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【昼時のお出掛け】
諸事情により、花鈴が鈴那と一緒に出掛けることになった。そういうわけで、留守番役となったご主人様が作った料理。それは……。
どうだ。うまそうだろう?(--)
もう一人の留守番役の鞠音がジト目で突っこみを入れる。
鞠音「……丼にご飯が盛られてるだけだみゃ(--;;;;)」
馬鹿者! これがおれのオリジナル丼。その名も白米丼だ! ぐおっ!(--;;;;)
ばき!
鞠音「それじゃただのご飯だみゃーーーー!(--###)」
ま、まあ待て! 待つんだ! 落ち着け鞠ねこにゃん! 白米は塩を振ると激うまなんだぜ? つーわけでおれは、白米に塩を振った白米塩丼を提唱する!(--;;;)
鞠音「そんなのたいして変わらんみゃ! アホかみゃーーーーっ!(--####)」
げし!
ぬおっ! じ、じゃあ醤油をふりかけて味付けをだな。ぐおっ!(--;;;)
鞠音「ふみゃーーーーーっ!(--####)」
で、結局。醤油や塩で適当な味をつけようとして虚しくなったのでやめて、改めてご飯を食べに行くことになったのだった。
助手席に鞠音を乗せて、軽自動車で走ってると。
なあ、おい(--)
鞠音「なんだみゃ?(・・)」
これはその、なんだ。あれか。もしかしてだな。デートってやつか?(--)
鞠音「んみゃっ!? あに言ってんだみゃっ! きしょいこと言うんじゃないみゃ!(--#)」
ばきっ!
ぐおっ! くぉのっ! ばっかやろ! あぶねーだろが! 運転中にどつくんじゃねえ!(--;;;)
鞠音「あんたが壮絶に気持ち悪いこと言うのがいけないんだみゃ。鳥肌立っちゃったみゃ(--;;;)」
余談だけど、ご主人様は胸の大きな花鈴が助手席に座るときは、シートベルトを思いっきりきつくしてやっているのだった。勿論わざとで、ベルトが思いっきり胸にめり込むようにしていたり。――閑話休題。
さて(--)
鞠音「みゃ( ̄ω ̄)」
それはさておき、どこに行くか決めずに出発したわけで、車の中でもぎゃあぎゃあとしょーもない喧嘩が勃発するのだった。
なんか、ラーメンと半チャーハン食いてぇ気分だな(--)
鞠音「熱いの苦手みゃ(--;;;)」
じゃーなにがいいってんだよ(--)
鞠音「お寿司食べたいみゃ〜( ̄▽ ̄)」
馬鹿野郎。たけぇ! 今金ねぇ!(--#)
鞠音「あたしはそんな贅沢言わないみゃ。回転するのでいいみゃ〜。あれなら安いみゃ? 『クラスター寿司』とか、『寿司ヤロー』とか、『クッパ寿司』でもいいみゃー( ̄▽ ̄)」
チェーン系の回転寿司のことを言っているのだった。
まあ、確かにそれはそうだが。おれは今、寿司って気分じゃねーんだ(--#)
鞠音「じゃあなにがいーんだみゃ?(--#)」
だからラーメン定食もしくはラーメン半チャーハンだと……(--)
鞠音「喧嘩売ってるのかみゃ!? あたしが猫舌だってわかって言ってるみゃ!?(--#)」
知るかンなもん! ラーメンは熱いもんだろが!(--#)
げしげしげしげし!
こうしてまた不毛などつき合いが始まる。どうやら冷やし中華とかつけめんとかの存在をこいつらは完全に忘れているようだった。
鞠音「ふみゃーーーー!(--###)」
ばき!
ぐふ! こんにゃろ!(--####)
ぎゅううう!
