっていることが判明してしまった。かつて大きな声で新吾や男のことを罵っていた人物とは思えない。 「新吾ぉ。もうそんなこと言いたくない」 「うん。うん。ごめんね、嫌なこと言わせちゃって」 「……」 ぎゅー、と新吾の袖を掴んで罪悪感を堪える紗凪。それならお詫びに言って欲しい事があると紗凪の目は語っていた。何度かためらい、ささやくような消え入る声で言った。好きだと言って、と。 「好きだよ、紗凪」 「うん。……うん。好き」 それだけじゃ足りないと思った新吾は紗凪の体を引き寄せて抱きしめて、そのままキス。 「ん……」 目を閉じて温もりに浸る紗凪。段々と緊張もほぐれて幸せそうな笑顔になっていく。そうだ、と思う。また、今度の日曜日にどこかに行こうねと紗凪はおねだり。勿論新吾も二つ返事でいいよと頷いた。 「そういえばさ」 「何?」 新吾はふと思い出したようにリクエストをするのだった。デートの時に是非、と。 そして日は移り、日曜日。
とても良く晴れた、気持ちのいい一日。
二人は寄り添いながら、特にどこへ行くというあてもなく商店街を散策。新吾からプレゼントされた白いリボンで髪をまとめ、精一杯おめかしした紗凪。新吾の腕にぴったりと張り付いてご満悦という、いつもの日常風景。 「ねえ新吾」 「うん?」 「あたしの色んな格好が見たいの?」 「うん」 待ち合わせの初っぱなから次回のデートも予約済み。紗凪が不思議そうに聞くのは新吾のリクエストについてだった。例えばそれは、男の子のような格好。長い髪を一つにまとめて帽子をかぶって、あたかも髪型をショートにしたかのように見えるという、最近めっきり見せなくなった姿。以前紗凪が、弟の理央の為に『いい兄貴』でいなければいけないと思っていた頃の名残。それだけじゃない。他の一例として、リボンを解き髪をおろした姿の紗凪。 「いろんな紗凪を見てみたいなって思って。今の紗凪も、同じくらい大好きだけど」 「ん……。そっか」 「紗凪はボーイッシュな格好もすごく似合ってるし、髪をおろした姿も可愛いと思ってた。何だか久しぶりに見てみたいなって、そう思ったから。ダメ?」 「ダメじゃないよ。そっかぁ。嬉しいなぁ。……うん。わかった。あたしも色んなあたしを見て欲しいにゃあ」 新吾の腕に猫のようにすりすりとじゃれる紗凪。 「新吾ぉ」 「うん」 「いい子いい子、して?」 安心しきった笑顔で紗凪は言う。新吾は笑顔で応じてくれて、紗凪の頭を優しく撫で撫でしてくれる。今も十分楽しいけれども、紗凪は更に甘えてくる。 「もっと……いちゃいちゃしたい」 「そっか」 流石にそれには場所を変えなくちゃなと新吾は思った。公衆の面前であんまりいちゃつき過ぎるのもどうかと思うので。 「じゃあ」 ――そういうわけなのでウィンドウショッピングも程々に、公園のベンチに辿り着く。正面から見て右に紗凪、左に新吾という構図。 「誰もいないね」 「うん……」 「静かだね」 「うん……。えへへ〜」 紗凪は照れまくってはにかんだ笑顔。時折もじもじと体をよじらせて、落ち着きなく手を組んだり解いたりしてる。これから起こるであろうことが楽しみで仕方がないといったところ。 「紗凪」 「あ……」 新吾は紗凪の右肩に手を回して優しく引き寄せる。そして唐突にキス。 「ん」 当初は『どうしたい?』などと聞こうとした新吾。けれどそれは空気を読めてないかなと思い、無言のまま積極的になってみた。その効果はてきめんだったようで。 「うあぁぁ〜……」 結局、たった一回のキスでふにゃふにゃになってしまった紗凪だった。けれど新吾の攻勢は続く。甘ったるい時間はまだ始まったばかり。 「ん〜〜〜っ!」 新吾は紗凪の背中の方から腕を回し、顎や首元を人差し指と中指で触れて愛撫。猫を撫でるように優しくくすぐる。 「ひゃぅっ!」 「紗凪は可愛いなぁ」 「あぅぅ……っ!」 紗凪はひたすら翻弄され続けているけれど、一切抵抗しない。