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おまじないを解かないで!










「ふああ……」

 資料室にて。いつものように入り浸る二人。朋也と春原は共に有紀寧がいれてくれたコーヒーを飲んでくつろいでいた。朋也の隣に座っている春原は有紀寧と何やらおしゃべりをしているのだが、朋也の耳には入らない。それもそのはず。うららかな春の日差しが照りつけて、うとうとと眠気がこみ上げてきていたところで、大あくびをしているのだから。いっそこのまま机に突っ伏して一眠りしようかなと思ったのだが。

(何か。やりてぇな)

 ……朋也も年頃なので、そのような事、つまりは性欲に溢れた妄想が無意識のうちに頭の中に浮かんできてしまうことはよくあることで。ところがその時、邪魔をするかのように春原が声をかけてきた。

「……岡崎。何かないか?」

「あ?」

 いきなり何だ、と思った。何の前触れもないのだから仕方がない。

「あ、じゃねえよ。何かしてみたいことないのかよ? 何でもいいから何か思い浮かべてみろよ」

 いまいち話が見えないが、とにかく朋也は自分の頭の中のデータベースにおいて、ジャンル・カテゴリ分けなどを無視した上での無条件での『してみたいこと』なら、ちょうど今検索に引っかかっていたわけで。再度適当に頭の中に思い浮かべてみせる。

(あー……。激しく女と駅弁ファ○クしてぇ。持ち上げて、下からガンガン突き上げてガクガク揺さぶってあんあん云わせて。って、何考えてんだ俺は)

 さすがに内容は云えなかった。有紀寧の前だし、そもそも放送禁止用語だし。でも、とりあえず頭の中で思い浮かべてみることはできた。我ながらなんちゅー卑猥な行為を思い浮かべているんだろうか。ひょっとして溜まってるんだろうか? とかとか、つくづく思ったが。

「思い浮かべたぞ」

 そしたら春原は有紀寧の方を向いて……。

「だってさ。有紀寧ちゃん」

「はい。いいですよ〜」

 有紀寧はにっこりと笑って云った。これでおまじない完了です、と。朋也にとってそれは青天の霹靂。なぬ? とばかりに表情を引き締める。

「……。待て。一体何の話だ?」

 一瞬背筋に冷たいものを感じる。まさか――。まさか今、あのおまじないを発動させたのか?

「あ? お前何も聞いてなかったの?」

「聞いてねえよ!」

 どうやら彼らの中では完全に、朋也も会話に参加していたようにとらえていたようだ。未だ話の見えない朋也に対し、有紀寧は再度確認するように云ってくれる。

「おまじないですよ」

 やっぱりか、と朋也は思った。そして、念のためにもう一つ聞いてみる。

「ちなみに、どんな内容の?」

 そうしたら有紀寧は微笑みながら説明してくれる。仕草も表情も何だかとっても楽しそうで、見ている方もほわ〜んとした気分にさせてくれる娘だなと、朋也も春原も思った。優しそうなたれ目に誰もが皆、惹かれているのだ。

「はい。『好きな人にしてみたいけれど、恥ずかしくてなかなかできないこと』を実現させるおまじないです。素敵ですよね」

「っ!」

 朋也は青ざめた。好きな人……とは他でもない、目の前にいる可愛らしい笑顔の女の子なわけで。それに対し、自分がさっき何を考えていたのか思い出して朋也は焦った。

(や、やばい! これはやばい!)

