Back


after birthday party










 祐一との再会から一年の後。

「お誕生日おめでとう」

 と、水瀬家のリビングには祝福の声。そして、その視線を一身に浴びる彼女はケーキに刺さった蝋燭の火をふーっと吹いて消した。

 そう。今日は彼女こと、水瀬名雪の誕生日なのだった。

「みんなありがと〜」

 あゆに真琴、祐一に秋子。皆、名雪の誕生日を心から祝ってくれる。

「いただきっ」

 突然、ケーキの上に乗っかっているお菓子を確保する祐一。

「あー! 祐一それ真琴のー! 取った〜〜〜っ!」

「うぐ。ぼ、ボクもそれほしい……」

 そんな風に、騒がしくて賑やかな、楽しいファミリーパーティは続いていくのだった。





そして日も暮れてパーティもお開きになり、皆が寝静まった頃。





 祐一がベッドに寝そべって雑誌を読んでいると。

「祐一」

 こんこんと、控えめにノックの音がして、小さな声。

「ああ。入れよ」

「うん」

 パジャマ姿の名雪が入って来た。二人だけの、密かな約束だった。

「名雪。改めて、誕生日おめでとう」

「ありがと」

 密かに決めていた、二人だけのバースデイパーティ。

「というわけなのでー。今日は特別に、何でも云うこと聞くぞ」

「ん……。じゃあ」





名雪は少し迷いながら





目を閉じて、少し上を向いた。





祐一も、それを見て名雪に近付いて……。





「……」

「……」

 やがて、二人の唇が軽く重なり、すぐ離れる。

「ね。祐一」

「ん」

 名雪は火照ったように、照れくさそうに、少し頬を赤らめる。

「今。わたしが何を思っているか、わかる?」

「んー。俺のこと、好き……とか?」

 それを聞いて名雪はくすっと笑って云った。

「んーん。惜しいけど、ちょっとだけ外れだよ。答えはね。……『大好き』だよ」

「そっか」

「うんっ」

 祐一も名雪につられて笑顔。ぎゅむっと強めに抱きしめてみる。

「祐一ぃ。好き……」

 名雪がまた目を閉じて少し上を向くと。

「……」

 祐一もそれに合わせて即座にキス。

「じゃあ。……俺が今何を思っているか、わかるか?」

「えっと。……わたしのこと……大好き?」

「大正解」

「あは」

 今度は祐一から。目を閉じる暇すら与えずに、ご褒美のキス。

「んん……」

 名雪は慌てて目を閉じて、抱き締め合いながら身を任せる。

「祐一。暖かい……よ」

「名雪も。暖かいな」

「うん。……あ」

 そのままベッドに倒れ込むようにして、またキス。

「ゆういちぃ。ん〜ん……んにゅにゅ」

 抱きしめ合ったまま、ベッドの上を左右に転がりながら、貪るようにキスを繰り返す。

「名雪。お前……可愛いな」

「あ、ん。祐一のえっち……。くすぐったいよぉ」

 パジャマの上から、ふっくらしたお尻を触る。もちもちとしていて、程よくキュッと引き締まっていて、健康的だった。

「ん、ん……。何でも、していいよ。んん……ん」

 もはや何度目かすら分からなくなってしまったけれど、キス。でも、今度は長くて。

「ん。ん。ん。ぷは……ふ、ぅ。もっとキス……して」

 互いの舌と舌を絡ませ合う。唇を重ね合わせるだけで、とても幸せな気持ちになっていく。

「わたしは……。祐一の、彼女さん……だから。ん、あ……」

「お前。寝る時はノーブラなんだな」

 胸元のボタンを一つだけ外してから右手を入りこませ胸を愛撫する。

「あ……。そうだよ。みんな、そうだよ。……きっと」

「乳首。立ってる」

 人差し指と親指と中指で突起を摘まみ、軽く引っ張る。

「祐一だって……。す、ごい……よぉ」

 名雪は対抗して、祐一の股間を触った。完全に勃起したそれは、堅くて大きくて……。

「今俺が何を思っているか、わかるか?」

「う、ん。わかる」

 視線を逸らしながら云う。

「したい……。でしょ?」

「正解。名雪の中に、入れたい」

 その言葉の後で祐一のものは更に膨らむ。それを見て、名雪は少しビクッと震えた。

「わたしも……祐一と……えっち、したい。ね、ね、祐一。わ、わたし……今。その……す、すごく、えっち……」

 名雪は何を思ったか、祐一の片手を掴んで。

「お、おい。わっ!」

 もぞもぞとパジャマのズボンの中に入れさせた。下着の中の茂みは、ぐしょぐしょに濡れていた。

「わたし……わたし。ぬ……濡れちゃったよ。うぅぅ……。恥ずかしいよぉ。どうしよぉ」

 自分の体の変化に困惑しまくって恥ずかしがって、おろおろと情けない声と表情。祐一の度重なる愛撫とキスによって、名雪の体は極限にまで反応してしまったのだった。

「じゃあ、入れよう。な?」

「う、ん。あ、あん……」

 そしてまたキスをしてから、名雪はパジャマのズボンを下着ごと脱ぎ、仰向けの祐一にまたがって、大きなものを自分から割れ目にあてがって……。

「いいぞ」

「う、ん。あ、あ、あ、はああぁぁ〜。あうぅ」

 名雪が腰を落とすのと同時に、祐一は両手で名雪のお尻を掴んで、上から押し込んだ。ずにゅにゅと、さしたる抵抗もなく、長く、太いものが名雪の中に入って行く。一気に奥まで……。