新吾は人差し指でくい、と紗凪の顎を上げさせて首筋にキス。 「あっ!」 紗凪はとっても敏感で、新吾が少し触れただけでびくびくと震えてしまう。 「あううぅ。新吾ぉ……」 「嫌だった?」 ぶんぶんとかぶりを振る。嫌なわけがなかった。 「違う……。そうじゃなくて、その……」 何だかとても言い辛そう。新吾は気を聞かせて紗凪の口元に耳を差し出した。内緒話でもするかのようにこっそりと教えてと言わんばかりに。紗凪は泣きそうになりながら言った。もう、今日は歯止めがきかなくなってもいいと紗凪は覚悟した。 「もっとして欲しくなっちゃって。えっちなこと、して欲しくなっちゃったの……。いっぱい触って、撫でて、いじって」 それは……流石に人の少ない公園であってもNGな行為だよなと新吾は思うのだった。 「……もっと……して」 恥じらいの表情がたまらなく愛おしくて、新吾は紗凪を強く抱きしめた。 …………
「ここしか思い浮かばなかった」 「うん……」 そこは学校。そしてぬこ部の部室。新吾は色々と考えた結果、今日は誰もいないことを思い出していた。アンジェも確か、今日は所用で一日出かけているとかなんとかで。 「紗凪。ここでいいの?」 「いい。……して」 鍵もかけたし今日は学校に殆ど誰もいないっぽいし、大丈夫。……多分、と新吾は思った。 「新吾ぉ」 大胆にも紗凪の方からキスをしてきた。抱き着いて背伸びしてちょっと必死そうなので、新吾も体を屈めて合わせてあげる。 「んん。ん〜」 口の中に舌を入れてくるような、公園の時よりも深くて長くて濃厚なキスだった。紗凪は楽しむようににやけながら全身で新吾の温もりを受け止める。 「んふふ〜」 「御機嫌だね。紗凪」 「だってぇ。好きなんだもん」 「俺も」 そうだ、と新吾は思った。もう一度、短めのキスをする。唇同士が離れると同時に新吾は紗凪を抱き締め、両腕で抱き抱える。 「わ、わっ!」 「久しぶり、かな?」 「お姫様だっこ〜。誰も見てないってわかってるのに、やっぱり恥ずかしいね……」 「うん。あの時は夢中だったから、改めて恥ずかしいことをしていたんだって思うよ」 「あは。スカートだと、持ち方によってはぱんつも丸見えだしね」 「……。ごめん。あの時は……注意はしていたつもりだったけど、上手くいっていたかどうか自信がない」 紗凪はくす、と笑った。全然気にしてないよと言っているように。 「重い、でしょ? 降ろしていいよ」 「全然重くないよ。紗凪は小さいから」 「ふんだ。ちびで悪かったね……ん、んんっ!」 お姫様だっこしたままキス。ちょっとした不意打ちに紗凪は目を閉じる事もできなかった。 「んにゅうぅぅ! し、新吾ぉ! ほ、本気で恥ずかしい! 頭、とろけそう! キスするときは目を閉じさせて〜! 不意打ち禁止!」 「ごめん。やめる?」 「う、ううん。嫌じゃないよ? 恥ずかしいけど、嫌じゃない……。あぅ……。して欲しいけど、欲しくない。あたし、何言ってんだろ。……ね、ねえ新吾。……もっとちゅーして」 デレデレ状態ここに極まりといったところ。して欲しくないわけがなく、結局またキスのおねだり。 「うん」 「ん……」 わずか数秒間だったり、じっくり十数秒間だったり、短いようでいて長いようなとっても情熱的なキスの時間。 「んん……。好き。幸せ。えへへ〜」 「キスのこと? それとも、俺のこと?」 「ん……。どっちも。大好きな新吾といっぱいちゅーするのがやっぱり大好き。大好きの二乗?」 「かな?」 流石に腕が疲れてきたので新吾は紗凪の体を大きなテーブルの上に優しく降ろして、そしてまた顔を近づけた。 「ん」 唇が触れ合う度に紗凪は笑顔を見せる。 「んふぅぅ……。もっと。もっとしてぇ」 「うん。もっとするよ」 「あ。んんっ」 紗凪の目は寝ぼけ眼のように半開きで、酔っ払ったように視線をさ迷わせていた。キスの連続はとてつもなく大きな刺激だった。どこか異世界にでも飛ばされて帰って来られなくなってしまったような、そんな気がするくらいに。 