 このままではとんでもないことになってしまう。有紀寧のおまじないをなめてはいけない。効力は既に実証済みなわけで、すぐにどうにかしなければ! どうにかしなければ公衆の面前で有紀寧をどうにかしてしまいそうだ……! 例えば襲いかかったり押し倒したり、その直後に、有紀寧を慕う強面のお兄さん達によってボコられることは確実だろうけれど。……というわけで、有紀寧の貞操と共に自分の身も守るために慌てて頼むことにする。

「と、取り消してくれっ! どうすれば解除できる!? 呪いを解ける!?」

 既におまじないは呪い扱いされていた。

「それが……」

 あはは、と微笑みながら有紀寧は本を見せた。困りましたねぇ、と云いながら全然困っていなさそうだがそれはさておき。古い本で、おまじないを解く方法の欄はたまたま虫食いになっていたようで。つまるところ、解除不可……。となると、さぁどうするか。朋也は必死に考えを巡らせる。

(あああ。や、や、やばい! このままではやばい! と、とにかく一刻も早くこの場を離れなければ!)

 危機を回避するためにはまず逃げること、と判断したようだ。朋也はやおら立ち上がり。

「ち、ちょっと用事を思い出した。急いで行かなければ!」

 嘘も方便。こういうときに手段は選んでいられない。

「お帰りですか?」

 有紀寧はにっこりと笑ってドアのところまでついて来ようとする。例えて云うならそれは、とっても可愛らしい若妻のよーな仕草で。

「あ、や。急ぐんで! じゃっ!」

 そんな彼女には申し訳ないと思いながら、こうしないととても危ないことになるので致し方ないんだ、と心の中で叫びつつ廊下を走って逃げていくのだった。

「朋也さん、どうしたんでしょう?」

「どうしたんだろうねえ?」

 必死な朋也とは対照的に、呑気な有紀寧と春原だった。そして、朋也はその後どうしたのかと云うと?

「よ、よし。ここまで来れば大丈夫だろう」

 慌ててかけだして、適当に隠れ家もとい空き教室をみつけて入り込む。ここらで机にでも突っ伏して昼寝でもしてしばらく時間を稼げば、有紀寧も帰宅しておまじないの効果も自然消滅するだろう、と判断したのだった。





そして日が暮れる。





「ふあぁ」

 朋也はようやく目覚めたが、まだちょっと寝ぼけ眼だった。よく寝た、と実感しつつ空き教室を出て暗い廊下を歩む。が……不意に背後から声をかけられて、驚いてビクッとしてしまった。

「朋也さん?」

 暗がりの中に、小柄な人影。その声は聞き慣れた女生徒のもので。朋也にとって誰よりも大好きなのだけど、諸事情につき今だけは会いたくなかった人の声。ま、まさか、と思いつつ声をかけてみる。

「……宮沢か?」

「はい。あは……。ちょっと眠くなっちゃって。皆さん、気を遣ってそのままにしてくれたみたいで」

 朋也は何となくその図が想像できた。有紀寧の天使のような寝顔を見て、誰もが起こすのが罪のような気がしてしまったのだろう。

 おっとりした性格の有紀寧はちょっと恥ずかしそうに微笑みながら、そう云った。それを見て朋也は何だか自分が彼女を避けていたのが馬鹿らしくなってしまった。彼女のおまじないは何度か的中したけれど、やっぱり全てはたまたまだったのだろう、という結論に至ったわけだ。そう思ったら何となく緊張が解れてきて、ふぅ、と溜息を一つついたのだった。

「一緒に帰るか」

「はい〜」

 暗い夜道は危険で、一人歩きさせるわけにはいかない。さすがに朋也もそこまで無神経ではなかった。相手が有紀寧なら尚更だ。

「そういえば、あのおまじない。どんなことを思い浮かべたんですか?」

「あ、あ〜」

 あんまり突っ込んで欲しくないところだったので、答えに詰まる。

「内緒だ。……でも多分、何も起きないぞ?」

「そうですね」

 どことなく残念そうな有紀寧だった。おまじないは所詮おまじないというのが二人の結論で、そのままこの話題は風化する……と、思われた。





二人が階段を下りるところまでは。





「きゃっ!」

 踊り場まであと数段というところでアクシデント発生。暗くて足下がよく見えなかったのか、朋也の少し後ろを歩いていた有紀寧は足を滑らしてしまう。朋也はそれを見て無意識のうちに手を出した。そういえば今日の掃除で、この階段にワックスをかけていたっけとか思い出したのだったが、今はそれどころではない。