「あ、ああ。熱いよぉ!」

「全部入ったぞ」

 一つになった嬉しさと恥ずかしさをごまかすように、キス。

「ん。ん。あん。ん……。このまま、しばらく動かないで」

「いっそ、このまま寝ちゃうか?」

 二人は繋がったまま、動かない。

「あは。そ、それも。いいかも。……あ。あ」

「名雪だったら本当にやりかねないな」

 少し体をよじるだけでも強烈な刺激だった。

「なあ名雪」

「うん」

 名雪は呼吸を落ち着かせながら返事をする。

「雪、降っているな」

「そうだね」

 外は雪。さらさらという音をたてて窓ガラスに当たり、辺りを更に白く埋め尽くしていく。

「ねえ祐一」

「ん」

「この街。好きになった?」

 祐一が以前、この街があまり好きではないと云っていたことを思い出したのだった。

「ああ」

「よかった」

 その理由は簡単。

「名雪がいるからな」

「祐一ぃ。うにゅ〜」

 名雪は嬉しくて、満面の笑顔。

「それに。秋子さんにあゆに真琴に……。みんないるしな」

「うんっ」

 大切な人達がいる場所を、もはや嫌いになれるはずがなかった。

「戻ってきたころは、ともかく。……って。そういえば、思い出したんだが」

「なぁに?」

 再会した頃に話していたことを思い出した。

「ごめん。つか、最初に謝っておく。……俺。まだ、イチゴサンデー七つの約束、果たしてないな」

「あは。……いいよ、もう」

 そういえばそんなこともあったね、と、名雪は笑った。云った本人も忘れていたようだった。

「色んなことがあったから。だから……祐一は何も悪くないから。わたし、あの時は勢いであんなこと云っちゃったけど。仕方のないことだから」

 名雪は少し悲しそうな目をして、噛み締めるように云った。再会してから全てが明らかになったから、今はもう……どうでもいいことだった。

「祐一が、ずっと一緒にいてくれるだけでわたしは……幸せ、だよ。だから、もうあんなこと気にしないで。ね」

「名雪。ありがとう」

 そしてまた、キス。

「んん。今度、ね。お母さんと一緒に、イチゴサンデー作ってみようかなって、思うの」

「へえ」

 下手な甘味処など目じゃないくらい美味しそうだ、と祐一は思った。

「それに。イチゴクレープに、イチゴワッフルに、イチゴのショートケーキに……」

 名雪らしく、イチゴ尽くしなメニューだ。

「うまそうだな。そうだな。どうせならそれに甘口イチゴスパゲッティも加えてくれ」

「何それ〜」

 素っ頓狂なアイデアに思わず吹き出してしまう。

「いや。ありそうじゃないか。どこかに」

「ないよ〜。変だよ〜」

「っていうか、俺達。繋がったまま、何やってんだろうな」

「あはは。そうだね」





そして。





「ほら。こうするともっと気持ちいいだろ?」

「はぅっ! や、やだよ〜。恥ずかしいよ〜」

 繋がったまま、祐一は左手を伸ばして名雪のクリトリスを弄び、右手でお尻の割れ目を愛撫してアヌスを刺激。

「う〜ぅ〜。だ、め……だよ。そんなとこ」

 名雪はゾクゾクと小刻みに体を震わせつつ、感じてしまう。

「じゃあ、そろそろ……な」

「うん」

 祐一は名雪の背中に両腕を回して組んで固定させ。舌を絡ませ合うほど濃厚なキスをしたまま。

「んぷ……ん、ん」

 ゆっくりと少しずつ、下から名雪の奥まで突き上げはじめた。その度にぎし、ぎし、とベッドのスプリングがきしんで音を立てる。

「名雪も。一緒に動いて」

「ん。あ……あふっ!」

 名雪も祐一の動きに合わせて腰をがくがく動かしはじめる。

「あ、あん。あっ。熱い……熱いよぉ。ああんっ! いっちゃう、よぉ!」

 思わず甘ったるい声が漏れてしまう。

「声出すと、皆に気付かれるぞ」

「や、ぁ……っ!」

 なので二人はキスをしたまま、続ける。

「んぷぅ。ん、んぐ……んん〜!」

 ぴちゃぴちゃと舌同士が糸を引きながら交差し、同時にずりゅずりゅと陰毛が湿り気を帯びて絡み合う。

「んぐ、んぐ! 好き……好きぃ。ゆう、い……ち」

「っく。名雪……」

 二人の動きは更に早くなっていく。

「で、る……うっ!」

「ん、あ……んあああああっ!」

 名雪はのけぞり、堪え切れずに達し……祐一は名雪のお腹に思いっきり射精していた。





…………





「えへへ〜」

「何でそんな嬉しそうなんだ?」

 祐一に寄り添うようにして、名雪は横になっていた。

「だって。祐一と一緒に寝てるんだもん」

 それだけで、名雪は幸せ。

「ふーん」

「今のわたしと祐一って。映画とかドラマのワンシーンみたいだね〜」

「そりゃ。実際そういうシーンの後だし」

「ね。腕枕、してよ」

「ああ。ほら」

「わ〜」

 名雪は子猫のようにじゃれついて。

「祐一〜。祐一〜」

 意味もなく祐一の名を呼び。

「はいはい」

 祐一もそんな名雪がいとおしくて、頭を撫でて髪を指で弄ぶ。

「髪。きれいだな」

「ありがと。嬉しいよ〜」





そんなわけで、二人は朝まで一緒なのだった。





「あぅ〜。二人とも、激しすぎよぅ」

「うぐ……。ボク、恥ずかしい……」





 廊下にて、しっかりと聞き耳を立てている影。





二人共翌朝寝不足だったのは云うまでもなかったとさ。








Back