「新吾ぉ」 「うん」 今度は何かな、と新吾が思った。 「なでなでして。いい子いい子して。ぽんぽんってして」 長い髪をリボンでまとめてポニーテールにしている紗凪。左右の長く、小さな三つ編みもたまらなく可憐に見える。 「可愛いよ」 新吾は紗凪の望むまま、頭を優しく撫でてあげる。小柄な紗凪の頭は手で触れるのに丁度いい高さで、以前から無意識のうちにぽんぽんと触れてしまっていた。その度に紗凪は馬鹿にされていると感じて嫌がっていたが、今では嫌がるどころか自らして欲しいとおねだりしてくるようになっていた。 「んにゃ〜。あたし、何だか猫になったみたい。新吾に可愛いって言われると、本当に嬉しい……」 「だって。本当に可愛いんだもの」 「胸がどきどきしてる。好き……」 今度は紗凪の方からぴょん、と抱きついてきて、キス。 「紗凪」 「新吾ぉ」 意味もなく互いの名を呼び合う。肌が触れ合うだけで嬉しい。頬やおでこをぴたりと付ける。 「……。体、触って」 紗凪は恥じらい、体をよじらせる。 「うん」 小さくて細くてしなやかな体は新吾の保護欲をかきたてる。 「あ……。新吾。ごめん」 「え。何?」 まだ触れてもいないのに、紗凪は泣きそうな顔。 「おっぱいちっちゃいから。びぃかっぷで……」 「あ、ああ」 そういうことか、と悟る。 「みう先輩みたいになりたいよぉ」 胸の大きな先輩の顔を思い浮かべる。 「俺は全然気にしないけど」 「でも……。でも、新吾も女の子のおっぱいは大っきい方が好きでしょ? 触ってて嬉しいでしょ?」 「そんなことない。俺は紗凪のおっぱいが一番好き」 仰向けの紗凪は胸を隠すように両腕を組んでいる。バストの膨らみは確かに小ぶりで、ちょこんとしたものだった。新吾は紗凪の腕の中へと手を侵入させて、揉むというより撫でるように触れた。服とブラジャーの感触の中に、僅かだけどふにゃりと潰れるような柔らかさがあった。 「ん……。新吾が大きくして。いっぱい触っていいから」 「うん」 しばらくの間無言。何分くらい経過したことだろう。新吾は紗凪の胸をひたすら揉み続けていた。 「んん……」 恥ずかしさに耐えようと、両手でスカートの裾をしっかりと握り締めている紗凪。 (ちょっと固くなってきた) (あぅ……。変な気持ち……。くすぐったくて、もじもじしちゃう) 衣服の上からもわかる感触。小さくてちょっと固めの部分。触れられていくうちに紗凪の乳首は尖ってしまっていた。 「ねえ新吾」 「うん」 全部見てもらいたい。紗凪はそう思った。 「直に触って」 紗凪は言いながら服をブラごとたくしあげていた。白い小さな膨らみと桜色の乳首がぷるると揺れる。新吾は口を近づけて吸い付いていった。 「あっ!」 「どう?」 「お、お母さんになったみたいな気持ち。……何だか新吾、嬉しそう。でも、吸ってもミルクなんて出ないよ?」 「わかってるって」 「それでも吸うんだ。男の人って、不思議。ん……」 舌先が乳輪の外周をなぞっている。紗凪は新吾の背中を抱き締めるように手を添えてあげる。 「そりゃ、好きな娘の胸に顔を埋めてるんだから。幸せな気持ちでいっぱいなんだよ。吸い付きたくなるくらいに」 「……。そっか。そっかぁ。そうだよね。……うん。あたしも好きな人におっぱいいじってもらって……吸ってもらって、幸せ」 にやける紗凪。が、それだからこそやっぱりバストサイズの物足りなさに落ち込む。 「ああ、みう先輩みたいに大っきくなって新吾の顔を挟んであげたりこすってあげたりしたいのに……」 「気にしてないって。……触られたりなめられたりすると、気持ちいいの?」 「うん。恥ずかしくて変な気持ちになって、それで体がぽかぽかしてきちゃって……。ぬ、濡れ……てきちゃった。ちょっと、だけど」 「そっか」 じゃあ、そろそろ。ということで新吾は言った。 「しよっか」 「うん。して……」 紗凪は視線を逸らしながらそう言った。猛烈に恥ずかしいけれど、幸せな一時が始まる。 …………