「危ねっ!」

 鞄と共に、自分の横をふわっと舞うように落ちていく有紀寧を両手で抱くように押さえるものの、勢い余って朋也自身もそのままつんのめってしまって……。

「と、とっとととっ。てっ」

 ジャンプして何とか体勢を整えようとするも、踊り場に着地した時によろめいて、挙げ句の果てに転んでしまった。結局二人共、数秒後に抱きあうようにして重なっていた。

「ご、ごめんなさいっ。大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫大丈夫。宮沢は?」

「大丈夫です。本当にごめんなさい。不注意で……」

 心底申し訳なさそうに謝る有紀寧。が、朋也自身は何ともなかった。それよりも、とばかりに朋也はハッとなる。今のこの格好……。仰向けに倒れた朋也の上に、有紀寧が跨るように乗っかっている。いわゆる騎乗位というやつで。

(や、やばい。まさか……まさかここに来ておまじないが発動!? う、嘘だろ。落ち着け落ち着け。どうどう)

 と、冷静さを取り戻そうとするが。そこで頭に浮かんだのは……。

(で、でも。今ならその……で、できちまう……よな?)

 できてしまう、というのは先ほど想像した卑猥な妄想のような行為。もし今このままその気になって、朋也が上半身を起こして有紀寧の足の下に腕を入れて手でお尻をがっちりと掴んで……そして、有紀寧を自分にしがみつかせて、有紀寧の中に挿入してから仕上げに持ち上げれば。そうすれば、朋也が想像したところの体位が完成するわけで。想像していたらドクンと心臓が跳ね上がったように感じた。してはいけないことだけど、してみたい。一瞬そう思ってしまったが最後。火でも付いたかのように……。

(ああ、だめだだめだだめだ。んなこと考えてる場合じゃない)

「ご、ごめんなさい。今どきま……。あ」

 そんな朋也の苦悩を知る由もなく、有紀寧はどこうとして、突然何かを感じ取ったようだった。それもそのはず。今、二人は密着していて互いの……男性の股間と女性の股間とがぴったりとくっついてるわけで。そんなタイミングで朋也のものが急激にむくむくと膨らんでいってるのがわかってしまったのだから。有紀寧の顔がかーっと赤くなっていく。同時に、朋也にもその理由がよーくわかった。わかってしまった。ああ、ばれてしまったな、と気付いたときは手遅れになっていた。

「宮沢」

 硬直してしまった有紀寧に朋也は云った。恥ずかしさを凌駕する感情がこみ上げてきたから。その感情とは……もはやおまじないなんて関係ねぇ。俺は今、有紀寧と、したい。というストレートなものだ。

「おまじないで、俺がどんなこと思い浮かべたか……知りたいか?」

「あ……。は、はい……」

 ショーツの薄い布地一枚隔てて、朋也のズボンの中身が更に盛り上がっていくのがわかる。有紀寧は頬を更に赤らめながら視線をさまよわせる。金縛りにあったかのように、銃でも突きつけられたかのように体が動かなかった。

「春原の馬鹿が、いきなり何か思い浮かべろって云ってきて。俺は眠くてよく聞いてなくて、わけもわからず、えっちなこと……したい、って。そう思っちまったんだ」

「……」

 だからいきなり用事ができたとか云っていなくなったんだ、と有紀寧は納得した。そうしないと、どうなるかわからなかったから。

「ちなみに、な」

 妄想の、もっと具体的な事を伝えてみる。さすがに朋也も恥ずかしいのか、有紀寧の耳にささやくように。駅弁というのはだ、これこれこーいう感じでこーいう風にしてだ……とか、無駄に懇切丁寧に。