鞠音「みゃあああ! 尻尾引っ張るんじゃないみゃ!(;;;;;;;)」
いでででで。お、おいこら猫。……そこに丁度いい具合に定食屋があっからそこにすっぞ! 何か文句あっかコラ!(--#)
鞠音「うみゃみゃみゃみゃ! 文句なんてないみゃ! 望むところだみゃ! さっさと駐車するみゃーーー!(--#####)」
馬鹿野郎! 離せ! 後ろが見えんだろが! ぶつけてしまうだろが!(--;;;)
お昼時で車がいっぱい停めてあったので、埋まってしまう前に一時休戦することにした。
人前に出る訳で、鞠音は改めて猫耳と尻尾を隠してふつーの女の子に早変わり。だけどご主人様は一つだけ懸念がある模様。
おいおめぇ(--)
鞠音「なんだみゃ?(・・)」
それだ。語尾にさりげなく引っ付いてる、古臭いキャラのよーな『みゃ』をどーにかしろ。てめぇは名古屋人か? 妖怪化け猫娘だという事が世間様にばれてしまうだろうが(--)
鞠音「無理みゃ。こればかりはどうしようもないみゃ。あたしは猫だから、自然と言葉がそうなっちゃうんだみゃ。っていうかあたしは化け猫じゃないみゃ。猫だけどただのふつーの女の子なんだみゃ。馬鹿にするんじゃないみゃ(--#)」
猫なんだか人間なんだかはっきりせんやっちゃな(--)
鞠音「ほっとくみゃ(--#)」
ぎゃーぎゃーしたりはしないけれど、二人は相も変わらず冷戦状態なのだった。
…………
鞠音「うみゃみゃん( ̄▽ ̄)」
ずるずるずるずる。あーうめぇ。たまらん。ラーメンと半チャーハンの組み合わせを考えた人は偉大だ。心の底から称えよう(--)
鞠音「おさしみ盛り合わせ定食おいしいんだみゃ〜。ごはんが進んじゃうんだみゃ〜( ̄▽ ̄)」
けっ。ワサビをつけんとは、おこちゃまめ(--)
鞠音「ワサビは辛くてだめだみゃ〜。鼻がツーンってして涙がでちゃうみゃ〜。あたしはこのままでいいみゃ〜( ̄ー ̄)」
それがいんだろが!(--)
鞠音「お子様でもいいんだみゃ〜( ̄ー ̄)」
ご主人様は待望のラーメンにありつけ、鞠音もおいしい魚にご満悦。
そして。
――鞠音はどこまでも猫っぽいけれど、人間の女の子。
このまま帰っちまうのもなんかつまらんな(--)
鞠音「海の方にでも行ってみたいみゃ〜( ̄▽ ̄)」
食べ終えて店を出てからの事。どつきあいばっかりしている二人も、そんなところで珍しく意見が合った。
おーし! 天気もいいし、一丁ドライブと行くか(--)
鞠音「そーするみゃー!( ̄▽ ̄)」
無邪気にはしゃぐ鞠音。けれど、御主人様は知っているのだった。
おっしゃ!(--)
一匹の子猫が人間に憧れて、実際になってしまった。それが鞠音という少女。仕草も行動もとっても猫のよう。
鞠音「雲一つないお天気だみゃー(^^)」
フフフ。まるでおれの心の中のように澄み切っていやがるぜ( ̄ー ̄)
そして何年か、何十年先かはわからないけれど、徐々に猫の要素は薄れていくであろうことも。
鞠音「すっごく気持ちいいみゃ〜( ̄▽ ̄)」
(なんつーか、子供が大人になるのと同じだな(--))
人としての生活に馴染み、世間に溶け込み、いずれは完全な人になってしまうことだろう。
鞠音「窓開けていいかみゃー?( ̄ω ̄)」
うむ。許可しよう!(--)
ぴょこぴょこ動く猫の耳と、二房の尻尾。
鞠音「みゃ〜!( ̄▽ ̄)」
それが運命であるけれど、ちょっと寂しいような、儚いような、ご主人様はそんな気がしたのだった。
鞠音「みゃぁぁ。なんだかねむくなってきちゃったみゃ〜( ̄▽ ̄)」
静かでええわ。寝ておれ(--)
鞠音「そーするみゃ。みゃぅみゃぅ。……ふみゃみゃ( ̄ω ̄)」
散々騒いではしゃいで、ちょっと疲れたら猫のようにあっという間にお昼寝タイムに突入。可愛らしく寝息を立てている。
ふっ。仕方ねぇやんちゃ娘だよな。ったく(--)
そんな風に苦笑しながらハンドルを切るご主人様だった。
そうして二人揃って帰路について、
お昼時のちょっとしたお出掛けは終わるのだった。
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