「恥ずかしくて死んじゃいそう……」 脱がされたショーツが紗凪の横に落ちている。既にはだけていて何の意味も成していないけれど、何故か服は脱がさないでそのままにしてと、紗凪からの要望。紗凪は両膝が胸につきそうなくらい折り曲げられて、左右に全開。テーブルの上で大股開きをすることになってしまった。 「あぅぅ。まな板の上の鯉っていうか、産婦人科みたいな格好だよ。あんまり見ちゃ嫌……」 スカートの中は完全に無防備。どう目を逸らそうと、淡い毛に覆われた割れ目がくっきりと見えてしまう。 「紗凪……」 涙目の紗凪を慰めるようにキスをしてあげる。 「んぅ……。新吾ぉ」 紗凪はまた可愛らしいおねだり。 「うん?」 「えっちしながら、ちゅーもして。……なでなでも、して」 「いいよ」 そして二人は密着していく。意を決したように紗凪は目を閉じる。 「んーんんん、んぅぅ。あ、あ……。新吾の……大っきいのが入ってくるよ」 結構な圧迫感。体を裂かれていくような、内部に異物を埋め込まれるような違和感。 「痛くない? 大丈夫?」 「ふふ。言うと思った。本当に優しいんだから」 紗凪はちょっと涙を浮かべながら笑顔を見せる。 「全然痛くないよ。……でも、テーブルの上だから背中がちょっとだけ痛いかも。って、あぁっ!?」 配慮が足りなかったと新吾は反省。突然クルリと反転。紗凪の負担を取り除くために正上位の格好から入れ替わり、紗凪が新吾の体に跨がるような形になっていた。 「新吾ぉ。そんなに気を使わないでいいよぉ。大丈夫だから」 本当にもう、しょうがないんだからと、慈愛に満ちた表情の紗凪。もしもこの人が自分以外の誰かとお付き合いをしていたとしても、きっとこんな風に優しく接してくれるんだろうな、等とちょっと思った。けれど、我が侭かもしれないけれど、今は自分だけを見て欲しいと思ったのでその思考を無理にでも振り払った。どんなに仲のよい親友でも、新吾を取られてしまうのは辛いから。 (独り占め……したいよ……) 「じゃあ、こうしようよ」 「え。あ……」 「これでおあいこ」 「……。うん」 今度はまた新吾が体を起こす。テーブルの上に腰掛けて、その上に紗凪が乗っかるような形。互いに一つになったまま向かい合って、もちろん抱きしめ合ってキスをする。 「んにゅぅ。ん、ん。好き。新吾……。好き。この格好……いい」 「紗凪……」 「あ、ん、んん。暖かい。新吾のぬくもり、いっぱい〜」 テーブルの脚が床と擦れ合い、ぎしぎしと音を立てる。新吾は紗凪の中に強く、深く突き上げるわけでもなく、軽く揺らすだけ。ゆったりとした動きはいつまでも続けていられそう。 「新吾。……このままずっと、一つになっていたいな」 「いいよ。紗凪がそう望むなら」 無理に動きを早めることも激しくする必要もない。二人でのんびりと散歩でもするようかのような交わり。 「じゃあ、すこーしだけ動いて。すこーしだけ、だよ?」 紗凪は目を閉じて夢見心地。 「うん。少しだけね。これくらい?」 「んん……。いいよ。いい感じ。新吾、ありがと」 紗凪は嬉しくて新吾を抱きしめる力を強める。 「紗凪。可愛い」 「ん。あ……。くすぐったいよ、そこは。あふっ」 新吾の唇が紗凪の首元に触れる。紗凪は軽く感電したかのように体をふるると震わせる。 「あ、締まりが強くなった」 「も、もぉ。仕返し!」 「わっ」 今度は紗凪が新吾の首元にキス……だけではなくて舌でぺろりと舐めてみせる。 「あっ」 「わわっ! し、新吾ぉ! むくむくってしてきた〜!」 仕返しをしたはずが返り討ち。ただでさえ圧迫感があるのに尚更大きくなるなんてと、紗凪は慌てふためく。 「紗凪がそういうことするから」 「新吾だってしたじゃないか〜!」 繋がったまま至近距離で意地を張りあう二人。 「こうなったら、こうしてやる〜」 「わっ」 紗凪は新吾の胸元をはだけさせ、同じように剥き出しになった自分の膨らみを押し当てて上下左右にこする。 