「っ……!」

 有紀寧はそれを聞いて、恥ずかしさのあまりぽ〜っとしてしまう。だが……。

「あ……あの。あの……。朋也……さん」





混乱したからなのか、本心からなのか、それともただの興味本位なのか。





とにかく有紀寧は云った。





「誰も……来ませんから」





と……。





 何の確証もないけれど、絶対そうなのだろうと朋也は思った。この娘は魔法使いか、とも。事実、踊り場の周囲というよりも校舎内は結界でも張られたかのようにシーンと静まりかえっていて人気など欠けらも感じなかった。

「み、やざわ……。い、いいのかよ?」

「は、い。いい、です。して、ください」

 朋也は緊張して少し震えながら白い、シンプルなデザインのショーツを人差し指でぐいとずらす。無造作な行為に有紀寧は体を縮ませながら目を細める。ショーツに覆われていた有紀寧の秘部が露わになり、薄い陰毛に覆われた中に、一筋の小さな割れ目が見えた。朋也は朋也で未だに少し迷いながらもズボンのチャックを下ろし、トランクスのボタンも外して極限まで大きくなったものを取り出す。そして二人は見つめ合い、どちらからともなく互いに位置を確認し合いながら……。

「入れる、ぞ?」

「はい。いき、ます。……ん、んふぅっ!」

 朋也は下から押し上げ、逆に有紀寧は上から押し込む。有紀寧はぐにゅっとした圧迫感に、唇を噛みしめながらも腰を落として……あっさりと、あっという間に全てが埋没した。

 そしてそのまま朋也の告白の通りに、有紀寧は両腕を朋也の背中に回してしがみつく。こうなると朋也ももはや後に引けなくて、両腕で有紀寧の足を抱え込むようにさせてから両手でお尻を掴んで固定して……そのまま足と腰に力を入れて、グッと一気に持ち上げる。その時に生じた強い衝撃で、有紀寧は切なげな声をあげてしまう。

「あぁぁっ!」

 有紀寧の体は軽くて、柔らかくて、とにかく可愛いなと朋也は思った。好きな娘の体を宙に持ち上げて、それを支えているのは自分だけ。まるで魅力的なおもちゃを独占するかのようで、朋也は興奮した。暗い校舎の中で、偶然が重なったとは云え二人は一つになったのだから。転んだ拍子に投げ出された鞄なんてそのまま置き去りにして、とにかく今を楽しむことにするのだった。

「あっあっあっ」

 朋也が少し歩くだけで僅かな振動が発生して、ずく、ずく、と結合部が前後にずれる。その度に有紀寧は堪えきれない声をもらしてしまう。それがたまらなく恥ずかしいので無理な注文をしてみるが……。

「んあっ! う、動かないでくださ……あっ!」

「そんなこと云ったって。……階段、下りるぞ?」

 朋也もさすがにここでじっとしているのはどうかなと思って、そうしたのだけど。階段を一段下りる度に。

「あっん!」

 小柄で華奢な有紀寧の体は簡単に揺れて、がくん、と前後する。その拍子に、奥まで埋没していた朋也のものは引き抜かれて……。

「はふっ……んっ!」

 二段目を下りると、また、がくん、と揺れて今度は奥まで埋没する。有紀寧はその度にぶるると震えて、あえいでしまう。

「ああんっ!」

 何だか焦らしているようで可哀想なので、朋也が気をきかせて一段抜かしで下りると、ズンッと強い突きになってしまう。朋也が有紀寧をいじめているように見える。

「きゃふっ! だ、だ、め。ですぅ……。じっとして、くださ……あっあっ!」

 朋也は有紀寧の敏感すぎる反応を見ているうちに、いじらしく感じて、わざと前後に揺さぶるのだった。

「あ、あぁぁ……あぁぁ……あ、はぁぁ……」

 僅かな吐息と共に、消え入りそうな声。朋也にとって、今の有紀寧は普段よりとても色っぽく感じた。

「宮沢。感じてるんだ」

「だ、って」

 腕の疲れなど感じないくらい、朋也はどきどきしていた。……密着して、互いの吐息と共に熱い温もりを感じて……服を着ているのにそんな感じがしなくて、まるで裸で抱きあっているようだった。