「うりうり〜。どうだ〜まいったか〜。びぃかっぷの怖さを教えてやる〜」 悪戯っぽく笑う紗凪。 「柔らかいよ、紗凪」 誉められたはずなのに全然嬉しくない。言葉は時に残酷だと紗凪は実感するのだった。 「……ごめん、調子に乗った。全然柔らかくなんてないよね。やってて情けなくなってきた」 空気は重くて暗く、ずーんと縦線でもいっぱい出ていそうな状態。勝手に落ち込んでる紗凪だったけれど、新吾は無論フォローを忘れるわけもなく、続けてと言った。 「続けても気持ちよくないでしょ? 洗濯板みたいだし」 「そんなことない。紗凪の尖った乳首が擦れて気持ちいいよ」 ぴこん、と飛び出るように起った乳首が新吾の肌に触れ、くにゅ、と折れ曲がっている。改めて恥ずかしさが込み上げて来る。 「……あたしも乳首の大きさなら、みう先輩にも勝てるかな?」 「さあ?」 ちょっとはしゃぎすぎたかもしれない。しばらくの間静止。時計の針の音すら響くような、とても静かな一時が続いていく。それでも変化は訪れる。 「ん……。ふ。んん……ん……」 僅かに身をよじるだけだった紗凪が、ゆっくりと腰を上下し始めた。 「あふ……。はふ……。はあ、はぁ」 「紗凪。いきそうなの?」 「うん……。ごめんね、えっちな娘で。こんな……腰を動かしちゃって……。ずっとこのままでいたいなんて言っておいて、こんなんで」 「いいよ。俺はそんな紗凪が大好きだよ」 「んっんっんっ。あ……だめ。いきそう」 その証拠に紗凪の体は小刻みに震えていく。 「いいよ。我慢しないで」 「う、う、う〜。体が勝手に動いちゃう」 紗凪の顔は熱にうなされたように赤く、吐息も小刻み。そんな紗凪の体を優しく支えてあげている新吾は全く動いていない。 「自分のペースでいいからさ」 「う、うん。……ん、ん。あっあっあっ。何か、もう……声が漏れちゃうよぉ。我慢しようとしてるのにぃ」 新吾は右手で紗凪の前髪をたくし上げておでこにキス。愛しさの余りに思わずしてしまった。 「我慢しなくていいんだって」 「でも、でもぉ」 恥じらい続ける紗凪に、新吾は耳元でささやくように言った。 「可愛い声、もっと聞かせて」 「う……ん。あ、あ、あ……はぅ、はふ、はぁぁ。あ、あ、もう……いっちゃう。あ、あ、あ、ん」 紗凪の体がもぞもぞと上下に動く。リボンで結ばれた、尻尾のような長い髪もゆさゆさと揺れている。 「は、ふ……あふ……。あ、あ、ぁっぁっ……うぅ〜〜〜」 ひく、ひく、としばらく痙攣。紗凪は思いきり強く新吾の体に抱きついて快感がおさまるのを待ち続けた。 「はぁ、はぁ……。新吾ぉ」 「うん」 「……いっちゃった」 上目遣いでそう言う紗凪。目の周りがじんわりと潤んでいる。恥ずかしさに耐えきれないようだった。 「そうみたいだね。紗凪の中、きゅううって締め付けてきたし」 「あ……。し、新吾」 「うん?」 「……動いちゃダメ!」 困ったように言う紗凪。全く動かなかった新吾が両手で紗凪のお尻を掴み、ゆっくりと腰をうごめかせ始めたのだった。 「どうして?」 「それは……」 とても言い辛そうだった。 「いったばかりなのに、またまたいっちゃいそうだから?」 どうやら紗凪は超絶な程敏感な体質のようだった。 「あ……。うぅ〜。バカバカ〜。新吾の意地悪……。わかってるのに言わせるなんて〜。あ、あ、あっ」 「いいじゃない。俺は紗凪にいっぱい気持ちよくなって欲しいな」 「あっ! ひゃああぁっ! く、くすぐった……あふっ!」 紗凪の首元に舌を這わせると、びくびくっと跳ねるように震えた。それも一度や二度ではなくて何度も。 「紗凪、またいっちゃったでしょ?」 「う、う〜……うぅぅ。もう、こうなったら仕返しだからね。ん、ん……」 ガックリと脱力する間もなく、意地を張った紗凪の逆襲開始。やられっぱなしではいられない。新吾をいかせるために自ら腰を上下させ始める。 「そりゃ。んっ。いけ。いっちゃえ新吾。