 そして階段を何とか下りて廊下に出て、朋也は前方を伺う。もちろん誰もいない。こんな時間に誰もいるわけがない。それでも不安になって、有紀寧にささやいてみる。

「誰かに見つかったら……やばい、よな」

「だ、いじょうぶ。だと思います」

「どうして?」

「このおまじないは『二人だけの時』限定……ですから」

 なるほどと朋也は思った。だから誰にも見つかる心配はないだろう。もう二人は完全に、おまじないの効力を信じていた。恐るべしおまじない……呪いとでも云うべきか。

「そっか。……じゃあ、こんなことも、して、いいわけだ……なっ?」

 そうとわかればもう遠慮はいらなかった。やりたいことをするまで、とばかりに朋也は両手に力を入れる。やりたいことはただ一つ。

(メチャクチャにしてやりてぇ)

 有紀寧の体を持ち直し、そのまま手加減抜きでずんずんと廊下を小走りで駆け始めたのだった。突然そんなことをされたから有紀寧はたまらなかった。高圧電流でも流されたかのようにビクッと体を震わせてしまう。

「あっ! あっあっあっあっ! だ、だ、だめ……あっあっ! あああっ! ああああっ!」

 すさまじい勢いで有紀寧の体は揺さぶられて、声をあげてしまうけれど。

「有紀寧。誰かに聞こえるぞ?」

「え……あっ。んんっ」

 脅されるかのように云われて、慌てて口を閉ざそうとする。

 どさくさに紛れて自分の事を始めて名前で呼んでもらえた、などと喜ぶ間もなくキスで唇をふさがれてしまう。そしてそのまま更に前後に揺さぶられる。散々奥の奥まで貫かれてかき混ぜられ、熟れた果実のような秘部からぬるっとした汁がこぼれて下着を汚していくが、そんなこと気にせずにされるがままに身を任せる。今はとにかく落ちないように必死にしがみついて、ひたすら突かれる。

「んっんんぅっ! あっあっあっあっあっ! んんんぅっ!」

「有紀寧。どうだ?」

「あっ……はっい……っ。き、きもち……いい……です。んんっ!」

 朋也は両手で有紀寧のショーツの中に手を這わし、ぐにぐにと揉み回す。柔らかくて、可愛らしい感触が手に残って離れない。そうして更に動きが早められていく。もう何も迷うことはなくて、達するのを待つだけ。

「ああっ! ああっ! あああああっ! も、もう……わたし……ああっ!」

「出る、ぞ」

「ああああっ!」

 もう限界だった。有紀寧も朋也もいつしか達して……。

「は、あ……」

 有紀寧はようやく解放された。体を降ろしてもらい、脱力したのか廊下の壁にもたれかかり、ずるずると崩れ落ちて……大股開きのままぺたんと座り込んでしまった。

 有紀寧のショーツは愛液による染みとと射精された朋也の精液でどろどろに汚されて、割れ目が見える程透けていた。





それだけでは終わらない。





 月明かりだけが差し込む教室にて。中にいるのは二人だけ。

「あっ! あっ! はぁっ! あんっ!」

 有紀寧は黒板に手を付かされて腰を曲げさせられ、背後から激しく攻め立てられていた。邪魔とばかりに制服はおろか下着まで全て脱がされて……かろうじて身につけているのは足下の白いソックスと上履きだけという、羞恥極まる格好にさせられていた。

 あの後。一度達した後で、有紀寧は云ったのだった。『今度はわたしから、同じおまじないをしてもいいですか?』と。朋也も頷いて、有紀寧は何やら怪しげなポーズをとった後で、願い事を念じながら目を閉じた。

 どんなことを思い浮かべたんだ? との問いに、有紀寧はくすっと笑って口元に人差し指の先っぽを当てて『それは秘密です』と云った。でも、朋也には薄々わかっていた。だから激しく突きまくる。ぱち、ぱち、と、軽く音を立てながらお尻に叩き付ける。その度にお尻の柔らかな肉がぷにゅぷにゅと形を変えていく。

「はっ! あっ! んっ! あふぅっ! あぁぁぁ……そこ、は……あああっ! あっ……ん!」

 朋也は有紀寧を突く度に、ふるふると小刻みに揺れる胸を背後から手を回して掴んで強めに揉み回す。小振りだけど形の良い胸はふにゅ、と形を変えていく。

「起ってるぞ」

「はぅっ!」

 きゅうう、と乳首を強めにつままれると有紀寧は長い髪を振り乱し、目を閉じながら堪えた。

 結局、廊下で一回した後ですぐまたしたくなって『もう一回、してもいいか?』と朋也が聞いたところ。有紀寧は笑顔で頷いた。そして今、二人がいるのは二年生の……有紀寧の教室だった。どこか場所を探しているうちに辿り着いた。

 そこで朋也は聞いた。『有紀寧の机はどこだ?』と。『ここですよ』と、有紀寧が指をさしながら云った瞬間、朋也は有紀寧の唇を奪うようにキスをして、制服の上から胸を揉みしだいていた。……その数秒後、床の上には乱暴に脱ぎ散らかされた制服があった。朋也はがっつくようにして有紀寧の上着のボタンを取り払い、紺色のインナーを一気にたくし上げてその流れでブラも一緒に脱がそうとしてしまい、ホックの外し方がわからずこんがらがってしまって、結局は有紀寧に脱いでもらった。

 それでも不屈の闘志を燃やし、気を取り直して短いプリーツスカートを脱がそうと企むも、今度もまた外し方がわからず難儀して、有紀寧にくすくす笑われてしまったのだった。

 そんな経緯はさておき、殆ど全裸にさせられた有紀寧は朋也に完全に身を任せていた。まさにまな板の上の鯉といったところで、机の上に仰向けに寝かせられ……勃起した乳首に吸い付かれていた。

 赤ん坊のような朋也に乳首をちゅーちゅー吸われる度に、有紀寧は『んんぅぅ〜』とのけぞってしまいつつも、感じてしまうのだった。だから、云うのだった。『もっともっと、いじってください』と。
 




そしてその後も、リクエスト通りに朋也の攻めは続く。





全身をまさぐられ





舌でなめ回され





机の上でのたうち回って、達して……そして……。





「想像してみな。この格好で……もし、今が授業中だったら……どうなってると思う?」

「え?」

 有紀寧は教卓の上に座らされ、思い切り大股開きをさせられて、指で秘部をいじらされていた。

 無論、あり得ない事だけれど。朋也が云うことをあえて想像してみる。今がもし授業中で、皆が皆席についていたとしたら、と。そんなアダルトビデオのようなワザとらしいシチュエーションを……。

「ああ……。そ、そ、んな……。全部……見られ……ちゃいます……ああぁ」

 男女問わず、数十人の視線がいやらしい格好をした自分に集まる事を想像するだけで、秘部に熱いものを感じてしまう。もし……もしも本当にそのようなシチュエーションになったとしたら、男子生徒達はぎらぎらとした性欲に満ちた目を、女子生徒達は興味と軽蔑に満ちた目をすることだろう。『うわぁ』とか『やだぁー』とか『信じられない〜』とか『何考えてんのよ〜』とか、なじるような囁きが方々から聞こえてくる気がする。