あっ! んっ!」 「ぷっ」 一生懸命な姿がとても可愛らしくて、新吾は吹きだしてしまう。 「わ、笑うな〜〜〜! ぎ、ぎぶあんどていくでしょ! あたしだけが気持ちよくなっちゃうなんて……ダメだよそんなの。新吾もいくの。気持ちよくなるの」 とても不器用な紗凪の優しさ。新吾は紗凪を抱きしめながら言った。 「ありがとう。……じゃ、遠慮なく俺もいかせてもらおうかな。……と、思うんだけどさ」 「何?」 「多分、俺が一回いく間に紗凪は二、三回はいっちゃいそうなんだけど。ものすごく敏感だから。それでもいいよね?」 「え? ……あっ!」 突如、紗凪の体が持ち上げられた。 「しっかりしがみついていてね」 「あぅぅっ!」 一つになったまま新吾が突然立ち上がった。両腕で紗凪を抱きかかえ、所謂駅弁スタイル。立ち上がった拍子に紗凪の奥深くまでズンッと打ち込まれていた。 「あっ! あ、あ……」 まだ始まってもいないのに、紗凪はいきなり絶頂を迎えさせられてしまった。 「あ……新吾……。だめ。激しすぎ……あっ」 「いっぱいいっていいからね」 「あっあっあっあっあっ! あ、あたしの体……おもちゃみたい……」 テーブルがきしみ、ぎし、ぎし、と一層激しく音を立てる。宙に浮かされた紗凪はひたすら揺さぶられ、まくり上げられたスカートの下に剥き出しのお尻が見える。 「こんな……こんな格好で、こんな……とこで……」 「どきどきするでしょ」 「あうぅっ!」 新吾が突き上げる度に紗凪の股間は湿りを帯び、ぽた、ぽた、と透明な滴となりテーブルを濡らしていく。 「ふ、深いいぃ!」 「もっと揺らすよ」 「あ、あ……あ、あ〜〜〜っ!」 紗凪の中から新吾のものが引き抜かれる直前まで抜けて、そのまま一気に押し込まれる。そんな大きな動きが断続的に続き、紗凪は悶絶状態。 「あ、あひっ! 新吾……だ、め……また……あっ!」 ずん、ずん、と体の芯まで打ち付けるように感じるくらい強く交わる。 「あ! あ! きちゃう……。出ちゃう……あっ!」 一瞬で決壊。紗凪と新吾の結合部から洪水。最初はぽたぽたという程度だった滴は段々と量を増していき、やがてシャワーのようにぷしゃあああと拡散していった。 「ああ! あああっ! で、ちゃった……! ああああっ! こんな……こんなっ! は、恥ずかしいいぃぃ!」 「いいんだよ。我慢しなくて」 大きなテーブルの上は紗凪が作り出してしまった水たまり。今も尚びちゃびちゃと落ちていく。やがて溢れて床を濡らしてしまうことだろう。 「はう! あふ! あ、あっあっあっあっあっ! あたし、ま、また……いっちゃうぅ。新吾は……まだ、なの……?」 「俺も、そろそろいくよ」 「うん! いって。いっぱい……。あたしの体で感じて……。気持ち良くなって」 「一緒にいこうね」 「うん! 一緒にいく……。あ、あ……はああああんっ!」 「出る。あ……出てく……」 新吾は達し、紗凪の体の中に熱いものが込み上げていった。 …………
テーブルの上は水浸しなので使えず、降りて椅子に腰掛けている新吾とその股間に顔を埋めている紗凪。 「んく、んん、んく、んにゅ……」 紗凪による反撃中。彼女曰く、あたしは五、六回くらいいったのに新吾がたった一回しかいっていないのに納得がいかないとのことで、口でしてやる〜、といった感じに攻勢へと転じていた。 「んにゅ、んんぅ、ん、ん、ん、んぐんぐ」 「紗凪は一生懸命だなぁ」 「んふふふ。ん、ん、ん。んにゅっ! って、どーして全然いかないのよ! さっきからずっとしてるのに」 「え?」 紗凪は突然、くわえていたものを口から離して抗議するのだったが、すぐにハッと気づいたように言った。 「まさか。全然気持ち良くない?」 紗凪の大きな目がじんわりと潤んでいく。 「そんなことない。すっごく気持ちいいよ。けど……いっちゃったら、離れないといけないからさ。紗凪の優しさをずっと感じていたいから、結構我慢してたりして」 「なーんだ。そっか。よかったぁ。あたしがおしゃぶり下手だから、全然気持ち良くなってくれないのかなーって思った。ってゆーか、そういう気遣いはいらないって言ってるの! ずっとずっと感じさせてあげるから、今は思いっきり出してよね! あーーーんっ! はむっ!」 「わ、わっ! 紗凪っ!」 にっこりと笑いかけながら口での愛撫を再開。それはもう情熱的で濃厚で、愛情と好意に満ち溢れた愛撫で、新吾は結局思いっきり射精することになるのだった。 …………