「う、あ……。違……。云わ……ないでくださ……あ……」

 そして次の瞬間、男子生徒の誰かは襲いかかってくるかもしれない。云うまでもないけれど、間違いなく自分には変態というレッテルが貼られる事だろう。それまでは、ちょっと天然ボケ入ったおっとりした性格の可愛らしい人とか、ちょっと変わった優等生とか、アホ毛がトレードマークの人気者とか……そんなクラスの評価は一瞬にして崩れ去る。人前で裸を晒して、はしたないポーズを取りながらも興奮して……堪えきれずに公開オナニーをして、ぐしょぐしょに濡らしてしまうような……変態だと。

「あ、あ……はぁぁぁん。そんなの……だめ……です。あぁぁぁ。やぁぁ……」

 そんなことを考えれば考えるほど、体の奥から熱い湿り気を感じていき……教卓の上にとろりとたれていく。有紀寧の想像の中では……散々視姦されたあげく、前から後ろから口もあそこも男子生徒に犯されていた。教室の中で白昼堂々輪姦されて、見せ物にされて……そして感じてしまっていた。けれど、現実は違う。もっと幸せで、大好きな人にいっぱいしてもらっているから。だから、そんなインモラルな妄想でも感じてしまえる。

 あまりの羞恥に堪えきれなくなった有紀寧は云った。

「朋也さん。もう、だめ……です。……して、ください」

「どうして欲しい?」

 有紀寧は教卓の上で四つん這いになって、お尻を突き出して見せつけた。お尻の穴もひくついて、朋也を求めていく。そして、薄い皮に覆われた割れ目を右手の人差し指と中指で開いて……誘った。

「わたしの中に……入れてください」

 二人はまた、一つになって。





……そんなこんなで今の状況に至るのだった。





「あっあっあっあっああんっ! やっあっあっあっあっああっ! あ、あ、熱い……です。ああああっ!」

 もう、堪えようともせずに感じたままに喘ぐ有紀寧。朋也の突きに対し、タイミングを合わせながら腰を前後に振っていた。

「出すぞ」

「あ……。んっ。待って……ください。わたしが……」

 有紀寧も朋也もまた、絶頂を迎えるところだった。朋也は有紀寧の中から勢いよく引き抜いて……お尻に射精、するつもりが……。

「おわっ」

「口で、させてください。……ん……んっんっ」

 小さな口を目一杯あけて、朋也のものをくわえ込んだ。と、同時にびしゃっと射精されて……有紀寧は出されたものをゆっくりと飲み込みながら、しゃぶり始める。飲み込めずにこぼれた精液が、唾液と共に顎を伝って胸にまで落ちていき……。

 数秒後には、有紀寧の口は女性器のように扱われていた。

「っく。有紀寧の口。……最高っ」

「んんっ! んんんぅっ! んっぐ、んんっ! んふっ! んーーーっ!」

 じゅぷじゅぷと、湿った音を響かせながら激しく奥まで入れられては引き抜かれていた。有紀寧は必死に舌を上下左右に動かして朋也を感じさせる。





有紀寧が思い浮かべたこと。それは、朋也が想像したとおり。





『もっともっと激しく、いっぱいしてくださいね』





と、そんなところなのだった。





「ま、また……出るっ」

 これが何度目だろうか。朋也は有紀寧の口から引き抜いて、射精した。勢いは衰えるどころか増していって……。

「ああっ。ああぁっ。んーーーっ! あっあっあっ。けほっ……んぐ。ん、ん……」

 びゅ、びゅ、びゅ、と連続で、大量に出た。顔から胸からお尻、綺麗な髪にもかけられて、少しむせ返る。

「あは……いっぱい、出ましたね」

 ……全身どろどろの精液まみれにさせられて。有紀寧は指でそれをすくって口でしゃぶって飲み込んで、悪戯っ子のような笑顔で云った。

「朋也さん。……また、してくださいね」





素敵なおまじない、解けないで……。





と、有紀寧は心の中で願ったのだった。

























----------後書き----------

 有紀寧でハードなものは書けんなと思ってまた例の如く短いものを書いていたらいつの間にか長くなってハードになっていたわけでありました。めでたし?



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