二人揃って同じ思いを抱く。……つまりはまだまだいちゃいちゃしていたいし、とてつもなく名残惜しいのだけれど、そろそろ帰ることにする。引き戸のドアをがらりと開け、部室を出る。外はもう夕暮れ色に染まっていた。 「あれ?」 「アンジェだ」 「あらあら。新吾さんとさっちゃんさんはご一緒だったのですね〜」 ばったりと、帰宅したばかりの野良メイドさんに出会った。とても愛想の良い笑顔。 「……じー」 「さっちゃんさん、いかが致しましたか?」 紗凪はじっとりとした目でアンジェを見つめる。視線の先には一見謙虚なようでいてそれはもう自信満々で自己主張の猛烈に激しいバスト。白いエプロンに包まれたそれは一目でわかるくらいにボリュームたっぷりで、わざと強調しているかのようなデザインのメイド服。何だか紗凪は思いっきり喧嘩を売られているような気になってきた。 「アンジェ」 じっとりとした目から、嫉妬と羨望に溢れた視線を投げかける。紗凪のコンプレックスに火を付けてしまったようだ。これがみうならばそんなことは絶対にしないのだろうが、アンジェは何故か別だった。 「はい〜」 「少しくらいおっぱい分けろ!」 「はひゃっ!?」 当然の事ながら、アンジェは目を真ん丸にして驚く。 「ささささ、さっちゃんさんご乱心でございますご勘弁でございます殿中でございます〜〜〜! おおおお落ち着いてくださいまし〜〜〜! さすがにさすがにおっぱいはお分けできませんでございます〜〜〜!」 「うるさい! よ〜こ〜せ〜! 無駄にでかいおっぱいよ〜こ〜せ〜!」 「むむむ無駄ではございませんです〜〜〜! アンジェのおっぱいは未来の旦那様に喜んでもらうためにあるのでございます〜〜〜!」 「むかーーーっ! けちけちしないで少しよこせ〜〜〜! こうなったらアンジェのおっぱいの脂肪分を吸い付いて吸い尽くしてやる〜〜〜! おりゃ〜〜〜!」 「おおお、落ち着いてくださいまし〜〜〜! し、新吾さんはお優しい方ですからさっちゃんさんのお胸が小さくても気にしないでくれますきっと! はう〜〜〜!」 「だーーーっ! びぃかっぷで悪かったなーーーっ! いつか絶対おっぱい大っきくさせて新吾に尽くしまくってやる〜〜〜っ!」 「あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜!」 元気にじゃれ合う二人を横目に苦笑する新吾。 「何をやっているんだか」 デートの終わりはいつものようにお祭り騒ぎ。こんな風に段々と日は暮れていくのだったとさ。 ----------後書き----------
WhiteCanvasシリーズのファイナルは一番人気の紗凪きちでした。PSP版では当然ながらえっちシーンがないので、もしあるとしたらシナリオ同様徹底的にデレデレなものになるのではないかなと考えて、今回のような展開になりました。 ましろ色シンフォニーはアニメ化も果たし、いい感じに注目されてきて嬉しい限りです。WhiteCanvasシリーズはこれにて終わりますが、また別の形で短編作などを書いていきたいと思います。 願わくば、シリーズものを書きたいなと思わせてくれるような良作に出会いたいものです。ましろ色シンフォニーのような、ヒロイン全員分のお話を書いてみたくなるような。
ご感想を頂けると嬉しいです。
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